07/09/12 22:43:08 2KVHiEcr
嗚呼、本当にありがとうです。。
お忙しいところを催促してしまいましてっ・・・。。
ご迷惑ではなかったでしょうか??
583:名無しさん@秘密の花園
07/09/12 23:25:42 wze++42e
まだあったのかここw
職人様GJ
584:名無しさん@秘密の花園
07/09/13 13:06:03 +cYmcLei
>>580
それるどころか本筋が跡形もなくなってますがwww
そうか、お姉さまの旧姓は秋津にしてしまうと言うのも手かなと思う今日この頃。
>>581
それではこのまま続けます。気力が残っていればw
もう少しだけお付き合いくださいませ
>>582
いえいえいえいえいえ、迷惑だなんてそんな滅相な
夏休みの宿題は最終日に徹夜でまとめてやるタイプなので、しめ切りのないリレー小説はどうしても延ばし気味で・・・
自分でも「流石にヤヴァイな」と思っていたところですので気にする必要は皆無です。ロムからすれば「してやったり」です。GJです。
>>583
本編を続けてくれるGJな職人様、カァァム ヒィィィアァァァ
番外編終了とともにスレ落ちはマジ勘弁
最終話(?)は二か月以上前から出来てるのに、展開で完全に行き詰ってる俺。文才ナサス…
585:名無しさん@秘密の花園
07/09/13 19:55:23 tBGXGKeA
おお、すでに終わり方が決まってるとは楽しみです。
ゆっくりお待ちしております。
586:名無しさん@秘密の花園
07/09/27 11:36:24 R6WBFlYi
~鈴音編ーその4……の2~
母が紅茶を注ぎに台所へ行っている時のこと、お姉さまはケーキを食べた後、突然深くため息をついた。
「鈴音ちゃんてば、白状ね」
「白状?」
「私、ずっと待っていたのよ。鈴音ちゃんがあの約束を思い出すのを」
「約束?」
ずっと浮かれっぱなしだとはいえ、あの日の思い出は私の宝物、お姉さまとした約束を私が忘れるはずがなかった。
「もう」
そっと私の唇へお姉さまの人差し指が添えられる。
「したでしょう? 『次は唇に』」
「んっ……」
あっという間だった。気がついたら指がお姉さまの顔にかわっていた。
何だろう……体が熱くなって来た気がする。それに、頭がポーっとしてくらくらする。
「どうだった?」
「ど、どうって、その……」
頭の中でバクバクと心臓の音が響いて、まともな言葉が浮かんでこない。
「び、ビックリしました」
「ふ~ん」
もう少しまともな言葉もあるだろうに、よりによって嬉しかった事さえ云えない言葉が出て来た。
「でも私、タチじゃなくてリバなのよね」
「私たちじゃなくて??」
リバって何だろう? その前に、何が『私たち』なんだろう?
587:名無しさん@秘密の花園
07/09/27 11:37:26 R6WBFlYi
「私も鈴音ちゃんにビックリさせて貰いたいな~、ってこと」
「あっ……」
これは分かった。要するにその、私からお姉さまに……
「それとも、嫌だった?」
「ち、違います!」
「口で言われても信じられないのよね、大人って」
覚悟をきめて、大きく息を吸った。
「い、いきます!」
そう言って目をつぶると、二年前と同じ匂いがした。
このまま、あの頃に戻りたい。
お姉さまが誰のものでもなかったあの頃に……
だけど、それは無理だから、せめてこの人が自分の方を向いてくれているうちに伝えたかった。
嬉しかった。あの日も、今も。
お姉さま。私はお姉さまの事が―
「お、オホン。オホン」
背中から聞こえたわざとらしい咳払いで破裂しそうなほど心臓が高鳴り、その後サァーっと血の気が引いて行くのが分かった。
「おっ、お母っ!」
「あら、お母様。失礼して先に御馳走になっていましたわ」
今すぐにでも逃げ出したい私と違って、お姉さまはまるで母の反応を楽しむ様に私を抱き寄せて見せた。
嗚呼、嬉しい、嬉しいけど、物凄く居た堪れない!
