【陵辱】鬼畜作品を創作して20thプレイ【SM】 at 801
【陵辱】鬼畜作品を創作して20thプレイ【SM】 - 暇つぶし2ch550:テュランの筏10/15
07/01/18 12:15:05 qg4wNRbU0
彼の股間はすでに昂ぶっており……僕はその後の凄惨さを想像して……想像して……想像など、許されない。
許されるはずがないっ! お前みたいな奴が、クリフを汚す権利など、持っているものかっ!
とうとつに僕を支配したのは、強い怒り。心の底から憤怒が立ち上ってくる。
「どけっ、楊玲!」
僕の乱暴な口調に、ぽかんとした表情を作る、その一連でさえ、スローモーションだった。
神経から分泌されるアドレナリンが、時間も動作も、ぎゅっと縮めていたのかもしれない。
振り回した手は、僕の怒号をすべて含めて、楊玲の顎にヒットした。
彼が倒れるのも確認しないまま、僕は駆けた。タープに手を入れて、一番重い容器を拾う。
両手で抱え、キッと藤吾をにらみつけた。
白いスーツの男は、敵役にふさわしい笑みで、すでに右手にスタンガンを用意していた。
クリフの鎖は放していたが、さんざんに責めさいなまれた彼は、意識を失っているようだ。
……僕が、僕がクリフを救わなくちゃ!
僕は意思を強く灯した。今なら瞳の炎で、藤吾を炎熱地獄へも送ってやれるはずだ。
『……君は意思が弱そうだから……』
『……意思の弱そうな智士君……』
……お前が、お前がそう言った。違うって事を、今、見せてやる。
……弱くなんてない、クリフを守るためなら、お前だって打ち砕いてやる!

551:テュランの筏11/15
07/01/18 12:19:23 qg4wNRbU0
十メートルわずかの対角線をひた走るその間、気合の雄叫びが、勝手に口からもれていた。
藤吾は慢心と余裕で、動作が鈍かった。
いや、僕の体内に分泌される、アドレナリンの作用でそう見えるだけかもしれないが。
それは回避可能だった。けど僕はギリギリ避けた振りをする。藤吾の油断をさそう為だ。
一撃目が外れた藤吾は、忌々しそうに舌打ちをしたが、すぐに体勢を立て直す。
右手を伸ばして距離をおき、僕をけん制する。だが、それこそが望んでいた隙だった。
圧倒的な身長差は、クリティカルなダメージを与える頭部への攻撃を防ぐ。
他の部分は、僕の力で打ちかかっても、たいした打撃を与えられない。
何せ、水のつまったガラス瓶。それが唯一の武器なのだから。僕は狙いを絞っていた。
……藤吾のウィークポイントは何だ?
……何度も見せた。触れられると怒りとうろたえを露にした。
……左腕の時計だっ!
……あわてて体勢を崩せっ! そこを打ち砕いてやるっ!
右手のけん制を大回りして、僕は瓶をふりかざし、左手首に突進する。
藤吾は反応が遅れた。まさか、そんなところに攻撃をしかけるとは、予想だにしなかったのだろう。
このテュランの国で初めて、藤吾の表情がこわばった。
黒い瞳がめいいっぱい見開かれ、ギュッと閉じられた後、彼は意外な行動に出た。
ただガラスと共に砕けるはずだった腕時計を……彼はかばったのだ。

552:テュランの筏12/15
07/01/18 12:20:24 qg4wNRbU0
左腕を背に隠すため、身体をひねり、
その結果、僕の振りかざしたガラス瓶を、頭部で受け止める事になってしまった。
正確には右こめかみのななめ上。
そこで叩きつけたガラスは千にも万にも、破壊音を立てて砕けた。
キラキラと光る粉が空中を舞ったのは一瞬、まもなく吹き出す鮮血が混じり、
ドウと倒れる音と共に、いかだが大きく震えた。
僕の手には、瓶の首部分しか残っていなかった。
誰も動くものはない。いかだ上はただただ静寂に満ちていた。

どのくらい、すぎただろうか。
関節がこわばってしまった指をほぐすと、残った瓶の口が落ちて、音を立てて割れた。
それで動き出したのは楊玲だった。彼は動作の開始に、僕をなじる事を選んだ。
訳の分からない言葉で僕を指さし、顔を真っ赤にし、涙をこぼして訴えつづけた。
「……戮! ……挂……」
「何を言ってるか、分からないよ、楊玲」
僕は感情のこもらない口調で、そう答えた。
楊玲は半狂乱に首を振り、泣き顔で倒れた藤吾のところへ駆けていく。
僕はただただ冷ややかにそれを見送った。心に浮かんだのは、軽蔑の感情だったと思う。
だが、それに構っている暇はない。
僕は倒れふすクリフのもとに屈み、彼の身体を包む忌まわしいものを剥ぎとっていった。

553:テュランの筏13/15
07/01/18 12:21:30 qg4wNRbU0
革の拘束着は彼の白い肌にいくつも赤い痣を作っていた。
口枷は外したが、彼の顎は閉じ方を忘れてしまったみたいに、あいたままだった。
胸の責め具をそっと外す。彼の胸の先端はピンク色をすぎて、無残な赤となっていた。
最後に、ゆっくりとペニスを苛むリングを、抜いた。
「……んぅ……っ」
かすかにクリフは身じろぎした。目はまだ閉じられているが、唇がかすかにうごめいた。
かさついた表面がなにを欲しがっているかは、すぐ分かった。
「水だね、クリフ」
僕は、番人のいなくなった黒いトランクを一気に開放した。
……思えば、それが絶望のはじまりだったのではないか。
……開けてはいけないパンドラの箱。
トランクには、何もなかった。少なくとも僕らが必要とするものは。
忌まわしい性具は見覚えあるものから、そうでないものまで、まだ箱の半分を占めていた。
そして残り半分は、空っぽだった。
今まで僕らが飲み食いしてきた品物をつめれば、ちょうど収まるくらいの間。
呆然としていた時間はそれほど長くないと思う。クリフの呻く声が、聞こえてきたからだ。
意識を切りかえ、倒れている藤吾に近づく。
脇で泣きじゃくっている楊玲を邪険にどかすと、背広の内側からボトルを取り出した。
飲み口を気が済むまで手でこすってから、クリフの唇に当てる。
舌が水を求め、喉が小さくうごめきはじめた。

554:テュランの筏14/15
07/01/18 12:22:14 qg4wNRbU0
眉をひそめたクリフは、まもなくその冴えた青い瞳を開いた。
水平線に太陽が沈む。長い長い一日が終わろうとしていた。

暗くなって出来る事は限られていた。とりあえず、服を着込む。
藤吾は脈も呼吸も確認して……死んでいると分かった。
背広からめぼしい物だけ取り、死体は海に捨てた。
僕は殺人の罪悪感に苛まれるより、むしろ泣き止まない楊玲に苛立っていた。
思い出したように僕を睨みつけては、分からない言葉で僕をののしる。
「いったい、何が言いたいんだよっ!」
僕は耐え切れず叫び、楊玲を激しく揺さぶった。
クリフが止めようと間に割ってはいるが、僕は楊玲につめよった。
「解放されたんだっ、僕たちは。
テュランから自由になって、これから正真正銘、ほんとうに救われるんだっ!」
怒鳴った言葉が伝わっていないと思い、僕は楊玲の手の平を強引につかまえ、
指で「助」「救」と文字を書いた。
漢字の意味は理解したのだろう。
手の平をじっと見つめていた楊玲は、ふと僕に視線を向けた。
宝石のような見事な茶色。僕は彼の顔を正面から見るなんて初めてだった。
「アハ……」

555:テュランの筏15/15
07/01/18 12:23:14 qg4wNRbU0
そして、見とれていたためか、楊玲の発した意味が分からなかった。
きょとんとした表情をする僕の目の前で、楊玲は笑い顔のまま、床に座りこみ、
両手両足が弛緩した体勢で、ただ腹と喉を震わせた。
「アハハハハハハハハ……」
笑い声は万国共通だった。
どこか幼児めいた甲高さをふくめて、楊玲はただただ海上を、己の笑い声で支配する。
僕とクリフは、ただ顔を見合わせるだけだった。

闇の中、笑い声は止まず、それが耳にさわって、クリフと話し合えたのはこれだけだった。
「食料と水は、見当たらなかった」
「十四日目は、藤吾に『確実』な何かがあったんだろう。
食料と水を使い果たしても構わないような。
それが何だかは分からないが……明るくなったらトランクを探ってみよう。
位置を知らせる発信機か無線があるのかもしれない。海上自衛隊に連絡出来るだろうし」
「うん」
ほんとうはもっと話したい事があった。
けれども楊玲は一晩中笑いつづけた。
涙が途切れても、声が枯れても、ただただ横隔膜から発した音を空気に震わせ……
そして、いつの間にか発狂していた。

556:風と木の名無しさん
07/01/18 13:57:30 t9xbvcrxO
クリフ…(*´Д`)ハァハァ
タュランタンGJ!!

557:風と木の名無しさん
07/01/18 15:11:18 uC+YEhcm0
息を詰めて読んだよ……すげー盛り上がりだった。
しかしこれからどーなるの…。

558:風と木の名無しさん
07/01/18 18:28:30 NRduy+9JO
マジで藤吾死んだん?(゜Д゜;
テュランが居なくなったにも関わらず、ちっとも希望が見えてこないぞ。

早く…早く続きをぉぉぉぉノ(´Д`)ノ

559:風と木の名無しさん
07/01/18 22:03:39 dmp2/7pdO
テュランタソGJ!!

死亡…発狂……

どーなんのーー!!??
無事に生還出来ればいいけど…

560:風と木の名無しさん
07/01/18 22:23:30 /cYVGwko0
絶望の始まり……?
あの、こ こ から絶望が始まるんですか!?

561:風と木の名無しさん
07/01/18 23:36:43 DU3/1trK0
え・・藤吾は死んだの・??
すげぇ気になる
テュランタソGJ!!続きwktkしながらまってます

562:テュランの筏1/3
07/01/19 07:41:05 wAuYIsiB0
十四日目

……僕が、意思を強く持とうなんていうのが、おこがましかったのだ。
……弱いものは、弱いままでいればよかったのだ。弱いものが、人を馬鹿にするから。
……楊玲を、心が弱いものだと決めつけていたから。だから、気付けなかった。
……楊玲は、知っていたのだ。甘えた時に、聞かされたのかもしれない。
……それとも、いつだったか。トランクの中を見せてもらった時に、食料の量から逆算し、悟っていたのかもしれない。
……とにかく、楊玲の心は、僕がおよばないほど強かったのだ。
……悟った彼は、ただ十四日を安全に生き延びようと思い、実行しただけなのだ。
……そして、クリフ。孤高に生きる、誰より誇り高い意志を持つ彼。
……僕が彼に憧れ、まねしようとする事。それ自体がすでに間違えだったのだ。
……僕は弱い。意思が弱い。それを受け入れればよかったのだ。
……なまじ強くなろうと思った心は、誤った方向へ働いた。
……みんなを、犠牲にして。
……トランクには発信機も、無線もなかった。

563:テュランの筏2/3
07/01/19 07:42:01 wAuYIsiB0
ただあったのは手紙。「矢野島藤吾」宛。
死者の名前など、いまさら意味を持たないが。
発信者には全く聞いたことのない、メーカーの名前があった。
藤吾が左手首にはめている腕時計の機種名だ。
びんせんを開く前から、すでにいやな予感はあった。
……パンドラの箱から、絶望は飛び出している。
……用意周到で、狡猾な藤吾。
……最初に彼は何て、名乗った?
……「船長」だ。そして彼はテュランでもある。

「スイッチを入れますと、発信信号が送られます。
十四日間経過後、お客様との打ち合わせ通り、ヘリを遣わせます。
この機能はお客様の脈拍と連動しております。
万が一にも時計を外したりして脈拍が途切れてしまいますと、
発信は途絶え、以後位置を追う事は不可能となります。
どうか、ご注意ください」

564:テュランの筏3/3
07/01/19 07:43:12 wAuYIsiB0
……船長がいない船など、ただ死の波間をただよう板だ。
……暴君といえども、治めるものがない国は、崩壊する。

「なぁ、智士。そこには何て書いてあるんだ?」
日本語が読めないクリフは、僕にたずねる。
僕は答えられる訳もなく、ただ震える手で、手紙を持ちつづけていた。

――水も食料もない。
いかだに乗っているのは狂った一人と、もうすぐそうなる二人。

水平線はどこまでも続いている。
残酷に空と海とを二分しながら。

-------------------


565:風と木の名無しさん
07/01/19 08:53:47 VjmQXeFc0
うそおおおおおお!?
嘘だろ!?嘘だよね!?



………orz
言葉もありません…
大作をありがとうございました…

566:風と木の名無しさん
07/01/19 09:56:51 hfjbvz7FO
ええぇぇーーー!!!!!!?????
嘘ーー!!!

テュランタソGJです……


最終的に『教育』に繋がったね。ある意味藤吾は正常だったんだ。人間の限界まで迫り、緊迫の作品でした。本当にスバラチイ!!!
テュランタソ乙です!!

567:風と木の名無しさん
07/01/19 10:10:34 CwSAPvbW0
ぎゃーーーーー!
これほど恐ろしい結末だなんて思わなかったよ!
テュランタン、最後まで読み手を引っ張り回してくれてありがとう。
大作、お疲れ様でした!

568:風と木の名無しさん
07/01/19 11:06:51 yQryG8Re0
ススススイッチはもう入ってたから
その時点での大体の位置は判明してると思うの。
そこが海の上だし海難事故があったんだから
しししし信号が途絶えたらきっと海上保安庁に連絡してくれてると思うの。

569:風と木の名無しさん
07/01/19 11:24:25 hfjbvz7FO
藤吾が時計をかばって殴られた衝撃で不意にスイッチ入ったとか………


救助が来るまでその電波は持続しなければいけないなんて事……………(゜Д゜)

570:風と木の名無しさん
07/01/19 11:31:43 OgrwL19T0
テュランタソ乙!!
藤吾の行動の理由にすごく納得がいって
最後まで楽しんだよ。
どうもありがとうございました!!

571:風と木の名無しさん
07/01/19 11:34:29 hfjbvz7FO
全てピッタリ!!!
登場人物の心情をリアルに表していて大作でした。

テュランタソ乙です!!!!

572:風と木の名無しさん
07/01/19 11:37:07 su7G3MmX0
>「スイッチを入れますと、発信信号が送られます。
>十四日間経過後、お客様との打ち合わせ通り、ヘリを遣わせます。

スイッチは事故があった当日に入れてるんだよ。
で、14日経ってから信号が出てるところまで迎えに行くんでしょ。

573:風と木の名無しさん
07/01/19 11:38:12 su7G3MmX0
ごめん、572は569宛てね。

574:風と木の名無しさん
07/01/19 12:00:22 hfjbvz7FO
>>573
あぁ~~
納得!!!

でも信号が出ていて、その場で消えたからめやすは付くのかなぁ?

