モララーのビデオ棚in801板22at 801
モララーのビデオ棚in801板22 - 暇つぶし2ch200:風と木の名無しさん
07/01/06 19:46:48 azn1ilFl0
>>199
GJ!ほんわか萌えたよ。
萌えついでに来週金曜に番組見てみますw

201:風と木の名無しさん
07/01/07 05:36:48 InkoeviD0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  流石兄弟 リバ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  平安Ⅴ@DEEP
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

地雷注意!パートナー外濡れ場あります

あと1回で終わります。

202:平安Ⅴ 1
07/01/07 05:39:18 InkoeviD0

 夢を見た。
 黒い蝶が外を飛んでいる。
 夜の闇を全て集めて溶かし、玉を砕いた鱗粉を纏ったような、そんな美しい蝶だった。
 景色は冬枯れ。荒れた草むら。曇天の夕暮れ。人めも草も枯れ果てた土地。

 蝶はゆるやかな弧を描いて飛び、そして目当ての何かを見つけた。

 人の亡骸。眠っているような骸。その胸の上にふわり、ととまる。
 蝶は羽を震わせている。
 亡骸に苦痛の色はない。穏やかな優しい表情をしている。それでも、死んでいるのだ。
 ふたたび羽を揺らせて、蝶はそこから離れる。
 今度はほんの少しだけ飛び、すぐに下りてくる。
 死せる彼の唇の上。
 まるで口付けをするように。
 光がひとひら落ちてくる。
 死者と蝶のロマンスを彩るために。
 その顔が照らし出された。

 ふいに、目が覚めた。


203:平安Ⅴ 2
07/01/07 05:41:56 InkoeviD0
 
 自分の隣に温かい寝息。
 慣れた、愛しい人の気配。
 弟者はほっ、と息をつく。
 眠れる人に口づける。
 けれどその構図が、その夢によく似ていることに気付いて、慌てて唇を離した。
 気持ちが収まらなくて、立ち上がる。
 袿(うちき)もはおらずに妻戸をくぐり、東の対の母屋に行った。
 夜が更けても宿直している侍女の一人に酒肴を見繕わせ、高杯を抱えてもとの対に戻る。
 呼べば、こちらに来るのはわかっている。
だがなるだけ人を自室に寄らせたくない。ここは自分たちだけの場所にしておきたい。

 妻戸をくぐると、眠っていたはずの相手が身を起こした。
 軽く、触れるような口づけ。
 月が傾いている。
 甘いものを好む彼のために、椿餅を小さく割って、その口に入れてやる。
指をしばらく抜かずに、咀嚼の感触を味わう。
 飲み込むときに、舌が指をなぞっていく。
 好きに扱える小動物に見立てて、もう一つ菓子を入れてやる。
 目を反らさずに、それを齧る。

 「……他から餌をもらわなければいいのだがな」
 「もらっていない」
 兄者の言葉は菓子より甘い。けれど何の根拠もないのに、苦い思いが心をよぎる。
だから、酒を呑む。
 「あまり過ごすな。悪酔いするぞ」
 「もう酔っていますが、何か」
 ……あんたに、とは言えなかった。

204:平安Ⅴ 3
07/01/07 05:45:03 InkoeviD0

 「牛車を飾ろう!」
 恒例の五日に一度の出仕の後、まだ明るいうちに帰ってきて騒ぎ立てる。
 「左馬頭が“貧富の牛車”に当たったのだ。うちのもあんな風に改造(カスタマイズ)したい」
 「それは何なのだ?」
 「超ぼろい牛車を凄腕の作り奴集団がギガクールな車に改造するのだ。
それを色黒の今様歌いが実況していく。内匠寮主催の技術革新キャンペーンの一つだ」
 「ほう」
 「あやつの網代車はいまや最新式も同然。全体は朱と黒の縞で、轅(ながえ)は萌黄、
輪(タイヤ)は紫に塗られて尚且つあちこちにお互いのしっぽをくわえ合っている蛇の紋が
描かれているというゴージャスさだ。更に中には碁と双六が備えてある」
 「おい、俺はそんな車には乗らないからな」
 「同じにはせん。黄と黒の縞模様にして比翼紋を散らそう」
 「絶対にイヤだ」
 「つまんないやつだな」
 「つまらなくていい。おまえの趣味は酷すぎる」
 「恋人一つとっても最高だと思うが」
 「それくらいだ。趣味がいいのは」

205:平安Ⅴ 4
07/01/07 05:47:47 InkoeviD0

 腕の中にひょい、と抱え込む。
 「暇だったので唐櫃にあった絵巻を一つ広げたが、マニアックすぎた」
 「何?」
 「サスペンスものだ。薬子の変のやつ」
 「薬子ちゃんはSexyで美貌で野心に満ち溢れていてなかなか魅力的だが、いかんせん熟女だからな」
 「しかしあの感情が激したときにあげる叫びがこの事件から来たとは始めて知った」
 「くぁwせdrftgyくすこlp…ってやつだな。まあ人死にが出たぐらいだからそんなこともあろう」
 「あのあくまで軽い、やたらと薬子ちゃ~ん、と甘ったれていた仲成が最後に
『妹にだけは手を出すな!』と叫んで死んでいくシーンはけっこう良かった」
 「そうだろ。兄というものは人知れず苦労しているのだ」
 「どうだか。おまえの口、と書いて呪縛の呪だ」
 「祝うという字は兄がしめす、だ」
 「しめされたためしがないぞ」
 「いろいろとしめしているつもりだが」
 「まあどちらでもいい」
 唇を重ね、折れそうなほどに抱きしめる。
抗わずにされるがままの兄者の、衿の入れ紐をほどく。


206:平安Ⅴ 5
07/01/07 05:50:59 InkoeviD0

 相手の声を聞いているだけで、イってしまいそうになる。
 彼がこんな声をあげるまで、時を要した。
 最初の頃は女性との経験はあるといっても、大いに違うので苦労した。
涙目になっている彼を見て何度かあきらめようとしたが、こんなときの兄者は絶対に引かない。
普段は割りと流されやすいのに、意地を張る。

 幾度かの経験のあと、ふいに声が甘くなるのを聞いて、体中の血が滾った。
 自分から欲しがるような動きをして、そのことに気付いて赤面し、
慌てて顔と躯を隠そうとしたあの日の彼が、今も自分の中から消えない。
 禁忌だというのに、何か神聖なものの前にひざまづいて、祝福を受けているような、そんな気分。
 こいつは俺の聖域なのだ、と弟者は思う。
 なのに何故だが出仕すると、あちらにふらり、こちらにふらり、と花を求める蝶の様になる。
 絶対に、彼ほど大事な相手は見つからないのに、さまざまな蜜を味わってみたくなる。

 もしかして、彼を苦しめているのだろうか。
 自問してみるがわからない。そのことについて触れられたことはない。
 もともと、こんな地位にあればそれは仕事のようなものでもある。
できるだけ手駒を増やし、それを選りすぐって要所に配する必要がある。
ところが彼はそんな意識は薄そうだ。

 思い返す。それはただの言い訳。
 彼が使命感に目覚めて、さまざまな女のもとを巡りだしたら、自分はどういった行動に出るのかわからない。

 声が、躯が、結末を迫っている。
 しかし弟者はまだ味わい足りなくて、無理にそれを引き伸ばしている。
 相手の潤んだ瞳が一瞬だけ開いて、ふたたび閉じられた。



207:平安Ⅴ 6
07/01/07 05:54:48 InkoeviD0

 「……どう思っているんです」
 脇息に半身を預けて、息を継いでいる彼にふいに尋ねる。
 「何のことだ?」
 「オレが遊びまわっていること」
 少し驚いた顔。すぐに表情は戻る。
 「別に」
 「なんとも思わない、ってことですか」
 「いや、割に妬ける」
 「ほう。割に」
 「なんだ、無茶苦茶妬けるからよせ、って言ってもらいたいのか」
 「心にも無い事を言われても嬉しくない」
 「……やけにつっかかるな」
 「自分では好きにしているくせに、そんな関係でない正室にさえ妬いて、縛って、
勝手なヤツだと思っているんだろう」
 「おい」
 「意外にあんたは冷静だよな。牛車一つに大騒ぎするくせに、自分が迷惑をこうむらない限り、
オレのそっちには口も出さない」
 「やかましいっ」
 脇息を御簾に投げつけた。

 らしくないふるまいに驚いていると、ぐい、と髪をつかまれた。
 「妬いて欲しいのなら、そうしてやる」
 遊びの様子はまるでない。
 そのまま下へ押し付けられる。
 「………咥えろ」
 聞いたこともない言葉に驚いて、上目使いで見上げると、見たこともないほど冷たい瞳をしている。
 「何を呆けている。さっさと口を開け。……歯を立てたら承知しない」
 恵まれた権門の若君に特有のあの表情。下の者を人などとは思わぬ態度。
まさかこいつにそんな部分があるとは思わなかった。


208:平安Ⅴ 7
07/01/07 05:58:39 InkoeviD0
 
 無理無体に従わされる。先刻までの甘さは微塵もない。
 瞳はやはり冷たいままだ。
 ――違う。こんなのは彼じゃない。
 目を開けたまま言葉どおりにふるまい、怒りと悲しみを感じている。
そのくせ躯は再び反応を始めている。
 下仕えの老婆にさえ叱られて、しゅん、としている普段の彼。
争い事など起こりかけると、全速力で逃げようとする不戦主義者。
脳天気な天然系。

 思わず歯を立てる。苦悶している相手を横目に身なりを整える。
 立ち上がり、兄者の着物を庭に投げ、裏を回って北の対の方へ歩く。
 妙に冷静だ。
 北の対の裏手の築地塀(ついじべい)の下部に、人ひとり通れるほどの穴があいている。
下働きのものが、急ぎの買い物の際などに使うことを知っている。
置いてある、見た目よりは軽い石をどけて外の通りに出た。

209:平安Ⅴ 8
07/01/07 06:01:52 InkoeviD0

 顔を晒して歩いても、闇が濃いので気にならない。
 大分歩いた。
 時たま前駆の声に払われ、夜歩きの牛車に追い越される。
 いつもは自分より下の地位の者が、幾人もの供に囲まれ、温かく護られたまま通るのに出くわす。
そのうち一つはえらく派手だ。例の左馬頭のものらしい。
 ――これが本来のオレの位置のわけだ
 母者が温情を示さなかったら、幾ばくかの銭と共に捨てられて、その日のうちに息絶えていたかもしれない。
 あるいはどうにか生き延びて、盗みたかりに身を染めて、いっぱしのワルを気取っているとか。
 幼いうちに色子として売られ、媚を仕事として生きていることも仮定できる。
そして通りがかるうちの車なんぞを眺め、あんな身分の人になれたらお腹いっぱい食べられるのかなぁ、
などと考えたかもしれない。
……中に、同じ顔の男が乗っているとは考えずに。

 闇雲に歩き回っているうちに右京の方に出たらしい。
 大きな邸はまばらになり、闇は更に深くなった。
 門の篝火もないほうが多い。
 そんな中、一つだけ火の点された邸に出た。

 ずい分と古い。が、大きいことは大きい。
 そしてなんだか見たことがあるような気がして首をかしげた。
 「……兄者様ではありませんか」
 急に声をかけられて、飛び上がりそうになる。
 振り返ると、人のよさそうな老爺が微笑んでいる。
 「牛車とお供の方は?」
 「近くに置いて、月を見るために歩いてきた」
 咄嗟に答える。
 「それは風流なことですな。すぐに主人に取り次ぎましょう」
 そのまま寝殿に上げられる。
 どこかわからぬまま、円座に座っている。


210:平安Ⅴ 9
07/01/07 06:15:54 InkoeviD0

 使用人はひどく少ないようだ。
 先程の老爺と雑仕が二、三人ほど。それと牛飼い童のほかは見当たらない。
もしかすると通いかもしれない。
 建物は最初の印象どおり古い。
 だが掃除は一応してあるし、火桶の火も熾っているので、冷え切った体はどうにかほぐれる。
 あたりを見渡す。
 ――多分、子供のころ一度来たことがある
 急に行けなくなった兄者の代わりに。そんなことはその時だけだったので覚えている。
 ―-ということは
 腰を浮かせかけたとき、邸の主人が現れた。
 従兄弟者だ。
 互いに、息を呑んだ。

 
 従者の報告に肩を落とす。
 動けるようになって慌てて追ったが、見失っていた。
 大分探した。
 人も使った。
 けれど弟者は見つからない。
 すでに三日経っている。
 眠れないし胃が痛いが、自分は出来ることをやらねばならない。
 別人の顔で立ち上がった。

