モララーのビデオ棚in801板22at 801
モララーのビデオ棚in801板22 - 暇つぶし2ch450:風と木の名無しさん
07/01/28 10:47:21 DmplKlyV0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ホショクサレルガワトホショクスルガワ、
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )カンキンスルガワトサレルガワ。
 | |                | |       ◇⊂    ) __…ホショクハシテナイカ
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

451:風と木の名無しさん
07/01/28 10:47:30 x+8ibUD+O
ど…どんなに探しても見つからなかったォルウェィズ/サンチョメが此所で読めるとはぁぁぁ!
感激っス!
超続き期待して良いっスか!?
ズンノスケ→チャガータン最高っス!


452:風と木の名無しさん
07/01/28 11:19:13 cUIcJr8tO
ちょっとノレナティックドーソ中古屋で探してくる!(´Д`*)ハァハァ

453:風と木の名無しさん
07/01/28 11:36:59 O2uqm1JcO
(;・`д・´)ゴクリ…

454:風と木の名無しさん
07/01/28 14:21:33 qU7M61UR0
>>450
元ネタ知らないけどいつも凄く楽しみにしてます。

455:ビリー/ミリ/ガン人格内 アー/サー×アレ/ン
07/01/28 20:31:39 1srM3csp0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |ビリー/ミリ/ガン人格内 小話です
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ノンフィクションものです。不謹慎に思われたら
 | |                | |             \ スルーしてください。
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |


456:ビリー/ミリ/ガン人格内 アー/サー×アレ/ン
07/01/28 20:32:18 1srM3csp0
記憶は、子供たちの残虐な罵声から唐突にはじまる。目を開けると、
そこは建築現場で、ぼくは地面に掘られた基礎用の穴に引きずり込まれ
ようとしていた。どうしてだろう。自分がこの世に生まれたのは確かに
その瞬間だったはずなのに、そのときすでに、ぼくは、自分が何かの
使命を果たすために生まれてきたのだということを悟っていた。だから、
ぼくは懸命に舌を捌いて、自分より一フィートも背の高い子供たちをなだ
めようとした。結果は失敗で、ぼくは身体もろとも穴の中に投げ込まれた。
だが、ぼくという存在はその瞬間から確実に始まったのであり、そのことは、
他の人格たちとの出会いによって確証づけられることになった。

457:ビリー/ミリ/ガン人格内 アー/サー×アレ/ン
07/01/28 20:32:54 1srM3csp0
 スポットから外れた暗がりの中、アーサーはひとり物思いに耽っていた。
その指は相変わらずピラミッドの形をあわせ作っている。眼鏡の奥にうかぶ
眼は重たげだ。近頃とみに沈みがちなのは、レイゲンが現れないせいだろう。
レイゲンがやってこないのは平和な証拠で、近頃は人格の交代も落ち着いている。
それはアーサーの本来望むところであるはずだったが、手ごたえのある相手が
そばにいないことはやはり不満なのだろう。
「アーサー」ぼくは絵筆を置いた。「描けたよ」
 声をかけると、彼はぼくのいるスポットの側にまで歩んできた。光の中に
半身だけを差し入れて、ぼくの背後からキャンバスをしげしげと眺める。
「新しい作品だな、アレン」
「うん」
「よく描けているな。これは誰なんだ?」
「あんただ」
「……わたし?」
「あんたの他に、眼鏡の人格なんていたっけ?」
 レイゲン、クリステン、エイプリル、これまで何人もの人格たちを現実世界の
キャンバスの上で描いてきた。なぜ風景画でも静物画でもなく人物画なのか、
と問われても困る。だが、自分にはどうしても人格たちの顔をはっきりとかきと
めておきたいという願望があった。他の人からみれば、ぼくたちは、ビリーと
いう殻のなかで分裂した意識の片割れにすぎない。
「自画像は描かないのか、アレン」
「自分の顔なんて知らないもの」ぼくは笑った。「鏡をのぞいたところで、
映ってるのはビリーの顔だ」
 アーサーも苦笑した。
「理にかなっているな」
「そうだろ」

458:ビリー/ミリ/ガン人格内 アー/サー×アレ/ン
07/01/28 20:33:53 1srM3csp0
「しかし、それではきみの顔だけがこの世に残らないことになる」
「構いやしないよ」ぼくは言った。「トミーは風景画しか描かないし」
「トミーも最近スポットに現れないな」
「……追い出してやった。それ以来、出てこないんだ」
「どうして追い出した」
「あんたの顔を描くのを邪魔するから」
「……どうして」
「さあね」
 絵筆を片付ける。肩が凝ってひどく疲れていた。ベッドで一眠りしたら誰か
がスポットを代わってくれるだろうか。アーサーに声をかけようとしたが、
振り向いたときにはもう彼の姿はスポットの隅から消えていた。仕方がない。
ベッドに身を投げて天井を見つめる。自分はビリー・ミリガンだ。唐突にそう
考える。自分はビリー・ミリガンだ。アーサーもビリー・ミリガンだ。レイゲンも
トミーもビリー・ミリガンだ。それが本来の道理だ。だが、もしそうならば、
ぼくたちは結局何のために生まれてきたのだろう。ぼくたちはただビリーを
守るためだけに生まれてきたにすぎないのだろうか。そしてぼくはただビリーの
分裂した一意識として、残りの二十三の意識の残像を巧妙に描き分けている
だけにすぎないのだろうか。わからない。天井から目を閉ざすとスポットも
見えなくなって涙がこぼれ出た。

459:ビリー/ミリ/ガン人格内 アー/サー×アレ/ン
07/01/28 20:34:36 1srM3csp0
 と、その瞬間、ふわりと頭の上から覆いかぶさる意識があって目を開けた。
自分がどこにいるか分からなくなった。だが、ぼやけた視界の先にいるのは
間違いなくアーサーだ。いつもピラミッドを形作っているその指が、ゆっくりと
頬に触れて、伝い落ちた涙を拭い去った。そして、聞きなれたイギリス訛りと
共に、短い接吻が唇に落ちる。
「アレン」声がほんのかすかに掠れている。「私は、きみの顔を決して忘れはしない」
 アーサー、と言おうとしたが、言葉にならない。震えた唇にもういちど接吻が
あてがわれる。喋れなくなった自分なんておしまいだ、と思ったが、それよりも
彼のいつになく優しげなまなざしに心もろとも吸い込まれそうだった。ランカスターの
老人ホームでアーサーが感情をこらえたように見えたのは思い違いではなかったのだ。
たまらずアーサーの金髪を引き寄せて顔じゅうに唇を寄せる。止まらなくなって
交わした舌は不思議なほど温かい。ゆっくりと快感が持ち上がる。多分、生々しく
反応しているのはビリーの身体だ。傍から見ればこれは自慰にすぎないだろう。
ビリーの家族に見られたら大変なことだ。
「部屋に……」ぼくはあがる呼吸の中でつぶやいた「部屋に、鍵をかけないと」
 アーサーは苦笑した。「きみは、どうにも機転がききすぎるな」

460:ビリー/ミリ/ガン人格内 アー/サー×アレ/ン
07/01/28 20:36:29 1srM3csp0
 __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


461:風と木の名無しさん
07/01/28 22:50:07 BqExPP7U0
元ネタわかんないけどスゲー萌えたよ、ありがとう!!

462:風と木の名無しさん
07/01/29 00:52:58 8c2yrwGGO
うわー!
24人の彼等目茶苦茶好きなのですごい見た瞬間ときめいて、読んで更に萌えました。
ありがとうありがとう。

463:風と木の名無しさん
07/01/29 01:46:03 OjE2S+IOO
おお
801は広いと実感したよ
面白かったありがとう!

464:風と木の名無しさん
07/01/29 02:12:52 RWmuIGgE0
柴/田/よ/し/きの『フ/ォ/ー・ユ/ア・プ/レ/ジャー』
の後日談らしきものです
斉/藤×れん


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

465:斉/藤×れん 1
07/01/29 02:13:32 RWmuIGgE0
部屋に入るなり、若は俺をソファに座らせた。
俺はジーンズに包まれた細い腰を鑑賞した。
細いジーンズは若の長くてしなやかな足や、抱きしめたくなる腰を
あますところなく明らかにしていて、俺は唾を飲み込んだ。
お呼びが掛かるのは久しぶりだった。
しかたがない。若には手に届くところに若い男がいくらでもいるし、
色々試してみたくなるのは男の性だ。
そして、俺は実のところ、若の舎弟の一人でしかなかった。
久しぶりに与えられる快楽の予感に、すぐにでも、腰をつかんで、
後ろから突き上げたい衝動に駆られるが、主導権を持っているのは俺ではない。
俺は忠犬よろしく、おとなしく若に従った。
若は俺の前に立つと、目を細めて、俺を検分した。視線が肌の上を這う。
それだけで俺の背筋はぞくぞくした。
若の目線は己の持ち物の様子を調べているような、冷静なものだった。
ある意味、それは正しい。現在、俺の人生は若の掌中にある。
細くて綺麗な指が、ゆっくりと俺の顔をなぞった。
「案外早く元に戻ったな」
俺は黙って、ただ、目の前にある男にしてはありえないくらい整った顔を眺めていた。
何度見ても、いつまで見ていても見飽きなかった。
ほのかな白檀の香りが俺の鼻をくすぐった。香水やコロンの人工的な香りではない。
若の肌の香りだった。まれに、こんな風に生まれつき肌の香る人間がいるという。
そして、人を狂わせると。

466:斉/藤×れん 2
07/01/29 02:14:23 RWmuIGgE0
「体のほうは、どうなんだ」
気遣う調子ではなかった。それどころか、面白がっているような口調だった。
この人に、そんな優しさは期待していない。
そもそも、俺の体が傷だらけだったのも、
顔が火ぶくれになったのも全部、この人のしたことだった。
「おかげさまで」
短く答えると、若は軽くうなずいて、
俺のシャツのボタンを一個一個、いやみなくらい丁寧に外していった。
外しながら俺の上にのしかかってくる。香りが強くなった。頭がくらくらした。
気が付けば、若の深い闇色の瞳のなかに俺が映っている。
瞳の中の俺は、蕩けるように甘く濃厚な闇の中に完全に溺れていた。
この香り、それから強い人を飲み込むようかのような視線が、男を狂わす。
全てがどうでもよくなるのだ。
かつては若がやくざで、俺が警察官であることが些細なことに思えた。
今は、この人がつい先日、俺を半殺にし、いや本気で殺そうとしたことが、
取るに足らないことにしか思えなかった。
「治ってるな。少し、跡が残っているが」
若は、いきなりわき腹に残った傷跡を抓った。俺はうめき声を上げた。
ケラケラと若は笑った。どうやら、今夜は機嫌が良いようだった。
そういえば、酒の匂いもしない。
ひどいときは、この人は浴びるように酒を飲む。あるいは睡眠薬をしこたま口の放り込む。
まるで、自分の命などどうでも良いかのように。俺はこの人のために少しだけ安心した。
これがいつまで続くかは、わからないが。
「これくらいで、さわぐなよ。
取調室でいつもあんたがやっていたことに比べれば、可愛いもんだろ」
もちろん、俺は文句を言わない。これくらいで文句を言っていたら若の相手は務まらない。

467:斉/藤×れん 3
07/01/29 02:15:00 RWmuIGgE0
若は俺の前に跪いて、スラックスの前をゆっくりと撫でた。
「でかくなってるな」
確かに、俺の性器は、下着の中で窮屈だと主張し始めていた。
だが、この人を前に、普通にしていられるわけがない。
まして、じらすように、シャツを脱がされては、平静でいるのは拷問に近い。
だが、若は珍しいことに、それ以上俺をじらさなかった。
性器が暖かい口腔に包まれたとき、俺は深いため息をついた。
羽のように軽く柔らかく、あるいは蛇のように執念深く強靭に、舌は俺を攻め立てた。
若の柔らかい髪に指を突っ込んでかき回すと、若が俺を見上げてきた。
目の縁がほんのりと赤くなっている。口の端が唾液と、俺の先走りで光っていた。
若も興奮している。
「若!」
若は、優しいといっても良い口調で、ささやきかけてきた。
「達けよ。達かせてやるから。好きなだけ」
そうではない。口ではなくて、ねっとりと淫靡に絡み付いてくる尻の中で達したい。
その尻は俺の前で、ジーンズに包まれて、いやらしく揺れていた。
中に突っ込んで、この人の口からこぼれる女のように高くかすれた声を存分に聞きたい。
突きまくって、前もこすってやると、この人の目には涙が浮かぶ。
その涙を舐め取ってやりたい。
欲しいものが目の前にあって、届かないもどかしさに、俺の喉は乾いてひりついた。
アル中が酒を目の前にしたときは、こんな感じなのだろうか。
だが、全て若が決めることだ。

