07/01/14 23:14:39 K5lkUYE/0
>>298乙でした!!
リアタイ遭遇で感動しました!
301:風と木の名無しさん
07/01/15 00:16:36 KBV/cmSp0
>298
正直、あんたのおかげで流石にハマったよ。
GJ。そしてお疲れ様。
302:風と木の名無しさん
07/01/15 01:16:31 C1NUAKN+0
>298
ありがとう! お疲れ様!
思わず2ch初カキコ
303:風と木の名無しさん
07/01/15 01:52:31 IwqFDrGEO
>>298
萌える文章乙乙おつ!
これで終わりかと思うと切ないぜ
とりあえず超乙!
304:風と木の名無しさん
07/01/15 01:59:17 R33uYVS0O
>298
待っていました乙華麗!
これで平安双子が見れなくなると思うと寂しいです
最後まで萌える流石をありがとうでした
305:風と木の名無しさん
07/01/15 21:49:13 Y8KTZ4Xw0
SF流石とかFT流石とか学園者流石とかも書いてくれ姐さんー!
しかし古語のなかに混じる2ちゃん語が絶妙だった。ゴチです。
306:風と木の名無しさん
07/01/16 00:18:58 XcVAP/PK0
nurupo
307:風と木の名無しさん
07/01/16 00:22:26 Z2DEocNJO
>>306
ga!
308:風と木の名無しさん
07/01/16 02:11:06 goporMzV0
>>298
GJGJGJ!!
これで流石兄弟の話が読めなくなるのが辛いが
まずはGJ!!!!
気が向いたらまた流石兄弟お願いします
309:風と木の名無しさん
07/01/18 22:15:59 BxVAWuteO
>>298
不覚にも泣きそうになった
超GJ!乙華麗でした!!
いつかまた流石兄弟書いてホスィ
姐さんの文章大好きだ
310:風と木の名無しさん
07/01/18 23:07:31 OnriI8qC0
>>298 乙です。
流石兄弟もさることながら、周りのメンバーもいい味出してました。
元ネタを知っているので二倍楽しめました。
311:里予王求1
07/01/19 01:33:47 OEe9kvVU0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
『誕生日』見て、書いたのを思い出した。
宣告直後の話。
後悔はしていない。
---------
実力だけがモノを言う、弱肉強食の世界。
一握りの栄光の影に、多くの敗北者がいる。
そんな世界で、俺たちは10年以上も戦ってきた。
「俺、クビになってん」
困ったような顔をしながらも、笑顔を忘れない男。
3年前に同僚になってからは、同じ歳と言うこともあって、仲良くしていた。
「そうか」
「またリストラやわ」
彼は昨年プロ16年目にして、初めて規定打席を達成した。
前のチームを戦力外になり、アリヒトさんがFAで抜けた穴を埋めるべく行われたトライアウトで、外野からノーバウンドでホームまでボールを返した。
まさに、劇的な人生を歩んだ男だ。
その生き様から、『リストラの星』なんて呼び名もある。
312:里予王求2
07/01/19 01:34:53 OEe9kvVU0
「手首は?」
「年やから、治りが遅いわ。けど、まだ現役諦めてない」
「ははは。俺だって、同じようなもんだ」
「魔法使いと一緒かぁ」
『魔法使い』に『オヤジビーム』
それが俺たちのあだ名。
今年は、お互い下にいることが多かった。
若い連中に混じって、真夏の鷹ノ巣でボールを追っていた。
真っ黒に日焼けした顔を見て、少しだけ、20年近く前の気持ちに戻れた気がした。
「トリは、まだまだここでやらな」
「俺は、シャチョウと、もっと一緒にいたかった」
「お前も俺も外様やけど、トリは監督に気に入られてるからな」
「それは」
「俺も……俺も、ここで野球人生終わらせたかったわ…」
目の前の男は、笑ったまま、ボロボロと大粒の涙を零していた。
この年で移籍先を探すことは難しいだろう。
移籍が叶えば、俺たちはまた敵同士になってしまう。
それが悲しくて、俺も自然と涙が出て来た。
313:里予王求3
07/01/19 01:36:27 OEe9kvVU0
「何でトリが泣くん…」
「俺だって…俺だって、」
「お互い、40に手が届くしな」
「引退する時は、シャチョウと一緒がよかった!」
「トリ……」
大の男が、それも四捨五入して40になる男が、2人も泣いている光景は、傍から見たらどれだけ奇異に映るだろう。
でも、そんなの関係なかった。
ただ、抱き合って、泣くことしかできなかった。
他に誰もいないロッカールームに、嗚咽だけが響く。
「トリ、俺の分まで若手を引っ張れよ。全部、お前の『ヘェイ』にかかってる」
「シャチョウ…」
「俺も、随分励まされてん」
「………」
「ほな、な」
去りゆく友の後ろ姿。
追いかけていこうと思ったのに、追いかけていけなかった。
1度も見たことないような寂しい後ろ姿に、俺は涙を止めることができなかった。
---------
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
シャチョウ、ガンガレ!
314:風と木の名無しさん
07/01/19 18:24:55 vlbFiUDs0
>>311-313
乙です
シャチョー・・・(´;ω;`)
自分そこのファソしてるだけに、泣けてしまうよ
315:風と木の名無しさん
07/01/19 19:11:17 wmHrEoOy0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ヘタレシャモ×襲い受優
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 兎 ~野生の闘牌~
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ラスト
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
316:兎 その1
07/01/19 19:15:27 wmHrEoOy0
「っっ何なんだこれはっ?!」
洗濯機の中から出てきたものは、ベルトが付いたままのジーンズと、
まだらに青く染まった― 元は白いはずの ― シャツだった。
優との共同生活を始めて1ヶ月。著しく生活能力の低い優を罵倒する回数は、
そろそろ3桁になるだろう。
山城の屋敷で囲われて、身の回りの世話をすべて手伝いの人間がやっていたのだから、
世間知らずなのはしょうがないとしても、正直、優の場合は度を越してた。
テレビや書籍でも見ていたら、いくらでもわかりそうなことも知らないばかりか、
本人に「生活をする」という意識がまるきり欠如しているのだ。
生きることへの執着心が欠如した「傀儡」。
罵倒したところで、少しも堪えた様子も見せない優の姿を見る度に、
かすかに胸が痛み、同時に苛立ちを覚えた。
「ったく。本当に何もできないんだな。あんたは。」
溜息まじりの言葉をぶつけることは、すでに日常になりつつある。
「・・・あぁ。全くだな。俺があの狭い世界の中で覚えたことと言えば、
打つことと、じじいのチンコをしゃぶって満足させることぐらいだからな。」
「・・・っつ。悪かったよ。」
「ん?いや、違うよ。責めたわけじゃない。ホントのことだ。ホントにそれしか
知らないんだよ。俺は。」
優はかすかに笑って言う。諦きらめることに慣れた顔。
「あんたはもう自由になったんだから、これからいくらでも覚えればいいだろ。
実際、目玉焼きも作れるようになったし、お湯も沸かせるようになったじゃないか。」
「ふふ。そうだね。」
317:兎 その2
07/01/19 19:17:06 wmHrEoOy0
―自由か、山城から自由になったとしても、D・Dの血からは逃れられない。
そんなことは、俺よりも優自身が感じていることだろう。
「なぁ、隆史君。俺は君に感謝してるんだよ。これでもね。」
「そんなこと・・・・・」
不意に腰を引き寄せられて、優の掛けていたソファに倒れこむと、
優の形のいい長い指がズボンの前をするりと撫でた。
「・・・・って、風間?!」
「こんな仕方しかできなくて悪いんだけどさ、他に何もないんだよね。俺には。」
慣れた手つきでベルトが外され、ズボンが引き抜かれる。
ボクサーパンツの上から、優の唇が俺に触れた。
「・・・・っ、ちょっと待てって!そんなことしなくていいから!!」
手を添えたまま見上げる優の視線に、ゾクリと背中が震えた。
「頼むよ。役立たずでいるのが辛いんだ。気持ちいいことしかしないから。」
力ずくで引き剥がせばそうできたのに、しなかったのは掠れたような優の声が、
少しだけ震えていたような気がしたからだ。
堪えていないわけではなかった。プライドの高い優が自分を守る為に身につけた
ポーカーフェイス。それを崩してこんな顔をされて拒絶できる程、非道じゃない。
318:兎 その3
07/01/19 19:19:23 wmHrEoOy0
「・・・っは・・・・」
気持ちがいいことしかしないと言った言葉通り、もどかしいと思えるほど優の
指や舌がゆるゆると快感を呼び起こす。
とっくに勃ち上がっているそれを愛しそうに舐め上げては、絶頂を迎える直前で
やめて、他の部分への刺激で分散させてしまう。
「・・・風間・・・もう・・・」
少しだけ、優が微笑った気がした。
「あっ・・・・!」
次の瞬間、強烈な圧迫感と温かな感触に包まれた。
「・・・っ!?」
馬乗りになった優の脚の間で、俺にあるのと同じものがいやらしく上を向いている。
「あんた・・・」
「うるさい。」
俺の言葉は遮られ、口は柔らかな感触で塞がれた。
「・・・っはっ・・・っちょっと・・・待てって!動くな・・・」
「いいから、イケよ。1度でおしまいってことはないだろ?」
ひやりと外気に触れる感覚に、解放されるかと思ったそれは、再度一番深いところまで挿し込まれた。
「・・・・うあっ・・・・・・」
脳が鷲掴みされるような衝撃で目の前が真っ白になる。
俺は優の中で爆ぜた。
乱れた呼吸に合わせるようにして、優がゆるやかに腰を動かす。
鈍い快感が重い腰を痺れさせる。
「・・・すごい、聞いて。君のですごいエロい音してるよ。」
淫猥な音を響かせて、優が煽る。
自らのものをしごく優の上気した顔が、堪らなく扇情的で、爆ぜたばかりのそこが、
再び優の中で体積を増す。
319:兎 その5 終
07/01/19 19:21:37 wmHrEoOy0
「・・・くそっ」
野郎のオナニーシーンなんか見て、勃つような趣味はない。はずなのに。
上半身を起こして優を抱きかかえる。優なんかに組み敷かれるのは本位じゃない。
はずみで優の深い所まで届く。反らされた優の首筋を条件反射のように舐め上げる。
「・・・ひっ」
初めて漏らされた声に、煽られるようにして耳に舌を這わせる。
キリリと優の中が締まり、危うく声を上げそうになる。
「・・・はぁっ・・・・。・・・いいよ隆史君。やっと・・・その気になった?」
「・・・クソ。・・・知らねぇぞ。」
「いいよ。好きにすればいい。・・・酷くしてくれよ。」
ふと、山城の顔が浮かぶ。優は、あいつにもこんな顔を見せていたのかと思うと
怒りにも似た感情が、体温を上昇させる。
優をそのまま引き倒し、思考が飛ぶほど、突き上げた。
「・・・・・あっ・・・・・はぁっ・・・・・・・・・・・ああぁっ!!!」
射精の感覚。
鈍い頭で、馬鹿らしいほど甘いキスをした。
320:兎 終
07/01/19 19:23:34 wmHrEoOy0
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ ;) オシマイ!
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
321:風と木の名無しさん
07/01/19 19:42:48 u5rbBeJR0
キタ━━(゚∀゚)━━━!!!
エロいエロいよーーーーーーーー。
322:風と木の名無しさん
07/01/19 20:22:59 r6vx9pFj0
>>320 GJ!待ってた(´Д`*)
323:風と木の名無しさん
07/01/19 20:28:01 Q4cxZGko0
ここで兎が読めるとは!!!
㌧㌧㌧!!!!
