11/10/19 19:59:12.22 CUskDm7S0
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立入禁止のフクシマをまわる裏ツアーのガイド。
悪趣味の極みには違いないが、物見遊山の人間はいくらでもいる。
「他人の不幸は蜜の味」って言うだろ
ツナミの直撃で爆発事故をおこし、放射能を盛大にまき散らした原子力発電所。
どっかの大臣が言ったとおり、あれ以来周辺の町は死んじまった
20年経った今も立入禁止のままだ。
俺には何の感傷もない。
フクシマは神からのプレゼント以外のなにものでもなかった。
人生最初で最後のゴールドラッシュ。たんまり稼がせてもらうさ。
「原発だろ、いいよ、連れてく。アンタひとりか?」
「いや、原発じゃない。案内して欲しい場所は、他にある」
「あんたフクシマの人かい。なら、自分で行けばいい」
「ここは初めてだ。だが原発には興味がない」
「・・・」
ほとんど全ての客が原発目当てだった。ツアーのクライマックス。
吹っ飛んだ建屋、ガレキの山、振り切るカウンター。危険であるほど客は喜んだ。
原発をバックに記念写真、それが彼らのトロフィーだった。
「・・・ほかって、どこだ?」
「それは、出発してから話すよ。もちろん金は割増で払う」
嫌な予感がした。
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