211:平安Ⅴ 10
07/01/07 06:19:35 InkoeviD0

 衣冠姿を改めて、ラフな格好のこの男は未だ見慣れぬ。
 「……どうしている」
 意地を張って聞かなかったが、限界だ。
 「おまえになりきっている」
 酒を呑みながら従兄弟者は答える。
 「いつもどおりってことか」
 意外に想われていなかったのかもしれない。
 「いや、普段あいつが来るときは少し表情が違うし、時たま左手を使ったりするが、
今は完全におまえだ。主上でさえ気付いていない」
 冷え切った彼の瞳を思い出す。
 そっちの方が本性なのかもしれない。
 「………」
 「あと、おまえの女と片端から寝まくっている」
 「………」
 「口の軽い梨壺の子からきいたが、そこそここなしているらしい。紐はよく絡めるそうだがな」
 全身がひりひりする。口が乾く。
 土器(かわらけ)をつかんで一息に呑む。
 対峙している世の中でもっとも苦手な相手は、しばらく黙ってそれを見た。
 酒が空になってしばらくしてから、言葉を足した。
 「ピロウトークで聞いたそうだ。『俺が隠れるとしたら、どこに行くと思うか』
別の女房の噂でも同じ話だった」
 夜は更けている。
 月はまるで縮んだ様な下弦の月だ。

 「どうするつもりだ」
 ここでいつまでも厄介になるわけにもいかない。
 だが、帰れない。
 黙って唇を噛んだ。
 うつむく弟者を従兄弟者はただ見つめている。


212:平安Ⅴ 11
07/01/07 06:23:53 InkoeviD0

 門の方から物音がした。
 数少ない使用人はすでに眠っているはずだ。
 音は東の対へと回る。従兄弟者の居室のある方だ。
 彼は立ち上がり、黙って出て行く。
 階(きざはし)のあたりから声がした。
 「従兄弟者―、弟者が見つからない」
 遠いので聞き取りにくいが、半泣きの声は確かに兄者だ。

 ――何故ここに
 寝殿から出て渡殿を通り、こっそり東の対に入り込む。
 しかし格子が開け放したままなので、近くには寄れない。
 じっと、聞き耳を立てる。
 「探したのだ。でもいない。母者のとこにも、姉者のとこにも。女の所にも」
 泣き声が響く。
 「よせ、みっともない。泣くな」
 「従者も使った。全て手を打った。でもあいつ、どこにもいない」
 子供のように泣いている。
 「おまえ、歩いてきたのか」
 「どっかその辺にいないかと思って」
 「おまえの弟は野良犬か何かか」
 「野良犬に噛まれていたらどうしよう……うわ―ん」


213:平安Ⅴ 12
07/01/07 06:27:24 InkoeviD0

 ここでもまだ聞き取りにくい。顔も見えない。
弟者は決意して、天井裏によじ登った。
 ひどいほこりにむせながら、声の方に進む。
 「見苦しいからとにかく泣き止め」
 「だって弟者が……」
 「涙と鼻水をこすりつけるなっ!」
 ――気が動転しているからといって、くっつくな。
 歯噛みしつつ、節穴から覗き込む。
 いる。べしょべしょに泣き崩れた恋人が、苦りきった従兄弟者にしがみついている。

 「あいつ、何も持たずに出たのだ。食うにも困っているんじゃないだろうか。
俺が悪かった。あんなにいじめるんじゃなかった」
 ――そうだ。少し反省しろ
 ちょっと小気味いい。
 「おまえ、どこか知らないか。あいつが見つかるのなら、俺の命だってくれてやる!」
 妙な音がした。
 その瞬間、ぼろな天井の底が抜け、弟者は地上に落下した。

 「……痛っ」
 腰を打った。
 「………弟者!?」
 兄者が駆け寄る。
 抱きつく。
 唇が重なる。
 それから従兄弟者を振り向いた。
 「………いるか、命」
 「いらん!」
 それから兄者は一瞬考え、ふいに表情が険しくなった。


214:平安Ⅴ 13
07/01/07 06:30:51 InkoeviD0
 「おまえ……弟者と!」
 いきなり、下腹部を蹴った。さしもの従兄弟者が、腹を押さえてうづくまる。
 「以前、言ったはずだよな。殺す、と」
 懐剣が光る。
 こんなに激した兄者は見たことがない。
 慌てて間に飛び込む。
 「のけ!俺はこいつを殺す!」
 「してないっ!大体できるか、こんなヤローと!」
 従兄弟者が微妙に不愉快そうな顔をした。
 兄者はまっすぐに弟を見る。
 「……本当か」
 「当たり前だ。おまえ以外の男とはできない」
 ――典侍(レモナ)は例外だよな、とちらりと思う。

 「じゃあなんでここにいるんだよ!」
 「行き場がないからだろっ。どこ行ったってあんたにゃお見通しだろうし!」
 「何かがあろうがなかろうが、他のヤツの所なんか行くなよっ」
 「じゃあ行かせるなよっ」
 「イかせたいよ、俺はっ」
 「オレだって!」
 「……何を言っている」
 復活した従兄弟者が、冷静につっこんだ。
 その声を聞いて、彼の存在を思い出した兄者が明るく言った。
 「おお従兄弟者、すまないが一部屋貸してくれ」
 思いっきり、下腹部を蹴られた。
 くの字になって苦悶している兄者に、冷たく言う。
 「ここでサカるな。雑仕をたたき起こして牛車を貸してやるから帰れ。するなら帰ってやれ」
 憤然と、その場を歩み去る。
 だがすぐに引き返してきて念を押した。
 「絶対にうちの牛車でやるなよ!」
 さすが従兄弟者カンがいい。


215:平安Ⅴ 14
07/01/07 06:33:58 InkoeviD0

 弟者が自邸の近くで下りて、北の対の裏へ行く。その少しの間が不安だ。
 借りた雑仕を休ませる指示をするのももどかしく、東北の対の自室に駆け戻る。
 飛び込むと、角盥でほこりを落としている。
 ただ抱きしめた。
 涙というものはどれほどの量があるのか。
 一生分、使ったかもしれない。
そう思ったが、愛する相手を抱きしめていると、いくらでもまた、溢れてくる。
 「……どこにも、行かないでくれ」
 べたなセリフも本気で言える。
 相手は黙ってうなづいた。

 恋人の唇を受けながら、その胸に疑惑が生まれる。
 ――何故、まっすぐ東へ行った。
 迷いのない慣れた足取りだった。
 あの邸の老爺は無駄口を叩かなかったが、兄者が来ることを珍しいとは思っていないようだった。

 しきりに名を呼ぶ彼の声。それに答えて交わす唇づけ。
 体の奥から生まれる衝動。
 溶けるような熱い感覚。
 相手と自分の熱が一つの焔になる。
 その中に、針の先ほどの小さな影。
 弟者は微かに声を漏らした。

216:平安Ⅴ 15
07/01/07 06:49:26 InkoeviD0

 内裏帰りの牛車が、車宿りに止められる。
 手配した職人たちが、仕事を終えて庭から出ようとしているのにでくわす。
 それを呼び止めさせ、供の者を通して銭などを渡す。
 老爺には、自ら品を手渡す。
 「世話になったな」
 「いえいえ、楽しゅうございました。主人に取り次ぎましょう」
 「いや、直接行くからいい」
 何度来ようと、律儀に接する真面目な男だ。

 従兄弟者の邸の東の対の屋根は、完全に直っている。
 階を上がり、一つ奥まった部屋の方へ入るとそこに彼はいた。
 「…殺しかけた相手の所のよく平気で来るな、おまえ」
 「いや、すまん。ついカッとしてやった。今は反省している……ダメか?」
 「来い。覚悟はしているだろうな」
 「それはもう。奴隷扱いされても文句は言わん」
 「こんな可愛げのない奴隷などいらん」
 ふ、と微笑って近寄った兄者は、すでにいつもの彼に戻っている。
 紐を解きながら念を押す。
 「しばらく来るな。おまえの弟は割りに鋭い」
 「ああ。俺と違ってバカじゃない」
 柔らかな絹紐で、腕を縛られた。


217:平安Ⅴ 16
07/01/07 06:52:09 InkoeviD0

 「で、何がこの騒ぎの原因だ」
 「なんだ、あいつ言わなかったのか」
 「黙って膝を抱えていたぞ」
 「俺が妬かない、とか戯言を抜かすもんだからかっとしていじめた。
……まあ、しっかり仕返しはされたがな」
 「妬いているのか」
 「アタリマエだ!でも言えるか、死ぬほど妬いてるって。視線すら人に向けるな、なんて。
あいつは閉じ込められて育ったんだぞ。他者に過剰に触れたくなるのはそのせいだ。
それを止めるのは俺のエゴだ」
 するり、と身体を抜いて衣を身につけ始めた。
 それを留めて紐を結んでやる。
 こいつに任せておくとすぐにばれる。

 「それじゃ、まあ、宿直の時にでも」
 なんだか、影が薄く見えた。
 「待て」
 呼び止めると振り返る。ちょっと面白がっているような表情を見せた。
 「……せいぜい愉しむことだな」
 言いたかったことは言えない。聞きたかったことは聞けない。
 「お言葉に従おう」
 軽く手を振って部屋を出た。
                                了

218:風と木の名無しさん
07/01/07 06:53:29 InkoeviD0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) オシマイ!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

219:風と木の名無しさん
07/01/07 07:10:26 FvCHvbURO
>218
乙!激しくGJ!!
リアルタイムに初めて出会って興奮しながら待ってたよ(*´∀`)
過去ログも読みつつ毎回楽しみにしてたけどこれで完なんだろうか
とにかく乙、そしてGJ

220:風と木の名無しさん
07/01/07 07:19:21 InkoeviD0
>219
ありがとう。あと1回で終わります

221:風と木の名無しさん
07/01/07 07:26:38 FvCHvbURO
>220
読み返して気づいたよ…スマンカッタ
楽しみにしています、がんがってください

222:風と木の名無しさん
07/01/07 20:22:56 ZSD4d4Im0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | >>100の続き、2回目描写ありです
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ェロは番号を*で囲んだので、注意して下さい
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ※しつこいですが逆CPではないので注意です
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


223:1
07/01/07 20:23:51 ZSD4d4Im0
「すっかり、遅くなっちゃったな。」
ふっと話が途切れた時を捕らえて、右隣に座った彼を見上げた。彼の表情がさっと変わる。
「え!いやあの。」
「そろそろお暇した方がいいかな。」
彼が何か言いたそうにしているのに心苦しくなるが、感情を押し隠してソファから立ち上がろうとした。
「駄目です!」
しかし彼は左肩に手を回してきて、それを許してくれなかった。上からの、切羽詰まったような視線が痛い。
「何が、駄目なんだ?」
目を合わせたまま彼の手に右手を乗せて、何とか外させようとした。今帰らなくては、先日と同じ事になる。
「この間の事、忘れたわけじゃないすよね?」
「忘れてないよ。」
彼の手がしっかり左腕を掴む。長い指が食い込む感触に、心がよろめく。その手を振りほどけなかった。
「・・・じゃあ、責任とって下さい。」

彼の部屋に今日来たのは、交友関係の事で相談したいと言われたからだ。
話題の性質上、そういう雰囲気にはならないと思ったし、第一深刻そうに言われてとても断れなかった。
だが会ってみれば彼はいつも通りの明るさで、面食らった。肝心の悩みも、どうも愚痴程度のものらしかった。
だから要は誰かに話したかっただけなのだろうと思って、相づちを打ちながら長い話を聞いていた。

224:2
07/01/07 20:24:25 ZSD4d4Im0
夕食時も過ぎた夜に、ついこの間彼を抱いてしまった部屋で会うという事に対する警戒は解いていなかった。
あの時一度きりの甘い思い出にしたかった。そうそう会える間柄でもないから、お互いにとってその方がいい。
そう自分に言い聞かせてきた。そしてそのためにも俺がしっかり現実を見て振る舞わなくてはならない、と。
いやそんな綺麗事だけではない。すらりとした長身を躍動させる彼は、俺には勿体ない若さ、魅力を持っている。
そんな彼に今惚れ抜いていて、あの晩を経てますます心が抑えられない自分をどうにかしたかったのだ。

「ちゃんと楽しませますから。」
引き寄せられ、彼の腕の中におさめられる。顔を上げると、切れ長の目はまじまじと俺の顔を見ていた。
ここで彼を抱いたら完全に、元チームメイト、ではいられない気がする。きっと今以上に苦しい事になる。
「言ってる意味、分かります?逃げないで下さいよ。」
けれど愛おしい。その若くて強引な腕も、重ねて切り出される誘惑の言葉も、少しのためらいを含んだ表情も。
「うん。」
すっかり魅入られて、返事が口をついて出た。腹を括った。どんなに辛い思いをしてもさせても、後悔はしない。
両腕でがっしり抱き締められていた。そんな事をしなくても、俺はもう彼の思いに全身で応えたかった。
首を上げて、乾いた唇を触れ合わせた。彼は少し戸惑ったような表情を見せたが、すぐに舌で舌を誘ってきた。
口の中を一通りさらう。それから長い舌を裏まで舐めたり吸ったりすると、腕の力が弱まってきた。
逃げ気味になる彼の頭と腰に手を延ばした。混ざり合った唾液が溢れて、彼の口角から伝った。
この前と全く同じように、彼とともにソファに倒れ込む。長い首筋に唇を付けると、彼は頭を抱いてくれた。