324:風と木の名無しさん
07/01/20 22:40:13 6U0ZUHoK0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 祭りも終息に向かいそうなので。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| AA モナー中心。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ オレモイルゾ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
325:1/5
07/01/20 22:40:57 6U0ZUHoK0
世界が生まれてから一日たりとも休むことなく繰り返してきたように、今日もまた日が暮れていく。
スレの狭間にある川原には、一頭身に三頭身、六頭身に八頭身と、様々なAAたちが集まっては景色を眺めていた。
普段はめったに外に出ないヒッキーやドクオまでもが肩を並べて座っている。
草むらに座っているモナーは、川原全体を鮮やかなオレンジに染め上げる夕日を一人で眺めていた。
「寂しいモナ。みんないなくなっちゃうモナ」
呟いた声は誰に聞かれることも無く、風が攫っていった。
この世界に産み落とされてから今日まで、ギコやモララーたちと気楽にのんびりやってきた。
いろんな板に行っては新しいAAと出会ったりもした。
楽しかった。
コピペ嵐や虐殺厨にスレを荒らされても、みんなで支え合って乗り切ってきた。
多くのAA達と一緒にいることは、モナーにとって何にも代えがたい喜びだった。
しかし、物事には始めがあれば、必ず終わりが来る。
いつか別れの時はやってくる。
「このままみんなと離れ離れになるのは嫌モナ」
ここが無くなっても移住先はある。避難所もある。
でも、世界が分散すればそれだけ他のAAに会える機会が減ってしまう。
そうしてAA描きが徐々に減ってスレは寂れ、いつかAAそのものがいなくなるかもしれない。
寂しいけれどどうしようもない。
0から作成するのだろうとコピペだろうと、投下する人とスレがなければ自分達は存在できない。
いづれは過去ログの藻屑と消える運命を辿るのだろう。
胸に空いた穴から入り込んでくる隙間風を防ぐかのように身を縮めて顔を伏せた。
326:2/5
07/01/20 22:41:32 6U0ZUHoK0
「2chと共に心中してやるーーーーっ!」
叫び声と地響きに驚いて顔を上げると、兄者が転げ落ちんばかりの勢いで土手を下っていた。
「閉鎖かどうかまだ決まったわけじゃないだろ!」
「もうブラクラも踏めなくなるんだ!」
「それはいいことではないのか?」
「そんな世界は耐えられない!消される前に消えてやる!」
FMVを抱えて川に飛び込もうとする兄者を必死で弟者が止めている。
「ここが消えても他に行くところがあるだろ?」
「ひきこもりにそんな真似ができるか」
「俺がそばにいる」
兄者はしょぼくれた顔を弟者に向けた。
「俺だって不安なのは同じだ。でも、二人でなら何とかなる」
「……そうだな」
兄者の顔から曇りが消えていく。代わりに浮かぶのは花開くような笑顔。
「こうなったら終わりを見届けてやる。弟者も付き合え」
「突撃はやめとけよ」
座って広げたFMVを、体をぴったりと寄せ合って覗き込んだ。
どのスレで見かけてもほとんど一緒に投下されている流石兄弟。
どこに行ってもきっと二人でやっていくのだろう。
その絆の強さが羨ましかった。
流石兄弟に向けたモナーの目が、眩しげに細められた。
327:3/5
07/01/20 22:42:51 6U0ZUHoK0
「こんなところでぼーっとして、どうしたんだ?」
後ろから肩を叩かれ、後ろを向くとギコが立っていた。その横にはモララーもいる。
「考え事」
「そんな深刻そうな顔には見えないよ」
「まあ元々とぼけた顔だからな」
「ひどいモナ」
いつものからかいに少し気分が浮上する。
モナーをの横に腰を落ち着けた二人は、今回の騒動についてさっそく意見を交わし始めた。
「どうせ釣りだろ。ニュー速とvipperは騒ぎ過ぎなんだゴルァ」
「でも、万が一閉鎖になる可能性もあるんじゃないかな。住民はマターリと静かに見守ってるけど、実際は不安だと思うよ」
「その時はここを出てって別の所に行けばいいだけの話だろ?そんなに深刻になることか?」
「新天地で今まで通りにやるのは簡単じゃないよ。すぐに元通りになるほど甘いものじゃないだろうしね」
先のことを見据えて話し合うギコ達。
言えるわけがない。
『ずっと側にいたい』
彼らがどこに行こうと、どこに向かおうとそれは彼らの自由。
無理やり側にいてもらうことなど出来るわけが無い。
恋人でもないのにそんなことを望んではいけない。
「どうしたんだ?顔色悪いぞ」
ギコが心配そうな顔を浮かべて覗き込んできた。
なんでもないと首を振り、目を逸らす。
口から飛び出てしまいそうな言葉を飲み込み、黙って正面を見つめる。
328:4/5
07/01/20 22:43:25 6U0ZUHoK0
自分一人が消えるならまだいい。
でも、新天地にいるAAが自分だけだったら?
誰も来ないスレで他のAAが投下されるのを孤独に待つ羽目になったら。
膨れ上がる不安にモナーは今にも飲み込まれそうだった。
「不安なのか?」
再びギコが声を掛けてきた。
頷くと、苦笑して頭をがしがしと撫でてきた。
「しかたねえなあ。この騒ぎが収まるまでは、なるべく一緒にいてやるよ」
「時間が許す限りはそばにいるからさ」
ギコの手が優しい。
モララーの言葉が温かい。
今はこれだけでいい。それ以上のわがままは言わないでおこう。
零れそうになる涙を目の中に留め、もう一度頷いた。
どうかまた皆と一緒にいられますように。
もしもこの世界が失われてしまっても、生まれ変わってまたどこかで彼らと出会えますように。
最後の希望を燃え上がらせるかのように、夕日の赤い筋が川原に差し込んだ。
329:5/5
07/01/20 22:44:04 6U0ZUHoK0
結局閉鎖は無くなり、いつもの日常が戻ってきた。
今日も各地の板にAAが描かれている。
モナーもいくつかのスレに顔を出した後、投下の合間を縫って、数日ぶりに川原へと足を運んだ。
足元から聞こえる呻き声に目線を下ろすと、すっかり眠り込んでいる流石兄弟が草むらに寝転がっていた。
気持ちよさそうに寝ている兄者とは対照的に、弟者は眉間に皺を寄せている。
胸の上に兄者の頭があるのだからさぞかし苦しいだろう。
それでも兄者をどかすことなく、むしろ腕を回して落ちないようにしてやっていた。
相変わらずの仲の良さに苦笑し、さらに川の方へと降りていく。
すでに来ていたモララー達は、モナーに気付くと手を振った。
草むらに座り込み、あの日と同じように夕日を眺めた。
「何事もなくてよかったね」
「言っただろ、どうせ釣りだって。それにしてもなあ……」
尻尾を揺らしていたギコが突然笑いだした。
「閉鎖は無いとわかった時のモナーのはしゃぎっぷりはすごかった」
「抱きつかれた時に、顔に鼻水がついたよ」
「許してほしいモナ」
からかわれることに恥ずかしさを覚えつつも、彼らとまた一緒にいられることに喜びを感じる。
この世界が消えなくて良かったと心の底から安堵した。
二人の頭越しに見える水面は、陽の光を受けてきらきらと輝いていた。
変わらない風景。変わりゆく世界。
永遠など望めないのは知っている。
だから、いつか消えゆくその日までは、彼らと共にこの世界を楽しもう。
ログに少しでも思い出を刻めるように。
330:終
07/01/20 22:45:22 6U0ZUHoK0
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 閉鎖しないよね?
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
331:風と木の名無しさん
07/01/20 23:02:37 j5TPjuYPO
乙!!可愛かった…!!
332:風と木の名無しさん
07/01/20 23:40:11 7WimgRZw0
>330 乙
大丈夫、大丈夫だよ。AAは不滅だ。
テラカワイカッタ!
333:風と木の名無しさん
07/01/21 10:07:04 GPF84btI0
音楽かけながら読んでたら何故か目から水が
乙・・・
334:風と木の名無しさん
07/01/21 20:04:53 Dvv559IG0
閉鎖騒動はネタとして遊んでいたが
モナの気持ちにキュンキュンした
モナカワユス!!!
335:風と木の名無しさん
07/01/21 20:25:04 f4+SXphGO
乙!本当にスッゴい可愛かった!!
書いてくれてありがとう!
336:風と木の名無しさん
07/01/21 20:33:57 hwgEGxlF0
僕のときめきもメモリアノレしそうです
337:似非マフィア1
07/01/21 20:56:37 KI3gyRGM0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
何だろねこれ似非マフィアモノで、唐突に思いついた走り書きです(オリジ
ゆらゆらと頭を揺らし、老人は微笑んだ。
この閉鎖された土地を支配し、血の雨を降らせ、身を呈して守ってきた男。身内に
は誰よりも優しく、それ以外には誰よりも残酷なマフィアのボス。
上品な老人にしかみえないが、この島の人間なら誰よりも恐れられている男。
「ああ、それで……?」
甘く掠れる声が青年の耳朶をうつ。腰が震えるほど甘美な声だった。何人のシチリ
ア・マフィアが、この声に跪いて手にキスをしたのだろう?
彼らは時に自ら望んで膝を折り、あるいは甘美な脅迫に震えて這い蹲ったに違いな
い。
この声で死を宣告されるというのは、どのような気分になるのだろう?
自分の最期を決める砂糖菓子の声、そのとき胸に去来するのは陶酔か恐怖か。
老眼鏡の奥の目が笑っている。
目じりの皺は深く、髪を梳くほっそりした指には無骨なダイヤが光っていた。
「ドン・エルリオ……私の兄弟を何故、あんな低俗どもに売ったのです? 確かに私
の兄弟はヘマをした。馬鹿だった。けれどあれは、私の兄弟であり、ひいてはこの土
地の息子たちです。何故、この土地の息子たちを売ったのです」
ご存じなかったとは言わせない、と付け加えて青年は真っ直ぐに老人を見据えた。
小さなファミリーの2代目。数年前、強引な手法と大胆なやり方で急成長を遂げた
青年のファミリーは、最近の縄張り争いでヘマをした。
大元締めであるファミリーの末端構成員を一人、乱闘騒ぎの末に殺してしまった。
相手が悪かったとしか言い様がない。
ファミリーの仇はファミリーが返す。この土地は、そういう土地だ。
老人はそばに使える男に目配せ一つして、控えめに笑い声を上げた。くすぐったい
ような声だった。
「それは君、君の兄弟が私のファミリーを傷つけたから……。私はこれでもここにい
る全員の父親だよ? 時には冷酷になることもある……あの下品なムッソリーニのよ
うに、ね?」
338:似非マフィア2
07/01/21 20:58:03 KI3gyRGM0
「傷付けた……あの、赤毛の青年ですか? 可愛そうなことをしたと思っています、
しかし先に手を出したのは彼だ。彼は私の兄弟のシマを荒らした、ご存知でしょう」
「やんちゃな子供だ、君もあの子も殺された子も。君は自分の身内が吠えた言葉を
鵜呑みにして、私のファミリーを殺した。急いていたね、何の調べもせずに……」
「調べる余地もない―貴方は彼を可愛がっていたそうですが、私のシマで暴れる
なら、それ相応の覚悟をしていただかなくては」
「可愛い子だった。私のシマ、と言ったかな? 君の物? 私ではなく君の? 少
し、勘違いをしているのかな……不可侵条約を結んでいるわけではないのだよ、
我々は。抗争の何がおかしいかね? そして子の抗争に親が口一つ、手一つ出さな
いという約束はない」
「貴方に―貴方に殺されたのなら私だって文句は言わない! 偉大なドン・エルリ
オの手にかかって死んだなら。けれど貴方はあの汚い丸々と肥えた金の亡者に兄弟
を殺させた。何故です。同じ死ぬなら」
「私の手を汚して欲しかった……?」
射精の寸止めを食らったように顔を歪めて、青年は目を逸らした。ほっそりした指
がダイヤの指輪ごと血に染まるのを想像して不敬な欲情をした、そのことを悟られま
いと目を逸らした。
老人の側近がひそかに目を細める。
青年はぐっと奥歯を噛み、小さな自分のファミリーの面々をひとりひとり脳裏に描
いて深呼吸した。
エルリオ・ファミリーの前で青年は弱者だ。マフィアのボスと言っても青年はちっぽ
けなファミリーを親から継いだだけだ、この土地の最大手であるエルリオ・ファミリー
に逆らっては生きて行けない。
幼い頃、青年はこの老人に会ったことがある。彼の親父が、手前の息子でござい、
と挨拶に伺ったときだ。
その頃すでに30の半ばを過ぎていた老人―ドン・エルリオは、柔らかな手で子供
の頭を撫で、甘い声で褒め言葉をくれた。どんな言葉だったかは忘れた。ただ手が震
え、痺れ、立っているのがやっとだったのを覚えている。それまで見たこともない美
しさで、ドン・エルリオは青年の心深くに入り込んだのだ。
その男の家に、今青年はひとりで乗り込んでいる。豪奢な暖炉の前で寛ぐ老人の前
に立ち、大勢の側近に取り囲まれてもはや逃げ場もない。
339:似非マフィア3
07/01/21 21:00:18 KI3gyRGM0
「私は―私は、あいつらと貴方が手を組んだという事実が許せないのです。何故。
それならジェンティーレ家に頼まれたほうがマシだった」
「あの家は情熱的すぎて私は好かない。若気の至りを勇気と、無思慮をマフィアの冷
血と豪語する連中だよ、君? あんな馬鹿よりは、札束の端と端を握り合って握手を
する馬鹿の方がいい……何より清潔だしね」
ふふ、と笑って老人は側近の手にそっと触れる。側近は腰を曲げて口元に耳を近づ
け、何ごとか命令されて素早くその場を離れた。
青年はそれらを全て目に収めながら次の文句を捻り出すところだった。
「私の親父は貴方に忠誠を誓った、私の代でもそれは変わりません。私だって貴方
