06/11/14 01:35:29 krhke64a0
「スズキさん、お久しぶりです」
突然、ミナカタから電話がある。
「ミナカタ君、どうしたんだい?」
「全然来てくれないから、どうしたのかと」
「ありがとう、なんか最近忙しくてね」
「来て下さいよ、寂しがってスンシン泣いてますよ」
「…は」ミナカタ君の冗談に苦笑する。
「本当ですよ」
まさか。
「パン食べながら涙ポロポロ流してるから驚いて、どうした?って訊いたら何が?って言うんです」
「……」
「自分でも気付かないうちに泣いてるみたいで。目こすってびっくりしてました。ある意味特技ですよね」
「でも、それは」俺のせいで泣いてるわけじゃないだろう。
「スズキさんのせいですよ、スンシンは何も言わないけど」
「…どうして」
「あいつを泣かせる事ができる人間、俺は他に思い浮かばないです」
どういう意味なんだろうか。
「スンシン最近ずっと単独行動なんですよね」
「…え?」
「スズキさんのまわりにあらわれても、ストーカーだとか思わないでくださいね」
それじゃ、と言って電話は切れてしまったが。
まさかスンシン君がそこまで自分に会いたがってるなんて考えにくかった。
でも、そういえばこの前偶然駅で会ったのも偶然じゃなかったのかもしれない。