575:風と木の名無しさん
07/01/19 12:29:47 6oErWxGK0
目安ついてて欲しいよ
こんな怖い終わり方いやだー

576:風と木の名無しさん
07/01/19 12:45:19 T5h9vte/0
空から大海原の救命ボートとかを発見するのは
難しい場合もあるらしいぞ。
前にドキュメンタリーで見たのだが、
捜索の飛行機が遭難者たちの頭上を飛んでいたのに
気付けなかったんだって。
太陽光が水面に反射して海全体がキラキラし過ぎていて、
ボートのような小さな物はそれに紛れ込んでしまうらしい。
つーことは、目安が付いていて迎えに来てもらっても、
信号がなきゃ発見してもらえないかもだ。

577:風と木の名無しさん
07/01/19 12:46:02 T5h9vte/0
あ・・・あげちまった
スマソ
今夜もVIPPERの襲撃はあるんだろうか

578:風と木の名無しさん
07/01/19 13:26:26 tmVQ4krwO
テュランたん乙!面白かったよ
智士とクリフが無事生還して友情を育むハッピーエンドだと思ってた
予想外のEDでした/(^0^)\

579:風と木の名無しさん
07/01/19 14:18:47 ZNkK/dNf0
だがいかだの位置は変わっていないんだよな?
14日間同じ位置から信号が出てればおおよその見当はつくはず。
海と空から探せば・・・大丈夫だと思いたい。

だが鬼畜らしい最後でした、テュランたん有難うございました


580:風と木の名無しさん
07/01/19 16:46:09 d60yvoJTO
そろそろ雑談は

581:風と木の名無しさん
07/01/19 17:01:23 7h181if/0
なんで遭難用の道具なのに
2週間経過後救出なんだろうか?
元から藤吾が打ち合わせていた遭難だったの?

582:風と木の名無しさん
07/01/19 17:07:50 vYoXAj4/0
>>581
「十四日間経過後、お客様との打ち合わせ通り、ヘリを遣わせます。」

遭難自体は事故だが、遭難しそうな機会を探していたんだろう。
で、かねてより準備していた秘密兵器を使ったんだよ。
信号発信開始から14日後に来るってのが契約内容だった、と。

でもホントにそろそろしたらばに行った方が良さそうだね。

583:醜い吸血鬼 3ー1
07/01/20 04:07:42 30ARg730O
キャベツはキャベツ畑に住んでいる。
畑の脇にぼろいハリエニシダの家があって、ずっと、ずっと、ずーっと独りで暮らしてる。
キャベツはキャベツしか食べない。だから、ちびでやせっぽっちだ。
膝がちょっと隠れるか隠れないかしかない、短くてつぎはぎだらけの
黒いチュニックをたった一着だけ持っている。
擦り切れた袖口からは細っこい手首が覗いてて、
手首の先には小枝みたいな、いまにも折れちまいそうな指のついた小っちぇえ手がある。
ほつれて糸がはみだしてる裾からは、ガリガリで骨張った棒きれみてぇーな裸足の脚がのぞいてる。
膝はいつもひび割れてて、肌はカサカサ。かかとはガサガサだ。
お日さまにあたれねー病気のせいで血色は悪いし、こけた頬と落ち窪んだ目は
友達、略してダチの俺から見てもキモい。
真っ白な顔に、真っ黒な白目のあんまねぇー目だけが、ぐりぐりしてる。
唇は冬じゃなくても荒れて乾いてるし、とにかくキモい。
背なんか俺様の肩より低いんだ。俺はいつもキャベツのつむじを見下ろしてる。
キャベツの長い髪は真っ黒でバザバサで薄汚いけど、つむじだけはカワイイ。
村のみんなは、森の奥の先に、キャベツ畑があることも、キャベツが住んでることも知らない。
俺とキャベツだけの秘密だ。ガキの頃、森で迷子になってキャベツに会った。
出会ったときは同じぐらいだった背も、いまじゃ俺のがずっと高い。
キャベツは、ちっとも大きくならない。ガリガリでやせっぽっちで、ちびのまんまだ。



584:醜い吸血鬼 3ー2
07/01/20 04:09:11 30ARg730O
キャベツの家には大きな黒い煤けた鍋がひとつだけあって、
キャベツは細いからだで喘ぎながら汲み上げた、汲みたての澄んだ井戸水と
畑から抱えてきたキャベツをまるごとその鍋に入れて火にかける。
キャベツのキャベツ畑のキャベツはでかい!村一番のキャベツづくり名人(俺のおやじ)も
きっと「見事な結球だ!」って誉めるだろう。
鶏がらのスープもねえ。塩さえねえ。ただ真水でまるごと一個、ことこと茹でるだけ。
それだけなのに、超うまいのはなんでなんだろう。
キャベツらしいほんのりとした甘味が溶け込んだスープが◎。キャベツは芯まで喰えるんだ。
夜中、村を抜け出し会いにいくとキャベツは俺に、採れたてのキャベツを食わせてくれた。
食後のデザートは、すぅーっと吸い込むと胸がしんしん凍りそうな、でもそれがいい、氷菓子みてぇーな
冬の空気と、きらきら光る夜空のキャンディー。
キャベツ畑でふたりオリオンを見上げるのが超好きだった。
キャベツはあんまり、自分のことを話さない。
なんでそんなにキャベツが好きなのか尋ねたら、ミドリがキレイだからと小さくくすっと笑ってた。
ちらっと覗く八重歯に注目。醜い顔も笑うと、まあまあ見れた。


585:醜い吸血鬼 3ー3
07/01/20 04:10:43 30ARg730O
冬の終わり、街から吸血鬼狩りの一行がやって来た。
ハンターのダイスが森に吸血鬼が居るとゆれたとのこと。
森には近づくなと云われ、キャベツが心配になった。けどキャベツの小屋は森の外れだし、
あんな鶏ガラみたいなやせっぽっちには、吸血鬼もそそられないだろう。
一週間後、ハンターたちが安心しろ。吸血鬼はもう殺したと言って去って言った。
襲われてなんかねぇーとは思うけど、キャベツが吸血鬼の餌食になってないか気になって、
日が落ちてからキャベツ畑目指して駆けた。月の明るい夜だった。
小屋の戸を開けたら、やたらとニンニク臭かった。
部屋の隅にキャベツがうつぶせに倒れてて、捲れあがったチュニックから
肉のついてない平べったいケツがのぞいてた。ケツの割れ目にぶっとい杭が深々と刺さってる。
枯れ木みたいな手足は変な方向にボキボキ折れ曲がってて、
ガバッと顎が外れたみたいに開かされた口に、長い十字架がかまされてた。
まるでつっかえ棒だ。閉じたくても絶対に閉じられねぇー。
牙って呼ぶにはちびすぎる八重歯が見えてる。糞ッ!!
痛かったよな。苦しかったよな。きゅっと寄せられた眉間のしわ。
見開かれた真っ黒な目。涙の筋はきっともう乾いただけだろう。
木の床に残った爪痕や、爪と肉の隙間に入り込んでる木屑を見ていたら、
いっぱい泣いて、いっぱいもがいてたキャベツが見えた。
口の十字架を外して目蓋をおろし、ケツの杭を引き抜いた。
赤く腫れ上がって膿んでるキャベツの孔があまりにも痛々しかったから、口で膿を吸い出した。
吸って吸って全部、吸い出した。ちょっとでもキレイにしてやりたくて、擦過傷を舐めてたら、
孔の奥が臭った。むわぁ~っと臭ってくる臭さに覚えがあった。もしかしてと思って指を忍ばせさぐったら、
いびつな白い塊がごろっと出てきた。ニンニクだ。
細っこいからだをギュッとしながら、ばさばさの黒い髪をただ撫でた。

おしまい


586:風と木の名無しさん
07/01/20 06:08:52 bCBGH/Tg0
ちび吸血鬼タン、超GJ!
哀切で、いいですね。
いいと言うか、嫌と言うか。
悲しくなるつらいお話なので…。

で、ニアミスですが私も同じネタで↓

587:ハント 1
07/01/20 06:09:33 bCBGH/Tg0
慎重に口付けながら、私はミハイルの背中に手を回した。私の腕の中に
すっぽりと治まってしまうミハイルは、男相手に言うのもおかしいかも
しれないが、たおやかという言葉がしっくり来る。ミハイルもまた、
私の背中におずおずと手を回し、私たちの体は密着した。私は、昂ぶった
下半身をミハイルに押し付けた。今から、この華奢で美しい体を
我が物とできるのだ。私がどれほど感動しているか、ミハイルに
伝えようもないのがもどかしい。まして、その美しい体の内にある
ものこそが私を惹き付けて止まないのだとは。裏通りの安ホテルでことに
及ぶのがもったいない。こんな美しい生き物と一晩を過ごすのであれば、
町一番の高級ホテルのロイヤルスイートこそが似合いだろう。
だが今になってそんなことを嘆いてみても仕方ない。私たちはお互いを
食らうことに夢中で、セッティングに凝る余裕もなかったのだから。
私は唇をミハイルの柔らかな頬へ、そして耳へとずらしていく。
ミハイルが私の首筋に口付けようとしている。熱い息が首筋にかかった
その瞬間に、私は隠し持っていた銀の鎖をミハイルの首に巻きつけた。
ミハイルがはっと目を見開いた。素早く、驚くほどの力で私を
突き飛ばそうとする。だが私はそれを許さず、鎖を手繰ってミハイルを
床に引き倒した。ミハイルの愛らしい顔に浮かぶ驚愕と恐怖の表情が
いとおしい。大きく開いた口からのぞいているのは、歯と呼ぶには
あまりにも長い―牙が2本。
私の目に狂いはない。

588:ハント 2
07/01/20 06:10:16 bCBGH/Tg0
ミハイルは逃れようと激しく身を捩った。銀の鎖が巻き付いている以上、
蝙蝠だの鼠だのに化けて逃げることは叶わない。単に力と力の勝負だ。
こうなれば、実年齢はともかく肉体的には未だ少年の域を出ないミハイルが
私に逆らっても、時間と体力の無駄でしかなかった。
私はミハイルに馬乗りになって素早く拘束を進めていった。
両手を背中の後ろに捩り上げて、銀の手錠で繋ぐ。それから、右の足首を
捕えて同様に銀の手錠で右手首に繋いだ。左足一本では反撃もできまい。
私は自分の迅速な仕事に満足して、笑みを浮かべながらミハイルを見下ろした。
深緑色をしていたはずのミハイルの目が、赤く光っている。美しい。
ミハイルの薄茶色の髪には、緑よりも赤がよく似合う。
「縛めを外せ!」
ミハイルが私に命じた。なんという気の強さだろう。こうでなくてはいけない。
酒場で私と「親しくなった」ミハイルは、場慣れしていない引込み思案の
仔兎だった。それはそれで男たちの食指を動かすに充分な魅力ではあったが、
私の好みではない。ではなぜ声をかけたかって?
彼が誇り高く冷徹なヴァンパイアであることを、私が知っていたからだ。

589:ハント 3
07/01/20 06:11:10 bCBGH/Tg0
この国で幾人もの同性愛者が行方知れずになっている。そのうち幾人かは
変死体となって発見されている。そう私に連絡をしてきたのは、
旧い友人テオだった。だが、行方知れずになった彼らを誰も本気で探しては
くれないのだと、テオは電話の向こうで泣いていた。
どの国でも基本的には同じだが、ここ、森の彼方の国では、同性愛者は
ひどく肩身が狭い存在だった。人々は、それこそ吸血鬼を忌み嫌うのと
同じほどの悪意を込めて、我々を蔑んでいる。
それは別に構わない。心の葛藤は15年ほど前に済ませているし、だいたい、
ここは私の国ではないのだから。だが、テオからの便りを無視できるほど
私は孤高でもない。テオとは日が出ずる国で知り合った。私たちは、
その都の大変に開放的な町の2丁目で身を寄せ合い、お互いの青い春の
ひとときを捧げた仲なのだ。それに、テオと知り合わなかったら、
今の私はない。テオの国に残る伝説は、エメラルドの島の作家の妄想を通して、
世界中の人を魅了した。あれは良くできたフィクションで、私も楽しんだが―
決してただのお伽話ではないのだと教えてくれたのがテオだ。
そこから私の趣味と実益を兼ねた特殊技能開発が始まったと言える。
この国で過ごした何年かが、私の人生の岐路だったのだ。

590:ハント 4
07/01/20 06:11:40 bCBGH/Tg0
私はミハイルと名乗ったヴァンパイアの髪を掴んで引き摺り起こすと、
ベッドの上に放り投げた。弾んだ体が跳ね起きる前にのしかかり、
首の鎖をベッドヘッドに縛り付ける。左脚が蹴り上がってくるのを
ひょいと捕え、膝の上に座ってしまう。
ミハイルは赤い目を爛々と輝かせて私を睨み付けている。色々と、
不本意なのだろう。騙しているつもりで騙されていたことも、人間なんぞに
してやられたことも、捕らわれて体の自由を奪われたことも。
それに、どの国でもそうだと言うわけではないが、ここいらでは
ヴァンパイアは、よほど気に入った人間でなければ仲間にしないらしい。
おかげさまで、この辺りで私の獲物となってくれるのは揃いも揃って
気品ある美形ばかりだが、逆に言えば私がミハイルのお気に召すはずもない。
革のジャケットに擦り切れたジーンズといういでたちで、砂まみれになって
バイクを転がしている粗野な男など、虫けら以下の扱いだろう。
嬉しくて背筋がゾワゾワする。私の存在自体でもって彼を痛めつけることが
できるのだ。私は、腰の辺りまで足首を持ってこられているせいで
ストレッチでもしているかのように曲げられているミハイルの右脚に
手を伸ばした。膝からゆっくりと付け根まで撫で上げる。
「触るな! 下種!」
ミハイルが私に向かって唾を飛ばした。気の毒なことに、それは私にかからず
床に落ちていったが。
「触るなとは、随分ムチャを言う。私たちはこうすることを同意したはずだよ」
酒場で声をかけたのは私の方だ。彼に魅せられたという私をミハイルは
信じてくれた。いや、その言葉に嘘はないのだから、信じて当たり前なのだ。
私は今、ミハイルに猛烈に恋している。アンティークの硝子細工のような
ミハイル、冬の夜空から星を集めて練り固めたような不滅の存在。
君を汚して引き裂くことができる私は、世界一の幸せ者だ。

591:ハント 5
07/01/20 06:13:55 LL66XtoV0
ミハイルをひっくり返した私は、両手首を繋いでいた手錠を外して、
左手首と左足首に付け替えた。よくあるポーズだが、上体を起こさない限り
両膝を大きく開いたままになるこの格好を、私は、プライドが高い相手や
自制心が強い相手によく強いる。ミハイルも、白い頬に血の色を上らせている。
怒りか屈辱か羞恥か、その全部か。私は殊更ゆっくりとミハイルのシャツの
ボタンを外していった。
「その汚い手で私に触れるな! 虫唾が走る!」
ミハイルが怒鳴って暴れる。君に触れる手は汚ければ汚いほど好ましいと、
どう説明したらわかってもらえるだろうか。
シャツの中から現われた薄紅色の乳首に、私はそっと口付けた。
ミハイルが狂ったように身を捩る。下種、蛆虫と、罵倒の限りを尽くしてくれる。
「その蛆虫に体を舐め回されるご気分はいかがです、殿下」
舌先で珊瑚の粒のような突起を突つきながら言うと、ミハイルがぎりぎりと
歯ぎしりした。だが、私が珊瑚粒をチュッと吸ってやると、喉の奥で
可愛い声を立てる。さすがに、こういう方法で餌を引っかけていただけはある。
決して、初めてではないはずだ。指と舌とで胸を愛撫しながら、
膝でスラックスの上から性器にリズミカルに振動を与えていると、
肌がしっとりと汗ばんでくる。あれほどうるさかった口を閉じて、
ミハイルは奥歯を噛み締めている。声が、出てしまいそうかい?