を―父が死んだ今は、本当の父とも思っています」
老人はこんな若い息子が出来て嬉しいね、と冗談とも思えない口調で返す。
「ただ、どうしたのかな君の家は? らしくない働きをした。焦っているのか、自
棄になったのか……君の親父の代は無茶な稼ぎなどしなかった。君のファミリーに
は似合わんことをしたね」
「甘やかされた二代目の失態と言いたいのですか」
「ああ、違う違う……君は賢い。らしくない、と言いたいのだよ。君はよくまとめ
ていた。稼ぎは―確かに良くなかったが、実に私好みのファミリーを作り上げてた。
下っ端の小競り合いで死人を出すようなファミリーではなかったと言っているんだよ」
欲を出すのは時期が早かったということか、そもそも稼ぎ頭になるには分不相応と
いうことか。
先ほど出て行った側近が、ワインを乗せたワゴンを押して入ってきた。
濃密な赤がグラスに注がれ、老人と青年にそれぞれ手渡される。
「……8年前はいいブドウの取れた年だったね。うちの畑でも上物のワインが出来た。
飲みなさい」
「いただきます、ドン・エルリオ……アレクセイおじさん」
「そう、そう……ジャック坊や、政府の犬と喧嘩するには、君はまだ若い。あと10年
は待つ覚悟をしなきゃいけない」
喉を潤すワインは美味しかったのだろう。しかし、青年には味が分からなかった。
老人の前でゆっくり物を味わう度胸を、まだ持っていなかったのだ。
340:似非マフィア4
07/01/21 21:01:37 KI3gyRGM0
「このワインも、あと10年経てば更に深く重い、業の味になる。待つことが肝要だ」
「ええ、はい」
「さ、私と君の喧嘩はおしまい……それでいいかな?」
「私のファミリーと貴方のファミリーの喧嘩ならば」
「結構、今回は特別だ……次回はない。君も君の家族も、よく覚えておくように」
10年、と呟いて青年は残してきた家族を思い出した。
残してきた家。残してきた家族。残してきた畑。この土地。
コーザノストラ。
全く愚かな二代目。
突っ走ってヘマをして、更に走って今こんなところにいる。
「アレクセイおじさん、少しやせましたね」
「……いまだに苦労が耐えない、全く。やんちゃな坊やがいるからね」
「でも相変わらず綺麗だ」
「こんな老人つかまえて、何を……そういうのは女に言うものだ」
「そうですね、僕はおかしいんです」
ワイングラスを口につけたまま、老人がくすりと笑う。細めた目尻の皺は優しい。
青年は老人のワイングラスをつまむ指から足のつま先まで舐めるように見ながら、
武者震いを堪える。
跪いてキスをしたいわけではない。
たれた頭を撫でて欲しいわけではない。
征服したい。
ただ組み伏せ、戒め、捕らえ、手に入れるのだ。
撃たれた子供がシチリア・マフィアだったというなら、青年もシチリア・マフィアだ。
この土地の子供だ。コーザノストラ、何もかも手に入れようとする貪欲な子供たち。
そしてそれは老人も同じだ。この土地を掌握し、青年のファミリーを揺るがし、札
束で馬鹿の頬を叩き、全てを魅了する笑み。その魅力がどこからくるのか、端正な顔
立ちからか、生まれ持ったような暴力と金の力からか。
341:似非マフィア5
07/01/21 21:02:48 KI3gyRGM0
「さ、ワインを飲んだらカードでもしようか、それともチェス……? 君の手が久々
に見たいな」
「お好きな物を、お好きなだけ」
ワインで濡れた唇を見ながら、青年は答える。
老人はまた側近の手に触れ、側近はワインの乗ったワゴンを押して退出した。
今度そのワゴンに乗ってくるのは、カードかチェスか。
青年はゆっくりと左手を胸ポケットへ近付ける。
滑らかな動作で短銃を取り出すと、あっけないほど簡単に老人へ照準を定めた。白
い睫に縁取られた目が数度またたき、部屋にいた男たちは、あっと声を上げて固まっ
た。
「……そう、勇猛果敢で独断的、だが破滅的で庇護欲をそそる。6年前のチェス、チェ
ックメイトのあの一手が私は一番好きだ」
「貴方に大敗したのに? 私が好きなものは血と金と家族、それ以上に貴方。貴方だ。
私がこの8年、ちっぽけなファミリーを追い立てて急成長させたのは貴方が欲しかった
からだ」
この男を前にして、お前が欲しいとほざいたのは青年ぐらいなものだろう。
どんな女も男も子供も、老人の前では従順な震える子羊になる。
翡翠色の目が笑った。
「私が欲しい……そんな情熱的な言葉、何年ぶりに聞いただろう。しかも銃を突き付
けながら。あっはは、君は本当に魅力的なシチリアの子だ」
「言われたことがあるのですか、こんな言葉?」
「ああ、ある。今は墓の下にいる男から」
「―貴方が私に教えた。この土地の子供なら、欲しいものは何としても手に入れろ
と」
「そう、ただし手法は選ばなければならない。私は時間をかけた一手が好きだ」
「私には―真似できなかった、アレクセイおじさん」
たった、8年。老人にとっては恐らく短すぎるほどに短い時間だ。
身が千切れるほど恋しかった。
8年前からずっと欲しかったのだ。今欲しい、今すぐに欲しいと焦がれ続けた自分
の半生を思い返し、青年は銃を握りなおした。
342:似非マフィア6
07/01/21 21:03:59 KI3gyRGM0
震えもせず、銃口は老人の頭を捕らえている。
成熟には程遠く、立ち戻るには更に遠く、走り出したら止まりきれず問題を起こし、
今こんな形でここに立っている。
最後の最後でツメが甘い。未熟ゆえか、元々の気質ゆえか。
周囲の側近たちは冷や汗を流しながら銃で青年を取り囲んでいる。一触即発の空気
の中、きちがいじみた告白に付いていけないといった様子だ。
「破滅的でドラマティックな、いい最後だね……私を殺して君も殺されて、それで私
を手に入れたつもり?」
「好きでしょう。フランス映画にありがちな、喜劇を悲劇と吐き違えたラスト。手に
握って確かめられる褒美もない、思想主義者の喜びそうな……」
愛だとか恋だとか。心だとか。
自分には手に入らなかったものを、他人にも手に入らない形にしただけで、本当の
褒美は何もない。
そんなことは分かりきっていながら、この最後しか選べなかった青年は確かに未熟
だったのかもしれない。
「こんなに美しい人を子供の頃から見せられ続けて、狂わないわけがない……どう
して親父は私と貴方を会わせたのでしょうね? せめて恋ひとつしてから、貴方と
会いたかった」
「それで、そうしたら、私から逃れられたとでも……?」
いつまでも。いつまでもいつまでも、この男を見ていたかった。
汚い金で潤された土地で、無知な子供は物心がついて直ぐ、完璧に美しい男を見た。
柔らかな手が頭を撫で、慇懃無礼に握手をした時から落ちてしまった。
未熟がよぶ情熱や善意、正義と悪を使い分ける偽善の快楽、半端に味わった世界の
苦味と甘味、聡明な青年は理解した。
世界は自分の物にならないと理解した。
しかして土地は青年に道を示した。
暴力、金、およそ力と呼べるもの全てを行使し、生きていくこと。
この土地で生きるとは、ただ息をすることではない。
何がしかを組み伏せ、捕らえ、手に入れることだ。
「いいえ……逃れるなど私は望まなかったはずだ……何度だって、どうやったって、
この土地の子供なら貴方を望む!」
343:似非マフィア7
07/01/21 21:05:10 KI3gyRGM0
絶叫。撃鉄が硬い尻を叩く前に、他のいくつもの銃が火を吹いた。
ぱっと血が飛ぶ。衝撃に身体がうねり、不恰好な踊りを披露して青年は銃を取り落
とした。がくんと膝の力が抜ける。糸が切れたように床へ倒れる。
最後に撃ったらしい、老人の背後に控える男はぜいぜいと息を荒らげていた。
仰向けに倒れた青年は過ぎる痛みで息も絶え絶えだったが、それでも老人を求めて
首を巡らせた。じっと見る。視界が霞んでいく時間を惜しむように見る。
傷一つなく優雅に微笑む老人を見て、青年も―笑った。
「君はマフィアには向かなかった……小さなアパルトマンで、静かな女を愛していた
ほうがよっぽど似合っていた」
「貴方を知る前なら―そんな道も選べた」
「情熱的で、ロマンチックで、ああ、やっぱり……弾はどこにやったのかね?」
青年の銃を取り、老人は慣れた手つきで軽いそれを弄ぶ。留め金を外して空の弾倉
を青年に見せ、困ったように笑う。
「……破滅的、でしょう……それしか、選べない」
「ジャック」
「私は、この土地の子供としては、駄目だった。けれど、それでも……」
「ここまできて掟を忘れられない君は、確かにこの土地の子供だ」
服従の掟。自分より上位の者には絶対に逆らわない、この土地の子供の掟。
老人は青年の傍らに膝を折り、小さく上下する胸に手を置いて囁いた。
「おやすみジャック。せめてもの恩赦だ、残された君のファミリーは私が守ろう」
「お願い―します。妹、に……いい婿を」
「うちの若いのにいいやつがいる。彼女は、私のファミリーに迎えよう」
青年の血塗れの手が伸びる。それは老人の首へかけられようとし、側近たちがまた
色めきたつのを老人は視線だけで抑えた。
細い身体を近付け、青年の手が楽に届くようにしてやる。
しかし、突如青年は目を見開き、すとんと手を下ろしてしまった。
老人が小さく首を傾げる。なぜ、と問う目に青年は微笑を返した。
「汚れてしまう……アレクセイ」
血の海の中、震える手は赤く染まっている。
「ああ、本当に君は―何て子だろう」
困ったように、ほんの少し照れたように、老人は言った。青年はその声音に幸福を
覚える。事切れる寸前にこのような幸福を得られるとは、思ってもいなかった。
344:似非マフィア8
07/01/21 21:06:43 KI3gyRGM0
「アレクセイ―……ずっとそう、呼びたかった」
「そう……他に望みは?」
「許されるなら……私の、ファミリーが、私の命で、許されるなら―他に何も」
何も。アレクセイ、貴方とファミリーがいれば、それ以外は何も。
それは、ある者にとっては何も望んでいないのと同じだが、この土地の子供たちに
とってこの世の全てだ。
老人は最後の最後に全てを望んだ青年を、驚きと賞賛の目で見た。
小さな子供だった。父親の後ろに隠れ、ジュースもお菓子も要らないと遠慮ばかり
する子供だった。まだ若かった老人が膝の上に招いたときだけ、こちこちに緊張しな
がら身を預けてきた。
その子供が今、全てを望んで死んでいく。
欲しい物は手に入れ、やりたいことはやりつくし、それでも飽くことなく何がしか
を求めてきた老人は、失われる命を前に初めて惜しいと思った。
命が惜しい。この命は惜しいものだった。何十年と生きてきて、父も母もなく生き
てきて、初めて欲した人間が、今だ幼さを残す青年とは。
「ジャック」
もう返事をする力も残っていない青年は、薄く開けた目で老人を見つめている。
その目は欲しいと言っている。青年は死に瀕してなお、老人を欲している。
「もっと早くその言葉を聞きたかった。もう意味のないことだがね。……ジャック、
もう聞こえないのかな?」
アレクセイ、と唇が僅かに動く。声はない。
側近たちは呆然とその光景を見ていた。
血の海で死に行く若者と、膝を折り傍らで囁き続ける老人。
ほっそりとした指が青年の頬を撫でる。無上の喜びを感じたように、青年が目を
細める。その顔は笑っている。
唇がまた僅かに動く。―アレクセイ。
老人は静かに青年の額に口付けた。冷たい額、冷たい鼻、まだ温かみのある頬、
もはや焦点の合わなくなった目が老人の輪郭を求めて彷徨っている。
最後に唇を合わせて、老人はゆっくりと背筋を伸ばした。
青年の目は既に茫洋とした一点を見つめて動かず、血の海に沈んだ手は緩く曲げ
られたまま動かない。もう、永遠に。
その目が老人を追うことも、その手が老人に伸ばされることもないのだ。
345:似非マフィア9
07/01/21 21:09:01 KI3gyRGM0
「……ドン・エルリオ、彼を帰します。よろしいですね」
沈黙を破り、側近のひとりが前に出る。
老人は身を起こし、それまでと変わらぬように椅子へ腰掛け、頷いた。
「後の手配は懇ろに決して不備のないように。私が殺した子供ならば、誰よりも丁
寧に送ってやることを、忘れずに」
「はい」
「破滅的で、大胆で、かと思えば謙虚で、家族思い―ああ、この土地の子供が私は
好きだよ」
ドアの外で待機していた側近が、ワゴンの代わりに担架を担いで入ってきた。
老人はちらと取り残されたワゴンを見る。チェス盤の上には8年前の駒が再現されて
いた。
叶わないとは、と呟いて老人は目を閉じる。
「不思議だ……叶わないとはこういうことか、私は彼ともう一度チェスがしたかった」
「―誰か、お呼びしましょうか……」
「いいや、他はいい。これは復讐かな、最後の一手……本当に最後の。だとしたら私
は彼にまた言ってやらなくては。ああ本当に、何て子だろうね。何て破滅的な」
肩を揺すって老人は笑い、行きなさい、と手を振って側近たちを追い払った。
従順な側近たちが静かに退出し、青年を乗せた車は敷地を出て行く。
窓の外、滑るように走り去る車を目で追って老人は呟いた。
唇だけ僅かに動かして、声も立てずに。
あの青年が、そうしたように。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・#)イジョウ、ジサクジエンデシタ!
おわーり
長過ぎデスネー、すんません。
上下関係萌え。軍人もマフィアも何でもこい。
346:風と木の名無しさん
07/01/21 22:06:49 TuQDc3xm0
ぎゃあああああ
萌えツボ撃ち抜かれた…
姐さんの文章何もかもが理想そのものです
ありがとうありがとう
347:風と木の名無しさん
07/01/21 22:11:55 /0RmXKPnO
ぬうをぉぉぉぉぉぉ!!
大ヒットォォォ!
場外ホームラン級の萌えだぁ!
コレが萌えというものか!?
ジジイ萌えマジ最高!!
348:風と木の名無しさん
07/01/22 00:05:17 LmjTwFX10
凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、
ご免なさいほかに言葉を知らなくて、凄い!
349:風と木の名無しさん
07/01/22 01:50:00 PggxdvdsO
うわー!
ときめきと切なさと萌えが混ざった素敵な小説でした!
