06/12/23 12:36:17 SX9+qyqW0
「………飲、めっ………炭酸………」
首を横に振り、あえぎあえぎながら藤吾は単語を伝える。
舌の裏でじゃりじゃりと砂が動く。唾液は出ず、呼吸するだけで、喉に痛みが走った。
何度か繰り返し、少年は悟ったのだろう。
「何だ炭酸ダメなんだ。おーい、ヨウ。他に飲み物あるか?」
「ない」
ヨウと呼ばれた細目の少年は、ぶっきらぼうにそれだけ答えた。
「だってよ、おっさん。ここにはヨウが自宅からかっぱらってきた、コiーラ二ダースしかないんだよ。どーすんだ?」
肩をすくめる少年に、藤吾は答える言葉もなければ、発するすべもなかった。
どうする、と問われてはじめて藤吾の背に戦慄がはしった。
土砂崩れ。防空壕の出入り口。一箇所しかない。
斜面全体で地くずれが起きたのか、ものすごい泥土の量だった。
唯一光のさす穴が、みるみる塞がれていったのが最後の記憶。
めったに人も通らない裏山で、そして明日の土曜から、祝日の月曜日が終わるまで、誰も通りかかるはずもない………
「なっ………、こ、んな………」
声を絞り出すが、自分でも何を発音しているのか、分からない惨状を呈していた。
ヨウと黒髪の少年は、顔を見合わせて肩をすくめた。
喉をからして藤吾はぜいぜいと喘ぎ、拘束を解こうと身をよじった。
縄の首は上部を這うパイプにつながれているのか、カラカラと乾いた音を立てる。
後ろ手と、それから正座のまま縛られた足首は、もがいても緩むようすを見せなかった。
370:テュランの筏~海市13/14
06/12/23 12:37:11 SX9+qyqW0
「ほどっ、い………外は………」
荒い息を吐き、白い肩が上下する。
熱をもった息が肌にまとわり、つやつやと白さを輝かせた。うすくらい土中でさえも。
ゴクリ、と生唾を飲む音が響いた。
「順番変っちまうけど、まー、仕方ないよな」
黒髪の少年は耳の後ろをかきながら、視線を流している。
その手は、制服のズボンの、たぎりかけた股間のファスナーにかかっていた。
「だって、飲むものないじゃん? おっさん。他に」
藤吾は目をみはった。鼻の先に突き出された少年のペニスは、迷うことなく藤吾の唇に割り入ろうとしている。
信じられなかった。直接ではないにしろ、同じ学び舎ですごす同士。
教える側と教えられる側という圧倒的な位置差もあるというのに。
その段差があっさり埋められ、そしてそこを越えて及ぼうとするのが性的な、それも同性同士のものだとは。
そこまで至った思考の結論、愕然よりは、むしろ目の前に現れた青臭い物体に、嫌悪を示して顔をそらせる生理的反応の方が早かった。
声はその後に、ようやくついてきた。ひび割れて。
「………い、っ………!」
ペニスの前進がやんだのは、藤吾の拒否のせいではなかった。
黒髪の少年の肩をつかんだ、ヨウ少年の行動による。
「お前のイカ臭い後は、ごめん被る」
ヨウは短く言い、黒髪の少年を押しのけ、藤吾の前へ出た。
罵り言葉をいくつかわめいていた黒髪は、チェッと呟きファスナーをあげた。
屈みこみ、藤吾と目の高さを同じにするヨウ。
細い目の奥に好色な光がともり、藤吾は怯えるべきか、教師としての叱咤を顔に出すべきか、一瞬迷った。
その隙に、おとがいを持ち上げられ、こころもち傾いたヨウの唇と舌が、藤吾のそれを割って入っていた。
371:テュランの筏~海市14/14
06/12/23 12:38:07 SX9+qyqW0
見開き、反射的に身を引こうと思いつくも、首にかかったロープに阻まれ、
またそれを見越したように、ヨウは頭部を前へやり、唇と舌をさらに深く押しつけてくる。
渇いてひび割れた藤吾の唇の表面をなでつけ、腫れあがった舌に、熱くねっとりするものを絡め………最後にクチュクチュと音を立てて多量の唾液が送り込まれた。
「………む、んっ………」
吐き出そうにもおとがいをつかんだ手は、容赦なく藤吾の頭部を上向けにしていた。
重力にしたがい喉を流れようとする熱い液体を防ごうと、藤吾は舌を喉頭の手前で丸めた。
けれども恐ろしいことに、乾ききった細胞と、口内に残った砂は、じわじわとその水分を吸収し、拡散していった。
甘ったるい味が広がるのを、藤吾は鳥肌とともに感じ取った。
舌を元に戻すと、喉がグビと鳴った。
水分が足りないと訴える、身体の反応だった。
ヨウはそれを見、満足そうに藤吾の顎から手を離し、元の場所へ戻っていった。
「ヨウ、もういいのかよ?」
「また、後で楽しませてもらう」
黒髪の少年があっけにとられた感の問いに、ヨウは手を頭の後ろで組み、そう答える。
藤吾がその言葉の意味に背筋を総毛立たせ、問い詰めを発する前に、
黒髪の少年はたぎりかけたペニスを、口唇を割って侵入させていた。
* * *
372:風と木の名無しさん
06/12/23 13:49:13 bjy5VrHdO
藤吾の過去キター! テュランたんgjgj
萌えました(゚∀゚*)
373:風と木の名無しさん
06/12/23 15:24:00 fS/KdLjo0
藤吾、江戸の仇を長崎で討っていたのか?
にしても、どうも過去に遡って天罰食らってるようにしか思えん!
ぐわー続きが気になる。
374:風と木の名無しさん
06/12/23 19:36:09 84yVqLbQO
>過去に遡って天罰食らってる
言い得て妙だ
話のためのキャラクターとは分かってるが
3人が不憫だと思ってしまう罠
GJですテュランたん
375:風と木の名無しさん
06/12/24 11:12:04 bBvd+M6QO
ぬぉぉぁぁ!(゜Д゜)
予想外の展開キタコレ!
藤吾の過去も気になるけど、この後の筏のはどうなるんや~!
続き超期待!
376:風と木の名無しさん
06/12/24 12:24:53 iN/jX46n0
そ、そうだったのかートーゴ!
予想外ktkr
377:風と木の名無しさん
06/12/24 12:42:36 PAG0t5MlO
「白スーツの足を広げ~」の下りでグッときた。
藤吾カッコヨス
378:柿手
06/12/25 00:01:03 dryXLowT0
>>309続
いつからそこにいたのだろう。
カワホリと共にあの日の男が、開いた扉の前で悠然と佇んでいた。
平太は飛び上がらんばかりの勢いで立ち上がると、彼の元へと駆け寄った。
「ありがとうございます、清一郎を治してくださって、本当にありがとうございます」
彼の前で腰を折り、平太は深々と何度も頭を下げた。
「すみません、俺、あなたがお医者様だったなんてちっとも知らなくて。
清一郎のことずっと治療してくださっていたのに、人攫いかと疑ってしまって」
ここ数ヶ月の自分の言動を思い出すと、平太は恥ずかしくてたまらなかった。
死に瀕していた清一郎をここまで回復させるのには、並大抵の治療ではなかったはずだ。
なのに、平太の願いを聞き届け、善意で無償の看病をしてくれた人を、
自分はただ西洋人だという謂われ無い理由で、かどわかしだと決め付けていたのだ。
何度謝罪しても足らない罪だ。
平太は己の未熟さが恨めしかった。
「我が医者?」
己を恥じて顔を上げられない平太の頭上から、含み笑いを滲ませた声がかかった。
「セイイチロウが、そう言ったのか?」
「はい、とびきりの名医でいらっしゃるとか。手厚い看護をしていただいたと聞きました」
「我がか?」
「よく効くお薬も飲ませていただいたそうで、大変感謝していると」
「さて、なんのことやら。薬など飲ませた覚えはないが」
傍らに立つカワホリが、苦笑交じりに応じた。
「きっと、マスターが毎晩セイイチロウさまに飲ませていらっしゃる、
白い濁り液のことございましょう。この国では良い薬ほど苦いと言うようですし」
カワホリの言葉に、男は低く笑った。
「なるほどあれのことか。だが、セイイチロウがあれを飲まされるのを
感謝していたとはついぞ知らなかった。いつも嫌だ嫌だと抵抗してばかりで」
「清一郎がですか?」
平太は驚いた。
清一郎はこれまでどんな苦い薬だとて飲むのを嫌がったことなどなかったのに。
半信半疑で振り返ると、清一郎は決まり悪げに目を伏せている。
いったいどうしたと言うのだろう。平太は清一郎の態度が理解できなかった。
379:柿手
06/12/25 00:01:37 dryXLowT0
カワホリに促されて、平太は先ほど座っていた席に戻った。
平太の隣の席に腰掛けたままの清一郎は、男へ挨拶をするでもなく、
不愉快そうに顔をしかめ、彼らと視線を合わそうともしない。
礼儀を重んじる普段の清一郎からは考えられない態度だった。
男はそんな清一郎の非礼を怒るでもなく、平太の正面の長椅子に座した。
西洋人のほりの深い顔を真正面からみると、彫像めいていてなんだか怖い。
初めてあった時と同じく、仕立ての良い服に身を包み、手にはステッキを持っている。
同じ西洋人でも、やはり進駐軍の輩とはまるで印象が違う。
「あの、マスターさんは……」
何処からいらしたんですか、そう続けようとした平太の言葉を、男はぴしゃりと遮った。
「おまえにマスターと呼ばれる謂れはない」
「ですが、カワホリさんはそう呼んで」
「マスターとは主を意味する言葉だ。我の支配下に堕ち、我に全てを奪われ、
我に絶対服従すべき身となった者だけが、そう呼ぶことができる」
男は、紫に光る目を眇めてセイイチロウをみやった。
「―そうだな、セイイチロウ?」
清一郎は傍らの平太をちらりと見やった後、悔しげに唇を噛むと、
男の方に向き直り、消え入るような声で呟いた。
「はい、マスター」
清一郎の返答に、平太は耳を疑った。
先ほどの男の説明が事実ならば、どうして清一郎は彼のことをマスターと呼ぶのだろう。
戸惑いの視線を清一郎に向けるが、清一郎は黙して答えない。
(きっと医者と患者の関係だからだ。患者は医者の言葉に逆らえないものだし)
平太は無理矢理にそう納得させようとしたが、どうにも落ち着かなかった。
得体の知れない不安がこみ上げてくる。
何か変だ。
鈍感な平太もここに来てようやく、この屋敷に漂う異質な空気を感じ取り始めていた。
所在無げに目の前の男と、隣に座る清一郎を交互に見比べていると、
徐に男が平太に向かって口を開いた。
「ところで、先ほど、我に何を告げると?」
「それは……あの」
平太は言いよどんだ。
380:柿手
06/12/25 00:02:23 q+MozTVX0
清一郎が患っている病のことを相談すべきかどうか。
男の放つ圧倒的な威圧感と、上流階級の者特有の堂々たる威厳を目の当たりにすると、
だが、とてもではないが、あんな病のことを言い出す気にはなれない。
どうしよう。
脂汗がじとりと滲む。
告げるべきか、告げざるべきか。
傍らの清一郎をそっと盗み見ると、背筋を凛と伸ばし、
一部の隙もない美しい姿勢で、ソファに湛然と腰掛けている。
先ほど、座るだけで痛みに呻いていた様子など微塵も感じさせない所作だ。
おそらく、男やカワホリに症状を悟らせないように必死で無理をしているのだろう。
(背を伸ばせばそれだけ尻に力がこもる。痔には最悪の姿勢なのに)
そんな平太の懸念どおり、よくよく清一郎を見れば、
心なしか顔は青ざめ、膝の上の手は小刻みに震えている。
(やはり放ってはおけない)
あれだけ痛みを訴えていたのだ。
これ以上やせ我慢を続けさせるのは、清一郎のためにならない。
平太は意を決した。
「あの……清一郎は痔を患っているんです」
「平太!」
遮るように清一郎が叫んだが、平太は構わず続けた。
「とても痛がっていて、かなり酷いみたいなんです。
あの……もしよければ診てやってもらえないでしょうか」
果たして「痔」という日本語を目の前の男が理解してくれるか、
口にした後に不安になった平太だったが、幸いその心配は杞憂に終わった。
「よかろう」
男はあっさりと頷くと、楽しげに清一郎に視線を移した。
「セイイチロウ、そんな大事なことを我に黙っていては駄目だろう」
「そうですよ、セイイチロウさま。マスターには何もかも包み隠さずお話ししないと」
二人の口調は別段咎める様子も気分を悪くしたふうも無い。平太はほっとした。
「さあ、ちゃんと診てもらえよ」
清一郎の腕をとって、有無を言わせぬ調子で促す。
恥ずかしがらずに医師に診てもらうのが清一郎にとって最善だと思ったからだ。
381:柿手
06/12/25 00:02:54 dryXLowT0
「ここへ来て脱げ」
男は短く命じた。
清一郎は黙って立ち上がり、男の前まで歩んで行く。
そのまま平太に背を向けたまま、清一郎は静かにベルトを外し、
次いでズボンを脱ぎ捨てた。
「おやおや、今日はまた随分と素直なことだ」
男は背もたれに寄りかかり、満足そうに微笑んだ。
「おそらくご友人がいらしているからでしょう。ご友人の前で、
いつものように頑是無い我侭を言うのは恥ずかしいのでしょう」
そう相槌を打ったカワホリに、男は何ごとかを耳打ちをした。
カワホリは一礼して部屋を出ていく。何か用を言いつけられたらしい。
カワホリが消えると、男は再び清一郎に向き直った。
「背を向けて、下着も取れ」
清一郎は、くるりと振り返った。
男と向かい側の椅子に腰掛けている平太とは、丁度向き合う形になる。
平太と視線が合うと、清一郎は気恥ずかしげに視線をそらした。
今日、何度目だろう、こうして視線を外されるのは。
平太は清一郎の態度がどうにも解せなかった。
ずっと一緒に暮らしてきた仲だ。
裸ぐらいお互いに毎日のように見てきた。
今更、何をそんなに恥ずかしがる必要があるというのだろう。
平太のその疑問は、だが、すぐに解けた。
清一郎は僅かに躊躇した後、穿いていた西洋パンツも床に落とした。
露になった清一郎の股座に平太は釘付けになった。
(毛が……ない)
まるで子供の体のように、清一郎の下半身には一本の体毛も無かった。
綺麗に全ての陰毛を剃りとられた肌は、妙に艶かしく劣情を誘う。
平太は慌てて視線をそらした。
(きっとこれも西洋の習慣なんだ)
そう思い込もうとしても、動悸が激しくなるのを止められない。
そんな平太の動揺を知ってか知らずか、男が無機質な声で平太に命じた。
「ランプを持ってここへ来い、そして我の前に患部を照らしてみせよ」<続>
382:風と木の名無しさん
06/12/25 00:51:48 iVI4kn8/0
柿手さん乙!