225:*3*
07/01/07 20:25:04 ZSD4d4Im0
***

彼は俺のジャケットを脱がせ、その下のTシャツを捲り上げて、広げた小さな手で胸全体を撫でてくる。
指先が敏感な所をかすって、俺はぐっと唇を噛みしめる。こんな風に体が感じるとは、この間まで知らなかった。
それから唇が何カ所にも押され、両手も舌も頬も胸に寄せられて、また何とも言えない心地になる。
気持ちがいいような、くすぐったいような。体が火照るような、肌が震えてしまうような。
一度経験した事だからと妙に安心して状況に身を任せていたら、急に乳首を二本の指で摘まれて揉まれる。
反対側にはいつも固く結ばれているはずの口がつけられる。舌でつつかれ、周りを丸く舐められ、吸われる。
一気にむずかゆい、どころか痺れるような感覚が全身を走って、悲鳴を上げてしまう。
空いた手でわき腹を撫でられるのがくすぐったくて抱き締めると、ごく軽く歯で噛まれて思考が吹っ飛ぶ。
体を捩っても、彼の動きに協力しているような気がする。嫌、と言おうとして、ただの喘ぎ声が漏れてしまう。
平静に見える彼の手つきがあまりに恥ずかしくて、それでますます体が過敏に反応してしまうのが分かる。
彼の手は着々と下半身にも伸びて、服の上から腿や腰、股間のあたりを撫でられる。
「もう、熱くなってる。」
真顔のままそんな事を言って、俺のベルトに手をかける。
「な、に言って・・・うっ・・・。」
熱いというか、相当硬くなってしまっている所を下着の上から掴まれて、指でなぞられる。
「ベッド、行く?」
何だか慣れた調子で服を全部脱がせながら、聞いてくる。その間にも律儀に胸を撫で、唇を落とす事を忘れない。
こんな状況で、返事をしたくない。しかし蛍光灯の白い光の中は眩しくて恥ずかしすぎる、と思い直す。
「いっ・・・きましょう!」
「うん。」

226:*4*
07/01/07 20:26:05 ZSD4d4Im0
勢いよく起き上がるとぎゅ、と彼の顔を自分の胸に押しつけて立ち上がった。
裸の胸にあたる彼の髪がくすぐったい。そのまま早足で寝室に入り、自分のベッドに腰掛けた。
さっそく鎖骨に唇が降ってきて、それからまた仰向けにされる。手で股間をまさぐられ、ぐっと握りこまれる。
窪みを小指でなぞってきて、裏を手のひらでさすってきて、指を輪にして動かしてきて。的確な刺激に目が眩む。
彼にされている、という事実が俺を追い詰める。俺は熱い息を零して、彼の手の中にあっけなく放ってしまった。
息を荒げていると、彼も自分の服を脱ぎだした。夜目にも小柄で白く、しかし綺麗に筋肉のついた体に息を呑む。
足を広げられ、彼の濡れた指が入ってくる。この前よりは周りがよく見えるので、その指の動きがよく分かる。
ボールを握る、その指が何をしているか。滑りがいいのでまだ痛みはほとんどないのに、目尻に涙が浮かんだ。
「痛い?」
それにすかさず気が付いて、体を寄せてきながら心配そうな顔で声を掛けてくる。
「痛くない・・・っすけど、恥ずかしい。」
ほとんどヤケになって、本当の所を言う。こんな事言わされて、と思うとなおさら泣きたくなる。
「そんな、恥ずかしがる事ないのに。」

227:*5*
07/01/07 20:26:33 ZSD4d4Im0
だが彼の目は真剣で、目が合うと今度は柔らかく微笑んで見せる。いつもは無表情のくせに、こんな時だけ。
思わず俺も笑ってしまう。お互いすっかり柔らかく熱くなった唇で、今日何度目かのキスを交わした。
溶けてしまいそうな口づけをしながら、身体を跳ねさせる所を探られる。熱に浮かされて、涙が滴る。
時間をかけて指を増やしゆっくりと解していく間にも、まめに胸や顎や唇に口付けたり、頬で撫でてきたりする。
丁寧で優しいやり方だったが、それでもうつ伏せで挿れられる時はやはり苦しくて、現実に引き戻された。
「無理っ・・・そんな大きい・・・」
「もっ・・・大丈夫だよっ。」
あんなものが入りきるなんて信じられない。だが体の内で、彼が熱く大きく脈打つのを感じる。
肩で息をする俺を宥めるように、肩口に唇を置いてくる。背に彼の胸が密着してくる。
両腕を前に回してきて、ぎゅうっと抱きつかれる。俺はその右の二の腕を掴んで、自分の胸に押しつけた。
「んっキツイ・・・力抜いてっ・・・」
俺の方がもっとずっとキツイはずなのに、その切なそうな声に心の奥の方が疼いた。
まるで彼の方が責め立てられているような声。一瞬想像して、それでまた彼を誘う声を上げてしまう。
やがて彼が腰を使う度に来る波に身を委ねた。彼の名前を叫んでいたら、俺の名前も切れ切れに呼んでくれた。
かなり時間をかけて突き立てられて、声を枯らして、そしてようやく2人で達した。

***

228:6
07/01/07 20:27:06 ZSD4d4Im0
「おはよう。」
その声に目を開けた時、俺は彼を胸に抱き寄せていた。小柄だが腕も胸もしっかりしていて、手応えがある。
上目遣いを封じるために頭に手を回して、胸に押しつけた。腰がとにかく重たくて、あまり動きたくはない。
「今何時・・・すか?」
「8時前。」
抱き込んだまま彼の身体の背面を、手のひらを大きく使って撫で回した。時折くすぐったそうに肌が跳ねた。
量の多い髪、筋肉のよくついた肩と背中、締まった小さな尻。昨日彼を呼んだのは、「リベンジ」のためだった。
「起きなくていいの?」
「や、昼まで予定ないんで。」
それなのにまた、と考えると頭を抱えたくなる。しかも今回はわけが分からない内にというのではない。
始めにキスされた所で、同じ道を通っていると気付いたはずだ。でも気付かない振りをしてしまった気がする。
途中からは完全に分かっていて、彼に任せてしまった感じだ。全身で受け取るあの感覚を、再び求めてしまった。
「ふう・・・。」
息をつくと、黒い瞳で見上げてくる。考えてみれば、彼は今に至るまで、ずっと逆の発想をした事がないわけだ。
色白くてとっつぁん坊やで、一般人と比べても背が低い方で、性格的にもおとなしいばかりと思っていたのに。
「何かムカつく・・・。」

229:7
07/01/07 20:27:19 ZSD4d4Im0
「え?」
好きな人がいるなんて言っておいて、結局そんな背格好で油断させて、俺をその体ですっかり痺れさせて。
俺がびっくりしたり動揺したりしている時も、この人は迷いなく冷静な感じに見えるのも気に入らない。
「ちょっとは悩んだらいいんすよ。」
そう言いながらも、彼の体温が、穏やかな視線が心地いい。俺より10歳以上年上のくせに、どことなく可愛いし。
「悩ましかったよ、あんな風に誘われて。」
真剣な顔して言われて、絶句した。本気なのは分かるが、恥ずかしいやら腹立たしいやらで顔が赤くなる。
「な・・・にふざけた事を言って」
「誘いに乗ったのは俺だったな、ごめん。」
唇がスローモーションで近づいて、俺の頬に触れる。この妙な状況全てに、彼は何の疑いも抱いていないらしい。
俺もその状況にはまりかけているんだろうか。もう何だか少し、それでもいいような気がしてきた。
何はともあれ今、彼は俺の腕の中におさまっている。誰にも渡したくないと思った。力一杯彼を抱き締めた。
「・・・また同じ試合に出られるように、今年こそ結果出すよ。」
くぐもった声で、彼も静かに決意を呟く。そうだ、ずっと捕まえてはいられなくても、俺達は同じ試合に臨める。
「そっ・・・すね。また、楽しみにしてます。」
同じチームの後輩として、彼に出会った。こういう機会とはまた別の意味で、やはり球場での真剣勝負は特別だ。
それぞれの1年が始まっている。3月にはまた同じ芝の上に立てるはずだ。また会える日が本当に、楽しみだ。

230:風と木の名無しさん
07/01/07 20:27:56 ZSD4d4Im0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |               色々と妄想捏造すみません
 | |                | |           ∧_∧ 似たような役割なのに全くタイプの違う2人が
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 2人とも可愛くて仕方がないです
 | |                | |       ◇⊂    ) __では、長々とスレ汚し失礼いたしました
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

231:風と木の名無しさん
07/01/07 21:40:17 C3IN0LOj0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                      |  お借りします。劇場版風予告ごっこ
 ____________   \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |     ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  いろんなネタの出るいいスレだよね
 | |                | |              \
 | | |> PLAY.        | |                ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

ネタは↓参照
801腐女子のための老後を考える
スレリンク(801板)


232:1/2
07/01/07 21:41:22 C3IN0LOj0
  「おばあちゃん、この綺麗な本何なん?」

『いつも優しかった、明るくて元気だったおばあちゃんにも
私の知らないことなんかいくらでもあったのだ―』

20XX年。日本は人口の半数が65歳以上で占められる超高齢化国家と化し、
「高齢新人類」を超え、もはや社会は高齢者の、高齢者による、高齢者のためのものとなっていた。
そんな中とある老人ホームで、次々と老女が失踪する事件が発生。
曖昧な警察の捜査。不審な職員の態度。
失踪者の一人を祖母に持つ詠子は、親友の茉莉枝とともに捜査を開始する…

  「キャアァァァ!おばあちゃん!!」

  「Y.female…『腐女子』と呼ばれている彼女たちの臓器の状態が、一般人の60%以下に
   消耗率をとどめている理由。それがこの新発見されたホルモン『モエストロゲン』だと考えられているわ」

  「なんか最近もやもやするの、警察の人とか駅員さんとか見ると。へ、変だよね?」


233:2/2
07/01/07 21:42:27 C3IN0LOj0

《腐》が世界に見せるのは、新たな楽園なのかそれとも―

  「シエ守徹だって受けですよぉ!」

  「この本、見たことある。小さいころ、おばあちゃんの部屋で」

  「おねがい…積荷を、積荷を燃やして…」

『おばあちゃん、ポテトチップス食べた手であの本触ってごめんね』

  「ライバル受けが主人公受けよりマトモなんて、誰が決めたんだよぉぉぉおぉおおおおお!!」

衝撃の展開、感動の涙、燃え、そして萌え…

夏の有明より熱く。

20XX年、全国ロードショー後悔!

234:風と木の名無しさん
07/01/07 21:43:15 C3IN0LOj0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  お粗末さまでした
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |     ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  どこで感動すればいいんだ…
 | |                | |              \
 | | □STOP          | |                ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 燃エト萌エハ?
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
すごく妄想をかきたてられるネタなので調子に乗ってしまった。
今はメモ帳に落書きしている。
なお、この作品は作り話です。実際の人物、団体とは関係ありません。

235:風と木の名無しさん
07/01/07 23:17:33 1wn1IHdd0
ちょ、モエストロゲンてwww
スレタイで誤解していたので、そのスレ今度覗きに行きます。

236:風と木の名無しさん
07/01/08 00:33:23 AbLANExO0
>>222
乙そしてGJ
低身長攻モエス

237:風と木の名無しさん
07/01/08 05:19:29 l5DJZzB5O
『積み荷を燃やして』バロスwwwww

238:風と木の名無しさん
07/01/08 17:03:55 V+WkUFCHO
カットビ一途とかどうですか?過去スレにもないし……
彰×幕の内やら………

239:風と木の名無しさん
07/01/08 18:40:15 CQx50FQV0
積荷を燃やしてwwww

240:風と木の名無しさん
07/01/08 20:07:31 yGh3kbCP0
>>237、239

~消えない過去の過ち~in801 十一冊目
スレリンク(801板)


241:240
07/01/08 20:14:02 yGh3kbCP0
~消えない過去の過ち~in801 二冊目

176 名前:風と木の名無しさん 投稿日:02/10/29 13:44 ID:ZqsPqihM
友達の車で始めてコミケに参加した帰りの高速道路で車が横転する自爆事故が・・・。
嫁入り前の娘4人が同人誌満載の車で死ぬのか?と焦りましたが幸い死人もでず
軽いゲガで済みました。救急車で病院に搬送中、車に残された同人のことばかり考えてた
自分に鬱。
 
183 名前:風と木の名無しさん 投稿日:02/10/30 03:21 ID:Ouh2+2Ww
>176
「積み荷を…積み荷を燃やして…」

-----------------------------------------------------------
懐かしいフレーズだったので、ログ探してしまいました。
スレ汚し失礼。

242:風と木の名無しさん
07/01/08 20:44:00 l5DJZzB5O
>>241
(((;゚Д゚)))オソロシイ話ダ…

243:風と木の名無しさん
07/01/09 04:45:44 BZ84TkmW0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  100(99+1)だモナー。日本一周の時の。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| つうか基本は谷丘で中+丘
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 谷の嫉妬話
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

某スレの発言で思わず書いてしまった。709無断でスマソ。

709 風と木の名無しさん 2007/01/09(火) 01:10:55
高校から付き合ってるあの人が、機内の隣人にじゃれまくり。
しかも相手は天下の蛇二ー図。
どーすんの?俺!