ただ名前がイタリア的だともっと良いのにと思う私はイタリアオタクorz
それ以外がすごく好きだから個人的にはちょっと残念でした。
350:337
07/01/22 12:17:48 YbMyuzY90
オリジに反響してもらえるとは嬉しい
>>349
ネットをチラ見したとき、シチリア・マフィアってアメリカから移ってきたって記事がありましてん
ほんなら~アメリカンな名前かなと単純に……今読み返したらイタリア→アメリカ→イタリアの逆輸入マフィアンでした
すまぬよ すまぬよorz
ご指摘感謝します
351:風と木の名無しさん
07/01/22 18:47:26 Xj3+VTP60
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )日曜ドラマ鰈の父×次男です 近親注意!
「お前は私の子だ…」
繰り返し父はそう言った。
その真意は判らなかった。
しかし、
「どうして、僕なのですか」
まだ幼いその問いに、父が答えることはなかった。
初めて父の寝室へ呼ばれたのは、高校へ上がった頃であったと記憶している。
話がある、と言われた。
なぜ居間でないのか訝しく思ったが、父の就寝前であるためか、と心得て深夜、そのドアを叩いた。
家庭教師である女性がその部屋へ出入りしていることもすでに確信に変わりつつあったので、
入れと言われても何となく足が進まなかったのを覚えている。
中に入ってからは、酒精が効いたかのように、夢現つであったかのように、記憶が判然とせず、全てに惰性的に
なった今思い出してさえ現実的ではない。それほどにまだ若かったの自分には衝撃的だったのだろうと思う。
父は僕に触れた。僕のことを如何に大事な息子と思っているか語りながら。父の表情はいつもながらの
仏頂面だったが、それだけに一種異様な雰囲気に僕は逆らえなかった。夢のよう、と例えたのは、まさに
判断能力さえもその雰囲気に奪われていたとさえ言えるからである。父は服を脱ぐように求めた。僕をはっきりと
見たいのだと言った。僕は、それに応じた。
352:鰈ー族 父×次男2
07/01/22 18:48:11 Xj3+VTP60
そんな夜は繰り返された。何が起こっているのかは判らなかったが、それが性的なことだということは
一夜目が明けた朝には判っていた。父は息子の平たい胸をまさぐり、体中を撫で、時に接吻し、僕に快楽を
促した。しかしなぜ父がそんなことをするのかは判らなかったし、そもそも男同士でそのような行為に及ぶという
ことの意味も判らなかった。自分の知らない何らかの意味があるものなのかとも思ったが、誰に訊くにせよ憚られた。
女子との付き合いはあってもそのような関係に及ぶことは、万一のことを考えるとリスクが大きすぎた。
あっさり切れるような女ならともかく、相手はほとんど同じ学校で知り合うような名家の令嬢なのだから、
家の体面を考えると結婚相手でもなければまずいことになる。結婚相手はどうせ将来政治的に決まるのだから、
今は考える必要などなかった。そんな自分にとって、父の寝室は、ただ快楽であった。それ以上でも以下でも
なかった。変わったことと言えば、少しだけ彼の愛人を見る視線が変わったことくらいだった。彼女も、
僕と同じようなことをされている。それは思春期の性をぐっと身近に感じさせたが、彼女を性的な対象と
見ることはなかった。
僕の相手は父だ。それは、自ら選ぶと選ばざるに関わらぬ、絶対的な事実として受け止められた。
しかしそのうちに、父の中に息づく強迫観念のようなものが見えてきた。父は狂ったように僕を求めた。僕を、
僕が身を捩ることを、すすり泣きをすることを、父が好きだと訴えることを。しかし本当に求めているのは
何なのか。一度意識すると、その対象は手に取るようである。それは兄だった。
「お前は私の子だ」
熱に浮かされたように父は繰り返した。その度に僕は、僕はお父さんの子ですと答えてやった。しかし
何度答えても、父はそれには満足できぬように、息子の体を愛撫した。
353:鰈ー族 父×次男3
07/01/22 18:48:46 Xj3+VTP60
ある夜僕は勝負に出た。父の寝室での夜は、彼の愛撫によって僕が、そして僕の姿態によって彼が
精を吐くことで終わりを迎えていた。それを逆手に取った。
なぜそんなことをしようと思ったのかは明確だった。
兄に、勝ちたかったのである。
「お父さん…」
吐息にまみれた声で、父の男性が十分に力を持っているのを見越して声を上げた。父の目は既に欲に濡れ、
僕しか見ていないと自信があった。随分の間口の中でしゃぶっていた父のそれ、その先端をちろりと舐めたり
指で擦ったりしながらいつもより特に甘えた声を出した。
「あぁ、待って下さい、お父さん」
息子を抱き寄せようとするとする父の体を少しだけ遠ざけ、その目の前で大きく脚を広げた。その行為は
少なからず僕自身をも興奮させた。そのことに自分でも少々驚きながらも、吸った息を大きく吐いて、僕はそこを
広げて見せた。父は自分の目の前の息子の恥態に目をみはっているように見えた。
「お父さんがいつもそのお指で気持ちよくさせて下さるところです」
呼吸が乱れて一息には言えなかった。言いながら自分で指を入れていくと、あぁ、と関係のない音が
漏れてしまった。唾液を絡ませてもいない自分の指は痛みを生んだが、先刻まで父が舐めたり揉んだりしていた
秘部は、ゆっくりそれを飲み込んでいった。
「ここに、本当は、…入るのでしょう…お父さん」
354:鰈ー族 父×次男4
07/01/22 18:50:16 Xj3+VTP60
何がとまでは流石に言えなかったが、その代わりに指を彼の物に這わせてそれを示した。怒張したそれは、
確かに指や肌よりも粘膜を欲していた。僕は舌を出して、この体勢では届かぬそれを舐めるかのように、舌で父を
手招きした。意外にも彼は少し逡巡したようだった。しかし僕から抱きつくことで、終わりになった。
入ってくる。それを意識した瞬間、脳裏に兄の涼やかな顔が浮かんだ。
兄さん、そう彼に頭の中で呼びかけた次の瞬間、予想以上の圧迫感に息がつまり、喉が反った。
「あぁ…ああ、お父さん、お父さん」
しかしそれはやはり僕にとって快楽であった。彼はまた僕を、自分の子であると言った。その自分の子を
犯しながら言った。笑いそうになってしまった。絶頂の寸前、耐えきれず口元を歪めてしまったのは、
しかし兄に対する優越感からだったのかもしれない。そして、今までにない物理的な快楽と、征服されるという
被虐的な悦楽と。父はその淫乱の笑みにさえ興奮を高め、射精した。僕は本当に父の物になってしまったと
その時に思った。しかし悔いはなかった。自分でもおかしなことだと思うが、兄に対する勝利の余韻の方が
ずっと強く僕を支配していたのだ。
その日以来、僕は今までに増して父に愛されるようになった。
兄を越えたと思った。夜毎父に求められる度、自分はあの女も、母さえも寄せ付けぬ魅力を父に対して
発揮することに成功したのだと思った。まして兄さんなど。
しかし僕は兄に勝ってなどいなかった。
それは数年して忘れた頃に思い知らされることになる。
兄がマサチューセッツからの帰還を半年後に控えた秋のことだった。
355:風と木の名無しさん
07/01/22 18:51:54 Xj3+VTP60
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )中途半端な終わりでごめんね!
というか最初に謝っとくべきだったけど、原作や公式設定を
ぜんぜん知らないのだよ・・・ファンの人スマソorz
356:風と木の名無しさん
07/01/22 20:31:33 ZCg4emKgO
( ゚д゚)モッエー
357:風と木の名無しさん
07/01/23 00:53:22 UISNp25M0
>>351-354
切ない萌え(;´Д`)ハァハァ
358:風と木の名無しさん
07/01/23 01:00:12 eJnSBTlE0
>>355
ネ申
359:風と木の名無しさん
07/01/23 01:09:55 kws020gBO
禿萌 ありがとう
360:風と木の名無しさん
07/01/23 02:07:59 BPEdGbjoO
神よ激しい萌えをありがとう
361:風と木の名無しさん
07/01/23 15:27:57 kVi0zYRj0
>>351-354
父×次男ムッハー=3
ありがとうありがとう
362:風と木の名無しさん
07/01/23 19:56:50 RJOliNJv0
レスくれた姐さんたちありがとう!意外なほど父次男に萌えてくれる
人がいて嬉しかったので続きも投下してみる。
連投済みません('・ω・`)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )
363:鰈ー族 父×次男続き 1
07/01/23 19:58:01 RJOliNJv0
帰国した兄は、僕を含めた周囲の予想通りに身を立てていった。
経営者として製鉄を継ぎ、学んだ専門知識を生かしながら技術力を高め、嫌みのない態度で部下にも
慕われていた。また、美しい妻を迎え、その後ろ盾をも同時に得ることでさらに財と権を兼ね備えた。
まさに一点の汚れもない人生だった。それは僕もとっくに予測していたことだった。幼い頃から兄は
憧れであり、嫉妬の対象であり、比較される対象であった。だが自らの予想が裏切られなかったことに、
内心ちりちりと弱火で焦がされるような苛立ちを覚えることもあった。
しかし兄が僕を弟として愛する態度は、留学前と何ら変わらぬものだった。帰国を祝うために家族が
空港に迎えに出た時も、兄は父と母に礼をした後で僕と姉妹を一人ずつ抱きしめて久しぶりだなと笑った。
自分に厳しく、周囲に親しく。人格的にも非の打ち所のない兄を数年ぶりに目の当たりにした僕は、
それを相変わらずだなと冷めた目で見つつも、やはり彼に憧れている自分を見つけた。
兄は僕の頭上に手をかざし、背を測るような身振りをしながら、また大きくなったなと言った。
僕は兄の印象が大人びたことを告げて、その後で出かかった言葉を飲み込んだ。
学と経験を積んで一人前の成人男性として帰ってきた兄は、肖像画に見る祖父の面影を色濃くしていた。
兄特有の明るい表情が一瞬真顔になる時など、それは瓜二つであると言っても良かった。
なぜそれをすぐに口に出せなかったのか。それは家に戻って幾日かが過ぎてから判った。父がその場に
いたからである。
父は家で、特に兄と親しげに話すことはなかったが、祖父の肖像画を黙って見ていることが多くなった。
それが僕には、兄を見ているようにしか思えなかった。父の兄への執着、そしてそれに対する嫉妬心は、
あれ以来ーー僕が自ら父と交わって以来しばらく忘れられていたのに、再び意識されざるを得なくなった。
364:鰈ー族 父×次男続き 2
07/01/23 19:59:09 RJOliNJv0
僕は父の寝室でさりげなく糾した。父が僕のことを本当に可愛い息子だと褒めそやすのに、
「兄さんよりもですか?」
そう訊いてみた。一度目は、父はじっと僕の顔を見た後で、あいつはお前とは全然違うと答えた。二度目に
同じことを聞いた時、父は黙り込んでしまったので、その唇に舌を這わせて接吻し誤魔化した。
その後は、兄の話は寝室ではまずいと思って避けている。そうする限り、父はただ僕を本当の子供だと
呼び、僕を愛した。身も心も夜通しかけて。まるでもう一人息子がいるなんてことはないかのように。
父と兄、そしておそらくは父と祖父と兄、その間にある何か複雑な結びつきに僕は関心を持ったが、
深入りは危険だと判断し、気にしない風を装った。
しかし日に日に心中に焦りが生じてきた。はっきりと自覚したのは縁談の話を出された時である。
「お前もじきに嫁を取って暮らすのだな」
睦言の間にも父はそう零すようになっていた。それは僕にとって時間のリミットを知らせる通告のように
も響いた。そうでなくても、自分は成人し、父が最初に求めた少年の柔らかい肢体とは随分異なる、強い
筋肉と細長く固い四肢を持つ、男の体になっていた。それでも父は変わらず夜に僕を呼びつけたし、僕の
体もその都度愛でた。しかし不安は募っていた。そこへ伴侶の話をされたのだ。
冗談ではない。そう思った。
「お父さん…寂しいですか?」
「うん?お前はどうなんだ」
結婚は避けられるものではないが、それをきっかけにこの関係が終わる可能性は高い。別邸へ移るかも
しれないし、父の側で暮らすとしても夫婦の寝室を設けられるだろう。それを抜け出すだの言い訳するだの
考えるだけで厄介だった。そもそも縁談を取り仕切る父の愛人は、父との夜を共有するという意味では同じ
立場でもある。本人に聞いたことはないが、僕と父の関係を知らぬなどということはないはずだった。
「…お父さんの部屋へこうして来れなくなるとしたら、勿論寂しいですよ」
365:鰈ー族 父×次男続き 3
07/01/23 20:02:19 RJOliNJv0
父と情事を持つこと。そしてそれを兄に秘すること。それだけが、僕を兄よりも優位に立たせていた。
「可愛いことを言うものだな。綺麗で従順な娘が来れば、私のことなど忘れるだろう」
「まさか…お父さん、お父さんが今までずっとお世話して下さった僕のこの体は、どうしろと言うのです。
いくらいい娘が来ても彼女にはどうにもできない、この熱は…」
情事。そんなことで何が優越しているのかと、聞く者が聞けば笑い飛ばすだろう。
「父のせいにするのか?お前の、過敏な体を」
「お父さん、あぁ、悪戯をしないで下さい。あぁ、駄目だ…駄目です、いけない」
しかし僕にはもうそれしかなかった。僕にできて兄にできぬ唯一のこと。それは恥ずかしげもなく実の
父の前で股を開き、父の体の上で卑猥な言葉を叫んでは、舌を吸い上げて接吻を繰り返すことだけだった。
「どうにもできない熱だと?どこが熱い。私に見せてみなさい」
「お父さん、ああもう貴方が欲しい。もう、あぁ焦らさずに…お父さん」
見合い写真を見せられた時は、いずれ避けられないと思ってはいたがついに来たかという感じだった。相手は
家柄も利害も器量も良く、断る理由もなかった僕はその場で承諾した。任せると告げると、微笑んだ父の愛人は
心なしか勝ち誇ったように見えた。
焦ってはいたが、何か行動を起こさねばと思うたびに自ら待ったをかけた。一つには父の本心が読めなかった
からだ。兄が帰国してからも相変わらずただ厳格な態度を示し続ける父は、本当に僕だけを愛しているのでは
ないかと思える時もあった。そうだとすれば一人疑心暗鬼な自分が滑稽だったが、涼しい顔で高炉建設だとか、
夢だけを見て走り回る兄の高潔さを見ていると吐きそうになった。彼の持つあまりに多くの美しいものに比べて、
自分が縋り付く唯一の誇りは自分を男娼に堕とし男娼であり続けることか。そんな惨めな問いが浮かぶたび、
忘れる為に父と交わった。
366:鰈ー族 父×次男続き 4
07/01/23 20:03:11 RJOliNJv0
しかし壁伝いに迷路を彷徨いながら婚約を待つだけの日々は唐突に終わった。
「お父さんは、僕が嫌いなのですか」
その兄の言葉、全く彼にしては珍しく馬鹿らしいとしか言いようがない、一言の台詞によって。
物陰から見ていた僕には気づかずに、父は言った。
「…私は、いつもお前のことを一番に考えているよ」
そんな言葉を、
僕はかけられたことがあっただろうか。
一度でさえも。
虚言であるはずはなかった。その一言を紡ぎ出すまでの、父の表情といったら!何事か押さえ込むような、
何事か逡巡するような…そんな彼が普段他人に見せることのない内面が、湯船から湯が溢れるように外へ
流れ出していた。企業家として幾多の修羅場を口八丁手八丁で切り抜けてきたあの父が、そのたった一言の
ために!
