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LINEの個人情報問題に政府が敏感に反応した理由--「行政のデジタル化」遅れの懸念も
2021年03月21日
LINEユーザーの個人情報が、同社の委託先の中国企業でアクセスできる状態にあったことが判明した。
それを受けて、総務省がLINEを活用した行政サービスを停止すると公表するなど大きな影響が出ているようだ。
この一連の動きは、LINEの利用者と日本の行政サービス、そしてLINEを含む新Zホールディングスの戦略にどのような影響をもたらすだろうか。
■個人情報へのアクセス権が中国のグループ企業にも
リリース内容を見ると、LINEのIDや電話番号、メールアドレス、位置情報などは日本のデータセンターで管理し、
画像や動画、LINE Payの取引情報(本人確認に必要な情報を除く)などは、親会社の1つとなるNAVERの本拠地でもある韓国のデータセンターで管理していることを明かした。
しかし、同社は日本と韓国以外にも拠点を持っており、中国でもいくつかの拠点で開発やモニタリングなどの業務をしているという。
つまりLINEの持つ個人情報が、中国の企業側からアクセスできる可能性があったことが、大きな問題として取り沙汰されているのだ。
■敏感に反応した政府、データ管理のあり方は今後議論に
この問題に敏感に反応したのが政府である。総務省の武田良太総務大臣は、3月19日の記者会見でこの問題に関する質問を受けた際、
同省では採用活動や意見募集の問い合わせなどでLINEを利用していたことから「いずれも運用を停止する予定である」と回答。
職員に対しても、LINEをはじめとした外部サービスで業務上の情報を取り扱わないよう求めている。
さらに武田大臣は、総務省の管轄となる地方公共団体でも「保育所の入所申請、住民からの各種相談、粗大ごみ収集申込みなどにおいて
LINEの活用が進んでいると承知している」と説明。今回の事態を受けて各団体の現状を確認し、報告するよう求める。
LINEを利用している各自治体のサービスにも、今後大きな影響が出てくる可能性がありそうだ。
加えて総務省は同日、LINEに対して電気通信事業法の規定に基づき、利用者情報管理状況などについて報告するよう求めている。
行政側がこれだけLINEの個人情報を問題視するのは、やはり海外から国内の個人情報にアクセスできる状態にしていたことが大きいといえよう。
また、菅義偉首相も同日に、政府内でのLINEの利用状況を調査中であることを明らかにした。
とりわけ、中国には2017年に施行された「国家情報法」があり、中国の企業は政府から要請があれば協力することが義務付けられている。
単に個人情報が海外に流出するだけでなく、たとえば国の要職に就く人物がLINEを利用して重要なやり取りをし、
その情報が国家情報法によって中国政府などに流出する可能性があることを懸念したからこそ、行政側は非常に敏感に反応したといえそうだ。
また、LINEの発表によって、個人情報は国内で保管されている一方、画像や動画に関しては韓国で保管されていることも明らかになり、これを問題視する声も挙がっている。
日韓関係が政治的に決して良好といえない状況にあることなどがその背景にあると考えられるが、国際的なサービス提供体制を築いているプラットフォーム企業であれば、
国外で何らかのデータを管理するという事象は起き得る可能性があるものだ。
しかも、FacebookやGoogleなど、日本で使われているコミュニケーションプラットフォームを提供する事業者の多くは、国外の企業であることが多い。
それだけに今回の問題を機として、国民の情報を守る観点に立ったデータ管理のあり方に関して大きな議論が巻き起こる可能性は高そうだ。
抜粋
URLリンク(japan.cnet.com)