URLリンク(kunekune.breeze.jp)

244:100(谷丘+中)(1/7)
07/01/09 04:46:29 BZ84TkmW0
これはロケだ。これはロケだ。これはロケだ。さっきから何度呟いたかわからない言葉。
そう、だから俺はここで大人しくしているべきで。間違ってもあの二人の絡みを邪魔してはいけないわけで。

それでも、高校時代から想い続けていた人が自分以外に無防備な姿を曝け出すのは耐えられない。

しかも相手は――、いやそれより気になるのは二人の関係についてだ。
今でこそほとんど付き合いは無いらしいが、数年前はかなり仲が良かったらしい。
むしろ、約一年振りの絡みだからこそ、二人とも楽しんでやっているという風にも見える。
眠気で重たい頭をぐらぐら揺らしている自分の愛しい人、の隣に座る男は、隣人をちらちら気にしながらも自身の時計を磨くことに忙しいようだ。
男――国民的アイドルの彼は自分とも面識があり人並みに付き合いはある。
だが、今は憎き敵にしか思えない。整った顔立ち、ふわりと靡くブラウンの髪、形の良い手

が、

今、

あの人のおでこに、



れた

ああああああああああああああ!!!!!!1!!

245:100(谷丘+中)(2/7)
07/01/09 04:48:05 BZ84TkmW0
迷惑そうな表情の割には優しく叩かれて、あの人は重たそうな瞼を無理矢理開く。

「眠たいのはわかるけど俺の肩にもたれるな」そう言いたげな目線と、
自分が今何をしているのか何でここにいるのか何でこの状態なのかがまったく把握出来ていない目線が、ぶつかった。
近距離で見つめあう二人。

そんな二人を少し離れた所で見ていることしか出来ない自分。
歯痒さに胸が苦しくなって、斜め後ろに捻っていた上半身を元に戻すと激痛がした。どれだけ凝視していたのだろうか、自分は。

まぁ、あの人のお目覚め一発目の上目遣いに苦しくなったのは胸だけではないのだが。何だか違う所も痛くなってきた。
「もうお前には気持ちいいことさせられへんかもなぁ」心の中で下半身に呟いた。

自分が酷く空しい。この場に居たくない。微かに聞こえる声が地獄のようだった。
空に浮かぶ鉄の塊は、俺に逃げ道も作ってくれず、決められたルートを真っ直ぐ進む。

一人寂しいのでもっと下半身と語り合おうと身体を折ると、不意に不自然な感触がした。上着のポケットを弄ると硬い手応え。
取り出してみると手の中には三枚のカード。
「…なんかどっかで見たことあるような」
思わず呟いた言葉は周りの雑音に消えていき、俺のことを気にする者は誰も居なかった。

246:100(谷丘+中)(3/7)
07/01/09 04:48:59 BZ84TkmW0
三枚のカードに書かれた文字。

 →『無視』
   『回収』
   『告知』

何となく手に取ったのは『無視』という二文字。

「……………」

「……………………」

「…………………………」

「今までとなんも変わらんやん!」

どこにぶつけてよいかわからない理不尽な怒りでカードを破り捨てた。
細かく、細かく、文字が見えなくなるくらいに。
少し、気が落ち着いた。

247:100(谷丘+中)(4/7)
07/01/09 04:49:43 BZ84TkmW0
   『無視』
 →『回収』
   『告知』

次に手にしたのは『回収』。
さっきより冷静になった頭で考えると、答えは瞬時に出た。
その言葉の通り、あの人を回収すればいい。簡単だ。
こうなるとあの『無視』のカードも案外役に立ったのかもしれない。少なくとも希望の光が見えてきた。
俺は颯爽と席を立ち、彼らの元へと歩み寄った。


「丘邑さ………」
もう撮影は終わったのか、周りのスタッフはそれぞれ思い思いに過ごしていた。
弁当を食べる者、雑誌を読む者、寝不足のため睡眠を貪る者。
丘邑もその一人だった。
撮影でも振りでも何でもない。狭い飛行機のシートに身体全身を預けるようにして眠っていた。
余程起こそうかとも考えたがその可愛いらしい顔に疲れが浮かんでいるのを見て躊躇する。
そんな俺に気づいて、丘邑の隣から中井くんが口を出した。
「寝させてあげなよ」
「…わかっとるよ」
「…どうしたの?」
言われたのが彼でなかったらもう少し柔らかい声が出せたんだろうな。
心配そうな声音に少しだけ心が痛んだが、質問には答えずに席へと戻った。


最も、マジ寝をしている丘邑の頭が再び奴の肩に寄り掛かるのを見た瞬間、そんな考えは即座に吹き飛んだが。

248:100(谷丘+中)(5/7)
07/01/09 04:58:17 BZ84TkmW0
飛行機の中で、充分とは言えないがある程度睡眠をとったおかげで、それからのロケは順調だった。俺以外は。
ふとした瞬間に下らないことばかり考えている自分がいる。そしてそんな自分に気がついた時が一番危ない。
頭が回らない。気の利いた返しが出来ない。上手く笑えない。
そんな司会者にスタッフ達は心配して次々と声を掛ける。
仕舞いには犬のバ.リ.ーにまで優しく手の甲を舐められて、俺はちょっとだけ泣きそうになった。

   『無視』
   『回収』
 →『告知』

「このカード結局使わへんかったなぁ」
本日何度目かになる飛行機の中でその存在を思い出し、右手で摘まんで掲げてみる。
「何やそれ」
声が聞こえた瞬間に、カードは右隣に座る男の手に納まった。
「…あ」
「なんかどっかで見たことあるカードやな」
そう言って胡散臭そうにカードを見つめる丘邑。
幸か不幸か、今度は三人仲良く肩を並べての席。しかし、俺にはもう体力も気力もない。
「それ俺のやぞ、返せや」それでも精一杯、抵抗の声を挙げる。
丘邑はまるでそんな俺を無視するかのように、書かれた文字とその意味を読み上げた。
「『告知』。告げ知らせること」
「丘邑さん!」
「お前、今日なんかおかしいで。俺に言うことあるんちゃう?」
真っ直ぐな目で言い当てられて思わず俺は沈黙した。
それこそ返事を肯定しているようなものだと気づくのに数秒かかった。
真実を見透かされそうな澄んだ瞳から逃げたくて、思わず目を逸らす。
俯いた木目方の姿を見て丘邑は小さく溜息をついた。
「お前らしくないな、仕事を公私混同するなんて」

あれ、俺そんなこと言ったっけ。


249:100(谷丘+中)(6/7)
07/01/09 05:03:27 neUp0ZjY0
一瞬の間の後、勢いよく顔を上げる。
「図星やろ」そこには気持ち悪いほどにやにや笑っている小さな男の姿。
「嫉妬したんやろ?俺と中井に。ふーん妬いてくれたんやあ」
「いや、あの、それは」
しどろもどろで答える俺を見て、丘邑は心から満足したらしい。
急に悪戯な表情を止めた。つまり無表情。
「つまらん心配なんかすな、アホ」
言うが早いか襟元を掴まれ強引に引き寄せられた。
厳しい言葉と裏腹の、触れるだけの優しいキス。

それは、高校時代に何度もしたものに似ていた。
幼く、それでいて大人びたい願望を併せ持った、もどかしい気持ちをどうすることも出来なくて、まるでお互いの想いを確認し合うかのように、何度も何度も触れ合った。
あのとき唇を合わせた人と、今もまたこうして心を通わせていられる。
そのことがなんて幸せなことだろうと思った。



素早くお互いの身体を離し、周りを見渡す。
誰も自分達の行為に気付いていないことを目線で合図し合って二人とも思わず微笑んだ。
約一名を除いて。

250:100(谷丘+中)(7/7)
07/01/09 05:04:33 neUp0ZjY0
「ちゅーわけで中井、」
丘邑はいきなり憤怒とした表情で、先程から俺達に注がれていた冷たい目線の主を辿る。
その男の呆れたような表情を見ても丘邑はまったく怯む事なく、彼の耳元に口を近づけた。
周りを配慮して小さく、しかしドスの効いた声で呟いた言葉は俺の耳にも確かに届いた。

「谷辺は俺のモンやから手ェ出すなよ」
「いや丘邑さん、それ俺の言葉やから」

「つーかどっちにも出さねぇから!!!!!」

251:風と木の名無しさん
07/01/09 05:06:23 neUp0ZjY0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |               
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ;)  期待通りにならなくてスマンコ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
一人でウンウン悩んでる谷と、そんな木目方に気づきつつも軽く放置プレイしてみる丘。
谷の苦労に気づかない丘でも良かったんだが無理ですたw無駄に長くてスマソ

252:風と木の名無しさん
07/01/09 14:02:29 Q3OwIq1R0
>>251
GJGJ!
年末年始の萌えが集約されて形になった満足感をありがとう。

253:風と木の名無しさん
07/01/09 19:16:23 3Rg+9G370
>>243
向こうの709だが、貴殿に勳一等を捧げる。

254:風と木の名無しさん
07/01/10 19:48:07 +TZP3bqp0
>>251
もももももももも萌えす・・・・!
ありがとう。ほんとありがとう!

255:風と木の名無しさん
07/01/11 08:09:46 LVIk/FTD0
最後の中井の台詞がイイ、ワロタw

256:風と木の名無しさん
07/01/12 22:31:44 oUJwM97G0
注意。
■某声優スレのコテ・「ふくうち」(もちろん♂)×2ch管理人・「ひろゆき」■

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  つい書いてしまいました。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ま、かるーく流せよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

257:風と木の名無しさん
07/01/12 22:33:50 oUJwM97G0
~省略~
すると、ふくうちはひろゆきの肩に手をやり、優しくささやいた。
「( ・ω・)今夜は帰さないお」
「ちょww おいやめろって!」
照れながら、その場を離れようとするひろゆき。しかしふくうちは手の力を入れてそれを拒む。

「―放せよ」
「( ・ω・)やだ」
「……本気か?」
「( ・ω・))コクッ」

ひろゆきは唇を噛みながらも頬を紅潮させ、ばか、と呟く。
それを見てふくうちはにやにや笑っている。
―今日は色々あった。疲れたし、何より辛かった。
そんな日は、こいつと一緒に眠るのも悪くない……ひろゆきはそう思い、身体をふくうちに預けた。


終わり。

258:風と木の名無しさん
07/01/12 22:36:15 oUJwM97G0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |                正直、すまんかった。
 | | □ STOP.       | |                
 | |                | |           ∧_∧ ちなみにふくうちは
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 「蟲師」のギンコの幼少時代のヨキという少年の
 | |                | |       ◇⊂    ) __声をあてた声優のコテ。結構有名だお。
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

259:風と木の名無しさん
07/01/12 22:38:14 7bSoyLy/O
>>256
(´;ω;`)ブワッ…まろゆき…

260:風と木の名無しさん
07/01/12 22:38:21 oUJwM97G0
× → 声優のコテ。
○ → 声優のスレのコテ。

お粗末。

261:風と木の名無しさん
07/01/12 23:36:26 pmed2cwn0
(´;ω;`)ブワワワッ
まじで悲しいぽ…

262:風と木の名無しさん
07/01/13 08:16:01 SYtbpWkP0
>>251
遅ればせながらGJ!!
萌えた!ありがとう!