「こんなに美味しい物を口にしたのは久しぶりです」
「そ、そうですか……」
心なしか、カップを運ぶ母の手が震えている気がする
588:名無しさん@秘密の花園
07/09/27 11:38:05 R6WBFlYi
「ホテルでも頂こうと思えば幾らでも頂けますけど……こんなに可愛い娘はいませんもの」
「お、お姉さま!」
「冗談よ、冗談。美味しかったのはケーキの話。ごめんなさいね、ちょっと意地悪しちゃった」
そう言ってクスッと笑うお姉さまのお顔を見ると、何も言えなくなって諦めてしまう自分がいて……とことん私はこの人には勝てないのだなと、思い知らされてしまう。
それから、母とお姉さまと三人でたくさんお話しして、たくさんからかわれて……あんなに笑った母を見たのは久しぶりだった。
それから帰りしな、お姉さまの部屋へ案内してもらえる秘密の言葉を教えてもらった。
ちなみに、お姉さまを迎えにきた長い車を見た母から「あの人は何者なの?」と訊かれたけど、そんな事を私が知っている筈がなかった。
589:名無しさん@秘密の花園
07/09/27 15:18:49 jbUbqW2f
お姉さまの手管が鮮やかすぎる。凄すぎる。
鈴音タン完全にとりこでつね( ゚∀゚)
あと、>586は「薄情」ですよね?
590:名無しさん@秘密の花園
07/09/28 01:23:54 3WnOsKo3
「白城」って出てきて直したら「白状」になってるorz
って言うかなんで最初に白城なんて出てきたんだ……
591:バイ1人目
07/10/01 01:52:18 WRtQL37F
久々に来てみたら・・・流石ですっ(≧□≦)
母親に見られたら・・・私の場合、身の破滅に繋がりかねないので
鈴音ちゃんが羨ましいかぎりです・・・。。
592:名無しさん@秘密の花園
07/10/01 01:57:38 kDrRwscE
↑どんな母親なの?
593:名無しさん@秘密の花園
07/10/03 00:30:25 3ojoYe53
何故こんなスレタイのスレッドでこんな高レベルの小説が!
今も良いが初期のキモ高いテンションが好きだw
気取れないキモオタ可愛い
594:名無しさん@秘密の花園
07/10/05 22:12:41 jnnZGsjq
たしかに初期おもすー
595:バイ1人目
07/10/14 03:06:08 /MEIM31i
いやぁ・・・差別と偏見に満ちた母親ですよ・・・
好きな人の話すら出来ませんしね。。
596:名無しさん@秘密の花園
07/10/14 11:00:56 zsGP+E1g
ここで話せばいいんですよ
597:名無しさん@秘密の花園
07/10/16 13:15:45 8RHJMfR3
美波と真木よう子が愛し合ってレズってるところを襲いかかる
近藤春菜
598:名無しさん@秘密の花園
07/10/26 01:19:49 pR52a9sv
~鈴音編ーその5~
いつもの様に朝が来て、いつもの様に学校へ行き、いつもの様に家に帰り、いつもの様に宿題を終わらせる。以前の私の日課はそれで終わりだった。だけど今は、もう一つ。
「あの……リリー・ビッフェさんの部屋に案内して貰いたいのですけど」
最初にフロントで言うときは何度も深呼吸したこの台詞も、今では一度の深呼吸で言えるようになった。
「はい。今すぐ係りの人が来ますから、少々お待ちくださいね」
言うが早いか、フロントに女性が迎えに来た。どうやら私の姿を見て直ぐに来ていたみたいで、私の顔はすっかり覚えられてしまっているらしい。
『リリー・ブッフェ』は魔法の言葉。
それを唱えれば、秘密のエレベーターで存在しないはずの最上階と屋上の間へ行く事が出来る。
そう。私の最後の日課、それは……
「いらっしゃい、鈴音ちゃん」
毎日こうして、お姉さまのもとに通い詰める事なのです。
599:名無しさん@秘密の花園
07/10/26 01:22:20 pR52a9sv
「あれから、お母様とお父様の仲はどうなの?」
「喧嘩は一度もしていません。ですけど、溜息を吐いているところはよく見かけます」
「やっぱり、お金の事なの?」
「きっと、そうです」
『私の学費が』と言おうとして、やめた。
