07/03/30 08:34:11
NGワード レダ 修行時代 デレツンデレ
今回はシリアス度高め。
いつの間にか眠り込んでしまったらしく、重い瞼を無理に開けてレダは目を覚ました。身
体を起こそうとしたその瞬間僅かに違和感を感じ、朧気だった視界が鮮明になってくる
と、今自分が置かれている状況に今更ながら驚愕した。
(……夢じゃ、なかったのか!?)
自分の身体の下には涙と涎を零し、絶頂に達した後のまま繋がっている瞬の姿があった。
結合部分は咥え込まれた己自身や溢れ返っている自分の精だけでなく、挿入の際に粘膜を
傷付けてしまった為か僅かに血が流れている。端から見れば明らかに悲惨な状態であると
いうのに、何故かレダには瞬の表情が限り無く清らかなものに見えた。その理由は、認め
たくなかっただけで充分わかっていた。この上なく自分は瞬に惹かれていたのだと。瞬の
存在は清らか過ぎて触れるのがためらわれるか、または純粋なもの程醜い欲望で蹂躙した
いという二つの感情がレダの中でせめぎあっていた。いつも瞬を見ていて疎ましく思って
いたのは瞬自身ではなく、どっちともつかない感情に支配されていた自分自身だった事に
今更ながら気付き、そして激しく後悔した。無意識のうちに壊れものを扱うように瞬の華
奢な肢体を抱き、半開きになっている柔らかな瞬の唇にそっと接吻する。
「………レダ?」
唇に触れた感触で目が覚めたのか、瞬は薄く瞼を開いた。と同時に、それまで触れていた
瞬の唇から瞬時に顔を引いた。
「……………」
何だか瞬に対して酷く申し訳ない気持ちが喉の奥に引っ掛かり、言うべき言葉が見つから
ない。
「……ごめんね。」
長い沈黙を破ったのは瞬の方だった。だが瞬のその言葉に今まで後悔の念に支配されてい
たレダの感情が逆の方向へと向かっていく。
「…何でお前が謝るんだよ…俺はお前を無理矢理犯したんだぞ!!なのに何故そんな事が言
えるっ!!」
「レダ…」
瞬の心がどこに向いているのかわからずに思わず激しい言動を浴びせかけていた。ここま
で酷い目に合わされたのに。まだ罵詈雑言を吐かれた方がましだった。
「…僕、知ってたよ。レダの気持ち」
「俺の…?」
「…レダは、言葉とか態度では僕の事嫌ってるみたいだったけど、それ以外は優しかった
もの。五年前、僕が訓練の後に足を踏み外して岩の割れ目に落ちた時に、君が助けてくれ
た。本当だったら僕、あの時死んでたんだよ」
そう言われてみれば、僅かにそんな事があったような気もする。あの時、何故かつき動か
されるように無意識に瞬の元へ降りていったのを思い出した。
「だからね…本当は僕がもっと早く言っていればよかった、レダが僕を抱いてる時実を言
うとホッとしたんだ。君も僕と同じ気持ちでいてくれてるのかも…って。」
胸のつかえが取れたような気がして、今まで言葉にできなかった事を口にした。
「瞬…俺はお前が好きだ」
「…うん、知ってたよ。」
安堵したように微笑んで瞬は言ったが、その後に頬から涙が零れ落ちた。
「あ…ごめんね、でもちょっとだけ…レダが僕を本当に嫌いだからこんな事するのかなと
も思ったの…。」
「……悪かった。」
心の傷を埋め合わせるようにして再び二人は口付けた。もっと早くに気がついていれば悲
しくなかった。ここまでお互い傷つけ合っていたことに。
end