【陵辱】鬼畜作品を創作して20thプレイ【SM】 at 801
【陵辱】鬼畜作品を創作して20thプレイ【SM】 - 暇つぶし2ch150:風と木の名無しさん
06/12/12 18:21:42 oQnKkO17O
代理さん、気にして下さい。こんなに言われても投下する勇気があるならどうぞ投下して下さい。

辛口で、文章、設定等の批判をしますから

151:風と木の名無しさん
06/12/12 18:23:07 oQnKkO17O
春さん、貴方はどうでもいいです。プランさん、お待ちしてます

152:風と木の名無しさん
06/12/12 18:49:07 drNJSKZ0O
失礼にも程がある……
読ませて頂いてる側なんだから
口をつつしめ。
そんな風に思うんなら書くなよ。目障りだ。

職人さん気にしないでね。
頑張ってください!!!

153:風と木の名無しさん
06/12/12 18:57:15 oQnKkO17O
嫌です。目障りですみません。

でも、代理さんが嫌いなので。

154:風と木の名無しさん
06/12/12 18:59:49 oQnKkO17O
私は自己中、自分さえ良ければ他人は関係ないという最低な人間なので、心の中に悶々と愚痴や批判をタメル事が出来ないんです。


だから

何を言われてもやめません

155:風と木の名無しさん
06/12/12 19:07:32 drNJSKZ0O
これ言うと職人さん方に失礼
かもしれないけど
自分の好みじゃない作品はスルーすればいいだけの事を、わざわざ感情を表に出すなんざ、相当の低レベルだな。
このスレを見る資格ない。

職人さんには本当に迷惑かかるよ。(T-T)そして自分も代理タソ待ち!!

156:風と木の名無しさん
06/12/12 20:45:23 oQnKkO17O
低レベルですか、すみません。でも、そういう輩はスルーするのが一番だと思いますよ?
変にレスすると、面白がりますから。私のように。


代理さん、来るなや

157:風と木の名無しさん
06/12/12 20:51:33 oQnKkO17O
資格がないというならどうするんですか?私にこのスレを見れないように何か手を打つんですか?

158:風と木の名無しさん
06/12/12 20:53:17 oQnKkO17O
代 理 さ ん


あ な た の 出 現 を

私 以 外 が


お 待 ち し て

ま す よ

159:風と木の名無しさん
06/12/12 20:54:23 oQnKkO17O
皆さんが私をしばらく華麗にスルーしてくれたら、時期に私はいなくなるでしょう



たぶん

160:風と木の名無しさん
06/12/12 21:28:59 drNJSKZ0O
どうでもいいけどまとめサイト
更新して欲しいな~

161:風と木の名無しさん
06/12/12 23:23:41 JH3Fm5az0
嘘つきは呼吸をするように嘘をつくから嫌だぜ…。
知ってるか?
NGあぼ~んでも透明あぼ~んにするとレスの存在自体消えちゃうんだぜ?
即ち空気ですらなくなるワケだ。
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 抹殺抹殺!
 ⊂彡

162:風と木の名無しさん
06/12/12 23:44:36 oQnKkO17O
代理さん以外の職人さんの投下待ってます

163:風と木の名無しさん
06/12/12 23:56:25 gBylbNDp0
ID:oQnKkO17O
なんだこいつwwwなんか私怨ぽいな

164:風と木の名無しさん
06/12/13 00:08:49 xuA/QA9d0
スルーできなきゃ普通に削除依頼出しとけば?
ただの嵐だし
自分はあぼんして抹殺する

165:風と木の名無しさん
06/12/13 00:11:52 yVfzszg2O
なんかだるい

166:風と木の名無しさん
06/12/13 00:16:35 csIchjKw0
なんか恐い 精神化池

167:風と木の名無しさん
06/12/13 00:22:34 yqx6Y+Co0
隔離所から這い出してきただけだと思うよ
マンセーもらえない→他の投下者に絡む&叩く
はこれまでも何度もやってたし

>166
あぼんで抹殺しとけ

168:風と木の名無しさん
06/12/13 00:29:02 gpYOLEu+0
代理さん、私はすごく楽しみにしてる。ぜひ完結まで投下してください。

キチガイの批評なんて、他の住人は誰も本気にしないよ。
たいていの作品は探せば何らかのアラが出てくるだろうけど、
そんなの気にならないぐらい萌えるからこそ、乙コールするんだから。

169:風と木の名無しさん
06/12/13 00:34:45 yVfzszg2O
そうだよ。代理さん、早く投下しろや。
てめぇの作品がイイつって待ってる奴らがいんだよ!
分からねぇのか、アァ?

てめぇがさっさと投下しねぇから基地外がわくんだよ。早くハダレに会わせろォオオオオ!

170:風と木の名無しさん
06/12/13 00:40:03 yVfzszg2O
代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代

171:風と木の名無しさん
06/12/13 00:41:33 yVfzszg2O
理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理
代理さん、サイコー!!ステキ!早く来い!

172:風と木の名無しさん
06/12/13 00:43:05 yVfzszg2O
代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理
今更だが下げ

173:風と木の名無しさん
06/12/13 01:06:13 yVfzszg2O
代理…だ…い…り

174:風と木の名無しさん
06/12/13 01:22:04 W5TuW8S1O
なるほどIDが変わったのね
今度は迷惑な狂儲なフリか

自分、失礼だけどあんまり代理さん好みじゃないから(ファンタジー系はあんまり…)
読んではいないけど代理さんの事待ってる人沢山居るからあんなキチガイ気にしないで完結させてあげてね

全ての投下者さんに感謝

175:風と木の名無しさん
06/12/13 01:27:42 yVfzszg2O
当たり。一応、本気で投下して欲しいんだけどな。代理さんに会いたいからw

176:風と木の名無しさん
06/12/13 01:33:18 xMTuhCwY0
>174
代理は自分も好きじゃない
萌えない

心配しなくても、あれだけ叩かれても投下し続けてるんだから
投下はするんじゃないかな
ID:yVfzszg2Oの叩きなんぞ、蚊の羽音以下だろ

つか、代理は偉いよなw
作品叩かれてもファビョってスレを荒らさない
投下して去っていく

177:風と木の名無しさん
06/12/13 02:04:07 TVj9a0bL0
結局、創作へのスタンスの違いだろ
自分の萌えを形にして、表現できれば嬉しい人と
マンセーされるために作品を書く人と

マンセーされたいためだけに書いてる人は
萌えがなんなのか永遠にわかんないんだろうなと思う
だから、マンセー※も大してつかないわけで
鬼畜スレだけでなく801板全部から見てスレ違いの人なのかもな

178:風と木の名無しさん
06/12/13 02:10:00 TVj9a0bL0
今まで、作品叩かれたり、乙※があんまもらえない人がいても
スレがここまで荒れなかったのは
書き手さんが、自分の萌えを形にして、
表現できれば嬉しい人だったからなのかもな、と思いました

作品投下して乙がつけば嬉しいけど、
萌えを書きなぐるっていうのはまた別の楽しみだものなぁ

179:風と木の名無しさん
06/12/13 03:05:53 zUrvVzte0
代理が長すぎるのは禿同。その一点のみで自分はスルーしてる。
最初は普通に読んでいたが、あまりにだらだらして飽きたから。
別の意味でちょっとすげえ精神だなとは思ってた。
荒らしとはベクトル真逆の、自分中心感覚なんだろう。
誰に何言われても、耳を貸さずにとにかく書いて投下する。

180:風と木の名無しさん
06/12/13 04:46:28 SPr3KInzO
自分語り乙

181:風と木の名無しさん
06/12/13 07:00:49 +cPym3Zw0
後一回で終わりだっつってんのに今更長い長いと叩いてる奴は何なんだ。
完結を阻止する為に暴れてるようにしか見えんぞ。
これも基地による自演なのか。

代理タンはスレの趣旨に合ってるのでおk。
続き待ってる。

182:風と木の名無しさん
06/12/13 08:56:08 fOdHLIlzO
そうだよ、代理タソ超待ってる!!
本当に好みです。
今までみたく投稿してね。
早くハダレタソに会いたい!!!

183:風と木の名無しさん
06/12/13 13:41:14 yVfzszg2O
代理さんは来なそう…。ちょっとくらい文句言われただけじゃん、気にしないで。
ほら、貴方の作品を待ってる馬鹿が沢山いんだから。


184:風と木の名無しさん
06/12/13 13:42:16 yVfzszg2O
完結阻止とかそんな問題ではない。ただ単に代理が嫌いだから

185:風と木の名無しさん
06/12/13 13:42:58 yVfzszg2O
パクリ…

186:風と木の名無しさん
06/12/13 13:46:14 yVfzszg2O
基地外の一人や二人に比べたら貴方を指示する基地外の方が多いんだから。私の言う事なんて、蚊に刺された程度のささやかダメージしか与えてないと信じてる。代理、基地外一同お待ちしてます

187:風と木の名無しさん
06/12/13 13:46:58 yVfzszg2O
代理は神です。だから早く投下して

188:風と木の名無しさん
06/12/13 15:24:36 yVfzszg2O
ヽ(`Д´)ノダイリアゲ

189:風と木の名無しさん
06/12/13 15:35:04 yVfzszg2O
ヽ(`Д´)ノダイリシネ

190:風と木の名無しさん
06/12/13 15:38:20 yVfzszg2O
上げます

191:風と木の名無しさん
06/12/13 15:48:41 yVfzszg2O
ヽ(`Д´)ノアゲマス


代理来い来い代理来い

192:風と木の名無しさん
06/12/13 15:52:14 yVfzszg2O
>>184の基地外も貴方を待ってんだよ、上げヽ(`Д´)ノ

193:風と木の名無しさん
06/12/13 15:53:21 yVfzszg2O
自分だった…OTL
>>182

194:風と木の名無しさん
06/12/13 16:13:50 arkINk4P0
代理タンは神です。
最高に萌えです!!
はやくカムバック。


195:風と木の名無しさん
06/12/13 16:23:12 fOdHLIlzO
もう一度>>1読もうよ

自分の好みの作品に萌えてれば
それでいいじゃん
作品を叩く権利なんて誰にもないんだよ

196:風と木の名無しさん
06/12/13 16:40:01 yVfzszg2O
作品は叩いてないじゃん?作者は叩いてのかも知れんが。ちなみに今は基地外としてダイリを応援してんだよ

197:風と木の名無しさん
06/12/13 16:40:48 yVfzszg2O
代理そら代理!

逝け逝け代理!投下投下投下しやがれ代理!

198:風と木の名無しさん
06/12/13 16:42:05 yVfzszg2O
代理は最高に萎えです。早くカムバック!

199:風と木の名無しさん
06/12/13 17:05:17 S04ansjZ0
ID:yVfzszg2O=春だろ
代理さん叩きしてるのって、単に目立ってたからなんだ
隔離で、作品に混ぜて本音吐いてんなら、VIPへ帰れば?

200:風と木の名無しさん
06/12/13 17:27:57 fOdHLIlzO
馬鹿だから仕様がない

てか代理タソまだかな~
気にしないで投稿してね!!!

>>199
〉単に目立ってたから
叩いてる奴は嫉妬してんのか??

201:風と木の名無しさん
06/12/13 17:28:47 Vr/O4CUd0
もし春なら続きを向こうのスレで書いて。
おもしろくて続きが読みたい。


202:風と木の名無しさん
06/12/13 17:59:21 8+xyaK9iO
ID:yVfzszg2O=春ではないです。
隔離スレをたてて下さった方、読んで下さっている方乙を下さった方に感謝しています。

203:風と木の名無しさん
06/12/13 18:04:59 fI+W3nPGO
隔離に籠もってる分には応援してもいいかと思っていたがやっぱダメだ。
外に出た基地外はただの害虫だ。

204:風と木の名無しさん
06/12/13 18:22:25 gpYOLEu+0
>>200
以下の189が>>199の隔離スレでのレス。>199で
>隔離で、作品に混ぜて本音吐いてんなら、
と言っていて、最初、隔離189は春の書き込みかと思ったけど、
よく見たら>199の書き込みだった。そもそも隔離189はPCからだし。
まあ春がPC持ってないとは限らないけど。

>代理さん叩きしてるのって、単に目立ってたからなんだ
とかVIPとかは、>199=春でない限りは、単なる思い込みなんじゃないの。

189 名前:春[sage] 投稿日:2006/12/13(水) 02:29:30 ID:S04ansjZ0
PCと携帯を駆使し、キチガイのふりをしてみれば
住人達は本当に俺を気違いだと認識してくれていて
成りすましも表れてくれた。ちんぽだ、ガマン汁だのうんこを鏤め
こうして書くと、馬鹿が反応してくれる。時にVIPが801板を襲撃した時
戦士は敢無くも敗れたが、俺は今こうして春を書くことで
踊ってくれる此処の住人達の脆さも知った。それが愉しいだけなのに
皆エッシャーの蟻みたく、この中でコロコロ踊ってくれる。
叩いた代理も、丁度いい手駒にすぎないだけなのに
20歳を超えた大人はそんな事も考え付かないらしい。
そんな事を思い、俺はオナホールにちんぽを挿入したまま腰を振り
先輩が欲しいと泣きながらオナニー猿になっていた。

つづく

205:風と木の名無しさん
06/12/13 18:23:48 NZCk0WKxO
投下したほうがいいのかな

206:風と木の名無しさん
06/12/13 19:12:58 yVfzszg2O
代理さん?

