【陵辱】鬼畜作品を創作して20thプレイ【SM】 at 801
【陵辱】鬼畜作品を創作して20thプレイ【SM】 - 暇つぶし2ch300:風と木の名無しさん
06/12/17 09:46:45 Vzgh6AlvO
逝ってこい

301:風と木の名無しさん
06/12/17 19:20:06 6Ctcl9mu0
>最後の鏡さん
本スレ潰して隔離スレ一本にしたがってる馬鹿どもの
たわ言なんて気にせず投下続けてくれ

302:風と木の名無しさん
06/12/17 21:35:59 rsODjmQi0
文句ばっか言って自分は何もしない奴ってきらぁい。

303:風と木の名無しさん
06/12/18 15:20:29 Yy0F5n6K0
鏡タン良くも悪くも火サスっぽくて好きだw

304:風と木の名無しさん
06/12/18 17:39:48 j8IgE5ccO
もしくは昼ドラなww

305:柿手
06/12/19 02:12:01 UHeofn160
>>121
清一郎の行方は杳として知れなかった。
清一郎が連れ去られた翌日、平太は駐在所へ駆け込んだが、
犯人が身なりの良い白人の男だと告げるや、
皆一様に及び腰になり、話もろくに聞いてもらえず邪険に追い払われてしまった。
最初に男と出会った寺へも何度も足を運んだが、手がかりはつかめなかった。
男の目撃者どころか、彼が乗っていた車すら見たものは誰もいなかった。
平太の焦りをよそに、ひと月、ふた月と、時間だけが無為に過ぎ、
いつしか近所で噂が流れ始めた。
病気の清一郎を邪魔になった平太が、清一郎を殺して埋めたのではないかと。
それを誤魔化すために、外人に連れ去られたなどとの出任せを言い立てているのだと。
平太が躍起になって否定すればするほど、噂の勢いは増していった。
誰もが平太を疑惑の眼差しで見つめる。
人殺しとすれ違いざまに罵られ、家には石や汚物が投げ込まれた。
『違う、俺じゃない、清一郎は見知らぬ外人に連れ去られたんだ』
必死でそう反駁する平太に、周囲の人間は、ならばと意地悪く問いかけた。
男の名前は? 姿形は? 出会った場所から家までどうやって来た?
何故連れ攫われた直後に人を呼ばなかった? 何故家には争った後がないのか?
何故だ、何故だ、何故だ?
そうした質問に平太は何一つ満足な答えを返せない。
口ごもる平太に、そらみたことかと人々は囃し立てた。
だが、そんな心無い中傷よりも、平太の心をえぐったのは、
篤実な人柄で知られる近所に住む老人の言葉だった。
『清一郎君は病死したんじゃないのかね。それをおまえさんの心が認められなくて、
 ありもしない話を作り上げて自分自身を騙してしまっとるんじゃないのかね』
清一郎のいない家で独り、平太は泣いた。
自分でも、何が本当で何が嘘かわからなくなりかけていた。
―そんな時だった。
再びあの車が、平太の前に現れたのは。
「病状が回復されたセイイチロウさまが、貴方にお会いしたいと呼んでおられます」
運転席から降りてきた陰気な男の言葉に、平太は一も二も無く頷いた。

306:柿手
06/12/19 02:13:01 UHeofn160
どこをどうやって走ったのか。
車に乗り込んだのはまだ日の高いうちであったのに、
目的地に車が着いた時には、既に西の空を夕焼けが染めていた。
「ここ……なんですか?」
車を降りた平太は、鬱蒼とした森の中に建つ瀟洒な洋館に呆然とした。
ある程度の屋敷だろうとの予感はあったが、
まさかこれほどに立派な建物に連れてこられるとは考えていなかった。
おそらく戦前は上流階級の別荘か何かとして使われていたのだろう。
戦火による被害をも免れた蔦が彩るそこは、
平太たちが住むバラックが立ち並ぶ界隈とは、まるで別世界だった。
「本当に、ここに清一郎が?」
道中一言も口をきかなかった運転手の男が、庭に向かって顎をしゃくった。
促されるままに男が示した方を見やった平太は、目を見開いた。
イチョウの木の下に洋装の青年が一人佇んでいた。
遠目であっても、後ろ姿であっても、平太が見間違うはずもなかった。
「清一郎!」
ここ数ヶ月、捜し続けた姿に平太は歓喜の叫び声をあげた。
平太は、開け放たれた門を潜り抜け、清一郎の名を呼びながら夢中で駆けた。
弾かれたように、清一郎が振り返った。
だが、懐かしい彼の顔を彩っていたのは、平太が思い描いていた笑顔ではなかった。
驚愕と動揺が露な強張った表情で、清一郎は平太を見つめていた。
「平太」
掠れた声での清一郎の呟きに、再会に舞い上がっていた平太の気持ちが急速に萎んでいく。
会いたかった。
その気持ちは清一郎も同じだと思っていたのに……。
清一郎の態度のどこにも、平太と再び会えたことへの喜びはなかった。
「何故……」
平太がそう呟くより先に、清一郎の口からも同じ言葉が漏れた。
「何故、ここに、平太……どうして……」
「どうしてって、俺はおまえが会いたがっているって聞いたから」
その言葉を平太が疑う理由はなかった。
そう、今の清一郎の表情を見るまでは―。

307:柿手
06/12/19 02:13:48 UHeofn160
「日が、日が沈む前に早く屋敷から出るんだ」
こわばった顔で、清一郎が平太の腕を掴んだ。
「今ならまだ間に合う。屋敷の外に、早く」
「…………無駄です」
低く抑揚の無い声が背後から響いた。
振り向いた先にいたのは、先ほどの運転手の男だった。
「この者は己の意思で、自らの足で屋敷へ足を踏み入れました。
 もう手遅れです。マスターの許可がなければ外へは出られません」
「カワホリ、おまえ……」
険しい顔つきで、清一郎が目の前の男を睨みつける。
「中へご案内します。マスターも直に目覚められるでしょう」
カワホリと呼ばれた男が、恭しく二人に頭を下げる。
だが、清一郎は、庇うように平太の腕を掴んだまま表情を緩めない。
そんな清一郎に向かって、カワホリはわざとらしく溜息をついた。
「セイイチロウさま、マスターからのご伝言をお預かりしています」
清一郎が無言で先を促す。
カワホリは下卑た笑いを浮かべた。
「喉が渇いて我慢ができなければ、先にお一人で召し上がられてもいいと―」
「黙れ!」
静寂を破る清一郎の突然の大喝に、平太は驚愕した。
温厚で思慮深い清一郎が、こんなふうに人を怒鳴る姿など、
平太はこれまで一度だって見たことがなかったのだ。
激昂する清一郎とは対照的に、カワホリは慌てるでもなく軽く肩をすくめただけだった。
「今宵は最後の望月。やせ我慢もほどほどにしておくことですね」
からかいとも忠告ともとれる声音で呟くと、
カワホリは一人屋敷の裏手へと消えていった。
口を挟むこともできず二人のやりとりをただ呆然と見守っていた平太は、
カワホリの姿が見えなくなったのを見計らって、おずおずと口を開いた。
「清一郎、おまえ、食事をとってないのか?」
今の会話からの当て推量で、何気なく訊いただけだったのだが、
清一郎は酷くうろたえ、平太と視線を合わせないまま、
「そんなことないよ」と掠れた声で呟き、目を伏せた。

308:柿手
06/12/19 02:18:11 UHeofn160
結局、平太はそれ以上の問いかけをできなかった。
なんとなく気がかりなまま、清一郎の案内で平太は屋敷に入った。
「危険だから、絶対に僕から離れないで」
平太の手を強く握ったまま、清一郎はいつになくかたい声で告げた。
外観と比べ、中はいたって質素だった。
いや、質素というには語弊があるかもしれない。
広大な屋敷にも関わらず、照明が薄暗いせいで、全体が陰鬱な印象を与えるのだ。
通された客間も、腰掛けたソファもそれは豪華なものだったが、
ほの暗い室内は、なんとなく平太を居心地悪くさせた。
暗闇に引きずられように沈みそうになる気持ちを引き上げるように、
平太は場違いなほど明るい声で、隣に座った清一郎に問いかけた。
「それにしても清一郎。こんな短期間で見違えるほど回復したな」
別れた頃は、床から出ることすらままならぬ体だったというのに。
今の清一郎は、健康そのものだ。
「いったいどんな奇跡が起こったんだ? 神様でも化現したか」
冗談めかしてそう告げると、清一郎は彼に似つかわしくない暗い笑いを浮かべた。
「神も仏も、今の僕には……僕の体は……」
まるで忌むべきものを見るかのように、厭わしげに己の体を睨みつける清一郎の態度に、
平太は胸騒ぎを感じた。さぐるように清一郎を見やると、その視線に気づいたのだろう。
清一郎は、平太の不安を拭いとるように、快活に笑ってみせた。
「西洋医学ってすごくてね。おかげで、あっという間に元気になったんだ」
「へえ、もしかして、清一郎を連れて行ったあの外人って医者だったのか?」
「うん、そう…………そうなんだ、彼は医者なんだ、とびきりの名医でね」
清一郎は飲んだ薬や治療の様子などを、殊更詳細に並べ立てた。
普段の平太ならば、そんな清一郎の様子を些か奇異に感じたかもしれない。
だが、この時の平太には清一郎の回復がただ嬉しく、些細な違和感を見過ごしてしまった。
「よかったなあ、ほんと、よかった、俺、うれしいよ」
平太は、昂ぶる気持ちを抑えきれず、清一郎の両肩を抱いた。
「こんな嬉しいことってない、ほんとうによかったよ」
平太は興奮そのままに肩を叩き、ソファに体を埋める清一郎をがくがくと揺さぶった。
「…………痛っ」
清一郎の唇から、小さな悲鳴が漏れた。

309:柿手
06/12/19 02:18:49 UHeofn160
「清一郎?」
慌てて平太は手を離した。
「ごめん、つい力が入りすぎて。肩、痛かったか?」
「ああ、うん、肩は別に」
清一郎は、顔をしかめたままわずかに身じろいだ。
腰を微かに浮かし、臀部を庇うように前かがみになる。
その動作と姿勢には、見覚えがあった。
「清一郎、まさか、おまえ、それって」
平太の呟きに、清一郎は顔を真っ赤に染めて、必死に被りをふった。
「違う、そんなんじゃない」
叫んだ拍子に、ソファに深く座り込む形になり、清一郎は低く呻いた。
その様子に、平太は確信を深めた。
「清一郎、隠さなくていい。おまえ、あれだろ」
平太の脳裏をよぎったのは、平太たちを育ててくれた神主の老人の持病だった。
平太は、祝詞の最中に痛みを堪えるように腰を浮かせる老人の姿を何度も見てきた。
清一郎の今の仕草はまさしくそれだ。間違いないと、平太は思った。
「痔は別に恥ずかしいことじゃない、我慢していたらますます酷くなるぞ」
声を潜めて続けた平太の言葉に、清一郎はぽかんと口をあけた。
「ジ?」
「ああ、おまえ、尻の穴が痛むんだろ。それは痔の症状だ。な、そうだろ?」
平太がそう断言すると、清一郎は決まり悪げに、
だが、どこかほっとした様子で、小さく頷いた。
「うん、そうだね……そうなんだ。恥ずかしくて誰にも言い出せなくて」
「マスターさんだっけ、あの人にも言ってないのか?」
「ああ、うん、まあ」
「相談した方がいいんじゃないか。あの人、とびきりの名医なんだろ?」
「それは……」
清一郎は口ごもった。自分で告げるのは恥ずかしいのだろうと平太は察した。
「わかった。なら俺からマスターさんに言ってやるよ」
清一郎を励ますように告げた時だった。
「我に何を告げると?」
突然に響いた声に、平太は慌てて声のした方を振り返った。<続>

310:風と木の名無しさん
06/12/19 03:32:50 jcwvyPU8O
柿手さん、好きだ!惚れ惚れする…。

311:術師×騎士 1/5
06/12/20 16:11:12 YCqNl4UQ0
いつかの続き。生首注意。
+++++++++++++++++++++++++++++++
森の奥深く。捕らわれの騎士は爪で壁に線を引く。日が沈むごとに。
それが10本になり20本になっても唯一望みの助けは来なかった。
術師に囚われ、胸に穿たれた焼きゴテの刻印のせいで
意識朦朧とした状態だった時期を考えてもかなりの日数がたっている。
術によってこの部屋に閉じ込められ、外部との接触は年若き術師のみ。
そして顔を合わせれば望まぬ行為を強いられる。
そんな日々は騎士を消耗させていった。
「いったい・・・・いつまで・・・・」
騎士はかすれた声で呟いた。
『死ぬまでだよ。・・・・・あなたは僕の番なんだから』
そんな幻聴が聞こえて、騎士は自分の両手で自分の耳を塞いだ。

それでも助けが来てくれると、騎士は信じていたのだ。
そしてその願いが現実となった時のことを考えもしないで。

312:術師×騎士 2/5
06/12/20 16:11:58 YCqNl4UQ0
「っ・・・・・ひっ」
「あんまり声出すと、聞こえちゃうかもしれませんよ」
裸にされ、壁に手を突き背後から乱暴に突かれる。
繋がったところから聞こえる卑猥な粘膜のこすれる音と、自分の喘ぐ声、
そして背後から聞こえてくる年若い術師の声。
自分より小柄で年下に見える少年から犯されているこの現状に騎士は足を振るわせた。
だが、彼が恐れているのはそれだけではない。
騎士は真っ青になりながら透過している壁の向こうにいる人間から目を逸らした。
向こうから見られているわけではないのに、羞恥に頬が染まる。
そこには森の中で何かを探している様子の男の騎士がいた。
自分の知っているその人間は、まだ騎士見習い立った頃からの友人だった。
自分を心配して一人探しに来てくれたのだろう。
こちらに気づく様子も無く周囲を見てはため息をついている友人。
それを視界の端に見て騎士は助けを呼びたくて呼べない自分にたまらず壁に爪を立てた。
それが気に入らないと騎士を犯す術師はその腰を抱いてひときわ奥を突いた。
「あうっ」
「この家は人の目に映らないよう術をかけています。
だけど、勘のいい人間なら物音を立てれば気づくでしょうね。いいんですか?
男に犯されてこんな淫らに喘ぐあなたを見て彼はなんと言うか・・・・。
聞いてみたい気もするけど」
「っ」
「最も、気づかれたら即殺しますけどね」
「!?」
何でもないことのように言うから、それが本気なのだろうと悟った。