私の脳裏に、母にどうして私立を受けさせたのか訊いた時の事が浮かんだから。
「私の頃は、女は上司の奴隷でしかなかったの。定年は三十代、私も結婚したら無理やり辞めさせられたわ」
母は、懐かしむ様にそう言った。
「でもね、今、それを変えようって動きが始まりつつあるの。まだまだ不十分だけど、貴女の頃には変わっているかもしれない。勿論、変わってないかも知れない。だけどね、どんな些細なことでも良い、貴女に可能性があるなら、私はそれを少しでも広げてあげたいの」
そう言った母の顔は、笑顔だった。
『私の学費が』と言う泣き言は、その母の好意を批判してしまう気がした。
「ですから私、もっと勉強して偉くなるんです。そうすれば、高等部からは学費が免除されますから」
「そう……鈴音ちゃんは偉いのね。だけど、これだけは覚えておいて」
ふと、お姉さまの顔から笑顔が消える。
「偉く『なる』ための勉強は、人を豊かにするかもしれない。だけど、偉く『する』ための勉強は、人を不幸にする事もあるのよ」
そう言って、今度は寂しそうに笑った。
私がその言葉の本当の意味を知ったのは、ずっと、もっと後の事……
600:名無しさん@秘密の花園
07/10/26 01:24:07 pR52a9sv
それから数日した頃、家に帰るなり、母が玄関まで走って来て私を抱きしめた。
「やったわ! 鈴音! やったのよ!」
「えっ?」
「奨学金が貰えるのよ! それも、月にいくらだと思う?」
「……五万円くらい?」
「五十万よ、五十万! しかも返済不要ですって! 返さなくていいのよ!」
「ご、ごじゅうまん!?」
母は浮かれていて気付いていないけど、幾らなんでもそれはおかしい。
確かに、うちの学校はお嬢様校で、授業料も目玉が飛び出るほど高い。それこそ、私みたいな一般人はローンを組まないと通えないくらいに。
だけど、それでも月五十万は高すぎる。だって、それだと一年で六百万、私が中等部に入るまででも軽く三千万を超えてしまう。
それが、返済不要?
「すごいわ、宝くじに当たったみたい!」
そう。そんな奇跡みたいなことが本当に―
「あっ……」
その瞬間、脳裏にある人の事が浮かぶ。
「ちょっと、出かけてきます!」
「今日は御馳走だから、早く帰ってくるのよ」
玄関に鞄を放り投げて駆けだす。行先は一つしかなかった。
「そう、きっとそう。こんなの奇跡でも何でもない」
私が思い出したのは、私に起きた最高の奇跡。勿論、あの人の事。
601:名無しさん@秘密の花園
07/10/26 01:24:59 pR52a9sv
「いらっしゃい、鈴音ちゃん」
私を迎えたお姉さまは何時も通りの笑顔。まるで何もなかったかのよう。
「お姉さま、何か言う事はありませんか?」
「そうね、今日も素敵よ。食べちゃいたいくらい」
もう、この人はいつもこう。分かっているのに知らないふりをして、私をからかって、意地悪して、それが生きがいみたいに楽しんでいる。
「そうじゃありません。もっと他に―」
「……他に?」
「―いえ、なんでもありません」
「あら、どうしたの?」
「いえ、どうでも良い事ですから」
知らないふりをするお姉さまを見て、何だか今回の事が本当にどうでも良い事のように思えてきてしまった。だって、こんな安っぽい奇跡一つあろうとなかろうと、私にとってお姉さまが掛けがえのない大切な存在である事は何も変わらないのだから。
とはいえ、お姉さまとしては折角の私をからかう機会を失うのが相当ご不満らしく、私を膝の上にのせて「どうしたの?」等と訊くのだけれど、私はその度に「なんでもありません」と、初めての勝利に対する優越感に浸るのでした。
602:名無しさん@秘密の花園
07/10/26 01:37:57 pR52a9sv
……えーと、考えているエピソードの間を埋めるのが大変で、時間ばっかりかかって全然進んでないので(次回があればですが)次回からいきなり中学編に入るかもしれません。
中学編は短めになると思いますが、それでも今年中に終わらないかも……orz
603:名無しさん@秘密の花園
07/10/26 20:53:55 pohiQ/IF
長くなるの大変結構!