592:ハント 6
07/01/20 06:14:58 LL66XtoV0
顔を下にずらしていき、スラックスの上から性器にほお擦りすると、ミハイルが
また大きな声で私を恫喝した。きっと後悔することになると。今さらだ。
ヴァンパイアを1人追う度に、私はこの生き物―生き物と言えるのかどうか、
よくわからないが―に心底魅せられてしまった自分を、呪わずにいられない。
それでなくても茨の道を歩くしかない性癖の持ち主だと言うのに、
ヴァンパイアを追い回すことが何よりも好きだなどと。知らずにいれば良かった。
彼らの魅力も、いや、彼らが実在する事実を、知らなかったら良かった。
私はベッドサイドに置いておいた鞄からナイフを取り出した。
いささかの恨みをこめて、乱暴に、スラックスとシャツを切り刻んでいく。
ミハイルは自分が裸に剥かれるのを、大きな目をいっそう大きく見開いて
睨み付けている。喚き散らさない、その気位の高さが好きだ。今までに
追いかけたヴァンパイアたちの中でも、ミハイルはずば抜けて上物だ。
銀の縛めより他に纏うものをなくしたミハイルの体は、内側から光を放つかと
思うほどに美しい。私が感嘆の溜息をついて見蕩れていると、ミハイルが
炎でも凍らせてしまいそうな声で声で呟いた。
「今までも―こうしてきたのか」
今まで。私が今までに狩ったヴァンパイアたちのことか。
「カーミラであれば、しなかったよ」
否定の言葉で肯定を伝える。何しろ同性愛者だからね。
だが、ヴァンパイア・フリークとしての私は雑食だ。
白髪が混じり始めた痩せぎすの紳士然としたヴァンパイアも、
筋骨逞しい戦士のようなヴァンパイアも、手に入れたものは一通り楽しく味わってきた。
違うのは料理の仕方くらいのものだ。
毅然としたヴァンパイアには尊厳ある最期を。
命乞いするヴァンパイアにはむごくおぞましい最期を。
私はどちらも本当に大好きだ。

593:ハント 7
07/01/20 06:16:07 LL66XtoV0
「私の眷族たちを消してきたのか」
ミハイルの詰問に、私は首を傾げてみせた。
「さあ。私も何人かを捕まえてきたけれど、ハンターは私1人ではないよ。
具体的に挙げてもらえば、私の獲物だったかどうか教えてあげられるが。
客に手渡したヴァンパイアに関しては、その後どうなったか知らないけれどね」
「薄汚い犬が…! 金で雇われての所業か」
こらえようとしたが、吹き出してしまった。
「金をもらうのは糧を得るためだ。君たちが我々を食べるのとどう違うのかな?」
本当は、少し違う。私は別にハンターを本業になどしていない。これは楽しみのために
やっていることで、金をもらわない限り狩りをしないのは自制のためだ。
だが、そんなこと、ミハイルにしてみれば同じことだろう。
屠殺場に引き立てた豚に押し倒され噛み付かれる、その屈辱をじっくり味わえばいい。
私は、大きく開いたミハイルの膝の間に座り込んで、可愛らしい色をした性器を
手に取り、ゆっくりと撫でさすった。ミハイルが呻き声を上げながら暴れる。
体を起こそうとしては鎖に引き戻され、鎖がジャラジャラと大きな音を立てた。
腰を捩る様は、淫らな舞踏のようだ。それを見るだけで私の腰の奥に痺れが走る。
ミハイルはなかなか応えようとはしないが、それも彼なりの精一杯のプライドなのだろう。
焦ることはない。私は手で支え持ちながらミハイルの性器に恭しく口付けた。
先端を啄ばんでいると、ミハイルの内股がぴくぴくと震え始める。

594:ハント 8
07/01/20 06:16:51 LL66XtoV0
自慢ではないが、私は手淫にも口淫にも自信がある。いや、性交に関して、
相手を悦ばせることにかけては他に引けを取らない。私の歴代の恋人達は
別れる時には「せめてセックスフレンドとして続けたい」とすがってきたものだ。
それもこれも、ヴァンパイアを愛するが故の修行の成果だ。
お互いの正体が明かされた後、私たちは和やかに愛し合うことは不可能だ。
私はそうしたいが、向こうが嫌がる。となれば、私はヴァンパイアを拘束して
一方的に愛するしかないのだ。だが私は自分のヴァンパイアに対する敬意と憧憬を
脇に置いておくことはできない。だから、精一杯尽くして、奉仕して、
楽しんでもらいたいと思うのだ。
ミハイルの性器が、芯を持ち始めた。裏側をジグザグに舐め上げながら、
先端の小さな穴に指先をひっかけて小刻みに動かしてやる。ミハイルの腰が、
ビクンと揺れた。袋を、猫の喉でも撫でるようにそろりと掻き上げると、
奥にある小さな孔がひくひくと動くのが見えた。慣れた体だと知れる。
唾液をたっぷり乗せた舌で、性器の先端の丸みを掠るように嘗め回すと、
唾液ではない液体がそこを濡らし始めた。ひとであることをやめても、
ひとと同じ生理が残っている。それをヴァンパイアたちはどう思うのだろうか。
ミハイルの足先が固く丸められ、シーツにめり込んでいる。私は密やかに笑った。
どんなにこらえようと、ひとと同じ浅ましさが、ミハイルを支配しているのだ。
見上げれば、ミハイルは目をきつく閉じて、平静を装っていた。
なんと愛らしいのだろう。もう性器は勃ち上がって、いやらしい汁までを
垂らしているというのに、誤魔化せると思っているのだ。

595:ハント 9
07/01/20 06:17:29 LL66XtoV0
やり方にもよるだろうが、逝きたいのをこらえて抑え込むと、下腹部全体が
快感の海に浸っているような状態になる。長い時間楽しめて、私は結構好きだ。
ミハイルもきっと今そんな感じなのだろうと思う。浅い息を繰り返しながら
体を震わせている。好むと好まざるとに関わらず、ミハイルは楽しんでいるのだ。
とめどもなく溢れるつやつやした露を、私は指先で掬い取った。
それを、ミハイルの唇にそっと塗り付ける。ミハイルがかっと目を見開いた。
私はもう一度露を指に絡め、今度はミハイルの鼻先にこすり付けた。
自分の匂いを楽しむといい。
ミハイルの眦が裂けた。目が燃えるようだ。
ミハイルが勢い良く頭をもたげ、銀の首輪がけたたましく軋んだ。
予期していた私がさっと手を引くと、ミハイルの牙は空しく空で噛み合わされた。
あれに噛まれたら私もただでは済まない。
ミハイルが怒りのあまりに震える声で私を罵った。
「下種めが…! 下品なことをせねば情を交わすこともできぬのだ、お前らは!
殺せ、お前などに触れられるくらいなら塵となって朽ち果てた方がよほどましだ!」
だからこそ、殺すのがもったいなのだと、ミハイルにはわからないのだろう。
「光栄だ」
私は取って置きの笑顔で答えて、ミハイルの鎖骨に口付けた。

596:ハント 10
07/01/20 06:18:14 LL66XtoV0
暴れる体にそのまま舌を這わせていく。珊瑚粒が、更に赤く色づいていた。
まるで熟したぐみの実のようなそれを、舌で、歯で、転がしてやる。
指先で脇腹や臍の周りなどを探っては悦いところを見つけて、くすぐった。
銀の縛めのこすり合わされる音、ミハイルの荒い息遣い、そして下腹から聞こえる
にちゃにちゃという粘った音が、混ざり合い、溶け合い、体に纏わりついてくる。
いつもミハイルを抱いているのは、どのような男なのだろう。このミハイルが
認めるほどの相手なら、さぞ凛々しい―恐らくはヴァンパイア、なのだろう。
突き上げてくる喜びに耐えられず、私は声を立てて笑った。
私などよりもはるかに美々しく堂々としているであろうヴァンパイアが、
麗しい恋人を私に寝取られている。そう思うと、胸の内が震えるほど幸福だった。
私は自分の着ていた服を脱ぎ去った。日に焼けて、あちこちに傷のある体は、
ひたすら白く滑らかなミハイルの体とは対照的だ。そのコントラストを楽しみながら
ゆっくりと、裸の肌を合わせた。汗が交じり合う。私という汚濁をなすり付けられ、
ミハイルが、言葉にもならない声を上げて私を呪っている。
私は自分の性器をミハイルの性器にこすり付けた。ひとの雄と鬼の雄とをまとめて
手の中に包んで、一つのもののように愛撫する。
「はなせっ! おぞましい……お前など、この薄汚いゴキブリがっ……」
いくら口を極めて罵ろうとも、私から溢れ出た露がミハイルの雄に絡み、
ミハイルから溢れ出た露が私の雄に絡んでいる事実は隠しようもない。
ミハイルの腰を抱え上げ、彼の目の前にすべてを晒してから、
わざと音を立てるように二人の性器を捏ね回した。初めて、ミハイルの顔が
悲痛な色を帯びた。気が遠くなるほどの美しさだ。恥辱ほど、誇り高い
生き物を美しく彩るものはない。

597:ハント 11
07/01/20 06:18:59 LL66XtoV0
ミハイルの顔を見つめているのは楽しい。平静など取り繕えなくなって、
眉根を切なげに寄せて浅い息を繰り返しながら、小刻みにかぶりを振っている。
嫌で嫌でたまらないのだろう。嫌でたまらないのに、私に屈するしかない。
どれほど悔しいだろう。どれほど恥かしいだろう。牙を突き立てられさえすれば
一瞬で私を殺すことができるミハイルが、私の下ではしたなく両脚を広げ、
拒むことのできない快感に喘いでいる。そうだ、ミハイル、君にこれを
拒むことはできない。蛆虫に体中を弄くられて悦ぶがいい。
私はミハイルの性器にもう一度舌を這わせた。
「や、やめろ……やめろ! 私に触るな……触るなっ、いやだ……!」
ミハイルが絞り出したその声は、もう命令と呼べるほどの強さを失っていた。
大きく固く育ちきったそれを深くくわえこんで、思い切り吸い上げた。
ミハイルの喉から、息が詰まるような音が響き、次いで、私の喉の奥に
熱いものが迸った。ドクン、ドクンと私の体内に流し込まれていくそれはまさに、
ミハイルの体の真ん中、奥深くから放たれる命の飛沫だった。
一滴も余すまい。私はミハイルの萎れたそれを扱いて絞り出し、吸い上げた。

598:ハント 12
07/01/20 06:20:46 LL66XtoV0
ぐったりと弛緩したミハイルの体をベッドの上にそろりと置く。
全身が汗に覆われてうっすらと光っているのが、すばらしく淫靡であでやかだ。
汗に触れたくて、手の平で胸を撫でた。途端に、ミハイルが激しい目を
私に向けてきた。突き刺さるようなその眼光。すばらしい……。
これしきの侮辱に打ち据えられるようなヴァンパイアではないのだ。
私はウットリとして、ミハイルの胸に唇を落とし、汗を吸い取った。
ミハイルが嫌悪に顔を歪めて吐き捨てた。
「汚らしい下等生物が……! お前に触れられるだけで身が腐れるわ。
この私に指一本触れる資格などない、さっさと縛めを解いて立ち去れ」
汚らしいことも、触れる資格もないことも重々承知の上で同意するが、
立ち去ることなど、どうしてできようか? 私はまだ思いを遂げてはいない。

599:ハント 13
07/01/20 06:21:22 LL66XtoV0
私は、ミハイルの小さな2つの丘の奥の淡い翳りを指で探った。
そこは既に流れ落ちた淫液で濡れそぼっている。ミハイルが吠えるような声を上げて
身を捩った。構わずに―と言うよりも嬉々として、私は慎ましく閉じている孔に
指を押し込んだ。一本ねじ込むのがやっとなほど、そこは激しく私を拒絶している。
「慣らした方が君のためだと思うが。ヴァンパイアだから痛くないということは
ないだろう? 皆、痛がっていたよ?」
暗に、彼の仲間を幾人もむごく陵辱してきたのだと伝え、笑いかけた。
視線で殺せるとしたらこんな目だろう。そういう目で、ミハイルが私を見る。
ああ、たまらない。これほどの憎しみを、他にどうすれば得ることができるだろう?
もがく腰を押さえつけながら、私はくり返し指をつぷりつぷりと抜き刺しして、
その感触を楽しんだ。ミハイルが少しでも力を抜くのなら、このまま解してやろうと
思っていたが、どうやらミハイルにその気はないらしい。ならば、これ以上
自分を焦らすこともないだろう。私は、ミハイルの尻に自分の雄をあてがった。
ミハイルが凄まじい唸り声をあげる。私の全身を電流が駆け抜けた。
地獄から移してきたような炎がミハイルの目で燃えている。乱れた髪はまるで
その炎に煽られて逆立っているかのようだ。むき出した牙は赤い唇と舌に
よく映えて白い。ああ、これだ。これこそが私を虜にしたもの。
私をヴァンパイア・ハントの中毒にしたもの。
危うく、ミハイルの中に入る前に絶頂を迎えてしまうところだった。

600:ハント 14
07/01/20 06:22:01 LL66XtoV0
私はひと思いに腰を落とした。
「ぐぁ!」
さすがに声を殺すことができなかったのか、ミハイルの喉からひしゃげたような
呻きが漏れた。優雅に整っていた顔が激痛に歪み、全身に鳥肌が立っている。
ゆで卵を剥いたようなつるりとした尻を、ラズベリージュースのような血が
流れ落ちていく。痛いだろう、可哀想に。けれど、ヴァンパイアはすぐに
傷を治してしまうのだから、容赦はしないでおこう。私は最初から激しく動いた。
ミハイルの腰を押さえつけ、乾いた音が響き渡るほど強く体を打ちつける。
ミハイルは目をきつく閉じ、歯を食い縛って、耐えるしかない痛みが
終わるのを待っている。後孔は惨たらしく裂け、だらだらと血が流れていた。
こうなるともう、力を抜いてリラックスなどできるはずもないだろう。
痛みに、体が強張ってしまう。それがきつい締め付けとなって、私を悦ばせる。
入り口の収縮はまるで私に噛み付くようで、それに逆らってこすりたてる度、
腰から全身に熱い痺れが走り抜けるのだ。このまま昇ってしまうのが惜しくて、
私は一度ギリギリまで引き抜き、先端を入り口に引っかけて、浅く抜き差しした。
ミハイルがふと息を吐いたその瞬間に、私は思いきり腰を突き上げる。
「ひぅっ!」
不意を突かれて耐え切れず、ミハイルは引き攣った悲鳴を上げた。
いい声だ。体にも心にも苦しみしか感じていない、そんな声だ。
私は立て続けにミハイルの奥深くを抉りまくった。一度悲鳴を上げてしまって
心が萎えているのか、それとも本当に限界なのか、歯を食い縛ったミハイルの
口元から小さな悲鳴が断続的にこぼれている。天上の楽の音でも、ここまで
耳に快くはないだろう。組み敷いた細い体から汗の臭いが立ち昇り、
その香しさもまた私を酔わせる。一晩中でも続けていたいほどの快楽だったが、
私の体はそこまで忍耐強くはできていなかった。届く限りの奥へと突き込んで、
私はミハイルの中に自分の精を迸らせた。