愕然とした。色に濡れた吐息で、お前だけを愛していると確かに父は呟いた。体と体を溶け合わせながら
何度もお前は私の子だと聞かされた。けれどもそんな言葉が欲しい訳ではなかったのだと、この瞬間に気づかされた。
兄のような言葉をかけられたことはなかった。父の勧めを拒んだ兄の代わりに父の銀行に入り、父が僕の体を
欲しいといえばそれさえ捧げ、どんなに仕事で疲労した日でも望まれれば抱かれた。そこまでしても、
そんな言葉は、一度でさえも。
兄は…傷ついたような顔をしていた。僕が何より望んだ台詞を父に吐かせて。それが清廉潔白の標本のような
男の反応だったのだ。
その瞬間、僕は決意した。結婚する前にやらなければならないことができた。
どうしても、兄を僕のいるところまで堕とさなければ。
367:風と木の名無しさん
07/01/23 20:07:01 RJOliNJv0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )オソマツサマ!
そろそろ原作を読んで勉強しなきゃかな・・・
この後も書こうと思ったのですが、連投の上あまり長くなると他ジャンルの
姐さんが投下しにくくなると思ったのでいったん切ります。
368:風と木の名無しさん
07/01/23 20:27:10 uh4lnXb10
>>367
1本目読んでたらリアルタイムで続きキター(*´Д`)
しかも続きのヨカーン!! ネ申よほんとうにありがとう
萌えつつ絡みに迷っていた次男の方向性が、かなり見えてキターヨ
切ない淫乱ちゃんカワユスカワユス
369:風と木の名無しさん
07/01/23 21:31:02 UNGPuCV5O
(;゚д゚)ゴクリ
370:風と木の名無しさん
07/01/23 21:43:29 vLVUXaCI0
ぜ、ぜひ続きを(;´Д`)ハァハァ
371:風と木の名無しさん
07/01/23 21:58:41 7KuAbf/a0
は、早く続きを…!次男、何をするつもりなんだ(*´Д`)ハァハァ
372:風と木の名無しさん
07/01/24 05:08:42 58yHFVmh0
激しく萌え(*´Д`)ハァハァ
長男次男か次男長男かどっちにしても激しくwktk
次男の誘い受けか襲い攻めでエリート街道まっしぐらな長男が
道を踏み外したらと思うと・・・続きが早く読みたいです!
373:風と木の名無しさん
07/01/24 10:55:54 jAf+lDaf0
こんなに筆力のあるSSを初めて読みました…。(;´Д`)ハァハァ
遠慮せずに続きをドゾー。
374:風と木の名無しさん
07/01/24 13:27:51 nD1sbJLr0
続きがここまで気になるSSははじめてですよ。
375:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア
07/01/24 18:09:57 U1M7JpgJ0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/前途シリーズ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、冒険者×ヴァンパイアです。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
376:風と木の名無しさん
07/01/24 18:10:54 U1M7JpgJ0
「あっ…はあっ…もう放…してくれっ…!」
何故、こんな事になったのだろう。
私の体はこんなに浅ましかったのか。
人間の男の手管におぼれ、挿入され、精液を放たれる。
一方で、鉄製の首輪をされ、鎖で手首も縛られ、私は思うように動けなかった。
この狂った宴は、いつまで続く。
「ヴァンパイア討伐の依頼かあ~」
鍛え抜かれた体を持つ、ロマール人の男が、ギルドの中でつぶやいた。
持ち物はブラッディウイップに、対象者を殺さぬようにできた、いわゆる不殺武器、正義
の鉄槌。
身なりからして戦士だろう。重そうな鎧を身にまとっていた。
「ヴァンパイアとその取り巻きが、儀式の迷宮に住み着いたんでさ。ヴァンパイアのほう
はえらく綺麗な顔してますが、油断しちゃならねぇ。スティールエナジーで殺される冒険
者もいるみたいですぜ。どうします?」
スティールエナジー。対象者の体力を奪い、自分のものとする魔法だ。
ヴァンパイアらしい。
無骨な指が、依頼書をはじいた。
「儀式の迷宮か…そんなにわずらわしいダンジョンでもない、ヴァンパイアとも互角に戦
えるだろう。引き受けようか。報酬は…19070G?十分だ」
男の属性は混沌、悪。
暗殺や誘拐にも手を染めているため、警備員に追われてる身でもあった。
そのため、この街のはずれに貧相な家を構えている。
この男の財力なら、普通の家にするくらいはできるのに、しないのは、一人身で、必要性
がないからである。
「だんな、一人で大丈夫ですかい?」
ギルドの人間が、男が一人だということを確認して、心配して声をかけた。
377:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア2
07/01/24 18:12:30 U1M7JpgJ0
何せ六人パーティで挑んで、仲間の大半を失って、逃げ帰ってきた冒険者もいたくらいだ。
「駆け出しの頃から一人ですべての依頼をこなしてきた。見くびってもらっちゃ困るな」
「失礼しました、ロウッドさんといえば表も裏も―おっと、まあ、有名な方ですからね
ぇ、がんばってくださいよ」
ロウッドと呼ばれたその男は、依頼書にサインをした。
その足で道具屋へ向かうと、ダンジョンに必要なものをそろえだした。
ランプ、ポーション類、ダンジョンの鍵を開けるシーフキー(もっとも、この男の器用さは
人間の域を超えてるので、必要ないかもしれないが)。
儀式の迷宮は、この街から少し離れたところにある。
彼は儀式の迷宮を目指し、道なき道を歩み始めた。
儀式の迷宮は鬱蒼としていた。
小さな迷路のようなつくりのこの屋敷には、沢山の部屋がある。
だが主のいないこの屋敷は、どこも埃っぽく、モンスターの巣窟と化していた。
隠し通路もあり、その下を行けば炎の吹き出るトラップだらけの天然の洞窟。
迷宮にも慣れているロウッドにとっては、そんなものもちゃちな仕掛けにしか見えなかっ
たが。
途中、行く手を阻むモンスターたちをなぎ倒しながら、時々休憩を取り、ロウッドは奥へ
と進んでいった。
ロウッドにとっては何の障害にもならないようなモンスターたちばかりだった。果たして
ヴァンパイアはどのくらいの強さなのか、想像しながら進んでいった。
逃げ帰った冒険者いわく、バンパイア・バットを従えているという。
バンパイア・バットはスティールエナジーを使う、ヴァンパイアもまた然りだ。それさえ
気をつけていれば、案外楽に倒せるかもしれない。
そうしてたどり着いた先に、彼はいた。
――ヴァンパイアだ。
ヴァンパイアは、冒険者の死体に囲まれ、立ち尽くしていた。
どの死体にも首筋には牙の後があり、血を吸い尽くされたのがよくわかった。
378:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア3
07/01/24 18:15:55 U1M7JpgJ0
白い肌、赤い目、血に染まった青い服、さらりと流れる銀髪。
一瞬、ロウッドは息をのんだ。
「新たな冒険者か」
ヴァンパイアはロウッドをにらみつけ、目の前の冒険者の死体をけり転がした。
美しい顔に似合わず残忍だ。だが、そのヴァンパイアに釘付けになっているのはロウッド
だった。
欲しい。この男、欲しい。
「悪いが俺は、そこでくたばってるやつらとは違うぜ。―あんたを、生け捕りにきた」
「…生け捕るだと?そんな事ができればやってみるのだな!!」
ヴァンパイアの鋭い爪が、目の前をよぎった。
それをすんででよけ、ブラッディウイップがしなる。
鋭い音がして、ヴァンパイアの衣服が裂け、体力をわずかに吸い取った。
(効かないか)
正義の鉄槌に持ち替えると、ロウッドは再度ヴァンパイアに向かって振り下ろした。
ガードはされたが十分に体力は削れている。
ヴァンパイアも負けじと攻撃をしてくる。鋭い爪が、ロウッドの首をかすった。
わずかに血が、こぼれた。
ついで、バンパイア・バットの牙が、肩をかすめる。幸い丈夫な鎧に阻まれてたいした衝
撃にはならなかったが。
(チッ、なかなか油断ならねぇな、ヴァンパイア一筋で行くか)
そしてヴァンパイアに向かって、突進した。
ずいぶん長い時間がたっただろうか。あたりには例の冒険者と、バンパイア・バットの死
体が散乱していた。
そして足元には、気絶しているヴァンパイア。
後一回、スティールエナジーが来てたら、ロウッドも危なかったただろう。
それくらいのダメージを追って、しかしヴァンパイアの体力をある程度減らし、気絶させ
た。ヴァンパイアも精神力がぎりぎりまで削られたのだろう。最後はスティールエナジー
すらしてこなかった。
殺してしまえば楽だった。
だがそれをしないのには、生け捕るという、目的があったからで。
379:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア4
07/01/24 18:18:30 U1M7JpgJ0
ロウッドはヴァンパイアを縄で縛ると、口に布を巻きつけた。軽々とヴァンパイアを持ち
上げると、ダンジョンから出て行った…。
ダンジョンから出たときは、すでに夜中の十二時を回っていた。
人気のない道を歩き始める。町外れの自分の家を目指していた。
家の周りですら、人がいなかった。それは好機であった。
家へつくと、まっすぐに自分の寝室へと向かった。そしてそばにあった鎖で腕をぐるぐ
るに巻くと、ベッドにつなげた。
どれだけヴァンパイアが怪力だろうと、これならば逃げ出せないだろう。
男はいまだ目を覚まさないヴァンパイアの美しい寝顔を見て、低く笑った。
「いやあ、流石ですなロウッドさん。儀式の迷宮からヴァンパイアがいなくなったって、
住民が喜んでましたよ!!あ、はい、これが報酬です」
報酬を受け取りながら、ロウッドは話をあわせた。
「ちょっと危ない場面もあったけどな、ヴァンパイアはいなくなった。これで安心してす
めるだろう」
「そのとおりです」
笑顔のギルドの男を見やってから、ロウッドは心の中で笑った。
(本当はヴァンパイアは殺さなかったんだがな、気づくものはいまい)
ロウッドはそのまままっすぐ家へと帰った。
冒険に必要なものなどは買わず、ただ購入したものは、鉄の首輪だった。
鉄の首輪からは鉄の鎖がついていて、何に使うのかわからない品物だったが、惹かれるも
のがあった。
380:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア5
07/01/24 18:19:19 U1M7JpgJ0
「ん…う…!」
がちゃ、がちゃがちゃ
鉄と鉄とがぶつかり合う激しい音が、する。
布に阻まれ、言葉にならない声を上げる男がいる。
その様子を、入り口から満足そうに眺める男が、もう一人。
ロウッドである。
「よう、目を覚ましたか」
「!!」
ロウッドはヴァンパイアのあごをつかむと、まじまじと見つめた。
「う…んー!!」
ヴァンパイアは顔を左右に振って抗ったが、ロウッドの腕力で抑えられ、まともに顔も動
かせない。
顔を離してやると、キッとロウッドをにらみつけた。
「自分の状況がわかってないみたいだな。おら、首上げろ」
半ば強引に首を上げさせると、そこにポケットから出した首輪をはめ込んだ。
ガチャリと鍵のしまる音がして、ヴァンパイアの目は見開かれる。
鉄の首輪の冷たさに眉をしかめ、その首輪の意味することに、いっそう抵抗を強めた。
狭い部屋に、ガチャガチャと鳴り響く鎖の音。それでもかまわずに、鉄の首輪から伸びる
鎖を、ベッドに絡み付けた。
「んん…うん、んー!」
「今日からお前は奴隷だ、俺の言うことは何でも聞くんだぞ?」
「!うう…」
「なあに、毎日かわいがってやるって」
赤い瞳に絶望が浮かぶ。あごをすくい上げ、その様子をじっと見詰めるロウッド。
ぺろ、と、ロウッドは舌なめずりをする。そしておもむろに、ヴァンパイアの衣服に手を
かけた。
音を立ててボタンが飛ぶ。その下にあるハイネックの衣服にも手をかけ、同様に引き裂い
た。
びりびりと音を立て、破れていく衣服に困惑しながら、ヴァンパイアは抵抗を続けた。
だがその抵抗もむなしく、彼の上半身の衣服は剥ぎ取られた。
その肌をまさぐるように手を乗せる。
381:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア6