何も知らない平太の前で羞恥プレイ イイヨーイイヨー
383:風と木の名無しさん
06/12/25 01:41:08 utIaYMP50
何も知らないウブな平太が可愛すぎる
384:風と木の名無しさん
06/12/25 23:07:09 pEZgS1lEO
柿手さんすごく好みwwこの後平太の前でご披露するのだろうか…
385:風と木の名無しさん
06/12/26 03:17:16 x8lXIEqK0
平太にモエモエ~~
386:風と木の名無しさん
06/12/26 23:55:41 GnsmPhpsO
平太可愛いすぎ!!!
387:風と木の名無しさん
06/12/27 05:30:29 78JEzUvN0
平太uzeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!
オマイの所為で清一郎が次から次へと羞恥プレイでカワイソス
恐るべし天然ボケ
388:風と木の名無しさん
06/12/27 08:50:31 wlhl3JzvO
純粋も素敵だ!!
389:風と木の名無しさん
06/12/28 12:25:02 K1xO2TcKO
柿手タンまだかなぁ~
390:風と木の名無しさん
06/12/28 14:30:25 bgPr5/48O
プランたんも。続き待ってるよ~
391:風と木の名無しさん
06/12/28 17:12:39 hUDI01gO0
焼鏝タンも待ってるよ
続き読みたいと思ってたから続編書いてくれて嬉しかった
392:トウワ
06/12/31 00:21:00 Nd97VQBzO
受けとかやったことねぇーよっっっ!やめてくれ!!
必死になって暴れたら、俺の孔に突っ込んだ長い人差し指を、酔っ払いがグルッと回した。
「んあっ!」
俺だっていつもしてることだから、このあと、中指がプラスされるのがわかる。
それから、薬指が入ってきて、どーせ3本の指はバラバラにうごくんだろっ!?
そしたら、ほぐれた孔にちんこが頭を突っ込んで、俺は痛みに泣くんだ。
そして全てはそのとおり。
孔が裂けて痛みに泣いた。貫かれた瞬間、重く響く衝撃に呻いた。
孔壁を圧迫する存在感に怯えながら、抜いてくれ抜いてくれと喚き、動き出したちんこに、動揺した。
はじめは、浅いところで、それから浅く深く出し入れされ、
突っ込まれるより、引き抜かれるときのが感じるんだと教えられ、
抜かれてほっとしつつも、ものほしげに尻をふり、
硬くしこったちんこの先で、生まれてはじめて前立腺を押された時は、体の快感より心の高揚がでかかった。
393:風と木の名無しさん
06/12/31 00:23:35 Nd97VQBzO
すみません、誤爆しました…orz
394:風と木の名無しさん
06/12/31 00:30:25 1qVaFxbn0
死んでくれ
395:風と木の名無しさん
06/12/31 00:35:34 fHC37OADO
待ちに待った年末!
今年はワンワン→亥ですね。ひそかに楽しみにしています。
396:風と木の名無しさん
06/12/31 15:02:31 uq7IEenp0
柿手は…平太が鬼畜なのか
397:風と木の名無しさん
06/12/31 16:12:29 TZFi/jmy0
お年始に初仕事をキボン
398:風と木の名無しさん
06/12/31 20:26:36 onmZ6cnQO
>>396
純粋も時には鬼になるんだよ
399:風と木の名無しさん
07/01/01 00:52:13 UJYcNAmuO
明けましておめでとうございます。
今年も神々の降臨お待ちしてます。
400:風と木の名無しさん
07/01/02 14:21:56 l/lgvfKHO
こんなわがまま連中のとこにくるかよ。
401: 株価【---】
07/01/02 16:26:28 Bdf2mrReO
禿しくいつまでも待っておりますぞ(`・ω・´)
402:風と木の名無しさん
07/01/02 16:37:24 VFVZ6EPz0
気長にのんびり待ってる ノシ
403:風と木の名無しさん
07/01/02 21:17:46 SuWr/p7GO
久しぶりに覗いてみたが、相変わらずつまんねーのばっかだな。
もっと面白いの期待してるよ。
404:風と木の名無しさん
07/01/02 22:55:25 9NfvV1rK0
_, ,_
( ゚∀゚)…
_, ,_
( ゚∀゚ )ソウダ!
,_
(` ) ゴウカン初め
_, ,_ ⊂ ヽ ガッガッ
ヤダァァァァ (Д´ )⌒ヽ _)_)) ≡
⊂ノ(_ ∪J
405:風と木の名無しさん
07/01/02 23:59:38 vIrcIumGO
GJ 姫始めならぬ悲鳴始めですな
406:風と木の名無しさん
07/01/03 13:47:04 LCEHiwriO
誰が上手いことを言えと(ry
しかしなんですよね、
書き初めにはまず筆を下ろす必要がありますよね。
407:風と木の名無しさん
07/01/03 17:08:39 KSHlkBTj0
>>406
あなたにも
「誰が上手いことを言えと(ry」を。
正月早々、気の利いた書き込み競争ですかね。
敷居が高いわ~。
408:風と木の名無しさん
07/01/04 12:44:03 BpknLnfa0
age
409:風と木の名無しさん
07/01/05 20:23:03 YASZbPRLO
あげんな、ばか
410:風と木の名無しさん
07/01/05 22:53:36 3Vts5xQ60
こんなん見つけた
URLリンク(ur.ur.to)
時代劇もええね~
411:風と木の名無しさん
07/01/05 22:55:43 XUpXvuQ90
テュランタソ待ってます!
412:風と木の名無しさん
07/01/06 03:06:12 J2e43lX70
>>410
姐さん、もしかして田.亀.源.五.郎とかお好きなのではないか?
413:風と木の名無しさん
07/01/06 08:32:10 Dsb8AEts0
>410
画像小さいから解りにくいけどこれ
今更新が止まってる某有名サイトの絵だよね?
勝手にうpしていいもの? パクリ?
414:風と木の名無しさん
07/01/06 11:10:55 FLcDpX+BO
スルー
415:探し屋
07/01/07 01:11:17 RrBqZZQU0
豚義理で投下。導入ゆえにエロくないです。
口にあわなそうな方はスルーよろしくです。
発砲音。発砲音。発砲音。
夜を裂くと言うよりは弾けさせる様な頭の芯に残る音に、おどおどとした様子の男はびくっと竦んだ。
着古した労働者好みのビニール地ジャケットに、くすんだ色のパンツ。手には黒い書類ケース。
妙に周囲の環境にびくついているのは、土地勘が無く慣れていない所為だけではなく
彼がやましい目的でここに居るからだ―周りも、同じくらい疚しかろうと。
実際、男は発砲音がやんでから一層固くケースを握り締め、小さなメモを片手にうろつく足をひっそりと速めた。
やましい目的を達する―やましい場所へ―辿り着くために。
「ネコ」
「ン?何」
呼ばれて、男は振り返った。くるりと翻った長い白髪が安い電灯に照らされ、安い煌きを放つ。
一方男を呼んだ青年―と、少年の中間くらいの男は、器用にコーヒーを啜りながら続きを口にした。
「……さっきから下でうろうろしてるあやしいオッサンがいるんだけど、どーにかしろ」
「イヤでス」
ネコ、と呼ばれた男は即答すると、視線を戻した。バラバラの色彩の立方体―ルービック・キューブに。
「ジュウは最近仕事をボクに押し付けスギです。そのくせ、昼は射撃訓練にわざわざ行ったりスる。
発砲したいナラいまやって下さイ。銃ならイクらでも出せますからなんなりと」
妙な場所にアクセントのある、癖のありまくりな口調でネコが皮肉る。が、
「得体の知れない野郎の面倒見て、仕事まで回してやってんのに文句垂れるかお前。
そういう事すると、今度寝てる間に冷凍室にぶち込んでやるぞ」
冷凍室。そう聞いて―ネコの表情が強張った。
416:探し屋
07/01/07 01:12:42 RrBqZZQU0
明らかな怯え…または、悔しげな顔。
「本当にイヤナ奴にボクは拾わレたと思います、ジュウ」
未だに全く完成の予兆を見せないルービック・キューブを手近な机に乗せ、ネコが立ち上がった。
関節がふにゃふにゃ動くゴム製の棒人形をそのまま身長180cm以上に引き伸ばしたような、
無骨なくせに細い体。その上に分厚いジャケットを羽織った微妙に威圧感のある格好。
「不甲斐ナイ相棒の代わりにイッてきまス」
「いってらー」
コーヒーカップを床から100°以上は上げながら、ジュウは気の無い挨拶を送った。扉が、それを断るようにばたんと閉まる。
その向こうで、ネコは思いっきりあかんべえをしてから現場へ急行した。
「寒い……」
はふ、と大きくついたネコの吐息はぱっと白く色づいた後で消えた。
それを透かして注意深く辺りを窺う目の下のほうでは、唇がノンストップで愚痴っている。
「ジュウはいい加減意地悪でス。確かニボクは沢山世話になったけど、随分借りは返しタ筈なのに……
それに、ボクは寒いのジュウよりずっと苦手だって分かってる癖ニ、酷い!」
ポケットに両手を突っ込み、ジャケットの上にふわりと巻いたマフラーに鼻まで埋めてぶるぶる震える様子は、
見ているだけで寒気を感じそうなほどだ。
冷たく乾いた空気に刺激を感じ、ネコの瞳が自然に潤む。
濡れた目元にすら寒気を覚えて、思わず小さなくしゃみを2回すると、気のせいか洟まで出てきた。
「寒いでス……」
ず、と息を詰めて啜る。鼻腔を冷気が刺す。
早く帰りたいという思いだけが生み出す気力で辺りを窺うと、運のいいことに視界が路地の向こうの”オッサン”を捕らえた。
後は多少跡をつけ様子を見て、関係なさそうならそのままほうっておけば良い。
自分達の客なら事務所につれて帰る。そして敵なら勿論……排除する。
何気ない足取りで”オッサン”の方へ歩みだしながら、ネコは呟いた。
「早く帰ッテ、あったかいもノ飲むのも好いケド、―ソッチも暖まりそう」
417:探し屋
07/01/07 01:15:54 RrBqZZQU0
ネコにつけられているとも知らず、”オッサン”は早足で路地を歩いている。
が、足取りに迷いがあるような気がするのは気のせいだろうか。
(コレで地図でも見てたラ、殆どお客さんで間違イないンだけド……)
微かにふるふる震えながら足取りを追うこと約10分、”オッサン”は同じような路地を未だうろついていた。
別にどこかの建物を周回する訳でもなく、こちらを撒こうとする気配も無く、本当に迷っているような足取り。
(事務所、分かりヅラいとこにあるからネ……職業柄……)
そろそろ本格的にあふれ出してきた洟をすすりながら、ネコは思った。
(ヒト専門の”探し屋”な上ニ、最悪の”復讐補助屋”デ、ついデニ”後始末屋”だもノ。
用心に用ジンしてルダケだもんね)
ああ、都合よくこの”オッサン”、地図出さないかな。そんな事を思いながら更に数分も歩いた時だった。
”オッサン”が掌から小さな紙を取り出し、眺めながらあちこちを見回すのが見えた。
(地図!キタコレ!)
ほぼ間違いない。アレはお客さんだ。
そう認識した瞬間、ネコの頬が緩んだ。仕事をやり終えたことに対する安堵と、暖かい部屋を想像したためだ。
あとは”オッサン”に軽く口頭で確認を取ってから連れて行けばいい。
そう思って、ネコがいままでよりほんの少し大きな歩幅で歩みだそうとした時―発砲音が轟いた。
バン、バン、バンと。
こんなところまでです。
418:商談 1
07/01/07 01:49:55 5t1BylrL0
探し屋さんGJ。
続きを読むのが楽しみです。
自分も久し振りに投下。
===========================
田村の運転する車の後部座席で、義純は上機嫌だった。この1年と言うもの、
田村に対しては常に否定的な態度を隠そうもしなかったのが嘘のように、
耳触りのいい言葉ばかりを口にする。
義純は、自分が正しかったと思って御満悦なのだ。それは田村にもよくわかっていた。
義純が望み、田村が反対してきた八尾商事との新しい取り引きが、
今日の会談を機に始まるはずだ。
結局はこうなったじゃないか、義純はそう思っているに違いない。
更には、ベテランの田村を若い自分がついに説き伏せたとも思っているだろう。
田村とて、義純がどうしてもと望めば抑え切れるものではないと承知していた。
何と言っても義純こそが社長であり、大多数の株を所有する、この会社の
オーナーなのだ。専務の肩書きがあると言っても、自分はただの雇い人だ。
そもそもそこが問題なのだと田村は思う。2年前に前社長の勝人が身体を
壊したことが始まりだった。1人息子である義純がアメリカの大学院を卒業して
帰ってくるのを待って、勝人は社長職を譲って引退した。実社会での修行もなしで
いきなり社長業は荷が重いだろうと重役連は反対したが、その声もワンマン社長の
鶴の一声にかき消された。
「何のために君たちがいるんだ。義純が若くて未熟だということくらい、
私だってわかっている。だが義純は基礎はしっかりできているんだ。
MBAは伊達じゃないぞ。経営哲学だって、私がしっかり仕込んでいる。
義純の持つ力を最大限に活かすのが君たちの仕事だろう」
冗談じゃない。
喉元までせり上がったその言葉を、田村はぐっと飲み込んだ。
小さくても、パートまで入れれば従業員150人を抱える株式会社だ。自分はもちろん、
彼らを食わせるためにも、利益を上げねばならない。そのために田村は働いてきたのだ。
坊ちゃんが心地良く生きていくための場所を作るために働いているわけではない。
419:商談 2
07/01/07 01:50:44 5t1BylrL0
田村の懸念が杞憂でなかったことは、義純の社長就任から半年を待たずに明らかになった。
義純はとにかく世間知らずだ。更に悪いことに、自分が世間知らずだということを
自覚していない。学校で習ったことをそのまま実行しようとする。
基本を押さえながらも個々の事例に合わせて応用させなくてはいけませんと教えても、
個々の事例に合わせた結果こうしているのだと返事が返ってくる。
何より始末に負えないのは、勝人の経営哲学とやらだった。勝人は狡猾な商売人だった。
非情にもなれるし、卑劣な手も使っていた。ただ、親子してよく似ているのだが、
そういう自分をまったく自覚していない男だ。同業者の会合だのパーティーだのでも、
業界紙のインタビューでも、いけしゃあしゃあと「卑しい所のある人間は経営者には
向きません」だの「利益を社会に還元する理念がなくては企業としては失格です」だのと
口癖のように言っていた。
その勘違いした経営哲学を叩き込まれた義純は、父親の狡猾さを学べなかった分、
理想論で経営が成り立つものと思い込んでいる。自分の会社―水原物産が、
高邁な理想を実現しつつ利益を上げてきたのだと信じているのだ。
田村の苦い回想は、義純の朗らかな声で遮られた。
「田村さん、篠原さんに会ったことがあるんでしょう? 気さくな人なんだよね?