601:ハント 15
07/01/20 06:23:05 LL66XtoV0
抜き去って見ると、私の性器はミハイルの血にまみれていた。人から血を
抜いて命を永らえるヴァンパイアの血が、私の生の象徴を飾っているのだ。
思えば、ヴァンパイアは不思議な生物だ。魔物だからという意味ではない。
他の魔物がどうなのかは知らないが―と言うよりも、他にも魔物と言うものが
存在するのかどうか私は知らないし、魔物の定義も知らないが―、
生まれついてのヴァンパイアはいないのだ。彼らも、この世に生を受けた時は
すべからく人だったのだ。それが血を吸われて人ではないものに変化した。
このような存在は、他にはない。そして、最初のヴァンパイアはいったい
どうやって生まれてきたのだろうか? ベッドに死んだように横たわっている
この白い体の中に、その疑問を解く徴が隠されているのかもしれない。
そういう理由で私にハントを依頼してくる人間もいるのだ。だが私にとっては
それはどうでも良いことだ。謎は謎のままの方がロマンティックでいい。
だから私は、いつも淡々と仕事を進める。今夜のここまでは楽しみのためで、
ここからは先は仕事だ。

     (続きます)

602:風と木の名無しさん
07/01/20 08:25:59 mnkWnEAf0
ハントさんGJ!!
朝からワクワクニラニラしながら読んだよ
続き激しく楽しみにしてまつ

603:風と木の名無しさん
07/01/20 10:22:33 bBMauwAEO
ハントタソGJ

雰囲気がエロくて最高です!!!
これからどんな風にミハイルを攻めたてるのか楽しみ!!

604:風と木の名無しさん
07/01/20 11:05:00 KgA3KONlO
ハントさんGJ!気高いミハイルをこれからどうするんだw
続き楽しみに待ってます

605:風と木の名無しさん
07/01/20 11:37:59 hjNriwj70
吸血鬼祭ktkr
残酷童話風のちび吸血鬼タンも、
アダルトなハントタンも、
激しくGJです!
本家の吸血鬼タンも光臨よろしく!

606:風と木の名無しさん
07/01/20 13:34:49 4I3GiDJY0
ハントさんGJ!
ここから先は仕事って、何するんだ?

続き超楽しみです

607:風と木の名無しさん
07/01/20 19:07:10 pHv2qVxZ0
お前ら隔離スレ戻ってくれない?

608:風と木の名無しさん
07/01/21 14:33:44 BM+/H1xqO
だが断るーっ!!

609:風と木の名無しさん
07/01/21 16:04:15 vYaPC+Lw0
>>608
したらばで全部バレてるぞ、嫌隔離厨。
なりすまし工作なんかしてないで
さっさと隔離のしたらばに池。
そして二度と戻ってくるな。キモイから

610:風と木の名無しさん
07/01/21 16:15:40 d2i0sRAG0
>607->608
まとめて隔離に消えろ

ハントタンGJ!
エロい雰囲気がたまらない

611:風と木の名無しさん
07/01/21 17:32:40 0448DlLVO
数日ぶりに来たら良作がたくさん来てて嬉しいw
吸血鬼たん、テュランたん、ハントたんGJ!

612:ハント 16
07/01/21 20:28:51 bB2p2/+B0
以下、残酷な描写が出てきます。(特に20~22)
苦手な方は読まないで下さい。

======================================

私は、自分の鞄の中から、特別に作らせた金属製の密封容器を取り出した。
蓋を開けると、それまでピクリとも動かなかったミハイルが身じろぎ、
苦しげな呻きを漏らした。私が箱を手にしてベッドに戻ると、
ミハイルは体を捻って後ずさった。
「よせ……それを私に近づけるな。よさないか……!」
牙をむき出し、瞳をぎらつかせて、ミハイルは私に命じた。言葉は勇ましいが、
従う者のない命令ほど惨めなものはない。
私はベッドに乗り上げると、ミハイルの丸い膝頭を捕えて引き寄せた。
ミハイルが呪詛の声を低く長く吐き出す。耐えられないと言うように、
強張った体をほんのわずかでも私から離そうともがいている。
箱の中身は、ニンニクだ。旧い時代からずっと、魔除けとして
人が軒先にぶら下げてきたあれだ。ヴァンパイアがなぜニンニクを嫌うのか、
まだ解明されていない。私がヴァンパイアから直接聞き出しただけでも、
「臭い」「熱い」「痛い」「怖い」と、返った答は多種多様だった。
恐らくはヴァンパイア自身でもハッキリとした理由など知らないのだろう。
わかっているのは、これがヴァンパイアの力を弱めるということだけだ。
私は、ミハイルの腹の上で箱をひっくり返して、ニンニクをぶちまけた。
ニンニクは皮を剥いてある。長い期間を通して護符がわりに使うのなら剥かないが、
ヴァンパイアに直接用いるのであれば、剥いた方が効果が強烈なのだ。
腹の上にニンニクを撒かれ、ミハイルが、火の粉でも被ったかのように
顔を歪めて身を捩った。コロコロと転がったニンニクを手に取って、
私は改めてミハイルの後孔を眺めた。私がズタズタに引き裂いたそこは赤く爆ぜて、
未だ止まらぬ血に湿っている。傷に塩を塗り込むのと似たようなものなのだろうと
想像しながら、私はニンニクを1つ、ミハイルの後孔に押し当てた。

613:ハント 17
07/01/21 20:29:25 bB2p2/+B0
「やめろっ、いやだ! やめろ、ああ、やめないか……!」
さすがにミハイルも度を失っているのか、上擦った声を出す。私はニンニクを
ミハイルの中に押し込んだ。ミハイルの体が大きく跳ね上がった。押さえつけて、
2片目を押し込む。ミハイルが感電したかのように硬直する。苦しいのだろう。
血の気を失った顔が凄まじく歪み、引き攣っている。私は次々にニンニクを
ミハイルの孔に詰めていった。今やミハイルの体は激しく痙攣し続けている。
目は白目を剥かんばかりで、食い縛った歯の隙間からは泡を吹いている。
ひゅうひゅうと漏れる息は、もう悲鳴を上げる力すらないことを示していた。
半分を尻に詰めてしまうと、私は残りのニンニクを手に持って、
ミハイルの顔の方へと移動した。食い縛っている歯を、ナイフでこじ開ける。
その隙間から、ニンニクを口の中へと押し込んでいった。つややかに光る牙に
ニンニクをこすり付けてやると、ミハイルが、さしもの私でも背筋が寒くなるような
凄惨な声を上げて抗った。私はミハイルの額を膝で押さえつけながら、
ニンニクの最期の一片までを口の奥へと落とし込んだ。それからタオルで
猿轡を噛ませ、仕上げに銀の細い鎖をタオルの上から巻き付けて固定した。

614:ハント 18
07/01/21 20:29:58 bB2p2/+B0
ミハイルは目を大きく見開いて虚空を睨み、ガクガクと首を振っている。
しなやかな体がベッドの上で幾度も跳ねる。全身から、声のない悲鳴が迸っている。
心の中では誰かに助けを求めているかもしれない。来るはずのない助けを求めて、
恋しい男の名を呼び、泣き叫んでいるのかもしれない。
私は、自分の雄が昂ぶってくるのを感じた。いけない、いけない。
もう私の楽しみの時間は終わったのだ。今は仕事中だ。さかっている場合ではない。
私は、ミハイルの首をベッドに結わえ付けている鎖の具合を確かめた上で、
携帯電話を取り出して依頼人を呼び出した。通話が終わってから、
水で濡らしたタオルで簡単に自分の体を拭う。シャワーを浴びたいところだが、
ミハイルから完全に目を離すのはいくらなんでも危ない。
私が衣服を整えて身繕いを済ませてすぐ、依頼人がドアをノックした。
ドアを開け、依頼人を招じ入れる。
依頼人は、友人のテオだ。顔が青ざめ、口元がぴりぴりと痙攣している。
無理もなかった。この国に生まれ育ったとは言っても、テオはヴァンパイアに
実際に接するのは、これが初めてなのだ。一般人なら当たり前のことだった。
私がニンニクを使ったのはこのためだ。ずぶの素人をハントに関わらせるなら、
事故予防措置には神経質なほどに気を遣わねばならない。
「口枷は絶対に外すな。噛まれたらひとたまりもないぞ。首と手足の鎖もだ」
私がそう言うと、テオは私を見ようともせずに頷いた。目はベッドの上で
のた打ち回っているミハイルに据えられている。

615:ハント 19
07/01/21 20:31:04 bB2p2/+B0
テオは、持ってきた鞄を床に下ろした。中に何が入っているのか、想像は
ついていたが、数が想像とは違っていた。太い木の杭が、2本。
2本も、どうする気なのだろうか。私は口を出さずにテオを見守った。
何をどうしようと、テオが無事に本懐を遂げられたらそれでいい。
テオは、杭を1本掴むと、ミハイルに近寄っていった。ミハイルは、
大きな目でテオを見つめている。テオは、ミハイルの横に立つと、
それこそ悪鬼が取り憑いたような顔をして、ミハイルの全身をねめつけた。
「お前が―お前が、トライアンを―」
ぼそぼそと呟いた言葉の意味など、ミハイルにはわかるまい。
トライアンは、テオが一緒に暮していた恋人だ。行方不明となった同性愛者たちが
ヴァンパイアの餌食になったようだと言い出したのは、トライアンだったそうだ。
テオが私に連絡を取り、私が情報を集めたり実地検分したりしているうちに、
トライアンも姿を消した。沼のほとりで見つかった干からびた死体が、
捜索願いが出ていたトライアンだと警察から連絡が入ったのは、先週のことだった。
もう少し早く私がミハイルを探し当てていたらと、心が痛まないでもない。
だが、腕に覚えもないのにヴァンパイアの名を口に上らせたトライアンも悪いのだ。
それでもトライアンは、私の大切な友人の、大切な伴侶だった。義理はある。

616:ハント 20
07/01/21 20:31:53 bB2p2/+B0
テオは、杭を持ち上げると、見せ付けるようにミハイルの上にかざしてから、
尻の間へと持っていった。先端は、思ったほど尖らせてもいない。
この国に育った人間として、テオも、何百年も前に行われていた処刑方法を
よく知っているわけだ。鋭利な刃より鈍らな刃で斬られる方が痛いのと同様に、
尖っていない杭で抉られる方が痛みが激しい。2本使うつもりであることを
考慮して、私は一つだけテオに念を押した。
「知っているだろうが、杭は斜めに押し込んでいけ。心臓を傷付けたら終わりだ」
テオは静かに頷くと、杭の先をミハイルの後孔にあてがった。
ミハイルの目は恐怖を顕にして今にも飛び出しそうだ。それでもミハイルは、
命乞いをする素振りは見せない。助かるわけがないと悟っているのかもしれないが。
何にせよ、ミハイルが取り乱さないのは私にとっては嬉しいことだった。
どれほど残忍な目にあわされようとも、ヴァンパイアたるもの、人間ごときの前で
醜態を晒さずにいて欲しい。私の勝手な理想に過ぎないことは百も承知だが、
私が葬ってきたヴァンパイアのほとんどは、その理想を具現化してくれていた。
私がミハイルの態度に陶酔を覚えている間に、テオもまた頭に血を上らせて息を荒げ、
片手でミハイルの腰を押さえると、杭を持つ手に力を込めた。
「思い知れ、化け物…!」
その言葉と共に、テオは杭をミハイルに突き入れた。

617:ハント 21
07/01/21 20:32:25 bB2p2/+B0
ミハイルが仰け反った。めりめりと音が聞こえそうなほど大きく孔が開かれ、
裂け、血が吹き出した。当たり前だが、私が犯した時などとは比べものにならない。
それでも、まだ3分の1も入ってはいない。杭は、ミハイルの胴と同じ程に長い。
これから杭は腹を抉り、胸を掻き割り、鎖骨を折り砕いて肩を突き破るのだ。
ミハイルが、美しいヴァンパイアが、今から壊れていく。
目に映るはずの光景を脳裏に描くだけで、腰の奥に疼きが生じた。
だが、荒くなる息を押さえて待っているのに、杭がなかなか動こうとしない。
時間をかけて嬲るつもりかとテオを見やると、テオは真っ青になって、
瘧にかかったかのように震えていた。ヒッヒッと妙な息を漏らしている。
私はすかさず頭を切り替えて、テオの肩を抱いた。
「無理はするな。もう充分だ」
そう言ってやると、テオは顔を覆って崩れ落ちた。それを抱き止め、
部屋の隅に置いてある椅子に座らせる。
「すまん―俺は、何と無様な―」
すすり泣きながら言うテオの肩を、私は優しく叩いてやった。
「まともな人間ならこれが普通だ。気にするんじゃない。トライアンだって、
お前につらい思いをさせたいなんて思っちゃいないさ」
今は群雄割拠の戦国時代ではない。見せしめのために捕虜を串刺しにして野に晒し、
丸二日かけて死に至らしめた、そんな時代ではないのだ。今の時代にそんなことを
平気でできるようなら変質者だ。―私のような。
「どうする。もう1本は? 自分でするのか?」
私が問いかけると、テオは弱々しくかぶりを振った。
「すまないが、お前がやってくれないか。俺は、こいつが死ぬのを見届けられたら
それでいいから」
「朝まで放っておくと言う手もある。この状態で朝日に当てれば同じことだ」
「いい! 今、止めを刺してくれ」
「わかった」
私は、床に転がっていたもう一本の杭を手に取った。