468:斉/藤×れん 4
07/01/29 02:15:35 RWmuIGgE0
俺が沈黙していると、若は立ち上がった。
「わかったよ。今夜はあんたのしたいようにするがいい」
にやりと口の端で笑う。今夜の若はいつになく親切だった。
まさか、これは俺を半殺しにしたことへの、若なりの謝罪なのだろうか。
若は自分でシャツを脱ぎ捨てた。引き締まった男の体があらわになる。
滑らかな肌。胸に浮かぶ蝶のタトゥー。白檀の香り。
若がどいうつもりかなど、この際関係ない。俺の理性は崩壊した。
ジーンズを脱ごうとしている若を性急に床に押し倒した。
この綺麗な男を思う存分犯したかった。
「がっつくなよ。準備ってものが…ある……んっ」
「したいようにしろといったのは若です」
ジーンズは膝までしか脱げていないが、俺はかまわず指を唾液でぬらして、
若の尻に差し入れた。
夜毎男を受け入れているそこは、俺の指三本をあっさり受け入れた。
わかっていることとはいえ、癪に障った。
頭ではわかっていても、抑えようのないこともあるのだ。
俺は若の肩を押さえつけて、指をあわせたり、離したりしながら、乱暴にかき回した。
相変わらず、いいしまり具合だった。指をくわえ込んで、離そうとしない。
指がある一点を掠めると、かすれた声が上がった。
「んっあっ…あぁ」
若の性器も立ち上がっていた。
先端を弄ってやると、若は腰をよじって、女のように、
いや女よりなまめかしい声で喘いだ。その声で、俺にも限界が来た。
はちきれそうになっている俺の性器を取り出すと、白く淫靡な尻の狭間に押し込んだ。
熱と圧迫に、頭がしびれる。これだ、これが欲しかった。
俺は何度も角度を変えて、若を貫き、そのたびに若は高くかすれた声を上げて達した。

469:斉/藤×れん 5
07/01/29 02:16:13 RWmuIGgE0
いつの間にか、若は気を失っていた。
部屋の中には、俺と若の二人。
尻の狭間から俺の放った精液が漏れ出していた。
若の性器も腹も、濡れていた。
脱ぎ散らかした服が残骸となって、床に捨てられていた。
それ以外は、先ほどの激しさが嘘のような静けさだった。
俺は側にあったティッシュで、若にこびりついた体液を丹念にふき取った。
長い睫に、透明な涙が光っていた。
そっと、指でぬぐい、髪を撫でてやった。
若の口元が動いた。俺は耳を寄せた。
「りゅ、う……」
静かな部屋に声が響いた。
俺は唇をかみ締めた。
俺と同じように元刑事の男。若の愛人であった男。
そして、俺と違って若に愛されている男。それなのに若の側にいようとしない男。
若がこうなってしまった、全ての元凶でもある男……。
わかっている。俺も、俺以外の全ての男も若にとっては肉の渇きを癒し
眠れない夜を眠るための睡眠薬であることは、わかっている。
俺が若に今のところ気に入られているのも、その男と同じように元刑事だからなのだろう。
わかっている。だが。
俺はため息をついた。
若を濡れタオルできちんとぬぐってやって、ベッドに運んで、それから。
若は今夜は寝付けたが、俺は眠れない夜をすごすことになるだろう。

470:風と木の名無しさん
07/01/29 02:17:07 RWmuIGgE0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!



471:鰈ー族父×次男さらに続き
07/01/29 13:45:45 vFmcFMkR0
前回の続きです。思ったよりも長くなりそうで恐縮ですが
もうしばらく棚お借りします。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・;)三話見る前に書いちゃったんだyo!

472:鰈ー族父×次男さらに続き1
07/01/29 13:46:47 vFmcFMkR0


 今夜はおそらく父の愛人が情けを受けるのだろうと思われた。長年見ていると何とはなしに判るものである。
 しかし迷っている暇はなかった。彼女の恨みを買いたいわけではなかったが、今日を逃せばぼやぼやしているうちに
時間切れになってしまうかもしれない。それだけは避けたかった。
「お父さん、お願いがあります」
 夕食の後で、父の書斎へ行った。父は、いつもと変わらぬ様子で何かの書類を眺めていた。どうせまた手を汚して
いるのだろうとも思ったが、今はそんなことはどうでも良かった。
 どうした、とまだ昼の顔で振り向く父に、不自然なほどの近さ、しかし服は擦れても包まれた肌は触れぬような
距離に寄って、酒を入れた熱い息を吐いた。
「申し訳ありません、また…」
「…また?」
「また、…はしたない、熱が」
 恥ずかしげに目をそらす素振りをすると、紙束を放した父の冷たい手が、酒気に火照った頬に当たった。
「…あ」
 それだけのことでぴくりと動いてしまい、父の手に頬を擦り付ける。父はかすかに息を呑んだようだったが、
「この間も面倒を見てやったばかりだろう。今日はお預けだ」
「解ってます。ですが…今だけでも、少しお時間を頂きたいのです」
 父の手の上に片手を重ね、首筋を辿るように下へ降ろしていく。そこから汗が引いていくような気持ちよさと、違う
汗が滲み出るような生々しさが同時にわき上がる。少しずつ下へと重ねた手を動かしていき、その道を空けるように
もう片方の手でシャツのボタンを外していく。
「あ、あぁ…ああ、お父さんの、手が」
 父の掌を道具に自慰をするかのように、それを胸元に擦り付ける。体の芯の方も、それにもっと応えようと身を
くねらせてしまう。されるがままであった父の手は、ある瞬間に急に力が入り、能動的に僕の胸元を摘んでは押し潰す
ような動きを始めた。僕は酒精の巡りもあって、刺激に合わせて高い声を出した。
「お父さん、やめないで…やめないで下さい、ああ…」
「もうここをこんなにして…お前は、本当に」
「あ…!」

473:鰈ー族父×次男さらに続き2
07/01/29 13:47:23 vFmcFMkR0
 父のもう片方の手が、急に僕の下半身に無遠慮に触れた。そのままそこを服の上から強めに揉みしだかれると、体の
方では待ちこがれていたようで、腰も立たなくなるような悦びに思わず父に縋り付いた。
「ああ、もう、もう後生ですから、お父さん」
「…いいだろう、お前の勝ちだ」
 甘え上手になったものだな、と父が口づけてくる。曖昧な笑顔を返しながら、唇をつけては離すだけの軽くて甘い感触を
何度も味わった。
「一度楽にさせてやるから、風呂に入ってからもう一度来なさい」
 僕が必死に頷くと、父は僕のベルトを外しながら内線の受話器を取った。彼が愛人の名前を呼ぶのをすぐ側で聞きながら、
僕は計画の第一段階の成功と、服の中に突っ込まれた父の手の直接的な快楽を味わい、押さえようとしても押さえられぬ
嬌声と勝利の笑みを必死に掌の下に隠した。

 風呂を上がって再び階段を上がっていると、父の愛人がちょうどやって来た。そのままやり過ごそうとすると、擦れ違って
から数歩後、
「どういうおつもりですの?」
 彼女はこちらを振り返りもせず、前を向いたまま足を止めた。
「…何のことです」
「とうに学校も出て、いまさら発情期でもないでしょう。わざわざ貴方からお父様をお誘いになるなんて、何かお考えでも
あるのかしら」
「まさか。貴女に喧嘩を売るつもりはない。僕は今のこの家の権力関係が解らないほど馬鹿じゃないつもりです」
「お兄様とは違うようですわね。てっきりお二人で共謀してわたくしを追い出そうというのかと思いましたわ」
 そんなことできるはずもない、と言わんばかりの語調で彼女は笑った。ですから、と僕は彼女の背中を見つめて語を継いだ。
洗い髪が冷えて、思考まで冷めていくようだった。兄の名を出されたからかもしれない。
「改めて今日は貴女にお願いします。今夜一夜僕に譲って頂きたい」
「…そこまで言うからには、わたくしを納得させる何かがあるのかしら?」
「もしかしたら、ですがね」
 貴女の利益にもなるかもしれない。そう呟いて僕は再び階段を上がり始めた。
 不意に彼女が後ろから僕を呼び止めた。振り返る前に、艶のある声が飛んでくる。
「わたくし、貴方のお兄様には、貴方とお父様のことお教えしてなくてよ」

474:鰈ー族父×次男さらに続き3
07/01/29 13:48:28 vFmcFMkR0
 思わず目を見開いた。振り返ると、彼女が僕の方を向いて優雅に微笑んでいた。
 やはりこの女、侮れない。
「…それは、助かります」
「いいえ。そういえば今夜はお兄様もお泊まりになりますものね、精々お気をつけて。それじゃ楽しみにしてますわ、
わたくしと貴方の利益」
「ですから、もしかしたら、ですよ」
「ふふ、いいわ。そうなるような気がしますもの。ねえ、仲良くしましょうよ、わたくしと貴方どちらが床上手かしら」
 唐突に発せられた直接的な言葉はふっと鼻を鳴らして笑い飛ばしたが、彼女は冗談めかして続けた。
「一度比べてみるのはいかが?何ならお父様抜きでもいいわ」
「やめておいたほうがいい。僕は抱く方はからきしですよ」
 自嘲的な僕の返答に、たっぷり一秒分彼女は目を丸くしていた。しかし瞬きを一つすると、弾けたように高い声で笑い始めた。
「ああ可笑しい。天下の財閥の次男坊が…ほほ、宜しくてよ、ご縁談ではそんなこと申し上げませんことよ、ああ、何てまあ」
 笑い声は背を向けて、遠ざかっていった。彼女が品のある振りの中にも時折垣間見せる趣味の悪さ、それをこうはっきり
目の当たりにしてみると、彼女はこの家にいるべきではないと言った兄の言葉はなるほど正しいように思えた。しかしその理屈は
当然、僕をも追い出さなければならないことになるのを兄はまだ知らないだろう。
 歩きながら、僕は改めて僕のやろうとしていることが果たして彼女の利益になるかどうか考えてみた。売り言葉に買い言葉で
適当なことを言ってしまったが、実際は全て上手く行ったとしても大して彼女の利益にはならないだろう。いや、なってもらって
は困るのである。兄は、純粋に僕のためだけに、打ちのめされなくてはならない。それを愛でるのは僕だけで良かった。

475:鰈ー族父×次男さらに続き4
07/01/29 13:49:10 vFmcFMkR0
 父の寝室の扉の前に立つと、流石に今日ばかりは緊張した。上手く行くかは正直なところ賭けでしかなかった。その緊張は
初めて父の寝室に足を踏み入れたあの日を思い起こさせた。あれから子供ながらにいろいろなことを考えたものだが、最初はただ
純粋に、父に好かれたくて、父の喜ぶことがしたくて懸命に教えられることを習得しようとしていた。思えばあの頃から兄に勝つ
ということが父に好かれたいという欲求の裏に潜んでいたのか。不意に僕は判らなくなった。僕は今父に愛されたいがために兄に
勝ちたいと思っているのか、それとも兄に勝ちたいがために父の愛を得ようとしているのか。それは表裏一体でもうどちらが
どちらか判らなかった。父を意識しているのか、兄を意識しているのか。答えはどこにもなかった。僕は結局僕自身のことしか
考えてなどいないのか。逃げ道のような答えだが、それが一番しっくりくるような気もした。
 父親に体を制圧され、自ら媚を売ることで自尊さえ捨てる振りをしながらも、自分は利己的な人間だとどこかで思っていた。
しかしあるいはそれは、そうでも思わなければもう確固とした寄辺が僕の中のどこにもないというだけかもしれなかった。
「失礼します、お父さん」
 だがそんなことはどうでも良かった。
 もう戻れない。
 そう心中に思うと、緊張の中に不思議と高揚感が混じった。
 ああ兄さん、早く、僕を迎えに来て下さい。貴方の高みから見れば遥か下、この堕落しきった僕のために、谷底まで。
 僕が呼べば彼はきっと来る。その自信はあった。
 そして僕は扉を開けた。

476:鰈ー族父×次男さらに続き
07/01/29 13:52:21 vFmcFMkR0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )アイコタンと絡ませてみたかったのでつ…

長男出すまでが、意外と長くなってしまいました。
また投下しますので、もし良ければ読んでやって下さいorz

477:風と木の名無しさん
07/01/29 13:55:24 WpvIaH+9O
初リアルタイム遭遇!
すごい萌えたよ!生殺しじゃないか……。
次の投下も楽しみにしてます。

478:風と木の名無しさん
07/01/29 15:07:45 CubWBqRY0
アアン!!生殺し!!
つ、続きを早く…!なにも手に付かない(*´Д`)ハァハァ

479:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア
07/01/29 15:11:07 LXD+iFBo0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/前途シリーズ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、冒険者×ヴァンパイアです
 | |                | |             \五回目ですよー
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

480:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア5-1
07/01/29 15:11:41 LXD+iFBo0
 ヴァンパイアが寝息を立てている。
服はちゃんと着せてやった。ハイネックの服は破いてしまったので、代わりにロウッドの
お古を着せてやったが、ぶかぶかだった。
毛布もかけてあるので、寒くはないだろう。
ヴァンパイアは、人間ほど寝なくても平気だとどこかで聞いたことがある。
しかし疲れきっていたのだろう、すっかり彼は夢の中だ。
 ロウッドは、ヴァンパイアの寝顔に見入っていた。
銀の髪が流れるように顔を覆っている。
綺麗だと、素直に思った。
伏せた銀のまつげに、そ、と触れてみる。
そこから頬をなでるように触れた。
部屋はしんとして、ヴァンパイアの寝息と、ロウッドが動くたびに聞こえる、かすかな衣
擦れの音しか響かなかった。
 このまま襲ってしまおうかとも考えた。
しかし、自分がした事の罪の重さと、そしてそれのせいで疲れているであろうことを考え、
それはやめた。
でもせめて。
ロウッドは、眠っているヴァンパイアに軽く口付けた。
そしてヴァンパイアを抱え込むように、ロウッドもそのベッドで眠った。