313:術師×騎士 3/5
06/12/20 16:13:01 YCqNl4UQ0
どういうわけか自分を攫ってこうして日々弄りものにしている術師は
時折かわいらしい顔とは正反対の残酷性を見せる。
術師という特殊業故なのか、人里で暮らしたことのないこの幼い術師は
人の常識や論理といったものを知らず、自分なりのルールでもって暮らしていた。
それなりにたくましいと自負している自分ですら押さえ込むほどの怪力(術)と慎重さ。
日々見聞きする彼の力は自分が想像していた以上で隙をついて逃げることすら出来なかった。
自分に都合が悪ければ人一人殺して隠してしまえるほどの力はあるのだ、彼は。
騎士の心情が分かっているのか、頂点が近いのか容赦の無くなる攻めに
騎士は上げそうになる声をかみ殺した。
何度も重ねた体は自分の意識とは関係なしに貪欲に快楽を得ようとしていた。
声では拒絶をするも、穿つものに絡みつく襞がもっと中に誘い込もうといやらしくうごめく。
術師もそれに気がついていて、嬉しそうに騎士のものに触れた。
びくっと体が期待で震えるのが騎士は悔しくてならない。
唇をかみ締めたからか、口の端から血が浮かんで零れ落ちた。
それが床で先走りの精液と混じる。
「・・・・・・・・・っ」
騎士は快楽と屈辱と絶望とに首を振りながら胸のうちに溢れるものと堪えた。
助けを求めてはいけない。
声を上げてはいけない。
そうすれば殺されるのは友人の方なのだ。
それでも遠ざかる背中を見た時、絶頂に白い液を吐き出しながら声にはならない悲鳴を上げた。
「・・・・・・・・・・・・」
友人が何かに気がついたように立ち止まり振り返る。
何故だか彼と目が合ったような気がした。
驚きに目を見開く騎士は友人の名を唇に乗せようとした。
だが、目の前で友人の姿はありえないように二つに分かれた。
「・・・・・・・え」

314:術師×騎士 4/5
06/12/20 16:13:37 YCqNl4UQ0
「・・・・・・・え」
首から上の頭がその体から離れたのを見た。
そしてその頭が消える。
残された体はまるで糸の切れた人形のように地面に倒れた。
「・・・・・・・・・・・・・」
騎士はそれを呆然と見る。
「シュヴァルツ。体の処分を」
背後で術師が自分の使い魔に命令を出すその声が、騎士の体をこわばらせた。
術師は呆然として倒れた友人から目を離せないでいる騎士の体を支えてベットに横たわらせた。
そしてベットサイドテーブルにごとりと何かを置いた。
それを見た騎士はテーブルの上に置かれた小さくなった『友人』と目が合った。
「・・・・・ひっ・・・・・・・あ・・・・・ああああああああああ!!!!!!」
今見たことは現実なのだと。
自分が殺したのだと。
友人の目が恨みがましいものに見えて、それでも目が離せなかった。
首に向かって手を伸ばす騎士に術師がそれを絡め取る。
そして騎士の片足を掴んで押し広げると、さっきの行為で濡れたままのそこに
自分のものを突き立てて押し入らせた。
「ひっあああああっ!!!!」
これまでに無く激しい抵抗をする騎士の姿に術師は酷薄な笑みを浮かべる。
「見られたかったんでしょう・・・・?だから、彼を呼んだんでしょう?
あなたが望むなら彼にも見せてあげましょう。僕は心が広いから」
「違っ・・・・・嫌だっ、やめろ!!!いやだっ・・・あうっ・・・ああっ!あああっ」
最後は言葉にならないままに、それまで抑えていた涙が青灰色の瞳から零れ落ちた。
心の中で何かが崩れていくかのような喪失感が騎士を襲う。
これまでどんなに攻めても屈服させようとしても見せることのなかった彼の涙をみて、
術師は殊更に興奮した。
「んっ・・・・・すごくきつい・・・・っ。『彼』に見られて興奮してるんですか・・・?」
騎士は極度の緊張と絶望に意識を半分飛ばしたように嫌だとうわごとのように繰りかえす。
その目から落ちる涙とその胸にある術師の刻印に術師は満足そうに微笑んだ。
所有印というべきそれに口付けながら、術師は騎士の体に歯を立てて
何度もその体の奥に自分のものを飲み込ませた。

315:術師×騎士 5/5
06/12/20 16:14:06 YCqNl4UQ0
使い魔に騎士の体を清めてもらって、自分も風呂に入ってきた術師は
疲れ果てて眠る騎士の傍らに座った。
涙で赤く腫れた騎士の瞼に触れて、術師は嬉しそうに微笑んだ。
その微笑は天使のように無邪気なものだった。
そしてふとテーブルの上に乗ったものに視線を向ける。
「・・・・・・・・どうでした?すごくいい声で鳴くでしょう、彼は」
問いかけに答える声は無い。
術師はそれに目を細めて手をその首に掲げる。
そこから読み取った情報は術師が大体想像していた通りのものだった。
先日術師はこの国の守護役をかってでることと引き換えに
先刻攫った騎士は預かると国王に取引を持ちかけた。
世界有数の魔導師の力を借りることとの引き換えが人一人なら安いものだ。
国王はそれに是と返答を返したのだ。もちろんそれは人道から反れること、公にされるものではない。
が、この男はそれを察して生贄のごとく国から差し出された騎士を一人助けにここまで来た。
読み取った男の思念の中に騎士への恋慕を感じ取った術師は薄暗い笑みを浮かべた。
「でも彼は僕のだからもう返さない」
一瞬でその首は掻き消えた。
術師は何も無かったように青白い顔をした騎士を腕に抱きかかえて自分も眠りに入る。

起きたら教えてあげよう。
せっかくだから感想を聞いたんだけど、彼は何も答えてくれませんでした、と。
この騎士はいったいどんな反応を返すだろう。
術師は腕の中の温もりに微笑みながら目を閉じた。
・・・・・後は安らかな寝息が立つばかり。



316:風と木の名無しさん
06/12/20 19:27:56 f1N8qKYN0
柿手タン、GJ!
雰囲気に陰影が滲んでて好きだ。
続きがwktkだ!

焼き鏝タン(と勝手に呼ぶ)、お帰り!
大切な人の遺体の前で、その死を汚すように陵辱されるってシチュに萌え。
騎士が自分を責めて苦しむのが(・∀・)イイ!


317:風と木の名無しさん
06/12/20 20:25:09 3jhx1Lc6O
柿手さん、術師×騎士さん乙です!も…萌えたw

318:風と木の名無しさん
06/12/20 23:03:14 5NFiBylh0
URLリンク(red.ribbon.to)

暫定で19thしおりとログ

319:風と木の名無しさん
06/12/20 23:35:29 wxJwwVBG0
>>318
ありがとー! マジありがとー!

320:風と木の名無しさん
06/12/21 00:13:08 Q0JNEWVl0
>>318
乙華麗

柿手タンと術×騎タン乙

321:風と木の名無しさん
06/12/21 04:48:25 fdZyN3dOO
携帯からは見れない…19のまとめ……OTL

322:風と木の名無しさん
06/12/21 10:35:04 w+7blwDxO
>321
自分のだと見られるから、多分機種のせいだな。

323:風と木の名無しさん
06/12/21 11:09:41 Sq27LtFFO
リクエストされたページは表示出来ません。

N.T.T.DATAが作るサイトもこんなんばっかだったな。林檎メインでAll対応にコツコツやってた俺の会社は理不尽と闘う日々だったよ。
ま、個人的に18th以降は読めなくても問題ないからいいか…。

324:風と木の名無しさん
06/12/21 11:46:36 Gw8yHPRbO
323がなんか的はずれなこと言ってるけど
見えない人ってトップやしおりは見えるが、ログが見えないだけなんじゃないか?
それなら当たり前
ログはPC用のものしか元々置かれてないから
携帯じゃパワー不足で表示されないに決まってる
ブラウザ対応とか林檎対応とかとは別次元の話

325:風と木の名無しさん
06/12/21 11:51:50 3oJAIWCg0
何気にスレと無関係な愚痴だなw仕事なんだからガタガタ抜かすな>323
携帯でもフルブラウザとかなら見れるんでないの?

326:風と木の名無しさん
06/12/21 12:04:24 eZVbIMRX0
>>318
乙&感謝

19thの571よりつづき

327:テュランの筏1/11
06/12/21 12:06:06 eZVbIMRX0
七日目 午後

いつごろ、藤吾の笑い声が止んだのか、それすら僕は認識していなかった。
ただただ、じりじり焼かれる肌、革の軋む音に、神経を集中していたから。
クリフは時々思い出したように、藤吾をののしる言葉を浴びせた。
しかし決して、藤吾は挑発にのらなかった。
真上にのぼった太陽は、水面の反射効果を最大限に受け、僕たちを照りつづけた。
潮風も、今日はよどんでいるのか、生暖かい。
まもなくマストが揺れ、身じろぎと共に、楊玲が短く声をもらしはじめた。
ギュ、ギュッと革のこすれる音が、とても耳ざわりだった。
「お願い、楊玲。クリフのために、声を出さないで」
そうささやいたが、無駄だった。東洋のイントネーションで、楊玲は苦悶の呻きを上げた。
藤吾はにやりと笑った………かどうかは知らないが、声に応え、宣言通りクリフの頭に力をこめた。
抵抗もむなしく、頭部は海に沈んだ。激しく泡がたち、水をかく音がとどろいた。
かきあげる海水は、いかだの床をビチャビチャとたたく。
クリフの両足が、じたばたと何もない空中を蹴った。
楊玲の叫び声はつづいている。高く、低く。身をよじっているのか、右からも左からも。
藤吾は押さえる力をゆるめない。
海面にのぼるあぶくが少なくなり、クリフの生の痕跡をしめす、足の動きが弱まっている。
「頼む………楊玲。お願いだから………っっ!」
直後、僕はこの「お願い」が、どれだけ身勝手なものだったか、自分の身で味わった。

328:テュランの筏2/11
06/12/21 12:07:17 eZVbIMRX0
革のひもは、内側にあるものをいっせいに、締めにかかってきた。
肩と胴体と、そんな境目など知ったことないと、二の腕と胸部をつなぐ部分は、脇のしたの隙間を完全に埋め、それでも足りずに肉を締めあげた。
筋肉があらぬ方向へ、曲がる。脂肪の層を無視して、締まる革は直接骨を苛みに、縮みつづける。
「っ、くあ、っ………ああっ」
だめだっ、声を出したらだめだ。強く唇を噛みしめる。
楊玲の方も一段落ついたのだろうか。
今はただ荒い息を、不規則にはきだしているだけだった。
視界の端で、クリフが引き上げられていた。
肩をゆらして咳きこんでいる。前髪といわず、顔中から水滴がしたたり落ちている。
よかった、大丈夫みたいだ。そんな一時の安堵は、すぐにうち砕かれる。
かけられた海水が、胸部から下半身へと流れるその速度で、僕はふたたび誓いを破ってしまう。
「ん、ぁ………んあっ!」
じわじわと、ほんとうにわずかずつだが、革のひもはペニスを包みこむその圧迫を強めていた。敏感な部分にもう一つ。尻の間を割った革もまた、肉体をわりいって入りこんだ。
けど、これは………?
疑問を解決するひまもなく、ふたたび革はギュと音を立てて締まった。

329:テュランの筏3/11
06/12/21 12:08:23 eZVbIMRX0
「ん、っく………」
分かった。革のひもの、結び目だ。
胸部を絡める、ちょうど胸の先端にあたる部分に。尻の割れ目は、後孔にあたる位置に。
ペニスは、囲むあちこちに、微妙な段差と、ゆるやかなカーブをもつ、結び目が作られていたのだ。
『………ほかの部分の刺激を増して………』
いやらしく笑った藤吾の言葉を思い出し、僕は蒼白になった。
刺激って、こんな部分にっ!?
考える間にも、じわじわと革ひもはせばまっていった。
縛られる痛みと、敏感な部分を三点同時に責められる得も知れぬ感覚に、僕はもだえる。
「………っ、い、や、やめっ………」
革に命令をしてどうなるのか。ただ、僕の言葉はふたたび藤吾を動かしてしまった。
息をつぐひまがあったのかどうか。クリフの頭部が海中に沈む。
抵抗は最初激しいが、前ほどの時間をおかずに、すぐ弱まってしまう。
「クリフっ!」
僕の叫びに、藤吾は振り返り、クリフをさらに海へと押しこんだ。
「ぁあ………」
その短い、ため息めいた言葉を最後に、僕は頬の内側を強く噛みしめた。
傷つこうと、血が流れようと、何が何でも声を出すものか。
その決意の横で、楊玲は苦悶と快楽のいりまじった声をあげはじめる。
楊玲が、気がすむまで叫び、クリフが引き上げられるまで、どれほど長く感じられた事だろう………

330:テュランの筏4/11
06/12/21 12:09:38 eZVbIMRX0
恐ろしい事がおこった。
革の圧迫は、痛みに抵抗力が出来たのか、それほど厳しくはなくなった。
けれど、胸の先端と後孔と、ペニスと、敏感な部分を刺激する結び目に、僕の身体は生理的反応をしてしまっていた。
さくら色の突端を、つぶれんばかりに押しつぶされ、後孔は結び目の頂点が、内壁をえぐりこまんばかりに入りこんでいた。
身じろぎすると、重なった革のカーブは、一時的に去る。
しかし収縮する革は、自然に、もとの位置戻ってきて、藤吾がもくろんだとおりの場所を、責めさいなみ、決して止めない。
となりで楊玲の声は、熱っぽい喘ぎをふくむものになりかけていた。
僕は、聴覚からも反応したのだろう。下半身に血が集まりはじめる。
少しずつ、少しずつペニスがふくらみ、持ちあがる。
「ぁ、ああっ………」
ささやきのような声。吐息まじりの声。根元を包みこむ革、そこのいたる部分にある結び目が、やわらかく表面に食いこむ。
だが、それはほんのわずかの間だけだ。
このまま勃起しつづければ、革も、結び目も、ただ苛む道具にすぎなくなる。
頭を振って、思考を痛みだけにしようとした。興奮なんかするな。快楽なんか感じるな。
クリフなんて、あんなに苦しい思いをしているんだぞ!
僕はもうろうとしかける意識をふりしぼった。

331:テュランの筏5/11
06/12/21 12:13:04 eZVbIMRX0
楊玲の喘ぎ声の合間に、引きあげられるクリフ。
上下する肩はとても、弱弱しい。
咳きこむ声が、だんだんと水気を含んできているようだ。顔は紙のように真っ白い。唇だけは青を通りこして、紫になっている。
馬乗りになったまま、藤吾は右手で、ぺちぺちとクリフの頬をたたいた。
もう、反応する気力もないのか、クリフはされるがままになっている。
そして、僕は見た。藤吾の白いスーツ。
そのスラックスの股間が………たぎり、盛りあがっている事に。
あいつは………あいつは、僕たちを恥辱に陥れただけじゃない。
残酷にだまして、絶望と後悔を与えた。クリフを苦しめ………それだけじゃ済まないで、性的に汚しもするのかっ!?
僕の眼の裏で、赤いものが光った。血が逆流するような感覚を覚え………でもそれは怒りじゃなかったのだろう。
「………う、あああっ!」
股間に起こった激痛。耐えられなかった。間違いなく藤吾まで届く、大音響で叫んでしまった。
音に反応するパブロフの犬のように、藤吾はあっさりとクリフの頭を海に沈めた。
しかし、僕はもうそれに構っていられなかった。
はちきれんばかりの血液がたぎっているペニス。もう大きくなるのは止められない。
革がギチギチと鳴っている。腿と脛を結ぶ革ひもを締めあげても、余裕はできない。
ひもは、今にもちぎれそうに、限界まで張っているのに、それでもふくれあがるそれを解放してはくれなかった。
耐えられない痛みに、頭で火花がとんだ。痛覚の神経は、脳と、僕のペニスだけでつながっていた。