618:ハント 22
07/01/21 20:33:03 bB2p2/+B0
見下ろしたミハイルは、とてつもなく美しかった。
血の気を失って透き通るような白い肌。燃え盛る血の色の瞳。
同じ色が、私を散々楽しませてくれた尻に華麗な模様を描いている。
その模様の中心に突き出した杭の醜怪さも、ミハイルと共に在れば至上の美だ。
誘惑に勝てず、私はその杭をつかんでぐいぐいと揺すってみた。
ミハイルが激しく体を揺らし、出せない声で絶叫する。尻の中で潰れたのか、
不意にニンニクが強く匂った。ミハイルの苦痛に、急に親しみともいうべき感情を覚えて、
私は薄く笑った。不老不死のヴァンパイア。だが彼らでも、傷を負う。
そしてその傷は、台所の匂いがするのだ。
私は新たな杭の、鋭く尖らせた先端を、ミハイルの心臓の上に当てた。
映画ではここで聖句の一つも詠唱するところなのだろうが、聖句も聖水も十字架も、
そこに強い祈りが込められて初めて役に立つ。目の前に現実に存在しているものを
存在するはずがないと否定し、存在から無へと事実を捻じ曲げようとする祈り。
その祈りは絶対的な悪意と拒絶であり、呪いなのだ。自分の信仰するものによって
ヴァンパイアを排除しようとする人にとっては強力な武器となるらしいが、
あいにくと私は不可知論者だ。だから私はただ、心でこう語りかける。
―私は人間なんぞよりもずっと、あなた方ヴァンパイアを愛している―
ミハイルは私の愛など望むまい。侮蔑と嫌悪に溢れる目で私を睨み付けている。
しかし今その目に何よりも色濃く宿っているのは、憎悪だった。
魔物の存在を否定する宗教施設にヴァンパイアへの呪いが渦巻いているように、
ヴァンパイアから憎しみを注がれてきた私を、彼らの呪いが包んでいるといい。
今私を睨んでいるミハイルのこの憎しみが、ミハイルが消えた後でも
私の周りに淀んでいてくれることを、私は切に願う。
私は、ミハイルが最後に見るものが自分であることに深い満足を覚えながら、
杭の頭に槌を打ち下ろした。

619:ハント 23
07/01/21 20:33:34 bB2p2/+B0
空気が波のようにうねった。ミハイルの断末魔の無言の叫びが、私の全身を打ち、
突き刺さった。錯覚などではない。テオは身を竦めて掠れた悲鳴を上げた。
ミハイルの体が、まるでTVの画面がぶれるようにぐずぐずと震える。
程なく、それは色をなくし、形をなくし、小さな粒となって砕けていった。
灰と表す人も多いのだが、私の目にはむしろ乾いた土くれのように見える。
長い時を生きてきたであろう命、他のすべての命を超越した命、私が屠らねば
世の果てまでも永らえたはずの命が、消滅した。
私はしばらく息をするのも忘れてその土くれに見入った。
腐敗し悪臭を放つこともなければ、汚らしく溶け崩れることもない、
優雅にして潔い最期は、ヴァンパイアにのみ許されているものだ。
生も死も、ヴァンパイアにまつわるすべては厳かなる奇跡だ。
小さく溜息をついたのを最後の賞賛として、私は、ベッドの上に残った土くれを
シーツでくるんで鞄に突っ込んだ。研究するのだそうで、こういう物を欲しがる
連中がいるのだ。シーツにはミハイルの髪やら血やらその他の体液やらが
染み付いているし、さぞかし良い土産になるだろう。世界中のヴァンパイアを
一息に殲滅する方法など編み出されては困るが、その心配はなさそうで安心している。
私は、まだ椅子にへたり込んだままのテオに声をかけた。
「さ、長居は無用だ。出るぞ」
テオはのろのろと顔を上げた。目はうつろで、眼窩が落ち窪み、
10分で10歳も年を取ってしまったかのようだ。私はテオの肘を取ると、
むりやりに立たせた。こんな場所にテオを長く置いてはおけない。
私にとっては香気となるものが、テオには瘴気だ。
受付で、シーツをひどく汚したのでと言訳していくらか余分に払い、
私はテオを引き摺って霧の立ち込める通りへと逃げ出した。

620:ハント 24
07/01/21 20:34:36 bB2p2/+B0
3つ隣の町まできて、小さなホテルにテオと共に落ち着いた。もう夜は遅く、
テオの住む町に行く列車に乗るには、夜明けを待たねばならないのだ。
深々たる闇に沈んだ小さな町は、白いベールをかぶって息を潜めている。
酒場から瓶ごと買ってきたウィスキーを、洗面所に備えてあったグラスに注いで
テオに差し出した。テオはそれを手にしたまま、しばらく動かなかった。
手首を掴んで口元にグラスを押し当ててやると、無意識のようにグラスを傾けて
ウィスキーを舐め、それから一気に呷った。
ローストチキンが好きな人間は多いが、経験もない人間にいきなり鶏を絞めて
羽を毟れと言うのは、いささか無理がある。羽虫であれば気にもなるまいが、
自分に近い生き物になればなるほど、自ら手を下すことは難しいものだ。
テオが、うわ言のように呟いた。
「あれは、あれは化け物だから―トライアンを殺したんだ、だから……」
「ああ。あれは人に害を為す魔性の獣だ。だから狩るんじゃないか」
聞きたい言葉を言ってやると、テオは幾度も小さく頷いた。
テオは、私がハントを楽しんでいるとは気付いていないことにしたらしい。
それを責めようとは思わない。
ヴァンパイアは人を狩って糧とする。人はそれに抗ってヴァンパイアを狩り、
生き易い世を作る。どちらも正しく、自然なことだ。

621:ハント 25
07/01/21 20:35:25 bB2p2/+B0
だが、ヴァンパイアは人を騙して死に導きはするが、人が麦に何の感慨も
覚えないのと同様に、そこに楽しみを見出そうとはしていない。
翻って、人は、死を楽しむ生物だ。相手を死の罠にかけることを楽しむのは、
釣りや狩猟という名の許で趣味として広く認められている。
捕え殺したものはすべて食べている、だから無意味な殺戮ではない、
死の中毒者たちはそう自己弁護する。だが、彼らは食べるために
殺しているのではない。殺すのを楽しんだ結果を食べているだけだ。
そして、狩りをより楽しむために相手を苦しめるのは、人の他には猫くらいだろう。
純粋に人を守るためだけにヴァンパイアを狩っている人間を、私は知らない。
憎むか愛するか楽しむか、そのいずれかがないハンターなどいない。
私は、テオを抱き締めて宥めながら、口元が綻んでしまうのを禁じ得なかった。
本当の化け物の手の中で安心している友人が、愛しくも可笑しかった。



     (終わり)

622:風と木の名無しさん
07/01/21 20:39:08 N74L5W3d0
ハントさんGJ!
狂ったハンターに萌えました

ありがとうございました

623:風と木の名無しさん
07/01/21 20:48:47 6NKTVdjg0
思い込みで猫を人間と一緒にするのはやめてくれ

624:風と木の名無しさん
07/01/21 21:29:47 9qKPLrfD0
何か問題でも?

乙ですハントタン。
人間怖いよ人間。

625:風と木の名無しさん
07/01/21 22:13:38 L5DUJ2qY0
吸血鬼イパーイの週末!
>>醜い吸血鬼タン
久しぶりに胸が痛むタイプのお話、良かったです。
行為の鬼畜さと結末の鬼畜さのダブルパンチだ。
舞台設定のほのぼのとした穏やかさが惨さを際立てていてGJ。
>>ハントタン
真性鬼畜の変態さんも開き直ってて面白かった。
淡々としてるとこが雰囲気出てて良かったです。

626:風と木の名無しさん
07/01/21 23:43:30 t+k2oy6SO
ハントタソ乙です!!

本性を知ることが出来るのはウ゛ァンパイアとハンターの間だけなんだね!!
最高の鬼畜でした

627:風と木の名無しさん
07/01/25 00:25:38 BYmVFOQJO
アゲ

628:風と木の名無しさん
07/01/25 00:29:44 QKjuPq7ZO
アゲ

629:風と木の名無しさん
07/01/25 00:34:29 QKjuPq7ZO
ケータイ禁止反対!

630:風と木の名無しさん
07/01/25 00:47:26 32vhGfa00
遅くなったがハントたん乙。
救いのないエンドが鬼畜スレらしくてGJ!

631:風と木の名無しさん
07/01/25 01:36:18 xI99qraq0
吸血鬼タン待ってるよー。

632:風と木の名無しさん
07/01/25 01:38:18 cDuiGM7lO
>>627
アゲんなボゲェ!!!

633:風と木の名無しさん
07/01/25 05:39:07 aKiGNCCu0
荒らし乙です。
NGワードに登録したら存在自体消えるから無意味だけどね。

634:風と木の名無しさん
07/01/25 11:17:27 EoOUXiNu0
隔離のしたらばへ篭るんじゃ無かったのか?
やっぱり、ラーゲルはこの程度の電波だったという事だな

635:風と木の名無しさん
07/01/25 16:25:02 QKjuPq7ZO
キレイキレイ

636:風と木の名無しさん
07/01/25 16:26:11 QKjuPq7ZO
消しゴムって便利

637:風と木の名無しさん
07/01/25 16:27:47 QKjuPq7ZO
荒らしても荒らしても消される

638:風と木の名無しさん
07/01/25 16:30:17 QKjuPq7ZO
いまならケータイで荒らせば
隔離のせいにできるんだから
パケ・ホーダイの人はみんな荒らしすればいいのに

639:風と木の名無しさん
07/01/25 19:04:48 QKjuPq7ZO
隔離崩壊!
管理人にも見離されましたね
引き続き隔離に報復をしましょー

640:風と木の名無しさん
07/01/25 19:22:02 mzHDUCyMO
ハントタン
駄文乙~!!!
他の吸血鬼タンも無駄に長い休息から忘れてた頃に乙~!!!

641:風と木の名無しさん
07/01/25 19:23:46 mzHDUCyMO
テュランタン超ご都合主義の長文乙~!!!

642:うふ~ん
うふ~ん DELETED
うふ~ん

643:風と木の名無しさん
07/01/25 20:39:44 tzjYUfMpO
手伝うよ

644:うふ~ん
うふ~ん DELETED
うふ~ん

645:風と木の名無しさん
07/01/26 04:44:10 9AZ0YUZTO
したらばはヒルの話で盛り上がってる

646:風と木の名無しさん
07/01/26 06:02:56 jlsPR8X9O
ヒルズ族?

647:風と木の名無しさん
07/01/26 10:28:07 EFuizh6N0
天然鬼畜平太くん降臨希望。

648:明日はまた来る・1
07/01/26 12:22:57 SCXYWEIS0
尻にペニスを突き込まれ、揺さぶられる。痛い。痛い。畜生。
どんなに回数を重ねていたって、乱暴にされたら痛いに決まっている。
だけど気遣ってくれる訳がないこともよく知っているから、俺は黙って耐えた。
俺の体なんて、客の半分もないくらいなんだから、逆らっても無駄だ。
てか、逆らったらどんな目に遭うか、俺はもう知っている。
でも、俺が歯を食い縛ってこらえているのに、部屋の隅に蹲ったあいつは
髪をかきむしりながら絶叫している。うるさい。なんでお前が喚く?
今つらい思いをしているのはこの俺だ。黙れよ。うるさい。
聞きたくなくて耳を塞いだけど、絶叫は容赦なく俺の耳に突き刺さってくる。
勘弁してくれ。気が狂いそうだ。

649:明日はまた来る・2
07/01/26 12:24:17 SCXYWEIS0
たっぷり2時間遊んで、客は帰って行った。俺の今日の仕事はこれでおしまい。
シャワーを浴びて部屋に戻ると、あいつの姿はもうなかった。
いつものことだから気にしないで、俺はさっさと汚れたものを片付けていった。
厨房で暖かい飲み物を作って、俺は庭に出た。月がきれいだ。
いつもの場所にあいつはいた。花壇の端っこに腰を下ろして足下を見ている。
俺は隣に腰を下ろした。目も向けてもらえないことは知っていたけど。
明るい月の下で見ると、こいつがここに連れてこられた理由が一層よくわかる。
真っ白い肌、薄い色の髪、目だけは真っ黒くて、本当にきれいだ。
「なあ、お前、もう俺の部屋に来んなよ」
声をかけてみた。どうせ俺の言うことなんか聞きゃあしないけどさ。
「嫌なんだろ。だからあんなにひいひい喚くんだろ。
来なきゃいいじゃんか。俺だって嫌だし」
ずっとここにいりゃいいんだよ。庭にさ。誰に命令されてるわけでも
ないんだろうに、どうして俺の部屋に来るんだろう。
やっぱ、頭がおかしいから、嫌な場所に来ちまうのかな。
たぶんこいつ、頭がおかしくなったから仕事できなくなったんだ。
誰に聞いても本当のことは教えてくれないんだけど。
つか、うるさいって殴られるだけだけど。

650:明日はまた来る・3
07/01/26 12:25:02 SCXYWEIS0
今日の客は俺の大嫌いな客だ。縛り上げて痛い思いをさせるのが好きで、
こいつに玩具にされたあとは体が痣だらけになる。
痣が付いて商品価値が落ちるような、そんなお上品な店じゃないから、
もう本当にこいつらやりたい放題だ。
後ろ手に括られた手首が、ギリギリの長さしかない鎖で首輪に繋がれている。
腕が痛くて下ろそうとすると、首が絞まって息ができない。
仰け反ったまま後ろから突っ込まれて、メチャクチャに振り回される。
尻や背中に幾度も拳を振り下ろされるのは、その度に息が詰まって、
無意識に尻を締め付けて、客が気持ちいいかららしい。
痛くて苦しくて泣きながら、それでも俺は客が喜ぶ反応を選んで返している。
少しでも早くこの客が帰ってくれるように。
あいつはまた部屋の隅で蹲って、泣き喚いている。
こういうの、さぞかし客が喜ぶんだろうな。特にこの手の客は。
だから、こいつも今の俺と同じような目にあったに違いない。
別に同情なんてしないけど。今死にそうなのは俺なんだから。

651:明日はまた来る・4
07/01/26 12:25:34 SCXYWEIS0
気を失っていたらしくて、目を覚ますともう客の姿はなかった。
部屋の隅を見たけど、あいつもいない。何だか腹が立った。
こんな惨めな状態の俺に目もくれないで、あいつはまたお庭にとんずらかよ。
血を拭いてくれとか、拘束を解いてくれとか、そんな無茶は言わないけど、
せめて側にいてくれてもいいんじゃないか。
俺が目を覚ますまでここにいて、目を覚ました俺に何か一言、
優しい言葉でもかけてくれたらいいじゃないか。
そうしたら俺たち、仲良くできるかもしれないじゃないか。
誰も味方がいないこの家の中で、俺たち二人、一緒にいればいいんだ。
俺の側にいるくせに、どうして俺を見ないんだよ。

652:明日はまた来る・5
07/01/26 12:28:10 SCXYWEIS0
客が入ってきた時、俺はおやっと目を見張った。一目見てなんか違うなって
わかるくらい、そいつは、なんつーか、崩れたところがなかった。
こんな店に来る男は、どこか崩れて歪んでるもんなんだ。
普段がどうでも、ここに入った瞬間に、そうなってるもんなんだ。
でも、若くて、きれいな目をしていて、なんとなく寂しそうなその客は、
俺を見て、ちょっと困ったような顔をした。慣れてないってわかる。
何をしに来たんだろう。そんな疑問が、一瞬で解けた。
客は、部屋の隅にいるあいつに目を向けたんだ。
誰も見なかったあいつを、初めて来た客が見たんだ。
俺がびっくりして動けないでいる間に、客はあいつに向かって
脚を踏み出していた。あいつがびくっと体を震わせて客を見た。
あいつが、人に目を向けて、その存在を認めたんだ。
俺は慌てて二人の間に飛び込んだ。
「あんた、こいつに何する気だよ!」
怒鳴った俺に、客は更に困った顔を向けてくる。
「君の、友達なのかい?」
静かで柔かい声が耳を打った。こんな声、初めて聞いた。
「友達なんかじゃねーよ。喋ったこともないんだからな。
でも俺はこいつとずっと一緒なんだよ。勝手なことするなよな!」
俺には、客が何をしに来たのか何となく想像が付いた。
だって、ものすごく優しそうで、悲しそうだから。

