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「ネットでひどい誹謗(ひぼう)中傷を受けたことがある」。この一言を聞いた瞬間、彼女のことは書けないと判断した。
私と同世代の1児の母であり、チャーミングで頑張り屋の医療関係者で、その前向きな人生をこの欄で紹介したいと思っていた。
しかし、「記事化で再び傷つくようなことがあってはいけない」と考えた。
このことで、駆け出し時代の殺人事件の取材を思い出した。被害者の知人宅で顔写真の提供をお願いした時、
その人は「最後に彼女のきれいな姿を載せてあげて」といい、古いアルバムを必死にめくった。その様子に、「新聞に掲載すること」の重みを教わった。
時代は変わりメディアは多様化し、ブログやツイッターなど、ネットを活用した個人の情報発信も盛んになった。
だが新聞にとってはこれまでも今後も、取材先と読者なしにはどんな記事も成り立たない。
「せめてきれいな姿を」に込められた記事掲載への切なる願いを忘れずに、自分が書き、書かなかった内容に責任を持つ記者であり続けたいと思う。【江口一】
毎日新聞 2011年9月26日 12時37分
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