07/01/24 18:20:18 U1M7JpgJ0
「綺麗な肌だなあ。おっ、ここは俺との戦闘で内出血したところか?傷はつけないでおい
て正解だったな」
「んんっ…」
背をかがめて、赤く色づいたヴァンパイアの乳首に舌を這わせる。
とたん、ヴァンパイアは金縛りにでもあったようにうごかなくなった。
「…!」
ロウッドは左手で、ヴァンパイアの腰あたりをまさぐると、ズボンを下ろしていく。
「…んー!んー!」
そうしてヴァンパイアの衣服を、コートを残してすべてはぐと、その姿に見入った。
「女のように丸みはないけど…あんた、綺麗だな…、もっと、綺麗にしてやるからな…」
男は自分も衣服を脱ぐと、その衣服を床にぽいと置いた。
そしておもむろに、いつも使うバッグの中から、未使用のヒールジェルを取り出した。
「…?」
ヴァンパイアの足をつかむと、秘めた部分がよく見えるように、彼の体を折りたたませた。
足と足の間に,ヴァンパイアの顔がある状態だ、苦しそうにもがくと、恥ずかしい部分を
見られているという羞恥心に、頬を染めた。
「ここ、ならさねぇとな」
そこに、ジェルを塗りつける。ヒヤッとした感触が、背筋を駆け巡った。
本来これは食して体力回復に使うものだが、慣らす分にも具合がいい。
「ん…う…!」
くちゅ、と、みだらな音を立てて指が中へと入っていく。
冷たい感触とともに入ってくる異物感に、ヴァンパイアは苦しそうに首を横に振った。
やめてくれ、という意味なのだがそんなことには気づかず、指の本数を増やしていく。
くちゅ、くちゅ。
耳を音で犯され、そして十分ジェルの入りきったそこに、男は己のものを擦り付けた。
凶暴なまでに熱さを秘めたそれはが、ゆっくりと中へ入っていく。
痛いのか苦しいのか、ヴァンパイアは悲鳴を上げた。が、それも猿轡で邪魔にされ、くぐ
もった悲鳴にしかならなかった。
「んんっ…んんんっ!!」
「苦しい?それとも気持いいか?一回きりじゃまだ気持ちよくなんねぇか?」
ロウッドはさらに体を進めると、完全に自分の猛りを中に押し込んだ。
「…ん…ふぅっ…」
382:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア7
07/01/24 18:21:03 U1M7JpgJ0
「声…聞きたいけど噛まれるからな…」
強烈な締め付けによいながらも、今度は腰を動かす。
ずっ、ず、と、出入りしているのが、ヴァンパイアにはよくわかった。
大きく見開かれた瞳からは涙がこぼれ、動かされるたび、両手に巻かれた鎖が激しく音
を立てた。
―苦しい。何故私がこんな思いをしなければならないのだ。
ヴァンパイアは思った。
だがそんな思いに気づくはずもなく、ロウッドは腰を使い、攻め立てる。
そしてヴァンパイアの中で達すると、彼の上にのしかかった。
どろ、とした熱いものが流れ込んでくる感覚に、ヴァンパイアは眉をしかめた。
「イかねぇなあ…お前。そのうち気持ちよくなってくるからよ、楽しみにしとけよ」
ロウッドはヴァンパイアの頬に軽くキスし、服を着込むとそのまま部屋から出て行った。
一人放置されたヴァンパイアは、いつの間にか出ていた涙を拭くことはせず、ぼんやり
と力なく天井を見上げていた。
383:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア
07/01/24 18:22:01 U1M7JpgJ0
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ マイナーダヨ。シツレイシマシタ。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
384:風と木の名無しさん
07/01/25 00:37:16 aX5R9DkW0
>>375
元ネタ知らないんだけど、萌えました。
385:三/丁/目/の/夕/日 鱸×茶←淳
07/01/25 12:42:15 MwjcruZC0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 三/丁/目/の/夕/日
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、鱸×茶←淳です。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
386:三/丁/目/の/夕/日 鱸×茶←淳
07/01/25 12:44:15 MwjcruZC0
あれから家に帰ったら僕はびっくりした。
だって家の中がひどく荒れてて。足の踏み場なんてもちろん無い。
「おじちゃんこれ・・・」
「あ~~~~・・・;///」
おじちゃんは髪をぐしゃぐしゃと掻き回し(どうも困ったときの癖みたいだ)
照れくさそうな笑顔で「ちょっとな・・・でもすぐ片付けるからな」と言った。
その笑顔がとても綺麗に見えて、なんだか僕は胸が苦しくなった。
「おぉ~~い」
「ここだよ一平ちゃん!」
「おっせーよ~」
僕らは今日、いつもの仲間だけで放課後ここの土管の中に集まって
いつもやっている冒険ごっこや飛行機遊びをしないで大切な話し合いをしようということになった。
そして今遅れていた一平ちゃんがやっと来て全員揃ったところだ。
「おい三郎。大切な話ってなんだよ」
「そうだよお前が言いだしっぺだろ。なんなんだよ?」
「もうそろそろ言えよー」
狭い土管の中皆に囲まれて急かされた三郎君は緊張した顔をしながらそろそろと口を開けた。
「実は・・・俺、好きな人が出来てさ・・・」
「えええーーっまじかよっ!」
「だれだよだれだれ!?」
三郎君の言った内容に一気に騒ぎたった皆。三郎君の顔はこれ以上ないくらい真っ赤だ。
387:三/丁/目/の/夕/日 鱸×茶←淳
07/01/25 12:46:40 MwjcruZC0
「小百合先生・・・」
「えっ」
三郎君の言った名前に皆びっくりした。僕もだ。だって同い年だと思っていた。
「小百合先生って・・・あの新しくきた?」
「う、うん」
「あーわかるよ僕も好きだ小百合先生」
「うん俺も・・・」
「だっておっぱいでっかいしな!」
「そうそう!すっげーおっぱいでっけーの!な、な」
「あれいいよなぁ~~」
「う、うん」
三郎君は気の毒なくらい真っ赤な顔してうつむいてしまった。
すると和君が
「よっし皆!皆好きな人言い合おうぜ!」
と叫んだ。
「お前は?お前誰が好きなんだよ」
「俺はあゆみちゃんかなーっ」
「えっ俺も!」
「あ~そっちかぁ~。僕はのぞみちゃん。」
「あーわかるぜぇ~!!」
そうやってみんなそれぞれ好きな人の話題で盛り上がり始めた。
けど僕は話題に入れない。なんだかよく分からないからだ。
もちろん、女の子を「かわいい」とか「綺麗だな」とかは思う。
けどじゃあ好きかと問われると、なんともよく分からなくなってしまう。
388:三/丁/目/の/夕/日 鱸×茶←淳
07/01/25 12:47:15 MwjcruZC0
「おいジュンノスケ!」
「え、な、なに?」
「お前は?お前は誰が好きなんだよ」
「ぼ、ぼく?」
じーーっと皆が僕のほうを期待のまなざしで見つめてくる。
「うーん・・・よくわからない・・・」
僕にはこれが精一杯の答えだった。
皆はハァ~~~っと思いっきり溜息をつく。
「あのなあ。お前さ、誰か好きになったことねーの?」
一平ちゃんがぐいっと身を乗り出して聞いてきた。
「うーん・・・」
「だからさ、その人を見ると胸がドキドキしたり!」
「いつも頭の中その人のことでいっぱいになったり!」
「ああっ小百合せんせえ~~っ!チュッチュッ」
ギャハハハハ!!
そうしてすっかり僕の話は流れてしまい、それからしばらくして「大切な話をする会」はお開きとなり皆帰っていった。
けれど僕は未だ一平ちゃんたちが言ったことが耳に残ってはなれず、なかなか家に帰る気分になれなかった。
その人を見るとドキドキする?
頭の中がその人でいっぱい?
思い当たる人が僕には一人だけ・・・いる。
けど・・・
けど・・・・・・
389:三/丁/目/の/夕/日 鱸×茶←淳
07/01/25 12:47:44 MwjcruZC0
考えに耽っていたらいつの間にか外は真っ赤になってしまっていた。
さすがにもう帰らないとと思い重い足取りで家路についたのだが、なぜかいつも開けたままにしている表口が閉まっている。
「あれ?」
僕がこの家に来てから閉まっているところを見たことが無かったから、他の家と間違えたのだろうかと思ったがそうじゃないみたいだ。
近くでドロボウでも出たのだろうか。なにかあったのだろうか。
不安に思ったけど閉まっている表口をわざわざ開けて入るのはなんだか申し訳なくて、裏口からそっと入ろうと思って裏に回った。
すると
「・・・っやめ・・・っ」
!
おじちゃんの声だ。
もしかしてドロボウが入っておじちゃんにひどいことしてるんだろうか
一気に青褪めた僕は扉を少し開けてみた。
そうすると、一平ちゃんのお父さんとおじちゃんが押入れのふすまの下のほうに倒れていた。
また喧嘩してるんだろうか、と思ったけどなんだか様子が違うみたいだ。
「いいから・・・足もうちょっと開けよ」
おじちゃんの足を無理やり鱸オートが広げた。その中で鱸オートの手が動いている。
「・・・はっ・・・や・・めっ・・・」
「ふん。今止めたら辛いだけだぞ」
「だっ・・・もう・・・っジュンノスケが帰って・・・っ」
390:三/丁/目/の/夕/日 鱸×茶←淳
07/01/25 12:48:15 MwjcruZC0
辛そうなおじちゃんの声と顔。
真っ赤な顔して泣きそうな・・・
はじめてみるおじちゃんだった。
なんだかそんなおじちゃんを見てどうしようもなく体が熱くなった。おじちゃんが辛そうなのになんで僕・・・
止めに入ったほうがよさそうなのに、足が動かない。
「・・・もっ!!も、もうでちゃ・・・・っ!」
「ああ出せ出せ。ほら」
そう言って鱸オートはもっと早く手を動かした。
「やあぁっっ!!んあっ・・・はっ・・・あ、あぁぁぁぁっっっ!!」
ピュッピュッ
何か白い液体が鱸オートの手にかかる。
鱸オートはその手をペロっと舐めて、「うまい」とおじちゃんに向かってにやっと笑って言った。
おじちゃんはくたっとなってふすまに寄りかかっていたけど、急にまた真っ赤になって
ふい、と横を向いて「うまいもんか」と小さく言い、
そんなおじちゃんを見て鱸オートは「ハハッ」と、僕は一度も見たこと無い笑顔を見せた。
僕は今までこの場を全く動けずにいたのに
そんな二人の様子を見て急にこの場をすぐ去りたくなった。
あの日僕のほうを向いて笑ってくれたおじちゃんは
もうここにはいないような気がしたからだ。
二人の間には何か濃密な空気が流れていて
まるで僕がこのまま消えてしまっても何の問題も無く成立してしまうような
391:三/丁/目/の/夕/日 鱸×茶←淳
07/01/25 12:48:49 MwjcruZC0
僕はたまらなくなってしまい、表口のほうへ急いで逃げた。
もうこれ以上あの空間にはいられなかった。
表口のほうへ出ると、もう外は真っ暗だった。
「ジュンノスケ!?」
急に名前を呼ばれてびっくりして振り返ると、キンさんが自転車をひいていた、
「ジュンノスケ!なにしてるんだいこんな時間に。チャガワはどうした?」
「おじちゃんは・・・」
「ん?なんでここ閉めてるんだい?なにかあったのか?」
そう言ってキンさんが表口の扉を「オーイ!」と言いながら叩き始めた。
そしたら中からガタガタガタッッと騒がしい音がして、「ちょ、ちょっとお待ちくださぁ~い」といつものおじちゃんの声が聞こえた。
しばらくしておじちゃんが表口の扉を開けて出てきた。
「す、スイマセンなんでしょうか?」
「なんでしょうかじゃないよ!扉なんか閉めてどうしたってんだい。ジュンノスケが外にいたんだよ!」
「え、ええ!?ジュンノスケ、いつ帰ってきてたんだ!?」
「えっと・・・さっき」
「そ、そうか悪かったな。ほら早く中に中に」
「ったく・・・世話焼ける父ちゃんだねえ」
キンさんはそう言い残し去って行った。
僕は家の中にあがって見渡したが、もう鱸オートはいなく、さっきまであった濃密な空気も消えてて
いつもどおりの部屋だった。
「ん?どうしたジュンノスケ?」
部屋を見渡す僕に不思議そうに聞いてくるいつものおじちゃん。
あまりにも全てがいつもどおりすぎるから、僕はさっきのことは夢なのかなと思いそうだった。
だけどよく匂いをかいでみると、まだなんとなくあの濃密な空気を感じ取れて。
392:三/丁/目/の/夕/日 鱸×茶←淳
07/01/25 12:49:30 MwjcruZC0
「おじちゃん・・・さっき・・・」
「ん?なんだ?」
鱸オートとなにしてたの?