263:風と木の名無しさん
07/01/13 10:58:58 NuIi6jQI0
(´;ω;`)ブワワワッ
ふろしき…

264:風と木の名無しさん
07/01/13 20:51:32 xJAo8Brh0
eto。。。まさか本気で閉鎖とか思っちゃってる?w

265:風と木の名無しさん
07/01/13 22:52:56 ncFtb5rdO
>>264
ウン

266:風と木の名無しさん
07/01/13 23:25:49 ouohJoXOO
ネタでしたって、ネタばらししたじゃん…

267:風と木の名無しさん
07/01/14 00:05:13 6C+MRyoh0
マジレスすると2chは法人、ヒロユk個人の財産じゃない
日本はドメインの売買禁止、ここ大人板だよね、子供は巣ヘカエレ

268:風と木の名無しさん
07/01/14 00:18:45 OPlU0EriO
>>266,267
何だかんだ言って親切な人達だよ。
現状をを説明してくれて有難う。
これで安心して眠れる…おやすみなさい。

269:風と木の名無しさん
07/01/14 01:21:31 SI1Nn3kaO
すまん、そういう事に関しては無頓着なんだ。釣りだったらいいな、とは思ってたけど…おまいらありがとう

270:風と木の名無しさん
07/01/14 01:32:11 F/b908agO
じゃあ閉鎖しないってこと…?
よかった、ありがとう

271:風と木の名無しさん
07/01/14 04:11:59 q0q5jJ0O0
ネタにネタレスしただけだお

272:風と木の名無しさん
07/01/14 11:12:13 zzNtf3ZG0
まとめて絡みスレ逝け。

273:風と木の名無しさん
07/01/14 19:35:17 P4xdI9fqO
(・∀・)<以上ジサクジエーンでお送りしました

274:風と木の名無しさん
07/01/14 22:14:15 JMm3m1b60
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  流石兄弟 リバ 先に言っておくが長い
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  平安Ⅵ@DEEP
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ラスト
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

地雷注意!パートナー外濡れ場あります


275:平安Ⅵ 1
07/01/14 22:15:19 JMm3m1b60


 愛情とは澄んだものばかりではない。
 自分のそれは泥沼だ。しかも底がない。
 恋人に唇づけるたびに思う。俺はこいつを汚していると。
 汚れた唇で彼を染め、病んだ心で愛を叫ぶ。
 聖らかなものを汚辱で満たし、正しい者を歪めている。
 血を吐きそうな感情の中で、酒の代わりに毒を欲しがる。

 泥の中に、一輪だけ白い花が咲いている。
 自分の泥沼の中に、あいつの瞳だけが光をくれる。
 俺はそれが欲しくて、どうにも我慢できなくて、今まで待っていた。
 だがもう、それも最後だ。
 その花はおまえにやる。
 ついでに潜って、レンコンの一つもささげてやるよ。


276:風と木の名無しさん
07/01/14 22:16:40 JMm3m1b60

 築地塀(ついじべい)の穴を抜け道に使うのは無用心なので、
そこを切り崩して下仕え用の通用門を作った。出入りが楽だと好評である。
 「妙なことに気が回るな」
 「俺はきっと父者似だな」
 弟者の膝を枕に転がっている。
 「で、おまえは母者似」
 「あんなに強くない」
 「そりゃあたりまえ。七人殺しの異名を持つ女だぞ」
 「実際には殺していないんだろ」
 「そ。倒しただけ」
 以前皇太后が寺社参りをした帰り、警護の者の隙をついて暴漢に襲われた。
丁度、伺候していた母者が檜扇一つで全てを倒した。

 「あの頃はあの女御殿も生きていたからなぁ」
 前主上の生前、二人の有力な女御がその寵を争っていた。
男宮を産んだ時期が同じだったため、その抗争は激しく仁義ないものだった。
 結局現主上側が勝利を得た。けれども片方もその次の東宮の地位を確約させた。
次の世代に持ち越されつつ争いは陰にこもっていった。
 だが、三年ほど前に流行り病が猛烈に広がり、現皇太后だけを残して、双方の後見や現東宮の母君も全て命を落とした。

 「おかげでおまえの正室の長兄が出世できたってわけだな」
 「父者も運がいい。彼とつないでおいて大正解だ」
 「あの時点では賭けだったがな」
 「何がどう転ぶかわからんからなぁ……一口くれ」
 濁り酒を含んだ弟者に要求する。
 身体をかがめて言葉に従う。
白い液体が少しこぼれて、彼の唇を伝わったのにどきり、とする。
 兄者は気にせずに舌先でなめる。
 その尖った舌が紅い。そして濡れている。
 見惚れているの気付いているのかいないのか、そのまま話を続ける。


277:平安Ⅵ 3
07/01/14 22:20:10 JMm3m1b60

 「俺たちもこの先、考えなきゃならんのかな」
 「政(まつりごと)か。生き延びていくにはな」
 「先を見越せば妹者を東宮に入内させるべきなのか……
いやだっ!あんなヤツに俺の妹者を―っ。全俺が泣くぞっ」

 「叫ぶな。お人柄は悪くない」
 「悪くはないが絶妙にイヤだ。第一、なんだあの長烏帽子。通常の三倍はあるぞ」
 「母なる女御の遺言らしいぞ。おとなしいあの方が誰より目立つように、と」
 「ならついでに赤く塗っとけ。なんか手はないかなぁ……そうだ」
 何か思いついたらしい。
 「イノキだ!あいつを使おう」
 イノキとは、妹者の粗忽な侍女である。年のころは同じはずだが、どう見ても年のいった大男にしか見えない。

 「どう使うのだ、あんなモノを」
 「妹者の代わりに入内させる」
 濁り酒を思いっきり噴いた。飛び散って恨めしそうな兄者の顔を、手近な紅絹で拭いてやる。

 「無理がありすぎるだろう!」
 「いや、七人殺しの女の娘といわれれば、納得するはずだ」
 「そりゃ、そうかもしれんが……」
 「で、流石家全体でフォローする。うちの地位からいって、粗末には出来んだろう。完璧だ」


278:平安Ⅵ 4
07/01/14 22:22:46 JMm3m1b60

 弟者は少し考えて、口を切る。
 「東宮もうちとの関係性のために、挨拶ぐらいには来るだろう…どんなに恐ろしくとも」
 「だろうな」
 「それを、もしもの話だが、あのイノキが押し倒したら……」
 「うわ、東宮、絶対抵抗できないぞ」
 「で、結果としてイノキが孕んだとしたら」
 「あいつが孕むだろうか」
 「仮定だ。あくまで仮定だが…そして生まれた子が男の子だったら……」
 「もちろん総力をあげて次の東宮の地位につけるな」
 「だとしたら、イノキは国母だ」
 「イノキが国母……」

 二人は思わず手を握り合う。
 「いくら流石家の為でもこの国の未来の為に、それは止めておいたほうがいいんじゃなかろうか」
 「最終手段ということで取っておこう。なにせ妹者はまだ幼い…もう一口」
 冷たいはずの酒が、少し熱くなって兄者の口に移される。

 「出来ればさー、好きな相手に嫁がせてやりたいよ。でも後ろ盾がないと大変だからな。
おまえ、ちゃんと守ってやれよ……兄なんだから」
 「おまえもだろう」
 「そうだけどさ、政はおまえ向き」
 さっさと面倒事を放棄する。
 「じゃあ、何が向いている」
 「さあな……こっちかな」
 腕を伸ばして弟者に触れる。
 「そりゃ向いてるな」
 酒抜きで唇づけると、キスが甘美い。それだけで酔う。
 まだ明るいのに抑えがきかなくなる。
 「……奥に行こう」
 先に立ち上がって手を引く。素直に従い、そっと躯を寄せた。

279:平安Ⅵ 5
07/01/14 22:24:02 JMm3m1b60


 勤務日程は宿直が連続二日。ただし、どちらも夕暮れに行けばいい。
 丁度五日目で出勤日の兄者が振り返った。
 「どうする、二日連続出るか?それとも俺が行こうか」
 「頼む……酒でも呑んどく」
 彼をなるべく宿直に出したくない。けれど確かめたいことがあった。
 「わかった」
 承諾した後、弟者の肩にもたれかかる。
 そのままじっとしている。

 「……どうかしたのか」
 「いや。冬だな、と思って」
 「それが?」
 「寒いな」
 「風邪気味か?なら代わる」
 「いや……そういうわけじゃない。大丈夫だ」
 しっかりと身を起こす。
 「また萌え話でも楽しんでくる」
 のんきそうに笑った。

280:平安Ⅵ 6
07/01/14 22:26:44 JMm3m1b60

 兄者の出た後、いつもどおりに夕食をとり、ごく普通に過ごした。
 焦る必要はない。主上が大殿ごもるのは大分後だ。
 北の対から膳を下げにきた下人に、早めに寝ることを告げる。
 燭代の灯りを消し、御帳台の中に入る。
 寝たふりをしていると、一瞬、人の視線を感じた。
 すぐにそれは消える。

 様子を見計らって動き出す。
 衾の下に衾を丸め、人が眠っているよう取り繕う。
 忍んで裏から北へ下り、例の通用門の掛金を外す。
 外に出てから、辺りに隠しておいた先の曲がった金棒で掛金を元に戻す。

 近場の小体な屋敷の者に交渉して、最近購った馬を置いてある。
それに乗り、内裏の方へ向かった。

 内裏近くに逼塞した宮家が一つある。
 甘い言葉と潤沢な資金で篭絡し、部屋の一つを借りてある。
 そこで浅葱の袍―殿上人でさえない六位の衣装に着替える。
 流石家の末につながる年の頃の近い男を、これは本家との縁でつった。
この一族の常として、ある程度似ている。
もちろん陽の光のもとならすぐにばれるが、夜ならどうにかごまかせるだろう。


281:平安Ⅵ 7
07/01/14 22:28:40 JMm3m1b60
 
 その男の名を語って内裏に入り込む。
 もちろん、殿上には上がれない。
 白砂の上を歩いている時、同輩が横切った。
 ひやりとするが気づかない。
 あたりまえだ。彼らにとって六位程度のものなど人ではない。
当然、顔など見ない。

 闇にまぎれて梨壺の床下に入り込む。
 従兄弟者の宿直所の下に位置どる。
 体が凍えきるのに充分な時間、待った。
 心が凍えきるのにふさわしい足音が、響いた。
 戸の開く微かな音。
 床下では衣擦れの音までは聞こえない。
 けれど人の声がわずかに流れてくる。
 心臓が凍りつく。
 快楽に蕩けた彼の声。
 自分だけが知るはずの、あの甘い、濡れた声。


282:平安Ⅵ 8
07/01/14 22:30:36 JMm3m1b60

 逆の経路をたどって帰ったはずだが、覚えていない。
 気がつくと、自室の御帳台にいた。
 躯が小刻みに震えている。
 夢を見たと思った。
 妄想だと思った。
 だが、自分をだましきれなかった。

 それでも朝は来る。
 見捨てられた男に与えられる朝は救いではなく、夜の果てであるだけだ。
 彼が正室のもとに通い始めた頃、やはり眠れぬままに朝を迎えたが、今にして思えば贅沢なことだった。
 恨んだり、怒ったり、そして泣いたり。自分の感情は熱い炎に彩られていたのだ。
 凍りついたまま、泣くことも出来ない。
 自分自身が大きな一つの傷跡で、そこから絶え間なく血を流しているような気がしている。


283:平安Ⅵ 9
07/01/14 22:32:21 JMm3m1b60

 渡殿を通る足音で、機嫌が……わからない。
 いつもと同じ足取り。乱れぬ心。
 妻戸をくぐる兄者は、変わらぬ顔で微笑む。
 「また、眠れなかったのか…ひどい顔だぞ」
 髪を撫でようとするので、反射的に避けた。
不思議そうな表情に、凍てついた心がふいに蒼ざめた焔となる。
 けれど、どうにかそれを抑える。代わりに黙って押し倒す。
 「……おい、いきなりか」
 唇を唇で塞ぎ、衣を剥ぎ取り、膚を合わせる。
未明の薄明かりの為だけではなく、朧に見える彼。

 痕一つ、残していない。
 いつもと同じ膚。
 いつもと同じ反応。
 いつもと同じにおい。
 蒼い焔が自分を灼く。
 憎くて、愛しくて、気が狂いそうになる。
 なのに言葉で責めようとすると、自分の心が自分を責める。
おまえにその資格があるのか、と。

 女を抱いた残り香のままに彼と寝た。
 それどころか、それを妬かないと彼を責めた。
 必死に探している彼を、情が薄いと疑った。
 この瞳が、この唇が、この躯が自分だけのものだと驕って、彼の心を気遣わなかった。
 その報いを今、受けている。

 「…弟者……弟者……」
 しきりに名を呼ぶ彼の声。
 その声の偽りも真実も読み取れない。
 それでもあの波だけは、忠実にやってくる。
 達する時、彼の名を叫んだ。

284:平安Ⅵ 10
07/01/14 22:35:25 JMm3m1b60

 彼を抱いたまま、その日を過ごした。
 湯殿に行ったりなどのちょっとした間が辛かった。
 妹者が遊びに来た時も、掛金さえ外さずに声だけで断った。
 「おまえ、今日、おかしいよ」
 兄者の言葉は唇でふさいだ。
 時たまとろとろと眠り、急に目覚めて強く抱きしめた。

 そして、夕暮れは近づいてくる。
 立ち上がりかけて、急に気が変わった。
 「連続で宿直を頼んだら怒るか?」
 「かまわんが…」
 問いかけるような目を無視した。
 やれやれ、と身を起こしたあと兄者は弟の髪を撫でる。
 「明日もこんなだったら、二度と宿直は代わらんからな」
 「……もともと、あんたの仕事だろ」
 それには答えず頬に唇づけて、東の対へ歩いていった。



 昨夜より心持ち早い時間に、同じ経路をたどる。
 内裏に入り込み物陰で、持っていったいつもの衣装に着替える。
 まずは桐壺の宿直所へ向かった。


285:平安Ⅵ 11
07/01/14 22:38:19 JMm3m1b60

 家族もいない独り者なので、宿直を引き受けることは多い。
 従兄弟者は燭台の灯を消した。
 珍しく兄者が連続で宿直に現れた。
 視線の当て方で、今宵も来るはずだと推測できる。
 掛金は、外しておいた。

 昨夜とほぼ同じ時間に、戸が開く。
 入り込む夜気は、今までに無いほどに冷たい。
 その為か、忍び入った相手は膚を粟立てている。
 紐解く間もそれはおさまらない。
 顎を捉えて顔を上げさせ唇を重ねるが、何故か口を開かない。
 不審に思ったとき、再び戸が開いた。

