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書評
宣教師ザビエルと被差別民 [著]沖浦和光
URLリンク(book.asahi.com)
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2017年01月29日
[ジャンル]歴史
■「ケガレ」からの救済を目指す
著者は日本およびアジアの被差別民について重要な仕事を
いくつもしてきた。遺稿である本書もその一つと見てもよいのだが、
同時にこれは、宣教師ザビエルについての斬新な研究である。
著者は、ザビエルが滞在したインドのゴアや、インドネシアの
香料列島に何度も足を運んだ。しかし、この研究をユニークに
しているのはむしろ、ザビエルを日本の被差別民との関係から
見る視点である。ザビエルは日本に来て短期間に人々の心を
とらえ動かした。多くの仏教僧侶が転向して入信した。
それはなぜなのか。それについて多くの考察がなされてきたが、
著者はそれを、被差別民の歴史から考察しようとしたのである。
(後略)
◆
柄谷行人 Karatani Koujin
(東大および院卒)
哲学者、文芸評論家。
エールほかアイビー・リーグおよびUCLAほか教授を歴任。