二人はどういう関係なの?
僕は鱸オートとのことを聞いてみようかと思ったけど、
でもなんて答えられるのかが怖くて結局聞けなかった。
?
何が怖いんだろう
「鱸オートが好きなんだ」
と言われると嫌なのかな僕
僕がいなくても大丈夫な気がするから?
でもおじちゃんはたとえ鱸オートのことが好きだとしても僕を放り出したりはしないと思う。
ならなんで僕・・・
それからというもの、前にも増して僕の頭の中は
おじちゃんのことでいっぱいになってしまった。
393:三/丁/目/の/夕/日 鱸×茶←淳
07/01/25 12:50:49 MwjcruZC0
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ダブンシツレイシマシタ。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
394:風と木の名無しさん
07/01/25 15:57:45 PWWTc5+20
キタキタキター!ごちそうさまですた。
395:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア2-1
07/01/25 18:20:32 zMJEAHyQ0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/前途シリーズ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、冒険者×ヴァンパイアです。
| | | | \第二回目です。
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
396:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア2-1
07/01/25 18:21:44 zMJEAHyQ0
「んっ…んんっ…」
次の夜も同じだった。
だがわずかな変化があった。
ヴァンパイアも、快楽を感じはじめていた。
その変化に一番戸惑っているのはヴァンパイアで、どうにかして自分の中をかき回すも
のを抜こうと必死だった。
だがそのたびに腰を打ち付けられ、結果悲鳴を上げることとなる。
「ん?昨日よりよくなってきた?」
「んん…」
ヴァンパイアは首を左右にふる。が、上気した頬は、感じていることを何よりも明確に相
手に伝えた。
ゆっくりと硬さを持ち出してきたヴァンパイアのものに手を添えると、腰の動きに合わせ
て扱き出した。
「んんっ!う…んっ!」
びくんと体を振るわせのけぞるヴァンパイアに、ロウッドはきわめて、優しく話しかけた。
「気持ちいいんだろう?」
「んんっ、んん…!」
なおも首を振るが、彼の限界は近かった。
吸血行為が快楽の一部である彼にとって、もしくはそれしか知らぬ彼にとって、肉欲をダ
イレクトに刺激されたのは始めてであった。
ロウッドの腰が進む。同時に、扱く手も早くなる。
未知の快楽に、ヴァンパイアは激しく抵抗した。
じゃらじゃらと鎖がゆれる。くぐもった声が、何かを訴えるように室内に響く。
「ッ…!」
「ん…んんっ…!」
やがてロウッドはヴァンパイアの中で、ヴァンパイアはロウッドの手の中で果てた。
ぐったりとうなだれるヴァンパイアの髪をやさしくすくと、ロウッドは言った。
「見ろよ、お前の出したもんだ」
精液を顔に塗られ、ヴァンパイアはあわてて顔をベッドの枕で拭いた。
頬を赤らめながら、男の手管で達してしまったという事実に、ショックを隠しきれないよ
うだった。
「お前顔赤いぞ。そんなに嫌だったか?…まあ普通は嫌だろうがな」
397:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア2-2
07/01/25 18:22:40 zMJEAHyQ0
「んう…」
ヴァンパイアは小さく呻いた。
「これから毎日…かわいがってやるからな…」
その言葉にぞくりと悪寒が走った。
それはヴァンパイアにとって、悪魔の囁きであった。
もう何日、同じことを繰り返しているのだろうか。
体はすっかりロウッドの思うがままに敏感に反応するようになった。
快楽におぼれ、虚ろな目をするヴァンパイア。
心ではやめてほしいのに、体はロウッドを求めてやまなかった。
それがロウッドにはわかるようで、そのたびに昼夜問わず抱いてやる。
そして意識を失うまで抱かれるのだ。
「ん…う…」
「だんだん…よくなってきたな?お前の体、すごく良い…」
精液が、ヴァンパイアの中に注ぎ込まれる。同時に、ヴァンパイアも達していた。
「だいぶ汚れたな、お前の体」
精液が付着し、それが乾いてヴァンパイアの白い体を汚していた。
「…」
ヴァンパイアに意識はなかった。銀髪を乱しながら、寝息を立てている。
「風呂はいるか」
久しぶりに手枷となっている鎖をはずし、抱き上げると、だらんと腕がたれた。
もう何日間も吸血していない。その上、毎晩激しく求められるのだ、体力が続くはずがな
い。
白い顔がいっそう白くなっている。
湯をためておいた風呂桶につかろうとしたとき、ヴァンパイアが目を覚ました。
「…!んんっ、んー!!」
激しく抵抗する彼に、まったくわけがわからないといった様子で、ロウッドがその抵抗を
封じ込める。そして風呂桶に漬かった時、何かを訴えようとしているヴァンパイアの口を
封じている布を取ってやった。
「だ…してくれっ」
ヴァンパイアはおぼつかない足取りで、風呂桶から出ようとする。それを捕まえて話さな
いのが、ロウッドだ。
398:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア2-3
07/01/25 18:23:43 zMJEAHyQ0
「水は、水は苦手だ…!」
「お湯だろ」
「似たような…ものだっ、ぴりぴりする、体が痛い…!」
がくがくと震えながら、ロウッドにしがみつく。長いつめが食い込んで少々痛かったが、
汚れた体をきれいにしなければならない。
ロウッドは胸から腹にかけてを布で洗ってやった。
ぬるぬるとした感覚が指を伝ってくる。精液の跡だろう。
「は…早く出して…」
訴えかけるヴァンパイアの顔は蒼白だったが、妙にそそるものがあった。
ロウッドは苦笑した。
こんなときにまで反応を示す己のものが。そしてそれに気づき、恐れの表情を浮かべてこ
ちらを見やるヴァンパイアの、なんとそそること。
ヴァンパイアの腰を浮かせると、ロウッドは一気に貫いた。
「ああっ!」
柔らかい肉を擦ってやると、びくんと背をそらす。
「悪いな、ちょっと我慢が聞かなくなった…」
ばつが悪そうな顔をして、しかし腰の動きは止まらない。
「あっ…はあ…あっ、あっ…だっ…だめだ、こんな所では…」
方にはヴァンパイアのつめが食い込んで痛かったが、そんなことにかまっていられる余
裕は、ロウッドにはなかった。
この数日でわかった、ヴァンパイアの弱いところを重点的につくと、なおさら乱れる。
「あん、ああっ、あ!」
「お湯のことなんて忘れるだろ、…気持ちいいだろ?」
ヴァンパイアはあくまでも首を振って抵抗する。
それが気に入らないのか、ロウッドはちっ、と悪態をつくと、ぎりぎりまで引き抜いた。
「あ…」
奥が、きゅん…と物足りなくなる。このままやめてほしいのか続けてほしいのかすらわか
らなくなり、ヴァンパイアはひたすら彼にしがみつくしかできなかった。
ぎりぎりまで引き抜いたそれを、彼の弱いところをめがけ、一気に貫いた。
「ふあああっ!あっ、ああっ、だ、だめだっ」
「だんだんいー声になってきたな、可愛いな、あんた」
動く速度が早くなる。達するのが近づいてきているのだ。お互いに。
399:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア2-4
07/01/25 18:24:50 zMJEAHyQ0
ヴァンパイアも、無意識のうちに腰を揺らしていた。
「あっ…ああっ、あーっ!」
達すると、ヴァンパイアは再度意識を失った。
風呂から出て体を拭き、それでも目を覚まさない彼に苦笑しながら、ロウッドは再度ベッ
ドに彼をつないだ。
鎖はひやりとして冷たかった。
ヴァンパイアの冷たい寝顔をそっとなでると、ロウッドは家を出た。
ヴァンパイアは目を覚ました。
だが、血が足りないおかげで目の前は真っ青だった。
自分の体には毛布がかけられていて、自分のコートも袖が通されてボタンがしめられて
いるようだった。
ただしズボンははかされていない。
どうやら今は、夜のようだった。締め切ったカーテンから、わずかに三日月が見える。
「血が、ほしい」
ヴァンパイアはつぶやいた。今自分に足りないものはそれだった。
「血がほしいか?」
その声に、思わず声のしたほうへ目を向けた。
その声の主は、ロウッドだ。今しがた帰ってきたばかりだったらしい。
ロウッドは荷物を別室へ置くと、すぐにヴァンパイアの元へかけていく。
そして片腕を出すと、腕まくりをしてヴァンパイアの口元へ差し出した。
「噛めよ。血、少し飲んどけ。全部は駄目だからな。それとも噛まれたら吸血鬼化するっ
てのは本当なのか?」
「私が望まない限り、吸血鬼になることは…ない。血は…いらない」
ヴァンパイアは青白い顔で、あくまでも意地を張った。
もともとプライドが高いヴァンパイアだ、誰かに餌付けされることなど気に食わないのだ
ろう。
ロウッドは苦笑すると、腕をさらに近づけた。後は紫になった唇が開き、牙が肉を咲け
ば血は飲めるという位置だ。
「さっきほしいって言ってただろ。それにお前、顔色が悪い。いつにもましてな」
「…いらない…」
「このやろ、人の親切を」
400:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア2-5
07/01/25 18:25:27 zMJEAHyQ0
ロウッドは頭に着たのか、ナイフを取り出した。
さされる、と、目をぎゅっと瞑るヴァンパイア。しかしそれは振り理おろされることはな
く、逆に己の腕を傷つけた。
甘い、血の香りがあたりに漂う。
ヴァンパイアの本能には勝てなかった。
そっと彼は口を開くと、腕にかぶりついた。
鋭い犬歯が肉に突き刺さり、血が流れ出す。
それを味わうようになめていく。
はじめて肉欲以外で見せた、ヴァンパイアの恍惚とした顔だった。
「っ…」
「んっ…」
ごくん、ごくん、と、ヴァンパイアの喉がなる。
「ヴァンパイアが噛んだところって…痛くないんだな。戦闘で傷ついたときのほうが何倍
もいてぇ」
「ン…」
ヴァンパイアの顔色が戻ってきたところで、半ば強引に彼の口から腕をのけた。ヴァンパ
イアは残念そうな、もっとほしそうな顔をしたが、何も言わなかった。
座れた血の量はたいしたことはない。
むしろ、日ごろの冒険で傷つき失う血の量のほうが多いくらいだった。
タオルで押しても止まる気配のない血に、イルタールで購入したキュアパウダーをつけて
血を止めた。
「ヴァンパイアに噛まれると血も止まりにくいんだなあ…」
「血が止まらないからこそ吸血できる。ヴァンパイアの唾液は血を止まらなくする効果が
ある」
「へえ、あんた自分のことよくわかってんだな。まあ、こっちには薬があるからな。ある
程度は対処できるみたいだな」
ヴァンパイアの赤い瞳を覗き込む。すると、ふい、と顔をそらされて、ロウッドは苦笑し
た。
「嫌われてるなあ…俺」
401:ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×ヴァンパイア
07/01/25 18:27:22 zMJEAHyQ0
____________
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402:風と木の名無しさん
07/01/25 18:38:17 WxpBMGKV0
このゲーム知らないんだけど、前回と共に今回も萌えました
調べてみたらマカーは対応してないんだね…残念
403:風と木の名無しさん
07/01/25 19:00:24 zMJEAHyQ0
>>402
ありがとうございます、かなり古いゲームなんです。
いまさらHPにおくわけにも、内容がないようなだけに・・・
なのでこちらで投下させてもらいました。
また書きあがったら投下させてもらいます。
マカーは無理でも妄想して萌えてくださればうれしいです
404:風と木の名無しさん
07/01/25 21:07:45 eg+RLvS/0
>>401
GJ!なんか可愛い…って吸血鬼に失礼だろうか
405:風と木の名無しさん
07/01/26 04:53:29 ddmw/A8DO
>>385-393
GJ!!!!!!初々しいズンノスケもへろへろなチャガワたんもかわええなー。
いいもの見させて頂きました。ありがとう
406:風と木の名無しさん
07/01/26 10:39:41 WwvHoIOC0
>>385-393
探し回って見つからなかったものとまさかここで出会えるとは!!