趣味はゴルフだと聞いてるんだけど、次は接待ゴルフなんてどうかな」
中学の頃から父親にくっついてゴルフ場を廻っていた義純は、自分もゴルフ好きだ。
会社の金を使ってゴルフができるのだから、嬉しいのだろう。いかにもこの会社の
社長らしい。福利厚生として契約している施設が遠方のゴルフ場ばかりという、
従業員を馬鹿にしきったこの会社の。
420:商談 3
07/01/07 01:51:43 5t1BylrL0
苛立ちを抑えて、田村は平静に返した。
「今から次回のことなんて考えても仕方ありませんよ。まずは今日の懇談を
うまく乗り切ることを考えて下さい。うちは明らかに立場が弱いんです。
懇談だと言っても、商売の話をしないで済むわけないんですからね。
無理難題を吹っかけられる覚悟をして、うまく切り抜けて下さいよ」
後部座席から、はあー、という、大きな溜息が聞こえてきた。
「ねえ田村さん。どうしてそんなに悪意にばかり取るの? 篠原さんは、
うちが窮地に陥っているのを見かねて、社長さんにまでかけあってくれたんだよ。
そこまでしてくれてるのに、なんで篠原さんがうちをひどい目に合わせると
思うのかなあ。前から思ってたけど、ちょっと神経質なんじゃない?」
田村は、答える気力も失った。友達ごっこじゃあるまいし、損得抜きで取引など
できるわけがないのに、義純にはわからないのだ。いや、自分が損得抜きで
商売してしまうせいで、それが間違っていることが理解できないのだろう。
泣きつかれればほだされ、おだてられれば調子に乗り、脅かせば慌ててしまう。
都合よく利用しようとする側にしてみれば、義純ほど簡単に手玉に取れる相手も
いないはずだ。
今日の懇談に他の誰でもない自分がついてきたのも、篠原を警戒しているから
ばかりではなかった。お追従を並べる腰巾着や、既に諦めている役員たちでは、
義純の暴走を防げるわけがないと思ったからだ。本当は義純は、自分の右腕―
にしようと義純が見込んだボンクラ―を連れて行こうとしていたのだが。
(続きます)
421:風と木の名無しさん
07/01/07 03:10:11 iB7lp90G0
お仕事お仕事、お二方GJ!
続きwktk
422:風と木の名無しさん
07/01/07 08:54:58 Kx1TsIM90
探し屋さん、商談さん、
したらばの姐さん達が、あんたら下手だから要らないってさ。
423:風と木の名無しさん
07/01/07 10:03:52 KXgrOn0DO
投下者お二人ともGJ
それと預言者気取りは消えろ
424:風と木の名無しさん
07/01/07 13:15:12 CyMTt6YjO
久々の投下GJ!
続き待ってる!
425:風と木の名無しさん
07/01/07 15:14:40 5wH3u7C0O
つまんないから叩かれてもしょうがないわなぁ
426:吸血鬼1
07/01/07 16:14:11 EJXt7flg0
投下させていただきます。しばらくエロなしです
城の暖炉から通ずる秘密の階段を下った地下深く、四方を壁に
囲まれた部屋の中央に、黒の棺が出かける前と何のかわりも
なくそこにあるのを確認して、クラウスはようやく安堵した。
無事だった。
壁の燭台に灯をともして光沢のある棺のふたをそっとずらし、
中に横たわる青年を確認する。
透き通った肌に落ちた青い影が明かりに揺れ、金髪は光をはじく。
髪と同じ色の瞳を隠しているまぶたは動かない。今はまだ‥‥。
夕暮れにはまだ少し時間がある。
「早く起きろよ、バルド‥‥」
この吸血鬼にであったのは一ヶ月程前。
肝試しだった。
村では絶対に近寄るなと言われている森に、仲間と入り、はぐれ、
彷徨いそして見つけたこの城。
この城の主は、彷徨い疲れて息も絶え絶えなクラウスに言った。
「私は吸血鬼だ。それでもいいならここで休んでいけ。夜が明けたら帰るといい」
吸血鬼ときいて最初こそ驚いたが、人知を超えた美貌がその証拠とも思えた。
不思議なことに怖いとは思わなかった。
427:吸血鬼2
07/01/07 16:15:16 EJXt7flg0
その晩は吸血鬼のいうとおりに城にとどまり、朝日が昇ってくると、棺に戻る
と言うバルドに礼を言って、村までの道のりを教わり帰った。
次の日から夕暮れになると、クラウスはこっそりと家から抜け出しては
この城に立ち寄るようになった。バルドは、また来たのかと微笑んだだけで、
クラウスを追い返したりするような事は無かったし、ただ静かにクラウスの他愛ない
話にも耳をかたむけてくれる。最近では本当にまれにだけれども、バルドから話を
してくれるようにもなった。人よりも長い時を生きているというバルドの話は
面白かったし、首を傾けたり、微笑んだりした時に光をはじいてゆらめく金色の瞳を
みるのが何よりも好きだった。
人ではない彼の瞳は男女ともに魅了する。
ふと、上で物音がしたような気がしてクラウスは息を潜めた。
来た。
燭台の火を消して棺のふたを戻すと、そっと部屋を抜け出す。
『聞いたか?狩りがはじまるらしいぜ』
今朝城から戻ったクラウスに、顔見知りが嬉々として話しかけて来た。
街から来た二人組がヴァンパイアを狩りに森に向かったらしい。
クラウスは一瞬、瞠目する程驚いたが、すぐにそうなんだ。と切り返す。
覚られる訳にはいかない。
顔見知りを軽くあしらうとクラウスは猛然と来た道を引き返した。
バルドは人を襲わない。少なくともこの一ヶ月はそのような所を見た事も
ないし、村でも人が襲われたという話をきいた事がない。
428:吸血鬼3
07/01/07 16:16:43 EJXt7flg0
食事は薔薇とワインがあればいいとバルドも言っていた。自分の知らない
ところで遠い街の誰かを襲っているというなら知らないが。
それでもクラウスはバルドが好きだった。あの瞳をずっとみていたい。
そう思っているところからして、バルドの吸血鬼という術中にはまっている
のかもしれないけれど、それでもいいと思う。
ここを、バルドを守る。
森の奥深く、木々に隠れるように立っている城を見つけて、アドルフは仲間の
ヤンに目で合図した。ヤンが背負った荷物をおろして荷袋の中から銀の短剣を
二本取り出して、一本をアドルフに投げる。まだ夕暮れには遠い。やるなら今だ。
暗い城の中をアドルフは躊躇することなく歩いていく。探しているのは
地下に通ずる階段。そしてその地下にあるであろう、ここの主が眠っている
棺だ。だが見つからない。さすがに少し焦りが出て来た。いつまでも陽の恩恵を
うけられるわけではない。闇の時間がせまっている。
と、背後からヤンが前方を指差し、おい、と声をかけてきた。
指が指す方に目を向けると、暖炉の前に14、5歳くらいの少年が立っていた。
「ヴァンパイアか!?」
そんな馬鹿なと思う。まだ日は暮れていない。
「違う。おじさん達は何してるの」
どうやら人間のようだ。胸をなでおろして息をつく。
「狩りだ。ここで何してる?」
「‥‥‥」
少年は応えない。
429:吸血鬼4
07/01/07 16:18:07 EJXt7flg0
「まあいい。下の村の者だな。なあ、この城で棺をみなかったか?隠し階段でもいい」
また応えないかと思ったが、これにははっきりとないと応えた。
そうすると、部屋はあらかたみたし、この情報がデマだった事になる。
この少年の言葉を信じるならだが。
「マジかよ~無駄足かあ?」
後ろでヤンがいまいましく吐き捨てる。こんな辺鄙な場所までやってきて金にもならない。
やってられない。アドルフが舌打ちをした時、ヤンが何かを思いついたように少年を見据えた。
「‥‥なあ、こいつどうだろう」
ヤンの言葉の意味を正確に受け取ったアドルフは口元を吊上げた。悪くはない。
「いける。それなりに値はつくだろ」
二人の話の意味はわからないまでも、少年クラウスは居心地の悪さを感じて数歩後ずさった。
狩りはできなかったが、無駄足にするつもりはない。まあ、味見といくか。
アドルフが「ヤン」と声をかけると、ヤンが慌てて走りだしたクラウスをいとも簡単に捕まえ、
床に引き倒した。思い切り頭を床に打ち付けうめくクラウスにヤンが馬乗りになる。
「なにを‥っ」
暴れるクラウスの両腕を頭上におさえつけアドルフは口を覆い貪り始め、ヤンは馬乗りのまま
シャツを引きちぎり首筋を舐めしゃぶった。いきなりの事で恐慌状態に陥ったクラウスは
無我夢中で頭を振り足をばたつかせるが、大人二人に押さえつけられた状態ではたいした抵抗
にはならない。
430:吸血鬼4
07/01/07 16:19:21 EJXt7flg0
「はなせっ!!っ、はなせよ!!」
「やかましいガキだな。気持ちいい事してやろうってんだ。大人しくしてな」
頬をおもいっきりひっぱたかれて、顎を固定させられると、再び口を覆われた。
口の中をアドルフの舌が動きまわる。
「んぅ‥‥ん、ん‥うぅ」
下腹や内股をヤンの手のひらにあおられ胸の飾りを舌で転がされ、身体がビクビクと
痙攣する。
怖いのと悔しいのと、そして、望まないからだの疼きに心がひきさかれる。
目尻に涙がたまっているのを認めたヤンが、もっと泣けとばかりに激しく舌を動かす。
脇腹を煽っていた手が服の上から股間をなであげた。
「んうーっ」
胸から顔を上げたヤンが薄く笑う。
「泣く程いいってか。まだまだこれからだぜ」
今日はここまで
431:風と木の名無しさん
07/01/07 16:23:21 PxBPAXuIO
どれもこれもつまらない
このスレ、レベル落ちすぎだよ…
孤島さん~もう投下しないなんて言わないでたまには投下してくれ~
片手間にテキトーに書いた作品でも孤島さんなら抜群に面白いだろうな
ここ最近の鬼畜スレ駄作群なんかよりずっと
432:風と木の名無しさん
07/01/07 17:43:01 7Ci5AQWX0
吸血鬼タン、乙。
バルドが助けに来ますように。
433:風と木の名無しさん
07/01/07 19:29:28 1zp3Wf0UO
投下いっぱいきたww皆さん乙です!
434:風と木の名無しさん
07/01/07 21:06:57 z6UYYfK/0
うおー、みなさん導入部なのでこれからが楽しみです(*´д`)乙
435:風と木の名無しさん
07/01/07 22:51:43 2VC+mTEp0
書き手様ガンガレ!
436:風と木の名無しさん
07/01/08 03:16:48 OF/OBSni0
吸血鬼祭開催(*´∀`)wktk
>>431
どこを立て読み?
常套句だが、自 分 で 書 け 。
437:風と木の名無しさん
07/01/08 15:12:24 czrskD+i0
いつもの人だから放置推奨
438:風と木の名無しさん
07/01/09 00:55:02 SdSX7zlBO
つまらんつまらん。
もっとレベルあげてくれよ。満足させてみなよ。
439:風と木の名無しさん
07/01/09 03:31:10 khc5mS5O0
だが断る
440:風と木の名無しさん
07/01/09 12:43:13 SdSX7zlBO
>>439
お前には頼んでないよ。さっさとうせろ。
441:風と木の名無しさん
07/01/09 12:56:18 2YaCpPKN0
だが断る
442:風と木の名無しさん
07/01/09 14:29:30 SdSX7zlBO
>>441
それしか言えねぇのか貴様は。芸がないヤツだな。
443:風と木の名無しさん
07/01/09 15:01:09 8ax9VvOF0
だが断る
444:風と木の名無しさん
07/01/09 17:31:46 SdSX7zlBO
>>443
会話になってねぇよwww
445:風と木の名無しさん
07/01/09 17:36:25 +t+4Sw8R0
>>443
そこは「だがそれがいい」を使わなくちゃ。
446:風と木の名無しさん
07/01/09 19:27:13 rK10KqqOO
久々に覗いたら美味しそうなSSが(・∀・)吸血鬼たん続き楽しみにしてます!
447:柿手
07/01/09 20:13:58 9g/uC0mi0
>>381続
ランプを手に男の傍らへと歩み寄った平太の横で、
清一郎は男の命じるままに、上半身を前に深く折り曲げテーブルへ両手をついた。
そのまま足を広げ、長椅子に座る男に向かって臀部を突き出した格好のまま動きを止める。
「普段ならば、この尻を晒すまでにあれほどに頑なに抵抗するというのに」
清一郎のむき出しの臀部をステッキで小突きながら、男がくつくつと笑った。
「いつもこれだけ従順であれば、毎晩痛い思いをしなくてすむものを」
男の言葉に、平太は首をかしげた。
「いつも? 毎晩?」
痔のことは誰にも相談していないと言っていたのに。
男の口ぶりだと、まるでこうした行為が日常茶飯事のように聞こえる。
怪訝そうな平太の呟きに、清一郎が狼狽えた声をあげた。
「違うんだ、平太、それは、ただ」
姿勢を崩し振り向こうとした清一郎の背に、男のステッキが無造作に振り下ろされた。
軽く打たれただけなのにも関わらず、びくりと清一郎の体が強く震えた。
「マスターノ名ニオイテ命ジル」
今まで聞いたことがない、不思議な旋律を帯びた声だった。
「我ガ許スマデソノ姿勢ヲ保テ。我ガ許スマデ声ヲ発シテハナラヌ」
金縛りにあったかのように、清一郎の体が硬直した。
「清一郎、どうかしたのか?」
平太の問いかけにも清一郎の答えはない。
代わりに悔しそうな歯軋りが、清一郎の口から漏れ、
ガラスのテーブルに置かれた手から、爪を立てる不快な音が響いた。
「相変わらず強情なことだ」
清一郎が発する耳障りな音に、だが男は心地よさげに笑った。
「では、診てやるとするか」
男の言葉に、平太は慌ててランプを清一郎の尻の傍へと近づけた。
揺れる灯りに照らされて、清一郎の白い肌をより一層引き立たせる。
すらりと伸びた両足は、脛毛までも全てきれいに剃りとられているせいか、
まるで年若い女のそれを見ているようで落ち着かない。
ごくりと平太は唾を飲み込んだ。
448:柿手
07/01/09 20:15:30 9g/uC0mi0
(治療をしている最中に、俺はなんて不謹慎な)
そんな平太の様子を横目に眺めながら、
男は楽しげに、ステッキを清一郎の肛門にあてがった。
「まずは、穴の具合を確認してやろう」
「なっ!」
平太は危うくランプを取り落としそうになった。
「待ってください」
慌てて平太は、男の持つステッキに手を伸ばした。
「そ、そんな固いものを差し入れるなんて無茶です」
勢い余って半ば叩き落とすようにしてステッキを奪いとると、男の瞳がすっと眇められた。
「我に意見する気か?」
間近でみる男の整い過ぎた容貌は、作り物めいていてなんだか怖い。
「あの、俺、別にそんなつもりじゃ。でも痔の診察をステッキなんかでやるのは―」
怖気る心を叱咤して何とかそれだけ反駁したが、男の追及は緩まなかった。
「では、我にどうしろと?」
「どうって……その、ええと…………それは、やはり、指で、あの」
「つまり、この我に、他人の排泄器官に手を入れよと。そうおまえは言うのか」
「それは……」
そう改めて口にされると、随分と失礼なことを男に頼んだような気になってくる。
平太の額に冷や汗が浮かんだ。
厚情に甘えて、こんな立派な屋敷に住む外国人の医者に、
痔の相談をするなど、やはりあつかましかったのだろうか。
「すみません。俺、考えなしで。貴方さまのような高名なお医者様に失礼なお願いを。
でも、清一郎はとても痛がっていて……その、やはり素手でないと……」
しどろもどろになった平太を見詰める男の瞳に、
罠にかかった獲物を値踏みするかのような、狡猾な光が宿った。
「―ならば、おまえがやるがよい」
「俺が……ですか?」
あまりに意外な提案に、平太は目を瞬いた。
「そうだ、おまえが、自身の指を使って、セイイチロウの中を診てやればよい」
清一郎が首を微かに左右に振り、何かを訴えるかのように、くぐもった呻き声をあげた。
そんな清一郎の様を見て、男の笑みが深くなる。
449:柿手
07/01/09 20:16:13 9g/uC0mi0
「どうやらセイイチロウもそれを望んでいるようだ」
「でも、俺、診察なんてできません」
「指示はしてやろう。セイイチロウも我などよりおまえの指の方が喜ぶだろう」
男の言葉を平太は心の中で反芻した。
言われてみれば確かにそれは一理あるかもしれない。
いくら診察の為とはいえ、恥部を他人に触られることは清一郎だって恥ずかしいだろう。
ならば、赤の他人よりも、気心の知れた幼馴染の自分がやった方が、
清一郎にとっても精神的な負担が少ないのではないだろうか。
「わかりました。俺でできることなら」
そんな平太の返事に被さるように、蝶番の軋む音とともに扉が開きカワホリが姿を現した。
「お申し付けのものをお持ちいたしました」
カワホリが押してきた銀色のワゴンには、
色とりどりの珠が施された美しい宝石箱が幾つも並んでいる。
男がカワホリにこれまでの経緯をかいつまんで告げると、
カワホリは心得たといったふうに頷いた。
「では、まずこれを」
カワホリは、箱の一つから十字の印がついた赤い缶を取り出した。
戦前からある平太もよく見知っている市販の軟膏薬だ。
どんな得体の知れない異国の薬が出てくるかと内心不安だった平太は、
ほっと胸をなでおろした。
カワホリに言われるままに、右の人差し指と中指に塗りつける。
「セイイチロウさまが痛みを感じないよう、じっくりと優しくほぐしてあげてください」
「ほぐすって、でも、あの、どうやって」
「指の平で擦るように。赤ん坊の肌を撫でさすって可愛がるような感触ですよ」
カワホリが、平太の前で実際に仕草を真似てみせる。
丁寧な手ほどきに、平太は感謝の言葉とともに素直に頷いた。
「清一郎、痛かったら、ちゃんとそう言えよ」
そう清一郎に声をかけると、左手のランプをカワホリに預け、平太は床に正座をした。
清一郎の臀部が顔の正面に来るのが、なんだか気恥ずかしい。
バランスを取る為に左手で清一郎の双丘の片方を掴むと、清一郎がびくりと体を震わせた。
「清一郎、そんなに硬くなるなよ。大丈夫、丁寧にやるからさ」
清一郎の緊張をほぐすように笑いながらそう告げると、平太は指を差し入れた。
450:柿手
07/01/09 20:16:53 9g/uC0mi0
(あれ……)
予想に反して、指はすんなりと清一郎の中へと入った。
平太は拍子抜けした。
もちろん、肛門に指を入れるなど初めての経験だったが、
なんとなく、もっときつく締まっているものだと思い込んでいたのだ。
清一郎も特に痛みを訴えるような仕草はしていない。
人差し指を回すようにして薬を壁に塗りつけて滑りをよくしてから、
少しためらってから中指も入れてみる。
指を二本に増やしたというのに、それほどの抵抗もなく、
清一郎は平太の指を飲み込んだ。
「どうですか、感触は?」
カワホリが問いかける。平太は曖昧に小首をかしげた。
「すみません。患部の位置とかは、俺、よくわかりません、ただ……」
「ただ?」
「あの、なんか思ってたより、ゆるいっていうか、締りがないっていうか」
平太が正直に思ったことを口にすると、
カワホリは何がそんなに可笑しいのか肩を揺すって笑い転げた。
「マスター、セイイチロウさまのお体をもう少し労わってあげませんと」
「我のせいにするな。毎晩無駄に抵抗するセイイチロウが悪いのだろう」
「ですが、そう手荒に扱っていては、気に入りの玩具もすぐに壊れてしまいますよ」
窘めるようなカワホリの言葉に、男は憮然とした表情で低く唸った。
「……自重はしよう」
どこか拗ねたような男の声に、カワホリは苦笑しながら清一郎を振り返った。
「よかったですね、セイイチロウさま。ご友人の協力の賜物ですよ」
口元に笑いをとどめたまま清一郎の顔を覗き込んだカワホリは、
だが、次の瞬間、やや意外そうに眉根を寄せた。
「おや、先ほどから随分と大人しいので妙だと思っていたのですが、
声を封じていらっしゃるのですか。せっかくの珍しい出し物の最中なのに味気ない」
男は小さく舌打ちした。
「ああ、しまった、忘れていた。セイイチロウ、もう口を開いてもよいぞ」
男の言葉に、清一郎の体がびくりと跳ね、
平太の指の動きに合わせるように、清一郎の口から呻きとも吐息ともとれる声が漏れた。<続>
451:風と木の名無しさん
07/01/09 20:27:39 zQMcY2tQ0
柿手タンGJ
清一郎がどんな調教をされていたのか気になる…
452:風と木の名無しさん
07/01/09 20:58:40 7YRv8PuiO
柿手さんGJです
これから天然平太の行動が気になるww
453:風と木の名無しさん
07/01/09 22:38:59 TqnIqWIxO
柿手タソGJ!!!
平太最強ww
454:風と木の名無しさん
07/01/10 00:41:11 XdlA1bTG0
待ってたー。
あーもう平太ってば、頼むよ!
455:風と木の名無しさん
07/01/10 08:08:30 R7eLkYS4O
平太が一番鬼畜ktkr!
このまま天然鬼畜でどこまで行くんだ?
超期待!
他の書き手さんも待ってる!
456:風と木の名無しさん
07/01/11 12:18:22 PknsTDjP0
平太!この鬼畜が~~~!!
457:吸血鬼5
07/01/11 17:10:49 m6ymn8ao0
逃げる舌を強引に絡めとり唇で吸ってやると、クラウスの体が一瞬硬直してから
脱力していく。その間にヤンが体をずらして下半身の衣服を取り払い、
半ば立ち上がりかけたモノを上下に扱いた。
「んうっ‥‥んんっ」
喉をそらせて、与えられる刺激に身をくびくつかせるクラウスに、
アドルフとヤンの興奮も高まっていく。
「おい、アドルフ、そいつの声ききてぇ」
唇をしゃぶっていたアドルフの口が糸をひきながら離れると
突然肺を満たした過剰な酸素にクラウスが咳き込む。
その合間にも、もれる甘い声にヤンが満足げに口を歪めた。
すっかり脱力したクラウスの腕を解放して、アドルフが脇へ移動し、
先ほどまでヤンが舐めていたのとは別の胸を貪りはじめる。
「‥っ、う‥‥‥‥ああっ」
「感じてやがる」
ヤンの言葉と、先走りでクチャクチャと音がなり、心とは裏腹に、
快感で今や欲望をほとばしろうとしている自分のそれに追いつめられる。
手の甲を噛んでせめて声だけでも押さえようとするが、
気づいたアドルフがあっさりと腕をとっぱらった。
「ヤン、そろそろいかせてやれや。我慢できないってよ」
「了解」
458:吸血鬼6
07/01/11 17:12:34 m6ymn8ao0
「あああっ」
手の動きを一気に早められると、あっけなくはじけて
ヤンの手を白い飛沫で濡らす。
しかしヤンは手を止めず萎えたそれを扱きながら、
もう片方の濡れた人差し指と中指を尻の窪みにうずめていく。
「‥っ、う、い‥たい」
「もう一回な」
相棒の欲望もあらわな様子に苦笑しながら、アドルフもまた、
息をはずませ射精の衝撃に体をびくつかせている少年を
もっと鳴かせたいという加虐的な気持ちがつのっていくのをとめられない。
「ひ、あうっ、あっ、はっ、あ‥ああっ」
指を抜き差しされると、どうしようもなく声が高まった。
前を扱かれ、後ろは粘膜をまさぐられ、胸をしゃぶられる刺激に
膝がガクガクと震える。萎えていたそれは固さを持って、もう一度
立ち上がっていた。
ヤンが抜き差ししていた指を止め、ゆっくりと粘膜をかきまわしてやると
クラウスが髪を振り乱して、甲高い声をあげる。
それを心地よく思いながら、見つけた一点に振動を与えると、
クラウスは瞠目して、背を弓なりに曲げ、腰を跳ね上げた。
「やあぅ、ああっ、ああぁぁぁっ」
振動を与える指をキュっと締め付け、二度目の精を吐き出した
クラウスから指を引き抜き、手を振りながら「すげえ、締め付け」
とアドルフにおどけてみせると、アドルフが口を吊上げ、
ぐったりとしたクラウスをよつばいにさせ、すっかり立ち上がった
己のそれを突き立てた。途端にあがる悲鳴も無視してアドルフが
動き出す。ほどよく締め付ける暖かい内部にうめき声をあげつつ、
さらに強く打ち付けた。
459:吸血鬼7
07/01/11 17:13:41 m6ymn8ao0
内部を掘られ、先ほど探られた一点を強く擦られる刺激に
クラウスの目から涙が止めどもなく流れ、ハアハアと淫らに
喘ぎ続ける。
もはや体をささえる事も出来ずに、つかまれた腰だけをあげた状態で、
肩と顔は冷たい床に横たわっている。
先ほど男の口からもれた言葉を思い出す。
認めたくないが自分は感じていた。
痛みの方が強かった刺激も、今や腰に欲望がつのるための
甘いものとなっていた。
何も考えられない。
頭がぼうっとして、ただただ、この行為が早く終わる事だけを
祈るしかなかった。
暗闇のなか、陶磁のような瞼がかすかに震え、金色に輝く瞳が
ゆっくりと現れる。完全に瞳が現れると、それを待っていたように
壁にしつらえた燭台に灯がともった。音も無く棺のふたが開き、
人にしてはひどく端正な顔があらわになる。
その瞳に壮絶な赤を宿し、しかし、瞬きひとつで元の色に戻ると、
闇色の衣装をまとった姿がふっと掻き消えた。
闇の時間が訪れていた。
今日はここまで
460:風と木の名無しさん
07/01/11 18:36:26 ZhwyOymd0
吸血鬼オキタ━━(゜∀゜)━( ゜∀)━( ゜)━( )━( )━(゜ )━(∀゜ )━(゜∀゜)━━!!!!!
461:風と木の名無しさん
07/01/11 23:16:46 orNutiERO
吸血鬼タソGJ!!
今後の展開が楽しみ
462:風と木の名無しさん
07/01/12 01:40:51 aQfDKO9f0
吸血鬼タン、おおっつ!
救出劇と報復に期待!
463:風と木の名無しさん
07/01/13 04:15:38 aPfJu5FwO
URLリンク(l-w.jp)
パスない…ランキングアップさせたいだけか
464:風と木の名無しさん
07/01/13 10:53:48 2UNbHXiMO
>>463
いまどきこんな騙しサイトにひっかかるバカいるのかね?
465:風と木の名無しさん
07/01/13 11:51:08 aPfJu5FwO
バカです………………
466:風と木の名無しさん
07/01/13 11:59:30 hqORTDSEO
2にアドレス貼って興味本位の人にクリックさせてランキングを狙うわけか
典型的な厨行動だな
467:風と木の名無しさん
07/01/13 12:12:51 LxF481BK0
凄まじくどうでもよくね?
ageた挙句どうでもいいもの貼るような子はこれ以上書き込まずに半年ROMれ。
468:風と木の名無しさん
07/01/13 12:16:19 aPfJu5FwO
嫌じゃカス
469:テュランの筏1/12
07/01/15 12:02:22 QLszGM7g0
十日目
僕が観察して報告した内容を、クリフは真剣な表情で、床に書きこみはじめた。
器用にボトルのキャップを利用している。数値と線で、僕には暗号にしか見えないが。
「ありがと、な。また明日も頼む」
そう言い、クリフはタープを広げはじめた。僕はあわてて、彼の腕をとった。
「待ってよ。話したい事あったんだ。
まず手始めに、クリフが手に入れた分は返さなくちゃ、僕の気がおさまらない」
クリフはそれに答えず、僕の手をすりぬけて、タープの中に入りこむ。
このまま僕を無視して、眠ってしまうのかな……
そう思っていると、クリフは不思議そうに見上げた。
タープの空いた一人分の隙間を指さす。
「寒いだろ。立ち話も何だから、一緒に包まろうぜ」
僕は喜びに躍り上がらんばかりだった。意気揚揚と隣に座りこむ。
開口一番の話題は、その喜びに水がさすような、盛り上らないものだったけれども。
「水と食料は智士のものだ。俺が酔っ払った時……食い荒らした分。
そうでもしなきゃ、俺の気がすまない。お前より……先に、な。
もし、足りなければ言ってくれ。これ以上この件は、言いあいなし。いいか?」
それはあまりにも一方的であったが、彼の信念は、僕に揺るがす事は出来ない。
「分かった……もう十分。必要以上僕に渡したりしないなら、了承する」
クリフは黙ってうなづく。タープの中は、暖かな空気がたまりはじめていた。
僕らは食料の件に蹴りがついたのをいい事に、この過酷な国の現実からも目をそらそうと、楽しかった思い出ばかりした。
470:テュランの筏2/12
07/01/15 12:03:16 QLszGM7g0
明け方頃、タープの表面をたたく音に気付いたのはクリフだった。
「容器を!」
叫ぶが早いが、空ボトルのキャップを開けながら、天に向かってかかげている。
僕もすぐに悟った。天からの水の恵み、雨。
スコールはない季節だと言っていたけれども、やっぱり神様はいるものだ!
ありったけのボトルを並べ、高く持ち上げて、どんよりたたずむ暗雲に近づけた。
生まれてはじめてだ。雨の日がうれしいなんて事。
クリフは二の腕をごしごしとこすっている。
ずっと海水で洗っていたせいか、真水に磨かれ、白い肌はよみがえったように輝いた。
僕もそれにならって、首筋と、それから頭をわしわしと掻いた。
髪の毛をつたい落ちる、水の感覚がこれほど気持ちいいとは!
「あ、そうだ。楊玲にも教えなくちゃ」
「もう、起きている」
クリフが指さす先には、トランクにもたれて空を見あげる楊玲の姿があった。
顔をうつ細い雨粒。ぼんやりとうつろに開いている口。
身体はタープにくるまったまま、顔には表情らしいものはない。
その脇では、傘を広げて、不愉快そうに眉をひそめる藤吾の姿があった。
黒い紳士用折りたたみ傘を肩に乗せ、舌打ちせんばかりの勢いで、曇り空を見上げる。
あの剣幕じゃ、そのうちに雨雲も逃げていってしまいそうだ。
僕の予感はあたり、日が完全に昇りきる前に雨は止んでしまった。
それでもたまった水を集めると、ボトル一本分にはなった。
471:テュランの筏3/12
07/01/15 12:04:07 QLszGM7g0
なんていとおしいのだろう。屈辱にあまんじる事なく、手に入れた水は。
だが、喜びもつかの間。明るくなった海上を、楊玲の喘ぎ声が支配する。いかだが軋む。
こぼれる熱い息の音に、僕は逃げ場もないのにそれを探してしまう。
クリフがタープを広げて隙間を作る。僕はその中に逃げこんだ。
「雨、降ったのにっ……楊玲だって気付いてたのに。
今日は何もしなくても、よかったのに。なんでなんだろう……楊玲」
僕はどうにも理解出来ない疑問と、それから深い悲しみにただただ胸がつまった。
「あと少しで助かるのに……もう自分をおとしめる事ないのに。
雨が降って何するかも考えられないくらい、心が壊れちゃってるっ……
ねぇ、クリフ。楊玲はもとに戻るよね。
僕たちは何も出来なかったけど、助かって、日常の生活にもどれば……」
ピタ、とクリフの手がとまる。
「その事なんだけど、智士……何から話せばいいのか。
あまりいいニュースは与えられそうにない。でも、話しておかなくちゃいけない。
最初は……頼みごとからだ。聞いてくれるか?」
「そんな言い方されたら、断れないよ。何?」
「今ある水と食料で、今日をいれて四日間耐えてほしい」
僕の意に反して胃袋がギュウと鳴った。生唾がゴクリと喉を落ちていった。
この返事をするには……鉄製の意思が必要だった。
「……分かった」
「悪いな。俺の勝手な頼みで」
472:テュランの筏4/12
07/01/15 12:05:25 QLszGM7g0
「ううん、でも何か計画しているなら話して欲しいな。心構えが、違うからね」
計画、のところで僕は声をひそめる。
「……いや、別に。もう小細工は、なにもない」
「そうなんだ。それならそれでいいけど」
意外な気もしたが、僕はそれ以上追及しなかった。
なのにクリフは口を開きかけては閉じ、
視線をそらしては、あらぬ方向へ泳がし、落ち着かない。
「……どうしたの、クリフ?」
僕の問いに、言いづらそうな表情をしていたクリフは、ささやくように発した。
「智士が汚されるのを見たくない……俺の勝手な頼みだ」
「え、あ……」
口をついて出るのは、意味不明なきれっぱしばかり。
胸はコトン、コトンと沸騰する鍋のようにやかましく、
頭の中に真っ白なゆげを吹き立てて、考えがまとまらない。
僕は、心があふれそうなほどの歓喜を抱いていた。
固形食料の箱を取り出す。内の片方をクリフに差しだした。
「じゃ、僕もクリフに勝手な願いをするよ。これ受けとって。
あと数日間を一緒に乗り切ろう……僕も見たくない。クリフが汚されるのを」
長い長い沈黙の後、クリフは手を伸ばして、受け取ってくれた。
白く並ぶ歯を見せ、チャームポイントの八重歯を輝かせて。
「分かった……二人でがんばろう。乗り切ろう」
僕は嬉しさのあまり、クリフの手をぎゅっとにぎりしめていた。
473:テュランの筏5/12
07/01/15 12:06:46 QLszGM7g0
その後の会話も、タープにくるまったままだった。
太陽は燃えさかり、昼間に近づくにつれて蒸してきたが、
そうでもしなければ、とても話せた内容ではなかったのだ。
「……藤吾が、選んでいた?」
そうだ、と真剣な顔でクリフはうなづく。
「海に投げ出され……板のきれっぱしにしがみ付いたり、
救命胴衣で浮かんでいる乗客の間を、藤吾はいかだで渡っていた。
少年の頭部を見かけると、近づき持ち上げ、見定めて……そのまま海に沈められた。
誰も浮き上がってこなかった。何人か見た、そうして殺されている乗客を。
コンタクトをなくしてぼやけていた風景だけど、あの白いスーツの腕だけは忘れない。
俺のところに来たとき……ああ、もうだめだなって、そこで意識を失った」
クリフは言葉を切って、水平線の向こうを強い瞳で見た。
僕は答えるすべを失っていた。それがどういう意味なのか……考えたくなかった。
いやでも遅かれ早かれ分かるのだろう。でも少しでも先にのばしたかった。
僕が青ざめ押し黙ったのを見て、クリフはいたわるように髪をなでてくれた。
唇をしめらせるていどの水をふくみ、四等分したクッキーの一片を放りこみ、
後はお互い無口ぎみに、エネルギーを消耗しない行動をとった。
黙ってタープにくるまり、身体を横たえる。
なかなか訪れない眠りの中、藤吾の時計の音を聞き、僕は星座の観察を行なった。
忘れないうちに、クリフに告げ、彼は厳しい表情で床の模様をふやしていった。
474:テュランの筏~海市6/12
07/01/15 12:11:29 QLszGM7g0
* * *
成熟過程の性器を含ませられた藤吾は、朝小一時間かけてセットする髪を乱暴につかまれ
左右に引かれ、頬を挟まれ、顎を押さえられた。
黒髪の少年から、舌を使え、歯を立てるななどの指示はない。
己で好きなように藤吾の頭部をもてあそび、快感を得ているようだ。
紅潮して、目を細めている。
藤吾は忌まわしい行為を強いられる現状と、卑猥なものを咥えさせられる恥辱に、
当然怒りも覚えたし、抵抗も考えた。
だが、彼には最後の一線があった。
教師と生徒。この場で「正当防衛」を行い、生徒らの将来をつぶす権利を、
果たして自分は持ち合わせているのか。
結論などは出ない。ただただその時は、されるがままになっていた。
熱気をまとったものとこすれあい、藤吾の口内には蒸気か何かで水気が現れている。
律動的に腰を動かし快楽を求める少年の動作は、
そのたびにジュプジュプと淫靡な音を立てた。
膨れ上がるペニスに、気管をふさがれかけ、藤吾は苦しげに息を吐きだした。
「それそれ、その顔。絶対教壇じゃ拝めない表情だね……っ!」
同時に藤吾の口蓋に、熱くねっとりした迸りがはりついた。
わずかに粘質を持ちあわすも、非常に緩慢に垂れるその動きは、藤吾を嫌悪感に陥らせた。
475:テュランの筏~海市7/12
07/01/15 12:12:22 QLszGM7g0
「ちゃんと飲んでくれよ、おっさん。
あんたほんとうに、それしか飲むものないんだから」
ペニスもしまわず、黒髪は藤吾の鼻をつまみ、手の平に顎を乗せて、大きく傾かせた。
「ぐ……っ、ん、ぐぅ」
首を振って拒否を示す仕草すら、許されない。
少年はニヤニヤと笑って、藤吾の喉が動くのを待ち構える。
傾きにそって、落ちてくる。熱を口内にはりつけて、ねっとりと形を変えながら、
喉を焼きつかせてくだるそれを……藤吾は、この先何度も飲まされる事になる。
一度尿意を訴えた時、防空壕の間取りは理解していた。
縄と見張りつきで歩きまわされた通路は、非常に狭い。天井も低く圧迫している。
閉鎖された扉が多く、使える部屋の数は少ない。
入口は、崩れた土砂と折れた木材で完璧に埋もれていた。
彼らが排泄に利用している部屋は、手前に浅い穴が、
部屋の奥には黒々とした底の見えない空洞が横たわり、冷たい風が吹き込んでいた。
その先は、自然の洞穴なのだろう。
窒息死の不安は拭われたが、逃れられない事に代わりはなかった。
最初の部屋に戻り、再び拘束される。藤吾は再び喉の渇きを覚え始めていた。
部屋の少年二人は、飲料のボトルを傾け、スナックや駄菓子をかじっている。
棚上の古びた時計は、金曜日の深夜であると告げている。
盤で時間の経過を知ると、空腹もまた襲い掛かってきた。
476:テュランの筏~海市8/12
07/01/15 12:13:12 QLszGM7g0
扉の開く音がした。藤吾はまだ閉じ込められた生徒が居たのだと、そちらを向いた。
「クニちゃ……じゃない、おい、国山、おせーぞ」
黒い髪の少年が立ち上がり、口汚く罵った。ヨウも視線をやっている。
「すみません、榊さん」
小柄な国山少年はペコペコと頭を下げた。
他二人の少年と違って、制服のボタンはきっちり止められ、襟もピンとしている。
物腰や口調から連想するのは気品や優等生といった単語だ。
はっきり言ってこの三人のつるむ理由が分からない。藤吾は教師の視点から思った。
「先生、足の方は大丈夫ですか」国山少年は藤吾を見た。
「後、コiーラのフタ、開けておいたんです。炭酸抜けたから、これならどうかと思って」
屈み込む少年の瞳は、光の加減か青く澄んで見えた。藤吾はつい見入った。
視線に気付いたのか苦笑いし、少年は小さく、クォーターなんです、と答える。
職員の噂で聞いたことはなかったが、別段目立つハーフ、帰国子女の類でもない。
目の色程度なら、噂にものぼらないだろう。
それはとにかく、半日放置した炭酸も、藤吾は受け付けなかった。
弱まった二酸化炭素の泡は、それでも喉の奥をチクチクと刺した。
吐き出して苦しむ藤吾の背中を、国山少年は優しく撫でた。
振って気が抜けるのを早め、数時間おきに試して、藤吾の渇きを癒そうとしてくれた。
熱く焼け付く喉に苛まれながら、白濁の液体だけしか喉を下す手段がない藤吾に、
それでも国山少年は、心を潤してくれるオアシス的存在であった。
477:テュランの筏~海市9/12
07/01/15 12:14:11 QLszGM7g0
土曜日の、まだ夜も明けていない早朝。
藤吾の恐れていた事態は、黒髪の榊少年の言によって引き起こされた。
「なぁ、おっさん。おっさんが偏差値最低ラインの
ここの教師になったのって……あの噂ほんとうなのか?
配属先を決める担当が『女子生徒が多い学校だと、問題が起こりそうだから』って」
興味津々な三人の少年が、それとなく藤吾に視線を向けた。
藤吾は目を閉じ、答えなかった。疲れていた。返事する気力もなかった。
自分がどんな美の水準にあるかなど、考えた事もなかったし、興味もなかった。
無機質な鏡に映る像で、己に評価を下すのなどは馬鹿らしかった。
ただ、人に「センスが良い」と言われたことはあった。
こだわるブランド等はないが、無意識に自分を高める品を選択する内に、
装飾品により自分が「洗練」されていたのかもしれない。
そういう雰囲気で好かれるのなら……元から持っている素材ではなく、
自分の伸ばした才能が認められるようで、嬉しく思えない事もない。
だが、そんな誇りも、次の一言で打ち砕かれる。
「その担当の気づかいも、ムダだったわけだ。
だっておっさん、俺たちに向けても、放射してるよ? フェロモンってヤツ」
ハッと顔を上げる藤吾の瞳に映ったのは、欲望をギラギラと目に灯して立ち上がる、
制服姿の少年だった。
「国山、首と足解いて、腕を押さえろ」
478:テュランの筏~海市10/12
07/01/15 12:15:09 QLszGM7g0
榊の命令に、国山少年は明らかに戸惑っていた。
だが、二度目の命が荒々しく下されると、泣く寸前の表情で、藤吾の縄をほどき、
地面にあお向けに倒すと、両手首を頭上で押さえた。
「……っく、先生、ごめん、ごめんっ……」
しばらく放心していた藤吾は、ボロボロと顔にこぼれ落ちる涙で、現状を把握した。
抵抗すべきか……しかし縛られたままの足は痺れ、重い荷物のようだった。
ならば教師として、説得すべきか……だがざらついた喉は、呼吸すらも苛んでいた。
ならせめて、目の前で泣く一人の少年の、心を癒すくらいは出来ないだろうか。
彼は、自分の為に泣いてくれているのだから……
教師としての理念、使命。それは今や薄れ、被害者と加害者と、
その中間で苦しむ少年を、ただただ案じる気持ちに陥った時。
唐突に下着ごとスラックスを剥がれ、両足を持ち上げられ、その間に制服姿の少年が割って入った。
榊は舌なめずりしながらボトルを傾ける。藤吾の股間に気泡の感覚が降り注いで、弾けた。
奇妙な感覚に思わず身を捩る。
さらさらした液体は、手近な後孔へと流れ込み、腸内でまたあぶくが弾けた。
「……ッ! ……ッグ」
目に涙を浮べて、内側の痛痒感に耐える藤吾を、にやにやと榊は見下ろす。
「そっちからなら、飲めるじゃん。炭酸飲料。んじゃ、こっちもよろしくー」
すでにたぎっていたペニスを、榊は飲料のぬめった糖分に乗せて、挿れる。
「……ッ……ァァ……ァ゙ア゙!」
瞳を限界まで見開き、枯れた喉から吐き出す悲鳴は、しわがれていた。
身体が裂けるほどの強い痛みを逃がすには、全く足りない。
479:テュランの筏~海市11/12
07/01/15 12:19:01 QLszGM7g0
榊はしっかりと両足を掴み、国山少年も命令に忠実に固定しつづけた。
藤吾が出来るのは、ただ乾いた歯を噛み、神経を遮断しようと努力する事だけだった。
だがそれもむなしく、押し広げる少年のペニスは、藤吾の努力が間に合わない速さで膨張した。
炭酸の残りかすを纏いながら、乱暴に動かされる。
奥のくぐもった水音の中に、泡のはじける音が響き……まもなく吐き出される熱いドロッとした塊に、支配された。
藤吾はおぞましい感覚に、瞳の色を失い……それを見て愉快そうに榊は腰を引いた。
「次、ヨウだろ。最後は国山、お前だ」
細目の少年が、頭の後ろで組んでいた手をほどき、立ち上がる。
彼もすでに股間をたぎらせており、そして国山少年は、ひたすら涙をこぼしつづけた。
絶望より、痛みよりその熱い飛沫が、何より藤吾に印象深かった。
三人にまとめて陵辱されたのは、それ一度きりであった。
後は各自が、気が向いた時、その時の気分で口か尻か、犯されるのかが決まった。
黒髪と細目と、どちらが多かったかなど、意識が朦朧としていた藤吾は、覚えていない。
けれど、命令されて嫌々ながら、行為に取り掛かる国山少年。
犯しながらも泣きじゃくる、青い目の少年だけは、強く記憶していた。
480:テュランの筏~海市12/12
07/01/15 12:19:49 QLszGM7g0
時間は…土曜日と日曜日の間くらいだろう。他二人の少年は毛布にくるまり眠っていた。
国山は藤吾のために、必死にボトルを振っていた。
ほとんど出ない唾液で舌を湿らし、藤吾は尋ねてみた。
どうしてあの二人と、行動を共にしているのか。脅されているのなら、教師に相談してみるといい、と。自分は空き時間、進路相談室に詰めている、とも。
声は枯れ、途切れ途切れで、たっぷり時間がかかった。
それがかえって、国山少年の心を解いたのだろう。薄幸そうな笑みを浮べる。
「他に、僕と話してくれる人、いないから。あの二人だけです。相手してくれるのは」
悲しそうに横を向く。
ランプに照らされ淡く光る青い眼は、この一種族しか存在しない島国での苦難を容易に想像させた。
閉鎖された学校という場ならば、なおさら。
藤吾は決意を秘めた瞳で、国山が差し出したボトルを、飲んだ。
一口だけでも、喉が未だピリピリするが、我慢して飲み下した。
「私が、手助け出来る事なら、なんでもしよう。私は、教師だから。
教えるのが仕事だから。いや……使命、だからだ。
ここから脱出したら、もう一度相談に来るがいい。
教えるのは君じゃない……固定観念に縛られ、異物は排除しようとする、
島国根性を持つ輩……それは遠く、果てしなく長い教育になるだろうが……」
ゼイゼイと喘ぎながら理念を喋る藤吾に、国山は目を細めた。
笑みではなかった。目尻からポロ、と水滴が流れ落ちたが、それは悲しみでもなかった。
* * *
481:風と木の名無しさん
07/01/15 15:12:01 M53f9FX20
テュランさん乙です。
過去編も現在編も、先の展開を楽しみにして待ってます。
482:風と木の名無しさん
07/01/15 15:30:59 yyJRuv11O
テュランタンキテタ━━━(゚∀゚)━━━!!
待ってた、待ってたよ~。
すんげぇ嬉しい!
やはし藤吾の目的は過去への復讐なのかな…。
国山少年が気になるぞ。
続き超期待!
483:風と木の名無しさん
07/01/15 19:00:51 7QBRJlaH0
テュランタン待ってたー!
一体何がどうなって藤吾がああなったのか、早く知りたい!
そして、クリフ&智士がんがれ!
484:風と木の名無しさん
07/01/15 21:39:12 5WlIs2q6O
テュランタソ待ってました!!!
クリフ
485:風と木の名無しさん
07/01/15 21:46:57 5WlIs2q6O
テュランタソ待ってました!!!
クリフ&智士の関係も気になるところ
486:風と木の名無しさん
07/01/15 23:06:15 8BrzAOa10
テュランタソキター!
クリフと智士のさわやか二人組みが
とてもいとおしいです…
487:柿手
07/01/16 01:48:06 YBc3vYDI0
>>450続
「指を少し曲げてみよ」
荒い息を吐く清一郎を見下ろしながら、長椅子の男が、
悪戯を思いついた子供のような笑みを浮かべて、平太に告げた。
「あの、この程度でよろしいでしょうか」
平太は心持ち指を曲げ、鰹節を削るような仕草で指を出し入れしてみせた。
「ああ、なかなか飲み込みがはやい」
満足そうに頷いた男の後を、カワホリが引き継ぐ。
「少し掘り進んだ所に、小さなしこりがあるはずです」
そこが患部ですので、指で何度も丁寧にこすって薬を塗ってあげてください」
「なっ」
カワホリの言葉に、清一郎の唇から掠れた悲鳴が漏れた。
「平太、違う、そこは……」
「ほら、セイイチロウさまが痛がっておいでです、早く患部を見つけてあげてください」
ひどく切迫した清一郎の声を訝しく思ったものの、
カワホリに急き立てられ、平太はわけもわからず指を闇雲に動かした。
「……あっ!」
他の部分とは明らかに違う小さな硬い膨らみに平太が手を触れた刹那、
平太と清一郎の口から同時に声が漏れた。
「ここだな、待ってろ、今、薬を塗ってやるから」
探し当てた場所に軟膏を塗りこめるように、指で何度もこすると、
清一郎の背がのけぞり、膝ががくがくと震えだした。
「やっ、だめ……だ、待て……ああっ、やっ……」
普段の落ち着いた清一郎からは想像もできない、甲高い悲鳴がこぼれる。
平太は顔をしかめた。
日本男児たるもの、どんな痛みや困難も歯を食いしばって堪え、
みだりに騒いだり泣き言を言ってはならない。
常日頃、そう言って己を律してきたのは清一郎自身なのに。
肺病を患って吐血した時だとて、毅然とした態度で弱音一つ吐かなかったのに。
なのに、たかが痔の薬を塗るだけのことに、こんな情けない声を発するとは。
「……っ、おねが……平……太、そこは……」
清一郎が漏らす途切れ途切れの哀願が、平太の気持ちを更に不快にさせた。
488:柿手
07/01/16 01:48:50 YBc3vYDI0
「みっともない声をあげるなよ」
押さえようとしても声が尖るのを止められなかった。
「痛いのは当たり前だ。少しぐらい我慢したらどうだ」
無様な清一郎の態度に落胆を禁じえない。
高潔で誇り高い清一郎は、戦禍で何もかも無くしてしまった平太の唯一の自慢だったのに。
自分でも正体のわからぬ憤りをそのままに、わざと乱暴に指を動かす。
清一郎が呻き声をあげたが、平太は構わずぐいぐいと指でしこりを押した。
くすりと背後から忍び笑いが漏れた。
「おやおや、セイイチロウ様のご友人は、マスターに劣らず手厳しいご性格のようで」
からかうようなカワホリの声音に、男は不満げに鼻を鳴らした。
「我は、気に入りのものに対しては、それなりに甘やかしてやるほうだぞ」
「セイイチロウさまへの仕打ちはとてもそうは見えませんが」
「それはセイイチロウが。……我に対してもあんな声で縋ってみせれば、我だとて」
そう言いかけて、どこか悔しそうに口を噤む。
そんな男を苦笑交じりに見やったカワホリが、平太に視線を移した。
「充分ほぐれた頃合ですので、もうそろそろよろしいですよ」
「は、はい」
平太が清一郎の中から指を引き抜くと、清一郎が安堵したように息を吐き出した。
カワホリがワゴンの上の箱を開けながら、小さく笑った。
「まだ終わりではありませんよ、セイイチロウさま」
小指程度の紡錘状の塊を取り出して、男に見せるように並べていく。
「マスター、坐薬はどれにいたしましょう?」
「ざやく?」
聞きなれない言葉に首を傾げる平太に、カワホリが傍へ来るようにと手招きをする。
「この国ではまだ馴染みのない薬でしたね。尻穴に入れて使う薬ですよ」
「尻にって……。でも、それ固形ですよ、そんなものを入れたら」
「植物性の樹脂を使っているので、人肌で蕩けて患部を包み込むんですよ」
半信半疑で、平太はワゴンの上に並べられた小さな塊を見つめた。
「これを全部入れるんですか?」
「まさか。いくらセイイチロウさまの穴がゆるくてもそれは無理ですよ」
マスターが選んだものを一つだけ使用するのだと、カワホリは笑いながら告げた。
「で、どれになさいますか? マスター」
489:柿手
07/01/16 01:49:23 YBc3vYDI0
男はしばらく考える素振りをしたあと、平太に向かって顎をしゃくった。
「これに選ばせてみよ」
平太は慌てて首を振った。
「ちょっと待ってください。なんで俺なんですか」
「おまえが選んだ薬なら、セイイチロウは否やは言うまい」
「でも、俺、そんな薬の種類なんてわかりません」
「構わん。副作用に多少の違いがあるだけで、治癒効果には変わりはない」
「かしこまりました、マスター」
困惑も露な平太を他所に、カワホリが男に恭しく一礼した。
カワホリは平太に向き直ると、並べられた薬を指差しながら、順に薬の名前を告げていく。
平太は目を白黒させた。
舌を噛みそうな長ったらしい外国の薬の名前など教えられても、
何がなにやら、平太にはさっぱりわからない。
先ほどの話しでは坐薬は植物性の樹脂からできていると言っていた。
ならば体に良さそうな植物のものを選べばいいのだろうと思うのだが、
肝心な言葉が全く聞き取れないのだからどうしようもない。
どれになさいますかと促されて、平太は辛うじて聞き取れた一つをおずおずと指差した。
「あの……これ、えっと、『ヒノキの』って名前の……」
日本のひのきと同じものとは限らないが、もしもひのきであれば体にも害はないはずだ。
平太が選んだ薬をみて、男は訝しげに片眉をつりあげた。
「はて、これは何処で手に入れたものだったか?」
男の問いに、カワホリの表情が緩んだ。
「フィレンツェへ行かれた際に郊外の貴族の館で譲り受けられたものでございます。
嘘ばかりつく木偶の少年を調教するために用いたとの逸話をいたく気に入られて」
ああ、と男は頷いた。
「なるほど、あの呪か。……これはいい、セイイチロウにはぴったりではないか」
「ええ、さすがご友人ですね。セイイチロウの様のことをよくわかっていらっしゃる」
カワホリは平太が選んだ一つをピンセットでそっと摘むと、清一郎の前にしゃがみこんだ。
紡錘状の薬の先を清一郎の入口にあてがうと、ぐにゃりと薬が不自然に歪んだ。
ひしゃげた薬は、まるでそれ自身が意思を持つて這うかのごとく、
ずるりずるりと清一郎の中へと入っていく。
平太は目をしばたいた。
490:柿手
07/01/16 01:50:06 YBc3vYDI0
(なんだ、あれ、まるでナメクジみたいな……気持ち悪い)
ぞわりと鳥肌がたった。
見間違いだ。
カワホリが摘んで押し込んだだけだ。
それがたまたま変なふうに見えただけだ。
平太の理性は、己が見たものをそう解釈する。
だが、その一方で、本能的な感覚が全身で嫌悪を訴える。
あんな得たいのしれないものを体に埋め込まれて清一郎は平気なのだろうか。
清一郎は、先ほど声をあげたことを平太が咎めだててから一言も発していない。
上半身を曲げて臀部を突き出したままの姿勢を保ち、俯いたままの表情は不明だ。
「清一郎、大丈夫か? まだ痛むか?」
背中を撫でながらおずおずとそう問いかけると、清一郎は心持ち顔をあげ微笑した。
「心配かけてごめん平太。大丈夫、平太が塗ってくれた薬がとてもよく効いて、
もうどこも痛みなんてない、ありがとう、平太のおかげ……だ……っ……くっ」
いつもの穏やかな口調で語り始めた清一郎の声が、突然途切れた。
訝しむ平太の目の前で、清一郎の体が瘧のように戦慄き、背中が弓なりにしなる。
「……やっ、なっ……っ」
腰をくねらせ、首をのけぞらせて、何かから逃れるように清一郎はもがき出す。
「どうしたんだ、清一郎?」
突然の清一郎の狂態に、平太はどうしてよいかわからず、
縋るように背後の男たちをふりかえった。
「大変です、清一郎が……」
言いかけた平太の舌が凍った。
二人は哂っていた。
まるで、街で評判の出し物を観賞するような眼差しで、清一郎を見つめながら。
「セイイチロウ、その体勢では辛いだろう。もう好きに体を動かしていいぞ」
男の言葉とともに、清一郎が両膝を床についた。
四つんばいのまま、尻を突き出すように揺らして清一郎は獣のように喘ぐ。
そんな清一郎を眺めながら、男は心配する素振りも見せず、
長椅子に体を埋め、肩を揺らして哄笑している。
「嘘をおつきになるからですよ、セイイチロウさま」
笑みを佩いたまま、カワホリが窘めるように清一郎に告げた。<続>
491:風と木の名無しさん
07/01/16 02:39:54 9TXkB7Yu0
平太wwwwwwww
マスターちょっとカワイス
492:風と木の名無しさん
07/01/16 02:42:05 RFWM6XF20
平太ー、「みっともない声あげるな」なんて、
ちょっと厳しいぞw。
嬉しくなるじゃないか。
493:風と木の名無しさん
07/01/16 03:26:12 452coh0j0
カワホリさんが一番ノリノリな件に関してw
494:風と木の名無しさん
07/01/16 07:16:52 HdUXKIo0O
ちょww平太マジ鬼畜wwwww
清一郎カワイソスw
もっとやれ。
495:風と木の名無しさん
07/01/16 09:18:16 8Ftj7SgZO
平太強ぇーーーーー!!!!!!
新たな鬼畜誕生!!!!
496:風と木の名無しさん
07/01/16 11:33:22 xeThbB80O
こんな種類の鬼畜があるなんてw
497:風と木の名無しさん
07/01/16 11:44:13 1BTGAyYoO
テュランたん柿手たんGJ!!
498:テュランの筏1/11
07/01/16 12:03:16 4SwKWfB10
十一日目
楊玲の悲鳴がなかったら、僕は目を覚まさなかったかもしれない。
クリフは起きて、相変わらず水平線を見つめていたが、方向が全く逆だったし、彼の視力じゃ発見出来ないに違いなかった。
ガバと飛び起き、立ったまま悶える楊玲を日常の風景として目線を通りすぎた、その先。
僕は黒く煙をたなびかせる、水平線上の小さな小さな船影を僕はとらえた。
「船だ、船だよっ!」
誰もが声の主である僕を見、そして指がしめす方向へ頭をめぐらせた。
楊玲は……胸にピアスをつけ、後ろ手に鎖で拘束され、尻に何かグロテスクな物体を
くわえこんでいたが、それでも恍惚一色だった目に、正常の光がともった。
僕はかけつける。楊玲の脇を抜け、いかだの端へ、身を乗り出した。
間をおかずにクリフもかけつけ、横に並んだ。
楊玲が分からない言葉で叫んだ後、鎖のジャラリという音とともに倒れ、呻き声をあげた。
鎖の端を藤吾ににぎられ、行動の自由を奪われているのだ。
助け起こしてあげたいが、今はそれどころではない。船影は、遠ざかっていってしまう!
「おーいっ! おーい」
僕は枯れた喉を酷使し、叫んだ。両手をめいっぱいに振りあげる。
「それじゃ、無理だ」
クリフはにべもなく言い、僕にタープを持たせた。大きく振るように指示される。
旗のように、僕は頭上にかかげたそれを、ふりまわした。
その間にクリフは、つかつかと藤吾のもとへ歩み寄った。
499:テュランの筏2/11
07/01/16 12:04:26 4SwKWfB10
鎖の端をにぎり、犬の散歩のように、優雅にトランクに腰かける藤吾。
彼だけは、船の影も僕らの行動も、目に入らないかのように薄い笑いを浮かべている。
「持っていたら鏡、なければ金属製のたいらな物を貸してくれ」
焦るクリフをじらすように、ゆっくりと藤吾は視線を向けた。
「鏡はある」胸ポケットから櫛のついた鏡を取りだす。
「スパンキング三十回と引きかえだ。もちろん、あれを挿入して」
落ち着き払った藤吾が指さすのは、楊玲の後孔だった。
「な……なに考えているんだっ!? 船が通りかかったんだぞ?
あんた、助かりたくないのかよ」
一瞬絶句しかかったクリフは、それでも両手を広げ、怒りをおさえて藤吾に話しつづけた。
しかし藤吾は鏡をちらつかせるだけで……決して渡そうとはしなかった。
クリフが命令にしたがう意図がないのを見抜いたのか、
鎖を引き、楊玲を悶えさせては冷たい笑いを見せる。
「っ……!」
ムダだと悟ったのか、クリフはきびすを返してこちらに戻ってくる。
舌打ちをこらえたその顔は、まるで炎のように怒りをかもしだしていた。
しかし、もう遅かった。
船は僕の目でもとらえられないほど遠くへ、
水平線でキラキラ輝く光の一端へ飲みこまれてしまっていた。
500:テュランの筏3/11
07/01/16 12:05:28 4SwKWfB10
楊玲は一声唸った後、また目の色を恍惚に染め、喘ぎ声をあげはじめた。
それは異様だが、ここでは日常である。
十メートル四方の王国が健在である事を示す、何よりの証拠だった。
「たぶん、藤吾は俺たちを救う気はない」
タープにくるまった密談の体勢で、開口一番にクリフは宣言した。
僕は苦い顔でうつむいた。今日の出来事を見ていれば、分かる。
「俺の頭に色々考えはあるがまだ、まとまっていない。
多分、今日で結果が出ると思う。智士、今夜も星を見てくれ」
僕は言われた通り、藤吾の時計が示した時報で起きあがり、見た結果をクリフに伝えた。
501:テュランの筏~海市4/11
07/01/16 12:06:18 4SwKWfB10
* * *
唯一の飲み物であるコiーラ。残りは半分の一ダースになった。日曜の深夜の事だ。
藤吾はほとんど飲めないし、ガブガブと飲み干し消費するのは主に榊少年であった。
だから、彼が最も先に口にしたのだろう。生来の気質、乱暴さと共に。
本来なら藤吾がそれを耳にする事はなかった。
全身白濁液にまみれ、時折、後孔からの出血に痛みを覚え、喉の渇きはずっと傍にあった。
与えられた毛布と、水なしで飲み下せる睡眠薬で、ぐっすり寝込んでいる筈だった。
だが、薬が体質に合わなかったのか。それとも薬の使用条件を越える程に、
喉が乾燥していたからか、しわがれた咳と共に吐き出してしまっていた。
「……大丈夫なのかよ。クニちゃん。
ほんとーに、あのおっさん、完全に落とせるまでここに篭もるのかよ」
「どうせお前らは『友達の家に泊まる』で一週間以上の外泊は可能なんだろ?
俺の所は両親長期不在だし。
矢野島名義で作った休暇届は、金曜日に投函したから、明日には校長の所へ届く
……榊、お前がしゃにむに消費しなければ、十日以上持つ計算だった」
強い調子で諌められ、口答えしていた榊は、鋭い視線に射竦められると、
唇を結んだ後にゴメンと小さく言った。
「国山さん。外からの補充は?」
これは細目のヨウ少年だった。
502:テュランの筏~海市5/11
07/01/16 12:07:23 4SwKWfB10
「基本的には無理だ。土砂崩れの仕掛けが予想以上に大きすぎた。
非常脱出用に作ったルートも塞がれた。外から掘り出してもらうしかない。
ただ連絡用の通信穴は使える。朝決まった時間に俺の部下が、そこを訪れる」
「ほんとーに、おっさん、落ちるかなぁ」
榊少年の視線が向いたので、慌てて藤吾は寝息に沿った肩の動きを作った。
「……落とさなくちゃならない。ここまで来たら。いや、最初にやると決めた時から。
心まで打ち砕いて、俺たちのものにする……持久戦になっても……」
暗く低い声色には、それに相応しい目の色が灯っていただろう。闇の色、漆黒。
聞きとがめた藤吾の身体がピクリと震えた。ヨウは更に目を細め、何か国山に耳打ちした。
「ああ、また、コンタクトつけなくちゃ。面倒だな。痛いし。カラーは体質に合わない」
「しかし、おっさんもまぬけだなぁ。カラコンと作り話で、あっさり信じるんだから」
榊はまた眠る藤吾へ視線を向ける。小さく笑いながら、国山は装填した。
「体質に合わないお陰で……用意した目薬は出番をなくした。
演技じゃない、ほんとうの涙だから……まぁ、信じざるを得ないだろう。
教師として……なぁ、藤吾先生」
声は、あやまたずに藤吾に向けられていた。
肩を揺らし、寝息を立てるその背中へ。
「え、何、何っ? 起きてるの、起きてるのかよ、おっさん!?」
すっとんきょうな声で、榊は二人の仲間と、藤吾の間で顔を動かしている。
「今、目を見開いた」
ヨウが指摘した瞬間、確かに藤吾は瞳孔をめいいっぱいに、開いていた。驚愕で。
503:テュランの筏~海市6/11
07/01/16 12:10:44 4SwKWfB10
「いいんですよ、起きても。先生。聞こえているんでしょう。
狸寝入りなんて、意地が悪いなぁ。
二日と半日分の信頼たしかに頂きました。
それが打ち壊される時が……心を支配するのに丁度いいんだけど。
ちょっと早すぎましたかね。別にこっちは構いませんですけど。
俺たちには、これからもまだまだ耐える時間は沢山……あるんですから。藤吾先生」
挑発口調で投げかける国山に、藤吾は乗らなかった。ただただ寝た振りを続けた。
ガクガク震える手足はどうしようもなく、それに連なり心も乱れていた。
誰もが藤吾の目覚めを確信して、離れた位置から薄い笑いを浮かべていた。
それでも動いたのは榊少年一人であった。毛布を剥ぎ取られ、乱暴に髪を掴みあげられる。
そこで初めて藤吾は覚醒した演技をしたが、誰もそんなものは気にしていなかった。
「では、お目覚めの一杯。いくぜ、おっさん」
たぎりかけたペニスが、騒いで飛び出そうとする藤吾の胸の内を、物理的にふさいだ。
犯される藤吾に、涙を流す者はもう誰も居なかった。藤吾自身も含めて。
身体中のあちこちをなぶられ、押し挿れられ、残酷な言葉を投げかけられながら、
藤吾はどこかでヒビ割れる音を聞いていた。
自分の中の音だと分かると、藤吾は笑い転げたい衝動に駆られた。
ヒビ。ヒビだなど、誰が言ったのだろう。自分の中の何が割れると言うのだろう。
これは卵の殻を破るのと同義。
枷から解き放たれ、飛翔するのは今をおいて他にはないのに。
壊れはしない。そう簡単に、心は打ち砕かれない。
504:テュランの筏~海市7/11
07/01/16 12:11:45 4SwKWfB10
……彼らはそれを知っているのだろうか。若く、まだ社会にも出ていない彼らは。
……教えてやらねばならない。身も心もものにするとはどういう事か。
……自分は、教師だ。師の立場で教えを施す者。別に内容が教科と決まった訳ではない。
……必要だと思った事は、何だって……教えてやらねばならない義務が、権利がある。
それがこの職を選んだ自分の使命なのだと、強く心に刻み込まれる。
どんよりと濁っていた藤吾の瞳に、暗い炎が灯った。
藤吾をもてあそんで笑う少年達は、誰もそれに気付かなかった。
声は出なくとも、身体で十分教育を施せた。最初のターゲットはヨウ少年であった。
細い目の奥で、犯される藤吾にどこか焦がれるような瞳の色があるのを、教師である藤吾が見逃す訳がなかった。
ヨウと一対一になった時、大仰に快楽の顔を作り、喘いで見せた。
彼にはもともとマゾっ気があったのかもしれない。
立場を入れ替えるのに、そう労は費やさなかった。
藤吾のものを受け入れた少年は甲高い悦びの声をあげ、
最初に被っていた、まやかしのSの仮面は粉々に砕けた。
排泄と偽り、出かけ、二人は適当な部屋で身体を交わした。
勘聡い国山が気付く前に、すでに支配する者とされる者の関係にあった二人は、行動を起こしていた。
生活の糧であるコiーラを、全て奪い、支配下に置いた。月曜日の夕方であった。
505:テュランの筏~海市8/11
07/01/16 12:12:59 4SwKWfB10
予想通り、次に脱落したのは榊少年だった。
苛立ちに紛れてスナックを漁り、暇さえあれば、ヨウに「裏切り者」と罵り言葉をかける。
これで、喉が渇かない訳はないのだ。
藤吾にとって幸運だったのは、ヨウが空手の有段者であった事だ。
国山はボディガードをも兼ねて、彼を傍に置いておいたらしい。
それが逆に今は、暴力的解決を選べない窮地に追い込まれているのだから、皮肉なものだ。
榊は渇きを忘れようと、足音高く歩き回っている。視線をコiーラの箱に釘付けに。
国山は腕を組み、藤吾から最も離れた位置で注意深く窺っている。
時折、榊に「無駄な動きはするな」「構うな」など短く檄を飛ばす。
だが、青褪めた顔色は、ついに戻らなかった。
火曜日の早朝、根を上げた榊は、ボトル一本と引き換えに、二人に組み伏せられた。
上も下も同時に犯され、身体中を白濁液にまみらせながら、榊はうつろな目を作った。
それでも交代交代に責めつづけると、少年は割れ鐘のような声で笑い始めた。
早まりすぎたか、と藤吾は少し後悔した。
食への欲望は貪欲でも、性に関しては、それほどではなかったのだろう。
たまに意識が正常に戻る事はあったが、それ以外は幼児のような行動で、
榊はずっとコiーラのボトルをしゃぶりつづけた。
火曜日の深夜の事である。助けはおろか、掘り出しが開始された様子すら、なかった。
506:テュランの筏~海市9/11
07/01/16 12:14:05 4SwKWfB10
水曜日の朝。取引を持ちかけてきたのは国山の方だった。
「降参する。だが、身体はあけ渡さない。交渉だ。
助けを呼ぶ。外へ声が繋がる通信穴は、俺しか知らない。
だけど土砂の量が多く、掘り出すまでに半日はかかるだろう。その間持たせる。
ボトル一本と引き換えに、助けを呼ぶ」
ほんとうに限界だったのだろう。
これだけ紡ぐにも、何度も空気を求めて喘ぎ、ひびわれた唇を手の甲でぬぐっていた。
ダンボールに腰掛けた藤吾は、腕を組んでにやにやと笑う。
「……何故、私が助けを欲しいと、そう、思うのかね?」
「あんたは、炭酸が飲めない。もう、限界だろう。俺は、まだしばらく持つ。
だから、この駆け引きは俺に分がある」
嘘だった。国山の精一杯の虚勢だと、藤吾は見抜いていた。
彼は駆け引きなどに出ず、黙って時刻になったら助けを呼び、半日だけ待てばいいのだ。
その半日も持たない程……国山は限界なのだ。藤吾は唇の端を吊り上げた。
「別に……どうだって、いい。助けなんて」
「……っ!?」
遠い目をして呟く藤吾に危険を感じたのか、見開き、国山は一歩後ずさった。
「君に、きちんと『教え終えた』ならば、助けを、考えてもいい」
ギクリと顔を強張らせた国山は、しかし動揺を押し隠した。震える唇で何とか紡ぐ。
「あんたは……狂ってる」
「そうかね」
507:テュランの筏~海市10/11
07/01/16 12:15:23 4SwKWfB10
短い藤吾の返答を、最後まで待たず、国山は時計にチラと視線を這わせた後、一目散に部屋を飛び出した。
足取りはふらついているが、目的を持った瞳だった。
藤吾はヨウの肩を押した。忠実な猟犬のように彼は駆け出す。
残った藤吾は部屋を見渡し、戸棚にボトルをしまった。鍵をポケットに落とす。
鍵が一本しかないのは、確認済みだった。そして榊を引っ張るようにして、後を追う。
この鍵が数奇な運命を辿り、海に投げ込まれて生涯を終えるなど、まだ誰も知らない。
「助けてっ! 早く、今すぐっ!」
土の廊下に出た途端、その悲痛な声は響き渡った。
出入り口近くの、工事用品などを置く棚から、国山は枯れた喉を震わせていた。
追いついたヨウが間もなく彼の動きを、固めて封じた。
身をよじって抵抗する国山に、藤吾は威厳を持ち、悠々と近づいていく。
青褪めた唇を結ぶ国山の前で、外へ繋がるパイプに、藤吾は握り締めた土塊を押し込んだ。
「無粋なまねを……」
怒りを押し殺した藤吾の口調に、怯む様子もなく、国山は足をばたつかせ「狂人」と罵りつづけた。
何故、教育をやり遂げようとするだけの、熱い教師の魂が分からないのか。
急に怒りに駆られた藤吾は、はがい締めにされている国山の制服を乱暴に剥ぎ取った。
「やめろっ、この変態教師」
狂人よりはマシであったが、それでもありがたくない呼び名に、藤吾は憤慨した。
508:テュランの筏~海市11/11
07/01/16 12:21:21 4SwKWfB10
ヨウに言いつけ、国山を押し倒す。はだけた胸を、ひたすら舐め続けるよう、榊に命じた。
「お前らっ……触るなっ……っ、ひ……っ、ひぁっ」
糖分の混じった舌が這い回る感触に、背筋を震わせ国山は悲鳴をあげた。
その間に藤吾は、国山の股間を観察し、卑猥な言葉も浴びせていたが、
果たして聞いていたのかどうか。彼はひたすら暴れて、喚いて、もがくだけだ。
さっさと身体に教え込んだ方がいい。判断した藤吾は、国山の足を広げ、後孔を晒した。
再び激しい罵り言葉が轟くが、ヨウに口への責めを命じると、まもなく止んだ。
ファスナーをおろし、いざ挿入しようという時に、潤滑の代わりが何もないのに気付いた。
取りに行くには遠かった。三人がかりで押さえつけている今、離れる訳にもいかない。
忌々しく藤吾は舌打ちした。ほんとうに、何もかもが足りなさすぎる。
藤吾の心に浮かぶ、いくつかの思考。
(このまま挿入……榊のように壊れるか? だが時間が)
(終らせなくては、教育を。心を支配する……)
(壊れても、支配には代わりない……最終手段だが)
その迷いが運命を分けた。国山と、藤吾の人生を。
「誰か、居るのかっ?」
四人の誰でもない、第三者の声が響いた。懐中電灯の薄い明かりが、差し込んでくる。
背後の出入り口の土砂は、それが透けるほどに薄くなっていた。
誰も返事はしなかったが、まもなく最後の土が取り払われ、外気と陽光が満ちた。
* * *
509:風と木の名無しさん
07/01/16 12:42:05 +jSR9GcK0
テュランタソ乙!!
この展開激しく萌えた。。。
510:風と木の名無しさん
07/01/16 13:56:30 8Ftj7SgZO
テュランタソGJ!!!!
藤吾逆転萌え!!!
でもこの後の展開でどうなるのか楽しみ(*´Д`)
511:風と木の名無しさん
07/01/16 22:27:14 71suZ/iL0
面白い…。
本当に面白い。萌えとか関係なく、ただただ面白い。
続き楽しみにしてます。
512:風と木の名無しさん
07/01/16 23:20:08 HdUXKIo0O
すげぇ…。
萌えとか通り越し手ハラハラドキドキしとる。
この過去が現在にどう繋がるんだろう…。
激しく続き期待!
513:風と木の名無しさん
07/01/17 00:30:40 tlcQcWbI0
こういう表現が適当かどうかわからないが、翻訳物のような面白さだ>テュラン
514:風と木の名無しさん
07/01/17 00:49:04 JlK6TOteO
何この乙の嵐…気持ち悪い。本気で面白いとか思ってるんだろうか…。
もっとレベル高い作品頼むよ!!
515:風と木の名無しさん
07/01/17 01:08:14 K7lpWDMrO
テュランタン乙!!!