 まだ眠っているヴァンパイアを尻目に、装備を整え、出て行こうとするロウッドがいる。
ブラッディウイップを持ち、重いオリハルコンアーマーを着込み、どうやら冒険に出るら
しい。
「どこへ行く」
眠っていると思ったヴァンパイアの声が響いた。
振り向くと、ヴァンパイアは目を覚ましていて、ロウッドのすることを凝視している。
「一日、家を空けるが良いか?依頼が入った」
「かまわないが、腕の鎖は解いて欲しい」
「駄目だ。逃げる気だろう」
「…確かに自由にはなりたい…、だが、首輪があるから逃げられない。…逃げないから…」
手が痛い、と、ヴァンパイアは訴えかけてきた。
確かに鎖で長いこと縛っていたせいで、白い手首には跡がついている。

481:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア5-2
07/01/29 15:12:39 LXD+iFBo0
ロウッドは、ヴァンパイアの手を拘束している鎖を解いてやることにした。
「いつから起きてたんだ?」
「昨日の…夜、お前がのしかかってきて重かった」
「あれからずっと起きてたのか!」
「いや、すぐ眠った…、ついさっき、お前がアーマーを着込む音で目が覚めた。まだ眠い。
朝は苦手だ」
カーテンの隙間から入ってくる光をいやそうに背中で受ける。カーテンを完全に閉めると、
ロウッドは言った。
「じゃあ、俺、行くから。逃げるなよ。殺しが終わったらすぐ帰ってくる。対象者がこの
町からいなくなる前にな」
暗殺の依頼か、とつぶやいた。結局ヴァンパイアがしていることと、ロウッドのしている
ことに大差はないのかもしれない。
ロウッドは金のために人を殺す。
ヴァンパイアは自分のために人を殺す。
(眠い…)
そこまで考えて、ヴァンパイアは眠りに落ちた。

ガタン、ガタン
妙な物音で、ヴァンパイアは目を覚ました。
カーテンからの光が入ってきていないあたりから、もう夜だということはわかった。
音は窓の外から聞こえてくるようだった。
(誰かいるのか?)
体を起こして部屋の中を見やるが、ロウッドは帰ってきてない様子だった。
がちゃん!と音がして、窓のガラスが割られたのがわかった。
ガラスの破片がばらばらと、部屋に散らばる。
しばらくして、その人物が、部屋に入ってくるのが見えた。
その人物とは…
「!」
「ロウッドは帰ってきてないようだな…。よう、ヴァンパイア。今度こそ嫁を殺した罪償
ってもらうぜ」
ロウッドの友人である。
肩から腹にかけて傷のある男。妻をヴァンパイアに殺されたという、その人だ。

482:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア5-3
07/01/29 15:13:46 LXD+iFBo0
「何しに来た」
男はロングソードを、鞘から抜いた。
そして、毛布を剥ぎ取ると、力を込めてヴァンパイアの胸に、つきたてた。
こふっ、と、ヴァンパイアが吐血する。
「う…」
ヴァンパイアは、ロングソードの刃を持ち、何とか胸から引き抜こうとする。
が、男はそれをあざ笑うように、さらに剣先をヴァンパイアの体に沈める。
「私…は…これ位では死なんぞ…?」
血が、ヴァンパイアからあふれ出る血が、シーツを赤く染める。
生暖かい血が自分の体を汚していくのを感じながら、ヴァンパイアは鋭いつめで反撃した。
が、首輪があるせいで、簡単にかわされてしまった。
(くっ、目がかすむ)
血が大量に出た性だろうか、少し、目がかすんだ。目の前の男は、何を思ったか、ヴァン
パイアのズボンに手をかけた。
「お前は淫乱なんだろ?犯してやるよ、お前が失血死するまでな。チャームもかけとくか」
チャーム。相手を魅了し、混乱させる魔法だ。
男はカードを取り出すと、小さく呪文をつぶやいて、ヴァンパイアにチャームをかけた。
「ああっ!!」
ヴァンパイアは両手を頭に当てて、背をのけぞらせた。今、何をしてるのか、相手が何を
しようとしているのか、もう何もわからなくなった。
混乱し、ひたすら男にしがみつく。動くたびに、ロングソードの刺さった胸が痛んだが、
かまっていられなかった。
 男はローションを持っていた。ズボンを脱がすと、秘められた部位にゆっくりと塗り、
そして指で押し広げていく。
「や、やめ…ろ」
「気持ち良いんだろ?」
「あ…もう…何もわからな…」
ぐ、と、猛りが押し付けられた。熱い。
中まで入ってくる熱いそれに、ヴァンパイアは悲鳴を上げた。
「やああっ、だ、だめだ!!」
混乱の魔法との戦い。
その間にも、男のそれは奥へと進み、やがて動き出す。

483:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア5-4
07/01/29 15:14:23 LXD+iFBo0
混乱の魔法は、快楽を増徴させた。
必死に手で男を押しのけようとするが、逆に手をつかまれ、拘束される。
「あ…う…あっ、やめろっ、や…」
ぐ、と奥まで入れられて、背をのけぞらせる。
白いのどがむき出しになって、思わず男はそののどに噛み付いた。
噛んだ跡が、赤くなっている。白い肌に赤い花が咲いたようだった。
「はあっ、やめろ…ああっ」
助けて、助けて。
ヴァンパイアははじめて、ある人物のことを思った。
ヴァンパイアにとっては名も知らぬ人間、それは、ロウッドのことだった。
彼の鋭いつめが、男の首筋を傷つけた。
甘い匂いが漂う。
血だ。
男は、達する瞬間、ヴァンパイアに覆いかぶさった。そしてその傷つけられた首は、ヴァ
ンパイアの口があたる場所でもあった。
隙を突いた。
ヴァンパイアは、男を力強く自分のほうへ押し付けると、その首にかぶりついた。
「!!」
男は噛まれたことに戸惑いを覚え、体を離そうとしたが、吸血鬼の力にはかなわなかった。
体内から、どんどん血がなくなっていくのを感じ、男は力をなくし、ヴァンパイアの上
に倒れこんだ。



484:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア
07/01/29 15:15:49 LXD+iFBo0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ カンソウアリガトウ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )ハゲミニナッテルヨー!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

485:三/丁/目/の/夕/日 鱸茶
07/01/29 17:12:06 LFYw4D0P0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 三/丁/目/の/夕/日
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、鱸茶
 | |                | |             \三回目です
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

486:三/丁/目/の/夕/日 鱸茶
07/01/29 17:13:06 LFYw4D0P0
ミーンミンミンミンミン・・・・・・ジジジジッ

「んふっ・・・ん・・・ん・・・」
チュチュ・・・クチュ・・・ッチュ・・・
「はぁっ・・・やっぱ・・・あれだな・・・」
チュ・・・チュ・・・
「・・・ぷはぁっ!はぁ・・・はぁ・・・。え、な、何?」
やっと長い口付けから開放され息を整えるチャガワは
柔らかな笑みを湛えて自分をじっと見つめる鱸オートの目を見返して先ほど彼が言いかけたことを聞き返した。
「いやな、やっぱりお前の口一ヶ月も吸えないとイライラしてかなわねえなと思ってな」
「な・・・っ」
カーーー・・・・ッ


あの夜から一ヶ月が経った。
季節は残暑となり、外がだんだんと秋模様に衣替えをしはじめる中
俺の生活にもわずかな変化がみえた。
事があった翌日、俺はどんな顔してジュンノスケを見ればいいか分からず困っていたが
そんな俺を気にせずジュンノスケはいつもどおり「おはよう」と微笑んで飯を食べ学校へ行った。
その様子にやはり思い違いだと気づいたかと少なからず安堵した俺だったが
次の日の夜、考えが甘かったことに否応無く気づかされた。
いつもどおり寝ようとして電気を消した俺に、ジュンノスケが熱に浮かされたように「好きなんです」と言いながら覆いかぶさってきたのだ。
俺は簡単に押さえつけられ、ああいつのまにかこんなに背伸びてたんだなと場違いな感慨にひたりながら実の息子同然のジュンノスケに抱かれた。
それからというもの、ジュンノスケは思い出したように抱いてきた。
俺は未だにジュンノスケがこういうことをする意味がよく分からない。「好きだ」と言ってくるが疑問しか浮かばない。
だからどんなにジュンノスケに抱かれても、どこか俺は夢現で、
実は俺の生活はなんら変わっていなくて、ジュンノスケは学校に可愛い片思いの子がいて思い悩んでる結果がこれなんだ、と
いつもどおりの日常が変わらず過ぎているんだと思うようになっていった。
だから俺は、久々に鱸オートが表口の扉を閉めてあがってきても
今までと変わらずとくに躊躇することも無く行為に応じた。

487:三/丁/目/の/夕/日 鱸茶
07/01/29 17:13:38 LFYw4D0P0
「はぁ・・・んっ・・・」
「お前の汗はなんか・・・甘いな・・・」
「はっ・・・ん、んなもん舐めんなよ・・っ・・・」
残暑だと言いつつまだまだ暑さは厳しく、俺は例年通り汗だくで日々を過ごしていたので
鱸オートに一旦風呂に入らせてくれと頼んだのだが、当の彼は
「これから汗かくんだから一緒だろ」と言って性急に行為を始めてしまった。
そして今、暑さのせいの汗かこの行為のせいの汗かどちらとも判断つかない汗を
彼はまるで飢えた獣のように舐め取っている。
「・・・っん・・・ふっ・・・ッッ!?」
ピリッとした痛みが走る。
見ると首元に鱸オートが噛み付いていた。
「なっ!!ちょっお前なにしてんだよっっ!?」
「なにって・・・・跡付けてんだよ」
「やめろよ!!跡付けないって約束だったろーが!」
そう。鱸オートには家庭があるから跡がついてたらマズイことになるし、
俺だってそんな跡つけてたら近所中に揶揄されるのが目に見えている。
だからお互いに跡は絶対に付けないという約束で行為を続けていた。
「チッ分かったよ・・・つけなけりゃいいんだろ」
鱸オートはそう言い、また首元を舐め始めた。
「ん・・・ふっ・・・はぁ・・・」
「たまに・・・お前をかっ食らっちまいたいと思うことがある・・・」
鎖骨の窪みを執拗に舐めながら彼がつぶやく。
「・・ふっ・・・な・・んだよそれっ・・・。それだけ俺が・・・はっ・・・憎いって・・・ことか?・・・っんっ」
「違う」
鱸オートは一旦体を離し俺の目をじっと見つめてきた。
「・・・な、なんだよ・・・」
彼はなんとも形容しがたい顔で口を少し開け何かを言いかけるが、
そのまま何も言わず閉じてしまい、フッと笑った。
「まあ、お前には一生わかんねーだろーよ」
そしてまた俺のなまっちろい体を舐めはじめた。

488:三/丁/目/の/夕/日 鱸茶
07/01/29 17:14:40 LFYw4D0P0
(な、なんなんだよ・・・)
いつも鱸オートと行為をするときはまるで列車に乗っているように性急で止まらなかったから
初めての彼の行動に俺は戸惑いを覚えた。
(ジュンノスケといい、鱸オートといい、何考えてんのか全然わかんねえ・・・)
第一、なんでこんななまっちろい男の体なんかを抱くのか全く理解できない。
鱸オートなんて奥さんもちゃんといるのに。なにが楽しくて抱きに来るんだ。
この不毛な関係がはじまったのもそもそも意味不明だった。
お互い好き合ってという行程なんて全く踏まず、急に彼が話があるなんて言って家に来たから
お茶でも出すかと思って流しで準備してたらいきなり後ろから抱きつかれて、そのまま・・・
最初は一体なにしやがんだと思って抵抗したが、結局彼の真剣な顔と熱に流されてしまった。
ジュンノスケに俺が鱸オートのことが好きなんじゃないかと問われたが、正直未だ自分でもよく分からない。
だが、彼との行為にさほど嫌悪感を抱いてないということは
俺は彼のことを少なからず想っているのかもしれない、と最近思いはじめた。

「んんっ・・・あっ・・!」
胸の突起に彼が指をかけた。
「はっ体舐めてるだけなのにこんなになってるぞ。」
ツンと突起をつつく。
「あっ・・!!」
「お前、全身性感帯じゃないか」
「だ、・・・誰のせいだよ・・・」
ニヤッと笑い彼がそんなことを言うものだから俺は睨んでそう言ってやった。
すると彼は
「ククッそうかそうだな。俺のせいだな。」
と言い、小刻みに笑いながら俺の薄いタンクトップをめくる。
だがその瞬間、上機嫌だった彼の顔が凍りついた。
「・・・?どうした?」
彼が俺の臍らへんをじっと見つめたまま動かない。
疑問に思い力の入らない体をなんとか起こしそこを見てみると、
そこには虫さされのようなものがいくつも散らばっていたあった。
「・・・なんだよこれ」
部屋の温度が一気に下がった気がした。