653:明日はまた来る・6
07/01/26 12:28:51 SCXYWEIS0
俺の背中の後ろで、あいつがまた絶叫し始めた。
ほら、怖がってるじゃないか。駄目だ、手出しなんかさせられない。
俺は腕を広げて、あいつをかばうように立ち塞がった。
客は、悲しそうに眉を寄せて、俺の顔をじっと見た。
「彼を助けてあげないと。わかるだろう? 怖がって苦しがって泣いている。
聞こえているね?」
「あんたを怖がってるんだ」
「違うよ。違うと知っているはずだ」
俺は、なんて言い返したらいいかわからなくて、客を睨み返した。
「ここに来たことがある人から聞いて、僕は来たんだ。
彼を助けたい。僕にはそうできる。どうか、わかって欲しい」
それでも俺がどかないでいると、客は俺の肩を掴んで、俺を脇に動かした。
俺が客の腕を掴むと、客は俺の手首を両手で握って、静かに言った。
「彼を苦しめるようなことは何もしないよ。楽にしてあげるだけだ。
このままじゃ、彼があまりにも可哀想だ。君だからこそ、そう思うだろう?」
わかったようなこと、言ってんじゃねーよ。何も知らねーくせに。
そう言ってやりたかったけど、耳に付き刺さる喚き声がすごくて、
それ以上喋るのが嫌になっちまった。

654:明日はまた来る・7
07/01/26 12:29:39 SCXYWEIS0
客は、あいつに向かって、木の珠でできた首飾りみたいなものをかざして、
何かぶつぶつと口の中で呟いている。あいつは客を見つめながら
けたたましく叫び続けている。何が助けるだって? 全然駄目じゃんか。
あいつを余計に怖がらせているだけだ。
俺が頭に来てまた客につかみかかろうとした時、あいつの声が、
ちょっとだけ小さくなったような気がした。あいつに目をやると、
あいつの顔つきが、ちょっとだけ和らいでいるような気がした。
この客、本当にできるのか。そんなこと。
俺がじっと見ていると、あいつの声がどんどん小さくなっていった。
顔の半分が口ってくらい大きく口を開けて喚いていたのに、
ちょっとずつ口を閉じていく。ものすごい皺が寄っていた眉間や目尻も、
ちょっとずつ解れて、そうだ、庭にいる時のあいつの顔になっていく。
声が途切れた。あいつは、ぼーっとした顔で客を見上げている。
客が、あいつの額に指先でちょっと触れた。
ふわっと、あいつの姿が消えた。

655:明日はまた来る・8
07/01/26 12:30:16 SCXYWEIS0
客はそれからまだしばらくぶつぶつ呟いていたけど、やがて口を閉じた。
大きな溜息。疲れることなのかな。
客がそっと俺を振り返った。額に汗をかいていた。やっぱり疲れるんだ。
「あいつ、どこに行ったの?」
俺が聞くと、客はまた困った顔をした。
「彼は、いるべきところにいるよ。もう苦しんではいない」
ふうん。どこかわからないけど、いいところなんだな。
少なくともここよりは。
客が、俺の頭を軽く叩いた。
「じゃ、僕はもう行くから」
俺は慌てて客の袖を掴んだ。
「ちょっと待って、そんなの困るよ俺!」
「え?」
客が、困惑した顔で俺を見下ろした。何も知らないんだな。
「あんたがこんなに早く出て行ったら、俺を気に入らなかったってことに
なるんだよ。俺の不始末ってことになっちまうんだ。
ちゃんと遊んでってくれなきゃ困る」
客は呆然としながらも、納得して頷いた。
「ああ……そういうものなのかい。じゃあ、時間までここにいるよ」
「それだけじゃ駄目だってば! ちゃんと俺を抱けよ」
「そんなことできないよ!」
客は心底驚いた顔をして叫んだ。こいつ、本当にあいつを助けるためにだけ
ここに来たんだな。

656:asuhamatakuru
07/01/26 12:31:42 SCXYWEIS0
「僕は、お金でこういうことをしたくない。だいたい、そっちの趣味もない。
君にひどいことをしたくもない。だから、時間までここにいるけど、
何もする気はないよ」
きっぱりと言う客に、俺はかっとして怒鳴った。
「時間までいてくれたって、俺もシーツも汚れてませんって状態を見られたら、
俺にとっては同じことなんだよ! あんたが払う金は、何かしてもしなくても
変わらないだろうけど、俺にとっては大違いなんだ!」
「きゅ、給料を減らされるのか?」
ちょっと弱気になって尋ねる客のその無邪気な質問に、俺は笑い出した。
こいつは本当の本当に何も知らないでここに来たんだ。
「給料!? そんなもんあるわけないだろ! メシを減らされるんだよ、
働いてないんだから食うなって! そうでなきゃ他の客を取らされる。
いつもより長く働かなきゃいけなくなるんだよ!」
客が、顔を引き攣らせて押し黙った。気の優しい、いい人なんだろうな。
頼まれたわけでもないのに、あいつを助けに来たんだから。
俺は、客の手を引っ張ってベッドまで連れていった。
「苦にすることない。俺がいいっつってんだから、やれよ。
やり方わかんなきゃ、教えてやるからさ」
ベッドに座らせて、肩を掴んで押し倒した。膝でベッドに上ってのしかかる。
「待って、待ってくれ、僕は……」
「あいつのことは助けたのに、俺のことはどうでもいいわけ?」
そう言うと、客がつらそうに目を逸らした。

657:明日はまた来る・10
07/01/26 12:32:25 SCXYWEIS0
我ながら、きついこと言ってんだろうな、と思う。
こいつが助けられるのは、死んだ人間だけなんだ。
あいつは死んじまってたから、ここから出してやれたんだ。
でも俺はまだ生きてるから、ここから出すことはできないんだ。
だから、俺を助け出してくれないことは責めないけどさ。
「あんた、俺を助ける気はまったくないんだよね」
俺は、意地の悪い気分になって、そんなことを耳元に囁いてみた。
客は何も言わなかった。可哀想に、目をギュッと閉じて堪えている。
でも、ちょっとくらい意地悪する権利、俺にはあるよな。
こいつは俺から、俺の側にいた唯一の人間をとっちまったんだから。
あいつは俺を見なかったけど、俺の同類、仲間だった。
最初見た時はお兄ちゃんだったのが、いつの間にか俺より小さくなってたけど、
あいつはずっと俺の側にいた。何をしてくれたわけでもないけど、
俺にとってはただ一人の大事な人間だったんだ。
あいつを助けてやることは当たり前で、それはいいことで、だけどこの客は、
独りぼっちになる俺のことなんて何も考えちゃいなかった。


658:明日はまた来る・終
07/01/26 12:33:46 SCXYWEIS0
客の下半身に手を伸ばして、ペニスを探り当てた。まったくのシオシオだ。
やりたくないんだろうな。俺もそうだけどさ。仕方ないよな、
ここに来ちゃった以上は、最後まで付き合ってもらう。
下着ごとスラックスを脱がせて、取り出したペニスを口に含んだ。
丁寧に奉仕しているうちに、なんとか勃ち上がってくる。
客をまたいで、俺はそのペニスをゆっくり自分の中に沈めていった。
体を揺らし、相手が一番気持ち良くなるはずの動きで追い上げた。
客が、腕で顔を覆っている。
あいつの悲鳴が聞こえない、初めての静かなセックス。
だけど別の悲鳴が聞こえてくる。音のない悲鳴が。
これからは俺、この悲鳴を聞きながら仕事するんだろうな。
だからあんたも、俺をおぼえて帰れよ。
明日も、明後日も、明々後日も、俺はあんたを思い出すんだ。
あんたも一生俺を思い出し続けろよ。

なあ、あんた。
俺が死んだら、死んだ後なら、助けに来てくれる?

659:↑
07/01/26 12:34:17 SCXYWEIS0
途中、タイトルとメール欄を間違えた上に
ageてしまいました。
すみません!!!

660:風と木の名無しさん
07/01/26 13:24:17 yXGSNxDiO
最近のは読みづらい長文でも何も文句出ないんだね~
それとさ~池沼の平太はマダー?だってよ?
勿体振ってとろくさい書き方してないでさっさとオチ書いてやってよ~

661:風と木の名無しさん
07/01/26 14:03:15 9AZ0YUZTO
明日はまた来るさんは速やかに隔離に帰りましょう。
明日も明後日も来るな。もう二度と来るな。
ここは本スレ。あんたの来る場所じゃないです。
あんたの投下自体が荒らし行為。
それとあんたの書く話には萌えがないうえ、
あたくしのお話って上手くて素敵!マンセーされて当然よって思ってるあんたの
品性の下劣さが滲んでます。何度も同じ事を言わせんな。巣に帰れ!

662:明日はまた来るの中の人
07/01/26 14:17:51 eWyCUph40
あのー、証明しようもないけど、
自分は隔離あらため無関係の中の人じゃないぞ?
文体、まったく似てないと思うけど…。
まぁ、気分悪くさせたのはすまなかった。

663:風と木の名無しさん
07/01/26 14:25:05 iD0nwcNx0
>>662
もまいが謝ることないさ。いまは新作なら何を投下しても
そう言われるさ。もまいは悪くない。

664:風と木の名無しさん
07/01/26 14:27:01 9AZ0YUZTO
キャベツの時とまったく同じ反応
張り付いてるからならではの速いレス
文体も作風も同じです
携帯から投下しなければ誤魔化せると思ってるのですかね

665:風と木の名無しさん
07/01/26 15:05:06 jGprvaDL0
投下してくださる方はトリップ付けていただいた方がいいのかな?

666:風と木の名無しさん
07/01/26 15:22:08 qjoWdKNz0
賛成。
字スレに明記した方がいいと思う。

667:風と木の名無しさん
07/01/26 15:35:00 RkNfs0PN0
投下途中の話にも適用されるのかな?

668:風と木の名無しさん
07/01/26 17:12:36 6GuTEX9J0
>665
何のために?

669:風と木の名無しさん
07/01/26 17:33:17 WJhPLX3G0
こういう話こそしたらばでやろうよ

670:風と木の名無しさん
07/01/26 21:30:50 9AZ0YUZTO
8sTw0jjE0
私のレスをあちらに貼らないで下さい

671:風と木の名無しさん
07/01/26 21:54:23 Fabbu28w0
>670
意味不明

>639 :風と木の名無しさん :2007/01/25(木) 19:04:48 ID:QKjuPq7ZO
>隔離崩壊!
>管理人にも見離されましたね
>引き続き隔離に報復をしましょー

これを>670が書いたのだとすれば
8sTw0jjE0は要請にしたがって、隔離に報復しただけだろうに
なんで貼ったらこまるの?w

>670=ID:QKjuPq7ZO=隔離の中の人
って認めてるわけかpgr

672:風と木の名無しさん
07/01/26 22:21:05 9AZ0YUZTO
私のレスを貼られるのはむかつく

673:風と木の名無しさん
07/01/26 22:21:59 +/Pgv1uEO
明日はまた来る、内容的には面白かったよ

もしかしてスカーレットの人?


674:風と木の名無しさん
07/01/26 22:28:41 gwGlB+420
>66 名前:雑談 投稿日:2007/01/26(金) 21:42:36 ID:lYWCE1ZcO
>管理人さんへ

>どうかサイトを閉鎖してください。
>お願いします。

>670
と時間が近接しすぎてますね

本スレ荒らしといて、自分の巣だけ安泰なわけないだろ
むかつくとか偉そうなことをほざいてるんじゃねーよ

675:風と木の名無しさん
07/01/26 22:47:50 gzYJRkEZ0
もうやめようよ…
ほっとこうよ、な?

676:風と木の名無しさん
07/01/26 22:50:23 yXGSNxDiO
隔離荒らして鬼畜スレが無事な訳ねーだろwwwww

たっぷり遊んでもらえよ誘い受けの鬼畜スレ住人諸君。

677:風と木の名無しさん
07/01/26 22:59:52 9AZ0YUZTO
隔離崩壊
本スレ劣化

678:風と木の名無しさん
07/01/26 23:16:14 ivIOStA40
>>671、674
なんでそれをここに貼るのさ?
あっちか、せめてしたらばで吠えればいいものを。
本スレを荒らしたいわけね。

679:風と木の名無しさん
07/01/26 23:38:14 /SQxc8a80
上がってると思って覗いてみたら凄い荒れよう(´・ω・`)

680:風と木の名無しさん
07/01/26 23:43:25 9AZ0YUZTO
ヾ(^▽^)ノ

681:うふ~ん
うふ~ん DELETED
うふ~ん

682:うふ~ん
うふ~ん DELETED
うふ~ん

683:うふ~ん
うふ~ん DELETED
うふ~ん

684:うふ~ん
うふ~ん DELETED
うふ~ん

685:うふ~ん
うふ~ん DELETED
うふ~ん

686:うふ~ん
うふ~ん DELETED
うふ~ん

687:うふ~ん
うふ~ん DELETED
うふ~ん

688:うふ~ん
うふ~ん DELETED
うふ~ん

689:風と木の名無しさん
07/01/27 00:07:49 uc4eAPVtO
ずれたorz

690:風と木の名無しさん
07/01/27 02:50:06 2QUcfA8v0
お前は次スレを立てて篭れ
電波文なんか見飽きたよもう

691:吸血鬼13
07/01/27 09:31:48 NPvA1Db/0
ランプの芯がジジッと音を立て、オレンジの
灯りが生み出した影が揺らぐ。
この城の主である青年、吸血鬼バルドは
無表情で侵入者を見やった。
バルドがゆっくりとヤンに向かって歩き出す。
ヤンは、緊張で胸が激しく動悸し始める中、
バルドから目をそらせないまま一歩後退した。
傍らのカウチにはクラウスの汗ばんだ裸身が
力なく仰向けになっている。その瞳は何も
映さず、ただうつろに虚空を見上げていた。
バルドの金色の瞳が一瞬それに向けられ、
一度瞬いてヤンを見据える。
眼光が増したように見える瞳からは
何の感情も読み取れないが、ヤンは心臓を
わしづかみされたように総毛立った。
距離が狭まっていく。
落ち着け。
額から汗が滑り落ちるのもそのままに、
バルドの背後に視線をやって、サイドボードを見る。
ヴァンパイアを傷つける事が出来る銀の短剣は遠い。
丸腰でやりあえるとは思っていない。
今は逃げる事が先決だろう。
肩越しに入り口を振り返り、すぐに視線をバルドへと戻す。
闇をまとった青年。
そのこちらを見据える金の輝きから
視線を外すのが怖い。
背中を見せて駆け出す事も出来ず、
息を荒げて一歩、また一歩と後退して、
ついに足がもつれて尻餅をついてしまう。


692:吸血鬼14
07/01/27 09:32:47 NPvA1Db/0
「ヒッ」
顔をあげると目の前にバルドの顔がせまっていた。
身をかがめたバルドの両手がゆっくりと
ヤンの顔にのびる。色白の指が恐怖で
引きつった頬に触れ、輪郭を滑った。
ヒヤリと冷たい指が体温を奪うように頬をはう。
バルドが片手をヤンの顔に添えたまま、もう片方の
人差し指を形の良い唇でくわえて歯をたてると、
皮膚が少し裂けて鮮やかな赤がプクッと
盛り上がり、指に筋を引いていった。
その指でヤンの唇を紅を引くように撫で、
再び口に含んで己の血を艶かしく
舐めとったバルドは、両手でヤンの頬をささえた。
「なっ、な、何を‥‥‥」
目を見開き恐怖にわめくヤンの唇にバルドの唇が重なる。
バルドの舌が、かちかちとなるヤンの歯を
なぞってこじあけ、口内へと侵入し舌を絡めとった。
暗い部屋にちゅくっと音が立つ。
緊張で乾いたヤンの口内に暖かい唾液が流し込まれ、
あふれたそれが口の端から顎を伝い落ちていく。
唾液に混ざった錆の味が口内に広がる。
上顎がなでられ、舌をくすぐり吸われる。
バルドの舌先が生み出す快感にいまや恍惚をうかべ、
自ら舌をからめていたヤンの表情が、突如苦痛に歪んだ。
ヤンの上唇をひっぱるように啄み、
ちゅっと音をたててバルドの唇が離れた。
「ひっ、あああっ」
バルドから解放されるとともに身をひねって悲鳴をあげる。
喉が焼けるように熱い。
バルドの血が喉を焼いていた。


693:吸血鬼15
07/01/27 09:33:37 NPvA1Db/0
呼吸するたびに激痛が走る。
「ひうっ、ああうう」
強烈な痛みに全身を震わせて、喉をかきむしり、
その幾筋もの赤い傷から血が流れ、爪を赤く染めていった。
のたうち回るヤンの顎が色白の指に軽く
持ち上げられて、金色の瞳とかちあう。
その奥に宿る赤い炎がヤンの心臓を跳ね上げた。
「[俺]とおまえは繋がった。‥‥血の契約だ」
艶のある甘い声色で、普段は使わない一人称で己を呼び、
嫣然と微笑んだバルドの口がヤンの耳元に寄せられた。
「[あれ]を使うといい」
甘くささやく赤く濡れた唇が耳をそっと挟み離れる。

突然、体の感覚がなくなった。
あんなに痛かった喉の痛みが鈍くなり、
夢の中にいるような浮遊感に襲われる。
視界に入る己の手足がまるで幻覚であるように
自分の意思で動かせない。
バルドの血がヤンの体を乗っ取っていた。
「な、なにを‥?」
体が勝手に動き出した。
立ち上がり、バルドの脇を通り、
ランプの灯りに誘われるように歩いていく。
テーブル横のアドルフをまたいでいき、サイドボードの前へ。
仄白く輝く銀の武器がランプの灯りを遮った己の影に包まれる。
指先を赤く染めた手が迷い無くのびていくのが視界に入った。
バルドの意図を読み取ったヤンの目が大きく揺れる。
「や、やめ‥‥っ、やめろおっ!!」
二本ある短剣の一本を右手でつかみ両手でかまえた。

己の心臓に向けて。


694:風と木の名無しさん
07/01/27 09:33:39 DF8N0vhCO
篭っていたのに引きずり出したのはこっちじゃん。

695:吸血鬼16
07/01/27 09:34:40 NPvA1Db/0
倒れたヤンから赤い血が丸く伸びて床を汚した。
部屋に広がった錆びた匂いが、体の奥底に潜む
本能を刺激するのを感じて、バルドは不快そうに
目を細めたが、瞬き一つで表情を消しクラウスに目をやる。
首もと、鎖骨、胸元、脇腹、体のあちこちに残る鬱血の跡。
すでに乾き始めている精液と汗でべとべとの体。
太股には幾筋もの血と精液が伝った跡が生々しく残っていた。
バルドはカウチに腰掛け、少年を抱き起こした。
途端にうつろだったクラウスの目がこれ以上ないほどに
見開いて、腕の中でもがき暴れだす。
その指がバルドの頬を掠り、うっすらと血がにじんだが、
瞬く間に傷が消えていった。
「も‥‥い‥や、あぁっ、ぃ、やだっ」
バルドは暴れる腕をとらえて、肩口にクラウスの頭を
ひきよせると耳元でささやいた。
少年の名を。
「クラウス」
抱いた少年の体がビクっと震えて、静かになった。
暗い部屋にしばしの沈黙が訪れ、二人を包む。
やがて、のろのろとクラウスが顔をあげ、
バルドの顔をまじまじと見つめた。
「バ‥‥‥ルド?」
小さく頷いたバルドを見つめる瞳が歪んだ。
ふっと息がこぼれて堰を切ったように涙がこぼれる。
「バルド、バルド‥っ」
かすれた声で名前を呼びながら、しがみついてくる
クラウスの頭をかかえ、しばらくそうしていた
バルドがそっと瞳を閉じた。

「すまなかった」


696:吸血鬼17
07/01/27 09:36:20 NPvA1Db/0
二人も人間が帰ってこないとなったら、
捜す者達がここに乗り込んでくるだろう。
今までここにいられたのは、ひとえに
バルドが人間を襲わなかったからだ。
薔薇とワインで生きていける。
それは間違いではない。
だが、本能はやはり血を求める。
現にこの部屋に立ちこめる血の香りに
酔いそうになっている自分がいる。
吸血鬼の仲間には、人間の血を好きなように
吸い、住処を転々としているものもいる。
ただ、そうするのが自分にあわないだけ。
静かに過ごしたいだけだった。
人間にとって牛や豚等が餌であるように、
吸血鬼にとって人間は餌でしかない。
この腕に抱く少年でさえも、そうであったはずなのに。
あの晩、クラウスをこの城に招き入れたのは
単に気まぐれであったが、自分の身を守るため
でもあった。それだけのはずだったのに、
他の人間に対する感情と違ったものを、
クラウスに感じている。
毎夜城にやってきてはその日の出来事を
おもしろおかしく話し、笑顔で対してくれた。
そして今、その小さな体で助けようと
してくれた少年が愛しい。
もう、傷跡も残っていない己の頬。
少年と自分との違い。
その違いがなくなればと思ってしまう。
だからこそ‥‥‥

「クラウス、私はここを出る」


697:吸血鬼18
07/01/27 09:37:13 NPvA1Db/0
「バルド‥‥‥?」
クラウスは冷水をあびたように体が冷めていくのを感じた。
今、バルドは何て言った?
「な、に‥?わからないよ」
うまく息を吸えなくて声が震える。
瞳が見たいと思った。
バルドの瞳は閉じられ、長い睫毛の影が落ちている。
どうしようもない焦燥感にとらわれて、息が荒くなる。
胸に何かがつっかえているようで苦しい。
「な‥ん、なんで‥どこにいくんだよ」
「‥‥クラウス」
「いやだ‥」
苦しい。苦しい。苦しい。
息が出来なくて。
胸が痛くて。
心が泣いてる。
バルドをつかむ手に力がこもる。
「いやだっ!ここにいろよっ、俺があんたを守るから!」
全く説得がない事はわかっていた。
離れたくない。
ただそれだけの感情があふれている。
ああ、その目を‥‥
物鮮やかな瞳が見たい。
「どこかに行くっていうなら、俺も一緒に‥‥っ!!」
「クラウス」
欲した煌めきがまっすぐクラウスに向けられた。

「住む世界が違う」


698:吸血鬼19
07/01/27 09:38:15 NPvA1Db/0
静かな宣告にクラウスは瞠目して息を呑む。
あんなに見たかった玲瓏たる瞳が、冷たいものに
感じてゆっくりとうつむいた。
しがみついていた腕の力が抜ける。
時が止まったかのような静寂に、テーブルのランプの
灯りだけが時折ゆらりと揺れていた。
「‥‥‥だったら、俺の血を吸ってほしい」
やっとの事で絞り出した声は自分でも驚く程低い。
「‥あんたと同じになれば連れていってくれるよね」
返事は、ない。
応えないバルドにいらだちが募る。
目頭が熱くなり、一度止まった涙が再び
あふれそうになるのを必死でこらえる。
蹂躙された跡が残る自分の体。
こびりついた精液に吐きそうになる。
後ろにまだ何かがはさまっている感じがして痛い。
「じゃあ‥さ、慰めてよ‥‥‥せめてさ」
本気で言ったのではない。
ただ、こう言えば何か返してくれると思った。
確かに自分を抱いてくれてる腕があるのに、
この部屋には自分しかいないみたいだ。
相手を困らせるだけだとわかっている。
これは自分のわがままだ。
けれども言葉は止まらない。
「‥‥‥‥‥‥こんなに汚れた俺なんか抱けないか」


699:吸血鬼20
07/01/27 09:39:07 NPvA1Db/0
突然凄まじい力でカウチに押し倒された。
衝撃で息がつまる。
肩を強く押さえ込まれて痛みが走った。
「っ!いた‥っ」
「簡単に言うな」
ささやく声は恐ろしい程に冷たい。
「俺と同じになるだと?
 どういう事かわかって言っているのか」
聞き慣れない一人称に違和感を感じて
バルドを見上げる。
金の瞳にともる赤。
激しい感情が荒れ狂っているようなその色に、
怒っているのだろうかと思う。
常に「私」と称していたバルド。
激情のままに我を忘れている。
だが、クラウスもここで引き下がる
ワケにはいかなかった。
肩に食い込む爪に負けそうになりながらも
しっかりとバルドを見返した。
「わ、わかって‥‥っ!!」
バルドの腕に力がこもり、クラウスの口から
小さく悲鳴があがった。
「おまえは何もわかっていない」
バルドはクラウスにのしかかると、
その足を抱え上げた。

今日はここまで

700:風と木の名無しさん
07/01/27 10:56:32 hcwShHc00
吸血鬼タンGJ!!
バルドかっこいいよバルド

701:風と木の名無しさん
07/01/27 11:46:01 iZhEaJaQO
バルドかっこいい!クラウスはどうなるんだろうww
続き待ってます

702:風と木の名無しさん
07/01/27 18:38:48 hwE9FiOV0
吸血鬼タンGJ!!
バルドかっけ―!!!

703:風と木の名無しさん
07/01/27 21:11:08 odU2ihcw0
吸血鬼タン、待ってたよ!
チュウだけに終わった801チンピラ哀れw

704:風と木の名無しさん
07/01/28 09:45:21 V5QqxLn30
ポーの一族みたいだねGJ!これからどんな鬼畜展開なのか楽しみです。

705:風と木の名無しさん
07/01/29 08:53:01 LFtBWJLuO
>>583-585
このスレ初めて見たから遅レスになっちゃうけどすごく好きです。
他の作者さんのも気になるのばかりなのでまとめから読ませていただきます。

706:風と木の名無しさん
07/01/29 10:56:26 /RnwjHFZ0
このスレ初めて見たから遅レスになっちゃうけど
>>583-585 以外の作者さんはすごく好きです。
気になるのばかりなのでまとめから読ませていただきます。


707:風と木の名無しさん
07/01/29 12:21:59 ERCmY6Vm0
これはよい鬼畜

708:風と木の名無しさん
07/01/29 13:25:05 KDwj2aVOO
バルドかっこよすw 一人称の変化は萌えるなぁ

709:風と木の名無しさん
07/01/29 21:03:01 YFLxfWNcO
神よォオオオオオオオオオオ



はやくだれかとうかしろ

腐女子どもが

710:風と木の名無しさん
07/01/29 21:20:38 BpAhuVt20
ここって鬼畜陵辱のみですか? 純愛は無し?

711:風と木の名無しさん
07/01/29 21:24:17 MqqRvU/SO
あり!

712:風と木の名無しさん
07/01/29 21:30:50 BpAhuVt20
>>711
㌧クスです。

713:風と木の名無しさん
07/01/29 21:36:08 6SzVWIdC0
愛ある鬼畜ならOKだけど、
鬼畜要素のない純愛ものはスレ違いですよ

714:風と木の名無しさん
07/01/29 21:52:38 BpAhuVt20
>>713
なんと、そうでしたか。失礼しました。他スレを探します。

715:風と木の名無しさん
07/01/29 22:04:47 YFLxfWNcO
シネ

716:風と木の名無しさん
07/01/29 22:07:01 MqqRvU/SO
ごめんなさい。
自分、言葉たらずでした。
愛ある鬼畜ならありのつもりで「あり!」と…orz
棚がいいかもです。
がっかりさせてごめんなさいでした。

717:風と木の名無しさん
07/01/29 22:36:27 ERCmY6Vm0
意味不だな。
スレタイ見れば趣旨は明白だし
このスレだけでも読めば解りそうなもんなのに。

718:風と木の名無しさん
07/01/29 23:01:59 PAtqNx85O
どうせ過疎ってんだから保守代わりに投下してもらえば?
書き手叩きの燃料にもなるしなw

719:金色1
07/01/29 23:13:51 9chKKLd20
長いです。痛いのとか怪我とか駄目な人は読まないで下さい。

「酷いですよ、あんまりですよぅ」
涙目でぷぅと頬膨らせて、語尾を伸ばして喋るのはやめて欲しい。
俺より干支一回り年上の彼氏は、俺より干支一回り年下に見える。
「ねえ、考え直してください。酷いです、捨てないで」
うわーん、なんて擬音が似合う泣き方をしだす。でもここはそこそこ流行った喫茶店。
男同士で捨てる捨てないなんて世間様に聞かれたくないんです俺は。
「結婚するんです」
「なんで、何でぼくじゃ駄目なんですか、なんで」
「男は一般的に女と結婚するんです」
「酷いです、捨てないで、捨てないでくださいよぅ」
捨てます。
俺は伝票を持って席を立つ。
780円を払うついでに劇団員なんです、台本合わせですって言っておいた。
わざとらしい俺。



高校一年、希望に満ち溢れて入った野球部、其の頃から俺と同い年ぐらいに見えた容姿。
茶短髪にメガネにワイシャツとベスト、どう見たって図書室司書のそれ。
なのにそいつは野球部の顧問兼監督だった。
ノックしようにもトスしたボールとバットが一向に出会わない抜群の運動能力。
何でお前が顧問なのって思ったのはきっと俺だけじゃない。
声に出して聞いてみたのは俺だけだったけど。

「好きだからです。」


720:金色2
07/01/29 23:14:47 9chKKLd20
好きこそ物の上手なれってのは残酷な言葉だ。
下手の横好きってのもそれなりに残酷かもしれない。真実は時に人を傷つける
そもそも俺の入った高校の野球部は有名でも何でもなくて
ついでに言えば囲碁部がそこそこ有名だったりしたから
甲子園にかすりもしなくても悔しがる奴はあんまりいなかった。
ただ野球がしたいから集まってきた奴ら。好きだからですね。