ありがとーーーーーーー><
407:兎-野性の闘牌-
07/01/26 16:51:52 l0IE3PEl0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 連載再開記念 「兎-野性の闘牌-」仙道×園長
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 少しでもはまってくれる人がいれば幸せ…
| | | | \
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408:兎-野性の闘牌-1/9
07/01/26 16:52:23 l0IE3PEl0
バスタブに湯が溜まるのを待ちながらその前に缶ビールでも飲むかと、部屋備え付けの
冷蔵庫を物色しているとコツコツとノックの音が聞こえた。
ドアの覗き穴から廊下を見るとビジネスホテルの安っぽい絨毯の上で風間巌がこちらを睨んでいる。
仙道真澄はドアを開けた。
問いも答えもなく、風間は仙道の脇をすり抜けて中に入ってきた。
通り過ぎ際、風間の視線が通路脇の、湯気を出す半ば開いたユニットバスの扉に向かい、体と共に止まった。
「途中だったのか」
「いや」
その事には触れられたくなく、仙道は短く答えた。
だが問いかけるように風間の眉が上がるのを見て
「…たまには湯船に浸かろうかと思って、な…」
仕方なくそう続けた。
仙道の巨体を沈めるにはユニットバスはいささか都合が悪い。
なので今までは簡単にシャワーだけで済ませていた。
だが厳しいスケジュールの旅打ちと、麻雀が打てずマネージャーに徹しざるを得ない立場にストレスが溜まり、
なかば自棄になって無理矢理にでも湯船に浸かろうとしたのだった。
409:兎-野性の闘牌-2/9
07/01/26 16:53:00 l0IE3PEl0
仙道の返事に風間の目がきゅっと細くなった。
きゅうきゅうの湯船に嵌る仙道の姿を想像したのだろう事は簡単に理解出来た。
次に投げられるのは毒舌かそれよりもっと酷い無言の侮蔑だろう。
仙道は風間から視線を逸らせた。
が、風間はそんな仙道に構う様子もなく無言で更に奥に向かっていた。
「ん?」
風間の背中からは、どこかせっぱ詰まったような硬い空気が感じられる。
初めて察しが付き、仙道もそれに応じ、大股で進んだ。
部屋と入り口を結ぶ短い通路の端に立ち、背中を向けたままの風間を見る。
部屋の中にはベッドと作りつけの机があり、残りのほんの僅かなスペースに風間は立っていた。
こんな時間にマネージャーがやることはさほどない。単なるマッサージかそれとも…
「……今日はどっちなんだ。風間」
投げた声は少しうわずってはいなかったろうか。
仙道の問いに風間の体が緊張を増したような気がした。
何も言わず風間が背中を向けたままジャケットを脱ぎ捨てた。
Tシャツ越しに細身だが均整のとれた筋肉質の肉体が見える。
「明日の仕事が早いが寝付かれん。仙道…」
風間の声もうわずっているように思えるのは気のせいか。
「…鎮めてくれ…」
「…そっちか…」
仙道の声は、自分でもそれと判る程かすれていた。
410:兎-野性の闘牌-3/9
07/01/26 16:53:34 l0IE3PEl0
ワイシャツのボタンを外しながら風間に近づき、触れて良いものか迷い、抱きしめず声だけかける。
「待っててくれ。今シャワーを」
「構わん」
仙道の言葉を遮って風間が振り返り、仙道のベルトにその手がかかった。
「おい、ちょ…」
仙道が止める間もなく奇術のようにベルトが緩められスラックスと一緒に下着まで降ろされてしまう。
晒された仙道の陰茎は未だ萎えたままだった。
風間はかがみ込み、それをなんのためらいもなく口にしだ。
「おいよせ風間そんな事…」
仙道は風間の頭を掴み、外そうとした。
が、風間の力は思いの外強く、それよりもその舌の巧みな動きが仙道の抵抗を削いだ。
風間の動きに応じ、その部分が急激に怒張する感覚が伝わる。
「くっ…」
仙道は尚も抵抗を試みたが、風間のきれいに撫で付けた髪を乱すだけの結果にしかならない。
ややあって風間が仙道から離れた時、仙道のそれは濡らされ硬くそそりたっていた。
「…それ位濡らしておけばどうにでもなる」
風間はむしろぶっきらぼうにそう言って自ら残った衣服をはぎ取った。
風間のそれも既に怒張している。
「…早く、……来い」
顔を背け風間が言った。
411:兎-野性の闘牌-4/9
07/01/26 16:54:17 l0IE3PEl0
固い声の、おおよそこの状況に似つかわしくない、切迫した不器用な、誘い。
こんな風間を優しく扱う事は逆に残酷になるだろう。
仙道は無言で風間の肩を掴み、半ば突き飛ばすように後ろを向かせた。
よろめいた風間の体は狭い部屋の壁近くにある。
「そのまま手、突け」
仙道の言うまま風間が壁に手を突く。
自然と下半身が突き出るかたちになる。
仙道は風間に近づき、片手で風間の腰を掴んだ。
もう片方の手で服を脱ぎながら、掌を移動させ、双丘の頂きからやがて中心に親指をあてがう。
風間の体が微かに緊張する気配があった。
仙道は慣らしもしないまま親指に力を込めた。
「ぐっ…」
風間が耐えきれないような声を上げた。
だがその声と裏腹に仙道の指は案外容易く風間の中にめり込んでいく。
仙道が知る前、少年の頃から慣れきっているのだ。
根本まで指を押し込むとそのままやや乱暴に中をまさぐる。
更に小さな呻き声がし、壁に付いていた右の掌が固く握られた。
「待ってろ、今楽にしてやる」
仙道はそう言って指をそろそろと抜いた。
そうして今度は両手で腰を掴み、風間のそこに自分のそれをあてがった。
指より遙かに太いそれを、だが力を込めると風間はじりじりと受け入れ始めた。
不意に風間の腰が仙道から逃れるような動きをした。
仙道は動きを止めた。
体に似つかった大きさのそれは、受け入れられたと言ってもかなりの負担を風間に強いているのだろう。
風間の体がわずかに震えていた。
412:兎-野性の闘牌-5/9
07/01/26 16:55:55 l0IE3PEl0
「…続けろ…俺は平気だ…」
仙道の迷いを読んだように仙道の下で風間が言った。
その息が荒くなっている。
辛いのかそれとも、…感じているのだろうか。
判断が付かないまま仙道は再び動き始めた。
根本まで風間の中に納め、一旦動きを止める。
風間は肩で息をしている。
その筋肉の付いた背までもが紅潮していた。
仙道は声をだしそうになり、唇を噛んだ。
仙道のそれが風間に負担をかけているように、風間のそれも仙道の根本に強い圧迫を与えていた。
この状態ではそう長く保ちそうにない。
「いくぞ」
仙道は短く言って体を動かした。
「…っ」
風間が声を押し殺す。
413:兎-野性の闘牌-6/9
07/01/26 17:03:09 l0IE3PEl0
当初それは、暴力に耐え反射的に上げる呻きのようなものだった。
だが仙道が律動を繰り返すうち
「ああっ…!」
風間が一声違う声を上げた。
女のそれとは違う、だが女のそれによく似た声。
風間の左手が壁から離れ、何かを求めるように動いた。
壁を挟んだすぐ近くに、何も知らない柏木がいる。
意味に気付き、仙道は反射的に近くの机の上に脱ぎ捨てた自分のシャツを掴み風間の手に握らせた。
風間はそれを自分の口に押し当てた。
呻きがそこから間断なく洩れている。
明らかにそれまでとは違う呻きだった。
その呻きと同じ感覚で仙道も締め付けられている。
仙道の息も荒くなった。
仙道は風間の腰に当てた手をそのまま前に伸ばした。
怒張しきった風間に指の先が触れる。
背中がしなり、風間は固く目を閉じたまま無言で激しく首を横に振った。
414:兎-野性の闘牌-7/9
07/01/26 17:05:06 l0IE3PEl0
仙道はかまわずそこに向かい、零れ始めている先端を全体に渡らせるようにして手で覆った。
「…やめ…くっ…」
風間が切れ切れに声を出す。
「そこ、はしなくて、も…もう…」
「こうした方がいいんだろ…」
仙道は小声で言った。
「…俺はそろそろ限界なんだよ」
荒い息を必死で整えながら最後まで言うと、風間には構わず一気に腰と手を動かした。
風間が激しく息を吸い、壁に付いていたもう片方の手が離れた。
その手を仙道は掴み引き寄せた。
上半身がのけぞり、そして支えを失った体が前に二つ折りになる。
仙道は後ろから抱きしめるように風間に覆い被さった。
それが合図のように風間の手からシャツがこぼれ落ち、同時に風間の全身が細かく痙攣し、
仙道の掌に生暖かいものがこぼれた。
一瞬遅れて仙道も風間の中に射精した。
415:兎-野性の闘牌-8/9
07/01/26 17:05:50 l0IE3PEl0
射精の後の虚脱感から速やかに回復し、ゆっくりと風間の中から引き抜きながら抱いていた手をほどくと、
風間は、これは苦悶の呻き声を上げながら膝から崩れ落ちるようにカーペットの上に倒れ込んだ。
仙道は洗面所で手を洗い、体を洗おうとして初めて激しい音に気付いた。
バスタブの湯が意外な轟音を立てて、淵ぎりぎりの所で排水され続けていた。
気付かない程夢中になっていたという恥ずかしさが浮かんだが、反面この音に紛れて柏木が気付かずに
いてくれるだろうという期待がそれを打ち消した。
戻ると、風間は未だ床の上でぐったりと肩で息をしている。
男が男に抱かれるという行為がこれ程までに消耗するものなのだと、仙道は知らなかった。
男に抱かれる事でしか満足を得られない肉体。
組に買われ、女より前に男を覚え込まされ、未だ望まぬ欲に溺れざるを得ない。
風間が色子あがりだという事を仙道は知識として知っていたが、今まで風間は悟らせないよう繕っていた。
誰にも見せたくないはずのその部分を風間は仙道にさらけ出している。
仙道に取り繕うだけのほんの少しの余裕を、たかが資金稼ぎの為に放棄している。
どれほどの覚悟をもって、風間は山城麻雀に挑もうというのか。
仙道は風間を抱き上げ、ベッドに横たえた。
風間が呻いた。
416:兎-野性の闘牌-9/9
07/01/26 17:06:30 l0IE3PEl0
「…今日はここで寝ろ。俺はお前の部屋に行く」
仙道は風間の耳元で言って、服を着ようとし、シャツを見て顔をしかめた。
諦めて新しいシャツを着、風間の部屋のキーを手に取る。
「…仙道…」
声に振り向くと、風間はこちらに背中を向けて横たわったままの姿でいた。
「…なんだ?」
「…付き合わせて、…すまない…」
身じろぎもせずに風間は言った。
「…いいんだよ仕方ねえだろ別に。俺も…」
仙道は言葉を切った。
「お前がいなくちゃ資金稼ぎが続けられないからな」
続きは付け加えるように言って仙道は廊下に出た。
風間がこちらを見ていなくて良かった。そう仙道は思った。
自分はもまた必死に取り繕っている。
ぶつけたら風間を壊してしまうだろうこの感情を、仙道はどこにも洩らさぬよう奥歯を噛みしめた。
417:兎-野性の闘牌-
07/01/26 17:07:25 l0IE3PEl0
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418:風と木の名無しさん
07/01/26 23:41:16 4Svj6ule0
>417
待ってましたよ、姐さん!
男同士のぶつかり合いセックルに禿萌!
419:テイ/ルズ/オ/ブ/ジア/ビス ジェ/イル/ク
07/01/27 00:21:57 9kRou7rH0
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| プレイしててたまらなくなったので書いてみた
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ここどこ?とか これいつ?とか
| | | | \ 自分でも思うぜ
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
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420:テイ/ルズ/オ/ブ/ジア/ビス ジェ/イル/ク
07/01/27 00:23:24 9kRou7rH0
背中から抱きしめる。
拒絶されているのはわかったけど、それでも身を寄せて、縋った。
「離しなさい」
「……、」
嫌だ、の意思表示のつもりで首を振る。
ジェイドの服をぎゅっと握りしめて、頬を背中に寄せた。
そばにいたい。
そうしてあわよくば、慰めてあげたい。……なんて。
傲慢な自分の考えに1人ごちて、そうして、俺は本当は、
ただジェイドのそばにいたいだけなんだと思った。自分がこうしたいだけ。
胸をゆさぶる単語が恐ろしくて、
これから世界に降り注ぐ未来が悲しくて、
ジェイドの体温に救いを求めてるだけ。(だってこいつは、いつまでも俺に無関心でいてくれるから。)
ジェイドはもう一度「離しなさい」と低く呟いた。
だけど無理に振り払おうとしないから、
俺は何も言わず、ただひたすらに抱きしめ続ける。
それから小さな溜息が聞こえて、俺は身を硬くした。
「離さないと、……キスしますよ」
421:テイ/ルズ/オ/ブ/ジア/ビス ジェ/イル/ク
07/01/27 00:24:39 9kRou7rH0
「……、」
今、なんかすごいこと、言われた気がする。
それでもすぐに、俺を拒絶するための言葉なんだとわかった。
そういわれれば、俺が逃げていくと思ってる。
大体、背中を向けてるくせに、キ、キ……キス、なんて。できるわけない。
絶対嫌だ、の言葉の代わりに、俺はジェイドを抱きしめる。
ジェイドの指が、服を掴む手の甲を撫でた。
それからそっと、手を重ねられる。
「……っ、」
手袋越しでもわかる微かな体温に、一瞬身じろいだ。
ジェイドは体を反転させて、
俺の方に向き直る。
あ、やばい、と思ったときにはもう遅くて、
眼鏡越しの視線に射竦められていた。
唇が、……重なる。
「ん……っ」
逃げようとする腰をぎゅっと抱かれて、触れるだけだった唇が深く合わさった。
口の中にぬるりと進入してきた感触に、
全身が粟立つ。
舌だ、って思ったときには、耐え切れなくてきつく目を閉じた。
「ん、んん……っ、んぅ……う」
苦しくて、鼻から抜けるように息が零れる。
甘ったるい自分の声に、頬がかっと熱くなるのがわかった。
ジェイドの厚い舌が、口の中をぐちゃぐちゃに舐め回す。
何度も何度もしつこく絡められて、舌を吸われて、
くず折れそうになる体を、その腕に支えられる。