489:三/丁/目/の/夕/日 鱸茶
07/01/29 17:15:33 LFYw4D0P0
さっきまでの上機嫌はどこへやら、彼はギッと俺を睨んでいる。
「おい。なんだよこれ。お前他にも誰かとこういうことしてるのかよ。」
「え・・っと・・・」
そういえば、ジュンノスケがつけていたような気がする。
だけど見えない場所だし怒るのもなんだか変な気がして、そのままにさせていた。
これをそのまま言おうか・・・でも実の息子同然の奴とそんなことしてるなんて
人間失格のレッテルが貼られるんじゃないだろうか
「・・・してるのか・・・」
「いや~・・・なんというか・・・」
なかなか言い出せない。
鱸オートは険しい顔でそこをじっと見つめそのままおよそ一分の時が過ぎた後、彼が口を開いた。
「・・・・・・そうか。そうだな。お前はそういう奴だな。」
「・・・な、なんだよ」
「こういうことすんのが元々好きなんだろ。全身性感帯なのもわけがいったぜ。」
「はっ!?」
「しかも本命には跡つけさせるっていう乙女な奴だったんだな。かーっ気持ちわりぃ!」
「ちょ、お前何言って、」
「なんだ、俺にされても文句の一つも言わねえのは本命のとしても性欲が満たされないからか?どんだけいやらしいんだよお前は」
「なっ・・・!」
余りの言いように、今の自分の情けない状態を忘れて腹が立ってきた。
「あのな、お前聞けよ人の話!」
「なんだよ。お前のごまかしなんてどうでもいいんだよ」
「あのな、それはじゅ、ジュンノスケにつけられたんだよ!」
俺は思わず勢いで言ってしまったが
鱸オートは案の定固まってしまった。
「・・・は?」
「だから・・・ジュンノスケにつけられたんだよ・・・それ・・・」
「・・・お前、あいつが本命か?」
「ちっ違うに決まってんだろ!?なんか知らないけど、最近襲われんだよ・・・」
「襲われる?」
「そう。なんか、欲求不満なのかな。『好きです』なんて言いながらたまに襲ってくるんだよ。
でもあいついつのまにか背おっきくなってて、抵抗できなくてさ・・・。その跡は別に見えない場所だしいいかと思って・・・」

490:三/丁/目/の/夕/日 鱸茶
07/01/29 17:20:20 LFYw4D0P0
息子同然の奴に襲われる、なんてほんと情けないことを仕方なく白状する。
「お前黙って抱かれてんのか!」
「いやだから抵抗したくても抵抗できないんだよ。お前と一緒だって!」
「・・・っ」
「・・・なんだよ?」
急にまた黙り込んだから不思議に思い顔を覗き込んだら、なにやら難しい顔をしている。
「・・・そうだな。俺も一緒だな。」
「へ、・・・え、ああ。」
一緒、と言われるとなにか心の片隅が痛んだが、その痛みがなんなのかはよく分からない。
「・・・見えないとこに跡つけるのは良いんだな」
「あ、ああまあ・・・」
鱸オートはそう言って腹の跡を唇でなぞりはじめた。
「・・・んっ!」
そして同じ場所に跡をつけていく。
「・・・っはぁ・・・ふっ・・・」
チュ、チュ・・・
そして唇はだんだん下に下りていく。
「・・・っ!?ちょ、まっ」
そのまま彼は口でズボンと下着を下ろし、そろりとたちあがっている俺を口に含んだ。
「はっ!?んなもん口に入れんなよっっ!」
信じられない光景に抗議したが、彼は全く聞かず事を進めていく。

491:三/丁/目/の/夕/日 鱸茶
07/01/29 17:20:57 LFYw4D0P0
クチュ・・クチュチュクチュ・・・
「ひああっ・・・!!んあっ・・!あ・・ああぁ・・・っっ・・・!
ちょっ・・も・・・で、でる・・・っっ!!」
「ああ出せ」
「ちょっ口離し・・・っっ!ひっ・・!や、あぁぁああっっ!!」
俺はそのまま彼の口の中で達してしまった。
「・・はあっ・・・お、おま・・・なにしてんだよ・・・・」
「・・・ジュンノスケにはされてないのか?」
「するわけないだろ!?こ、こんなきたいない・・・」
「そーか」
そう言ってニヤと笑った。
どうやら鱸オートは少し機嫌が戻ったらしい。
その様子に俺はホッとし、そしてそんな自分に多少の戸惑いを感じつつけれどその正体には目を背けて、
今日もまた鱸オートに抱かれたのだった。

492:三/丁/目/の/夕/日 鱸茶
07/01/29 17:21:28 LFYw4D0P0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ナカマイテクレテウレシイ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )ダレカカイテクダタイ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

493:風と木の名無しさん
07/01/29 18:24:13 dMY2HTK+0
(*´Д`)ハァハァ
どの姐さんの作品も萌え心くすぐられるよ
日々の活力、ありがとう
知らない作品の原作も手に取る良い機会になる
これからもよろしく(-人-)なもなも

494:寄宿舎もの
07/01/29 19:39:40 7gaJ2a3S0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ギムナジウムぽいものでオリジナルです。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ホラーっていうかオカルトなアレなので
 | |                | |             \  苦手な人は避けてクレ
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ドキドキ初投下
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚; )  しかも季節違うし
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

495:風と木の名無しさん
07/01/29 19:40:09 y0QZPb5R0
チャガータンきたぁぁぁ!ありがとう姐さん

496:寄宿舎もの1/8
07/01/29 19:40:11 7gaJ2a3S0
夏の寄宿舎は、暑い。
蜘蛛の巣に朝露の水滴が煌いている。蜘蛛は中央で丸まって動かない。
少年たちは、乾ききった土に水を振り撒く事で涼を得ようとしていた。
湿った臭いがあたりに漂い、陽炎のようなゆらめきが一瞬立ち上がる。
「ぼうっとしているなよ、カイル。暑いんだから」
「……ああ、」
ひとつ年上のブライアンは、手を翳して空を見上げていたカイルを、邪魔だと言わんばかりに肘で小突いてきた。その足元に、ばしゃん、と水が掛かる。
「おい! 気をつけろよ!」
ブライアンは気が短い。
夏の空気に輝くブロンドの微かな乱反射にカイルは眼を細めた。
「スーはどうした?」
「さあ。いつものようにまだ寝てんじゃないのか」
「ブルネットにはこの太陽はきついんだろ」
黒い紙はよく燃えるじゃないか、とレジーは嘲った。カイルは舌打ちをして寄宿舎の窓を見上げる。
水をかけただのかけていないだのと騒ぎ始める4・5人の少年は、皆明るい蜂蜜色の髪をしていた。カイルの髪も少しオレンジの入ったブロンドだ。
と、3階の列、整然と並ぶ窓のひとつに人影が見えた。
「何だ、起きてるじゃないか」
ブライアンはそう独りごちて、口元に手をあてがい声を張り上げた。
「おおい! 降りてこいよ!」
そうだ、遅いぞ、と周りもはやしたてる。カイルは黙って見ている。陽炎がまた立ち昇る。暑さが身体にまとわりついて、やけに重く感じる。まるで下へ下へと引っ張られているようだ。
転がすような音がして、立て付けが古くなった窓をスーが開けた。
「スー!」
「お前も降りて来いよ!」
開けたが、そこから動かずにスーはこちらを見下ろした。
そして一言、言う。
「嫌だ」
それだけ言うと、さっと身を翻して窓から離れた。

497:寄宿舎もの2/8
07/01/29 19:40:51 7gaJ2a3S0
「スー!? おい、スー!」
驚いたブライアンが何度呼んでも、奥に引っ込んでしまいそれっきり姿を見せない。
「何だよスーの奴!」
ブライアンが怒り出す。スーは彼の気の短さをよく知っているはずなのに。
「……スーらしく…なかったな」
カイルがぽつりと呟く。それを鋭く聞き止めて、マーシュが妙な顔をする。
「確かにな。何だろ、誰かスーを怒らせたんじゃないのか」
言いながら周囲の少年たちを見回すが、誰も肩を竦めるだけだ。
「とにかく、これは規則だろ。誰かスーを呼んで来いよ」
怒りも冷め遣らぬ、という表情で、しかしブライアンがそう提案する。いくら短気でも彼は最年長なのだ。
「カイル、行って来い」
「……いいけど」
まだ3階の窓を見上げている少年たちから離れて、カイルは重い足取りで歩き出した。
ブライアンがまだ怒っている。

ここは寄宿舎だ。
カイルと同い年か、ひとつ上か、ひとつ下の少年たちがここで暮らしている。
普段は喧しいほどなのだが、最近はすっかり也を潜めていた。
今は、長期の夏期休暇なのだ。ほとんどの少年たちは家に帰っている。
ここに残っているのは皆訳有りで帰れない少年ばかりなのだった。
無論、食事を作りに寮母などが通って来るし、時々は教師たちも彼等の様子を見に来る。だが、やはり大抵においては少年たちだけになってしまうので、色々とやることや規則も存在した。規則を破ることは許されていない。
本来なら、スーは規則を破るような少年ではない。どちらかというと、レジーやマーシュよりもずっと真面目な性格なのだ。模範的とも言えるほど。

498:寄宿舎もの3/8
07/01/29 19:43:29 7gaJ2a3S0
日に晒された場所から翳っている寄宿舎の中に入ると、澱んだ空気が僅かに動く。汗が冷やされて、寒気すら感じるほどだ。

  『嫌だ』

そう言った時のスーを思い出す。寄宿舎の暗がりのなかに浮かぶ白い肌、白い顔……。周りも暗いのに、彼の黒髪は艶やかに浮かび上がっていた。
なぜブライアンは、自分でスーを呼びに行かなかったのだろう。
スーとブライアンは親しかったし、ブライアンがスーに好意を抱いていることは、少年達の眼にも明らかだったのに。スーは、……いや。確か本名は、スイ……だったはずだ。
もうずっとスーと呼んでいるので、思い出すのが少し遅れる。
……スイがブライアンをどう思っているかは、解らなかったが。

  『スーを呼んで来いよ』
  『カイル、行って来い』

ブライアンは何故、自分を指名したのだろう。―いや、あれは適当にだろう。たまたま眼についたのがカイルだったに違いない。ブライアンにとっては“自分以外が”スイを呼んでくるなら誰だって一緒の筈だ。
カイルはスイを真っ直ぐには見ない。時々ちらりと盗み見て、その面影を頭で大切に何度も反芻するだけだ。ブライアンがエスパーでないなら、これはただの偶然。
……それなのに、妙な胸の痞えが取れなかった。
寄宿舎の空気が重苦しい。
一歩一歩、歩くたびにじっとりと汗が染み出してくる。息が切れて、荒くなってくる。
2階の階段の踊り場で、カイルはいったん立ち止まった。手摺に寄りかかり、汗を拭う。
まだ2階へも行っていないのに、何故こんなに疲れるのだろう?
日射病か何かかもしれない。それなら、スイに伝言だけ頼んで部屋へ戻ろう。
カイルは再びゆっくりと階段を上がった。2階に辿り着く。
ずらりと並んだ廊下に、同じくドアが並んでいる。そのどれもが、今はほぼ無人だ。
重く深い溜息をつき、カイルは3階へと続く階段を見上げた。
―…と。
「カイル……!?」
そこに、スイがいた。

499:寄宿舎もの4/8
07/01/29 19:44:05 7gaJ2a3S0
今から降りるところだったのだろうか。丁度良かった。
「ス……」
声をかけようとしたカイルは、スイの顔が酷く青ざめている事に気が付いた。
「ブライアンが、来いって言ってるけど……」
気分が悪いのだろうか? スイは青い顔色のまま、ゆくりと首を振った。
「僕は行けない」
「……? 何でだよ?」
「僕は、まだ行けない」
「スイ……?」
呼ぶと、ふとスイが顔を上げた。
「その名前……」
「うん?」
「覚えていてくれたんだね……」
「あ……まあ……」
思い出すのに、だいぶ時間がかかったが。少々気まずく思い髪をかき上げる。
「カイル……カイルは、上がって来れたんだ……」
「……? 上がってって、ここに?」
スイは固い顔で、頷く。
寄宿舎の2階が、どうだと言うのだろう? それを言うなら、自分たちは今までずっと、3階で暮らしていたではないか。
そう言おうとした時……。
窓の外から、苛立ったようなブライアンの声が聞こえた。
「カイル! スーはいたのか!?」
「おーい、降りて来いって」
レジーもマーシュも、呼んでいる。
「スイ。とにかく行ったほうがいいよ」
ひとまず返事を返そうと窓に近寄ったカイルの腕を、スイが掴んで止めた。
「!?」
しかし次の瞬間に、スイは驚いて腕を離す。いや、驚いたのはカイルも同時だった。
「スイの手……なんか、熱くないか……?」
顔も青いし、熱があるのだろうか。しかし、スイは、ゆっくりと首を振った。

500:寄宿舎もの5/8
07/01/29 19:44:41 7gaJ2a3S0
「違う……カイルの腕が、冷たいんだ」
「僕の腕が?」
何を言っているのだろう。自分はいつも通りだ。
遣り取りをしている間も、外からの呼び掛けは続いている。
「スイ……ブライアン、怒ってるよ」
スイは青ざめたまま俯く。
「ブライアンと喧嘩でもしたのか?」
「喧嘩……じゃない。そんなんじゃない……」
「? じゃあ何で……」
「カイル」
突然、スイが真正面からカイルを見上げてきた。
「きみはここまで来れた。それに……僕を力づくで連れて行こうとは、しない。僕は君も同じかと思っていた。まだ君達は誰も見つかっていなかったし……」
「スイ、何の話……」
「もう一週間、だ。一週間も、毎日、僕だけがいる時に皆現れて……僕を降ろそうとする。僕は気が狂いそうだった……でも上がっては来ないから、きっとこの中には来れないんだろうと思ったんだ」
「スイ?」
おかしなことを真剣な顔でとつとつと語るスイ。だけど、彼の話すその内容がカイルには理解出来ない。
スイはこの暑さで、どうにかしてしまったのだろうか。
そんな危惧に眉を寄せるカイルを、スイはまた見上げた。
「でも、君は来れた。それが、僕にはよく解らない……」
「スイ? さっきから、何を……」
「静かに。……よく、聞いて」
押されたようにカイルは口を噤む。咽に柔らかな石を詰め込まれたような沈黙。
外からの呼び掛けは続いている。
カイルは、そこで、やっと気付いた。
スイは怯えている。
何に?