207:風と木の名無しさん
06/12/13 19:13:46 yVfzszg2O
春じゃない。と一応は言ってみます。


またまた代理アゲヽ(`Д´)ノ

208:風と木の名無しさん
06/12/13 19:14:38 yVfzszg2O
このスレにいるヤツは大抵、というか皆基地外です。




209:風と木の名無しさん
06/12/13 19:17:20 yVfzszg2O
そして、代理は基地外どもの腐神。




210:風と木の名無しさん
06/12/13 19:36:46 2dU9VWRV0
本気で忠告する。精神科行きなさい。
病気なんだから治してもらうのは当たり前だよ。
こんなとんでもなく小さなことに必死にこだわるなんて、自分でもいやになるでしょう。

211:初仕事40
06/12/13 20:04:40 2Qzg5iw60
ゆっくりと僕の中に押し入ってくるものは、ツメカミのより少し細身な気がする。
でも長い。まだ、ああまだ、と予想を少しずつ裏切りながら、その長さが僕の体を
こじ開けながら二つに裂いていく。しつこく出たり入ったりしながら、僕の嫌がる
ところを舐めるようにこすりあげてくる。
キャンディを含んだ口元がほのかに温かくなってきた。やっぱりワインなのかな。
酔いがまわっていく初めの感じ、ふわりと時折視界がにじむあの感じ。うっとりと
雲に抱かれているような、体を縛る羞恥の鎖を一つ一つほどかれていくような。
膝の裏を強く掴まれ、脚を胸に押し付けられると、少し切ない。抗う意志をまったく
封じられてしまうその格好は、犬が腹を上に向けられたときに似た気分を呼び覚ます。
想像だけど、きっとヤツらは飼い主に裏返されるとこんな気分なんだろう。
でも今の僕は、ただの弱い犬とは少し違ってる。
恥ずかしいよ、もう降参、って言いたくなりながら、心のどこかで相手が舌なめずり
する顔を見たい本音が疼いてる。もっといたぶってやろう、組み敷いた情けない犬を
もっと恥ずかしい目にあわせて鳴かせてやろう、なんていい気になってる男の顔が
見たくなる。あれ、僕ってこういう性格だったのか? それとも、相手が変わって
気分もかわったってことかな。


212:初仕事41
06/12/13 20:05:57 2Qzg5iw60
「あっ…」
彼が、硬くなっている僕の中心に手を伸ばした。じっと握っていた僕の手を払いのける
ようにして。彼の肩に掛かっていた僕の脚の片方は、支えをなくしてだらりと床に落ちた。
支えだった彼の手は今、こよりにいじめられた懲りない僕の昂ぶりをなだめ始めている。
「カ……ン、んっ」
なんでだろう。唇が熱い。鼻の奥がぐーんと広げられていくような、ふんわりと体が浮く
ような不思議な感覚に包まれる。
「あ…あ、あっ」
ツメカミにさんざん嬲られた背後の一点は、しみるように痛む。けど、しつこい蛇が
湿った肌をなすりつけてくるように、彼のものが腸壁をしつこく撫でこすり僕を追い詰める。
彼の体から生え伸びた蛇が、僕の体の奥底で赤い舌をちろちろと泳がせているかと思うと、
ぞくりと肌が粟立つ。
「うんっ…」
赤い舌の先が二つに割れてなびく。その色が目の裏側でひらめいたとき、僕は切なく声を
上げて、脱力した。ビク、ビク、と体を震わせるたび、生ぬるい粘液が腹の上に飛び散る。


213:風と木の名無しさん
06/12/13 20:07:07 yVfzszg2O
お医者さんと代理さんは嫌いなの。

初仕事、GJ

214:初仕事42
06/12/13 20:07:13 2Qzg5iw60
なんて気分だろう。まるっきり主人の手に弄ばれる犬だ。恥ずかしくてたまらないくせに、
とても心地いい。
うんっ、と甘ったるく呻きながら、結局僕は自分の腹に全部を放った。彼がそれを手で
塗り広げるように撫でる。僕もそこへ指を這わせて、生ぬるい粘液の手触りとともに、
快感の余韻を楽しんだ。
ぬるぬると指先で腹から胸へなで上げながら、彼の目を見上げた。胸の突起を指先で
弄んでみせる僕の指を目で追う彼は、まだその張りつめた力を失っていない。
「ねえ…」
そう言って僕は、彼の視線を絡め取るようにしてから、目をよそへ向けた。そこでは、
ヒッツレが新たな陵辱にとりかかっていた。もうすでに二度はイっているはずなのに。
四つ這いの姿勢でさんざん突っ込まれたツメカミは、そのまま横倒しになってヒイヒイ
呻いている。ここからは顔しか見えないけど、尻はきっと血まみれでぐちゃぐちゃに
違いない。ああ、見たい。そこを間近で覗き込んでやりたい。
ヒッツレが無造作にツメカミの片脚を掴むと、その体を仰向けにひっくり返す。ひいい、
と泣き声を上げるが、ツメカミはもう抗う力もないらしい。怯えた犬のように、両手は
胸元でくちゃっと丸まって震えている。


215:初仕事43
06/12/13 20:09:40 2Qzg5iw60
横向きになったツメカミの片足首をかるがると掴んで、またヒッツレは腰を押し当てる。
あらわに開かれたそこからはっきりと、ぐちゅ、という音がした。僕はその光景を
ぼんやりと眺めながら、胸の上をぬるぬると撫で回している。
ぎゃう、と踏みつけられたような声を上げるだけで、ツメカミはただの肉の塊みたいに
横たわっている。時折ずるりとヒッツレが体を引くと、くちゅ、と音が鳴る。その顔に
似ず無骨で巨大な代物は、ゼリーと何かと何かにまみれて先端近くまで姿を現す。
抜ききらずにいる張りつめた突端は、ツメカミの受け口を休ませることなく、
拡張し続けている。
「ぎゃ…ぁっ…げぁ…っ」
もう人の声には聞こえない。死にかけの蛙がこれでもかと踏みつけられている。
もしくは、万人に嫌われる毒虫が火に炙られる断末魔。
__________________________________________________
ここまでです。
スレの状態について、いまだにさっぱり事情が飲み込めないんですが、
おかしいところがあれば誘導お願いします。
従来どおりの投下で大丈夫でしたら、また来させていただきます。

216:風と木の名無しさん
06/12/13 22:20:52 OXNBaR/sO
初仕事タン乙乙乙!!
待ってたよー(つД`)゚。゚
泣きボクロタンセクシーすぎww
泣きボクロタンエロいよ可愛いよツメカミタンいい気味だよ萌えるよ(´Д`*)ハァハァ
何の問題もないので、引き続きここに投下してほしいな。
オチが最高に気になる。

テュランタンも待ってるよーノシ

217:風と木の名無しさん
06/12/13 22:30:28 +cPym3Zw0
>>215
全くもって何の問題もありませんよ、気にしないで下さい。
乙です。

218:風と木の名無しさん
06/12/13 23:16:53 uK6aLDJI0
初仕事さん乙
ツメカミタソ脱然、脱力そんでもって脱肛

219:風と木の名無しさん
06/12/13 23:47:48 e4nsp4yf0
初仕事タン乙!!
うまい具合に皆壊れていってるね
エ/スだっけ?なんかの映画思い出した
スレについては自分も事情が分からんけど
分からんままで一緒にスルー汁

220:風と木の名無しさん
06/12/14 00:37:57 HTNhZH4SO
>>205
もし貴方が代理さんならば
気にせず是非投稿してね。
すんごく待ってるから。


221:風と木の名無しさん
06/12/14 00:41:29 y3eVHawTO
>>250
貴方が代理さんなら気にせず投下して下さいね。

基地外が待ってますから


初仕事さん、乙です。

222:風と木の名無しさん
06/12/14 00:52:23 6giZVZ9OO
初仕事タン、待ってたよ~。
続きをありがとう!

とにかく荒氏はヌルーするしか無いんでないかなぁ、と思ってる。
構われたら嬉しがるだけなんでねぇかい。

引き続き、テュランタン、代理タン超待ってます。


223:風と木の名無しさん
06/12/14 02:14:09 y3eVHawTO
実は……なかなか投下し代理をおびき出す為に代理ファンの一人が、嵐をやってるんですって

224:風と木の名無しさん
06/12/14 02:37:09 oCY9GebTO
縺。縺ェ縺ソ縺ォ蠖シ螂ウ縺ョ菴捺?シ縺ッ縺ゥ縺ョ縺上i縺?〒縺吶°?シ?
縺ゅ→縲??壹▲縺ヲ繧九?縺ッ菴輔?驕灘?エ縺ァ縺吶°?シ?

225:風と木の名無しさん
06/12/14 15:50:07 y3eVHawTO
かしらかしらご存じかしら

代理は必ず、来月までに来ます

226:風と木の名無しさん
06/12/14 15:51:16 y3eVHawTO
代理


いっぺん死んでみる?

227:風と木の名無しさん
06/12/14 18:26:45 HTNhZH4SO
お前がな(^ω^)


代理タソは関係ありません。
早くキテ~~!!!

228:風と木の名無しさん
06/12/14 18:51:48 y3eVHawTO
代理


くーるーなー!


本当に構うなつってんのに。嵐はスルーしろよ。そしたら飽きて私もその内いなくなるのに

229:風と木の名無しさん
06/12/14 19:01:28 9fx7SryO0
構わないでちょーだい!
飽きたら来たく無いけど、みんな構うから
ID:y3eVHawTOのアテクシは病気で
暇主婦だし 人を苦しめ陥れに来るんだからね!KF"wふじこってか

230:風と木の名無しさん
06/12/14 19:42:14 y3eVHawTO
お前も構うなよ。嵐はスルーっていうのはあれか。嘘なのか。
今夜零時まで嵐について一切触れず、レスをつけなければ私は大人しく去りましょう


じゃないと、基地外の神様、代理が来ないぞ。いつまでも

231:初仕事44
06/12/14 22:31:13 B15OxvYH0
ガンガンガンガン、と突いて、またズルリと抜く。抜けきるぎりぎりまで抜いてから、
また根元までをズチュっ、と音を立てて突きこむ。そんなことを繰り返しながら、
けれどヒッツレは表情を毛ほども変えない。
なんてかわいいんだろう。不思議と僕はそんなことを感じていた。黙々とツメカミを
いたぶってる姿が、なんだかいじらしい。
たぶん、ヤツは最初からツメカミを狙ってた。冷静に、ただ狙いを定めてたんだ。
いくら目を合わせても、なんの身の危険も、切迫した思いも感じ取れなかったワケが
今なら分かる。いや、かえって安心感みたいなものを僕は感じ取っていた。待ってろ、
そのうちなってヒッツレに言われてるような。それがこんな結果を見ることになろうとは、
全然予想もしてなかったけど。
ツメカミが苛立って、僕を犯して、熱い息を吐きながらイッて。暴れたり物を投げたり
はしゃいだりしてるのを、ヒッツレは身を屈めてじっと見ていたんだ。一気にとびついて
喉笛を噛み切るその瞬間を待って。そこまで思って、ぞくりとした。鳥肌が僕の腕を
覆うように立って、波のように引いていく。
きっともう、ツメカミが発狂するまでヒッツレは止まらない。今までじっと見つめ続けて
きたヤツの熱が全部吐き出されるまで、ツメカミは壊され続けるんだ。


232:初仕事45
06/12/14 22:32:05 B15OxvYH0
「素敵だね…」
思わず呟いた僕の横顔を、カーンがじっと見てるのがわかる。その目を見ないまま、
僕は彼の体を手で押しやった。ぬるん、と硬い蛇が出て行く。ツメカミが僕の中に
放ったものと、僕の腸液と、おいしいゼリーにまみれてそれはきっとてらてらと
光っている。
「食わせてやったら」
ツメカミの顔から視線を外さず、僕は言った。カーンがどんな顔をしたのかは分から
ない。でも少しの間を置いて、僕の言葉どおりに彼はツメカミの方へ向かった。
カーンの手がツメカミの髪をわし掴みにする。その手が僕の胸になすりつけていた
精液が、ツメカミの髪にべっとりとまとわりついた。彼がそこに陣取ったことで、
ツメカミとヒッツレの顔がその陰になった。僕はよく見たくて、足の裏で床を漕いで
少しだけずり上がる。
ヒッツレに突き上げられて揺れている頭をしっかりと掴みあげると、その口に
カーンは汚れた蛇を飲み込ませる。うぐぅ、と呻いて、でも抗うこともなく
ツメカミは長い蛇にその口を犯される。無理やり押し込んだカーンの怒張が、
ツメカミの口にこそげられていく。少し引き、またねじこむのを繰り返すうち、
口の端に濁った粘液が盛り上がっていく。


233:初仕事46
06/12/14 22:33:00 B15OxvYH0
ツメカミは手先を胸のところで丸めたまま、上も下も口をふさがれて、ぐちゃぐちゃに
汚されながら震えてる。目は見開いているけど、その焦点はきっとどこにも合っていない。
カーンの蛇がまとった汚れが盛り上がるようにたまっていく。まるで、食べるのが下手な
子供がソフトクリームを口の端にべたべたにしてるみたいに。
行儀悪いな、いつもながら。ちゃんとこぼさずに食べなくちゃだめだろうツメカミ。
あちこち痛む体を、僕はゆっくりと引き起こす。ツメカミのために。じりじりと体を
引きずってツメカミのそばまで這って行くと、ぼんやりしていたヤツの目がしっかりと
僕をとらえた。その口の両端に、たぶん唾液に薄められたもろもろの汚れが泡だって
ついている。
僕は、自分の精液をなすり付けた指先で、そっとツメカミの口元をぬぐってやった。
指の腹だけではとり切れない粘液は、第二関節までをも汚して、僕の指にのっかった。
白い濁りの中に、赤茶色の濁りが混じって泡立っている。ツメカミが僕の腸の中に
出したもの、そして僕が腹の上に出したもの。そんなもろもろが、僕の指の腹の上で
ミックスされている。汚らわしくて、いつまでも眺めていたいような気がした。


234:初仕事47
06/12/14 22:33:47 B15OxvYH0
ツメカミの目を見下ろすと、しっかりと僕の目を見据えていた。目の端が赤く、たぶん
怒りのせいなんだろう、じんわりと涙に潤んでいる。
僕はにこりと笑ってやった。そして第二関節までしっかりと汚した指を、カーンの犯して
いる口に横からねじ込んでやった。指の背にカーンの硬い熱さが触れる。
「う…ぐぅ…っ」
僕の手に連動するように、カーンがツメカミの髪をぐいっと引いた。喉を反らされて
ごっ、とうめき声を上げる。そこへカーンがさらに腰を押し付けた。僕はヤツの唇の裏側に
指紋の溝の底までなすり付けるように汚れをおしつけてやった。
ぐぅ、ぐぅと呻きながら、ツメカミの目から涙がぼろっと落ちた。目の端が真っ赤だ。
相当苦しくて、悔しいに違いない。ああ、ツメカミ、あんたもかわいいよ。みっともなくて
情けなくて、今の姿、最高に愛しい感じ。
「シャワー、浴びてくるね」
僕はツメカミの口からひっこぬいた指の汚れを目の近くで確認しながら、ぼそりと言った。
それを合図にしたように、二人の男の腰の動きがいっそう激しくなった。



ここまでです。

235:風と木の名無しさん
06/12/14 23:17:33 IRp9eAy+O
初仕事たん乙です!すごい展開になってきたねwwホクロえろす

236:最後の鏡1
06/12/14 23:40:23 TCVsgm+F0
投下します。
エロなし。あまり801っぽくない導入だけです。
既婚者が出てきます。
一応俳優とかアイドルとか芸能関係設定です。

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9月12日 PM10:00
「私、佐山さんがタイプなんですよぉ」
「ほんとですか?じゃあ後で電話番号を…」
「あんた結婚したばっかりやがな」
MCのツッコミにスタジオ中から笑いが起きる。
直人ももちろんそれに合わせて笑う。隣で同期の真司も笑っていた。
「ゆかちゃん、騙されたらあかんで。この人若くて綺麗な奥さんとラブラブやねん」
「えー、ひどい」
ここまでは台本通りだ。
打ち合わせではこの後佐山の新婚生活について話題になるはずだが
毒舌と予想できないトークが売りのこのMCにとって事前の打ち合わせなど
何の意味も持たないことを直人は短い経験の中で悟っていた。
「で、実際どうなん?美人若妻との生活は」
「朝はいってらっしゃいのキスしてます」
「うわー!ムカつくからオンエアではここカットな」
「これ生ですから」
今度も観覧客が笑う。この笑いも含めて予定通りだ。
「そういえば…」
スタジオの空気が硬くなる。
「そういえば」とか「ところで」は予定外のトークが始められる、一種のサインのようなものだと皆知っている。
多分裏で胃を痛めているに違いないディレクターと同じぐらい、直人も緊張していた。