「でも顧問がもう少しまともなら、もっと頑張れたんじゃねえの?」

重ねて言うけどそう考えたのは俺だけじゃないはずだ。
でも実際言ったのは俺だけだった。何時だって悪いのは俺だ。
まだ一年坊の俺は大した思い出もないまま就職していく先輩にちょっと同情していた。
そして運痴通り越してウンコな顧問にご立腹だったのも確かだ。
なんせ猿でも出来るベースボール入門、何て本を後生大事に抱えてるんだから。
奴は野球部顧問暦が三年目になる。
俺の言葉で多少ショックを受けても俺に罰は当たらないと思った。

結論から言えば、奴は俺に抱かれた。
うん、ちょっと待って欲しい。確かに色々すっ飛ばしたけど、俺結論って言ったし。
あとわかっといて欲しい、俺ホモじゃない。彼女いるし。いってもバイ止まりだと思う。
野球部のマネージャーでさ、すっげぇ可愛いんだコレが。


721:金色3
07/01/29 23:16:21 9chKKLd20

まともなら、の も のあたりで奴はボロボロ泣き出した。
先が読めたってことはあれだ、自覚があったんだ自覚が。
ざまあみろって思った反面、やっちまったなとも思った。
なにが罰は当たらないだ20秒前の俺。この面倒ごとが罰以外のなんだって言うんだろう。
奴はボロボロなきながらシャワー室に引っ込み、部員は俺に非難の視線を浴びせる。
泣ーかしたー泣ーかしたー。なーがせーがー泣ーかしたー。
小学校か此処は。先生に言ってやろうにも先生が泣いてるんじゃしょうがない。
「わかったよ、慰めてくればいいんだろ」
「長瀬が行ったらもっと泣くんじゃない?」
「心の傷に塩塗りそう」
「ある意味自殺幇助」
「言ってろよ」
俺は仕方なく外見年齢精神年齢十代の、実年齢だけ二十後半のアホの世話をしに行ったのです。

「だ・・・・っ、だからですね、なばせく、な、長瀬くんが」
「はい」
「皆がね、いわ、言わなにでくれていゆ事をですね」
「センセ、鼻水」
「いって、ひぐ、言ってしまうのは、それわ、長瀬くんの心が」
ボロボロ泣きながら阿呆は説教を垂れだした。ウザいの通り越して哀れだ。
「ささくれて、いるからだとおもうんです」
「センセ、発音全部ひらがな」
「ナニかなやみが在るのなら、ぼく、ぼくききますから」
「部活の顧問が泣き止みません」
「なん・・・ひぃっく、な、何でも言ってくれてですねぇ・・・っ」
何処からの電波を受信してるんだろう。確かに俺は捻くれているけどこれは素だ。
悩みなんかありはしない。


722:金色4
07/01/29 23:17:23 9chKKLd20
でもコレは何か言わないと泣き止まないって思ったから適当に話した。
彼女のこと。
まだ手も繋いでいないんです
キスもしたこと無いんです
俺、童貞なんです。

悩んではいなかったんだけど、これしか思いつかないときた
なんで本当のことなんか話したんだろう。馬鹿か俺は。

馬鹿で阿呆で泣き虫のダメガネはぼくで試してくれて結構ですと言った。
ぼくを抱いて、それで自信を付けてくださいと言った。
何を馬鹿なと思ったけどフェラされたら勃った。
俺はどうしようもなく若かったんだな。

ここまでで回想はおしまい。

カランコロンと鈴の音を立てて喫茶店の扉が閉まる。
なのに阿呆の泣き声は俺の耳について離れない。
何時だって悪いのは俺なんだろう?俺が悪いんだろう?
外はすっかり暗くなっていた。冬の夜は早い。
俺はタバコをふかしながら家路を急ぐ。


723:金色4
07/01/29 23:18:10 9chKKLd20

ずるずると10年たった今でも、あいつは俺の言葉ですぐに泣く。
泣きたいのはこっちだ。
マネージャーだった彼女は小さなブランドの支店長になって、相変わらずマネージャーだ。
そして相変わらず俺の彼女で、来月俺の妻になる。
メガネと彼女だと彼女のほうがうんと大切で、俺が別れたいと言う度にメガネは泣いた。
泣かれたらセックスして有耶無耶にするしか術を知らないんだ俺は。
だってお前はそれしか教えてくれなかっただろう。
まっさらな童貞処女カップルに恋愛のなんたるかを吹き込んだのはお前だろう
記念日には何を贈ればいいとか期限が悪いときはこうあやせばいいとか
でもタチの悪い愛人を切るやり方なんて教えちゃくれなかった。
それどころかメガネはたまに、やけに自信たっぷりに言った。

「いつか女の子よりぼくの方がいいって言うんです、長瀬くんは」

外見が10年間ちっとも老けないエイリアンは思考回路もエイリアン。
まるでついていけない。
セックスの途中に好きかと聞かれて一貫して美香(彼女)のほうが好きと答え続けたのに
俺の努力は実を結ばなかった。
あいつの耳には都合のいいフィルターがかかってる。きっと凄く高性の



              がつん




724:金色6
07/01/29 23:19:55 9chKKLd20
と、衝撃に続けて鈍い音がして何かと思ったら俺の頭が地面に叩きつけられた音だった。
頭蓋骨がびりびりする。後ろから殴られた。誰だ。簡単だ。
メガネは泣きはらして目の周りを真っ赤にして、同じく先端が真っ赤になった金属バットを持って佇んでる。
笑えねぇ笑えねぇよ好きだからってバットがか。どんなフェティシズムだふざけるんじゃねぇぞ。
頭の周りがどくどくと暖かくなる。死にたくない。
「長瀬くんは死にません」
あたりまえだ。
男と痴話喧嘩で死にたくない。俺は結婚するんだ。
カランと音をたててバットが転がる。
人通りが少ないのをいいことに阿呆は血まみれの俺にキスをする。
「捨てないで」
「死ね」
「好きだって言って」
「消えろ」
ばっくり裂けたこめかみに歯を立てられて俺の体は震えた。
泣きながらいじらしい言葉を繰り返すのにやってることは悪魔だ。傷口を抉る。血が止まらない。
ひっくひっくとしゃくり上げながら俺のTシャツを捲り上げる。
勿論俺は抵抗する。奴に対する罪悪感とかそんなモンはとうに四散。
今はただ只管殺される殺される殺された後に犯されるか犯された後に殺されるかどっちも冗談じゃねえ笑えもしねえと
そればっかりが血の足りない頭の中かけめぐって正しく必死だ。
後頭部の毛を鷲掴んで引き離そうとしたら顔面に拳が降ってきた。
やけに重い。石かなんか握ってやがる。二、三発殴られただけで抵抗する気さえ削げた。
もういいや。肩から上ばっかり異常に痛い。もう殺せ。知るか。

725:金色7
07/01/29 23:20:40 9chKKLd20

「好きだって言って下さいよぉ」

俺の体にのしかかってくる糞野郎。
血の泡を噴きそうな唇にキス。情欲を煽る様な深いものに変わって、俺を置いてきぼりに手前ばっか興奮していきやがる。
「長瀬くん、ながせくん」
捲り上げられたシャツ、鎖骨にぬらりと舌が這って気持ち悪い。前までは気持ちよかったけど気持ち悪い。
へその下にはぁはぁと吐息があたって、気に入りのリーバイスのジッパーが下がる音が聞えて。
「やめろ、糞、さわんな」
もう少し動くだけでも眩暈がする。頭が痛い。奴の肩口をぐいと押したつもりの腕は
反作用でぐいと押し戻されて、背中からべしゃりと赤い湖にただいました。
「だいすきです」
ぴちゃぴちゃと舐める音。気持ちがいい。糞。こんなに出血してんのに律儀に勃ち上がる俺の息子。
やめろ、と切れ切れに非難すると歯を立てられた。死ぬほど痛い。
もう嫌だ。放せ。舐めんな。畜生痛い笑えもしない
歯がカリの下に食い込んで喰われるかと思った、痛いなんてモンじゃない。
飛んでくれるかと期待したのに下半身と上半身の状態が違いすぎて鮮明になる俺の意識。
痛い。死ね。痛い。気持ちいい。痛い。嫌だ、イタイ。でる。いやだ。いやだ。いたいいたいいいたい
いつの間にか野郎は俺のものをケツの奥まで銜え込んで腰をぐいんぐいん振っていた。

「ね、愛してるって、いって、あいしてる あいしてる。
ね、ながせくん あいしてます ながせく」
「・・っひ、・・・・んあ、愛してる、から、放して、愛し、あ」
「ながせくん、ながせくん、あぁ、だいすき、大好きぃ・・・っ」



726:金色・了
07/01/29 23:21:17 9chKKLd20


やりたいほうだい俺にぶっ掛けてほうと一息つくと、
「ぼくも愛してます長瀬くん。」とうっとりした顔で言って
俺の唇についた精液を舐めた。
にこにこと笑いながら俺の体を清める。
痛いですね可哀相に、なんて言いながら自前のハンドタオルで血痕をふき取る。
「明日はお暇ですか。ぼく、観たい映画があるんです。」
じゃあメールしますね、なんていって奴は俺に背を向けた。
ふざけんな。頑張れ俺。全身全霊で体を起こして俺は




側に転がってる金属バットのグリップを握った。

727:風と木の名無しさん
07/01/30 00:44:15 InZrMO1rO
金色たんGJ!
てか むしろ主人公GJw
電波な鬼畜受けも怖いなー。

728:風と木の名無しさん
07/01/30 01:05:01 n4sg5Rkv0
妙な勢いと凄みがあるな、金色さん乙。
メガネがやけに怖い。

729:風と木の名無しさん
07/01/30 01:36:49 nsJ3pUNh0
怖いけど確かに鬼畜だ。GJ!
この勢いは好きだ。

730:風と木の名無しさん
07/01/30 07:23:07 4RuSi6AxO
電波は叩きが発生して荒らし呼ばわりされるから、続きは棚に投下した方がいいよ。

731:風と木の名無しさん
07/01/30 08:59:34 7Fvl0BKz0
残念ながら書いた本人が電波じゃないなら無問題なんだな。

金色タン乙です!

732:風と木の名無しさん
07/01/30 14:26:09 OIasge/hO
金色タソGJ

なんかスゲー!!
コワイけど面白かった


733:風と木の名無しさん
07/01/30 22:36:48 4RuSi6AxO
金色は全く読んでないけど、あれだけ電波電波って大騒ぎしてたくせに電波で喜んでる読み手がいるから、是非電波の違いを語ってほしいと。

734:風と木の名無しさん
07/01/30 22:50:45 qsf8iTGi0
金色タン乙です
面白かった~

735:風と木の名無しさん
07/01/30 23:41:57 zAmVJ52B0
金色タンGJ!
同じ日本語しゃべってても、全く会話が通じてないとこが
怖いけど面白かったです

736:風と木の名無しさん
07/01/30 23:56:01 xq8nx/le0
乙!萌えとは違うけど面白かった!

737:風と木の名無しさん
07/01/31 17:44:37 iJuT/Bbh0
これが俗に言うヤンデレか

738:風と木の名無しさん
07/01/31 18:08:16 mcVp/AIAO
電波は嫌い。やつを思い出すから。

739:風と木の名無しさん
07/01/31 20:34:11 oK1ctQSGO
次スレからテンプレに電波禁止って入れようよ!

740:風と木の名無しさん
07/01/31 20:46:08 y/83EmLk0
上に面白いと書いている人が居るのに禁止にする意味がわからない。
注意書きを付けろ、くらいでいいんじゃないのか

741:風と木の名無しさん
07/01/31 20:48:14 mcVp/AIAO
じゃあ、それでいこう。
電波は文章頭に必ずその旨を表記すべし。

742:風と木の名無しさん
07/01/31 20:59:09 iJuT/Bbh0
ごめんなんで電波は駄目なの?グロやスカならわかるけど…
あんまり縛りいれると鬼畜ネタやりづらくなるんじゃないの

743:風と木の名無しさん
07/01/31 21:05:04 XMNzvpGR0
>742
>738も>739も>741も全部携帯な件

まともに取り合うな

744:風と木の名無しさん
07/01/31 23:14:48 PDlTmIyDO
>>742
どんな秀作だろーが駄作だろーが電波作品に脊椎反射をおこして、書いて投下する事も出来ねーくせに叩く読み手ばっかだから。

745:風と木の名無しさん
07/02/01 00:08:20 VvdmjZ+qO
携帯のあの方は、特徴ある文体。
だからすぐ分かる罠。
私も携帯。

746:風と木の名無しさん
07/02/01 00:20:04 5xk3NZs70
アレは投下後に○×で誤字訂正入れるからな。
しょっちゅうだとムカつく。

そして真性の文章は目が滑って内容が頭に入ってこないこの不思議。

747:風と木の名無しさん
07/02/01 00:28:48 NqIozwB70
>746
目がすべるのは真性の文章だけに限らんがなw

塚、電波は、読み手を選ぶから、スレ住人の大多数に受け入れられるのは難しい
電波文投下するのは勝手だが、それくらいの事情はわきまえてほしい
それがわからずに、自分の文章が賞賛されないと
いちいち切れる基地外はうざい罠w

748:金色
07/02/01 00:42:37 sNS6ecgL0
電波系投下した張本人です。
自分が電波攻め、電波受けが好きでああいったものを書いているのですが
読み手を択ぶ事を知りつつ、過疎って居るようなので投下してみました。
が、荒れる原因になってしまったみたいで本当に申し訳ございません。

今別の文章を書いているのですが(電波攻めです)
やはり投下しないほうが良いでしょうか。
それとも先に注釈を入れれば構いませんか?
苦手な方が多いならば慣れない事はせずにROMに戻ろうと思います。
重ね重ね申し訳ありません。

749:風と木の名無しさん
07/02/01 00:45:27 ERxoG1Xl0
>>748
・叩きや煽りには絡まない
・肌に合わないSS、レスはスルーの方向で

楽しませてもらったので、また書いているのであれば
是非読みたいです。

750:風と木の名無しさん
07/02/01 01:01:54 NqIozwB70
>748
投下したいなら、構わずしてください

塚、叩きがわく→殊勝な書き手が現れてお伺いを立てる
真性電波がたびたびやらかした行動パターンで大変うざい

電波が苦手な人間が一定数いることなんざ最初からわかりきったことだし
聞くことに意味があるとも思えない

751:風と木の名無しさん
07/02/01 01:11:49 ldYPCJ26O
過疎ってるからって理由ならいらないかな

752:風と木の名無しさん
07/02/01 01:12:50 pFyaHXEaO
エラソーに馬鹿じゃねーの?
読み手のスルースキルの低さが書き手を殊勝にさせてんじゃねーか。
そこを棚上げしてうざいってか?かわいそうな書き手さんだよ。
悪い事いわないから【棚に行った方がいい】よ。


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