07/07/08 02:31:27
――。
(息を呑む。)
(少女の緊張が伝わってくるような、沈黙。)
(小さな小さな息遣いだけが、聞こえる。)
………、っ
(そっと、細い繊手が―豊原の頬に触れる。)
(指先だけで、そっと。そっと。つ―と、僅かに撫でる。)
(音もなく――)
(長門の顔が、豊原に近づく。)
(火照った頬の熱が、儚い吐息が、豊原の唇を擽って―)
(少女の顔が近いことを、教える。)
……………、
(そのまま、ふわりと顔が重なり―)
(唇が、触れる。)
(豊原の唇と、頬の間。)
(唇のすぐ脇。頬と言うには唇に近すぎ、しかし決して唇ではない―)
(そんな位置に、微風のように、口付けられる。)
(おそるおそる、震えながら―でも、確かなキス。)
(そして――)
(ふっ、と。秒針が何度か時を刻んだ後、すぃっと顔が離れて―)
……もう、目を開けていい。
(目の前の、彦星に。)
(ショートカットで恥かしがりやの織姫が、)
―また、一年後。
(薄く目を細めて、)
(微笑んだ。)