237:最後の鏡2
06/12/14 23:41:33 TCVsgm+F0
「奥さんて内海に似てるんやって?」
思ってもいなかった形で話題に出された直人は目を丸くする。佐山の方を向くと目があった。
「そうですか?」
「似てへんか?なぁ?」
「あー、そういえば」
佐山と仲がいいというタレントが直人を見ながら答える。一瞬考えて直人は
「いってらっしゃい、あなた」とカメラに向かって投げキッスをして笑いをとった。
「さすがにそれはキモいわー、お前」
「可愛いじゃないですか」
当事者の佐山も笑っている。直人は胸を撫で下ろした。
「えー、じゃあ次はそっちのホモ!」
「ホモじゃないですって!普通に間宮って呼んで下さいよ」
残り3分弱の生放送は真司がひたすらMCにいじられて終わり、直人は隣でタイ
ミングを見ながら笑っているだけで良かった。


238:最後の鏡3
06/12/14 23:42:10 TCVsgm+F0

9月14日 AM11:30
直人の控室のドアを開けながらマネージャーの結城が叫んだ。
「やったよ!オーディション合格だって!」
直人は勢いよく立ち上がった。
「ほんと?マジ?!」
「本当だよ!おめでとう!」
結城はファックスと共に台本を手渡す。
『最後の鏡』
ある策略によって全てを失った男が、その元凶である男を追い詰め復讐するというサイコサスペンスだ。
原作は何百万部も売り上げた大ベストセラー、監督は近年海外からも注目を浴びている人物とあって
主役になることができれば俳優としての評判は確立されたようなものだとも言われている。
「やった…すごい嬉しい。結城ちゃんありがとー!」
「結城ちゃんはやめて下さい。そんな歳じゃないですから」
結城は苦笑しながらも抱き着いて来た直人の頭を軽く撫でた。
直人はごめんごめんと軽い調子で言いながら結城から離れた。
そして、改めて台本を見つめる。
「記者会見をいつやるかはまだ未定だそうです。じゃあ私はこれで…」
背を向けた結城に直人は思い出したように声をかけた。
「結城ちゃん、これのオーディション出てたってマジ?俳優志望だってことも知らなかったんだけど、俺」
「ただの人数の水増し用ですよ。それに今は俳優なんて大それたこと目指してませんから」
振り返り、微笑さえ浮かべる結城を見て直人も表情を和らげた。
「良かった。俺、結城ちゃんいないと困るから」

239:最後の鏡4
06/12/14 23:42:49 TCVsgm+F0
9月18日 AM8:00
雨のため、撮影は中断していた。
「最後のカットなのにねー」
共演者のグラビアアイドルが憂鬱そうにしている。
直人と少し言葉を交わした後、彼女は化粧が崩れたと言って控室に戻っていった。
一人になった直人は何をするともなしに空を見上げていた。
「お前さ、寒くないの?そんなとこいて」
直人が振り返ると真司が歩いてくるところだった。
「もうクランクアップしたんじゃなかったっけ」
「近くで別番組の収録やってたんだよ。ラストシーンだっていうから遊びに来た」
「この前の番組?」
「そうだよ。相変わらずキツイんだあの人」
「またホモホモ言われてんの?」
「もちろん」
半ば疲れたような顔で真司が肩を竦める。
本来は二枚目に分類されるはずのはっきりとした顔立ちに、妙に似合う仕草だった。
「そういえば最後の鏡決まったんだって?」
「お蔭様で」
「うわー、お前ってイヤミな奴。絶対主役奪ってやる」
「できるんならどーぞ、会社の友人Aさん」
笑いながらそんなことを言い合っている内に、ようやく雨は止んだ。



9月20日 AM9:00
直人がテレビをつけると、泣いている佐山の顔が大写しになった。
佐山良平、ショック!最愛の妻死去
「ハンドル操作を誤り、中央分離帯に衝突したと見られています。佐山良平さん
ご夫妻はまだ結婚して1ヵ月も経っていないということで、悲しみも一層…」
直人はテレビの音量を下げ、結城に代わりに葬式に出てもらうよう電話をした。

240:最後の鏡
06/12/14 23:43:29 TCVsgm+F0
すみません、ここまでです。

241:風と木の名無しさん
06/12/15 00:58:29 R8aB4oahO
鏡タン、乙乙!続き、特にエロ部分期待してるよ!

242:風と木の名無しさん
06/12/15 01:06:20 a9lJD+aA0
ID:yVfzszg2O=ID:y3eVHawTO か。
毎日ご苦労さん。そのうち他に楽しいこと見つけられるといいな。


243:代理戦争
06/12/15 03:54:32 Ro5o0XcS0
投下します。最後ですが、代理が苦手な方はスルー・NGワード・スクロールでお願いします。
また何時もにも増して長く、エロは無しです。

後半、一瞬だけですが痛そうなグロ描写がありますので、そのあたりも御注意ください。

244:代理戦争
06/12/15 03:57:02 Ro5o0XcS0
「私も未だ信じ切れません。しかし、それを指し示す証拠はごまんとあります」
「……その、証拠とは何なのだ?あの年寄りどもがそれほどまで動揺する証拠とは……?」
呆けたような表情で、独り言のように疑問を口にするカギロイ。ウスライは答えた。
「まず最初に挙げられたのは、彼の戦闘能力についてでした。
 大腿を刺され、暴行を受け、その後高熱でうなされるほどの疲労を蓄積しながら、彼は私を追い詰めて見せました。
 ―そもそも、彼はこの最下層街でそれに見合った戦闘訓練など受けたこともないそうです。
 そういった身上の少年が代理戦争の王者として君臨できる確立が、如何程ありましょうか」
カギロイは呻いた。
「……しかし」
「科学的な分析が終わるには一月必要だそうですが……記録上では、彼には私達との血の交流が見られました。
 東方士族の掟には、『異』を外に持ち出すべからずとあります。この数百年の間、それを破ったものは唯二人。
 一人は―言わずもがな、兄上。貴方です。そしてもう一人は、他民族の女と恋に落ち駆け落ちした数代前の当主。
 彼が女に導かれて根付いた場所は―乾燥して作物も取れず、『異』の保持者しか資源のない土地。―ハダレの故郷です」
「…………………」
「彼の故郷では、血の濃縮の為に近親相姦を許しています。通常その程度の交流では再び発現することのない『異』も、
 何代となく閉鎖された個体群の中で濃縮されることで、復活しないとも限りません」
そっと、ウスライがハダレを見遣った。
「彼自身から聞きました。彼は故郷で『異』の保持者を増やすために強制的に性行為をさせられたそうです。
 ―大幅に能力の劣ったとされる『異』であるにも拘らず。もしそれが二つの『異』を持っている故に起こる現象だとすれば、
 虐待とも取れるその処遇をされた理由も、まだ納得は出来ませんか?」


245:代理戦争
06/12/15 03:59:06 Ro5o0XcS0
「………………………それでも」
余りに長い沈黙―舞台を見つめる観衆達が、戸惑い始める頃ほどの―の末に、カギロイは苦々しく答えた。
「断る。私はお前に追討さえされかけているというのに、今更故郷(くに)の命令に従えるか」
ウスライは、といえば。無表情さを全く崩さずに、視線だけを細めた。―予想していた、とでも言うように。
「……分かりました。それでは、別の手段を取って頂きましょう。兄上」

「……なんだと?」
いい加減、訝しげな思いをするのにも飽きた。
カギロイが些か苛立ったように尋ね返すと、ウスライは何でもないことのようにこう、答えた。
「簡単なことです。ここが何処か御存知ですか、兄上」
カギロイは、一瞬その指し示すところが分からず馬鹿のように周囲に目を遣った。
明滅する派手なライト、リング、ざわめいている観客、負けて倒れている性奴の材料、諸々、諸々……………
そしてその示すところを理解し、にやりとしながら答える。
「戦場だな、ウスライ」
「御名答。上手くあなたが立ち回りさえすれば―私を亡き者にした上で、ハダレも手中に収められるでしょう」
す、っとウスライの右手が滑らかに動いた。このリングに上がってから、初めてのウスライの挙動だった。
例の長細い袋から一本の棒―反り返った片刃の刀を抜き出す。それをカギロイの方に軽く投げて遣す。

「……随分懐かしいものを持ってくるじゃないか」
受け取ったものの向きを直し、カギロイは右手に力を込めた。カチ、と小さく金属のぶつかり合う音が鳴る。
―一瞬の後、ライトを浴びて艶めかしく輝く白刃がカギロイの手に握られていた。
懐かしさとその余りの美しい鋭さに目を細めながら眺めていると、先ほどと同じような音が耳に届いた。
刀身越しに見遣ると、弟も同様にそれを抜き放っていた。
最早どう言った経緯でそうなったのか理解することを諦めた観衆達の、先ほどにもまして大きな歓声が二人を包む。

246:代理戦争
06/12/15 04:01:08 Ro5o0XcS0
「許可は取ってあります。まさか今更此処から逃げなさる訳にもいきますまい」
「勿論。しかし―」
くるりと刃を返しながら、カギロイがウスライに笑いかけた。
「お前は随分と酷な戦いを兄にさせるのだね。
 始終それを振り回しているお前と、組織の一員として務めをこなしている私がやり合えばどうなるか分かるだろうに。
 実際、幼い頃私はお前に勝てた記憶がないんだ。それに真剣では手加減にも出来かねるだろう」
自信があるのかないのか―逃げないというくせに、今の口ぶりではずるい、ハンデをよこせと主張している。
読めない。兄の考えていることが分からない。ウスライは正直にそれを認めた。
―が、先手は打ってある。懐から丁寧に折りたたまれた書類を取り出すと、ウスライはそれを軽く投げた。
「………………?」

音もなくそれを受け取ったカギロイはその書類を開き目を通した。
書類は、代理戦争でリングを使用する際に書く試合の内容を簡単に記したものだった。
それを追う目元が、下がるにつれて緩やかな笑みに染まる。
書類の一番下まで視線が下がり、その長い指が書類を畳みなおす頃には、顔に柔和な余裕の笑みが浮かんでいた。
「……成る程。実戦から離れた兄の事情を良く汲んでくれている。―ササメ!」

聞きなれない人名を呼ぶカギロイの声に、ひくんと顔を上げたのは拘束男だった。
心配そうにこちら方を眺めている奴隷に向け、主人は言い放った。
「急で悪いが、手伝ってくれないかい?―こちらの彼が、『2対2』の代理戦争を要求してきたんだ」
「ぇっ……2対2、ですかぁ?……あの……」
当惑したように主人を見返す拘束男―ササメは、舞台をぐるりと一周見回してから、再び視線を主人に戻した。
今、舞台に立っているのはカギロイと、ウスライ、そしてササメ。あと一人、いるにはいるが―
その疑問に答えたのは、ウスライだった。
「構わない。これは兄上に差し上げたハンデだ」
「―そういう事らしいよ、ササメ」
はぁ……と呆れたような、未だ納得できないような顔でいるササメに、カギロイは穏やかに告げた。
穏やかな調子のまま―背筋を伸ばし、腕を突き出し、右足を少し退き、構える。
「舐められたものだね、お前も私も。彼は一人で二人の『異』を相手に出来るそうだ」

247:代理戦争
06/12/15 04:03:30 Ro5o0XcS0
そういわれて。はっとしたように、ササメが不愉快さを表に現すのをウスライは見た。
一度負けたくせに、という色がありありと読み取れる。その変化を見取ってから、カギロイは告げた。
「私が許す。容赦なく貪れ、―ササメ」

やっと始まった余興に、リングを取り囲む誰もが注目していた。
なぜなら、これは致死試合―この戦場では史上初の、命を奪っても構わない試合であると実況が告げたからだ。
殴り合いの惰性と化した代理戦争の観戦に感動を抱きにくくなっていた彼らは、
誰一人本当に目の前で『死』が訪れるのだ、と自覚すらせずに無責任に応援していた。その瞬間まで。

一歩。二歩。三歩。四歩。ササメが、ウスライとの距離を詰める。相変わらずの速さで。
武器を持った相手に素手で対抗する為に懐に飛び込むのは、有効な戦法だ。
その時一番留意すべきなのは、最後の2歩のスピードとタイミングを誤らないこと。
一歩目の速さが足りなければ真正面から打撃を喰らい、二歩目がずれれば攻撃の後の隙を晒すことになる。
正直に言えば、怖い。失敗すれば、もう二度と主人の好きな綺麗な身体でいられないかもしれない。ササメは思う。
だが、此方には『異』がある。相手が何を考え、一瞬の先に何処にいて何をするつもりかはっきりと分かるそれが。
恐ろしさに耐え、真正面から相手と視線を合わせさえすれば、どうにかなる―

「?!」
視線を合わせようとして、ウスライの黒い瞳の在り処を見失ってササメは制動をかけた。
別に、ウスライの姿が消えたのではない。ただ、視線の合わせて戦うことに慣れているその意識が一瞬取り残された。
―そして、ウスライの白刃が伸び上がるようにササメを貫いた時、痛みと共にそれが引き戻された。
「…………ぇッ……」
あり得ない、と呟いた。それが声になっていなくても。
彼は一度、ハダレと二人がかりで自分に立ち向かい、それでも敗北したのだ。何で、……こんなことに?
「……………………」
こぽこぽと、「あり得ない」という言葉の代わりに血の泡が溢れた。
ふと見下ろすと、自分の身体―主人が手ずから調教してくれた体に、なんともあっさりと刀が突き刺さっていた。
なんて事をしてくれたのだ、とササメは無言でウスライを責めた。ウスライはどこか申し訳なさそうに、口を開きかけ―


248:代理戦争
06/12/15 04:05:32 Ro5o0XcS0
「!」
ササメの体から一気に刀を抜くと、丁度真後ろから斬りかかって来た兄の刀を受け止めた。
その衝撃で、ササメはよろよろと数歩押し返されるように後退り―軽い音を立てて、代理戦争から離脱した。

「……可愛い奴隷を身代わりに後ろから斬りかかるとは…私も予想できかねました」
カタカタと両の腕に震えを立て、交差した刀を挟んで弟が口を開いた。
皮肉が多分に含まれているが、平坦な声。その声に、兄が平静ではない声で応えた。
「……私とて予想できなかったよ……こんなつまらない事で……大切なササメが傷つくなど……」
倒れた彼の身体をウスライ越しに見やることが出来てもまだ信じられないというように、カギロイが唇を震わせた。
―囮のつもりではなかったのか?と訝しげな視線を向ける。すると、
「!」
ぐ、っと強く刀ごと押されてよろめく。たたらを踏むように下がったので、2人の距離が開く。
―その数歩に満たない距離を、息もつかせぬ速さで詰められる。