332:テュランの筏6/11
06/12/21 12:14:17 eZVbIMRX0
「………っ、お願いっ、解いて、外してっ、外して………っ」
藤吾は振り向きもせず、クリフをさらに沈めただけだった。
海面は静かだった。泡もおきず、波も立たない。
「やめて、お願い、痛いっ………やめてっ」
涙目になりながら訴える。藤吾は時計をチラと見、こう呟いただけだった。
「まだ半分だ、一時間しかすぎていない」
僕の目尻にあつまりふくれあがった涙は、ブワと音をたててあふれた。
痛みと、あまりにも長すぎる絶望の時間に。
誓いをやぶって泣き言を口にする、自分の意志の弱さに。

なににも形容できない、二時間だった。片刃のナイフで、革ひもが切られていく。
楊玲が先に解放され、は、と短く声をあげた後、その場に倒れるようにうずくまった。
彼は残りの時間、ほとんど声をあげていなかった。
それが首輪の圧迫によるものだと、僕は今知った。
僕の声も、それで物理的に抑えてくれればよかったのに………自分の弱さをたなにあげて、調子のよい事を言う自身にまた腹が立った。
藤吾がいましめを解いていく。肩も足もなにもかもこわばってしまっていた。
たった今、黒いトランクは無防備状態である。
楊玲は全身痣だらけでうずくまり、僕も同じような状態だった。

333:テュランの筏7/11
06/12/21 12:15:05 eZVbIMRX0
クリフは………いかだの端でうつぶせたまま、動かなかった。
あの状態に陥らせてしまったのは、すべて僕のせいだった。
後半の一時間、痛みに耐えかねて何度も上げた声。
一度勃起がおさまっても、快楽の波は何度もやってきた。革ひもは締まりつづけた。
痛みも、敏感な部分への刺激を、強めて。
僕がするのは、クーデターじゃない。
僕が快楽に負けて犠牲になった、クリフを救うために、動かなくてはならない。
目の下の、涙の白いあとをぬぐう。泣いている場合じゃないんだ。
骨がきしきし言うのも構わず、僕は床に置いてあるボトルと箱を抱えて、立ちあがった。
ちょうど、藤吾は黒いトランクに戻り、優雅に腰かけたところだった。
僕は足をひきずって、その前を通りすぎ、クリフの横にかがみこむ。
手首をとる。脈はあった。しかし、腕もほかも氷のように冷たくなっていた。
意識を失っていると、体温の低下が激しいと聞いた事がある。
頬をぺちぺちと叩いてみるが、反応はない。
僕は顔をあげ、藤吾に請求した。
「タオルと、それから気つけの薬か何かを」
藤吾は唇の両端をもちあげる。いやな、笑いだった。
だけど、僕は怯えない。まけない。クリフを救うためなら、何だってやる。
背でトランクの中身が見えないように隠し、藤吾は白いタオルと、茶色い瓶を取り出した。
「いちおう、両方ある」

334:テュランの筏8/11
06/12/21 12:15:52 eZVbIMRX0
「僕は、何をすればいい?」
毅然とした態度で問い返す僕に、藤吾は考えこむ様子をした。
顎に手をあて、痣と内出血だらけの僕の身体を見下ろす。
「よし………じゃあ、キスしろ」
僕はぽかんと口をあけた。目も見開いていたと思う。
しめたふたの上で、足を開いて座り、藤吾はにやにやと笑いつづけていた。
「分かった………僕が、あんたに、すればいいんだな?」
怯まない。まけない。こんなの痛くも痒くも、なんともない事。
藤吾はうなづかなかったし、べつに身をかがめもしなかった。
僕は足音をひそめて近づき、トランクに手をつけ、顔を上向けたが、届かない。
両膝をトランクにのせる。それでやっと、顔の高さが同じになった。
どこかつかまる部分はないかと、すでに薄闇がおとずれている中を、探した。
白いスーツの腕らしい部分にふれた瞬間………パシンと、音を立てて振り払われた。藤吾の左腕が、背中の後ろに隠される。
「立て膝でやれ」
僕は命令にしたがった。ちょっと上半身が不安定だが、どうせわずかな時間だ。
顔をこころもち傾け、鼻に鼻で体当たりする気持ちで近づけていく。
ふれた感触は………悔しいが、うるおいだった。
好きなだけ水飲んで、節制と無関係だったら、そのくらい保てるだろうよ!
腹が立ち、すぐ離れようとした頭部は、ものすごい力で抱えこまれた。

335:テュランの筏9/11
06/12/21 12:16:32 eZVbIMRX0
「………っん、むっ」
暴れるが、頭を抱える腕はびくともしなかった。うるおった唇が、僕のかさかさの口を、かかえこむかのようにくわえこんだ。
そして入りこんでくる、熱くてぬめぬめした塊。
決して自分の唾液ではない粘着性が、僕の唇と、それから口内を蹂躙する。
思わず両腕が勝手に動いた。
突きとばそうとスーツの胸をめいいっぱい押したが、それは揺るぎもしない。
生き物のようにうごめく熱をおびた舌。
せまい口内でちぢこまっていた僕の舌に、からみつき、なめあげ、引きずりだそうとする。
「ん、んんんっ!」
言葉に出来ない、いやだと頭をふる事も出来ない。
さんざんになぶっていった後、やっと、舌は離れていった。
代わりに唾液をたっぷりと送りこんで。次いで、頭をとらえる腕もとかれた。
僕は息をとめ、飲み込まないで頬にためた分を、床に唾棄してやるつもりだった。
瞳には、強い憎悪がともっていたと思う。
それを感じたのか、くっと笑った藤吾は、すばやく手を伸ばして、僕の鼻をつまむ。
たちまち頭の中に、緑色のもやがかかった。
呼吸をとめていたツケもまわって、心肺停止寸前だった。
たまらず、口の中のものを飲みくだし、かわりに空気を取りいれた。
舌に触れ、喉を通ったその感想など………考えたくもない。
トランクから転がるように、僕は床に降り立った。

336:テュランの筏10/11
06/12/21 12:19:25 eZVbIMRX0
肩が上下に震え、息が荒かった。
僕の背中には、あざけるような視線が突き刺さっている。
泣くな、まけるな。クリフを救わなくちゃ。
その一念だけが、僕を動かすすべてだった。
さしだす品を奪いとるようにして、一度戻り、それからもう一度、藤吾の前を通りぬけ、うつぶせたままのクリフをかついだ。
両手はまだ、手錠で背にくくられている。
「手錠を」
「彼自身が、次に命令にしたがうまで、そのままだ」
それが、テュランのさだめたルール、ペナルティなのだろう。
おんぶ出来ればよかったけど、体格も体重も同じくらいで無理だった。
半分引きずる感じで、運ぶ。
クリフのタープをひろげ、横たえた。
身体はあおむけに、頭だけ横をむける。
日暮れが近づいてきていた。日没後は、急激に温度がさがる。
全身をタオルでぬぐい、金髪はわしわしとふき取り、水気をとりさった。
タオルを何度もしぼり、血行をとりもどすように、肌をこすった。
真っ白だった肌に、わずかに赤みがもどった気がする。
僕は自分の手当てに自信を持ち、何度も何度もつづけた。

337:テュランの筏11/11
06/12/21 12:20:03 eZVbIMRX0
「トーゴ………」
夜気を渡って、甘ったるい楊玲の声が聞こえてきた。
彼の行動は、僕に何の関連もない。
彼は欲しいものをくれる人のところへ行った、それだけだ。
怒ったように言いきかせ、僕は作業をつづけた。
頬にだいぶん赤みがさした頃、小さな茶色い瓶をとりあげる。ブランデーだ。キャップを開け、クリフの唇にあててみた。
まだ青い唇は、意思を取り戻さないのか、琥珀色の酒を吸いこもうともしなかった。
口に含みかけ、僕は途中で思いとどまった。
今夜だけは、いやだった。汚された唇で、クリフに触れたくはなかった。
さんざん苦労し、床に何度かこぼしながらも、一口分の量をそそぎこんだ。
頭を抱えて持ちあげ、喉を下ったのを確かめる。
「………んっ、う」
クリフの口から小さく声がもれ、僕は安堵した。
まだ氷のように冷たいクリフの両手を胸に抱えこみ、僕はとなりに横たわって、タープをかけた。

338:風と木の名無しさん
06/12/21 16:32:14 UdbrPEjMO
テュランタンキターwwww
ずっと待ってたGJGJ!!
今までの中で一番よかった

339:風と木の名無しさん
06/12/21 16:41:27 R/PXC4xMO
ついに接吻キター!
乙です!

340:風と木の名無しさん
06/12/21 18:28:46 nyKlm8mu0
おお、ティランタン、虐待っぷりがGJです!
主人公、一皮剥けた感じだな。

341:風と木の名無しさん
06/12/21 19:50:53 7fWLdVYZO
テュランタン、キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
超待ってたよ~!
相変わらずの藤吾の鬼畜振りに腹腸煮えくりかえりそうだよ。
は…早く…続きを…。

342:風と木の名無しさん
06/12/21 19:51:41 c6rBphmv0
テュランたん乙!!!
藤吾まじで鬼畜だな。

>>323
自分語り乙。
日記にでも書いてればいいのに。

343:風と木の名無しさん
06/12/21 20:37:50 bPprW+AW0
>>318に携帯ログも載せといたのでリロよろ

344:風と木の名無しさん
06/12/21 22:58:35 fdZyN3dOO
乙!ほんとに携帯まとめ、ありがとう!

345:風と木の名無しさん
06/12/22 01:04:16 KnvK3ZBZO
>>343
おおぉ有り難うございます!

346:テュランの筏1/7
06/12/22 12:01:28 K6qY2cSY0
八日目

目覚めたのは、昼すぎだった。午前中に何が起こったか、それは知らない。
ただ、目の前にひろがる惨状を見れば、推測はたやすかった。
乱暴に押しひろげられたタープ、足元いちめんにちらばっている空き箱、クッキーのかす。転がっているペットボトル。空っぽのブランデー、一面ただようアルコールの香り。
………そして赤ら顔で前後不覚に陥っている、クリフの姿だった。
彼のタガは、はずれてしまったのだ。
両手を背中に拘束されたまま、酒臭い息をはきだし、べろんべろんにタープにだらしなく寝そべっている。
食べちらかし方がひどいのは、彼がそのままの体勢で、口しかつかえず、それでも乱暴にむさぼったからなのだろう。
歯で封をくいちぎり、犬のように床に置いた食料をがっつく。
想像するだけで、僕は悲しくなった。
ボトルのキャップにも歯型があった。けれど、開かなかったのだろう。
かわりに、指で押すだけで、楽にふたが開くブランデーを飲んだ。
唇にくわえこみ、頭部ごと傾けて。
彼の姿を思い浮かべて、僕は胸がつぶれる気さえしたものだ。

347:テュランの筏2/7
06/12/22 12:02:27 K6qY2cSY0
だけど、今は酔っ払いの患者を、なんとかしなくては。
ブランデーのアルコール濃度は強い。薄めなくては、中毒をおこしてしまう。
転がっていたボトルを拾う。キャップを開けながら、クリフに近づいた。
「大丈夫? 水、飲んで」
意味不明な単語がクリフの口からもれ、うつろな表情がだらだらと横に振られた。
酒くさい。全身からアルコールがたちのぼり、目は焦点があっていなかった。
僕は強引に飲み口をクリフの唇にあてがった。
舌をしめらすていどに傾け、ゆっくりと含ませていった。クリフの喉が、鳴った。
哺乳瓶をもとめる赤ん坊のように、彼の唇は飲み口に吸いついた。
むせるといけない。僕はボトルの角度を慎重にさだめ、彼の気がすむまで、水を与えつづけた。
三本目を手に取ろうとしたとき、ふいにクリフの瞳に光がともった。
顔色はだいぶん平常に近づいてきていた。全体的に弛緩していた身体に、緊張が戻っている。
とうとつにクリフは身を起こした。
大丈夫かとたずね、手を伸ばす僕をふりはらい、海にむかって上半身を屈めた。
激しく咳きこむ音。それにまじって、ビチャビチャと熱い液体が水面を叩いた。
僕はボトルを横に置き、黙って彼の背中をさすった。

348:テュランの筏3/7
06/12/22 12:03:15 K6qY2cSY0
白く細く、そして誰よりも孤高なクリフの背は、今はただ苦しみに喘ぎ、罪悪感をせおっているだけの、折れてしまいそうな少年の背中にすぎなかった。

ひととおり、胃の中のものを吐きだしてしまったのだろう。
クリフの顔は青白かったが、呼吸が楽になるにしたがい、顔色ももどってきた。
だが彼は、視線をあわせようとはしなかった。背をむけつづけ、さする僕の手を拒否した。
タープに身体を横にし、頭部だけうつぶせる。一言も、口をきかなかった。
僕はクリフの様子を観察しながら、床を片づけた。固形食品は、全滅だった。
かすをかき集め、あさましい食欲に悩みながらも、それを海に掃き捨てた。
水は、床に置いたボトル一本。中身は半分ほどだ。それだけしか残っていない。
クリフは僕のタープも荒し、まとめてむさぼっていた。
これがどちらの水かなど分からなかったし、僕はそれを知ろうとも思わなかった。
身のまわりの整理をすませ、あまりにもすっきりしすぎた床を見下ろす。
気持ちに空白が生まれたからだろうか。風に乗った楊玲の喘ぎ声が、やけに大きく届いた。
さっきは、藤吾に組み伏せられた体勢だった。
今は、四つんばいになり、尻を突きあげている。
口の端からはたえまなくよだれが流れ、目は恍惚とした色をたたえていた。
藤吾は、用心深くトランクに座ったまま、楊玲を責め立てている。

349:テュランの筏4/7
06/12/22 12:03:50 K6qY2cSY0
テュランは、反乱分子を見つけてしまった。
彼はこれからずっと、アイデンティティーから遠ざかるまねはするまい。
クリフが言ったとおりだった。チャンスは、ほかになかった。
実行にうつしたのに、テュランは僕たちより、一枚上手だった。
国なのだ。海に浮かぶ十メートル四方の小さな国。
治めるのがたとえ暴君だとしても、国民よりはどこか秀でた部分があるわけだ。
たとえば………残虐な精神とか悪知恵とか。
僕はためいきをついた。楊玲の喘ぎ声が、耳について離れない。
彼のように支配下におさまってしまえば、楽なのだろうか。
少なくとも、毎日は保証される。命令も、快楽だと思ってしたがえば、それほど辛くはないのかもしれない。
『………君は意思が弱そうだから………』
いつか薄笑いとともに、僕を苛んだ藤吾のセリフがよみがえってくる。
僕はぶんぶんと頭を振って、弱い心を追いはらった。