実に読み応えがあるではないですか!
本当に先が読めなくて、楽しみです。
604:名無しさん@秘密の花園
07/11/15 13:11:40 kXK0f47V
新都社で漫画化してもいいか?
605:2人目
07/11/16 19:00:17 pP2YDNM+
(*´∇`)ノ
お久しぶりデス
漫画化の話も出てますね・・・w
素晴らしい♪
>604
ついでに私の経験談も漫画化して頂けますか?w
606:602
07/11/18 01:09:17 AcdyihKC
>604
リレー小説の漫画化って原作は誰になるんだww
他の職人さんが良いなら私はおkですw
607:名無しさん@秘密の花園
07/11/20 17:53:53 Ovt79x66
やった!マジでやっちゃうよ!
年明け以降には新都社の別冊少女きぼんに載せるようしときます
作者のみなさん頑張って下さい。
608:名無しさん@秘密の花園
07/11/21 16:06:25 HUbKxS0A
ちょっと待てそこのVipper
俺は完結してからのが漫画にしやすいと思う
609:名無しさん@秘密の花園
07/11/25 07:21:18 IaIheiz8
うあああああああぁぁああぁおおぉぉあああ
先に言ええええい!
ここと新都社両方の読者を怒らせるとこだったヤベー
610:名無しさん@秘密の花園
07/12/06 15:09:52 lyACvYUu
良い方法思い付いた
お前途中まで漫画にしろ
漫画読んだ人がこのスレ来て続き書いてくれるかも
行って書き手を集めてこいそこのVipper
611:名無しさん@秘密の花園
07/12/06 15:27:32 0yND9j7M
マンガよりマンコをおねだりするあたしがいたりする
612:名無しさん@秘密の花園
07/12/07 11:37:29 om0tQxtk
>>611
いくら亀井信者と言えどVIPPERに絡むような真似するとえらいめにwww
新都社見てきたよ~
百合漫画も結構あって良かった!
613:名無しさん@秘密の花園
07/12/08 20:04:22 P8j1uR5B
283-529 の間、書いていた奴だけど。
久しぶりにのぞいてみたら、まだ生きていたのかと正直びっくりw
現在書いている人がんばって。
>604
えっと原作者って、最初に書いたひとの許可がいるんちゃいます?