きぃぃいいん!と高く澄んだ音が、ただでさえ音の反響しやすい戦場に響く。
右下から掬い上げるように命を狙うカギロイの刃を、ウスライが押さえ込むように叩き落とす。
そのまま捻りこむように払い、空いた体の正面を真下から斬り上げる!
……筈が、するりと幻のように刀が空振りした。流石に、一筋縄ではいかないらしい。兄の姿を瞳だけで追い、
「ッ!」
真横にいつの間にか回りこんでいた姿を見止めてそちらに身体を曲げるより速く刀を突き出す。
ぎん、と篭った音が手にも振動を与える。―思ったよりも重い。
じわりと骨を喰らう麻痺に耐えながら白刃を引き戻し矢を薙ぐ様に構えなおすと、もう一度そこに攻撃が降って来た。
「、」
食い縛った奥歯が重圧で軋むのが聞こえた。―やはり、重い。
そこいらのごろつきと同列に考えていたわけではないが、軽く見ていたかもしれないとウスライは反省した。
昔から芯まで腐っていても、カギロイは東方士族筆頭の元嫡子である。
予想以上に鈍っていない斬撃に眉をしかめながら、体勢を立て直そうと踏ん張る。―と、
がん、がん、と連続した攻撃を受けて上に掲げた刀が浮き沈みする。
「!」
予想外の攻撃的なカギロイの姿勢に面食らいながら、押されるように一歩退く。思わず取った、反射的な行動。


249:代理戦争
06/12/15 04:08:07 Ro5o0XcS0
ウスライは次の瞬間、不思議な行動を取っていた。らしからぬ程の素早い後退を取り、カギロイから距離をとる。
そのまま構えるかと思いきや―だらりと左腕を離した。
観客がその逃避行動に激しいブーイングをした。はっきりと馬鹿やろう、戦えとなじる声がウスライに届く。
だが、ウスライは暫く経っても棒立ちのままだ。無表情さの中に、微かな興奮を浮かべた目で睨みながら。それには理由があった。
「正攻法ばかりとは限らないよ。……特に、お前は私の可愛いササメを傷つけたからね」
カギロイは優雅さの中に凄惨さを浮かべた笑いをウスライに向けた。その右手に―刀とは別の刃物が握られていた。
ねっとりと絡みつく血液だけが、その煌きを遮る。
「…………兄上」
微かに上擦った声でウスライが呼びかけた。ゆっくりと刀を握りなおした左の腕から、指の方に向けて紅いものが滴る。
「……貴方は……」
ぽた、とそれが滴った。大した量ではないが、傷口の様子は窺い知れない。それと同様に―
ウスライの言いたいことも、兄には窺い知れなかった。
ただ酷く揺らいだ瞳を向けて、ウスライは兄に刀を振り上げた。

激しい剣戟の音と歓声に両側を挟まれた一方で、忘れ去られたように静かな空間があった。
黒髪の兄弟の戦う場所から少し離れた、リングの隅。そこに、2人の『異』が倒れていた。
片方はうつ伏せで気絶していた。もう片方は、身体に穴を開けていた。気絶はしていない。
血の泡を市場に並べられた蟹のように吹きながら、それでもしっかりと主人の方を見つめている。
しかしのた打ち回る力はもうなく、上下する胸と瞼と、そして隣に眠る青年の髪を撫でる左手だけが動いている。
丁度傍にあったから弄んでいると言った様子のその指先は、酷く優しげだった。それは単に弱っているだけかもしれないが。
拘束男―ササメは、主人を眺めていた。突如現れて、ハダレを取り返しに来たという男と戦う主人を。


250:代理戦争
06/12/15 04:10:12 Ro5o0XcS0
血は意外と大量に出ているようで、ゆっくりと湿った感覚が広がっていくのは気持ちが悪かったし、寒気を催させた。
その中で、気絶した青年の髪を撫でる指先だけは、彼の体温を感じて温まっていた。
とても心地よい。緩やかに彼の髪が解れる度、僅かに溜まっていた熱に触れることが出来た。もっと撫でていたかった。
生きているものを撫でるというのは、こんなに安堵感を伴う行為だったろうか。何だか、忘れていた気がする。
主人も、こんな心地だったのだろうか。ふと、そんなことを思う。触れられる時もササメは限りない安堵を覚えていた。
だったら撫でる者と、撫でられる者は、きっと同じ安堵感を分け合っていたのだ。掌と、髪の熱を与え合うように。
青年は無反応だ。何を考えているかなど、分からない。眠っているものの夢を知りうることがあるはずがない。
だが、その夢が悪夢でないように―身勝手であろうと―思ってしまうのは、同じ主人に愛された仲間意識だろうか。

ぼんやりと、取りとめもなく考えている拘束男―彼が、思いつくはずもなかった。
その濃厚な血の匂いが。自身に限りなく近い血液に浸される感覚が。或いは、それに紛れたたった一滴の愛しい男の血が。
眠れる彼の『欲』を刺激して、揺り起こすことになるなど。


唐突に、ササメの手首が荒々しく掴まれた。
異変に意識だけは覚醒するが、身体は全く動かなかった。動くのは視線だけ。純粋な恐怖がすうっと背筋を伝った。
まるで化け物の前に縛られて放り出されたような緊張感を感じる。
何故目覚めたのか。彼は壊れたのではなかったのだろうか。ササメには、分からない。
ササメは主人から視線を逸らして、眩い天井を見上げた。自分の左手を握る化け物の姿を視止めようとして。

「………あんた、……死に掛けてんのか……?」
ふと声が耳に届き、視線を落とした。ササメが予想していたよりも少し脚の方寄りから、化け物は彼を見下ろしていた。
その化け物―ハダレの顔は憎しみに歪むでも有利を誇るでもなく、ただ疲れたような顔をしていた。
「目が覚めたら……いつのまに、こんなことに…あんたなら、分かると思って」

251:代理戦争
06/12/15 04:12:54 Ro5o0XcS0
―そういえば、ハダレが眠っている間に色々あった。たった今目覚めた彼がそれを知っているべくもない。
だが、どう見ても自分が流暢に事の次第を話せるとは思えない。ササメは無言でハダレを見返した。
「分かってるよ……あんた、そんな身体じゃ話せないだろうし……、……?」
ハダレが、急に言葉を止めた。ササメと視線を合わせたまま瞬きもせず数秒見つめあい―悟ったように、ぽつりと語った。
「………オレが、もう一つ…『異』を?……ウスライの一族のそれを……?」
ササメは微かに頷いた。確かに、今「心を読む瞳と瞳で交わされた会話」には間違いや嘘偽りがない、と示すように。
ハダレは視線をつないだまま、呆然と座り込んだ。
「ウスライ……」
ぼんやりと呟く。ササメがもう一度、小さくこくんと頷いた。
ハダレはそれに指し示されるようにリングの上で戦う二人を見止め、顔を上げた。そこに、求めていたものがあった。

ウスライは押されていた。カギロイは予想以上の強さを維持していた。―むしろ、故郷にいた頃より進歩していた。
特に左腕を傷つけられてからは七・八割がた防戦に回っている。
勿論怪我も痛むが、それ以上にカギロイの攻撃的な姿勢が強く、踏み込むことが出来ないのだ。
奴隷を傷つけられた憎しみもあるだろうが、それ以上にして最大の理由があった。
「どうした、ウスライ。やはり『異』も持たぬ出来損ないはこの程度か!?先ほどの余裕は何処へ行った!」
「………は………ッ!」
断続的な金属音の後、ぎちりと噛み合う様な音を立てて二人の間を刃が交差する。
キチキチ……ッと軋むような鍔迫り合いの音がBGMのように鳴り響く。
「私が故郷にいた頃より『異』の使い方を覚えたからといって、このような差が生まれるとは……正に奇跡の力、だな!」
ぐり、とウスライの刃が数ミリ押下げられるように曲がる。カギロイが力を込め、払おうとしているのだ。
食い下がるウスライ。傷ついた身ながら―痛めた肋骨もまだ完治していないというのに、必死である。
しかし、それも長くは持たなかった。


252:代理戦争
06/12/15 04:18:17 Ro5o0XcS0
「ッ、っ……!」
見守っていたハダレが、思わず目をそむけた。その耳に―ゴキ、という硬いものを砕く音が届く。
―再び目を開けたときには、ウスライが完全に左腕を刀から離していた。その足元には血溜りが出来ていた。
思わず駆け寄ろうと腰を浮かすと、今度はササメがハダレの足首を掴んで引き止める。
「何邪魔してんだよ!あいつ殺されちゃうじゃねぇか!離せってば!」
ハダレはかっとなって怒鳴りつけた。が、それで驚くほどの度量ならばササメは彼をわざわざ引きとめはしない。
(君が行ってどうにかなるの?……ご主人様は君を殺さないけれど、君に勝った弟さんより強いんだよ)
視線で―同じ、心を読むという『異』を相手に使わせて目線だけで会話をする。
思ったとおり、青年は後先など考えていなかった。呆れたように、視線で責める。が、

ぎぃん!と、かつてなく鋭い金属音が二人の元へも届いた。はっとなって、ハダレが振り返る。
―そこには、胸元に程近い距離にあるカギロイの刃を、ウスライが受け止めた姿で静止していた。
一見持ちこたえているように見せかけて、状況は最悪だ。
ウスライの右手には筋肉の隆起がありありと見て取れる。二本の刀の間には震えが生じ、ちりちりと音を立てている。
その震えのせいで、今にも刃がずれてウスライを傷つけそうに見えた。実際そうなのだろうが。

その光景を見て、ハダレの鳩尾辺りがつんと痛くなった。頭が真っ白になって、思わず腰を浮かしかけ、
「……ッだから、邪魔すんなよっ…!!あいつ死なせたくないんだ、頼むよ!」
またササメに足を引っ張られて止められた。苛立ちの余り体液が沸騰しそうだ。
が、ササメはあくまでも落ち着いていて―そして、意外な事を言った。
(……そこまで助けたいんだったら、いい事教えてあげようか)
「いらねぇよっ、いらねぇから早く……!」
(それが、戦時中から続く研究をご主人様が独自に編纂、プログラム化した本当の『異』の使い方―だとしても?)
「………は、……?」
ハダレが罵声を上げようと吸い込んだ空気―それが、あっけなく鼻から抜けた。


253:代理戦争
06/12/15 04:20:48 Ro5o0XcS0
(君の『異』の使い方はむちゃくちゃな我流に過ぎない。って言うより、振り回されてるだけ。
 付け焼刃にしてもその使い方を実践できれば―少なくとも、恍惚におぼれて犬死することはなくなるかもね。
 ご主人様に勝てるかどうかは別だろうけど)
「………………………意味、わかんねぇし」
妙に真剣なササメの視線に圧されるように話を聞いてしまったが、ハダレは困惑したように首を振った。
(……あんたの話が本当か役に立つのかも信用ならんし、………大体何でそんな敵に塩を送るようなマネ……)

(俺はご主人様が負けるわけないって信じてる。だから教える。より強い絶望を味わわなければ君の精神は折れそうにないし、
 ―もしこれが時間稼ぎになっていたら、もっと面白いことになっていただろうしね)
その言葉にぞっとして、慌てて振り返る。―大丈夫。まだ、ウスライは持ちこたえている。
「……ッ…」
ササメを思わず殴りつけたくなって―吐息と共に力を抜く。
殴るまでもなく、この男はもうすぐ死ぬ。そう思うと、腹も立てようがなかった。ササメはどこか可笑しそうにハダレを視た。
(冗談だよ。……それに、『異』の使い方は本当だよ。君とそう体格の違わない俺が君より強いのか、それが理由なんだ。
 まぁ、聞いてみれば大したことじゃないのかもしれないけどね。―どうする?)

ハダレはじっとササメを見つめた。ササメもハダレをじっと見つめた。お互いの眼で探りあうのではなく、純粋に。
そして―ハダレは答えた。
(………………死なせたく、ないんだ。聞かせてくれよ。オレの『異』の使い方)

ササメの反応はなかった。怪訝に思って肩を掴もうとした瞬間、
「……………………?」
ぽつりと、ほんの少しの情報がその眼に飛び込んできた。嘘のように、情報は少なかった。
「……そんな事で……そんなつまんない事で…『異』が?」
(………本当にちっちゃい事。ていうか、そもそもその為に『異』は生まれて、残されてきたはずなのにね……)
そこまで伝えかけて、ササメは小さく咳き込んだ。血の混じった唾がハダレの服に飛ぶ。
はっとして、ハダレの眼差しがその血の雫の行方を追う。そのどさくさに紛れるように―一瞬だけ、ササメが目を逸らす。



254:風と木の名無しさん
06/12/15 04:29:06 YS6lw7wl0
支援

255:代理戦争
06/12/15 04:33:38 Ro5o0XcS0
(…………でも、それを実践するのは大変だよ。だって、そんなこと意識したことなかったでしょ?)
敵とはいえ瀕死の人間を前にして、思わずその名を呼んで揺さぶろうとするハダレに―ササメは告げた。
(甘ちゃんだなぁ。ほら、どこまでご主人様相手に頑張れるか視ててあげるから―行っておいで。ハダレ)

その優し気な視線に、逆に耐えかねたようにハダレが目を逸らした。同じだ、と思った。
(泣き虫なんだから……ほら、見ないでいてあげるから―泣いて良いよ。ハダレ)
大切に仕舞っておいた記憶と同じ視線がそこにあった。それ故に、もう元には戻れないと思い知らされる。

ハダレは疲労の残る体を無理矢理持ち上げた。
―眼を瞑り、たった今ササメから伝聞したことを反芻する。大した事ではない。少し視点を変えるだけ。
そして、自分に宿るというもう一つの『異』も薄く意識しつつ、―眼を開ける。
再び眼にした景色は、変わっているべくもない。そこまで自分は壮大な何かを託されたわけではない。自分は自分以上ではない。
ただそこに自分が居るという事実が、心地よい重みとなって全身に感じられた。―ハダレは、走り出した。
振り返ることはしなかった。残された者は力のない眼を、残したものに向けて見守っていた。

ぴん、と。
カギロイはなんともいえない予感を感じてその場を飛びのいた。その瞬間、
「ちっ!」
舌打ちと共に、対峙していたウスライの目に焼きついたカギロイの残像を引き裂くような蹴りが空を切った。
ひゅご、と正に大気を切断するような鋭さを帯びた脚を避けたカギロイは、そのまま体勢を立て直すつもりで数歩下がる。が。
「避・け・る・なぁあああああ!」
なんかすごい無茶なことを叫びながら鬱憤を晴らすかのように攻撃を仕掛けてくるハダレに、更に2・3歩と押し返される。
一撃一撃は調教に弱った身体らしくどうと言うほどでもないが、その素早さ・正確さは尋常ではない。
まるで、カギロイの行く先・速さ・目的、全てが見透かされているかのように―