501:寄宿舎もの6/8
07/01/29 19:46:57 7gaJ2a3S0
「スー! 早く来いって!」
ブライアンも、レジーも、マーシュも呼びかけている。
カイルが遅いからだ。しかし、ならどうして、誰もここに来ない?

  早く来いよ!
  降りて来いよ!

呼び掛けは続いている。執拗なほどに。

  ここにこい!
  おりてこい!

何故ここに来ないのだろう。
じっとりとした汗が、額を流れた。
スイが青い顔で、震える声で言う。
「降りて来い、じゃない」
その囁きがきっかけのように、聞こえる呼びかけが、変化していく。

  ここにこい!
  おちてこい!

  おちてこい! おちてこい! おちてこい!

だんだんと身体が冷えていく。歯の根が合わなくなってくる。
呼び掛けは続いている。今はもうひとつにしか聞こえない。
「スイ……なに、これ……」
スイが身体を強張らせた。そして、ゆっくり口を開く。
「カイル……手、見て……」
ぎくしゃくと手を動かす。両手の平を、眼の前に掲げて―カイルは、愕然とした。
カイルの手は血の通いがないように青く、そして……濡れている。
手だけではない、全身が濡れそぼっている。汗ではない、異様な生臭いにおいが途端に鼻をつく。

502:寄宿舎もの7/8
07/01/29 19:47:52 7gaJ2a3S0
「スイ……」
呼びかけたカイルの口からくぐもった声と共に、ごぼ、と汚れた水が溢れた。
黒い粘質的な水……泥は、ばたばたと滴り板張りの床を汚していく。
「ス…イ……!」
青ざめて叫び声を上げ、スイが逃げようとする。その手を捕らえて引いた。もがく身体を捕まえて、しがみつく。抱きすくめる。抱き締める。締める。

  おちてこい!
  おちてこい!

そうだ、水の中だ。ひどく汚れた水の中。沼だ。寄宿舎から少し離れた場所にある沼。あの時、ひとりだけいなかった。スイはいなかった。皆で遊びに行こうと言ったのに。寝込んでいたのだ。だからいなかった。だから助かった。
全員落ちた。濁った水の中に落ちた。もがいた。足掻いた。手を伸ばすと、共に溺れている少年たちの身体に当たった。彼らはしがみついてきた。掴まったら諸共に溺れてしまう。
しがみついてくる手を振り払った。振り払って、水上に上げてくれる手を捜した。だがそんなものはなかった。少年達は、皆足掻きながら溺れていった。
残った少年はひとりだった。ひとりだった。
溺れてしまう。“自分達”以外の者に掴まらないと、溺れてしまう。
カイルは夢中でスイの身体を捕まえる。スイの身体は温かい。この冷たい水の中に、汚れた水の中に浸かって冷え切った自分をも暖めてくれるだろう。その熱を逃がさないように。更に強く抱き締める。

503:寄宿舎もの8/8
07/01/29 19:48:22 7gaJ2a3S0
外から復唱が聞こえる。
共に連れて来いと復唱が聞こえてくる。

  嫌だ。

スイが必死で足掻く。悲鳴を上げる。その口を唇でふさいだ。汚れた水が口を伝って、スイの中へ流れ込む。舌を絡める。逃がさないように。
いつの間にか世界は輪郭を失い、寄宿舎の中だったはずのそこは澱んだ泥水に浸されていた。
足元から膝へ、膝から腰へ、腰から胸へ、水は音を立てて溢れていく。もうそこは沼の中なのか建物の中なのかの区別もつかない。輪郭の綻びから泥は流れ込んでくる。
ずぶずぶと、水の中へ落ちていく。スイの艶やかな黒髪が水に濡れて美しく光る。揺れる。髪を撫でて、更に強く抱き締める。柔らかい、暖かい、愛しい……。

復唱は続いている。
復唱には次第に怨みの色が濃くなってくる。
スイにではない。カイルに、だ。
諸共に落ちた癖にスイを連れて来ず、こうして一人で暖かな身体を占めているカイルに。
復唱は怒りを孕んで忌む言葉に変化し、重なり重なり繰り返される。
だが、もうそれも構わない。
抱き締める。溺れていく。スイは抵抗を止めた。溺れていく。

スイの絶望に染まった眼と、ブルネット―…。

大事に……抱き締める…………抱き締めて……………………落ちた。



504:寄宿舎もの
07/01/29 19:48:57 7gaJ2a3S0

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 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 外人名考えるの苦手…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 意味ワカンネな話でスマソ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


505:聖な/る黒/夜 アソー×レン
07/01/29 21:30:08 GlccWEYl0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某一般小説の元刑事探偵×男妾あがりの企業893
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 原作がネ申なだけに申し訳ない
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

506:聖な/る黒/夜 アソー×レン 1/4
07/01/29 21:32:37 GlccWEYl0
背中に突きつけられた重い圧迫感。
その圧迫感の正体は見るまでもない、かつて懐に忍ばせていたものだ。
後ろを振り向けば、・・・いや身動き一つしたところでこの背中は撃ち抜かれるだろう。

なぜだろう、心はやけに落ち着いている。
この日が来ることをわかっていた。
恐れることもなく冷静に受け止めていた。

むしろ待ち望んでいたのかもしれない。

カチリ、と響く音。

そして沈黙・・・

--------

「ねぇ、起きてよ」

はっと目を開けるとそこには見慣れた天井が広がっていた。
横に目をやるとレンがふくれ面をしていた。

「今日はもうだめだ」

そうすると今度は脇腹に衝撃が落とされた。
手加減しているといってもボクシングを週に数回やっているとかいないとかのレンの拳は重く、鋭い。

「徹夜続きで疲れてるんだ。ちょっとくらい寝させてくれよ。」

「こっちはそうやってお預けくらわされてたまってるんだ」

「俺はお前の性欲処理じゃない」

507:聖な/る黒/夜 アソー×レン 2/4
07/01/29 21:33:20 GlccWEYl0
レンの頭をどけ、気だるい体を起こしてベッドに腰掛けると、山内も半身を起こし隣に腰掛けた。
そっぽを向いた表情は、子供のように幼くもあり、艶めいた女性のような色気も見え隠れする。
長い睫毛が薄暗いベッドライトに照らされ影を落とす。

レンは、美しい。

横に座っているこんなに幼くて、美しい表情を浮かべるレンという男は、鬼畜な悪魔として新宿の裏世界で名の知らないものはいない。

・・・レンをそうさせたのは自分だ。
神でも仏でもなんでもない、レンをここまで貶めたのは紛れもない自分自身である。

レンと奇妙な関係を続けて数ヶ月。
疲れて眠り、目が覚める際にあんな夢を見るようになった。
刑事時代から培ってきたカンが警鐘を鳴らしているのか、これからの未来を暗示しているのか、それとも・・・

「ねえ、あんたさ、ヤリたくないなら鍵かければいいじゃん」

「合鍵勝手つくって持ってるじゃないか」

「チェーン、かければ」

「そんなことしたらお前ドア蹴破るだろ」

レンは答えず、ただ声を出さずにクックッと笑うと俺の下腹部に片手を伸ばした。

508:聖な/る黒/夜 アソー×レン 3/4
07/01/29 21:33:51 GlccWEYl0
「前に言ったよね恋愛はギブアンドテイクだってさ。」

山内は片手で器用に自分のワイシャツのボタンをはずしはじめた。もう片方の手は相変わらず俺の下腹部を握り続けている。三つ目のボタンをはずしたあたりで山内の胸に透明な羽をした蝶の刺青が現れた。
彼の故郷で舞う蝶は、彼の左胸の突起に今にも消え入りそうに儚くとまっている。

「あんたはそういうとこ鈍いよね、出向くのもヤるのも俺からだ」

「お前だって猫みたいに勝手に出て行くだろう」

下腹部の刺激が限界に近づき、激しく握り続けているレンの腕を掴む。
蝶の羽に口づけをするとレンはすぐったそうに身をよじり、アソウの唇を捜し出し、舌を絡ませた。

片手で自分のワイシャツのボタンをはずしつつ、片手をレンの髪に差し込めると子供のように柔らかな髪はするすると俺の右手をすり抜けた。
このままではいけない、と自分でも思っている。
儚く消え入りそうな、簡単に腕から抜け落ちていく男をこのままにしていては。

「じゃあ、ずっとここに居座っちまうぜ」

いつの間にか床に座り込み、アソウの足の間に体を滑り込ませていた。
冗談のつもりで言ったのだろうか。

「いればいい」

緩急をつけてせわしく動かしていた手を止め、レンはこちらを見上げる。

「ずっと、ここに」

509:聖な/る黒/夜 アソー×レン 4/4
07/01/29 21:34:55 GlccWEYl0
消え入る前に、すり抜けてしまう前に、強く抱きしめていればいいのだ。
そうすれば彼の長い長い夜が明けるのかもしれない。
その夜明けがいつになるかわからない。
二人で迎えられるのかすら、不確定だ。

レンは薄く笑みを浮かべ、ゆっくりと立ち上がりアソウを押し倒す形でベッドに倒れこんだ。
首筋からほのかに甘い白檀が香る。

「ねぇ、ベッド買おうよ。クイーンサイズのさ、俺いいブランド知ってる」

「この部屋に入りきらないだろう、当分はこれでいい」

このサイズならずっと抱きしめていられるから、とは言わなかった。
そんな臭い台詞を言う年でも柄でもない。

夜明けが来なくても、このままこの悪魔と天使の二つの顔をもった彼を抱きしめて一緒に堕ちていってもかまわないと思う。
これが愛なのか、彼への償いなのか、過ちの代償なのか。

頭に浮かんだ思いを打ち消すように、もう一度透明な羽の蝶に、今度は強く口づけた。

510:聖な/る黒/夜 アソー×レン
07/01/29 21:37:48 GlccWEYl0
 ____________
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ メチャクチャな話でスマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 時期的には原作のちょいアトってことで
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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511:風と木の名無しさん
07/01/29 21:42:39 yHUAAM8O0
>510
リアルタイム遭遇キタ!
>470姐さんの作品とともに美味しくいただきました。


512:風と木の名無しさん
07/01/29 23:10:20 AR0bz50I0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某ゲイニソさん ツッコミ×ボケ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  誰かはご想像にお任せします・・・
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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513:1
07/01/29 23:14:34 AR0bz50I0
( 暑いな、・・・)

もう10月だというのに、この暑さは何だろう。太陽の馬鹿野郎が。
いいかげんにしてほしい。イライラがつのる。
目の前が、陽炎のようにふわふわとぼやけてくる。
(あー、・・・なんか、・・・マジ、死ぬかも・・・)

ふいに立眩みが襲い、軽くよろける。
( やば、  倒  れ る   )

そのときだった。
「おいっ」

よろけた体を、思いがけず肩でしっかりと支えられた。
「うわ」
ふりむくと、そこには見慣れた、あいつがいた。

「だいじょぶか?お前。ふらふらやんけ」
「・・・。うっさいわ、何?お前。・・・触んな」
意識は薄いのに、憎まれ口だけはしっかりと出てくる。
ありがとう、すまん、の一言二言も言えない。

「あ?何やねんその言い方。命の恩人にむかって」
なぜかすこし半笑いで言い返してくる。

514:2
07/01/29 23:17:27 AR0bz50I0
チッ…
軽く舌打ちを打つ。
こいつにはぜんぶ、お見通しってわけだ。
「こんなとこで倒れたくらいで命落とすわけないやろ、アホ」
どけ、と言わんばかりにあいつの胸を軽く押して、歩きだそうとする。
が、できなかった。
踏み出そうとしたその足が、うまく立とうとしてくれない。
俺はまたもやよろけて倒れそうになった。

「おいおいおいおい!」
またもや後ろから、今度は抱きすくめられるように支えられる。
「お前、今日はもうやめとけって。な?」
「・・・うっざ、んなことお前に言われたないわ」
「マジ、このままやったらやばいって。かんなり体あついやんけ。無理せんほうがええって」

まったくこいつは、もう・・・
思わずため息をもらす。体勢はまだ、抱きすくめられたままである。
「・・・てか、さっさと離せや。きっしょい。暑いし、」
体をねじらせ、拒むようにあいつから体を離す。

