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[ 2021年4月25日 05:30 ]
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参院広島選挙区再選挙で、街頭演説に立ち支持を訴える自民党の岸田前政調会長
Photo By 共同
衆院北海道2区、参院長野選挙区の両補選と参院広島選挙区再選挙は25日、投開票される。与野党幹部は24日、各地で最後の訴えに臨んだ。昨年9月の菅政権発足後初の国政選挙。事実上の与野党一騎討ちとなった広島では接戦が伝えられる。自民党の県連会長として陣営を率いる岸田文雄前政調会長にとって“背水の陣”となっている。
広島の中心地、本通商店街でマイクを握った岸田氏は「一進一退の大激戦。まだまだ横一線が続いている。厳しい、激しい、苦しい選挙。力添えをお願いしたい」と声をからした。2019年参院選を巡る公選法違反（買収）で有罪が確定した河井案里前参院議員（自民党離党）の当選無効による再選挙。
保守王国といわれる広島だが「政治とカネ」問題に県民の不信感は根深く、大接戦が伝えられている。だが、応援に党総裁の菅義偉首相の姿はない。自民党関係者は「負けた場合は党内で“岸田さんのせい”とのささやきが漏れそう」とつぶやいた。
もう一押しほしい選挙区では過去の首相は応援演説を行っている。安倍晋三前首相は第2次政権時、4補選に駆け付けて3勝をつかんだ。だが、今回の選挙戦で菅首相は一度も広島入りしていない。新型コロナへの対処や訪米を理由としたが、別の事情も透けて見える。19年参院選で、当時官房長官だった菅首相は街頭演説で案里氏を持ち上げただけに「広島での応援はやめた方がいいとの判断があったようだ」（党関係者）。自民党は北海道2区補選の候補者擁立を断念。衆院長野選挙区でも新人候補の支持が広がるかは見通せない。首相としては、党内の批判を一身に浴びる事態は避けたいのが本音だ。
そんな中、広島で陣頭指揮を執ったのは岸田氏。昨秋に初挑戦した総裁選では菅首相に惨敗しており、存在感の低下にストップをかけたいもくろみがある。3月末に県連会長に復帰して迎えた地元での選挙は9月末の次期総裁選への「挑戦権」として意気込んでいたとみられ、選挙戦では候補者を連日サポートしてきた。
全力を挙げた選挙だが、予想したよりも強い逆風を感じている様子だという。永田町では「地元で勝てない人が首相になれるはずがない。そう党内で烙印（らくいん）を押される。負けたら今度こそ総裁の目がなくなる」とみる。岸田氏は必死の形相で最後のお願いを終えた。
《立民・枝野代表、打倒自民訴え》立憲民主党の枝野幸男代表も24日、広島市で街頭演説し「金権政治は広島だけの問題ではない。ここからまっとうな政治ののろしを上げよう。自民党におきゅうを据えるということでは、政治は変わらない」と強調した。保守王国の自民安泰ムードは一転し、接戦に持ち込んだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は「最後まで気を抜くわけにはいかない。世直し選挙にしていこう」と語気を強めた。