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その講演会は夜の集まりでしたが、父母と教職員が半々ぐらいで、300人くらいの人が来ていましたが、中には中学生や高校生もいました。
原発は今の大人の問題ではない、私たち子どもの問題だからと、聞きに来ていたんです。
話がひと通り終わったので、質問がありませんというと、中学2年の女の子が泣きながら手を挙げて、こういうことを言いました。
「今夜この会場に集まっている大人たちは、大ウソつきのええかっこしばっかりだ。私はその顔を見に来たんだ。
どんな顔をして来ているかと。
今の大人たち、特にここにいる大人たちは農薬問題、ゴルフ場問題、原発の問題、何かと言えばこどもたちのためにと言って、運動するふりばかりをしている。
私は泊原発のすぐ近くの共和町に住んで、24時間被曝している。
原子力発電所の周辺、イギリスのセラフィールドで白血病の子どもが生まれる確率が高いというのは、本で読んで知っている。
私も女の子です。年頃になったら結婚もするでしょう。私、子ども産んでも大丈夫ですか?」と、泣きながら300人の大人たちに聞いているのです。
でも、誰も答えてあげられない。
「原発がそんなに大変なものなら、今頃でなく、なぜ最初に造るときに、一生懸命反対してくれなかったのか。まして、ここに来ている大人たちは2号機も造らせたじゃないか。
たとえ電気がなくなってもいいから、私は原発はいやだ。」と。
ちょうど、泊原発2号機が試運転に入った時だったんです。
「何で、今になってこういう集会をしているのか分からない。私が大人で子どもがいたなら、命がけで体を張ってでも原発を止めている。
2基目が出来て、今までの倍私は放射能を浴びている。でも私は北海道から逃げない。」って、泣きながら訴えました。
「そういう悩みをお母さんや先生に話したことがあるの」って聞いたら、
「この会場には先生やお母さんも来ているけど、話したことはない。
でも、女の子同士ではいつもその話をしている。結婚もできない。子どもも産めない」って。
担任の先生たちも、今の生徒たちがそういう悩みを抱えていることを少しも知らなかったそうです。
これは決して、原子力防災8キロとか10キロの問題じゃない、50キロ、100キロ圏でそういうことが起きているんです。
今の中学生、高校生はそういう悩みを持っている。