 「戸の外に水がまかれてて、えらい目に会った……すまん、先客か?」
 「誰だ、おまえ!」
 慌てて燭台に向かう。焦ったせいかなかなか点かない。
その相手に逃げる様子は無い。


286:平安Ⅵ 12
07/01/14 22:40:13 JMm3m1b60

 ようやく火が灯る。
 火影に、素肌に袿を一枚だけ引っ掛けて片足を立て、
もう片方を曲げて座る不敵な笑みの男が映し出される。
 「………弟者」
 兄者の声がかすれた。

 三者三様の沈黙の中、弟者は衣を取り上げる。
 見せつけるような優美さでゆっくりと身支度を整え、器用な指先で紐を結ぶ。
 まっすぐに、青ざめた兄者を見据える。
 「……部屋で待っている」
 それから立ち上がり行きかけて、ふと従兄弟者を振り返り、挑発的な言葉を投げる。
 「あんた、けっこう良かったよ。兄者があんな声を出すだけある」
 誤解と、不和の種をまいたつもりで立ち去っていく。
 後には二人、残された。

 従兄弟者は特に弁解はしない。
 兄者も聞かない。
 かなりの刻が流れた。


287:平安Ⅵ 13
07/01/14 22:42:29 JMm3m1b60

 「……ゲームオーバーだな」
 泣いてはいない。それどころか、なんだか穏やかな温かい表情を浮かべている。
 「ああ」
 考えれば賢しげなあの男のうかつな青さ。こちらの身なりはまだ乱れてさえいない。
 「待っているから帰る……巻き込んですまなかった」
 兄者はくるりと背を向け、肩越しに言葉を続けた。
 「………これから何があろうと、黙っていてくれぬか」
 従兄弟者はしばらく答えない。

 止めてもムダだ。最初に誘った時から決意していたのだろう。
こいつの他の家族に告げることも考えたが、なにせこのバカは手強い。
すでに何らかの手は打ってあるだろう。
 この大バカを止められるのは、たった一人しかいない。
 「………わかった」
 「ありがとう」
 素直な礼を残して、情人の姿は消えた。


 深夜の牛車の音は眠たげだ。
 物見の窓から見上げると、月はか細い上弦の月。誰かの指先を思わせる。
 ――正念場だな
 気を引き締めようとするが、つい微笑む。
 ――クールなふりして、けっこう抜けてる
 思い浮かべる。愛しい瞳。
 何も、怖くない。
 式子内親王の和歌を口ずさみつつ、夜道を帰った。


288:平安Ⅵ 14
07/01/14 22:46:12 JMm3m1b60

 牛車の着いた物音がしたが、なかなか現れない。
 それまでにも大分待った。
 どうやら湯殿に向かったらしい。
 開き直ったように時間をかけて、上気した膚で現れた。
 幾枚かの単衣の上に白い綾織りの袿。桜襲ねを着こなして、なかなか見栄えがする。
 権門の長子の持つ驕りと品位。
以前、こちらのいたずらにかかって憤慨しながら駆け込んできた時の直衣姿より、よほど鮮やかだ。
 一方弟者は色も合わせずに適当な単衣を着ている。
大分、見劣りがする。

 「………で?」
 弁解を求めて弟者のほうから口を切った。
 「説明しろよ」
 「説明も何も……気づいたんだろう、その通りだ」
 「なんであいつと!」
 「俺が誘った。それだけだ」
 先ほどの位置が逆になったかのように、兄者は落ち着いている。
 弟者は激している。

 しゅんとして脅えた兄者が現れ、こちらは思う存分罵倒する。そんな目論見は露と消えた。
 言葉で痛ぶって、体を苛んで、二度としないと誓わせて……それで許してやるつもりだった。
 だが、彼は動じていない。下の者からの訴えを聞く役人のように退屈そうな顔をしている。


289:平安Ⅵ 15
07/01/14 22:48:10 JMm3m1b60

 「なぜ、誘った」
 「ただの遊びだ。おまえと同じで」
 幾人かの女房の影がよぎる。
 「それが不満なら、なぜ言わない!」
 「別に……って、前もそう言った筈だが」
 「オレもあいつも同じなのか!」
 「まさか」
 ふ、と兄者が甘く微笑む。
 「おまえだけを愛しているよ」

 実のない囁きに聞こえる。
 まるで他人だ。兄者の皮をかぶった別人。

 「オレじゃ足りないのかよっ」
 「菓子が別腹ってのと同じだな。主食にゃならんが割合いける。最もあいつは甘くはないがな」
 くっくっ、と声を立てて笑った。
 「試してみたならわかるだろう。かなりイイって。そういやさっきそう言ってたっけ」
 心底傷ついた弟者の瞳。
 兄者の瞳も魂も、同じ分だけ傷ついている。
だが、手は緩めない。顔にも出さない。
 「何なら交互に行ってみるか?別にあいつは拒まんだろうよ。
容赦なくやれる相手が欲しいだけだと言っていた」
 こぶしをつかんだ弟者が一歩、踏み込んだ。


290:平安Ⅵ 16
07/01/14 22:49:28 JMm3m1b60

 ――あと一息だ

 「それともここへ誘ってみるか?特別ゲストで招待して、いっそ三人で………!」

 すんなりとした腕が伸び、彼のうなじを締め付ける。
 限界を越えた怒りのままに。

 ――そう、それが正解だ。おまえは、陽のあたる場所がふさわしい

 至極、簡単な算式。余分な1を引けば必要な1が残る。
 やっと、彼を放してやれる。
 呪縛はほどけた。

291:平安Ⅵ 17
07/01/14 22:51:48 JMm3m1b60

 近々死ぬかもしれん、と告げた時、さしもの従者の目が点になった。
 家族と正室あての文を託し、さまざまな指示を与えた。
 「俺の死体には女衣装をかぶせ、若様がこっそり連れ込んだ得体の知れない女が、
酔って正気を失った、という風を装え。
その後手数だが、人気のない山に埋めろ。手向けも経も何もいらん。
ーーー花より他に知る人もなし、だ」
 逆らったことのない精鋭たちが、初めて逆らった。
 それを、主人の威厳で無理に従わせた。
 「何度も言うが、あいつに罪はない。俺の亡き後は彼に従え。
………充分に、気を配ってやれ」

 首を締められて感じるのは、イきそうになるほどの恍惚。
 ――確かに厨だな
 従兄弟者、おまえの意見は実に正しい。こんな状態で俺は悦びしか感じない。

 意識が遠のく。
 閉じかけた瞳に映る弟者の顔。
 この面影さえあれば一人でも地獄に行ける。
 脳裏をよぎるあの満月。月の光を浴びた彼。
 …………そして、暗闇が訪れる。


292:平安Ⅵ 18
07/01/14 22:53:52 JMm3m1b60

 浮遊する意識。
 ――ここは、極楽なんだな
 兄者は思う。なぜなら、愛する相手が横で泣いている。
 ――いや、四十九日までは現世にいられるのか
 篁の署名(サイン)をもらいに行くのはそれからだ。
 弟者はまだ泣いている。
 泣かなくていい、と何とか伝えたい。
 こんな俺なんかのためにおまえの涙を使うな。そう言ってやりたい。
 しかし声は出ない。体は動かない。
 ――死んでいるのだから、当然だ
 あきらめて、ただ弟者を見ている。
 
 泣きながら彼は兄者の唇に唇を重ねる。その感触がなぜかわかる。
 うなじに唇づけ、肩に唇づける。
 しばらく見つめ、幼い時のように頬を合わせる。
 そうしてふたたび唇づける。

 それから弟者は何かを探した。
 やがてそれを見つけ、兄者の傍らに戻ってくる。
 探し出した懐剣をつかみ、こともあろうに自分の胸に突き立てようとする。


293:平安Ⅵ 19
07/01/14 22:55:31 JMm3m1b60

 「…………よせ!!」

 ………声が出た。

 「………亡者(ゾンビ)か」
 「………違うようだな」
 しわがれた声で答える。
 「おまえはいつも詰めが甘すぎる……殺すんならちゃんと殺せ」
 急に弟者が抱きついた。

 「二度としない。何でも言うことをきく。傍にいてくれ。それだけでいい」
 濡れた、温かい感触。兄者は黙っている。弟者は続ける。
 「死ぬほどイヤだが、おまえがどーしてもあいつを呼びたいのなら……」
 「冗談じゃない!」
 咄嗟に叫ぶ。
 シミュレーション内の行動だったのに、膚も露にあの場にいた弟者を見て、自分の心臓は凍りついた。
 「あんなおまえを誰にも見せたくない!」
 言ってしまってから口を押さえるがもう遅い。
 弟者は目を光らせて、兄者の言葉と行動を検証している。
 そうして、正解を導き出す。

294:平安Ⅵ 20
07/01/14 22:59:26 JMm3m1b60

 「バカ」
 殴られた頬が熱い。
 「大バカ野郎!」
 先ほどの勢いはどこへやら、兄者は小さくなっている。
 「何でそんなことを思いつく!」
 「あの時、俺が唇づけなかったら、こんなことにはならなかった」
 弟者は記憶を遡り、あの時がどの時か考える。
そうして確かに初めてのキスはこいつの方からだった、と思い出す。
だがその勘違いっぷりに頭痛がしてくる。

 「……おまえ、どんだけ自分をスーパーテクニシャンだと思い込んでるんだよっ」
 衿もとをつかんで揺さぶる。
 「あの頃の下手くそなキス一つで、その気のない俺がメロメロになるわけがないだろっ!
惚れていたのはその前からっ!あれは単なるきっかけに過ぎん!」
 「………そうなのか?」
 困惑しきった兄者はされるがままになっている。
 「だっておまえ、女の子も好きだし、てっきり俺のせいだと……」
 ある日、ふと胸に落ちた疼痛。俺はこいつを歪めていると。
 「世界一のとんまっ!激しく鈍感っ!」
 「どっちにしろ俺がいたら完全に自由にはなれないではないか」
 「そんな自由いらねえ。いつか自分で言ったじゃないか。おまえがいなかったら俺もいないって。
こっちも同じだ、ウスラトンカチっ」
 ずい分不思議な罵詈雑言だ、と意識の一部が冷静に思う。
 それに言われてばかりも癪に障る。


295:平安Ⅵ 21
07/01/14 23:00:48 JMm3m1b60
 「おまえだってバカ…と言うか、酷いぞ。妹者を守れと言っておいたのに、無視して後を追おうとするとは」
 「妹者は可愛い。だけどそれだってくびきにはならない。
俺はおまえのいない世の中で生きていくつもりはない」
 きっぱりと、弟者は言った。
 まっすぐに兄者を見つめた。

 彼は下を向いてぼそぼそとつぶやいた。
 「美食倶楽部を狙う栗田さんのように慎重に布石したのに、おまえのせいで台無しだ」
 「誰だ、それは」
 「…気にするな」
 意味のわからないことを言っている彼の頬をもう一度打つ。
 「おまえの躯も、瞳も、声も、全部オレのだ。二度とこんな、バカな使い方をするなっ」
 情けない顔で、自分を見上げる、間抜けな恋人。
 最愛の、大馬鹿野郎。
 強く、強く抱きしめる。
 燭台の火影が揺れ、彼の顔が滲んだ。

296:平安Ⅵ 22
07/01/14 23:03:15 JMm3m1b60

 正月も終わってしまえば、寒いだけの日が続く。
 主上は退屈そうだった。
 ここのところ、少し寂し気ですらある。
 従兄弟者は気遣わしげに御方を眺めた。
 彼方で、人影が動く。
 御座に座って、ぼんやりと遠くを見ていた主上の顔が、ふいに輝いた。
 伺候した人物が御前に膝をつく。
 少しとぼけたあの表情。
 ずい分と久しぶりだ。

 主上が充分に満足したあと、ちょっとした隙を見つけて二人で外に出る。
 呉竹のあたりで会話を交わす。

 「……生きていたのか、ヒキコモリ」
 「どうにかな」
 微かに濃い瞳の色素。少しも変わっていない。
 「正室の所へ行かねばならん。以前トラブったのでさすがにあいつも気まずいらしい。
そのせいで久々に出仕したわけだ」

 何日か休んだ後出てきた弟者は、自分と目を合わそうとしない。
仕事上必要な時と人目につきそうな時だけ、同輩としてふるまう。
その後の様子を聞きようもなかった。

297:平安Ⅵ 23
07/01/14 23:05:43 JMm3m1b60

 「あいつがよく出したもんだ」
 「その代わり、えらい目に会った。昨夜から寝かせてくれんのだ。
もう限界、ってまで抜かれたのに、あいつ相手だとまた勃っちまって、なんだか記録を更新した」
 「自慢か」
 「まさか。マジできついぞ。都市伝説かと思っていたが、本当に太陽が黄色く見える。
どーいう体の仕組みだかな。一度、あの子と試してみろ」
 「やなこった」
 従兄弟者は苦笑する。
 早春の冷たい風は流れ、どこからか梅の匂いを運んでくる。

 「まあ、本来の役割に戻ったってとこかな。
俺は部屋に籠り、あいつは活動する……性に合っている」
 「主上のためにたまには出て来い」
 「そうする………まあ、時にはおまえの顔を見るのも一興だ」
 からかうような瞳。
 「やめておけ。また上から降ってきかねん」
 「あいつならやりかねんな………爺やによろしく」
 梅の香とともに中に戻った。ふり返らない。
 季節は変わる。
 人の想いも変わる。
 その中で変わらないモノを見つけるなんて不可能だ。
 だが、あのバカなら見つけかねない。
 なにせ、掛け値なしの大バカだからだ。

 従兄弟者は肩をすくめ、自分も中に戻っていった。
 早春の陽が、呉竹の上に淡く落ちていた。
                              了



298:風と木の名無しさん
07/01/14 23:08:56 JMm3m1b60
大嘘たくさん(天井裏はないだろう、とか後宮に宿直所はもらえないだろうとか)

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |               
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ;)  オシマイ!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

299:風と木の名無しさん
07/01/14 23:14:38 NvC0IwJy0
>298
焦がれる程待っておりました。

リアタイに感動をさらに深めつつ、萌えの中心でGJと叫ばせてください
激しく乙でした



300:風と木の名無しさん
07/01/14 23:14:39 K5lkUYE/0
>>298乙でした!!