256:代理戦争
06/12/15 04:35:43 Ro5o0XcS0
「っ…ふっ!」
一瞬嫌な予想が脳裏をよぎり、カギロイは至近距離のハダレに向かって刃を振り下ろした。
攻撃のために踏み込もうとしているその男は、驚いた顔を見せた―こちら(刀)の切り返しの速さを知らないのだろう。
調子に乗って間合いに踏み込んできたその奴隷素材を、死なさない程度の角度で刃を止めよう。そう思って―

―完璧に、避けられた。
ウスライでさえ見止める事の出来なかった、あの小さな刃さえ当たらない。

驚愕以上に、予想が当たった―ハダレが自身と同じ『異』を持つことを、むざむざ証明させてしまった―苦さに、口元が歪む。
唾を吐き掛けたいような心地で、カギロイは脚を突き出した。攻撃を避けたばかりのハダレの体が、不安定に傾ぐ。
―そこに、カギロイの刀の柄の部分が横凪に襲った。限界まで軽量化されたハダレの体が吹き飛ぶ。

頬か。こめかみか。当たった場所を確かめるよりも速く―今度はウスライの斬撃が、降る。
しかしカギロイは驚きながらもそれを正確に流し、逆に右腕だけの斬撃によって偏った守りを崩そうと、踏み込む。
そして同時に、揺さぶりをも掛ける。隙は見つけるのではなく―作り出すものだ。
「……2対1に、こうして持ち込むためだったのか?」
「何…が、です?」
まるで扱っているのは稽古用の木刀か何かだというように、気楽な口調で語りかけるカギロイ。
一方、二つの―或いは四つの命をそのまま背負わされたような、緊張した蒼白な顔で応えるウスライ。
その蒼白さをせめて暖めてやろうとでも言うように。カギロイは、毒を吐いた。
「客席で。舞台に上がるタイミングを計る為に、始終見ていたんだろう?
 お前の大事なあれが苦痛の末に犯されるのもしっかりとな。レイプシーンは興奮したか?」


257:代理戦争
06/12/15 04:37:46 Ro5o0XcS0
きん、と。奇妙なほど静かな剣戟の音が鳴った。が、聞こえなかった分の『音』がびりびりと周囲を震わせる。
限りなく精密に刃の筋と力を合わせた、試技であれば芸術的とさえいえる業。だが殺意の元で、それは兇器となる。
「……っ………血を吐く思いだった…………興奮など……」
誰が――と呼気に言葉を乗せて、更に一撃を振るう。カギロイの頭髪が数本、はらりとリングに落ちる。
その些細な攻撃の成果に、ウスライは訳もなく確信を得た。いける。返す刀で、袈裟懸けに切り下ろそうと右腕に力を込める。
刀が僅かに軌道を描き始めた。スローモーションで再生しているように、ゆるりとした動きに見える。
兄に止めを刺すという印象的な場面だからだろうか―ウスライには、そう思えた。

だが、刀が兄の服に触れるか否かの頃には、っとした。兄の瞳は刀を見ている。否……視ている。
その黒い瞳が。『異』を宿した瞳が。『異』―ハダレとは対照的に、無機物の力学的運動を寸分たがわずに目測するそれが。
最小限の動きで、武器を扱い、或いは避けるための『異』が、

その一撃を流れるようにカギロイから避けさせた。そして、大振りの一撃を避けられたウスライに、隙を作らせる。
生まれた隙に―がら空きの正中を、ウスライの『止め』を真似る様に袈裟懸けに斬り捨てようと、カギロイが滑り込む。
ウスライが刀を更に返す。間に合わないと知っていても。
―否、もしかしたら本気で間に合うとでも思っているのかもしれない。
持たざるものの足掻き。劣等感に悩み続けたものの、最後の醜態。跡取りにもなれぬ出来損ないの最期。
死ね、と。カギロイが呟く。呼気だけで。あくまでも目許は優雅に。唇には、征服の歓喜を湛えて。

―その呟きをかき消すように、誰かが叫んだ。泣きそうな、縋るような……それでいて、叱るような、鮮烈な声で。
「死ぬな」と。


258:代理戦争
06/12/15 04:40:11 Ro5o0XcS0
唐突に、カギロイが振り返った。一瞬遅れて、咄嗟、というような粗雑な動きで利き手の逆に握った刃物で背後を凪ぐ。
その拍子にウスライの命を奪うはずの太刀筋さえ鈍り、間に合わないはずの切り返しが間に合ってしまった。
間抜な音を立てて、2本の刀が弾きあう。

が、カギロイはウスライの方に向き直りもしない。
客がどよめく。ウスライも動揺していた。一体何が起こったのか―弾んだ息が、思考を乱す。分からない。
不自然に背後を振り返ったまま、兄は沈黙を保ち―不意に、崩れ落ちた。
その、崩れ落ちた兄の影から羽化するように。顔面の右半分と、右手を親指側の縦半分だけ血で染めたハダレが、立っていた。

「…………………まだ、死んでない。殺してない」
ぽつりと、倒れたカギロイを見下ろしながらハダレは呟いた。
「でも肝臓やった。コレで。……放っておくと、死ぬ。急所だから」
コレ、の所で右手の親指を曲げ伸ばしして、この部位を指しているのだと示す。鉄指功。爪の間まで血が入り込んだ凶器。
「オレの武器は……身体しかないから。多分、何するつもりか、『異』で視ても分からなかったんだと思う」
カギロイが、ハダレを真剣に避けなかった理由。意図がつかめなかった。『異』に頼りすぎて。

ハダレは、ふと少し言葉を詰まらせた。
「……教えてもらったんだ。『異』の使い方。兄ちゃんに」
ウスライは―返答するべくもなく、黙って聞いていた。答えようも、応えようもなかった。
「オレは今まで……自分を守るために戦ってきた。それを、ちょっと視点を変えるだけだって。
 自分と、今目前に居るやつ、ってちょっと範囲を大きくするだけで『異』は扱えるって。
 『異』の初めの初めは、そのためにあったからって。自分か、自分の群れを守るためにあったからって。
 でも逆に、別に戦争とか平和にするとか、そんなでかいことの為に『異』はあるんじゃないって。
 どんなに吼えたって、オレはオレでしかないし、『異』は個人のものだからって」
それを、果たして実践したのだろうか。それを問いかける前に、ハダレは勝手にすらすらと答えた。
「今、そうやってみた。そしたら―」

259:代理戦争
06/12/15 04:42:38 Ro5o0XcS0
※グロ痛い描写あります。


ふと。ウスライは視線を下に下げている所為で俯き加減のハダレを覗き込んだ。顔面の出血が酷い。
額を深く切ったのだろうか、とか意外と冷静に―再会の歓喜など、麻痺したように感じなかった―考え、頬を拭う。
そこに、洗い流すように涙が落ちてきた。
「……酷いんだよ。確かに、戦いやすくはなったし、あんまり頭もぼーっとしなくなったし。でもさぁ」
「…………………?」
延々と平坦に続く語りではなく、涙の質感に違和感を覚えてウスライは手を止めた。
さらさらとした、透明な―或いは血交じりの薄紅色の涙ではない。もっと、どろどろした何か。
「…………オレは、お前に死なないで欲しかっただけで………お前の兄ちゃんを殺したかったわけじゃ……」
言葉の後半になって、ようやくハダレは正気を取り戻したように声を詰まらせた。もっと言いたいことがあるだろうに。
必死にウスライと目が合わないように、視線を逸らす。血塗れでない、左眼だけ。
左眼だけ。

その時、ウスライは唐突にハダレの傷を悟った。顎を掬い上げ、必死にそむける顔を上げさせる。
「………っ……………………」
息を呑んだ。
慄くように吐き出した息に、震えが混じる。呆けるしかない。

いや。呆けながらも、残っている右腕の力の限りで抱きしめながら『謝罪』するしかなかった。
「………大切なものを捨てさせてしまった……俺を………………許して欲しい」
「……………ん…」
正に掻き抱く、といった表現がふさわしい様相で抱き寄せられながら、ハダレは小さく首を振った。
ライトに照らされた、その顔に湧いた血の泉の中心。それを見て、観客の一部が悲鳴を上げる。
眉間の少し下、鼻梁が水平方向に下り坂になるあたりから、右頬骨にかかる辺りまで、
カギロイの凶刃がその『異』の宿る眼球ごと、ばっさりと斬り抉っていた。


260:代理戦争
06/12/15 04:44:43 Ro5o0XcS0
実況も、舞台上の誰も、そして観客までもが押し黙った。気圧されていた。―始めて目の当たりにする、致死試合に。
今までの格闘技の延長線上やリアルタイムAVでは済まされない有様に、席を立つものすら現れない。
代理戦争。依頼者の名誉と権利を賭けて戦う、司法と警察要らずの小さな戦争。
誰かを蹴落としてもう一方を高みへ進ませるという、見慣れきった卑屈なその行いが、
―酷く残酷で、生々しく、そして切ない願いを抱えていたことに、今更気付いたように……誰もが押し黙っていた。

がくん、と。唐突にハダレの膝が折れた。驚くウスライの腕の中で、ハダレは意識を手放した。
安堵からか、『異』を使用したことによるストレスか、殺傷の衝撃か、或いは身体的な疲労か。どれも五分五分だろう。
その体を抱き留めながら―ウスライは、震える咽喉を引き絞って声を上げた。

「…勝った」

決して叫ぶのではなく。平坦な声音で。だが、静まり返ったその会場に否応無く響くほどの音量を以て。

「俺たちが、勝った」

決して誇るのではなく。単に、動かない実況の代わりに。状況を言葉に変え、明確にしてやる為に。
―代理戦争を終わらせ、此処を立ち去るために。
ウスライは僅かに左手の握力を働かせ―痛い以前に動かないことを思い出した。右腕だけで全てを済まさなければならない。
仕方が無く、何時の間にやら放り出していた抜き身のままの刀を、口と右手で鞘に戻す。兄の分は納めなかった。
それを元の黒い袋に入れなおして右肩に背負い、更にハダレをも背負った。
幾らハダレの体重が軽いとはいえ、重くないわけが無かった。が、そのまま歩みだす。
舞台を降り、例の扉をくぐり、控え室を過ぎ、廊下を通り抜け―外に出た。誰も咎めたり、塞いだりはしなかった。

261:代理戦争
06/12/15 04:49:53 Ro5o0XcS0
何となくそこで、ウスライは息をついた。
勿論、外に出たから安心というわけではない。建物の外周のどこに組織の関係者が居ないとも限らないし、
ハダレになにかしら因縁のあるものが通りすがる確立は0ではなく、単に物珍しさで絡まれるかもしれない。
それでも、ウスライは以前にハダレを担いで運んだ時より、堂々とした歩みで進んだ。
開き直ったともいえるその歩みは、覚悟の賜物だろうか。―ハダレを、その手で守り続けるという覚悟の。

ウスライがハダレを取り戻すための方法―一人で組織を壊滅させるとか、不可能な事以外で―はたったひとつだった。
カギロイが組織から個人へ変わる瞬間。代理戦争の舞台に上がった時に、何としても倒す。それだけ。
しかし、物理的に代理戦争の舞台に上がっただけでは意味が無い。刀を取らせなければならない。
その為に―逆に、ハダレの『異』の事をダシにした、と言ったら彼は怒るだろうか?

ウスライは、この僅かな期間に故郷に赴き、ハダレの存在と可能性を知らせた。
元々故郷ではそこはかとない懸念がされていた課題であったために、その『命』が下るのは思いのほか早かった。
ハダレの保護と、―あの場で、カギロイには言わなかったことだが―召喚。ハダレを保護して連れて来いという命令だった。
故郷が一枚噛んでいるとなればカギロイは意地にもなるだろうし、抵抗せざるを得ない。相手がウスライなら尚更。
結果は―上手く行った、とは言いがたいが―……生きて帰れたのだから、よしとすべきだろう。
しかし、一方でこれからハダレを故郷へ連れて行ってどうなるのか、微妙なところだった。
永住しろとか年中監視下に置くとか、無茶な要求をされる可能性は大いにある。
唯でさえ堅牢な掟の中で生きている彼らが、もしも暴挙に及ぶことがあったら―


……ウスライはハダレを抱え直し、歩みを速めた。後を付けられている―気配がする。
ただでさえ手荷物が大きいところに、満身創痍の体。状況は絶対不利。
だが、不思議とウスライの心には重苦しさも、諦めもなかった。
―あの、「死ぬな」という鮮烈で拙い叫びが、己で立てた覚悟が、不思議な心境を生んでいた。


262:代理戦争
06/12/15 04:51:58 Ro5o0XcS0
己で立てた覚悟。―ハダレがあの廃ビルで口にした、小さな願いを護ってやること。
例え、ハダレを護るために故郷に『下させた』命令に、矛盾しつつも背くような事になっても。
彼に対して抱く感情を果たす為に。
そして―自身の為に、唯一の武器であり、家族との繋がりである『異』と右目を放棄してまで戦い抜いた彼に応えるために。


黒尽くめの男、ウスライはすっと足取りを更に加速すると、細い路地にその身を滑り込ませた。
その滑らかな動きに、逆に後を付けていた男達がたたらを踏む様な不自然な歩みを見せる。
思わず立ち止まり、仲間同士で小さくその失態を罵りあい、体勢を整えて改めて路地に踏み入ると―
果たして、その姿は闇に溶けて途中で目視できなくなってしまったように、忽然と消えていた。

それ以来、彼らを目撃したという確からしい情報がこの街を駆け巡ることは無かった。

風の噂程度なら、他のあまたのゴシップに混じって幾つも流れた。
曰く、途中で追っ手に襲撃を受けて殺された。曰く、罹った医者がヤブだったので傷が腐って死んだ。
曰く、遠い異国に逃れるため、最下層街を抜けていくのを目撃した。曰く、実はひっそりとこの街で生きている。
曰く、路銀が無くて野たれ死んだ。無念の余り成仏できず、以来自縛霊となって通りがかる者からカツアゲを繰り返している。
曰く、全く違う地域でまた代理戦争をやっていた。
幾つも、幾つも。ハダレと親しかった者も、知っていた者も、誰もがそれを聞いて一喜一憂を繰り返した。
だが、時が経てば人の記憶は薄められていく。街は新たな住人を増やし、代理戦争は新人を登場させ、過去の人物を消していく。

数日、数ヶ月、数年。
ハダレと親しかった者達が気が付く頃には、流れる噂の数も減り、噂をするもの自体が減り、
―やがて彼らが忘れることによってハダレという者の存在が最下層街から消えようとしていた。