日が沈むころ、クリフは頭を振りながら起きあがった。
口からは不鮮明な呻き声がもれている。
僕はボトルを手に、そばへ寄った。


350:テュランの筏5/7
06/12/22 12:04:35 K6qY2cSY0
「水、飲んでおいたほうがいいよ」
アルコールが抜けた焦燥感、吐いたときに口内の水分を失い、クリフは渇いているはずだった。
クリフの唇はかたく結ばれていた。
長すぎる間をおいてから、彼はゆっくりうなづいた。
僕は立ちあがり、ボトルの飲み口をあて、そろそろと傾ける。
クリフが首を振り、もういいと意思を示してから、たっぷり二秒置き、僕はあてがうのをやめた。
ボトルの底は、もう小指ほどの水しか残っていなかった。
唇をぬぐおうとしたのか、クリフの背中で手錠が鳴り、
忌々しそうな舌打ちの後、ピンク色の舌が這った。
「手錠は、その………君が次にしたがうまで、そのままだって」
これは僕にもどうにもできない。
ただ、伝えておかなければならなかった。
クリフは反応をみせない。
「ほかに、何か出来る事、ある?」
あまりにも不自由な状態だった。
水も一人では飲めず、痒いところもかけない。
心からの心配をみせたつもりだったが、クリフは顔をそらせただけだった。

351:テュランの筏6/7
06/12/22 12:06:25 K6qY2cSY0
「じゃ、何かあったら言って」
僕はタープにくるまった。
まだ夜まで間があるが、眠る以外にする事はない。
起きていれば飢えと渇きにさいなまれる。クリフを困惑させる。
早く睡魔がきてくれるよう願いながら、僕は目を閉じる。
「………俺を、罵れよ」
「誰も、そんな事はしない………仕方なかったんだ」
タープの生地を通るか、通らないかの小さな音声で、ささやきが交わされた。
「確かめればよかった。鍵穴がない事なんて、ちょっと見ればすぐに………」
「仕方なかった。誰も、悪くないんだ。
客船が沈没した。海に落ちたとき、コンタクトを失った。
誰のせいでもない。
救いあげられたいかだは、暴君に支配されていた………運が悪かった。
仕方ない事だったんだ」
僕はクリフを説得し、自分にも言い聞かせるように、仕方ないを繰り返した。
………だけど、ほんとうにそうだったんだろうか?
その疑問はいつまでも、僕の胸に残った。

352:テュランの筏~海市7/7
06/12/22 12:11:28 K6qY2cSY0
*  *  *
「先週の土曜から昨日までの事件の顛末を説明します。
私、矢野島とそれから当学園の男子生徒三人が、裏山にある防空壕跡地に、土砂崩れにより閉じ込められました。
昨日、救出が来るまでの間です。
私は生徒らに教育を施しました。性的な。
身体でのつながりは当然、心………も意のものにしました。
私、矢野島は本日を持って教師を辞職させていただきます」
朝の職員会議、昨日まで同僚であった教師らの、ぽかんとした顔は今でも忘れられない。

藤吾は、教職時代の夢からさめた。
背広の内側をあさり、サプリメント――カフェインの錠剤――を数錠飲みこんだ。
脳の芯がぼっとしている。
浅い眠りで一週間以上すごしたツケがきていた。
忌々しく舌打ちする。
すぐ横で寝息が聞こえる。赤毛の楊玲。
いかだ端の少年二人は海を見ている。
彼らはまだ教育過程。目を離すわけにはいかなかった。
水を一口あおる。胃で溶けたカフェインが意識を明瞭にした。
*  *  *

353:風と木の名無しさん
06/12/22 13:01:55 5ZKFzdQ6O
新展開キタコレw
テュランタンGJGJ!!

354:風と木の名無しさん
06/12/22 14:34:00 s4n3FH7u0
心が折れてしまったクリフたんのみじめさに激萌え!
こういう展開を期待してたんだー!GJ!!!!

355:風と木の名無しさん
06/12/22 17:30:31 Wmzj2hwoO
うきょー!(゜∀゜)
藤吾の過去ktkr!


こうなると藤吾がここまで用意周到な事情ら辺が気になってくる。
続き超期待!

356:風と木の名無しさん
06/12/22 21:54:45 p+qE7UEe0
藤吾!
てめぇ筋金入りのヘンタイ虐待野郎!
続きを早く…!


357:風と木の名無しさん
06/12/22 23:38:48 gMQw7TEs0
テュランタソGJGJ!
久々通っちゃうよこのスレ!

358:テュランの筏1/14
06/12/23 12:01:30 SX9+qyqW0
九日目

日が昇った。藤吾の前に、僕たち三人は顔を並べ、テュランの命令を待っていた。
藤吾政権が確立したわけじゃない。
クリフは、どうしても手錠を外してもらう必要があった。
寝返りもろくにうてず、何もかも僕の手を借りなければならない状態は、いちじるしく彼の誇りを傷つけただろうから。
支配勢力が強まるのを見守る王めいた笑みで、藤吾は口を開いた。
「今日は口淫をしてもらおう。イクまで、やらせる」
日本語万能な僕を含めて、全員がポカンとしていた。
藤吾は不機嫌さを隠さず僕らを見渡し、トランクに腰かけたままの足を広げた。
汚れる事を知らない白いスラックスの、股間を指さし、短く言う。
「しゃぶれ」
尻尾をふらんばかりに身体中で感情を表現し、さっそく顔をうずめたのは楊玲だ。
………つまり、ペニスを口で刺激しろ、って事か。
単語の意味を知ったが、僕は何の感情もわかなかった。
異様な生活の日々で、心がマヒしていたのかもしれない。
と、隣でクリフが青い瞳をきらめかせた。
唇が挑戦的につりあがり、好戦的なオーラが、身体中からたちのぼっている。

359:テュランの筏2/14
06/12/23 12:02:58 SX9+qyqW0
「いいのか、日本人のおっさん。そんな大事な部分を、俺にさらしてしまって。
もちろん、もうペナルティはごめんだ。
けど、ついつい力が入りすぎてしまうのは………防げない事故、だよな」
クリフは挑発した。藤吾が眉をひそめた。
いかにも彼らしかった。どうしても命令を受けなければならない今日。
誇りを折ってまで、屈辱的な行為にあまんじるのだ。
せめて、溜飲を下してやりたいと、そう思うのは当然。
藤吾はクリフの脅しで、一瞬だけど急所をさらす恐怖を感じた。
実際、一昨日のペナルティも重く、クリフはそうそう政権転覆はくわだてないだろう。
ただ藤吾を怯えさせる為、自分の矜持を少しでも守る為、クリフはこうして火種を含んだ言葉を投げかけている。
楊玲がみだらな水音を立てて、口内いっぱいにほおばる響きを聞きながら、わずかばかりの沈黙がおりた。
藤吾がいやな光を目に浮べ、口を開いた。
「どうせ二人いっぺんには無理だ。
そこの智士君のを、しゃぶりたまえ。クリフ君」
瞳孔が最大限に開くまでの、間。
「な、っ………俺は、楊玲が終るまで待って、それからでも、っ」
「智士君をイカせるんだ」
命令はくだされた。

360:テュランの筏3/14
06/12/23 12:24:43 SX9+qyqW0
僕は考えた。寝起きの頭を働かせて、一生けんめいに考えた。
………どうすれば、クリフの心の負担を少なくしてあげられる?
………ここは国だ。暴君が支配する独裁国だ。命令は強制だ。誰もさからえない。
………仕方なしに、いやいやながらもしたがうのならば、暴君を憎む分、心は痛まない。
「い、いやだっ」
全員に行き渡る大声で、僕は宣告し、逃げるそぶりを見せた。
くっ、と笑った藤吾は、何をするかと思えばネクタイをスルリと抜き、それを楊玲の首に巻いた。
しゃぶる行為に熱中する楊玲は、喉にふれる絹の素材など、まったく気付かず、一心不乱にほおばりつづけていた。
「逃げるな。こっちに来るんだ」
ネクタイの一端が、ひっぱりあげられる。
それでも楊玲は目をトロンとさせ、口から、鼻から、熱い息を吐きだしている。
僕は間を置いてから、しぶしぶと言った表情を作り、歩みよる。
「座れ」
言われたとおりにした僕は、それでも抵抗に正座をした。
「手間をかけさせるな」
ネクタイを引く手に力がこもる。

藤吾はトランクから離れても、十分テュランでいられるだろう。
彼は脅す手段をいくらでも持っている。

361:テュランの筏4/14
06/12/23 12:25:25 SX9+qyqW0
クーデターの時だって、十分僕たちの生命をタテに出来たのだ。
なのに彼は、もっとも残酷な方法で、僕たちの心をうちくだいた。
哀れで、何も持たない、寄り集るしか出来ない国民をいたぶる。
その手段を星の数ほど、手中にかかえて。

………迷った挙句、僕はあぐらの形をとった。
藤吾はネクタイを持つ手をゆるめない。
クリフに見せつけるように高く持ちあげた。
舌を這わせていた楊玲が、熱い吐息の途中で、疑問符いっぱいの呻き声を発する。
それがきっかけになったのだろう。クリフはゆらりと動いた。
僕は藤吾に肩を強くおさえられ、身動きならなかった。
顎のすぐ下で、淡い金髪がふわふわとうごめいている。
かがみ込んだクリフは、横の楊玲をちら、と見てから頭部を下げた。
生唾を飲みこむ音が聞こえるほど、場は静まり返っていた。

開幕を告げる音は、なにもなかった。あっさりとクリフの唇は僕のペニスに触れる。
「………っ、っつ!」
背筋に電流がはしり、僕は声を殺す事も、身を震わせるのも止められなかった。
竿の部分を、ひからび表面が少しささくれているクリフの口唇が這っていく。

362:テュランの筏5/14
06/12/23 12:26:25 SX9+qyqW0
今までに一度も感じた事のない、刺激だった。
指でもなく手の平でもなく、あの忌まわしい革でもない、熱をもって独自にうごめく生き物のようだった。
「口内にふくめろ」
短く藤吾の指示がとぶと、クリフは言われたとおりにした。
ふわ、と熱い息が先端にかかったかと思うと、たちまちそれ以上の熱さで包みこまれる。
「ん、んんっ!」
言葉になんて、ならなかった。ピンクの唇が囲んでふれる部分。
口の中で熱い吐息を受ける位置、そして口内でうごめく舌に触れる先端。
なんとも柔らかく、僕をとろかすように包んでいるのだ。
ビクンビクンと、背が二度つづけて跳ねた。
僕の突然の動きに、クリフは含んだまま、頭部の動きを強制された。
ととのった眉がひそめられ、空色の瞳が、苦しげに閉じられる。
………あっ、あ、だめだ。だめだっ、大きくなるなっ。
自分の分身に命令しても、当然ムダだった。
僕の意に反して、ペニスはむくむくと盛り上がりはじめた。
頬の中が張り、唇を押しひらく感覚に、クリフは大きく見開いた。
小さな口で、なんとかほおばりつづけようと、懸命になっている。
息苦しいのか、ふう、っと熱い空気の奔流が囲む内側をなでていく。

363:テュランの筏6/14
06/12/23 12:27:31 SX9+qyqW0
「ん、ううっ」
やわらかく表皮をくすぐる息。僕はもう下半身に流れこんでいく血流を止められなかった。
隣で楊玲はピチャピチャと、ねばりつく水音を立てている。
対してクリフは声も粘りも殺し、息に転化している。
熱く、細く、まるで繊細な管楽器をとりあつかうように。
舌がおそるおそるふれ、歯が壊れものを扱うようになでていく。
吐息と絡まりあった刺激に、僕の身体には電流が流れっぱなしだった。
電気のしびれが、頭を満たして、一色に染めあげていく。白。真っ白だ。
視覚を失った僕は、かわりに聴覚がとぎすまされた。
ピチャ、ピチュと水っぽい楊玲の舌の動き。
ん、ふぅっ、と熱いクリフの吐息。
身体中をかけめぐる、快感のしびれ。
震えてとまらず、とうとつに水音も、吐息もかき消えた。
はじけるっ――。
「だ、だめっ、クリフ………出っ………」
しぼりだす声に反応して、藤吾は僕の肩を押した。残酷に冷酷に、前方へと。
はちきれんばかりの僕のペニスは、いちだんとクリフの口奥を蹂躙した。
ピンクの唇を強引にすべり入る、その刺激は、最後の殻を破りさった。
感度が最大になっていた先端が、柔らかな最奥に当たる感覚とともに………僕はすべてをときはなった。

364:テュランの筏7/14
06/12/23 12:28:01 SX9+qyqW0
「ん………ぐ、うっ!?」
えづきかけて、顔をゆがめていたクリフは、口内から喉にかけてほとばしる熱いものに、気管をふさがれ言葉にならない声をあげる。
僕がどうすればいいか分からず、うろたえている間に、藤吾の腕は僕を突き倒した。
温かく柔らかに包まれていたペニスは、白い糸と透明な唾液を引きながら、僕の身体と一緒に、床に倒れこんだ。
藤吾は僕に一べつもくれず、そのままクリフの鼻をつまむ。
「飲め」
命令はくだされ、クリフは頬のあたりに皺をつくりながらも、喉をうごかした。
肩がビクンと震え、僕はハラハラしながら見守ったが、まもなく嚥下する音がやみ、クリフは小さく息を吐き出した。
スッと鼻から手が離れていき、そのまま藤吾は僕を見た。
ペニスがいつもの状態へ戻るまでの間、なにもせず、ぼうぜんとしていただけの僕。
自分自身がとっても悔しくて、なじりたくて、たまらないのに。
追いうちをかけるように、藤吾は笑った。蔑みの表情で。
「意思が弱いと、いい事もある………快楽に、身体がはやく慣れる。
しかし、早漏と言われもする………諸刃のつるぎだな」
僕にそうつぶやいた藤吾は、だいぶんたってから、僕の感覚だと数分から十分というところで、ようやくほとばしる白濁を楊玲の顔に飾った。
その時、藤吾はただわずかに顔をしかめただけだった。
楊玲は力つきはてたと言わんばかりに、床に横たわり、荒い息を吐いている。
顎がつかれて動かないのか、口はあいたまま、端に唾液の白い跡を残している。

365:テュランの筏8/14
06/12/23 12:32:05 SX9+qyqW0
僕はそんな風景を見ても、何も感じるところはなかった。
こんなのは、もう日常の事なのだ。それよりも、藤吾が僕につぶやいたセリフ。
それはトゲのように僕の心に食いこみ、思考する時に疼くようになるのだ………

楊玲が起き上がれるようになってから、報酬は手渡されていた。水と、ブロック型食料。
ふと疑問に思うのは、一体どのくらいトランクに詰まっているんだろうか、って事。
さりげなくのぞきこもうとしたが、藤吾のガードは固かった。
………たしか、楊玲が一度見せてもらっていたっけ。
ぼんやり回想していると、手錠を外す金属音の後、乱暴な舌打ちが起こった。クリフだ。
僕は思い出す。そうだ、僕も命令にしたがわなくてはならない。水も食料も、もうない。
それにクリフがあまんじた屈辱を、僕も、国民全員が行う事で、ちょっとでも彼の誇りが守られるならば、僕は喜んでしたがうつもりだった。
「あの、僕も、やります。口淫………」
藤吾のもとへ進み出ようとする僕を、強い力でとどめたのはクリフだった。
僕の胸に、手に入れたばかりのボトルと食料をおしつける。
そして、肩をつかみつづけ、僕が前進するのをはばんでいる。
「これ、クリフのだろ。僕は自分で手に入れるよ」
押し戻して、クリフに返そうとするが、それもはばまれた。
「智士が、する必要はない」
彼の意思が強固で、絶対にひるがえらないと示す、あの頑迷な口調だった。