リアタイ遭遇で感動しました!

301:風と木の名無しさん
07/01/15 00:16:36 KBV/cmSp0
>298
正直、あんたのおかげで流石にハマったよ。
GJ。そしてお疲れ様。

302:風と木の名無しさん
07/01/15 01:16:31 C1NUAKN+0
>298
ありがとう! お疲れ様!
思わず2ch初カキコ

303:風と木の名無しさん
07/01/15 01:52:31 IwqFDrGEO
>>298
萌える文章乙乙おつ!
これで終わりかと思うと切ないぜ
とりあえず超乙!

304:風と木の名無しさん
07/01/15 01:59:17 R33uYVS0O
>298
待っていました乙華麗!
これで平安双子が見れなくなると思うと寂しいです
最後まで萌える流石をありがとうでした

305:風と木の名無しさん
07/01/15 21:49:13 Y8KTZ4Xw0
SF流石とかFT流石とか学園者流石とかも書いてくれ姐さんー!

しかし古語のなかに混じる2ちゃん語が絶妙だった。ゴチです。

306:風と木の名無しさん
07/01/16 00:18:58 XcVAP/PK0
nurupo

307:風と木の名無しさん
07/01/16 00:22:26 Z2DEocNJO
>>306
ga!

308:風と木の名無しさん
07/01/16 02:11:06 goporMzV0
>>298
GJGJGJ!!
これで流石兄弟の話が読めなくなるのが辛いが
まずはGJ!!!!
気が向いたらまた流石兄弟お願いします

309:風と木の名無しさん
07/01/18 22:15:59 BxVAWuteO
>>298
不覚にも泣きそうになった
超GJ!乙華麗でした!!
いつかまた流石兄弟書いてホスィ
姐さんの文章大好きだ

310:風と木の名無しさん
07/01/18 23:07:31 OnriI8qC0
>>298 乙です。
流石兄弟もさることながら、周りのメンバーもいい味出してました。
元ネタを知っているので二倍楽しめました。

311:里予王求1
07/01/19 01:33:47 OEe9kvVU0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
『誕生日』見て、書いたのを思い出した。
宣告直後の話。
後悔はしていない。

---------

実力だけがモノを言う、弱肉強食の世界。
一握りの栄光の影に、多くの敗北者がいる。
そんな世界で、俺たちは10年以上も戦ってきた。


「俺、クビになってん」

困ったような顔をしながらも、笑顔を忘れない男。
3年前に同僚になってからは、同じ歳と言うこともあって、仲良くしていた。

「そうか」
「またリストラやわ」

彼は昨年プロ16年目にして、初めて規定打席を達成した。
前のチームを戦力外になり、アリヒトさんがFAで抜けた穴を埋めるべく行われたトライアウトで、外野からノーバウンドでホームまでボールを返した。
まさに、劇的な人生を歩んだ男だ。
その生き様から、『リストラの星』なんて呼び名もある。

312:里予王求2
07/01/19 01:34:53 OEe9kvVU0
「手首は?」
「年やから、治りが遅いわ。けど、まだ現役諦めてない」
「ははは。俺だって、同じようなもんだ」
「魔法使いと一緒かぁ」

『魔法使い』に『オヤジビーム』
それが俺たちのあだ名。
今年は、お互い下にいることが多かった。
若い連中に混じって、真夏の鷹ノ巣でボールを追っていた。
真っ黒に日焼けした顔を見て、少しだけ、20年近く前の気持ちに戻れた気がした。

「トリは、まだまだここでやらな」
「俺は、シャチョウと、もっと一緒にいたかった」
「お前も俺も外様やけど、トリは監督に気に入られてるからな」
「それは」
「俺も……俺も、ここで野球人生終わらせたかったわ…」

目の前の男は、笑ったまま、ボロボロと大粒の涙を零していた。
この年で移籍先を探すことは難しいだろう。
移籍が叶えば、俺たちはまた敵同士になってしまう。
それが悲しくて、俺も自然と涙が出て来た。

313:里予王求3
07/01/19 01:36:27 OEe9kvVU0
「何でトリが泣くん…」
「俺だって…俺だって、」
「お互い、40に手が届くしな」
「引退する時は、シャチョウと一緒がよかった!」
「トリ……」

大の男が、それも四捨五入して40になる男が、2人も泣いている光景は、傍から見たらどれだけ奇異に映るだろう。
でも、そんなの関係なかった。
ただ、抱き合って、泣くことしかできなかった。
他に誰もいないロッカールームに、嗚咽だけが響く。

「トリ、俺の分まで若手を引っ張れよ。全部、お前の『ヘェイ』にかかってる」
「シャチョウ…」
「俺も、随分励まされてん」
「………」
「ほな、な」

去りゆく友の後ろ姿。
追いかけていこうと思ったのに、追いかけていけなかった。
1度も見たことないような寂しい後ろ姿に、俺は涙を止めることができなかった。

---------
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

シャチョウ、ガンガレ!


314:風と木の名無しさん
07/01/19 18:24:55 vlbFiUDs0
>>311-313
乙です
シャチョー・・・(´;ω;`)
自分そこのファソしてるだけに、泣けてしまうよ


315:風と木の名無しさん
07/01/19 19:11:17 wmHrEoOy0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ヘタレシャモ×襲い受優
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  兎 ~野生の闘牌~
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ラスト
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

316:兎 その1
07/01/19 19:15:27 wmHrEoOy0
「っっ何なんだこれはっ?!」
洗濯機の中から出てきたものは、ベルトが付いたままのジーンズと、
まだらに青く染まった― 元は白いはずの ― シャツだった。
優との共同生活を始めて1ヶ月。著しく生活能力の低い優を罵倒する回数は、
そろそろ3桁になるだろう。

山城の屋敷で囲われて、身の回りの世話をすべて手伝いの人間がやっていたのだから、
世間知らずなのはしょうがないとしても、正直、優の場合は度を越してた。
テレビや書籍でも見ていたら、いくらでもわかりそうなことも知らないばかりか、
本人に「生活をする」という意識がまるきり欠如しているのだ。

生きることへの執着心が欠如した「傀儡」。
罵倒したところで、少しも堪えた様子も見せない優の姿を見る度に、
かすかに胸が痛み、同時に苛立ちを覚えた。
「ったく。本当に何もできないんだな。あんたは。」
溜息まじりの言葉をぶつけることは、すでに日常になりつつある。
「・・・あぁ。全くだな。俺があの狭い世界の中で覚えたことと言えば、
 打つことと、じじいのチンコをしゃぶって満足させることぐらいだからな。」
「・・・っつ。悪かったよ。」
「ん?いや、違うよ。責めたわけじゃない。ホントのことだ。ホントにそれしか
 知らないんだよ。俺は。」
優はかすかに笑って言う。諦きらめることに慣れた顔。
「あんたはもう自由になったんだから、これからいくらでも覚えればいいだろ。
 実際、目玉焼きも作れるようになったし、お湯も沸かせるようになったじゃないか。」
「ふふ。そうだね。」

317:兎 その2
07/01/19 19:17:06 wmHrEoOy0
―自由か、山城から自由になったとしても、D・Dの血からは逃れられない。
そんなことは、俺よりも優自身が感じていることだろう。
「なぁ、隆史君。俺は君に感謝してるんだよ。これでもね。」
「そんなこと・・・・・」

不意に腰を引き寄せられて、優の掛けていたソファに倒れこむと、
優の形のいい長い指がズボンの前をするりと撫でた。
「・・・・って、風間?!」
「こんな仕方しかできなくて悪いんだけどさ、他に何もないんだよね。俺には。」
慣れた手つきでベルトが外され、ズボンが引き抜かれる。
ボクサーパンツの上から、優の唇が俺に触れた。

「・・・・っ、ちょっと待てって!そんなことしなくていいから!!」
手を添えたまま見上げる優の視線に、ゾクリと背中が震えた。
「頼むよ。役立たずでいるのが辛いんだ。気持ちいいことしかしないから。」
力ずくで引き剥がせばそうできたのに、しなかったのは掠れたような優の声が、
少しだけ震えていたような気がしたからだ。
堪えていないわけではなかった。プライドの高い優が自分を守る為に身につけた
ポーカーフェイス。それを崩してこんな顔をされて拒絶できる程、非道じゃない。

318:兎 その3
07/01/19 19:19:23 wmHrEoOy0
「・・・っは・・・・」
気持ちがいいことしかしないと言った言葉通り、もどかしいと思えるほど優の
指や舌がゆるゆると快感を呼び起こす。
とっくに勃ち上がっているそれを愛しそうに舐め上げては、絶頂を迎える直前で
やめて、他の部分への刺激で分散させてしまう。

「・・・風間・・・もう・・・」
少しだけ、優が微笑った気がした。
「あっ・・・・!」
次の瞬間、強烈な圧迫感と温かな感触に包まれた。
「・・・っ!?」
馬乗りになった優の脚の間で、俺にあるのと同じものがいやらしく上を向いている。
「あんた・・・」
「うるさい。」
俺の言葉は遮られ、口は柔らかな感触で塞がれた。

「・・・っはっ・・・っちょっと・・・待てって!動くな・・・」
「いいから、イケよ。1度でおしまいってことはないだろ?」
ひやりと外気に触れる感覚に、解放されるかと思ったそれは、再度一番深いところまで挿し込まれた。
「・・・・うあっ・・・・・・」
脳が鷲掴みされるような衝撃で目の前が真っ白になる。
俺は優の中で爆ぜた。

乱れた呼吸に合わせるようにして、優がゆるやかに腰を動かす。
鈍い快感が重い腰を痺れさせる。
「・・・すごい、聞いて。君のですごいエロい音してるよ。」
淫猥な音を響かせて、優が煽る。
自らのものをしごく優の上気した顔が、堪らなく扇情的で、爆ぜたばかりのそこが、
再び優の中で体積を増す。

319:兎 その5 終
07/01/19 19:21:37 wmHrEoOy0
「・・・くそっ」
野郎のオナニーシーンなんか見て、勃つような趣味はない。はずなのに。
上半身を起こして優を抱きかかえる。優なんかに組み敷かれるのは本位じゃない。

はずみで優の深い所まで届く。反らされた優の首筋を条件反射のように舐め上げる。
「・・・ひっ」
初めて漏らされた声に、煽られるようにして耳に舌を這わせる。
キリリと優の中が締まり、危うく声を上げそうになる。

「・・・はぁっ・・・・。・・・いいよ隆史君。やっと・・・その気になった?」
「・・・クソ。・・・知らねぇぞ。」
「いいよ。好きにすればいい。・・・酷くしてくれよ。」
ふと、山城の顔が浮かぶ。優は、あいつにもこんな顔を見せていたのかと思うと
怒りにも似た感情が、体温を上昇させる。
優をそのまま引き倒し、思考が飛ぶほど、突き上げた。

「・・・・・あっ・・・・・はぁっ・・・・・・・・・・・ああぁっ!!!」
射精の感覚。

鈍い頭で、馬鹿らしいほど甘いキスをした。

320:兎 終
07/01/19 19:23:34 wmHrEoOy0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |               
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ;)  オシマイ!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


321:風と木の名無しさん
07/01/19 19:42:48 u5rbBeJR0
キタ━━(゚∀゚)━━━!!!
エロいエロいよーーーーーーーー。

322:風と木の名無しさん
07/01/19 20:22:59 r6vx9pFj0
>>320 GJ!待ってた(´Д`*)


323:風と木の名無しさん
07/01/19 20:28:01 Q4cxZGko0
ここで兎が読めるとは!!!
㌧㌧㌧!!!!