263:代理戦争
06/12/15 04:54:43 Ro5o0XcS0
上がった歓声に、カウンターの中でグラスを磨いていた女性は舞台の方を見やった。
今売れ筋の若手選手が、老練な選手にコテンパンにやられて悲鳴を上げていた。―賭博師達の予想を裏切る展開。
以前よりも深まった皺を気にしながら、ああ何故こんな野蛮な場所で毎日働かねばならないのかと溜息をつく。
だが、溜息をつく以上の事―転職を考える、等―はしたことが無い。毎日、そこで終わり。
今日も脳内での愚痴程度にして、次々と曇ったグラスを拭き終えていく。
ふと。目の前を見やると、カウンター越しに数口分中身の減ったコーラのグラスが汗を掻いているのが見えた。
別に驚くことではない。先ほど、注文されて自分が出したものだからだ―目の前の、少年に。

年の頃は14、5といったところだろうか。余り特徴の無いその風貌は、まだこの街の新参者と言った風合いに等しい。
実際女性が彼を覚えていたのは、彼が最近代理戦争に出始めた―出させられ始めた、からだった。
少年の表情は固い。まだ勝利の華々しさや、恍惚や、そういったものを知らないゆえの緊張。
その横顔―舞台の方を向いているからだ―を眺めながら、思い出す。あの、行方知れずとされている眼帯の青年を。

ふと、その青年の話でも聞かせてやろうか、と思い立つ。
ここでは、強いものの肩を持つのは自由だが、弱い方に肩入れして悪い道理がある訳でもない。
それに―試合に負けて行方不明、という話なら単に彼を怯えさせるだけだろうが、
何だか分からないがとにかく楽しくやれている―という手紙が来たことをこっそり教えてやれば、彼の緊張も解れるに違いない。

女性は少年に声を掛けた。
少年はゆっくりと、意外そうな表情で舞台から視線を外し、向き直る。
―引き込まれるような、不思議な魅力に輝く瞳を向けながら。

END

264:代理戦争
06/12/15 04:58:10 Ro5o0XcS0
自分語りにつき、代理が嫌いな方はもとより、そういうのNGな方はスルーでお願いいたします。


長い間、代理戦争を鬼畜スレに投下させて頂きありがとうございました。
代理への乙や感想を、時に厳しい意見をもらう事で、或いは嫌いな方にスルー&スクロールを徹底して頂く事で、
拙く異端であるこの作品をとりあえず完結させることが出来、感謝しています。

また、代理によって何かしら不愉快な思いをされた方が沢山いらっしゃることに関して、
謹んでお詫びを申し上げます。
長い投下、期間をあけすぎ、メル欄自分語りイタイ、漏れ一人称など様々な指摘を頂きました。
そして、今更ですが、実は途中で(今回も含め)投下を止めようと何度か考えました。
何度も指摘を受けたことですが、サイトを構えてそこに移動しようと計画だてたりも一応していました。
その度にご支援を受けたり、「完結宣言」が頭をちらつき、踏ん切りがつかないままいつのまにか完結に漕ぎ着けていました。
結局は>179 の指摘のような意固地な姿勢になってしまったことを再度お詫び致します。

これから、代理はまた名を変えてスレで書くことがあると思いますし、或いは巣を構えて書き殴る事もあるかも知れません。
その時は代理だと気付いても生暖かく見守っていただけるか、またスルーしていただけると幸いです。

改めて。期間にしてちょうど11ヶ月、スレにして7スレ、レス数にして312レス(実質285レス)の長く、拙い話を
鬼畜スレで完結させていただき、本当にありがとうございました。



265:風と木の名無しさん
06/12/15 06:06:29 SAtuwfzb0
遂に完結してしまった!!!・゚・(つД`)・゚・
連載が終了した時のこの満足感と寂寥感と言ったら…。
代理タン禿しく乙です!
この世界観好きだった。お兄ちゃん尽くしに今幸せな気分です。
次の作品も楽しみに待ってる!

266:風と木の名無しさん
06/12/15 06:52:44 OGjrnY/6O
泣きボクロテラエロスww禿萌えた。
ツメカミのポーズも萌え。
続き待ってるよノシ

267:風と木の名無しさん
06/12/15 07:01:51 jNO84SrA0
代理さんお疲れ様です。

始まりから、投下されていた先程まで
読ませて頂いていました。
最後でリアルタイムに遭遇出来て嬉しかった反面
途中からスレの空気的にも
話の切り刻みを余儀なくされた事は、残念に思いますが
本当に、良い作品を今まで有り難う御座いました。

268:風と木の名無しさん
06/12/15 08:44:17 jWt6JvAZO
完結したぁーーー!!(;´д`)神もハダレタンもウスライもお疲れ様!涙出る

269:風と木の名無しさん
06/12/15 08:52:49 JuAzuaHIO
代理さんお疲れ様!!!
凄くよかったよ!!!(*´Д`)
ハダレタソもウスライタソも素敵だよ!!!

270:風と木の名無しさん
06/12/15 09:43:40 YR2BB+AZ0
>代理タン
乙ですほんと乙です
>267にまるっと同意です

271:風と木の名無しさん
06/12/15 10:34:48 JuAzuaHIO
代理タソ乙です!!

超よかった!!泣きそうだよ(´Д`)素晴らしい作品をありがとうございました。

272:風と木の名無しさん
06/12/15 11:13:33 JuAzuaHIO
代理さん乙!!
最高にGJでした!!!!(ノД`)

秘かに続編期待してみたり。

273:風と木の名無しさん
06/12/15 11:46:33 pZyosHuR0
ハイハイ、オツカレ
煽ってんじゃなくて
本当に最後まで完結させたのは凄いね
それは認めるよ

でも
>> ID:JuAzuaHIO
最後まで自演ですか?w

274:風と木の名無しさん
06/12/15 13:14:24 OGjrnY/6O
>>273
てめえの自演だろカス
まじで死んでくれや

275:風と木の名無しさん
06/12/15 14:48:46 pHjTnXeP0
まあまあ、今日はやめようや。

代理さん、お疲れ様でした。
そして、最後まで読ませてくれてありがとう。
ハダレが今までの人生の折り返し地点を越えて
幸せになった、と信じてます。(鬼畜に反しますが)
またここで、そんで偶然でもどこかのサイトとかで
あなたの作品が読めることを楽しみにしてます。

276:風と木の名無しさん
06/12/15 16:06:30 JuAzuaHIO
いやいや今日に限らずこれからもだろ

代理さん本当にお疲れ様でした。世界感が素晴らし!!!
ハダレタソとウスライタソのその後も気になる~
素晴らしい作品をありがとうございました。

277:最後の鏡5
06/12/15 16:20:29 2XMdtb+c0
投下します。

男女の絡みというか、とりあえず女性が絡んできます。
エロなし。

------------------------------------------------------------------

9月21日 PM1:00
「おはようございます」
「おはよー」
直人が顔を上げると真司が歩いてくるところだった。
「おはよう」
「おはよう。今日真司のシーンあるんだっけ?」
「いや、ほんとは無かったんだけどさ…」
真司は直人の隣に腰を降ろした。
「今日さ…葬式あるから、収録中止になって。監督とちょっと相談でもしようかと思って来た」
直人はあぁ…と小さく呟いた。
「行かなくていいのか?」
「今の佐山さん見てるとこっちまで辛いから。俺には無理。しばらくしたら線香上げに行くことにした」
「俺、明日行ってこようと思ってんだ」
「明日?明日は来客多そうだからやめといた方がいいって。余計佐山さん疲れるだろ」
「そうだな、じゃあもうちょっと後にする」
直人が頷いていると、直人の名前が大声で呼ばれた。
「シーン19始めるのでスタンバイお願いします!あと、間宮さん監督が呼んでました」
二人は揃って立ち上がる。
「じゃあまた後で」


278:最後の鏡6
06/12/15 16:23:03 2XMdtb+c0
9月21日 PM4:00
直人が服を着替えて戻って来ると、監督の傍で真司もモニターを覗き込んでいた。
「迫真の演技お疲れ!ほんとに倒れたかと思ったよ」
「嘘つけよ。まぁ実際この季節に雨のシーンなんて倒れるかと思ったけど」
「お陰でいいシーンが撮れたよ」
直人は監督の言葉に礼を言いながらモニターに視線をやった。
モニターの中では直人が雨に打たれて立ち尽くしているところだった。
「この後、例の長台詞なんだって?頑張れよ」
真司が立ち上がって直人の肩を叩く。
次のシーンは2ページもの主人公の独白だ。
全てが終わった後、それが策略だったと知った主人公は半ば発狂しながら自らが悟った真実を延々と語っていく。
「言った通りこのシーンは見せ場だからな。頼むよ」
「頑張ります」
監督は満足そうに笑うと立ち上がった。
「シーン18、始めるぞ」



9月22日 AM11:30
結城から電話がかかってきた。
「佐山さんのところのマネージャーに連絡しました。25日の午後ならお互い大丈夫みたいです」
「わかった。…佐山さん、やめるって?」
「まだ憔悴しきってて、とても聞ける状態じゃないそうです」
「わかった」
直人が電話を切っても、テレビではまだ佐山の芸能活動の今後について流れていた。


279:最後の鏡7
06/12/15 16:25:47 2XMdtb+c0
9月25日 PM2:00
直人は車を降りた。
運転席にいる結城は身を乗り出すようにして助手席側の直人へ話し掛ける。
「この後打ち合わせなので、また迎えに来ます」
「珍しく結城ちゃんがいないから羽伸ばしてくるよ。ところで俺の携帯は?まだ修理?」
「明日には戻ってくるらしいですよ。3時半か遅くても4時には迎えに来るので安心して下さい」
「なら平気か。よろしく」
結城の車が動き出す。それを見送らないで直人は後ろの邸宅を振り返った。
新しくて広い家。佐山はこの中に一人でいるはずだ。
直人はインターホンを鳴らした。


9月25日 PM2:10
「いらっしゃい」
玄関に出てきた佐山は無理やり笑顔を作ってはいたが、ひどく憔悴していた。
「この度はご愁傷様です」
直人は言いながら頭を下げる。
「ありがとう…。妻も喜ぶと思うよ。どうぞ」
佐山に続いて歩き、リビングへと通されるとそこは綺麗に片付けられていた。
誘われるまま椅子に座った直人は、佐山がキッチンへ向かっている間に部屋の至る所を観察する。
黒と白でまとめられた部屋はどちらのセンスだろうと直人は考えた。
装飾品の無さから佐山だろうかと言う所まで直人の考えが至った時
キッチンの方からガラスの割れる音、とにかく大きな音がした。
「どうしたんですか?」
直人がキッチンへ向かうと、佐山が倒れていた。辺りには粉々になったティーカップが散らばっている。
「佐山さん!」
完全に動揺した、裏返った声で直人は叫びながら佐山の体を揺すった。
小さなうめき声を上げて佐山が目を開く。
「佐山さん?大丈夫ですか?」


280:最後の鏡8
06/12/15 16:26:50 2XMdtb+c0
佐山が何かを呟いた。しかし、直人にはそれが聞き取れなかった。
「何ですか?」
直人は佐山の唇に耳を近づける。
「…なお」
自分の名前を呼ぼうとしているのかと直人が訝しく思っていると
佐山の腕が伸びてきて、直人の頭を抱きこんだ。
「佐山さん?」
直人が慌てて身体を起こそうとしても離れることができない。
「やっぱり生きてたんだね、ナオ…」
直人の顔から血の気が引いていく。
更に力を込めて起き上がると、ようやく佐山から離れることができた。
「しっかりして下さい!俺、ナオさんじゃないですよ!内海です!」
「どうして逃げるんだ、ナオ…もうどこにも行かないでくれ」
佐山の目は直人の方を向いているのにどこか焦点があっていない。
佐山が直人の腕を掴む。
「違いますって!」
直人がそれを振り払うと、急に佐山の表情が変わった。
「どうして僕を拒絶するんだ…ナオ!」
直人が逃げようと後ずさったところで佐山が荒っぽく直人の肩を掴んだ。
その弾みで直人はキッチンとリビングとの段差から、足を踏み外す。
直人は頭を強か床にぶつけた。
「お仕置きだよ、…」
佐山が囁くような声で名前を呼ぶが、直人は反応しない。
佐山は気を失った直人を寝室へと引きずり始めた。

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ここまでです。

281:風と木の名無しさん
06/12/15 17:21:37 TKahxysSO
代理タソ乙でした本当に本当に乙でした
長い事でいろいろとあったと思うけどここで完結まで読めて幸せでした
サイトは自分じゃ捜せないだろうし…
むしろ11ヶ月も追っ掛け続けてた事に自分がびっくりしました
大好きで楽しみでそんなに長い時間が経ってた事に気付かなかった
ササメタソも幸せでいて欲しかった気もするけどハダレタソが幸せになれてよかったです

本当にお疲れ様でした
代理戦争を読ませて貰ってありがとうでした

282:風と木の名無しさん
06/12/15 17:37:59 JuAzuaHIO
代理さん乙!!!
何度読んでも泣けてくる。
ハダレタソ(*´Д`)
同じく私も後が気になってたり
本当にGJ!!!!!!!!

283:風と木の名無しさん
06/12/15 23:22:40 oPQcWsOt0
久しぶりに覗いたら初仕事タンがいた!!
うれしい!禿萌え!
テュランタソのことも待ってる、、、

284:風と木の名無しさん
06/12/16 01:49:56 Zmf8jtuFO
代理さん、愛してます!もー好きです!貴方の作品が大好きです!!簡潔、有難うございやした!



285:風と木の名無しさん
06/12/16 09:25:09 SG1jA+V6O
続きキボン(*´Д`)

286:風と木の名無しさん
06/12/16 16:06:18 e/H4rgHh0
代理さん、お疲れ様でした。
絡まれながら頑張ってくれてありがとう!
最後まで読めて嬉しいです。
もしサイトを作ることがあったら、排除してしまったと言う
伏線の部分も入れて、完全なお話をぜひ読ませてください。
本当に本当にこのお話が大好きでした!

287:風と木の名無しさん
06/12/16 16:37:25 SG1jA+V6O
同意!!
代理さん乙です!!!
最初から最後まで素晴らしかった!!!この作品に出会えて嬉しい!!