366:テュランの筏9/14
06/12/23 12:33:02 SX9+qyqW0
返す言葉をさがしたが、十日近いつきあいの中で、どんなに最適なセリフが見つかったとしても、彼の態度が変らないのは分かっていた。
それでもしばらく頑張ってみたが、結局はクリフとともに、いつもの端へ戻ってきた。
ほかには何一つ言葉をかわさず、互いのタープにもぐりこみ、やがて日が暮れた。
クリフから渡されたものは、手をつけなかった………つけられなかった。
胃袋は空っぽで、ねじれそうなほどに痛んだ。喉は赤くヒリヒリして、炎症をおこす寸前だった。
前日残った分を全部あおり、それでも足りなかったが、がまんした。
僕は空腹とも渇きとも別れられる、眠りを待った。
………意識がおちこんでから、どのくらいすぎただろうか。僕は揺り起こされた。
クリフが夜空に焦点をあわせながら、生真面目な顔をしている。
「悪い、起こして。この前頼んだ事、やってくれているか?」
「………ごめん、やってない。星座を観察すればいいんだよね」
「ああ、俺は全然、星がまたたいているのかも見えないから」
僕はタープから出た。冷ややかな夜気が、裸の表皮を震わせる。
歯をがちがち鳴らしながら、一面の星空を見上げる。
いかだの端で、ピッと機械的な音が響く。
一日の終わりを示す、藤吾の腕時計の時報なのだろう。
暴君の支配するいかだでの生活は、十日目に入った。

367:テュランの筏~海市10/14
06/12/23 12:34:11 SX9+qyqW0
*  *  *
泥の混じった唾を吐き、藤吾は意識を取り戻した。
うすぐらい。あたりには湿気に満ちた土の匂いがする。
手首を後ろに縛るロープ、首を拘束するものも同じだ。黄色と黒。工事用の縄だ。
身じろぎすると、喉を締め付けられる感覚と、両脚の痛みが同時に生じた。
記憶がつながる。校舎裏の防空壕跡。たまり場にしている生徒がいる。
金曜日の夕方、見回りてがら足を運び………土砂崩れにまきこまれた。
崩れた木材に挟み込まれたのだろう。
外観から曲がった部分は見えないが、スラックスの汚れからすり傷、打ち身、痣は確定だ。
しびれる足首の状態から、ねんざまで覚悟しなければならないかもしれない。
痛みに顔をしかめた時、声がかかった。
「おはよう、おっさん」
顔を上げる。光源が顔を照らした。キャンプなどで使うランプが、机の上で燃えている。
特殊教室の机、本棚などが持ち込まれ、防空壕の土穴は、見事に秘密基地と化していた。
机に腰掛ける黒髪の少年は、にやにやと笑い、手にしたボトルを飲み干した。
黒い液体、はじける泡………赤地に白文字のラベルで有名な炭酸飲料だった。
舌なめずりをする少年に、思わず藤吾は喉が鳴るのを抑えられなかった。
口の中には、まだ砂の残滓が残っていた。
ねんざが熱をもったのか、意識がぼうっとし、舌は腫れ上がっていた。もちろん渇きに。
小さな呻き声がもれた。藤吾自身は質問事項を口にしたつもりであったが、唇がこわばって言葉にならなかった。
「土砂崩れが起こってから五時間だ。おっさん、喉渇いただろ?」

368:テュランの筏~海市11/14
06/12/23 12:35:17 SX9+qyqW0
にやつく笑みを崩さず、黒髪の少年はつづけた。
その声に、一人同じ制服の生徒が立ち上がる。
髪を一つに短くしばり、細い目が表情をもたずに藤吾をながめている。
「一本、やるぜ。だけど、おっさんの服と交換だ」
未開封のを手に取り、シャカシャカと振る黒髪の少年は、感極まった様子で吹き出した。
「なんてな、じつはもう、おっさんの上着貰っちまってるが」
言われて藤吾は気付いた。自分の上半身が露出し、土の匂いの中で白く浮き出ている事に。
戸惑い、声も出ない藤吾のところへ、黒髪の少年はボトルをふりふり近づいて来た。
「じゃ、これ。上着の分、な」
縛られ抵抗出来ない藤吾の唇に、飲み口があてられる。
キャップを外すと同時に、口唇を割って、強引に入ってきた。
「んっ、んぐ!?」
二酸化炭素の奔流が口内ではじける。
勢いついた水流が喉の奥につきあたり、泡がちくちくと粘膜を刺した。
藤吾は飲み口が離れると同時に、それらすべてを吐き戻してしまった。
飲み込む準備が出来てなかったせいもあるが、大きな理由は刺激物全般がだめな為だった。
幼い頃喘息を患ってから、ずっと喉頭は弱いままだった。
普段の食生活も辛いものなど避ける必要があった。
「き、っ………きたねーなぁ」
間一髪で吹き戻しを避けたものの、足元の水たまりと、飛沫が掛かった己の胸を見下ろし、黒髪の少年は悪態ついた。
「このやろ、せっかく貴重な水分を。あーあ、三分の一も残ってないぜ、飲まないのか?」
厚意ではなく、むしろ嫌がらせか、復讐をたくらむ顔で、少年は藤吾にボトルを突き出す。

369:テュランの筏~海市12/14
06/12/23 12:36:17 SX9+qyqW0
「………飲、めっ………炭酸………」
首を横に振り、あえぎあえぎながら藤吾は単語を伝える。
舌の裏でじゃりじゃりと砂が動く。唾液は出ず、呼吸するだけで、喉に痛みが走った。
何度か繰り返し、少年は悟ったのだろう。
「何だ炭酸ダメなんだ。おーい、ヨウ。他に飲み物あるか?」
「ない」
ヨウと呼ばれた細目の少年は、ぶっきらぼうにそれだけ答えた。
「だってよ、おっさん。ここにはヨウが自宅からかっぱらってきた、コiーラ二ダースしかないんだよ。どーすんだ?」
肩をすくめる少年に、藤吾は答える言葉もなければ、発するすべもなかった。
どうする、と問われてはじめて藤吾の背に戦慄がはしった。
土砂崩れ。防空壕の出入り口。一箇所しかない。
斜面全体で地くずれが起きたのか、ものすごい泥土の量だった。
唯一光のさす穴が、みるみる塞がれていったのが最後の記憶。
めったに人も通らない裏山で、そして明日の土曜から、祝日の月曜日が終わるまで、誰も通りかかるはずもない………
「なっ………、こ、んな………」
声を絞り出すが、自分でも何を発音しているのか、分からない惨状を呈していた。
ヨウと黒髪の少年は、顔を見合わせて肩をすくめた。
喉をからして藤吾はぜいぜいと喘ぎ、拘束を解こうと身をよじった。
縄の首は上部を這うパイプにつながれているのか、カラカラと乾いた音を立てる。
後ろ手と、それから正座のまま縛られた足首は、もがいても緩むようすを見せなかった。

370:テュランの筏~海市13/14
06/12/23 12:37:11 SX9+qyqW0
「ほどっ、い………外は………」
荒い息を吐き、白い肩が上下する。
熱をもった息が肌にまとわり、つやつやと白さを輝かせた。うすくらい土中でさえも。
ゴクリ、と生唾を飲む音が響いた。
「順番変っちまうけど、まー、仕方ないよな」
黒髪の少年は耳の後ろをかきながら、視線を流している。
その手は、制服のズボンの、たぎりかけた股間のファスナーにかかっていた。
「だって、飲むものないじゃん? おっさん。他に」
藤吾は目をみはった。鼻の先に突き出された少年のペニスは、迷うことなく藤吾の唇に割り入ろうとしている。
信じられなかった。直接ではないにしろ、同じ学び舎ですごす同士。
教える側と教えられる側という圧倒的な位置差もあるというのに。
その段差があっさり埋められ、そしてそこを越えて及ぼうとするのが性的な、それも同性同士のものだとは。
そこまで至った思考の結論、愕然よりは、むしろ目の前に現れた青臭い物体に、嫌悪を示して顔をそらせる生理的反応の方が早かった。
声はその後に、ようやくついてきた。ひび割れて。
「………い、っ………!」
ペニスの前進がやんだのは、藤吾の拒否のせいではなかった。
黒髪の少年の肩をつかんだ、ヨウ少年の行動による。
「お前のイカ臭い後は、ごめん被る」
ヨウは短く言い、黒髪の少年を押しのけ、藤吾の前へ出た。
罵り言葉をいくつかわめいていた黒髪は、チェッと呟きファスナーをあげた。
屈みこみ、藤吾と目の高さを同じにするヨウ。
細い目の奥に好色な光がともり、藤吾は怯えるべきか、教師としての叱咤を顔に出すべきか、一瞬迷った。
その隙に、おとがいを持ち上げられ、こころもち傾いたヨウの唇と舌が、藤吾のそれを割って入っていた。

371:テュランの筏~海市14/14
06/12/23 12:38:07 SX9+qyqW0
見開き、反射的に身を引こうと思いつくも、首にかかったロープに阻まれ、
またそれを見越したように、ヨウは頭部を前へやり、唇と舌をさらに深く押しつけてくる。
渇いてひび割れた藤吾の唇の表面をなでつけ、腫れあがった舌に、熱くねっとりするものを絡め………最後にクチュクチュと音を立てて多量の唾液が送り込まれた。
「………む、んっ………」
吐き出そうにもおとがいをつかんだ手は、容赦なく藤吾の頭部を上向けにしていた。
重力にしたがい喉を流れようとする熱い液体を防ごうと、藤吾は舌を喉頭の手前で丸めた。
けれども恐ろしいことに、乾ききった細胞と、口内に残った砂は、じわじわとその水分を吸収し、拡散していった。
甘ったるい味が広がるのを、藤吾は鳥肌とともに感じ取った。
舌を元に戻すと、喉がグビと鳴った。
水分が足りないと訴える、身体の反応だった。
ヨウはそれを見、満足そうに藤吾の顎から手を離し、元の場所へ戻っていった。
「ヨウ、もういいのかよ?」
「また、後で楽しませてもらう」
黒髪の少年があっけにとられた感の問いに、ヨウは手を頭の後ろで組み、そう答える。
藤吾がその言葉の意味に背筋を総毛立たせ、問い詰めを発する前に、
黒髪の少年はたぎりかけたペニスを、口唇を割って侵入させていた。
*  *  *

372:風と木の名無しさん
06/12/23 13:49:13 bjy5VrHdO
藤吾の過去キター! テュランたんgjgj
萌えました(゚∀゚*)

373:風と木の名無しさん
06/12/23 15:24:00 fS/KdLjo0
藤吾、江戸の仇を長崎で討っていたのか?
にしても、どうも過去に遡って天罰食らってるようにしか思えん!
ぐわー続きが気になる。

374:風と木の名無しさん
06/12/23 19:36:09 84yVqLbQO
>過去に遡って天罰食らってる
言い得て妙だ
話のためのキャラクターとは分かってるが
3人が不憫だと思ってしまう罠
GJですテュランたん

375:風と木の名無しさん
06/12/24 11:12:04 bBvd+M6QO
ぬぉぉぁぁ!(゜Д゜)
予想外の展開キタコレ!

藤吾の過去も気になるけど、この後の筏のはどうなるんや~!
続き超期待!

376:風と木の名無しさん
06/12/24 12:24:53 iN/jX46n0
そ、そうだったのかートーゴ!
予想外ktkr

377:風と木の名無しさん
06/12/24 12:42:36 PAG0t5MlO
「白スーツの足を広げ~」の下りでグッときた。
藤吾カッコヨス

378:柿手
06/12/25 00:01:03 dryXLowT0
>>309
いつからそこにいたのだろう。
カワホリと共にあの日の男が、開いた扉の前で悠然と佇んでいた。
平太は飛び上がらんばかりの勢いで立ち上がると、彼の元へと駆け寄った。
「ありがとうございます、清一郎を治してくださって、本当にありがとうございます」
彼の前で腰を折り、平太は深々と何度も頭を下げた。
「すみません、俺、あなたがお医者様だったなんてちっとも知らなくて。
 清一郎のことずっと治療してくださっていたのに、人攫いかと疑ってしまって」
ここ数ヶ月の自分の言動を思い出すと、平太は恥ずかしくてたまらなかった。
死に瀕していた清一郎をここまで回復させるのには、並大抵の治療ではなかったはずだ。
なのに、平太の願いを聞き届け、善意で無償の看病をしてくれた人を、
自分はただ西洋人だという謂われ無い理由で、かどわかしだと決め付けていたのだ。
何度謝罪しても足らない罪だ。
平太は己の未熟さが恨めしかった。
「我が医者?」
己を恥じて顔を上げられない平太の頭上から、含み笑いを滲ませた声がかかった。
「セイイチロウが、そう言ったのか?」
「はい、とびきりの名医でいらっしゃるとか。手厚い看護をしていただいたと聞きました」
「我がか?」
「よく効くお薬も飲ませていただいたそうで、大変感謝していると」
「さて、なんのことやら。薬など飲ませた覚えはないが」
傍らに立つカワホリが、苦笑交じりに応じた。
「きっと、マスターが毎晩セイイチロウさまに飲ませていらっしゃる、
 白い濁り液のことございましょう。この国では良い薬ほど苦いと言うようですし」
カワホリの言葉に、男は低く笑った。
「なるほどあれのことか。だが、セイイチロウがあれを飲まされるのを
 感謝していたとはついぞ知らなかった。いつも嫌だ嫌だと抵抗してばかりで」
「清一郎がですか?」
平太は驚いた。
清一郎はこれまでどんな苦い薬だとて飲むのを嫌がったことなどなかったのに。
半信半疑で振り返ると、清一郎は決まり悪げに目を伏せている。
いったいどうしたと言うのだろう。平太は清一郎の態度が理解できなかった。

379:柿手
06/12/25 00:01:37 dryXLowT0
カワホリに促されて、平太は先ほど座っていた席に戻った。
平太の隣の席に腰掛けたままの清一郎は、男へ挨拶をするでもなく、
不愉快そうに顔をしかめ、彼らと視線を合わそうともしない。
礼儀を重んじる普段の清一郎からは考えられない態度だった。
男はそんな清一郎の非礼を怒るでもなく、平太の正面の長椅子に座した。
西洋人のほりの深い顔を真正面からみると、彫像めいていてなんだか怖い。
初めてあった時と同じく、仕立ての良い服に身を包み、手にはステッキを持っている。
同じ西洋人でも、やはり進駐軍の輩とはまるで印象が違う。
「あの、マスターさんは……」
何処からいらしたんですか、そう続けようとした平太の言葉を、男はぴしゃりと遮った。
「おまえにマスターと呼ばれる謂れはない」
「ですが、カワホリさんはそう呼んで」
「マスターとは主を意味する言葉だ。我の支配下に堕ち、我に全てを奪われ、
 我に絶対服従すべき身となった者だけが、そう呼ぶことができる」
 男は、紫に光る目を眇めてセイイチロウをみやった。
「―そうだな、セイイチロウ?」
清一郎は傍らの平太をちらりと見やった後、悔しげに唇を噛むと、
男の方に向き直り、消え入るような声で呟いた。
「はい、マスター」
清一郎の返答に、平太は耳を疑った。
先ほどの男の説明が事実ならば、どうして清一郎は彼のことをマスターと呼ぶのだろう。
戸惑いの視線を清一郎に向けるが、清一郎は黙して答えない。
(きっと医者と患者の関係だからだ。患者は医者の言葉に逆らえないものだし)
平太は無理矢理にそう納得させようとしたが、どうにも落ち着かなかった。
得体の知れない不安がこみ上げてくる。
何か変だ。
鈍感な平太もここに来てようやく、この屋敷に漂う異質な空気を感じ取り始めていた。
所在無げに目の前の男と、隣に座る清一郎を交互に見比べていると、
徐に男が平太に向かって口を開いた。
「ところで、先ほど、我に何を告げると?」
「それは……あの」
平太は言いよどんだ。

380:柿手
06/12/25 00:02:23 q+MozTVX0
清一郎が患っている病のことを相談すべきかどうか。
男の放つ圧倒的な威圧感と、上流階級の者特有の堂々たる威厳を目の当たりにすると、
だが、とてもではないが、あんな病のことを言い出す気にはなれない。
どうしよう。
脂汗がじとりと滲む。
告げるべきか、告げざるべきか。
傍らの清一郎をそっと盗み見ると、背筋を凛と伸ばし、
一部の隙もない美しい姿勢で、ソファに湛然と腰掛けている。
先ほど、座るだけで痛みに呻いていた様子など微塵も感じさせない所作だ。
おそらく、男やカワホリに症状を悟らせないように必死で無理をしているのだろう。
(背を伸ばせばそれだけ尻に力がこもる。痔には最悪の姿勢なのに)
そんな平太の懸念どおり、よくよく清一郎を見れば、
心なしか顔は青ざめ、膝の上の手は小刻みに震えている。
(やはり放ってはおけない)
あれだけ痛みを訴えていたのだ。
これ以上やせ我慢を続けさせるのは、清一郎のためにならない。
平太は意を決した。
「あの……清一郎は痔を患っているんです」
「平太!」
遮るように清一郎が叫んだが、平太は構わず続けた。
「とても痛がっていて、かなり酷いみたいなんです。
 あの……もしよければ診てやってもらえないでしょうか」
果たして「痔」という日本語を目の前の男が理解してくれるか、
口にした後に不安になった平太だったが、幸いその心配は杞憂に終わった。
「よかろう」
男はあっさりと頷くと、楽しげに清一郎に視線を移した。
「セイイチロウ、そんな大事なことを我に黙っていては駄目だろう」
「そうですよ、セイイチロウさま。マスターには何もかも包み隠さずお話ししないと」
二人の口調は別段咎める様子も気分を悪くしたふうも無い。平太はほっとした。
「さあ、ちゃんと診てもらえよ」
清一郎の腕をとって、有無を言わせぬ調子で促す。
恥ずかしがらずに医師に診てもらうのが清一郎にとって最善だと思ったからだ。

381:柿手
06/12/25 00:02:54 dryXLowT0
「ここへ来て脱げ」
男は短く命じた。
清一郎は黙って立ち上がり、男の前まで歩んで行く。
そのまま平太に背を向けたまま、清一郎は静かにベルトを外し、
次いでズボンを脱ぎ捨てた。
「おやおや、今日はまた随分と素直なことだ」
男は背もたれに寄りかかり、満足そうに微笑んだ。
「おそらくご友人がいらしているからでしょう。ご友人の前で、
 いつものように頑是無い我侭を言うのは恥ずかしいのでしょう」
そう相槌を打ったカワホリに、男は何ごとかを耳打ちをした。
カワホリは一礼して部屋を出ていく。何か用を言いつけられたらしい。
カワホリが消えると、男は再び清一郎に向き直った。
「背を向けて、下着も取れ」
清一郎は、くるりと振り返った。
男と向かい側の椅子に腰掛けている平太とは、丁度向き合う形になる。
平太と視線が合うと、清一郎は気恥ずかしげに視線をそらした。
今日、何度目だろう、こうして視線を外されるのは。
平太は清一郎の態度がどうにも解せなかった。
ずっと一緒に暮らしてきた仲だ。
裸ぐらいお互いに毎日のように見てきた。
今更、何をそんなに恥ずかしがる必要があるというのだろう。
平太のその疑問は、だが、すぐに解けた。
清一郎は僅かに躊躇した後、穿いていた西洋パンツも床に落とした。
露になった清一郎の股座に平太は釘付けになった。
(毛が……ない)
まるで子供の体のように、清一郎の下半身には一本の体毛も無かった。
綺麗に全ての陰毛を剃りとられた肌は、妙に艶かしく劣情を誘う。
平太は慌てて視線をそらした。
(きっとこれも西洋の習慣なんだ)
そう思い込もうとしても、動悸が激しくなるのを止められない。
そんな平太の動揺を知ってか知らずか、男が無機質な声で平太に命じた。
「ランプを持ってここへ来い、そして我の前に患部を照らしてみせよ」<続>

382:風と木の名無しさん
06/12/25 00:51:48 iVI4kn8/0
柿手さん乙!
何も知らない平太の前で羞恥プレイ イイヨーイイヨー


383:風と木の名無しさん
06/12/25 01:41:08 utIaYMP50
何も知らないウブな平太が可愛すぎる

384:風と木の名無しさん
06/12/25 23:07:09 pEZgS1lEO
柿手さんすごく好みwwこの後平太の前でご披露するのだろうか…

385:風と木の名無しさん
06/12/26 03:17:16 x8lXIEqK0
平太にモエモエ~~

386:風と木の名無しさん
06/12/26 23:55:41 GnsmPhpsO
平太可愛いすぎ!!!


387:風と木の名無しさん
06/12/27 05:30:29 78JEzUvN0
平太uzeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!
オマイの所為で清一郎が次から次へと羞恥プレイでカワイソス

恐るべし天然ボケ

388:風と木の名無しさん
06/12/27 08:50:31 wlhl3JzvO
純粋も素敵だ!!

389:風と木の名無しさん
06/12/28 12:25:02 K1xO2TcKO
柿手タンまだかなぁ~

390:風と木の名無しさん
06/12/28 14:30:25 bgPr5/48O
プランたんも。続き待ってるよ~

391:風と木の名無しさん
06/12/28 17:12:39 hUDI01gO0
焼鏝タンも待ってるよ
続き読みたいと思ってたから続編書いてくれて嬉しかった

392:トウワ
06/12/31 00:21:00 Nd97VQBzO
受けとかやったことねぇーよっっっ!やめてくれ!!
必死になって暴れたら、俺の孔に突っ込んだ長い人差し指を、酔っ払いがグルッと回した。
「んあっ!」
俺だっていつもしてることだから、このあと、中指がプラスされるのがわかる。
それから、薬指が入ってきて、どーせ3本の指はバラバラにうごくんだろっ!?
そしたら、ほぐれた孔にちんこが頭を突っ込んで、俺は痛みに泣くんだ。
そして全てはそのとおり。
孔が裂けて痛みに泣いた。貫かれた瞬間、重く響く衝撃に呻いた。
孔壁を圧迫する存在感に怯えながら、抜いてくれ抜いてくれと喚き、動き出したちんこに、動揺した。
はじめは、浅いところで、それから浅く深く出し入れされ、
突っ込まれるより、引き抜かれるときのが感じるんだと教えられ、
抜かれてほっとしつつも、ものほしげに尻をふり、
硬くしこったちんこの先で、生まれてはじめて前立腺を押された時は、体の快感より心の高揚がでかかった。


393:風と木の名無しさん
06/12/31 00:23:35 Nd97VQBzO
すみません、誤爆しました…orz

394:風と木の名無しさん
06/12/31 00:30:25 1qVaFxbn0
死んでくれ

395:風と木の名無しさん
06/12/31 00:35:34 fHC37OADO
待ちに待った年末!
今年はワンワン→亥ですね。ひそかに楽しみにしています。


396:風と木の名無しさん
06/12/31 15:02:31 uq7IEenp0
柿手は…平太が鬼畜なのか

397:風と木の名無しさん
06/12/31 16:12:29 TZFi/jmy0
お年始に初仕事をキボン

398:風と木の名無しさん
06/12/31 20:26:36 onmZ6cnQO
>>396
純粋も時には鬼になるんだよ

399:風と木の名無しさん
07/01/01 00:52:13 UJYcNAmuO
明けましておめでとうございます。
今年も神々の降臨お待ちしてます。

400:風と木の名無しさん
07/01/02 14:21:56 l/lgvfKHO
こんなわがまま連中のとこにくるかよ。

401: 株価【---】
07/01/02 16:26:28 Bdf2mrReO
禿しくいつまでも待っておりますぞ(`・ω・´)

402:風と木の名無しさん
07/01/02 16:37:24 VFVZ6EPz0
気長にのんびり待ってる ノシ

403:風と木の名無しさん
07/01/02 21:17:46 SuWr/p7GO
久しぶりに覗いてみたが、相変わらずつまんねーのばっかだな。
もっと面白いの期待してるよ。

404:風と木の名無しさん
07/01/02 22:55:25 9NfvV1rK0
  _, ,_
(  ゚∀゚)…

 _, ,_
( ゚∀゚ )ソウダ!
            ,_
            (`  )  ゴウカン初め
        _, ,_  ⊂   ヽ ガッガッ
 ヤダァァァァ (Д´ )⌒ヽ  _)_)) ≡
         ⊂ノ(_ ∪J

405:風と木の名無しさん
07/01/02 23:59:38 vIrcIumGO
GJ 姫始めならぬ悲鳴始めですな

406:風と木の名無しさん
07/01/03 13:47:04 LCEHiwriO
誰が上手いことを言えと(ry

しかしなんですよね、
書き初めにはまず筆を下ろす必要がありますよね。

407:風と木の名無しさん
07/01/03 17:08:39 KSHlkBTj0
>>406
あなたにも
「誰が上手いことを言えと(ry」を。

正月早々、気の利いた書き込み競争ですかね。
敷居が高いわ~。

408:風と木の名無しさん
07/01/04 12:44:03 BpknLnfa0
age

409:風と木の名無しさん
07/01/05 20:23:03 YASZbPRLO
あげんな、ばか

410:風と木の名無しさん
07/01/05 22:53:36 3Vts5xQ60
こんなん見つけた
URLリンク(ur.ur.to)
時代劇もええね~

411:風と木の名無しさん
07/01/05 22:55:43 XUpXvuQ90
テュランタソ待ってます!

412:風と木の名無しさん
07/01/06 03:06:12 J2e43lX70
>>410
姐さん、もしかして田.亀.源.五.郎とかお好きなのではないか?


413:風と木の名無しさん
07/01/06 08:32:10 Dsb8AEts0
>410
画像小さいから解りにくいけどこれ
今更新が止まってる某有名サイトの絵だよね?
勝手にうpしていいもの? パクリ?

414:風と木の名無しさん
07/01/06 11:10:55 FLcDpX+BO
スルー

415:探し屋
07/01/07 01:11:17 RrBqZZQU0
豚義理で投下。導入ゆえにエロくないです。
口にあわなそうな方はスルーよろしくです。

発砲音。発砲音。発砲音。

夜を裂くと言うよりは弾けさせる様な頭の芯に残る音に、おどおどとした様子の男はびくっと竦んだ。
着古した労働者好みのビニール地ジャケットに、くすんだ色のパンツ。手には黒い書類ケース。
妙に周囲の環境にびくついているのは、土地勘が無く慣れていない所為だけではなく
彼がやましい目的でここに居るからだ―周りも、同じくらい疚しかろうと。
実際、男は発砲音がやんでから一層固くケースを握り締め、小さなメモを片手にうろつく足をひっそりと速めた。
やましい目的を達する―やましい場所へ―辿り着くために。


「ネコ」
「ン?何」
呼ばれて、男は振り返った。くるりと翻った長い白髪が安い電灯に照らされ、安い煌きを放つ。
一方男を呼んだ青年―と、少年の中間くらいの男は、器用にコーヒーを啜りながら続きを口にした。
「……さっきから下でうろうろしてるあやしいオッサンがいるんだけど、どーにかしろ」
「イヤでス」
ネコ、と呼ばれた男は即答すると、視線を戻した。バラバラの色彩の立方体―ルービック・キューブに。
「ジュウは最近仕事をボクに押し付けスギです。そのくせ、昼は射撃訓練にわざわざ行ったりスる。
 発砲したいナラいまやって下さイ。銃ならイクらでも出せますからなんなりと」
妙な場所にアクセントのある、癖のありまくりな口調でネコが皮肉る。が、
「得体の知れない野郎の面倒見て、仕事まで回してやってんのに文句垂れるかお前。
 そういう事すると、今度寝てる間に冷凍室にぶち込んでやるぞ」

冷凍室。そう聞いて―ネコの表情が強張った。

416:探し屋
07/01/07 01:12:42 RrBqZZQU0
明らかな怯え…または、悔しげな顔。

「本当にイヤナ奴にボクは拾わレたと思います、ジュウ」
未だに全く完成の予兆を見せないルービック・キューブを手近な机に乗せ、ネコが立ち上がった。
関節がふにゃふにゃ動くゴム製の棒人形をそのまま身長180cm以上に引き伸ばしたような、
無骨なくせに細い体。その上に分厚いジャケットを羽織った微妙に威圧感のある格好。
「不甲斐ナイ相棒の代わりにイッてきまス」
「いってらー」
コーヒーカップを床から100°以上は上げながら、ジュウは気の無い挨拶を送った。扉が、それを断るようにばたんと閉まる。
その向こうで、ネコは思いっきりあかんべえをしてから現場へ急行した。


「寒い……」
はふ、と大きくついたネコの吐息はぱっと白く色づいた後で消えた。
それを透かして注意深く辺りを窺う目の下のほうでは、唇がノンストップで愚痴っている。
「ジュウはいい加減意地悪でス。確かニボクは沢山世話になったけど、随分借りは返しタ筈なのに……
 それに、ボクは寒いのジュウよりずっと苦手だって分かってる癖ニ、酷い!」
ポケットに両手を突っ込み、ジャケットの上にふわりと巻いたマフラーに鼻まで埋めてぶるぶる震える様子は、
見ているだけで寒気を感じそうなほどだ。
冷たく乾いた空気に刺激を感じ、ネコの瞳が自然に潤む。
濡れた目元にすら寒気を覚えて、思わず小さなくしゃみを2回すると、気のせいか洟まで出てきた。
「寒いでス……」
ず、と息を詰めて啜る。鼻腔を冷気が刺す。
早く帰りたいという思いだけが生み出す気力で辺りを窺うと、運のいいことに視界が路地の向こうの”オッサン”を捕らえた。
後は多少跡をつけ様子を見て、関係なさそうならそのままほうっておけば良い。
自分達の客なら事務所につれて帰る。そして敵なら勿論……排除する。
何気ない足取りで”オッサン”の方へ歩みだしながら、ネコは呟いた。
「早く帰ッテ、あったかいもノ飲むのも好いケド、―ソッチも暖まりそう」



417:探し屋
07/01/07 01:15:54 RrBqZZQU0
ネコにつけられているとも知らず、”オッサン”は早足で路地を歩いている。
が、足取りに迷いがあるような気がするのは気のせいだろうか。
(コレで地図でも見てたラ、殆どお客さんで間違イないンだけド……)
微かにふるふる震えながら足取りを追うこと約10分、”オッサン”は同じような路地を未だうろついていた。
別にどこかの建物を周回する訳でもなく、こちらを撒こうとする気配も無く、本当に迷っているような足取り。
(事務所、分かりヅラいとこにあるからネ……職業柄……)
そろそろ本格的にあふれ出してきた洟をすすりながら、ネコは思った。
(ヒト専門の”探し屋”な上ニ、最悪の”復讐補助屋”デ、ついデニ”後始末屋”だもノ。
 用心に用ジンしてルダケだもんね)

ああ、都合よくこの”オッサン”、地図出さないかな。そんな事を思いながら更に数分も歩いた時だった。
”オッサン”が掌から小さな紙を取り出し、眺めながらあちこちを見回すのが見えた。
(地図!キタコレ!)
ほぼ間違いない。アレはお客さんだ。
そう認識した瞬間、ネコの頬が緩んだ。仕事をやり終えたことに対する安堵と、暖かい部屋を想像したためだ。
あとは”オッサン”に軽く口頭で確認を取ってから連れて行けばいい。
そう思って、ネコがいままでよりほんの少し大きな歩幅で歩みだそうとした時―発砲音が轟いた。

バン、バン、バンと。



こんなところまでです。





418:商談 1
07/01/07 01:49:55 5t1BylrL0
探し屋さんGJ。
続きを読むのが楽しみです。
自分も久し振りに投下。

===========================
田村の運転する車の後部座席で、義純は上機嫌だった。この1年と言うもの、
田村に対しては常に否定的な態度を隠そうもしなかったのが嘘のように、
耳触りのいい言葉ばかりを口にする。
義純は、自分が正しかったと思って御満悦なのだ。それは田村にもよくわかっていた。
義純が望み、田村が反対してきた八尾商事との新しい取り引きが、
今日の会談を機に始まるはずだ。
結局はこうなったじゃないか、義純はそう思っているに違いない。
更には、ベテランの田村を若い自分がついに説き伏せたとも思っているだろう。
田村とて、義純がどうしてもと望めば抑え切れるものではないと承知していた。
何と言っても義純こそが社長であり、大多数の株を所有する、この会社の
オーナーなのだ。専務の肩書きがあると言っても、自分はただの雇い人だ。
そもそもそこが問題なのだと田村は思う。2年前に前社長の勝人が身体を
壊したことが始まりだった。1人息子である義純がアメリカの大学院を卒業して
帰ってくるのを待って、勝人は社長職を譲って引退した。実社会での修行もなしで
いきなり社長業は荷が重いだろうと重役連は反対したが、その声もワンマン社長の
鶴の一声にかき消された。
「何のために君たちがいるんだ。義純が若くて未熟だということくらい、
私だってわかっている。だが義純は基礎はしっかりできているんだ。
MBAは伊達じゃないぞ。経営哲学だって、私がしっかり仕込んでいる。
義純の持つ力を最大限に活かすのが君たちの仕事だろう」
冗談じゃない。
喉元までせり上がったその言葉を、田村はぐっと飲み込んだ。
小さくても、パートまで入れれば従業員150人を抱える株式会社だ。自分はもちろん、
彼らを食わせるためにも、利益を上げねばならない。そのために田村は働いてきたのだ。
坊ちゃんが心地良く生きていくための場所を作るために働いているわけではない。



419:商談 2
07/01/07 01:50:44 5t1BylrL0
田村の懸念が杞憂でなかったことは、義純の社長就任から半年を待たずに明らかになった。
義純はとにかく世間知らずだ。更に悪いことに、自分が世間知らずだということを
自覚していない。学校で習ったことをそのまま実行しようとする。
基本を押さえながらも個々の事例に合わせて応用させなくてはいけませんと教えても、
個々の事例に合わせた結果こうしているのだと返事が返ってくる。
何より始末に負えないのは、勝人の経営哲学とやらだった。勝人は狡猾な商売人だった。
非情にもなれるし、卑劣な手も使っていた。ただ、親子してよく似ているのだが、
そういう自分をまったく自覚していない男だ。同業者の会合だのパーティーだのでも、
業界紙のインタビューでも、いけしゃあしゃあと「卑しい所のある人間は経営者には
向きません」だの「利益を社会に還元する理念がなくては企業としては失格です」だのと
口癖のように言っていた。
その勘違いした経営哲学を叩き込まれた義純は、父親の狡猾さを学べなかった分、
理想論で経営が成り立つものと思い込んでいる。自分の会社―水原物産が、
高邁な理想を実現しつつ利益を上げてきたのだと信じているのだ。
田村の苦い回想は、義純の朗らかな声で遮られた。
「田村さん、篠原さんに会ったことがあるんでしょう? 気さくな人なんだよね?
趣味はゴルフだと聞いてるんだけど、次は接待ゴルフなんてどうかな」
中学の頃から父親にくっついてゴルフ場を廻っていた義純は、自分もゴルフ好きだ。
会社の金を使ってゴルフができるのだから、嬉しいのだろう。いかにもこの会社の
社長らしい。福利厚生として契約している施設が遠方のゴルフ場ばかりという、
従業員を馬鹿にしきったこの会社の。

420:商談 3
07/01/07 01:51:43 5t1BylrL0
苛立ちを抑えて、田村は平静に返した。
「今から次回のことなんて考えても仕方ありませんよ。まずは今日の懇談を
うまく乗り切ることを考えて下さい。うちは明らかに立場が弱いんです。
懇談だと言っても、商売の話をしないで済むわけないんですからね。
無理難題を吹っかけられる覚悟をして、うまく切り抜けて下さいよ」
後部座席から、はあー、という、大きな溜息が聞こえてきた。
「ねえ田村さん。どうしてそんなに悪意にばかり取るの? 篠原さんは、
うちが窮地に陥っているのを見かねて、社長さんにまでかけあってくれたんだよ。
そこまでしてくれてるのに、なんで篠原さんがうちをひどい目に合わせると
思うのかなあ。前から思ってたけど、ちょっと神経質なんじゃない?」
田村は、答える気力も失った。友達ごっこじゃあるまいし、損得抜きで取引など
できるわけがないのに、義純にはわからないのだ。いや、自分が損得抜きで
商売してしまうせいで、それが間違っていることが理解できないのだろう。
泣きつかれればほだされ、おだてられれば調子に乗り、脅かせば慌ててしまう。
都合よく利用しようとする側にしてみれば、義純ほど簡単に手玉に取れる相手も
いないはずだ。
今日の懇談に他の誰でもない自分がついてきたのも、篠原を警戒しているから
ばかりではなかった。お追従を並べる腰巾着や、既に諦めている役員たちでは、
義純の暴走を防げるわけがないと思ったからだ。本当は義純は、自分の右腕―
にしようと義純が見込んだボンクラ―を連れて行こうとしていたのだが。

(続きます)

421:風と木の名無しさん
07/01/07 03:10:11 iB7lp90G0
お仕事お仕事、お二方GJ!
続きwktk

422:風と木の名無しさん
07/01/07 08:54:58 Kx1TsIM90
探し屋さん、商談さん、
したらばの姐さん達が、あんたら下手だから要らないってさ。

423:風と木の名無しさん
07/01/07 10:03:52 KXgrOn0DO
投下者お二人ともGJ

それと預言者気取りは消えろ

424:風と木の名無しさん
07/01/07 13:15:12 CyMTt6YjO
久々の投下GJ!
続き待ってる!



425:風と木の名無しさん
07/01/07 15:14:40 5wH3u7C0O
つまんないから叩かれてもしょうがないわなぁ

426:吸血鬼1
07/01/07 16:14:11 EJXt7flg0
投下させていただきます。しばらくエロなしです

城の暖炉から通ずる秘密の階段を下った地下深く、四方を壁に
囲まれた部屋の中央に、黒の棺が出かける前と何のかわりも
なくそこにあるのを確認して、クラウスはようやく安堵した。

無事だった。

壁の燭台に灯をともして光沢のある棺のふたをそっとずらし、
中に横たわる青年を確認する。
透き通った肌に落ちた青い影が明かりに揺れ、金髪は光をはじく。
髪と同じ色の瞳を隠しているまぶたは動かない。今はまだ‥‥。
夕暮れにはまだ少し時間がある。
「早く起きろよ、バルド‥‥」

この吸血鬼にであったのは一ヶ月程前。
肝試しだった。
村では絶対に近寄るなと言われている森に、仲間と入り、はぐれ、
彷徨いそして見つけたこの城。
この城の主は、彷徨い疲れて息も絶え絶えなクラウスに言った。
「私は吸血鬼だ。それでもいいならここで休んでいけ。夜が明けたら帰るといい」
吸血鬼ときいて最初こそ驚いたが、人知を超えた美貌がその証拠とも思えた。
不思議なことに怖いとは思わなかった。

427:吸血鬼2
07/01/07 16:15:16 EJXt7flg0
その晩は吸血鬼のいうとおりに城にとどまり、朝日が昇ってくると、棺に戻る
と言うバルドに礼を言って、村までの道のりを教わり帰った。
次の日から夕暮れになると、クラウスはこっそりと家から抜け出しては
この城に立ち寄るようになった。バルドは、また来たのかと微笑んだだけで、
クラウスを追い返したりするような事は無かったし、ただ静かにクラウスの他愛ない
話にも耳をかたむけてくれる。最近では本当にまれにだけれども、バルドから話を
してくれるようにもなった。人よりも長い時を生きているというバルドの話は
面白かったし、首を傾けたり、微笑んだりした時に光をはじいてゆらめく金色の瞳を
みるのが何よりも好きだった。
人ではない彼の瞳は男女ともに魅了する。

ふと、上で物音がしたような気がしてクラウスは息を潜めた。
  
来た。

燭台の火を消して棺のふたを戻すと、そっと部屋を抜け出す。

『聞いたか?狩りがはじまるらしいぜ』

今朝城から戻ったクラウスに、顔見知りが嬉々として話しかけて来た。
街から来た二人組がヴァンパイアを狩りに森に向かったらしい。
クラウスは一瞬、瞠目する程驚いたが、すぐにそうなんだ。と切り返す。
覚られる訳にはいかない。
顔見知りを軽くあしらうとクラウスは猛然と来た道を引き返した。
バルドは人を襲わない。少なくともこの一ヶ月はそのような所を見た事も
ないし、村でも人が襲われたという話をきいた事がない。


428:吸血鬼3
07/01/07 16:16:43 EJXt7flg0
食事は薔薇とワインがあればいいとバルドも言っていた。自分の知らない
ところで遠い街の誰かを襲っているというなら知らないが。
それでもクラウスはバルドが好きだった。あの瞳をずっとみていたい。
そう思っているところからして、バルドの吸血鬼という術中にはまっている
のかもしれないけれど、それでもいいと思う。

ここを、バルドを守る。

森の奥深く、木々に隠れるように立っている城を見つけて、アドルフは仲間の
ヤンに目で合図した。ヤンが背負った荷物をおろして荷袋の中から銀の短剣を
二本取り出して、一本をアドルフに投げる。まだ夕暮れには遠い。やるなら今だ。
暗い城の中をアドルフは躊躇することなく歩いていく。探しているのは
地下に通ずる階段。そしてその地下にあるであろう、ここの主が眠っている
棺だ。だが見つからない。さすがに少し焦りが出て来た。いつまでも陽の恩恵を
うけられるわけではない。闇の時間がせまっている。
と、背後からヤンが前方を指差し、おい、と声をかけてきた。
指が指す方に目を向けると、暖炉の前に14、5歳くらいの少年が立っていた。
「ヴァンパイアか!?」
そんな馬鹿なと思う。まだ日は暮れていない。
「違う。おじさん達は何してるの」
どうやら人間のようだ。胸をなでおろして息をつく。
「狩りだ。ここで何してる?」
「‥‥‥」
少年は応えない。


429:吸血鬼4
07/01/07 16:18:07 EJXt7flg0
「まあいい。下の村の者だな。なあ、この城で棺をみなかったか?隠し階段でもいい」
また応えないかと思ったが、これにははっきりとないと応えた。
そうすると、部屋はあらかたみたし、この情報がデマだった事になる。
この少年の言葉を信じるならだが。
「マジかよ~無駄足かあ?」
後ろでヤンがいまいましく吐き捨てる。こんな辺鄙な場所までやってきて金にもならない。
やってられない。アドルフが舌打ちをした時、ヤンが何かを思いついたように少年を見据えた。
「‥‥なあ、こいつどうだろう」
ヤンの言葉の意味を正確に受け取ったアドルフは口元を吊上げた。悪くはない。
「いける。それなりに値はつくだろ」
二人の話の意味はわからないまでも、少年クラウスは居心地の悪さを感じて数歩後ずさった。
狩りはできなかったが、無駄足にするつもりはない。まあ、味見といくか。
アドルフが「ヤン」と声をかけると、ヤンが慌てて走りだしたクラウスをいとも簡単に捕まえ、
床に引き倒した。思い切り頭を床に打ち付けうめくクラウスにヤンが馬乗りになる。
「なにを‥っ」
暴れるクラウスの両腕を頭上におさえつけアドルフは口を覆い貪り始め、ヤンは馬乗りのまま
シャツを引きちぎり首筋を舐めしゃぶった。いきなりの事で恐慌状態に陥ったクラウスは
無我夢中で頭を振り足をばたつかせるが、大人二人に押さえつけられた状態ではたいした抵抗
にはならない。


430:吸血鬼4
07/01/07 16:19:21 EJXt7flg0
「はなせっ!!っ、はなせよ!!」
「やかましいガキだな。気持ちいい事してやろうってんだ。大人しくしてな」
頬をおもいっきりひっぱたかれて、顎を固定させられると、再び口を覆われた。
口の中をアドルフの舌が動きまわる。
「んぅ‥‥ん、ん‥うぅ」
下腹や内股をヤンの手のひらにあおられ胸の飾りを舌で転がされ、身体がビクビクと
痙攣する。
怖いのと悔しいのと、そして、望まないからだの疼きに心がひきさかれる。
目尻に涙がたまっているのを認めたヤンが、もっと泣けとばかりに激しく舌を動かす。
脇腹を煽っていた手が服の上から股間をなであげた。
「んうーっ」
胸から顔を上げたヤンが薄く笑う。
「泣く程いいってか。まだまだこれからだぜ」

今日はここまで

431:風と木の名無しさん
07/01/07 16:23:21 PxBPAXuIO
どれもこれもつまらない
このスレ、レベル落ちすぎだよ…
孤島さん~もう投下しないなんて言わないでたまには投下してくれ~
片手間にテキトーに書いた作品でも孤島さんなら抜群に面白いだろうな
ここ最近の鬼畜スレ駄作群なんかよりずっと

432:風と木の名無しさん
07/01/07 17:43:01 7Ci5AQWX0
吸血鬼タン、乙。
バルドが助けに来ますように。

433:風と木の名無しさん
07/01/07 19:29:28 1zp3Wf0UO
投下いっぱいきたww皆さん乙です!