324:風と木の名無しさん
07/01/20 22:40:13 6U0ZUHoK0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  祭りも終息に向かいそうなので。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  AA モナー中心。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ オレモイルゾ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


325:1/5
07/01/20 22:40:57 6U0ZUHoK0
 世界が生まれてから一日たりとも休むことなく繰り返してきたように、今日もまた日が暮れていく。
 スレの狭間にある川原には、一頭身に三頭身、六頭身に八頭身と、様々なAAたちが集まっては景色を眺めていた。
 普段はめったに外に出ないヒッキーやドクオまでもが肩を並べて座っている。
 草むらに座っているモナーは、川原全体を鮮やかなオレンジに染め上げる夕日を一人で眺めていた。
「寂しいモナ。みんないなくなっちゃうモナ」
 呟いた声は誰に聞かれることも無く、風が攫っていった。

 この世界に産み落とされてから今日まで、ギコやモララーたちと気楽にのんびりやってきた。
 いろんな板に行っては新しいAAと出会ったりもした。
 楽しかった。
 コピペ嵐や虐殺厨にスレを荒らされても、みんなで支え合って乗り切ってきた。
 多くのAA達と一緒にいることは、モナーにとって何にも代えがたい喜びだった。
 しかし、物事には始めがあれば、必ず終わりが来る。
 いつか別れの時はやってくる。

「このままみんなと離れ離れになるのは嫌モナ」
 ここが無くなっても移住先はある。避難所もある。
 でも、世界が分散すればそれだけ他のAAに会える機会が減ってしまう。
 そうしてAA描きが徐々に減ってスレは寂れ、いつかAAそのものがいなくなるかもしれない。
 寂しいけれどどうしようもない。
 0から作成するのだろうとコピペだろうと、投下する人とスレがなければ自分達は存在できない。
 いづれは過去ログの藻屑と消える運命を辿るのだろう。
 胸に空いた穴から入り込んでくる隙間風を防ぐかのように身を縮めて顔を伏せた。

326:2/5
07/01/20 22:41:32 6U0ZUHoK0
「2chと共に心中してやるーーーーっ!」
 叫び声と地響きに驚いて顔を上げると、兄者が転げ落ちんばかりの勢いで土手を下っていた。
「閉鎖かどうかまだ決まったわけじゃないだろ!」
「もうブラクラも踏めなくなるんだ!」
「それはいいことではないのか?」
「そんな世界は耐えられない!消される前に消えてやる!」
 FMVを抱えて川に飛び込もうとする兄者を必死で弟者が止めている。
「ここが消えても他に行くところがあるだろ?」
「ひきこもりにそんな真似ができるか」
「俺がそばにいる」
 兄者はしょぼくれた顔を弟者に向けた。
「俺だって不安なのは同じだ。でも、二人でなら何とかなる」
「……そうだな」
 兄者の顔から曇りが消えていく。代わりに浮かぶのは花開くような笑顔。
「こうなったら終わりを見届けてやる。弟者も付き合え」
「突撃はやめとけよ」
 座って広げたFMVを、体をぴったりと寄せ合って覗き込んだ。

 どのスレで見かけてもほとんど一緒に投下されている流石兄弟。
 どこに行ってもきっと二人でやっていくのだろう。
 その絆の強さが羨ましかった。
 流石兄弟に向けたモナーの目が、眩しげに細められた。

327:3/5
07/01/20 22:42:51 6U0ZUHoK0
「こんなところでぼーっとして、どうしたんだ?」
 後ろから肩を叩かれ、後ろを向くとギコが立っていた。その横にはモララーもいる。
「考え事」
「そんな深刻そうな顔には見えないよ」
「まあ元々とぼけた顔だからな」
「ひどいモナ」
 いつものからかいに少し気分が浮上する。
 モナーをの横に腰を落ち着けた二人は、今回の騒動についてさっそく意見を交わし始めた。
「どうせ釣りだろ。ニュー速とvipperは騒ぎ過ぎなんだゴルァ」
「でも、万が一閉鎖になる可能性もあるんじゃないかな。住民はマターリと静かに見守ってるけど、実際は不安だと思うよ」
「その時はここを出てって別の所に行けばいいだけの話だろ?そんなに深刻になることか?」
「新天地で今まで通りにやるのは簡単じゃないよ。すぐに元通りになるほど甘いものじゃないだろうしね」
 先のことを見据えて話し合うギコ達。
 言えるわけがない。
『ずっと側にいたい』
 彼らがどこに行こうと、どこに向かおうとそれは彼らの自由。
 無理やり側にいてもらうことなど出来るわけが無い。
 恋人でもないのにそんなことを望んではいけない。
「どうしたんだ?顔色悪いぞ」
 ギコが心配そうな顔を浮かべて覗き込んできた。
 なんでもないと首を振り、目を逸らす。
 口から飛び出てしまいそうな言葉を飲み込み、黙って正面を見つめる。

328:4/5
07/01/20 22:43:25 6U0ZUHoK0
 自分一人が消えるならまだいい。
 でも、新天地にいるAAが自分だけだったら?
 誰も来ないスレで他のAAが投下されるのを孤独に待つ羽目になったら。
 膨れ上がる不安にモナーは今にも飲み込まれそうだった。
「不安なのか?」
 再びギコが声を掛けてきた。
 頷くと、苦笑して頭をがしがしと撫でてきた。
「しかたねえなあ。この騒ぎが収まるまでは、なるべく一緒にいてやるよ」
「時間が許す限りはそばにいるからさ」
 ギコの手が優しい。
 モララーの言葉が温かい。
 今はこれだけでいい。それ以上のわがままは言わないでおこう。
 零れそうになる涙を目の中に留め、もう一度頷いた。

 どうかまた皆と一緒にいられますように。
 もしもこの世界が失われてしまっても、生まれ変わってまたどこかで彼らと出会えますように。

 最後の希望を燃え上がらせるかのように、夕日の赤い筋が川原に差し込んだ。

329:5/5
07/01/20 22:44:04 6U0ZUHoK0
 結局閉鎖は無くなり、いつもの日常が戻ってきた。
 今日も各地の板にAAが描かれている。
 モナーもいくつかのスレに顔を出した後、投下の合間を縫って、数日ぶりに川原へと足を運んだ。
 足元から聞こえる呻き声に目線を下ろすと、すっかり眠り込んでいる流石兄弟が草むらに寝転がっていた。
 気持ちよさそうに寝ている兄者とは対照的に、弟者は眉間に皺を寄せている。
 胸の上に兄者の頭があるのだからさぞかし苦しいだろう。
 それでも兄者をどかすことなく、むしろ腕を回して落ちないようにしてやっていた。
 相変わらずの仲の良さに苦笑し、さらに川の方へと降りていく。
 すでに来ていたモララー達は、モナーに気付くと手を振った。
 草むらに座り込み、あの日と同じように夕日を眺めた。
「何事もなくてよかったね」
「言っただろ、どうせ釣りだって。それにしてもなあ……」
 尻尾を揺らしていたギコが突然笑いだした。
「閉鎖は無いとわかった時のモナーのはしゃぎっぷりはすごかった」
「抱きつかれた時に、顔に鼻水がついたよ」
「許してほしいモナ」
 からかわれることに恥ずかしさを覚えつつも、彼らとまた一緒にいられることに喜びを感じる。
 この世界が消えなくて良かったと心の底から安堵した。
 二人の頭越しに見える水面は、陽の光を受けてきらきらと輝いていた。

 変わらない風景。変わりゆく世界。
 永遠など望めないのは知っている。
 だから、いつか消えゆくその日までは、彼らと共にこの世界を楽しもう。
 ログに少しでも思い出を刻めるように。

330:終
07/01/20 22:45:22 6U0ZUHoK0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  閉鎖しないよね?
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

331:風と木の名無しさん
07/01/20 23:02:37 j5TPjuYPO
乙!!可愛かった…!!

332:風と木の名無しさん
07/01/20 23:40:11 7WimgRZw0
>330 乙
大丈夫、大丈夫だよ。AAは不滅だ。
テラカワイカッタ! 

333:風と木の名無しさん
07/01/21 10:07:04 GPF84btI0
音楽かけながら読んでたら何故か目から水が
乙・・・

334:風と木の名無しさん
07/01/21 20:04:53 Dvv559IG0
閉鎖騒動はネタとして遊んでいたが
モナの気持ちにキュンキュンした
モナカワユス!!!

335:風と木の名無しさん
07/01/21 20:25:04 f4+SXphGO
乙!本当にスッゴい可愛かった!!
書いてくれてありがとう!

336:風と木の名無しさん
07/01/21 20:33:57 hwgEGxlF0
僕のときめきもメモリアノレしそうです

337:似非マフィア1
07/01/21 20:56:37 KI3gyRGM0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
何だろねこれ似非マフィアモノで、唐突に思いついた走り書きです(オリジ


 ゆらゆらと頭を揺らし、老人は微笑んだ。
 この閉鎖された土地を支配し、血の雨を降らせ、身を呈して守ってきた男。身内に
は誰よりも優しく、それ以外には誰よりも残酷なマフィアのボス。
 上品な老人にしかみえないが、この島の人間なら誰よりも恐れられている男。
「ああ、それで……?」
 甘く掠れる声が青年の耳朶をうつ。腰が震えるほど甘美な声だった。何人のシチリ
ア・マフィアが、この声に跪いて手にキスをしたのだろう?
 彼らは時に自ら望んで膝を折り、あるいは甘美な脅迫に震えて這い蹲ったに違いな
い。
 この声で死を宣告されるというのは、どのような気分になるのだろう?
 自分の最期を決める砂糖菓子の声、そのとき胸に去来するのは陶酔か恐怖か。
 老眼鏡の奥の目が笑っている。
 目じりの皺は深く、髪を梳くほっそりした指には無骨なダイヤが光っていた。
「ドン・エルリオ……私の兄弟を何故、あんな低俗どもに売ったのです? 確かに私
の兄弟はヘマをした。馬鹿だった。けれどあれは、私の兄弟であり、ひいてはこの土
地の息子たちです。何故、この土地の息子たちを売ったのです」
 ご存じなかったとは言わせない、と付け加えて青年は真っ直ぐに老人を見据えた。
 小さなファミリーの2代目。数年前、強引な手法と大胆なやり方で急成長を遂げた
青年のファミリーは、最近の縄張り争いでヘマをした。
 大元締めであるファミリーの末端構成員を一人、乱闘騒ぎの末に殺してしまった。
 相手が悪かったとしか言い様がない。
 ファミリーの仇はファミリーが返す。この土地は、そういう土地だ。
 老人はそばに使える男に目配せ一つして、控えめに笑い声を上げた。くすぐったい
ような声だった。
「それは君、君の兄弟が私のファミリーを傷つけたから……。私はこれでもここにい
る全員の父親だよ? 時には冷酷になることもある……あの下品なムッソリーニのよ
うに、ね?」

338:似非マフィア2
07/01/21 20:58:03 KI3gyRGM0
「傷付けた……あの、赤毛の青年ですか? 可愛そうなことをしたと思っています、
しかし先に手を出したのは彼だ。彼は私の兄弟のシマを荒らした、ご存知でしょう」
「やんちゃな子供だ、君もあの子も殺された子も。君は自分の身内が吠えた言葉を
鵜呑みにして、私のファミリーを殺した。急いていたね、何の調べもせずに……」
「調べる余地もない―貴方は彼を可愛がっていたそうですが、私のシマで暴れる
なら、それ相応の覚悟をしていただかなくては」
「可愛い子だった。私のシマ、と言ったかな? 君の物? 私ではなく君の? 少
し、勘違いをしているのかな……不可侵条約を結んでいるわけではないのだよ、
我々は。抗争の何がおかしいかね? そして子の抗争に親が口一つ、手一つ出さな
いという約束はない」
「貴方に―貴方に殺されたのなら私だって文句は言わない! 偉大なドン・エルリ
オの手にかかって死んだなら。けれど貴方はあの汚い丸々と肥えた金の亡者に兄弟
を殺させた。何故です。同じ死ぬなら」
「私の手を汚して欲しかった……?」
 射精の寸止めを食らったように顔を歪めて、青年は目を逸らした。ほっそりした指
がダイヤの指輪ごと血に染まるのを想像して不敬な欲情をした、そのことを悟られま
いと目を逸らした。
 老人の側近がひそかに目を細める。
 青年はぐっと奥歯を噛み、小さな自分のファミリーの面々をひとりひとり脳裏に描
いて深呼吸した。
 エルリオ・ファミリーの前で青年は弱者だ。マフィアのボスと言っても青年はちっぽ
けなファミリーを親から継いだだけだ、この土地の最大手であるエルリオ・ファミリー
に逆らっては生きて行けない。
 幼い頃、青年はこの老人に会ったことがある。彼の親父が、手前の息子でござい、
と挨拶に伺ったときだ。
 その頃すでに30の半ばを過ぎていた老人―ドン・エルリオは、柔らかな手で子供
の頭を撫で、甘い声で褒め言葉をくれた。どんな言葉だったかは忘れた。ただ手が震
え、痺れ、立っているのがやっとだったのを覚えている。それまで見たこともない美
しさで、ドン・エルリオは青年の心深くに入り込んだのだ。
 その男の家に、今青年はひとりで乗り込んでいる。豪奢な暖炉の前で寛ぐ老人の前
に立ち、大勢の側近に取り囲まれてもはや逃げ場もない。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch