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放置された指定医の暴走…聖マリアンナ病院
読売新聞(ヨミドクター) 4月28日(火)16時49分配信
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)
川崎市の聖マリアンナ医大病院で、強制入院(措置入院、医療保護入院など)が必要かどうかを判定する精神保健指定医の資格不正取得問題が発覚し、4月15日、厚生労働省が20人(不正取得者11人と指導者9人)の指定を取り消す異例の事態となった。
資格取得には8症例のリポート提出が必要だが、不正取得者は他の精神科医の症例を使い回し、自分があたかも担当したかのように装っていたという。
尾崎承一院長はこの日の記者会見で「手続き上のミスではなく、医師の倫理や法律順守の問題。医師教育に落ち度があり、おわびしたい」と語った。
憲法が保障する「人身の自由」を制約し、監禁や拘束を合法的に行える力を特別に与えられた人々が、実はそもそも、倫理感や法律順守の意識を持ち合わせていなかったというのだから、「最近よくあるコピペ問題」では済まされない。
彼らは、指定医の重い職責をどう捉えていたのだろうか。
精神保健指定医の仕事ぶりを取材する度に、私は人の世のゆがみを思い知らされてきた。お年寄りの財産を狙い、重い認知症だと医師にウソをついて精神科病院に長期入院させようとたくらむ親族がいる。
家庭内不和の解決手段として、健康な家族を「精神病」と決めつけ、精神科医に入院の相談をする人々がいる。「患者」扱いされた人よりも、入院を依頼しに来た家族の方が、実は心を病んでいたという例もある。
このような悪巧みや不当な訴えを見抜き、不必要な入院や拘束を防ぐことも精神保健指定医の重要な役割だ。指定医は患者の人権を守る最後の砦(とりで)なのだ。実際、的確な診断や状況判断で人権侵害を未然に防いだ経験のある指定医は少なくない。
だが、残念なことに指定医の実力もピンキリで、家族のウソを真に受けて、本人を診ていないのに強制入院が必要だと決めつけ、鍵付きの保護室を空けて待つ指定医もいる。
屈強な搬送業者に拉致されて本人がやってくると、この種の指定医は、診察室での本人の反応を全て精神疾患に結びつける。
例えば、あなたが診察室で「なんでこんなことをするんだ」「私は病気じゃない」「もう帰る」「訴えてやる」と怒ったとしよう。すると「不穏」「興奮」「病識(自分が病気であるという認識)がない」などとカルテに書き込まれ、病気の証しにされてしまう。
では、変な解釈をされないように黙っていればいいのかと言えば、それも危うい。「緘黙(かんもく)」という症状にされ、統合失調症に結びつけられた人もいる。
突然拉致され、精神科に連れて来られたら怒るのはあたり前で、病気ではないのだから病識などあるはずがない。しかし、人権意識や倫理観、想像力が欠如し、いつも患者を見下して、自分の思い込み診断を押しつけるばかりの危ない指定医には、道理は通じない。
更に問題なのは、このような不当な移送や強制入院が、近年も度々発生していたにもかかわらず、国や自治体は十分な調査や対策に乗り出さなかったことだ。被害者が繰り返し文書を送るなどして対策を求めても、役人たちは何もしなかった。
不当な強制入院例や行政の逃げ腰対応は、拙著「精神医療ダークサイド」(講談社現代新書)に詳しいのでお読みいただきたい。
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