ものすごく萌え&ハラハラする展開で続きが気になるよ
516:風と木の名無しさん
07/01/17 03:03:19 TBJKzqAH0
517:テュランの筏1/9
07/01/17 12:05:05 FyI39WtK0
十二日目
「動いていない……このいかだは」
それがクリフの出した結論だった。
僕は、呆然としていたのもあるが、頭の回転がおいついていなかった。
説明を求めて、クリフの肩をゆらす。
「星座の位置が全く変わっていない。
季節の傾きを計算に入れても……このいかだは初日の位置のまま移動していない」
床につけた傷だか数字だかつかないものを指で示し、クリフは目つきを鋭くした。
「だ、だって……二週間で助かるって。東の方に島があるって」
「客船が座礁した位置から、確かに東経に諸島はある。他は……全部でたらめだろう。
最初から希望をもたせる為だけに……十四日間という数値を設定したんだ」
僕は……顔面蒼白になっていただろう。
紙のように真っ白な色をして、激しくなりつつある鼓動を聞いていた。
……それじゃ、耐えても何にもならないじゃないか……
ポロポロ、ボロボロとまらず、僕はまた貴重な水分をムダにしてしまっていた。
クリフが目を閉じ、僕の髪に手の平を乗せた。
その温かみをもってしても、僕のこぼれる涙を止める事は出来なかった。
518:テュランの筏2/9
07/01/17 12:05:57 FyI39WtK0
「そんなにショックを受けるなら……俺の心だけにしまっておけばよかった」
ぽつりとつぶやくクリフに、僕はぶんぶんと頭を振った。
「ううん、そんな事はない。クリフが一人で心に抱え込まなくて、よかった。
心の構えが出来て、よかった。島影が見えなくても、絶望せずにすむ」
少しだけ表情をやわらげたクリフは、動きが止まった僕の頭を、ていねいになであげた。
「……藤吾をどうにかしなくては……いよいよトランクを奪わなくちゃならない。
締めあげ、何を考えているか聞き出さなくちゃならない。
今度は平和的にはすまない。暴力も辞さない」
独り言のように「明日」と唇を震わすクリフ。僕は呆然と、端正な横顔をながめていた。
タープを持ちあげ、太陽が昇る方向へ視線をやるクリフの目が、ふと僕を見下ろした。
「いつまで、泣いてるんだよ」
からかい気味にふわりと微笑むと、タープを持つ手を離せなかった為、
顔をやや斜めに近づけてきて……舌で僕の涙をなめとった。
「ん、あ……」
あまりに突然だったのもある。
クリフの顔がこれだけ接近するのに、身構えが出来なかった事もある。
鼓動は急激にやってきて、急カーブをえがいて最高潮に達していた。
耳まで一気に赤く染まるのも、下半身に血が集るのも、どちらも防げはしなかった。
519:テュランの筏3/9
07/01/17 12:07:53 FyI39WtK0
深刻な話をしているのに、なんで節操なしなんだ、僕は。
そう自分を叱ると、ますます恥ずかしくなって、紅潮するのをおさえられない。
唇を離したクリフは、不思議そうに、体温の高まった僕の顔を凝視する。
「辛いのか? ……大丈夫だ」
それは不安そうに泣いていた僕が、涙をこらえているのだと思って、安堵させようとかけた声なのだろう。
優しい吐息が、包まれたタープの中をかけめぐり……思い出させた。
強制的に行なわれた口での刺激。僕のがクリフの唇を割って入り、熱い息を絡められた中で、快楽を得た……思い出すな。
けんめいに止めようとしたが、勃起という生理現象は、もう僕の手にはおえなかった。
下半身でむくむくと起きあがる僕のペニスに気付き、クリフは目を丸くする。
見られてしまった! その恥ずかしさで、僕はまた全身の血液を下肢へと流れこませる。
「ごめん、思い出さないでっ……違う、違うんだ。ごめん、ごめん、クリフ」
文章になってない事を、僕はさんざんにわめきたてた。それこそクリフが呆れるまで。
「ごめんっ、違うのは分かってるのに、そんな場合じゃないのも、肌で感じてるのにっ……クリフ、ごめん」
顔を手で覆うのは、こぼれる涙をおさえる意味もあったし、赤面する頬を隠す意味もあった。
ただ、中途半端に燃え立ち、そのまま刺激を与えられずに放置された僕のペニスはたぎり、
マグマの噴火を直前にしながらも、きっかけがなく静まる火山のようになってしまっていた。
520:テュランの筏4/9
07/01/17 12:08:49 FyI39WtK0
「っ……ううっ」
どうすればいいのだか。このままじゃ苦しいだけだ。
けれど手はふさがっているし、場所を移動しようにも、この半端な持ち上がり状態では、とても歩けない。
爆発寸前の爆発物を抱えたように、僕はただ震えて呻いた。
しょうがないな、と苦笑する音が、頭上で聞こえた。
「辛いのは、そっちだったのか……まったく」
からかうような口調だった。それがかえって僕を救った。
「仕方ないっ……生理現象だし……空気こもって、熱いんだから、この中
……クリフは、突然だいたんな行動に出るし」
それこそ、自分をたなにあげて、クリフを責めるくらいには。
クリフは微笑んだ。きれいな八重歯を見せて。
「苦しいだろ……出しちゃえよ」
あ、と声をあげるひまもなく、暖かな手が、僕のペニスを包んだ。
さっきまで髪をなでていたそれは、口とは違う温度と、やわらかさを持っていた。
ぬくくて、しっとりしている。さらさらで、持っている球面の全てがなめらかだ。
その感触が全てクリフのものだと認識したとき、僕の背に走った電流は、
身体を反らせ、強い力で僕の下半身を前に押し出した。
「ん、う……んっ」
クリフは、ほんの二、三度、囲む手の平を動かしただけだった。
521:テュランの筏5/9
07/01/17 12:09:59 FyI39WtK0
それだけで、十分だった。僕の興奮は白濁となって、発される。
「ああ……っ」
ねっとりした液体が、タープに飛んだ。濃い緑色の表面に、
音を立てて着地し、白い染みとなってはりついた。
「あ……っ」
今度は、後悔の声。何しているんだ、僕は。
冷静さが戻ってきて、自分の行為を手ひどくなじった。
クリフのタープに、節操もなく、欲望の残滓をなすりつけるなんて、この恥知らず。
自分の頭をぽかぽか殴りつけたい。いや、それこそ今から実行に移そう。
両拳をつくり、すさまじい勢いで耳の上に向かっている最中、クリフは言った。
「……俺は、智士がほんとうにいやがってるのかと、そう思ってた……」
うつむきがちに、ぼそりとつぶやくその言葉を、理解するのに時間がかかった。
のんびりしすぎていたのだろう、僕は。
クリフはそれ以上なにも言わずに背を向け、白いものがこびりついたタープにもぐりこみ、くるまった。
「あ、あのっ……取り替えるよ、タープ。僕のと」
「いや、いい」
短く答えたクリフは、タープの中から手をひらひらと振った。
まもなく寝息とともに、規則正しく肩が上下しはじめた。
522:テュランの筏6/9
07/01/17 12:14:33 FyI39WtK0
彼を起こしてまで、話し合う事じゃない。
僕は自分のタープに戻り、彼の言葉の意味を、取り替えなくてもいいと言ったその心理を、おさまらない鼓動の中で考えつづけた。
疲労もあったのだろう。僕はぐっすり眠りこけてしまった。
目覚めたのは夕方だった。沈む太陽が海をオレンジ色に染めている。
見渡す四方、全部海と空だった。
すでに起きて水平線をながめていたクリフは、僕を見ていつも通りに接してきた。
黙々と、残り少なくなった水と食料を口に運ぶ。
これが全てなくなる前に……どんな形であれ、決着はつくのだ。
523:テュランの筏~海市7/9
07/01/17 12:15:29 FyI39WtK0
* * *
土中の彼らに知るすべはなかったが、日曜日から火曜日にかけて豪雨に見舞われていた。
防空壕の、崩れていた土砂は大分流され、湿った土は柔らかくなっていた。
その反省点としてか、藤吾は外出時には必ず雨傘を携帯するようになった。
だが、まだ反省すべき点はあった。
攻勢に出てから、余りにも短く足りない時間。
それに伴う、消化順序の誤った選択。助けが偶発的にも訪れやすい場所。
下準備も不十分だった。
教職を辞してからの藤吾は、反省点に拘りつづけ、その正体は何なのだろうと自問自答すると、答えは簡単。
終らなかった教育への未練、だった。
残りの人生を全て賭けても、彼は中途の教えをやり遂げねば、と抱いていた。
あの狂った閉鎖空間で過ごした為か、藤吾は既に同性、それも苦しみ悶える少年にしか勃たなくなっていた。
弊害と呼ぶよりは、むしろ目的を真っ当するには好都合であった。
藤吾はありとあらゆる準備を整え、選び抜かれた教材と共に、海を再教育の舞台に選んだ。
風の噂に聞いた、三人の少年のその後。
524:テュランの筏~海市8/9
07/01/17 12:17:05 FyI39WtK0
一人は、防空壕のあの深い空洞から身を投げた。埋め立て工事が始まる前日だったと言う。
一人は病院から未だに出てこず、一人は歌i舞伎町で名を馳せていると聞く。
あれから数年過ぎ、既に少年でなくなった彼らに、藤吾は全く興味を持たなかった。
藤吾は、五メートル近い幅の巨大な板を積荷とし、
教材道具の詰まった黒いトランクを手に、船へ乗り込み、乗客を検分した。
(赤毛の少年、一つに結んだ髪と目の細い所が似ている。最初に落ちるだろう。
腕っ節は細くボディガードは無理そうだが、今回は抵抗に対する準備も万全だ。彼が一人目)
(旅慣れている。金髪の少年、ああ、青い目。そっくりだ。意思の強そうな所が。
最後までてこずるなら彼だ――もっとも、今回は負けやしない。もし敗北する時は……)
(黒髪の、優等生面の日本人の少年。二人を足して割った感じだ。
欲望に忠実と言うよりは、むしろ意思畢竟の問題か。
扱いを間違えなければ、彼もすぐ落ちるだろう)
藤吾は何年もこうして、乗客に教え子を見出し、危険な航路客船に乗り込み、失望と共に目的地に着いてきた。
だが、今回は十分に沈没の危険性が高かった。
525:テュランの筏~海市9/9
07/01/17 12:18:20 FyI39WtK0
魔の海域と呼ばれる航路。建造八年。
船級協会には加入していない。積荷は綿花三万ポンド。
五十すぎた船長は、ベテランではあったが心身ともに衰えている。
藤吾は教えがいのありそうな少年たちから目を離さず、汽笛の音に身を委ねた。
* * *
※海市(かいし)~しんきろうの意※
藤吾の精神は……いや、正か異であるかなど、誰にも断定はできない。
ただ、一つ言える事はある。
彼の精神はどす黒く、闇の中にあった。
彼にとっては、救いの光も助けの手も、幻にすぎなかった。
彼はまだ、暗い穴の中に居た。
冷え切った土の中に置いてきぼりのままだった。
身体が光をまぶしく受け止める色のスーツをまとおうとも、
切り離された心は、黒々と丸まってうずくまっていた。
526:風と木の名無しさん
07/01/17 12:33:26 HnGBFRKC0
テュランタンGJ!
すがっていた希望はガセ!?
どどどどーするのー!?((((;゚Д゚)))
527:風と木の名無しさん
07/01/17 14:07:51 F1GxcnjW0
榊が病院、ヨウが歌i舞i伎i町で、国山が飛び降り…かな?
いずれにしろザマアミロだが。
藤吾は穏やかに発狂していたのだな。
絶望的な鬼畜展開もさる事ながら、ストーリーが素で面白い。
528:風と木の名無しさん
07/01/17 15:02:09 y3v2CtGVO
テュランタソGJ!!
極限に迫った展開…凄い!!
智士達の運命はどうなるんだろ……
はげしく期待。
静かに狂気になる藤吾GJ
529:風と木の名無しさん
07/01/17 16:55:55 eQlx4DvgO
クリフと智士萌えたw
智士の反応がかわいすぎる
530:吸血鬼8
07/01/17 18:01:32 kAXhyptF0
暖炉横のサイドボードに乗っている二つの銀の短剣が仄白く輝き、
城を囲む木々の影に覆われた部屋の黒をほんの少し弾いている。
見事な彫刻をあしらった一本の猫足で支えられた丸い天板の上には、
木製のコップに入った酒が横に置いたランプの灯に、
その琥珀色を際立たせていた。
干し肉をナイフで削って口に含み、アドルフは酒を
流し込んだ。どちらも、狩りが成功した時の祝杯用に持ち込んだものだ。
「おい、ほどほどにしとけよ。売る前に壊してしまうつもりか」
ランプの灯が届かない奥のカウチに腰かけ、
抱えた少年を未だ飽きもせず突きあげてる
相棒に苦笑して、酒をコップにつぎたす。
「わかっ、てる、って。‥‥‥ほら、しっかり、受け止め、ろよっ」
内部をかきまわすような激しい突き上げに、クラウスは
首をのけぞらせて悲鳴をあげる。擦られるたびに下半身に
痺れがはしり、中を突いてくる熱いヤンのモノのリアルな
感触にどうしようもなく体がうずき、心が翻弄される。
イかされて吐き出された精液と、だらだらと流れ続ける
先走りでグショグショのクラウスのモノはまたも弾けんと
膨張していた。
531:吸血鬼9
07/01/17 18:02:38 kAXhyptF0
「っ、あ‥はっ、ああっ」
「いい顔だ」
快感に押されて自分から腰を振りだしたクラウスの汗ばんだ体を
ヤンが片手で支え、もう片方で前を強く扱く。
「ひっ、あっ、ハッ、あああぁぁ‥‥!!」
部屋に満ちる少年の喘ぎ声が一際高まる。
体の中で弾けた衝撃にクラウスはすがるものを求めて、
無意識にヤンの背に爪をたててしがみつき、
少し遅れて達した。
強く締め付けてくる粘膜の心地よさを惜しみながら、
浅い息でビクビクと痙攣している体から己のモノを引き抜いた。
あっ、と小さくクラウスの口から声がもれる。
ヤンは脱ぎすてた服を拾って身にまとい始めた。
532:吸血鬼10
07/01/17 18:03:30 kAXhyptF0
さてどうするか。
アドルフはコップに残った酒を一気に呷り手の甲で口を拭った。
日も暮れて来た事だし、この闇にまぎれて村を突き抜け、
街に戻るのが一番良い。闇を恐れていたのに、今はその闇
が自分たちにとって好都合とは皮肉なものだ。
「んんっ」
少年の声がしたのでそちらに目をやると、
服を身につけたヤンが少年の口を覆っていた。
「おい、いいかげんにしろ」
さすがにあきれて嘆息した。
仕方ない。
明日の朝一番に村で馬車でも買って帰るか。
荷馬車でもいいが少年を隠すには屋根付きの馬車のほうがいい。
高額だが、少年の値段を考えればどうってことはない。
しかし‥‥‥。
改めて室内を見回して、見た目は古いがほとんどホコリの
かぶっていない整頓された家具を、今更ながらに不思議に思った。
「貴族どもの隠れ家ってとこか」
それとも‥‥‥いや、それはないか。
一瞬よぎった物騒な考えを、頭を軽く振り打ち消した。
だいたい少年が一人でいるくらいだ。
迷って困っているというふうではなかった。
よくここに来ているのだろう。
闇の支配者の住処であるわけがない。
何をおじけているんだか。
自嘲して、酒を飲みなおそうと空のコップを手に取った。
そんなに飲んではいないと思うのだが、目に翳みがかかっている