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タイの洪水で、首都バンコク北部にあるプラバー運河の防水堤の一部が20日決壊、ドンムアン地区などに
浸水が始まり、一部の住民が避難した。同地区の地区長が明らかにした。タイ各地に大規模な被害を
もたらした洪水が首都に到達したとみられ、政府は政治・経済の中枢である中心部への波及阻止に
全力を挙げている。
地区長によると、ドンムアン地区の一部道路が冠水。ポンプで懸命の排水作業をしているが、水位は同日
夜までに約60センチに達し、なお上昇を続けているという。住民約40人が避難した。
ドンムアン地区は日本人が多く住むスクンビット通りや金融・商業の中心シーロム通りからは離れているが、
政府の洪水被害対策センターが置かれるドンムアン空港があり、被害がここに及べば影響は一段と大きくなる。
バンコクのスクムバン知事は同日夜、ドンムアン地区と南隣のラクシー地区に新たに洪水警報を出し、特に
危険な地域に住む市民にいつでも避難できる準備をするよう求めた。
ラクシー地区の陸軍第２歩兵大隊の基地は同夜、高さ約50センチまで水に漬かった。
バンコクでは19日に、サイマイ地区など北部と東部の７地区に洪水警報が出されており、危険地域は計９地区に
拡大。当局はサイマイ地区に面するホックワー運河もあふれて防水堤が壊れる恐れがあるとして、監視を強化している。
インラック首相は記者団に「水の流れはコントロールできない」と述べ、首都の被害を避けるのは困難との認識を
示した上で、水をせき止めている運河の水門を開放するようバンコク当局に求める考えを表明。中心部の浸水を
阻止するために、首都の北部や東部に水の通り道をつくる狙いだ。
バンコクの北西に隣接するノンタブリ県では20日、浸水が進み、県内の６地区全てが水に覆われた。同県に接する
バンコク北部のチャエンワタナ地区でも道路の一部が冠水するなどの被害が出ている。
同日の政府の発表によると、洪水による死者はこれまでに３２０人。被災者は北部や北東部、中部などで計約２７９万人に
上っている。
ソース
中国新聞 URLﾘﾝｸ(www.chugoku-np.co.jp)