288:風と木の名無しさん
06/12/16 19:29:21 +8gjrJjq0
代理タンお疲れ様でした!!
たくさんの鬼畜と感動を有難う。

289:風と木の名無しさん
06/12/16 20:58:22 gls6kaeT0
もうそろそろよいではないかよいではないか

2回繰り返すとやらしいな>よい~

290:風と木の名無しさん
06/12/17 00:33:55 nRkMF089O
テュランたん・・・(´・ω・)

291:最後の鏡a
06/12/17 01:33:59 VnqUEqmV0
投下します。

エロ部分が男女物っぽく見えるので、それを補足するための話です。
伏線を殆ど出してしまっているためストーリーの流れを重視される方は読まない方がいいかもしれません。

--------------------------------------------------------------------------------

6月5日 PM2:00
間宮真司にとって、最悪の日だった。
「はじめまして」
真司の目前で青年が笑う。
「内海直人です」
その横で友人が暗い顔で立っていた。
「お前…」
「マネージャーの結城です。よろしくお願いします」
真司の呼びかけを無視するように結城は頭を下げた。
直人は二人の間に漂う微妙な空気に気付いた様子も無く、事務所の中を見渡している。
何でだ。
頭の中が混乱でいっぱいになりながら真司は必死で作り笑いを浮かべた。
「よろしく。間宮です」
直人はもう一度微笑んだ。

292:最後の鏡b
06/12/17 01:35:03 VnqUEqmV0
6月5日 PM10:45
「どうしてお前、マネージャーになんかついたんだよ」
真司が荒々しくグラスを下ろしたのでバーのガラステーブルがひどい音をたてた。
「つけって社長に言われたから」
真司と結城知久は出会ってから五年以上にもなるが真司は知久が悪酔いしたところも愚痴をいったところも、自棄になったところも見たことが無かった。
知久はテーブルに片手をついて、こめかみを押さえるようにした。
「それに…なんか色々無理だと思った」
「じゃあ俳優になるの諦めるっていうんだな?」
荒っぽい真司の声に何人かが振り向いた。
それが嫌なのか声が響いたのか、それとも質問が嫌だったのか知久は顔を顰める。
「さあ…」
「それに年下でしかも入ったばっかりのあいつに年上の知久をつけるっていうのもおかしいだろ」
知久はちらっと真司を見ると、嗤った。嫌な感じのする笑い方だった。
「社長が俺に足りないものでも教えてくれたんじゃないか」
「知久!」
真司が鋭く名前を呼ぶと、知久は真っ直ぐ身体を起こして真司を睨んだ。
「お前だってわかってるだろ!内海に会った時、顔色悪かったぞ」
知久は口の端を歪めながら笑い、すぐにそれを消すと財布から適当に紙幣を掴んでテーブルに置いた。
「…もうお前とは会いたくない」
しばらく絶句した後、真司は低い声で呟いた。
「それは同じ俳優を目指してた友達としてか?恋人として?」
「どっちもだ」
知久は去って行った。


293:最後の鏡c
06/12/17 01:35:50 VnqUEqmV0
6月10日 AM12:10
真司がスタジオに入ると、隅の方に立っている知久の姿が一番に視界に入った。
その横では直人が座って他のゲストと楽しそうに話している。
「あ、おはようございます」
真司の姿に気付いたスタッフが次々と声をかけてくる。
それに半ば無意識のうちに返答しながら、真司はその輪に近寄っていった。
「おはようございます」
他の人達と一緒に知久も真司に形式的な挨拶をする。
真司は知久の方を向いていたが、知久は決して目を合わせようとしなかった。
「ちょっとスタッフと話があるので、失礼します」
「わかった。いってらっしゃい結城ちゃん」
真司は黙って空いている席に座った。



6月10日 PM2:30
「お疲れ様でしたー」
「真司さん。次は五時から打ち合わせなんですけど、どうします?」
セットから降りると真司のマネージャーが早速寄ってきた。
最近変わったばかりの、まだ若い俳優の卵だ。年齢は多分直人と同じぐらいだろう。
「どうしようかな…」
真司が少し考える素振りを見せていると、
「あ、じゃあ俺と一緒に食堂行きませんか?」
後ろから声がした。
「…内海くん」
「直人でいいですよ。俺もしばらく暇なんです」
断られるとは夢にも思っていなさそうな顔で直人は笑っていた。
「じゃあ俺も真司でいいよ。行こうか」
「はい」
年齢の差など全く気にしない様子で、やはり直人は笑っていた。

294:最後の鏡d
06/12/17 01:36:23 VnqUEqmV0
7月6日 AM8:00
照明が何か失敗したらしく、ライトが目に入ってくるようになって真司は目を細めた。
「ところで、内海さんと仲が良いそうですね。年下の内海さんは間宮さんのことを名前で呼んでいるとか」
そのことに気付かないでインタビュアーは話を続ける。
「そうですね。普通の同じ年の友達みたいに喋ってますよ」
「間宮さんから見て内海さんはどんな人ですか?」
これは番組宣伝のためのインタビューのはずなのにと内心真司はいらいらしながら、それでも表面上は笑顔を保った。
あいつは、バカなんですよ。基本顔だけで売ってますからね。
内心もこの辺までなら言っても平気だろうか?真司は密かに考える。
語尾に(笑)でもつけてくれれば、最近急激にお笑いタレントと化しているし大丈夫かもしれない。
更に真司は考える。
何にも考えてなくて、全てが手に入ると思い込んでる奴です。そして全てを手に入れられることがどれだけ幸運なことかわかっていない。
俺、あいつ見てるとむかつくんです。あいつのせいで恋人と別れちゃったんですよ。
でも俺や知久に足りないものを持ってる。それに惹かれてしょうがない俺もいるんです…
「間宮さん?」
真司ははっとした。インタビュアーが怪訝そうな顔で覗き込んでいる。
「すいません。真面目に考え込んじゃいました。そうですね…人間的にとても惹かれるところがあるやつだと思います」



7月29日 PM11:40
真司は、笑顔を引き攣らせていた。
隣の直人はとりあえず笑っていた。
「雑誌見たけど、『惹かれる』ってそれホモですやん自分!」
「違いますよ、『人間的に』ですから」
「ホモやホモ。嫌やぁー!」
白々しい芸人のリアクションに客席は大爆笑していた。
後日、この番組のラテ欄には「間宮、ホモ疑惑?!」と最初に載っていた。


295:最後の鏡e
06/12/17 01:37:20 VnqUEqmV0
9月12日 PM11:15
「えー、じゃあ次はそっちのホモ!」
「ホモじゃないですって!普通に間宮って呼んで下さいよ」
真司は笑いがとれていることを確認しながら嫌そうな反応をしてみせる。
最早それが自然にできている自分に真司は密かに嫌気がしていたが
今はそれよりも興奮で頭がいっぱいだった。
三分にも満たない収録時間が、真司にはやけに長く感じられた。



9月12日 PM11:35
ようやくスタジオから出ることができた真司は、すぐに直人の楽屋へ向かった。
直人本人はまだスタジオでスタッフ達と談笑中だ。
真司がノックも無しにドアを開けると知久は目を見開いた後あからさまに嫌そうな顔をした。
「何だよ、もう会いたくないって…」
「話を聞いてくれ。やり直したいとかそういう話じゃないんだ」
知久が怪訝そうな表情になる。
真司は躊躇いとか良心のためではなく、興奮を抑えるために深呼吸をして、口を開いた。
「…内海がいなくなれば良いんじゃないか」
「え?」
「あいつがいなければ、お前は…」
真司がそこまで言ったところで遠くからではあるが賑やかな話し声が聞こえてきた。
「考えがあるんだ。協力してくれるなら電話してほしい」
それだけ早口に言うと、真司は楽屋を出て行った。
後に残された知久はまだ戸惑った表情をしていた。


296:最後の鏡f
06/12/17 01:38:04 VnqUEqmV0
9月14日 AM11:20
廊下を歩く知久の表情は、暗かった。
その手には台本が握られている。
監督直々に手渡されたものだ。
『最後の鏡』
知久はその原作がとても気に入っていた。家にあるその本は何回読み返したかわからない。
知久はその監督がとても気に入っていた。彼の作品は今まで全て見ている。
理不尽かもしれない、しかし激しい嫉妬と羨望の感情に知久は襲われていた。
知久の手は携帯に伸びる。そして未だ短縮に入っている番号へとかけた。
「……終わったら連絡くれ。午後六時以降なら一人だ」
留守番電話にそれだけ吹きこんで、知久は電話を切った。
そして直人の控室のドアを開けながらマネージャーとしての知久は叫んだ。
「やったよ!オーディション合格だって!」



9月15日 PM8:40
「すみません。せっかくのオフなのにお邪魔させていただいて」
「気にすること無いよ。どうぞ」
「どうぞゆっくりしていって下さいね」
真司の前では佐山夫妻が微笑んでいた。



9月15日 PM9:00
真司は持ってきていたミネラルウォーターを飲んだ。
「で、話というのは?」
正面に座った佐山が尋ねる。奥さんはコーヒーが飲めないという真司のために紅茶を買いに行ってくれている。
「佐山さん、変わった性癖お持ちなんですね」


297:最後の鏡g
06/12/17 01:40:07 VnqUEqmV0
佐山の表情が強張る。真司はせっかく笑顔を作った甲斐がないと思った。
「ホモ…って差別用語なのか。言われ慣れてるもので、すいません。ゲイなんですね。正確に言うとバイなんですね」
佐山から返事は無い。
「奥さんがいらっしゃるのに男性にも女性にも手を出されてるのは良くないですよ。でも、佐山さんって趣味わかりやすいですよ」
真司はバッグから写真を取り出すとそれを一気にテーブルの上に広げた。
「内海みたいな顔が趣味なんですね」
「…何がしたいんだ」
テーブルの上の写真を確認した後、佐山が重い口調で喋り始めた。
「人の性癖を調べるのが趣味なのか?家庭事情か?どっちでも良いがほっといてくれ。大体妻も不倫しているんだ。私が同じことをしても構わないはずだ」
「それなんですよ」
真司は自分がこの状況を楽しんでいることに気がついた。
そしてそれは声にも表れている。
「佐山さん、奥さんの不倫をとても怒ってらっしゃるって聞きました。奥さんが生きているのさえ嫌なぐらいだと」
「…それが」
「内海のことをとても気に入っていることも」
「それが何だって言うんだ」
佐山の声に苛立ちが混じってくる。
「奥さん、ヒトミさんのことは俺達に任せてもらって。佐山さんは」
真司はよく直人が浮かべるような笑いを作った。
「内海を強姦して下さい」


9月15日 PM9:30
ヒトミは愛人へメールを打ち終わると家の鍵を開けた。
「ただいま。ごめんなさい、近くのお店が開いてなくってコンビニまで行ったら遅くなっちゃって。間宮さんは?」
「…あぁ、仕事が入っていたことを忘れていたらしくてね。マネージャーが迎えに来たよ。君に謝ってくれと言っていた」
「そうなの?私も申し訳なかったわね」
最近夫の顔をよく見ていなかったヒトミには、佐山の顔色が悪いことも気付かなかった。


298:最後の鏡h
06/12/17 01:40:46 VnqUEqmV0
9月16日 AM3:00
佐山の手は直人の肌をゆっくりと撫で上げた。
それに反応して直人が体を震わせる。
佐山がその肌に唇を落とそうとした瞬間、周りが急に明るくなった。
直人の姿が佐山の身体の下には見当たらない。佐山は血相を変えて周りを捜した。
少し離れたところに直人がいた。隣に先日佐山がタイプだと言っていたアイドルがいる。
二人は佐山に気付いていない。気付かないまま、二人は唇を重ねた…
佐山は目を覚ました。
前半の夢で、勃起しかけていた。
しかし、完全な夢である前半と違って後半は…。
直人は自分の完璧な理想だと佐山は感じていた。
まるで自分のために作られた存在であるかのようにすら感じていた。
そうならば、直人は自分だけに大人しく従わなければならない。
ましてや他人とキスなどしてはならないと佐山は思った。


9月25日 PM2:30
「お仕置きだよ、ナオト…」

--------------------------------------------------------------------

ここまでです。長々と失礼しました。

299:風と木の名無しさん
06/12/17 02:38:44 ijt4T65mO
よくできた作文だな。
夏休みに提出し忘れたやつか?

300:風と木の名無しさん
06/12/17 09:46:45 Vzgh6AlvO
逝ってこい

301:風と木の名無しさん
06/12/17 19:20:06 6Ctcl9mu0
>最後の鏡さん
本スレ潰して隔離スレ一本にしたがってる馬鹿どもの
たわ言なんて気にせず投下続けてくれ

302:風と木の名無しさん
06/12/17 21:35:59 rsODjmQi0
文句ばっか言って自分は何もしない奴ってきらぁい。

303:風と木の名無しさん
06/12/18 15:20:29 Yy0F5n6K0
鏡タン良くも悪くも火サスっぽくて好きだw

304:風と木の名無しさん
06/12/18 17:39:48 j8IgE5ccO
もしくは昼ドラなww

305:柿手
06/12/19 02:12:01 UHeofn160
>>121
清一郎の行方は杳として知れなかった。
清一郎が連れ去られた翌日、平太は駐在所へ駆け込んだが、
犯人が身なりの良い白人の男だと告げるや、
皆一様に及び腰になり、話もろくに聞いてもらえず邪険に追い払われてしまった。
最初に男と出会った寺へも何度も足を運んだが、手がかりはつかめなかった。
男の目撃者どころか、彼が乗っていた車すら見たものは誰もいなかった。
平太の焦りをよそに、ひと月、ふた月と、時間だけが無為に過ぎ、
いつしか近所で噂が流れ始めた。
病気の清一郎を邪魔になった平太が、清一郎を殺して埋めたのではないかと。
それを誤魔化すために、外人に連れ去られたなどとの出任せを言い立てているのだと。
平太が躍起になって否定すればするほど、噂の勢いは増していった。
誰もが平太を疑惑の眼差しで見つめる。
人殺しとすれ違いざまに罵られ、家には石や汚物が投げ込まれた。
『違う、俺じゃない、清一郎は見知らぬ外人に連れ去られたんだ』
必死でそう反駁する平太に、周囲の人間は、ならばと意地悪く問いかけた。
男の名前は? 姿形は? 出会った場所から家までどうやって来た?
何故連れ攫われた直後に人を呼ばなかった? 何故家には争った後がないのか?
何故だ、何故だ、何故だ?
そうした質問に平太は何一つ満足な答えを返せない。
口ごもる平太に、そらみたことかと人々は囃し立てた。
だが、そんな心無い中傷よりも、平太の心をえぐったのは、
篤実な人柄で知られる近所に住む老人の言葉だった。
『清一郎君は病死したんじゃないのかね。それをおまえさんの心が認められなくて、
 ありもしない話を作り上げて自分自身を騙してしまっとるんじゃないのかね』
清一郎のいない家で独り、平太は泣いた。
自分でも、何が本当で何が嘘かわからなくなりかけていた。
―そんな時だった。
再びあの車が、平太の前に現れたのは。
「病状が回復されたセイイチロウさまが、貴方にお会いしたいと呼んでおられます」
運転席から降りてきた陰気な男の言葉に、平太は一も二も無く頷いた。