614:名無しさん@秘密の花園
07/12/08 20:38:24 EqhPfgXK
お久しぶりです
いつでも復帰を待ってますよ
615:名無しさん@秘密の花園
07/12/08 22:39:02 P8j1uR5B
>614
どもです。他板の百合SSが完結した後、時間的に書くことが可能な状況ならば、
続けたいかなと思います。
百合萌え男の今後には多少未練があるのでw
616:602
07/12/09 03:33:16 Cmt+cIif
>615
どうも、お久しぶりです。
寂しい事に本編の方が止まってしまっているので、
職人さんの復帰は何時でもお待ちしております。
私の方は飛び飛びで書いているのでそんなにたくさん投下できませんが……
一応、中学生編を少しだけ投下します。
617:名無しさん@秘密の花園
07/12/09 03:36:52 Cmt+cIif
~鈴音編ーその6~
「今日は練習が遅くまでありますから、そのままお姉さまの所に行きます」
食べ終えた食器を流しに置きながら、ふと隣に立つ母と肩の高さが並んでいる事に気づく。
「お母さん、背、幾つだっけ?」
「一六二。まだ私の方が高いわよ」
言われてもう一度肩を合わせると、確かに私の方がまだまだ低かった。並んだと思ったのは、どうやら気のせいだったらしい。
「今度の舞台もまた王子様役?」
「私より背の高い娘もいるのに、どうしてか、ね」
「一年生の頃からずっと遣ってるからでしょ。あーあ、また私の鈴音が人様の前で唇を奪われちゃうのね」
母のその冗談に苦笑しながら、何時もの様にかけてある上着を手にとった。
「子供の成長は早いって言うけど、もうボケたの?」
「あっ……」
言われて、今着ているブラウスが夏服だった事に気がついた。昨日の夜に母に頼んで出してもらったのをすっかり忘れていた。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
ドアを開けると、初夏の日差しが眩しかった。
お姉さまと再開して、八年目の夏。
私はいつの間にか、中学三年生になっていた。
618:名無しさん@秘密の花園
07/12/09 03:38:54 Cmt+cIif
学校での私は、相変わらず『黒薔薇の君』であり、『白銀の貴公子』のままだった。
誰よりも優秀で、誰にも優しくて、そして誰からも愛される、皆の憧れ。その上こうして生徒会室に閉じ込められているのだから、出来すぎた配役だ。
思えばいつでも『黒薔薇の君』を演じている私が演劇部の部長だと言うのは、軽い皮肉だった。
「鈴音様、そろそろ四時ですから、終わりにして休憩しましょう」
「そうね、そろそろ終わりにしましょう」
そう言って書類を納めながら、まだこの部屋から出られぬ事に小さく溜め息を吐く。私にはこの後、もう一つ大きな仕事が残っている。
「今日はとても良い葉が手に入りましたの」
「本当? それは楽しみだわ」
そう笑顔で答えながら、内心は苦笑い。
何が楽しいのか、誰かが必ずと言っていいほど紅茶を持ってくるのがこの生徒会の決まり事の様になっていて、けれど、私はそんな上等な紅茶より、お姉さまの淹れてくれるコーヒーが飲みたかった。
お姉さまの出すホットミルクはカフェオレを経て、何時の間にかコーヒーへと変わっていて、私はそれをブラックで飲むのが大好きなのだ。
そんな私だから、いつもこのお茶会では、幾らするか分からないような奇麗なカップよりも、彼女達の持ちよる歪な形のクッキーにばかり手が伸びてしまうであった。
619:名無しさん@秘密の花園
07/12/11 08:01:41 FxNq11yU
職人毎度毎度GJ!
今の百合萌え男は君で守っているもんだぜ!
鈴音編はとても丁寧な展開でゆっくり読んで楽しめますお( ^ω^)ありがとうございますお
>>612
新都社行ってきたのかw
620:バイ1人目
07/12/25 13:06:16 Q4K/nXB2
鈴音ちゃん可愛いっ!
続き、楽しみに待ってますよ、職人さん♪
621:名無しさん@秘密の花園
08/01/21 06:37:39 bmqFYp6M
~鈴音編ーその6の2~
うちの演劇部には、とある決まり事があった。
それは公演の際、最も舞台を見やすい数列にだけ用意される『指定席』のチケットを部員で分けること。
チケットはそれぞれ望んだ分だけえる事が出来、それぞれ両親だったり、兄弟だったり、校内外の友人や好きな人、中には内緒で売り飛ばしたり……とにかく思い思いの人に渡すのだ。
私はと言えば、毎回必ず三枚貰う事にしていた。
一つは、母。一つは、父。そして最後の一つは……
622:名無しさん@秘密の花園
08/01/21 06:42:45 bmqFYp6M
「お帰りなさい、鈴音ちゃん」
そう言って迎えてくれる笑顔は、今でも私を虜にし。
お姉さまは、相も変わらず、いえ、むしろ月日を重ねるごとにますます美しくなっていた。それこそ、実はお姉さまの正体は天使か悪魔か、あるいは妖怪の類や幻ではないのかとこちらが恐ろしくなるくらいに。
「お姉さま、昨夜はちゃんとお休みになられまして?」
「私、枕が変わると眠れないのよね」
「またですか……」
お姉さまはこのところ、自分で寝ようとしなくなった。
「お姉さまは唯でさえこもりがちで運動不足なんですから、本当に身体を壊しますよ。第一、枕は変わっていません」
「私の枕は鈴音ちゃん」
「ひゃ!?」
不意に背中から手を回され、声が出た。
そっとお姉さまの人差し指が唇を撫でる。唯それだけでゾクゾクとした不思議な感覚が体をかけぬけ、そのままヘタリとお姉さまに凭れかかってしまった。
背中越しに伝わる柔らかさと温かさ、それに頭に響く自分の心音が妙に心地良い。
「もう、そんな事より、今日は渡す物があるんです!」
「あら、なぁに?」
背中を向けたままギュッと目をつぶり深呼吸をする。ポケットの中で手が震えて止まらなかった。
623:名無しさん@秘密の花園
08/01/21 06:44:34 bmqFYp6M
「はい、フロントから預かった手紙。娘さんからでしょ」
お姉さまは遠慮がちに笑顔を浮かべ封筒を受け取った。
不思議な沈黙が流れた。
お姉さまの家について話さないのは、二人の不文律だった。
「今日は早く寝ますから、もうお風呂に入ってきてください」
「背中流してくれる?」
「一人でっ!」
お姉さまを部屋から追い出し、封筒の無くなったポケットで拳を握った。
小さく、クシャリと音がした。
624:名無しさん@秘密の花園
08/01/21 06:46:16 bmqFYp6M
こうして諦めたようにチケットを破って捨てながらも、本当は望んでいるの。お姉さまが何かの拍子にこのチケットを見つけて、ふと気にかけて繋げてくれるのを。
「本当に諦めたのなら、家に帰って捨てれば良いのに」
外では『黒薔薇の君』なんて呼ばれても、お姉さまの前ではこうも簡単に仮面をはがされて唯の女の子に戻ってしまう。そんな自分がひどく恨めしかった。
私が貰う三枚のチケット。
一つは母。一つは父。そして最後の一つは……
いつも、空席だった。
625:名無しさん@秘密の花園
08/01/21 22:55:20 z2M6NZgy
続ききたあーあああぁあああwwwww
ホントにお疲れ様です!
萌えました!
626:名無しさん@秘密の花園
08/01/21 23:12:35 J26aQEKl
さりげなく投下する作者さん素敵!
>「私の枕は鈴音ちゃん」
可愛すぎ!
627:名無しさん@秘密の花園
08/01/22 21:12:48 dCbq3wp0
てか鈴音ちゃんもフクザツなお年頃でつね
健気だよ、鈴音、健気だよ
628:名無しさん@秘密の花園
08/01/22 22:34:08 Clx1Dsio
反応早っww
こんなに筆が遅い俺のこと忘れないでくれてありがとう
俺、がんがるよ
629:名無しさん@秘密の花園
08/01/22 23:50:54 SBZdNmFO
がんがれ
がんがってくれ
ビアンさんもバイさんも応援してるぞ
630:名無しさん@秘密の花園
08/01/26 04:05:59 Ra3sjaP+
百合紳士も見てる