20/02/02 16:08:43.35 CAP_USER9.net
新たに公開されたイカの脳マップは、史上初めてその神経ネットワークの複雑さを明らかにしている。驚くべきことに、その処理能力は犬に匹敵するほどだという。
イカやタコをはじめとする頭足類は、無脊椎動物の中でもとりわけ複雑な中枢神経系を持つ生き物だ。
オーストラリア、クイーンズランド大学の研究者によれば、頭足類の中には5億以上のニューロンを持つ仲間がいるという。ちなみに普通の軟体動物なら2万、ネズミなら2億、犬なら5億3000万だ。
もちろん神経学的な複雑さは必ずしも知能の高さを意味しない。
それでも、頭足類の仲間には犬と肩を並べるほどに複雑な神経結合が備わっているという事実を目の当たりにすれば、驚嘆を禁じ得ないだろう。
■ MRIでイカの脳神経回路をマップ化
この度『iScience』(1月3日付)で発表されたのは、そんな頭足類の仲間で、インド太平洋に生息するアオリイカの脳をMRIで検査し、それを元に作られた「コネクトーム」と呼ばれる脳の神経回路マップだ。
検査からは、すでに知られていた282の結合の99パーセントにくわえ、新たに145の神経経路が発見された。
驚いたことに、新しい経路の6割は視覚と運動に関係するものだった。
■ カモフラージュ専用の結合も
イカは体の色を大きく変化させ、獲物に忍び寄ったり、仲間同士でコミュニケーションを図ったりする能力で知られている。その巧みなスキルの背後にこうしたカモフラージュ専用の結合があったわけである。
なお研究グループによると、厳密には頭足類は色が見えないのだという。
しかし体の色を変化させて周囲に溶け込むタコや体のパターンを点滅させてコミュニケーションをするイカを見れば分かるように、何らかの方法でそれを認識できるらしいことは明らかだ。
■ 脊椎動物と無脊椎動物に見られる収斂進化の証
アオリイカはシンプルな目を持つことで知られており、これを使って脊椎動物のような視覚を中心としたライフスタイルを送っている。
今回の研究で明らかになったことは、目だけでなく、視神経をはじめとする組織・機能・発達の点でも脊椎動物に似ているということだ。
これは「収斂進化」を裏付けるものなのだそうだ。つまり、ほとんど関係のない生物であっても、似たような生態的地位についた場合、同じような特徴を進化させることがあるということだ。
今年に入って、ダイオウイカのゲノム全体の解析結果が発表され、そのゲノムサイズは約27億bp(塩基数)だったことが判明した。人間が30億bp(塩基数)であることから、かなり高度で複雑な脳を持っていることがわかる。
また、頭足類と脊椎動物との類似点が発見され、こちらもやはり収斂進化の科学的な証拠ではないかと言われている。
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