306:柿手
06/12/19 02:13:01 UHeofn160
どこをどうやって走ったのか。
車に乗り込んだのはまだ日の高いうちであったのに、
目的地に車が着いた時には、既に西の空を夕焼けが染めていた。
「ここ……なんですか?」
車を降りた平太は、鬱蒼とした森の中に建つ瀟洒な洋館に呆然とした。
ある程度の屋敷だろうとの予感はあったが、
まさかこれほどに立派な建物に連れてこられるとは考えていなかった。
おそらく戦前は上流階級の別荘か何かとして使われていたのだろう。
戦火による被害をも免れた蔦が彩るそこは、
平太たちが住むバラックが立ち並ぶ界隈とは、まるで別世界だった。
「本当に、ここに清一郎が?」
道中一言も口をきかなかった運転手の男が、庭に向かって顎をしゃくった。
促されるままに男が示した方を見やった平太は、目を見開いた。
イチョウの木の下に洋装の青年が一人佇んでいた。
遠目であっても、後ろ姿であっても、平太が見間違うはずもなかった。
「清一郎!」
ここ数ヶ月、捜し続けた姿に平太は歓喜の叫び声をあげた。
平太は、開け放たれた門を潜り抜け、清一郎の名を呼びながら夢中で駆けた。
弾かれたように、清一郎が振り返った。
だが、懐かしい彼の顔を彩っていたのは、平太が思い描いていた笑顔ではなかった。
驚愕と動揺が露な強張った表情で、清一郎は平太を見つめていた。
「平太」
掠れた声での清一郎の呟きに、再会に舞い上がっていた平太の気持ちが急速に萎んでいく。
会いたかった。
その気持ちは清一郎も同じだと思っていたのに……。
清一郎の態度のどこにも、平太と再び会えたことへの喜びはなかった。
「何故……」
平太がそう呟くより先に、清一郎の口からも同じ言葉が漏れた。
「何故、ここに、平太……どうして……」
「どうしてって、俺はおまえが会いたがっているって聞いたから」
その言葉を平太が疑う理由はなかった。
そう、今の清一郎の表情を見るまでは―。

307:柿手
06/12/19 02:13:48 UHeofn160
「日が、日が沈む前に早く屋敷から出るんだ」
こわばった顔で、清一郎が平太の腕を掴んだ。
「今ならまだ間に合う。屋敷の外に、早く」
「…………無駄です」
低く抑揚の無い声が背後から響いた。
振り向いた先にいたのは、先ほどの運転手の男だった。
「この者は己の意思で、自らの足で屋敷へ足を踏み入れました。
 もう手遅れです。マスターの許可がなければ外へは出られません」
「カワホリ、おまえ……」
険しい顔つきで、清一郎が目の前の男を睨みつける。
「中へご案内します。マスターも直に目覚められるでしょう」
カワホリと呼ばれた男が、恭しく二人に頭を下げる。
だが、清一郎は、庇うように平太の腕を掴んだまま表情を緩めない。
そんな清一郎に向かって、カワホリはわざとらしく溜息をついた。
「セイイチロウさま、マスターからのご伝言をお預かりしています」
清一郎が無言で先を促す。
カワホリは下卑た笑いを浮かべた。
「喉が渇いて我慢ができなければ、先にお一人で召し上がられてもいいと―」
「黙れ!」
静寂を破る清一郎の突然の大喝に、平太は驚愕した。
温厚で思慮深い清一郎が、こんなふうに人を怒鳴る姿など、
平太はこれまで一度だって見たことがなかったのだ。
激昂する清一郎とは対照的に、カワホリは慌てるでもなく軽く肩をすくめただけだった。
「今宵は最後の望月。やせ我慢もほどほどにしておくことですね」
からかいとも忠告ともとれる声音で呟くと、
カワホリは一人屋敷の裏手へと消えていった。
口を挟むこともできず二人のやりとりをただ呆然と見守っていた平太は、
カワホリの姿が見えなくなったのを見計らって、おずおずと口を開いた。
「清一郎、おまえ、食事をとってないのか?」
今の会話からの当て推量で、何気なく訊いただけだったのだが、
清一郎は酷くうろたえ、平太と視線を合わせないまま、
「そんなことないよ」と掠れた声で呟き、目を伏せた。

308:柿手
06/12/19 02:18:11 UHeofn160
結局、平太はそれ以上の問いかけをできなかった。
なんとなく気がかりなまま、清一郎の案内で平太は屋敷に入った。
「危険だから、絶対に僕から離れないで」
平太の手を強く握ったまま、清一郎はいつになくかたい声で告げた。
外観と比べ、中はいたって質素だった。
いや、質素というには語弊があるかもしれない。
広大な屋敷にも関わらず、照明が薄暗いせいで、全体が陰鬱な印象を与えるのだ。
通された客間も、腰掛けたソファもそれは豪華なものだったが、
ほの暗い室内は、なんとなく平太を居心地悪くさせた。
暗闇に引きずられように沈みそうになる気持ちを引き上げるように、
平太は場違いなほど明るい声で、隣に座った清一郎に問いかけた。
「それにしても清一郎。こんな短期間で見違えるほど回復したな」
別れた頃は、床から出ることすらままならぬ体だったというのに。
今の清一郎は、健康そのものだ。
「いったいどんな奇跡が起こったんだ? 神様でも化現したか」
冗談めかしてそう告げると、清一郎は彼に似つかわしくない暗い笑いを浮かべた。
「神も仏も、今の僕には……僕の体は……」
まるで忌むべきものを見るかのように、厭わしげに己の体を睨みつける清一郎の態度に、
平太は胸騒ぎを感じた。さぐるように清一郎を見やると、その視線に気づいたのだろう。
清一郎は、平太の不安を拭いとるように、快活に笑ってみせた。
「西洋医学ってすごくてね。おかげで、あっという間に元気になったんだ」
「へえ、もしかして、清一郎を連れて行ったあの外人って医者だったのか?」
「うん、そう…………そうなんだ、彼は医者なんだ、とびきりの名医でね」
清一郎は飲んだ薬や治療の様子などを、殊更詳細に並べ立てた。
普段の平太ならば、そんな清一郎の様子を些か奇異に感じたかもしれない。
だが、この時の平太には清一郎の回復がただ嬉しく、些細な違和感を見過ごしてしまった。
「よかったなあ、ほんと、よかった、俺、うれしいよ」
平太は、昂ぶる気持ちを抑えきれず、清一郎の両肩を抱いた。
「こんな嬉しいことってない、ほんとうによかったよ」
平太は興奮そのままに肩を叩き、ソファに体を埋める清一郎をがくがくと揺さぶった。
「…………痛っ」
清一郎の唇から、小さな悲鳴が漏れた。

309:柿手
06/12/19 02:18:49 UHeofn160
「清一郎?」
慌てて平太は手を離した。
「ごめん、つい力が入りすぎて。肩、痛かったか?」
「ああ、うん、肩は別に」
清一郎は、顔をしかめたままわずかに身じろいだ。
腰を微かに浮かし、臀部を庇うように前かがみになる。
その動作と姿勢には、見覚えがあった。
「清一郎、まさか、おまえ、それって」
平太の呟きに、清一郎は顔を真っ赤に染めて、必死に被りをふった。
「違う、そんなんじゃない」
叫んだ拍子に、ソファに深く座り込む形になり、清一郎は低く呻いた。
その様子に、平太は確信を深めた。
「清一郎、隠さなくていい。おまえ、あれだろ」
平太の脳裏をよぎったのは、平太たちを育ててくれた神主の老人の持病だった。
平太は、祝詞の最中に痛みを堪えるように腰を浮かせる老人の姿を何度も見てきた。
清一郎の今の仕草はまさしくそれだ。間違いないと、平太は思った。
「痔は別に恥ずかしいことじゃない、我慢していたらますます酷くなるぞ」
声を潜めて続けた平太の言葉に、清一郎はぽかんと口をあけた。
「ジ?」
「ああ、おまえ、尻の穴が痛むんだろ。それは痔の症状だ。な、そうだろ?」
平太がそう断言すると、清一郎は決まり悪げに、
だが、どこかほっとした様子で、小さく頷いた。
「うん、そうだね……そうなんだ。恥ずかしくて誰にも言い出せなくて」
「マスターさんだっけ、あの人にも言ってないのか?」
「ああ、うん、まあ」
「相談した方がいいんじゃないか。あの人、とびきりの名医なんだろ?」
「それは……」
清一郎は口ごもった。自分で告げるのは恥ずかしいのだろうと平太は察した。
「わかった。なら俺からマスターさんに言ってやるよ」
清一郎を励ますように告げた時だった。
「我に何を告げると?」
突然に響いた声に、平太は慌てて声のした方を振り返った。<続>

310:風と木の名無しさん
06/12/19 03:32:50 jcwvyPU8O
柿手さん、好きだ!惚れ惚れする…。

311:術師×騎士 1/5
06/12/20 16:11:12 YCqNl4UQ0
いつかの続き。生首注意。
+++++++++++++++++++++++++++++++
森の奥深く。捕らわれの騎士は爪で壁に線を引く。日が沈むごとに。
それが10本になり20本になっても唯一望みの助けは来なかった。
術師に囚われ、胸に穿たれた焼きゴテの刻印のせいで
意識朦朧とした状態だった時期を考えてもかなりの日数がたっている。
術によってこの部屋に閉じ込められ、外部との接触は年若き術師のみ。
そして顔を合わせれば望まぬ行為を強いられる。
そんな日々は騎士を消耗させていった。
「いったい・・・・いつまで・・・・」
騎士はかすれた声で呟いた。
『死ぬまでだよ。・・・・・あなたは僕の番なんだから』
そんな幻聴が聞こえて、騎士は自分の両手で自分の耳を塞いだ。

それでも助けが来てくれると、騎士は信じていたのだ。
そしてその願いが現実となった時のことを考えもしないで。

312:術師×騎士 2/5
06/12/20 16:11:58 YCqNl4UQ0
「っ・・・・・ひっ」
「あんまり声出すと、聞こえちゃうかもしれませんよ」
裸にされ、壁に手を突き背後から乱暴に突かれる。
繋がったところから聞こえる卑猥な粘膜のこすれる音と、自分の喘ぐ声、
そして背後から聞こえてくる年若い術師の声。
自分より小柄で年下に見える少年から犯されているこの現状に騎士は足を振るわせた。
だが、彼が恐れているのはそれだけではない。
騎士は真っ青になりながら透過している壁の向こうにいる人間から目を逸らした。
向こうから見られているわけではないのに、羞恥に頬が染まる。
そこには森の中で何かを探している様子の男の騎士がいた。
自分の知っているその人間は、まだ騎士見習い立った頃からの友人だった。
自分を心配して一人探しに来てくれたのだろう。
こちらに気づく様子も無く周囲を見てはため息をついている友人。
それを視界の端に見て騎士は助けを呼びたくて呼べない自分にたまらず壁に爪を立てた。
それが気に入らないと騎士を犯す術師はその腰を抱いてひときわ奥を突いた。
「あうっ」
「この家は人の目に映らないよう術をかけています。
だけど、勘のいい人間なら物音を立てれば気づくでしょうね。いいんですか?
男に犯されてこんな淫らに喘ぐあなたを見て彼はなんと言うか・・・・。
聞いてみたい気もするけど」
「っ」
「最も、気づかれたら即殺しますけどね」
「!?」
何でもないことのように言うから、それが本気なのだろうと悟った。

313:術師×騎士 3/5
06/12/20 16:13:01 YCqNl4UQ0
どういうわけか自分を攫ってこうして日々弄りものにしている術師は
時折かわいらしい顔とは正反対の残酷性を見せる。
術師という特殊業故なのか、人里で暮らしたことのないこの幼い術師は
人の常識や論理といったものを知らず、自分なりのルールでもって暮らしていた。
それなりにたくましいと自負している自分ですら押さえ込むほどの怪力(術)と慎重さ。
日々見聞きする彼の力は自分が想像していた以上で隙をついて逃げることすら出来なかった。
自分に都合が悪ければ人一人殺して隠してしまえるほどの力はあるのだ、彼は。
騎士の心情が分かっているのか、頂点が近いのか容赦の無くなる攻めに
騎士は上げそうになる声をかみ殺した。
何度も重ねた体は自分の意識とは関係なしに貪欲に快楽を得ようとしていた。
声では拒絶をするも、穿つものに絡みつく襞がもっと中に誘い込もうといやらしくうごめく。
術師もそれに気がついていて、嬉しそうに騎士のものに触れた。
びくっと体が期待で震えるのが騎士は悔しくてならない。
唇をかみ締めたからか、口の端から血が浮かんで零れ落ちた。
それが床で先走りの精液と混じる。
「・・・・・・・・・っ」
騎士は快楽と屈辱と絶望とに首を振りながら胸のうちに溢れるものと堪えた。
助けを求めてはいけない。
声を上げてはいけない。
そうすれば殺されるのは友人の方なのだ。
それでも遠ざかる背中を見た時、絶頂に白い液を吐き出しながら声にはならない悲鳴を上げた。
「・・・・・・・・・・・・」
友人が何かに気がついたように立ち止まり振り返る。
何故だか彼と目が合ったような気がした。
驚きに目を見開く騎士は友人の名を唇に乗せようとした。
だが、目の前で友人の姿はありえないように二つに分かれた。
「・・・・・・・え」

314:術師×騎士 4/5
06/12/20 16:13:37 YCqNl4UQ0
「・・・・・・・え」
首から上の頭がその体から離れたのを見た。
そしてその頭が消える。
残された体はまるで糸の切れた人形のように地面に倒れた。
「・・・・・・・・・・・・・」
騎士はそれを呆然と見る。
「シュヴァルツ。体の処分を」
背後で術師が自分の使い魔に命令を出すその声が、騎士の体をこわばらせた。
術師は呆然として倒れた友人から目を離せないでいる騎士の体を支えてベットに横たわらせた。
そしてベットサイドテーブルにごとりと何かを置いた。
それを見た騎士はテーブルの上に置かれた小さくなった『友人』と目が合った。
「・・・・・ひっ・・・・・・・あ・・・・・ああああああああああ!!!!!!」
今見たことは現実なのだと。
自分が殺したのだと。
友人の目が恨みがましいものに見えて、それでも目が離せなかった。
首に向かって手を伸ばす騎士に術師がそれを絡め取る。
そして騎士の片足を掴んで押し広げると、さっきの行為で濡れたままのそこに
自分のものを突き立てて押し入らせた。
「ひっあああああっ!!!!」
これまでに無く激しい抵抗をする騎士の姿に術師は酷薄な笑みを浮かべる。
「見られたかったんでしょう・・・・?だから、彼を呼んだんでしょう?
あなたが望むなら彼にも見せてあげましょう。僕は心が広いから」
「違っ・・・・・嫌だっ、やめろ!!!いやだっ・・・あうっ・・・ああっ!あああっ」
最後は言葉にならないままに、それまで抑えていた涙が青灰色の瞳から零れ落ちた。
心の中で何かが崩れていくかのような喪失感が騎士を襲う。
これまでどんなに攻めても屈服させようとしても見せることのなかった彼の涙をみて、
術師は殊更に興奮した。
「んっ・・・・・すごくきつい・・・・っ。『彼』に見られて興奮してるんですか・・・?」
騎士は極度の緊張と絶望に意識を半分飛ばしたように嫌だとうわごとのように繰りかえす。
その目から落ちる涙とその胸にある術師の刻印に術師は満足そうに微笑んだ。
所有印というべきそれに口付けながら、術師は騎士の体に歯を立てて
何度もその体の奥に自分のものを飲み込ませた。


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