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先端大、熱電材料で新手法 硫黄使い 環境に優しく
2018年8月24日
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低温の熱を電気エネルギーに変える熱電材料の製法で、高い変換効率を実現する新たな手法を考案したと、北陸先端科学技術大学院大の前之園(まえのその)信也教授(48)=ナノ材料化学=らでつくる研究グループが二十三日、発表した。(吉野淳一)
前之園教授によると、化石燃料や電気を使う際、発生したエネルギーの七割が熱として捨てられている。廃熱の再利用が進めば、化石燃料の利用削減が期待できるが、そのほとんどは、蒸気タービンによる発電には使えない二〇〇度以下。熱電材料はこうした低温の廃熱を活用する手段として注目、研究されている。
研究が進む熱電材料はテルルやセレンといった毒性が高く、希少な元素を使っている。一方、前之園教授の研究グループは、テルルと同族元素の硫黄を含む金属硫化物を使った熱電材料に着目。硫黄は毒性が低く、容易に手に入る。環境に優しい熱電材料として普及が期待されるが、テルルなどの元素に比べて劣るエネルギーの変換効率が課題となっている。
変換効率を上げるには、電気の伝わりやすさと熱の伝わりにくさの両立が求められる。前之園教授は電気伝導率を高める亜鉛の量を調節するなどし、電気伝導率の高いナノ粒子と、熱伝導率の低いナノ粒子を化学合成。熱伝導率の低いナノ粒子をある程度固めた後、両粒子を混ぜて焼き固めることで、二種の粒子の特性が両立すると突き止めた。この手法だと、変換効率は従来の研究成果の二倍になった。テルルなどで作った材料に比べると劣るが前之園教授は「粒子の配置などを換えれば、飛躍する可能性は十分ある」と話す。
成果は二十二日、米国化学会の雑誌にオンライン掲載された。