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週刊エコノミスト 2018年8月28日号
唐突な外国人労働者受け入れ拡大 賃金目標に矛盾も ■横山 渉
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しかし、一方で、中長期的に見た場合、日本経済に与えるマイナスの影響を懸念する声も出ている。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、「外国人労働者の所得が増えた分だけGDPが増えるのかといえば、
必ずしもそうとは限らないのでは」と指摘する。その根拠とするのが、移民研究の第一人者であるハーバード大学のジョージ・
ボージャス教授による研究だ。「移民が生産活動に参加することで増える米国民の富を『移民余剰』と呼ぶが、移民余剰は
年500億㌦にすぎない。移民も米国で家族を持って老いるので、社会保障サービスを利用する。そのプラスとマイナスを考えれば、
移民余剰はゼロに近いという」(河野氏)
低賃金の外国人労働者が生むさらに大きな問題は、低スキル労働の賃金相場をさらに引き下げる可能性があることだ。
経済評論家の三橋貴明氏は、「技能実習生は最低賃金以下で働かされるケースが頻発している。日本人は今後、相対的に安い
賃金でも働く外国人と賃金切り下げ競争をさせられることになる」と警鐘を鳴らす。そのことは、日本の経済成長の押し下げ要因
にもなりかねないと説明する。
日本は高度成長期、年率10%強の経済成長をしたのに対し、同時期のフランスやイタリアは5%程度だった。この差は彼らが
低賃金の移民を受け入れていたことに起因する。旧西ドイツも1950年から55年までの成長率は10%だったが、55年に移民を
受け入れ始めて以降は6%弱に急降下した。
(続く)