「帰れよお前、マジで!」
「お前が帰れ。アホが」
「おい!」
悲痛、とまでとれるくらいの声であいつが叫ぶ。
俺はその声を背に、ようやく今度は言うことを聞いてくれるようになったらしい足で
ステージへと向かった。

515:3
07/01/29 23:18:37 AR0bz50I0
もうすぐ本番、というところでまたもやこいつが声をかけてくる。
「なあ、マジやめといたほうがええて。まだこんなあっついやん、」
と言いながら手をおでこのほうへ近づけてきたのですかさずそれを振り払い、
「るっさい。こんな客はいっとんのに今さらやめられへんねん。アホやな、んとにお前は。マジで」
「~~~・・・ったくお前は・・・。心配してやっとんのに」
「お前の心配なんか母さんが夜なべして作った手袋くらいいらんわ」

そういったあとに、ニヤリ、と笑みをこぼす。

「ありがた迷惑、ってこと?」
「そう」
「言ってくれはりますなぁ~」
「ヘラヘラしとんな。行くぞ」

カーテンの向こうへ、さっそうと飛び出していく。

516:4
07/01/29 23:19:41 AR0bz50I0
ステージは、滞りなく終了した。
熱があるというのに、今日は普段の何倍も調子がよかった。
マイクとお客さんの笑顔の魔力というものは実に恐ろしい。(と、恥ずかしい発言をしてみる)

・・・ただ、熱が上がった、というのはやはり否めない事実らしい。

「だぁ~から言ったやんか」
「・・・・。うっざいわあ、お前・・・一回どっかで死んできたらええのに・・・」
「タクシー呼んだろか?」
「・・・うん」
さんざんつらさを隠すためについてきた悪態も、ここまでが限界のようだ。

「おれもついてくから」

思わず、寝転んでいるソファーからずり落ちそうになる。
「・・・はあ?いらんわ」
これ以上世話になるわけにはいかない。甘えたくない。

「あほ。タクシーの運転手さんはマンションまでは連れてってくれても部屋までは
 運んでってくれへんねんぞ。どーやって歩いてくねん、お前。タクシーすら呼べへん体で」
「・・・・・」
まったくもってそのとおりだ。軽い屈辱感を覚える。
もはや俺は、完全に白旗を振らなければならなかった。

「行くからな、」
「・・・・・」
「あ、タクシー代、今日はおれ出したるけど当然後で返してもらうからな」
「・・・・・。やっぱ死んだらええわお前・・・」

517:5
07/01/29 23:21:52 AR0bz50I0
「ひっさしぶりに来たけどやっぱ片付いとんな~お前の部屋は。男の部屋とは思えへん」
「そりゃどうも」
わざとごほごほっと咳混じりに返す。

俺はベットに寝かされ、
あいつはテーブルのそばで部屋にあった漫画を読みながらくつろいでいた。

「てか、はよ帰れよ。うつるやろ」
ほんま空気読めへんのか、こいつは。

「え~・・・いやや」
「帰れ」
「いやや」
「・・・・・。帰れ!」
怒鳴った拍子に咳がひどくなる。

「おい!大丈夫か??!!」
「・・・ッ、お前が・・・帰らんせいやねんぞ・・・」
息を切らしながら精一杯言い返す。

「・・・・・・・心配やん」
「あ?」
「お前、何かめっちゃ苦しそうなんやもん。そばに、おりたいやんか」

・・・・・・・。
思わず絶句する。なんて恥ずかしい生き物なんや、こいつは・・・。

「あれ、お前顔真っ赤」
「あほ。風邪やからや」
「うっわー何?自分照れとんの?!ちょ、マジで?俺まで照れてくるやん、どうしよ」
「な・・・そりゃ照れるわそんなん言われたら!」

518:6
07/01/29 23:22:46 AR0bz50I0
軽い沈黙が流れる。

「・・・おってええ、よな?」

あえてもう、何も答えなかった。

「あ!そうや!プリン買うてきたろか?病気のときってプリン食べたくならへん?」
「・・・・・」
「おい!聞こえとん・・・」
「いらん」
「え」
「だから、いらん」
「おいおい、ないやろーお前それは・・・俺がせっかく・・・」

「お前おったら、ええわ」

そうして俺は、だるい体とともに深いまどろみのなかに落ちていった。

519:風と木の名無しさん
07/01/29 23:25:43 AR0bz50I0
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


520:風と木の名無しさん
07/01/30 00:03:48 5GuH5f730
鰈ー族の続きを正座して待つ(0゚・∀・)

521:風と木の名無しさん
07/01/30 00:49:57 H/41m9Za0
同じく鰈姐さんを(;´Д`)ハァハァ

522:風と木の名無しさん
07/01/30 00:54:04 H9Nr7wud0
>>510
今月もこんな展開は無かったもんね。
ありがとう。

523:風と木の名無しさん
07/01/30 01:08:08 Zy+MhYbK0
>>464
わああ(゚∀゚) 萌えました!
今週かけて一連の作品読み返します

524:風と木の名無しさん
07/01/30 02:40:49 xK6tjxpE0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  鰈 父×弟×兄、です
                      >>355姐さんをお待ちの方々には心底申し訳ないのですが、
                      一昨日の放送でうっかり萌え書きしてしまったので…
                      思い切って投下させて下さい!!
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  原作未読。近親注意。初投稿ですドキドキ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧  ∧_∧  ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


525:父×弟×兄 1
07/01/30 02:42:25 xK6tjxpE0

霞む視界の中―次第に覚醒していく夢の狭間をたゆたいながら、青年は微かな違和感を覚えていた。
まるで、全身を蜘蛛の糸に絡め取られているようなその感覚…自分自身の体が、酷く重かった。
青年は緩く頭を振りながら何とか身を起こそうとするが…次の瞬間、僅かばかりの動きで再び寝台へと引き戻される。
「痛…っ」
見上げれば、腕に喰い込む白い布が見て取れる…青年はその痛覚で、自分が寝台の上に繋がれている事を悟った。
「―目が覚めたか」
覚えのあるその声に、青年は無意識に応えを返す。
「お父…さん…?」
どうして貴方がここにいるのですか…そう問いかけようとした言葉は、視界に飛び込んできた光景にすべて掻き消された。

青年の喉が、無意識に引き攣れるような音を立てる…今、自分の目の前に在る現実が、にわかには信じられなかった。
目の前で絡み合うふたつの影―荒い息遣いと、時折漏れ聞こえる、甘やかな嬌声。

真新しいふたつの寝台と、豪奢な調度品が並んだ、寝室。
重厚でありながら華やかな印象のその部屋は、もうすぐ花嫁を迎える弟のために、と用意された筈の場所だった。


526:父×弟×兄 2
07/01/30 02:44:26 xK6tjxpE0

相談がある、と、その日珍しく弟から誘いを受けた。
出来れば話を聞いてほしい…と電話口で告げるその声は、弟にしては珍しく、ちいさく擦れるようなものだった。
結婚を控えてナーバスになっているのだろう。逡巡するような相手の気持ちを慮り、すぐに承知する旨を伝えた。
もしかしてこの政略婚に後悔があるのかもしれない…もしそうならば、出来るだけ力になりたかった。彼は、自分のたった
ひとりの弟なのだから。

新居となる筈の部屋に招かれ、薦められるままに真新しいソファに身を沈めた。差し出されたグラスを合わせたまでは
よく覚えている。

そして、今、
なぜか、並んだ寝台の片方に自分は寝かされていた。そして…見覚えのあるふたつの影が、もう一方で絡み合う光景を
見せ付けられている。

夢ならさっさと醒めて欲しいと願う。しかし、腕の軋むその痛みは、青年にそれが現実なのだと知らせていた。

新婚夫妻を待ちわびていた筈の部屋に充満する、あまりに淫靡なその光景。
父の股間に顔を埋め、含みきれぬ程に大きなものを口中深くに銜え込みながら、無心に奉仕を続けているのは、紛れも
なく、彼のたったひとりの弟の姿。
柔らかそうな髪に添えられた父の指。弟の頭を押さえつけるようにしながら腰を揺らし、その口中を犯していた。

誰よりも自分に近しい二人の淫靡な光景に…気付けば青年は、ただすべてを否定する為に、闇雲にかぶりを振っていた。



527:父×弟×兄 3
07/01/30 02:46:42 xK6tjxpE0

目の前で…父の節くれ立った長い指が、弟の白い双丘を早急に割り開く。
弟は耳を舌で嬲られながら父の指を迎え入れ、切ないような吐息を、その唇から吐いた。
「あ…おとうさ…ん…っ」
深く差し込まれた父の指が弟の中をかき回す。しなやかに跳ねる弟の媚態は、二人の関係が今に始まったものでは
無いのだと如実に伝えていた。
自分の知らない弟の顔―甘やかに艶やかに啼き続けるその媚態に、父の弟に対する寵愛を見た思いがした。
「可愛いぞ…。お前は、この私の血を見事に受け継いだ、芸術品だ」
「おとうさ…あ、ああ…っ」
弟の秘所が父の指を銜え込みながら淫らに音を立てる。兄は、緩くかぶりを振りながら、ただ呆然とその光景を見つめていた。
「ほら、兄さんにもお前の顔が良く見えるよう、顔を向けてやりなさい」
父に促され、弟の濡れた瞳が逡巡するように揺れる。やがてこくり、と小さく頷くと、言われるままに身体を返して兄へと向き直った。
戸惑いと驚愕を含んで揺れる兄の瞳から視線を逸らしながら、弟は長い脚を開き、椅子に腰掛けるように怒張した父のものへと
腰を落としていく。
「あ…あ…」
弟の媚肛が軽く先端を含んだ次の瞬間、父の腕が力強く動いた。脚を払われ膝裏を持たれ、弟はその奥深くへと起立する父のもの
を飲み込んで行く。
「ひ…あ、あああぁぁ…っ」
猛々しい父のモノが、弟の淡い色の媚肛を犯していく。
繋がりあった部分を誇示するように広げられた弟の白い脚。激しく突き上げられながらがくがくと揺さぶられ、すすり泣き混じり
の嬌声で喜びを表すその顔を、兄はただ、その視界の中に映し続ける。
それしか、出来なかった。
「おとう、さん…おとうさん…っ」
快楽を隠そうともしない、弟の声。
ぱさぱさと首を打ち振るたびに、乱れた前髪が額に張り付く。
幼いころと変わらぬその泣き顔が、成長した肢体と相まって、場を更に凄艶な色へと染め上げていた。


528:父×弟×兄 4
07/01/30 02:48:30 xK6tjxpE0

目の前で、父が、弟を、犯す。
信じられない光景を視界一杯に映しながら、青年の中で何かが音を立てて壊れていく。
今まで、概念に存在すらしなかったその非道徳で背徳的な行為を前に、しかし青年には、ただ、頭を振り続ける事しか許されない。
「ああ…っ、あ、ああ――っ」
大きく突き上げられた、次の瞬間、
ひと際高い弟の嬌声が響き、父が弟の中へ、弟は己の腹の上へと、白濁の液を同時に吐き出した。
父は息子の中からずるりと自身を引き抜くと、真新しい寝台の上へとその身体を優しく横たえる。

そして―呆然と見つめ続けるもう一人の「息子」へと悠然とその冷えた視線を、向けた。



529:父×弟×兄
07/01/30 02:50:46 xK6tjxpE0
  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | 取り敢えず本日はここまで。
  | お目汚し失礼しました!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


530:風と木の名無しさん
07/01/30 02:53:13 d7/VRFKF0
>>529
ねえさん何てとこで終わるんだwwwしかしGJ!!
鰈なる続きを垂涎してお待ち申し上げております・・・!

531:風と木の名無しさん
07/01/30 03:11:56 CmJK1s9ZO
書いてる人、違う?なにはともあれGJ!!(*^_^*)弟カワユスww

532:風と木の名無しさん
07/01/30 03:56:14 8c6IWCvY0
新たな鰈ねえさんGJ!!
しかしこっからが気になって、どうすれば! 続きお待ちしております!!

533:鰈ー族父×次男また続き
07/01/30 12:00:17 K3roxs2p0
476です、いつも中途半端で済みません…
待っててくださる姐さんたちありがとう。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )前回のつづき!