434:風と木の名無しさん
07/01/07 21:06:57 z6UYYfK/0
うおー、みなさん導入部なのでこれからが楽しみです(*´д`)乙

435:風と木の名無しさん
07/01/07 22:51:43 2VC+mTEp0
書き手様ガンガレ!

436:風と木の名無しさん
07/01/08 03:16:48 OF/OBSni0
吸血鬼祭開催(*´∀`)wktk

>>431
どこを立て読み?
常套句だが、自 分 で 書 け 。

437:風と木の名無しさん
07/01/08 15:12:24 czrskD+i0
いつもの人だから放置推奨

438:風と木の名無しさん
07/01/09 00:55:02 SdSX7zlBO
つまらんつまらん。
もっとレベルあげてくれよ。満足させてみなよ。

439:風と木の名無しさん
07/01/09 03:31:10 khc5mS5O0
だが断る

440:風と木の名無しさん
07/01/09 12:43:13 SdSX7zlBO
>>439
お前には頼んでないよ。さっさとうせろ。

441:風と木の名無しさん
07/01/09 12:56:18 2YaCpPKN0
だが断る

442:風と木の名無しさん
07/01/09 14:29:30 SdSX7zlBO
>>441
それしか言えねぇのか貴様は。芸がないヤツだな。

443:風と木の名無しさん
07/01/09 15:01:09 8ax9VvOF0
だが断る

444:風と木の名無しさん
07/01/09 17:31:46 SdSX7zlBO
>>443
会話になってねぇよwww

445:風と木の名無しさん
07/01/09 17:36:25 +t+4Sw8R0
>>443
そこは「だがそれがいい」を使わなくちゃ。

446:風と木の名無しさん
07/01/09 19:27:13 rK10KqqOO
久々に覗いたら美味しそうなSSが(・∀・)吸血鬼たん続き楽しみにしてます!

447:柿手
07/01/09 20:13:58 9g/uC0mi0
>>381
ランプを手に男の傍らへと歩み寄った平太の横で、
清一郎は男の命じるままに、上半身を前に深く折り曲げテーブルへ両手をついた。
そのまま足を広げ、長椅子に座る男に向かって臀部を突き出した格好のまま動きを止める。
「普段ならば、この尻を晒すまでにあれほどに頑なに抵抗するというのに」
清一郎のむき出しの臀部をステッキで小突きながら、男がくつくつと笑った。
「いつもこれだけ従順であれば、毎晩痛い思いをしなくてすむものを」
男の言葉に、平太は首をかしげた。
「いつも? 毎晩?」
痔のことは誰にも相談していないと言っていたのに。
男の口ぶりだと、まるでこうした行為が日常茶飯事のように聞こえる。
怪訝そうな平太の呟きに、清一郎が狼狽えた声をあげた。
「違うんだ、平太、それは、ただ」
姿勢を崩し振り向こうとした清一郎の背に、男のステッキが無造作に振り下ろされた。
軽く打たれただけなのにも関わらず、びくりと清一郎の体が強く震えた。
「マスターノ名ニオイテ命ジル」
今まで聞いたことがない、不思議な旋律を帯びた声だった。
「我ガ許スマデソノ姿勢ヲ保テ。我ガ許スマデ声ヲ発シテハナラヌ」
金縛りにあったかのように、清一郎の体が硬直した。
「清一郎、どうかしたのか?」
平太の問いかけにも清一郎の答えはない。
代わりに悔しそうな歯軋りが、清一郎の口から漏れ、
ガラスのテーブルに置かれた手から、爪を立てる不快な音が響いた。
「相変わらず強情なことだ」
清一郎が発する耳障りな音に、だが男は心地よさげに笑った。
「では、診てやるとするか」
男の言葉に、平太は慌ててランプを清一郎の尻の傍へと近づけた。
揺れる灯りに照らされて、清一郎の白い肌をより一層引き立たせる。
すらりと伸びた両足は、脛毛までも全てきれいに剃りとられているせいか、
まるで年若い女のそれを見ているようで落ち着かない。
ごくりと平太は唾を飲み込んだ。

448:柿手
07/01/09 20:15:30 9g/uC0mi0
(治療をしている最中に、俺はなんて不謹慎な)
そんな平太の様子を横目に眺めながら、
男は楽しげに、ステッキを清一郎の肛門にあてがった。
「まずは、穴の具合を確認してやろう」
「なっ!」
平太は危うくランプを取り落としそうになった。
「待ってください」
慌てて平太は、男の持つステッキに手を伸ばした。
「そ、そんな固いものを差し入れるなんて無茶です」
勢い余って半ば叩き落とすようにしてステッキを奪いとると、男の瞳がすっと眇められた。
「我に意見する気か?」
間近でみる男の整い過ぎた容貌は、作り物めいていてなんだか怖い。
「あの、俺、別にそんなつもりじゃ。でも痔の診察をステッキなんかでやるのは―」
怖気る心を叱咤して何とかそれだけ反駁したが、男の追及は緩まなかった。
「では、我にどうしろと?」
「どうって……その、ええと…………それは、やはり、指で、あの」
「つまり、この我に、他人の排泄器官に手を入れよと。そうおまえは言うのか」
「それは……」
そう改めて口にされると、随分と失礼なことを男に頼んだような気になってくる。
平太の額に冷や汗が浮かんだ。
厚情に甘えて、こんな立派な屋敷に住む外国人の医者に、
痔の相談をするなど、やはりあつかましかったのだろうか。
「すみません。俺、考えなしで。貴方さまのような高名なお医者様に失礼なお願いを。
 でも、清一郎はとても痛がっていて……その、やはり素手でないと……」
しどろもどろになった平太を見詰める男の瞳に、
罠にかかった獲物を値踏みするかのような、狡猾な光が宿った。
「―ならば、おまえがやるがよい」
「俺が……ですか?」
あまりに意外な提案に、平太は目を瞬いた。
「そうだ、おまえが、自身の指を使って、セイイチロウの中を診てやればよい」
清一郎が首を微かに左右に振り、何かを訴えるかのように、くぐもった呻き声をあげた。
そんな清一郎の様を見て、男の笑みが深くなる。

449:柿手
07/01/09 20:16:13 9g/uC0mi0
「どうやらセイイチロウもそれを望んでいるようだ」
「でも、俺、診察なんてできません」
「指示はしてやろう。セイイチロウも我などよりおまえの指の方が喜ぶだろう」
男の言葉を平太は心の中で反芻した。
言われてみれば確かにそれは一理あるかもしれない。
いくら診察の為とはいえ、恥部を他人に触られることは清一郎だって恥ずかしいだろう。
ならば、赤の他人よりも、気心の知れた幼馴染の自分がやった方が、
清一郎にとっても精神的な負担が少ないのではないだろうか。
「わかりました。俺でできることなら」
そんな平太の返事に被さるように、蝶番の軋む音とともに扉が開きカワホリが姿を現した。
「お申し付けのものをお持ちいたしました」
カワホリが押してきた銀色のワゴンには、
色とりどりの珠が施された美しい宝石箱が幾つも並んでいる。
男がカワホリにこれまでの経緯をかいつまんで告げると、
カワホリは心得たといったふうに頷いた。
「では、まずこれを」
カワホリは、箱の一つから十字の印がついた赤い缶を取り出した。
戦前からある平太もよく見知っている市販の軟膏薬だ。
どんな得体の知れない異国の薬が出てくるかと内心不安だった平太は、
ほっと胸をなでおろした。
カワホリに言われるままに、右の人差し指と中指に塗りつける。
「セイイチロウさまが痛みを感じないよう、じっくりと優しくほぐしてあげてください」
「ほぐすって、でも、あの、どうやって」
「指の平で擦るように。赤ん坊の肌を撫でさすって可愛がるような感触ですよ」
カワホリが、平太の前で実際に仕草を真似てみせる。
丁寧な手ほどきに、平太は感謝の言葉とともに素直に頷いた。
「清一郎、痛かったら、ちゃんとそう言えよ」
そう清一郎に声をかけると、左手のランプをカワホリに預け、平太は床に正座をした。
清一郎の臀部が顔の正面に来るのが、なんだか気恥ずかしい。
バランスを取る為に左手で清一郎の双丘の片方を掴むと、清一郎がびくりと体を震わせた。
「清一郎、そんなに硬くなるなよ。大丈夫、丁寧にやるからさ」
清一郎の緊張をほぐすように笑いながらそう告げると、平太は指を差し入れた。

450:柿手
07/01/09 20:16:53 9g/uC0mi0
(あれ……)
予想に反して、指はすんなりと清一郎の中へと入った。
平太は拍子抜けした。
もちろん、肛門に指を入れるなど初めての経験だったが、
なんとなく、もっときつく締まっているものだと思い込んでいたのだ。
清一郎も特に痛みを訴えるような仕草はしていない。
人差し指を回すようにして薬を壁に塗りつけて滑りをよくしてから、
少しためらってから中指も入れてみる。
指を二本に増やしたというのに、それほどの抵抗もなく、
清一郎は平太の指を飲み込んだ。
「どうですか、感触は?」
カワホリが問いかける。平太は曖昧に小首をかしげた。
「すみません。患部の位置とかは、俺、よくわかりません、ただ……」
「ただ?」
「あの、なんか思ってたより、ゆるいっていうか、締りがないっていうか」
平太が正直に思ったことを口にすると、
カワホリは何がそんなに可笑しいのか肩を揺すって笑い転げた。
「マスター、セイイチロウさまのお体をもう少し労わってあげませんと」
「我のせいにするな。毎晩無駄に抵抗するセイイチロウが悪いのだろう」
「ですが、そう手荒に扱っていては、気に入りの玩具もすぐに壊れてしまいますよ」
窘めるようなカワホリの言葉に、男は憮然とした表情で低く唸った。
「……自重はしよう」
どこか拗ねたような男の声に、カワホリは苦笑しながら清一郎を振り返った。
「よかったですね、セイイチロウさま。ご友人の協力の賜物ですよ」
口元に笑いをとどめたまま清一郎の顔を覗き込んだカワホリは、
だが、次の瞬間、やや意外そうに眉根を寄せた。
「おや、先ほどから随分と大人しいので妙だと思っていたのですが、
 声を封じていらっしゃるのですか。せっかくの珍しい出し物の最中なのに味気ない」
 男は小さく舌打ちした。
「ああ、しまった、忘れていた。セイイチロウ、もう口を開いてもよいぞ」
男の言葉に、清一郎の体がびくりと跳ね、
平太の指の動きに合わせるように、清一郎の口から呻きとも吐息ともとれる声が漏れた。<続>

451:風と木の名無しさん
07/01/09 20:27:39 zQMcY2tQ0
柿手タンGJ
清一郎がどんな調教をされていたのか気になる…

452:風と木の名無しさん
07/01/09 20:58:40 7YRv8PuiO
柿手さんGJです
これから天然平太の行動が気になるww

453:風と木の名無しさん
07/01/09 22:38:59 TqnIqWIxO
柿手タソGJ!!!
平太最強ww

454:風と木の名無しさん
07/01/10 00:41:11 XdlA1bTG0
待ってたー。
あーもう平太ってば、頼むよ!

455:風と木の名無しさん
07/01/10 08:08:30 R7eLkYS4O
平太が一番鬼畜ktkr!
このまま天然鬼畜でどこまで行くんだ?
超期待!

他の書き手さんも待ってる!


456:風と木の名無しさん
07/01/11 12:18:22 PknsTDjP0
平太!この鬼畜が~~~!!

457:吸血鬼5
07/01/11 17:10:49 m6ymn8ao0
逃げる舌を強引に絡めとり唇で吸ってやると、クラウスの体が一瞬硬直してから
脱力していく。その間にヤンが体をずらして下半身の衣服を取り払い、
半ば立ち上がりかけたモノを上下に扱いた。
「んうっ‥‥んんっ」
喉をそらせて、与えられる刺激に身をくびくつかせるクラウスに、
アドルフとヤンの興奮も高まっていく。
「おい、アドルフ、そいつの声ききてぇ」
唇をしゃぶっていたアドルフの口が糸をひきながら離れると
突然肺を満たした過剰な酸素にクラウスが咳き込む。
その合間にも、もれる甘い声にヤンが満足げに口を歪めた。
すっかり脱力したクラウスの腕を解放して、アドルフが脇へ移動し、
先ほどまでヤンが舐めていたのとは別の胸を貪りはじめる。
「‥っ、う‥‥‥‥ああっ」
「感じてやがる」
ヤンの言葉と、先走りでクチャクチャと音がなり、心とは裏腹に、
快感で今や欲望をほとばしろうとしている自分のそれに追いつめられる。
手の甲を噛んでせめて声だけでも押さえようとするが、
気づいたアドルフがあっさりと腕をとっぱらった。
「ヤン、そろそろいかせてやれや。我慢できないってよ」
「了解」


458:吸血鬼6
07/01/11 17:12:34 m6ymn8ao0
「あああっ」
手の動きを一気に早められると、あっけなくはじけて
ヤンの手を白い飛沫で濡らす。
しかしヤンは手を止めず萎えたそれを扱きながら、
もう片方の濡れた人差し指と中指を尻の窪みにうずめていく。
「‥っ、う、い‥たい」
「もう一回な」
相棒の欲望もあらわな様子に苦笑しながら、アドルフもまた、
息をはずませ射精の衝撃に体をびくつかせている少年を
もっと鳴かせたいという加虐的な気持ちがつのっていくのをとめられない。
「ひ、あうっ、あっ、はっ、あ‥ああっ」
指を抜き差しされると、どうしようもなく声が高まった。
前を扱かれ、後ろは粘膜をまさぐられ、胸をしゃぶられる刺激に
膝がガクガクと震える。萎えていたそれは固さを持って、もう一度
立ち上がっていた。
ヤンが抜き差ししていた指を止め、ゆっくりと粘膜をかきまわしてやると
クラウスが髪を振り乱して、甲高い声をあげる。
それを心地よく思いながら、見つけた一点に振動を与えると、
クラウスは瞠目して、背を弓なりに曲げ、腰を跳ね上げた。
「やあぅ、ああっ、ああぁぁぁっ」
振動を与える指をキュっと締め付け、二度目の精を吐き出した
クラウスから指を引き抜き、手を振りながら「すげえ、締め付け」
とアドルフにおどけてみせると、アドルフが口を吊上げ、
ぐったりとしたクラウスをよつばいにさせ、すっかり立ち上がった
己のそれを突き立てた。途端にあがる悲鳴も無視してアドルフが
動き出す。ほどよく締め付ける暖かい内部にうめき声をあげつつ、
さらに強く打ち付けた。



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