534:鰈ー族父×次男また続き1
07/01/30 12:01:48 K3roxs2p0


「お父さん…んん…ああ、凄い」
「もっと、ほら、脚をしっかり」
「ああ…!」
 寝室で僕を待っていた父は、僕が彼の前に立つなり獣のように寝台へ押し倒した。性急に僕たちは体をつなげ、のしかかる
父の顔を撫で回しながら僕は、大きく開いた脚を彼の身に絡めて、父を受け入れていた。
「ああ、お父さん、そこ、そこは」
「うん、どこだ…?」
「そこ、ああ当たって、ああ、もう…!」
 目で限界を訴えると、父は僕の頭をあやすように撫で、自身も僕の中に精を放つためにぐっと腰を入れた。僕はその父の
首に腕を巻き付けてしがみつくと、快楽以外の何かから来る身震いを味わいながら、ほんの小さな掠れ声で、しかし叫ぶように
言った。
「っああ、兄さん…!」
 父の動きが止まった。
 彼は、今にも解放されようとしていた僕の固い雄を乱暴に握ると、僕の体を突き飛ばすようにして自分の身を起こした。
「、お父さ…」
 ずるりと引き出される強い刺激に思わず目を瞑り、開けると目の前に父の下半身が来ていた。
「…っ!」
 次の瞬間、視界が真っ白になった。顔中にどろどろとした父の精が飛び散っていた。口の中にまで飛んで来たそれの苦みに
反射的に顔をしかめたが、ひっきりなしに酸素を求める口を閉じることはできず、少しずつ、舌で唾液と混ぜ合わせながら、
僕はそれを飲み下した。
「誰だと…?」
 不意に髪を乱暴に捕まれ、父の下半身に押し付けられる。精液と、僕自身の腸液か何かにぬめりまだ熱い父の男性が、僕の
頬肉をえぐり、顔中がよく判らない液体にまみれた。
「…申し訳ありません、お父さん…」

535:鰈ー族父×次男また続き2
07/01/30 12:02:26 K3roxs2p0
 僕は謝罪した。それは先の言葉を、貴方の聞き間違いではないと肯定するということだった。そして縋るように、息を荒げた
父の顔を上目に見ながら、その雄に何度も接吻した。
「お前は…お前も、あいつのことが好きなのか」
 突然の父らしからぬ弱い口調に、僕は返答に詰まった。「お前も」?他に誰のことを言っているのだ。
「私と交わりながら、本当はあいつに抱かれることを思っていたのか?」
「お、父さん…」
 父は、嘘のように優しい腕で僕を抱いた。僕は思考を巡らせようにも、解放され損ねた中心部が父の体と擦れる度にどうにも
欲が意識されて上手く行かなかった。
 父の問いには、否定も肯定もしなかった。どちらが得策か解らなかったのだ。
「お父さん…申し訳ありません、もう、もう僕、ああ、お許し下さい」
 堪らなくなって、そろそろと脚を開いた。体中が痙攣しているように落ち着かなかった。父の腕で迷いなく、強く抱きしめて
ほしいと初めて感じた。僕の皮膚表面全てを、彼の肌で圧迫していてほしかった。父はそっけなく、つと僕の熱を指先で辿った。
「あぅ…」
 もっと、とその手に自身を擦り付けようとすると、再び容赦のない指がその根元を締め付けた。
「っ!いや、ああ、嫌だ、お父さん、後生です…!」
 錯乱したかのように首を振る僕を冷たい目で見ながら父は、僕の名を呼んで、そして命じた。
「服を着なさい」
 信じられない言葉に、僕は目を見開いた。父はゆっくりとベッドから降りると、その辺に飛び散っていた僕のシャツとズボンを
手渡した。
「そのまま、それを着て、あいつの部屋に行くんだ」
「…お父さん…まさか」
 兄に、抱かれてこいというのか。
 しかし父は首を横に振った。
「あいつをここに連れてきなさい」
 僕は逆らえず、父から服を受け取った。せめてこの熱を外に出してから、と目で訴えかけるが、父は冷徹な顔で僕を見るばかり
だった。

536:鰈ー族父×次男また続き3
07/01/30 12:03:09 K3roxs2p0
「兄さんを連れてきて、どうするというのですか」
「…知られるのは、嫌か」
 父は僕の問いに答えぬまま、問い返した。僕はその問いを何度か頭で反芻し、首を振った。今までは隠すことで成り立っていた。
しかし、この際仕方がない。むしろ、兄に全てを見せつけてやることで…
 下着もつけずズボンを履くと、ぐしゃぐしゃにまとわりついた液で上質に仕立てられた布が汚れるのと、そのさらりと
した感触が直に僕に触れるのに、堪らなく、一刻も早くここへ戻ってきてこれを脱ぎたいと思った。そう、兄をつれてーー
 そして僕は気づいた。
 自分の計画が、すべからく順調に運んでいるではないか、と。
 それは僕を高揚させ、興奮させた。できる限りできっちりと服を着込んで父の部屋を出たが、顔が汚れているのに気がついて
シャツの袖で拭った。当然袖が汚れたが、どうだっていい。一向に体の熱は冷めなかった。

 兄の部屋まではほんの僅かな道のりだったが、誰かに会ったらどうしようかということばかりが気にかかった。自分の姿はどんな
ふうに見えるのだろう。裸で廊下を歩いているよりもなお恥ずかしいとさえ思った。しかし幸いにも、誰とも会わずに兄の部屋の
前まで来れた。
「…どうした、こんな時間に」

537:鰈ー族父×次男また続き4
07/01/30 12:04:40 K3roxs2p0
 兄の部屋の戸をノックすると、いつも通りの顔をした兄が戸を開けた。当たり前だが、僕と父があんなことをしている間にも、
そんなことは気にもせずに、他の人間の時間はいつも通りに流れるのだと今更感じた。
「体調でも悪いのか?」
 荒い息は収まっていたと思ったが、やはりまだ体の内からくる昂奮に顔が火照っていたのであろう。兄は明らかに常態と違う僕を
いぶかしんで、あろうことか額に手を当てようとした。僕は一歩引いてそれを避けた。視線は怖くて合わせられず、俯いていた。
「お父さんが、お呼びです」
 それだけを告げ、思い切って僅かに顔を上げると、目が合った兄はぎょっとしたように目を見開いた。兄の瞳の中に映る自分の
姿は、確かに熱と、色欲に浮かされたような風に見えた。兄にもそう見えていたのかは判らないが、そう見えていても不思議はない。
「何の用だろう…」
 夜更けに父が公然と破廉恥な行いをしているのを知っているせいか、兄は躊躇したが、結局は僕の後について部屋を出た。
 兄が自室の戸を閉めると、僕は溜め息をついた。
 安堵の溜め息でもあり、この後に兄が目にする光景を予想しての興奮に打ち震える吐息でもあった。
 先に立って廊下を歩く間、背に突き刺さる兄の視線が、一歩父の部屋に近づくごとに僕の体温を上げるような気がした。
 やっと。
 やっと兄さんも、ここまで来てくれましたね。
「お父さん、兄さんを連れてきました」
 僕は、父の部屋の前まで来て、囁くようにそう言った。

538:鰈ー族父×次男また続き4
07/01/30 12:08:53 K3roxs2p0
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)キョウハココマデ…

この続きもすでにきのう書いてしまったのですが、>>529姐さんが
書いて下さった作品とかなり重なる部分もあるような気がして、
投下していいものか迷っています。
個人サイトでもないので>>529姐さんが万一気分を害するといけないと思い…
このような時はどうするのがいいんですかね?とりあえず今日はこれで。

539:風と木の名無しさん
07/01/30 12:35:43 nRWwzJG+0
>>538
私は529さんじゃないけど気にせず続き投下キボンに一票
529さんのストーリーは538さんのストーリーとは全く別物なんだから
wktkして待ってるよー

と思うんだがどうか




540:風と木の名無しさん
07/01/30 12:45:24 vSUR8e2O0
>>539に同意。
同じものが題材なんだから、似た展開になってしまうのは当たり前な気がする。

でも多少重なる部分があろうと、別の人間が書いてる限り
それぞれ違う話には間違いないんだから、
良ければそのまま投下して欲しい。

541:風と木の名無しさん
07/01/30 12:49:10 +OUDX/Yb0
鱸茶書いてくれた姐さんありがとう!
映画版見た時からずっと二人の関係に萌えてたんだ。
罪作りだ、おじちゃん…

542:風と木の名無しさん
07/01/30 13:19:29 kib1qkwf0
ふたつの鰈、両雄並び立ち(人*゚д゚)シュテキ
いずれの姐さんもどんどん書いてホシス。

543:風と木の名無しさん
07/01/30 13:34:58 CmJK1s9ZO
>>538 GJ!!すごく萌えますよ~色気があってww
私もそのまま投下してほしいです。待ってます(* ´п`*)

544:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア
07/01/30 13:54:30 8OJdthWC0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/前途シリーズ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、冒険者×ヴァンパイアです
 | |                | |             \六回目ですよー
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

545:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア6-1
07/01/30 13:55:28 8OJdthWC0
男から生気は感じられなかった。
血は吸い尽くした。おかげで、めまいや目のかすみは治っていた。
倒れこむ男を床へ放り投げると、ゆっくりとロングソードを引き抜いていく。
肉が修復しようとしているのがわかる。むず痒い感覚に駆られながらも、剣を引き抜き、
同様に床へ放り投げた。
 首が切られないだけましだったかもしれない。
首が切られれば、復活するのに何日もかかる。
そう、ヴァンパイアは不死身だ。
例え殺されても、大地から生気を吸い上げ、数日で生き返ることができる。
だがそれでも傷を負えば痛いのは確かだ。例え数日でも死にたくないという気持ちはヴァ
ンパイアにもある。
 ヴァンパイアの傷は微々たる物ながら、ふさがれていっていた。
自分の血の跡が冷たくて、ヴァンパイアは寝返りを打った。手の届くところにズボンがな
かったので、毛布を巻いてやり過ごしてみる。
 男に犯されたせいで、しばらく体が熱かったが、そうしてやり過ごしてるうちに、熱も
消えた。
そして。
「ただいま」
「!」
 ロウッドが帰ったのだ。
「…早く来てくれないか…」
玄関にいるロウッドは、まだ部屋がこんなことになっているは知らず、のんきに言う。
「ちょっとまってくれ。装備をとるから」
装備を取って普通の服に着替えたロウッドは、部屋に入って一瞬、後退りした。
何せ毛布もシーツもヴァンパイアも、血まみれなのだ。傷口からは血は止まっていても、
その惨状は目を覆いたくなるほどだった。
「何があったんだ!」
ロウッドは顔色を変えて、ヴァンパイアの元へと駆けた。
そして、そばにロングソードと、仲間の死体が転がっていることに気づいた。
「あの窓から、この男が入ってきた。胸を刺された…死ぬほどのものではない」
と、割れた窓を指差す。割れた窓からは、ひゅう、と風が入ってきて、室内はひんやりと
冷たかった。

546:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア6-2
07/01/30 13:56:35 8OJdthWC0
「…!殺したのか?」
「殺した」
そっけなく言うヴァンパイア。そのヴァンパイアの肩をつかんで引き寄せる。
「なぜ殺した!奴は俺の友人だ!」
「…では…私は殺されていればよかったか?」
「何?」
「…黙って犯されていろと?」
「また何かされたのか」
「…」
毛布を自分で剥ぎ取る。
コートの下から、生足がみえた。そこには、精液が伝っていた。
「私は…、…私は…」
ヴァンパイアがつぶやいた。だがその先は何も言わなかった。
変わりに、一筋、涙を流した。
「…悪かったよ。やったことはこいつが悪い…けど…、けど」
何か言いかけて、ロウッドもやめた。
「こいつ、埋葬してくる。こいつも一人身だからな…」
ロウッドは、ズボンをヴァンパイアに渡すと、仲間の死体を抱え、出て行った。
「ロウッドと呼ばれていた…か?」
自分以外誰もいない部屋で、確かめるようにロウッドの名を呼んだ。
ヴァンパイアは、精液を毛布で拭い取り、ズボンをはくと、その場で倒れるように眠っ
た。
治りかけてきている胸が痛い。だが気にする余裕はなかった。

誰かが毛布を剥ぎ取った。
さらにコートを半分はだけさせ、服もめくりあげる。
傷に、何かを塗りこんでいるようだった。
そ、と目をあける。
ロウッドがそこにいた。
真剣な面持ちで、ヴァンパイアの胸の傷に、キュアパウダーを塗りつけていた。
「起きたか、大丈夫か」
「…これくらいでは死なない」

547:風と木の名無しさん
07/01/30 13:57:10 8OJdthWC0
大丈夫か。
ロウッドが、初めてヴァンパイアを心配してかけた言葉だった。
その言葉が、胸に熱く広がった。この感情は何なのだろう、と、思った。
「シーツ、変えてやるからな。起き上がれるか?」
「動けるが、起き上がれない」
「何、そんなにひどいのか!!」
「…首輪が邪魔で」
首輪の鎖は起き上がれるほど長くはなかった。
「そうか…逃げるなよ?」
「逃げはしないが、襲うかもしれない」
「シーツかえるのやめた」
「冗談だ」
困り果てたようなロウッドの顔に、くすっと、ヴァンパイアは笑った。
 ヴァンパイアが笑ったことに、心底珍しいものを見るような表情でいたが、ロウッドも
また笑顔になった。
「はじめて笑ったな、お前」
ぐりぐりと頭をなでてやると、首輪の鎖をベッドから離した。
じゃら、と音がして、鎖が地面に落ちる。
「起き上がれるか?」
「ああ…久々に起き上がった」
ヴァンパイアは、体を起こすと伸びをした。
体を自由に動かせなかったので、相当ストレスもたまっていた。
あまつさえ三人の男に責められるようなことまでされたのだ。
ストレスがたまらないはずがない。
逃げてしまおうか、とヴァンパイアは考えた。
が、鎖の先をしっかりと巻きつけるように持たれていることに気づいて、それはあきらめ
た。
せっせとシーツを代えるロウッドの後姿を見ながら、ぼんやりと、なぜ自分がこの男を殺
してまで逃げ出さないのか、不思議で仕方がなかった。
 まだ彼には、芽生え始めたこの感情が何なのか、理解できなかった。

548:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア6-4
07/01/30 13:57:44 8OJdthWC0
「何ボーっとしてんだ、つなぐぞ。こっちこい」
「…」
「おい?」
「どうしても、つながなければ駄目か」
「逃げられたら困るからな」
「…逃げ…る…、お前は、私をどう思ってる?奴隷か?それともー…」
―それとも、何だ?私は何が言いたい?私は…
「お前は奴隷だ。性奴隷だ。何よりも美しい、誰よりも純粋」
「そうか…」
賛辞など頭に入ってなかった。『お前は奴隷だ』この一文だけしか頭に入らなかった。
黙ってヴァンパイアは、首輪は鎖でつながれることになる。
その素直なところに違和感を覚えながらも、ヴァンパイアは目を開けたままベッドに横た
わっていた。
 そこに、ロウッドがベッドに浅く座り、ヴァンパイアの顔を見ている。
「なあ…良いか」
ロウッドが顔を近づけ、そして口付けを交わす。触れるだけのキスに、ヴァンパイアは抵
抗しなかった。
「なにがだ」
「全部言わせんなよ…その…セックスがさ」
「嫌だといったら?」
「わーったよ、何もしねぇよ!」
ぷーッと頬を膨らませて、後ろを向いてしまった。その姿ににわかに笑うと、ヴァンパイ
アは続けた。
「…冗談だ。私はお前の性奴隷なんだろう?好きにすれば良い」
 そ、と、ヴァンパイアはロウッドの服の端をつかんだ。
「俺の血は吸うなよ」
「もういらない…」
ロウッドはヴァンパイアに覆いかぶさった。

549:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア
07/01/30 14:00:38 8OJdthWC0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ サンバンメ、ナマエランニイレルノワスレタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )トリアエズコイヲジカクシテナイヴァンプデス
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


550:風と木の名無しさん
07/01/30 15:37:39 CmJK1s9ZO
GJ!!(o~∀~o)ノ鰈と並んで楽しみにしてるルナドン!
ゲームだなんてきいたから中古屋に走ってきますよww

551:風と木の名無しさん
07/01/30 16:46:43 C3M4DkRs0
>>538
どちらの姐さんの作品も好きなので、
投下してくれると嬉しい
よかったら待ってます~

552:鰈ー族父×次男お言葉に甘えて続き
07/01/30 18:33:08 K3roxs2p0
姐さんたち、ご意見ありがとうございました!
読みたいと言って下さる方が沢山いてくれて、書き手としては本当に嬉しいです。
お言葉に甘えて、書いた分をとりあえず投下させて頂きます。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )やっと長男 キタヨー

553:鰈ー族父×次男お言葉に甘えて続き1
07/01/30 18:33:44 K3roxs2p0


 入りなさい、という父の声がした。
 戸を開くと、男の精の臭いがむっと立ちこめている気がした。
 父は、夜着のガウンを羽織っただけの姿でベッドに腰掛けていた。兄はまっすぐにその父の方へ歩いていく。
「お父さん、何のお話ですか」
 兄がその台詞を言い終わらないうちに、後ろ手で鍵をかけた。
 カチャン、という固い音に、兄が驚いた顔で振り返った。兄の向こうの父へと目を逸らすと、父は僕の方へ頷いてみせた。
「脱ぎなさい」
 その声に、兄は今度はまた父の方を振り返る。何がなんだか判っていない様子だが、無理もない。戸惑う兄を幼いとさえ
見ながら、僕はシャツのボタンを一つずつ外していった。汗や体液がシャツを張り付かせ、脱ぎにくい。兄は父の言いつけ通り
に服を脱いでいく僕と、それを獣の目で見守る父とを代わる代わるに見ながらも、問いただす言葉が出ないでいた。
「あ…」
 ぐしゃぐしゃになったシャツを無理矢理脱ぎ捨てた僕を見て、掠れた声を上げたのは、兄の方だった。
「どうかしましたか。兄さん」
 できるだけ優しい表情を作って兄に微笑みかけた。兄の視線は僕の肌にあまりに多く点在する鬱血点を、数えるように目で
追っていた。家の中でもきっちりとシャツとベストを着込んだままの兄の視線の前で、下を脱ぐのは躊躇われたが、
「早くしなさい」
 父がそう急かすのに、手を早めて金具を外し、ズボンを持つ指を放した。すとんとそれが足首まで落ちた時に、呻くように
僕の名を呼んだ兄の声は、呂律も回っていなかった。
「お前…」
「何だ、ずっと起たせていたのか、しょうがない奴だな」
 兄の声に覆い被さるように父が言った。下着もつけずにズボンの下に隠れていた、角度を失っていない僕の雄は、橙色のテーブル
ランプの弱い光でもはっきり判るほど、下品に濡れて主張していた。
 ああ、見られているーー兄さんに。
 血のつながった男二人に見つめられて、落ち着こうと努めていた体は再びふるりと震えた。

554:鰈ー族父×次男お言葉に甘えて続き2
07/01/30 18:34:38 K3roxs2p0
「お父さん…」
 僕は床に落ちたズボンをまたいで、父のベッドに近づいた。びくりとした兄が、異質なものを避けるかのように一歩退いた。
けれどそのまま、僕がベッドに上がって、四つん這いになって父親にすり寄るのを、信じられないものを見るような目で見ていた。
「よく頑張ったな」
 父は僕を抱き寄せ、口づけをした。互いに舌を伸ばして、濡れた音を響かせる口吻に、兄は吐き気を堪えるように口元を手で
押さえた。それを横目で見た僕と目が合った時、何か問いかけるように兄は僕の目を凝視した。僕は、挑発するように、目を
細めて返した。
 次の瞬間、兄は踵を返すと大急ぎで部屋を出ようとした。しかしその背後から、父がそれを呼び止めた。
「どこへ行く」
 兄は扉の前で足を止め、怒りに息を荒げながら拳で戸を叩き付けた。
「いったいお父さんは、何をしているんですか…」
 父は答えない。ただ寄りかかる僕の頭に手をやり、頬と頬を寄せた。僕はその気持ちよさに、自分からも猫のように擦り付けた。
兄は向き直ると、つかつかと僕たちの方へ歩み寄り、父の夜着の襟を両手で乱暴に掴んだ。
「僕の弟に、貴方は何をしているんだ!」
 思わず息を止めた。
 予想していた台詞とほとんど同じではあったが、
 ーー僕の弟に。
 一瞬、狂おしいほど生じた感情に、僕は名前を付けようがなかった。兄は呆然と見つめる僕には目もくれず、怒りに手を震わせ
ながら父を睨んでいた。父はそれをまっすぐに睨み返したまま、兄の両手を払いのけた。
 その瞬間に、僕は兄の体の自由を奪っていた。
 驚きに見開かれる兄の目に自分が映るのを確認しながら、その上半身をベッドに押さえ込んだ。何が起こったのか判らずにいる、
その間に馬乗りになってしまえば、その後で抵抗されようと無駄だった。自分でも気がつかぬうちに、僕は力で兄に勝るように
なっていたのだ。それを、こんなときに知ることになるとは。
 父が、自分が着ている夜着の腰紐を引き抜いた。それを見て、兄の両手を無理矢理頭上に押さえ込む。兄は勿論暴れ声を出して
抵抗した。弾みにその手が僕の頬に当たり引っ掻き傷を残したが、結局は僕と父の二人分の腕力には敵わなかった。

555:鰈ー族父×次男お言葉に甘えて続き3
07/01/30 18:36:33 K3roxs2p0
「お前、何を…自分が…何をしてるのか解ってるのか…!」
 父に両手を縛られながら、息も絶え絶えに兄は叫んだ。僕は冷静にそれを上から見下ろしていた。
「兄さんが、知らなかっただけですよ」
 縛った両手はベッドの端に括りつけたが、念のために足も、落ちていた僕のベルトでひとまとめにした。兄のシャツの裾をズボンから
引き抜いて、ベストと一緒にたくし上げる。ベルトを外していると、兄が大きな声で制止したが、聞かなかった。
「兄さん…僕は先ほどからずっとお父さんにお預けにされていましてね…一刻も早く楽になりたいんですよ」
「何を馬鹿なことを言ってるんだ!」
「その馬鹿なことを、僕はもう十年も続けているんだ」
 兄の抵抗が止まった。
 僕は微笑を浮かべた。心の中では、嘲笑を贈りながら。
「兄さんが大学生の時でした。それから、アメリカへ留学中も、帰国して結婚されてからも、ずっとね」
「何だって…?」
「ああ、やっぱり全然知らなかったんですね…」
 僕は兄の服を脱がせる手を止めると、傍らの父に手を伸ばした。
「なかなかいいものですよ、お父さんとの夜は…流石に、愛人と妻を一つ屋根の下住まわせるだけのことはある」
 そして、自分の息子も。
 この言葉は父を怒らせるかと思ったが、彼は僕を抱き締めると胸元に口づけを降らせた。僕が快楽のままに喘ぎ声を上げると、兄は
聞きたくないかのように目をきつく閉じて身を捩った。哀れにも、耳を塞ごうにもその手は頭上に拘束されていた。
「ああ…お父さん、もう、お許し下さい。もう死んでしまいそうですよ」
 甘く溶かした囁き声で、父へ切なさを訴えかける。目を瞑って目の前の事実を否定しようとする兄をも意識しながら、
「ほら、僕のここが、こんなにお父さんを欲しがって…ああ、ほら…」
 自分の後方へ手を回し、ぐちゅぐちゅと掻き回すことで、兄を聴覚から犯していく気分を味わった。自分の愛する弟が憚りなく卑猥な
言葉を口にして、父親との繋がりを求めている。それは兄にとってどれほど信じがたい衝撃であるだろうか。

556:鰈ー族父×次男お言葉に甘えて続き4
07/01/30 18:37:39 K3roxs2p0
 ぴたりと身を寄せている父の体との間に、先に僕を汚した父の雄が再び力を持ち始めたのが判った。父の夜着をはだけ、僕は迷いなく
そこに顔を埋めた。父の呼吸が徐々に高まっていく。そして、兄の息も荒くなり始めていた。それは怒りに依るものだろうか、それとも。
口の中で何度も吸ったり、舐めたりしていると、もういいと父が制止して、僕の体を自分の上に膝立ちで座らせた。
「ん…お父さん、早く」
「いいだろう、入れなさい」
 その時、すぐ横に仰向けになっている兄が、目を開けてこちらを振り向いた。そして僕たちの体勢を見とめると、力なく首を振った。
「やめろ…」
 僕に言ったのか父に言ったのかは判らない。いや、両方にだろう。
「やめてくれ、頼むから…」
 いっぱいに見開かれた兄の瞳に、涙の膜が光った。
 兄の信じてきた家族の絆。それは今この瞬間、どんな形で兄の中に存在しているだろう。
 見たこともないような弱々しい兄の目に見つめられ、僕は自ら招いたこの状況になぜか悲しささえ覚えながら、しかし首を横に振り返した。
「もう、限界なんです…」
 黙って聞いていた父が優しく僕の腰を撫でた。そう、体も限界だった。しかしそうじゃない。父には解らない。
 僕のこの気持ちなど。
 今までどんな気持ちで兄を見てきたかなど。
 彼の前には汚い現実などなかった。彼の努力に人望はついてきた。歯向かう者などほとんどいなかった。しかしもしライバルが現れれば
正面切って戦い、策略など用いない。政略結婚を強いられようとも、相手の女性を心から愛する。父が不埒な行いに身を染めれば、公然と
文句を言い、父の愛人に対しても毅然とした態度を貫き、抱いた反論は常に口にしていた。
 けれど、兄さん、僕を責められますか。
 辛辣な言葉で、正義だけを胸に、弟である僕を。
「兄さん…」
 気がつかぬうちに、涙が溢れそうになっていた。慌てて父の肩口に顔を擦り付け、肉体的な刺激を望む涙であるかのような振りをした。

557:鰈ー族父×次男お言葉に甘えて続き5
07/01/30 18:38:30 K3roxs2p0
 兄は、僕を見ていた。
 激しい口調で糾弾するわけではなく、ただ痛みを堪えるような顔で、涙をたたえてやめろ、と繰り返した。
 兄はいつも自分の正義を貫き、父との対立もいとわなかった。
 それでも、父に愛されてきた。それが憎かった。
 兄を一番に愛しながら僕を愛していると口にし、僕を抱く父が憎かった。
 けれども僕は、
「あ、ああ…っ!」
 僕は、父と兄を愛する気持ちを捨てられなかった。
 父とこんな形で愛し合わなくとも良かった。家族としての愛を、兄と同じだけ僕に注いでくれればそれで良かった。
 兄に嫉妬したくなどなかった。そんなふうにして自分が惨めになるよりは、ただ二人で同じように父から愛され、父に対して敬愛を
抱いて生きていきたかった。
 でも父は僕を見なかった。兄は、父の愛に気がつかなかった。
 動物のように性の快楽に身を委ね、嬌声を上げて親子で交接する僕たちを見つめる兄の目から、ついに涙が筋となって静かに溢れていた。
しかしその姿は、僕自身の視界が潤んでぼやけたことで、すぐに見えなくなってしまった。


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