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同性愛の原因については、いろいろの学者が学説を述べてゐますが、ほんたうのところははつきりつかめません。
現在ではフロイドの考へで、結局後天的な、心理的な原因だといふふうに考へられてゐます。つまり生まれつき
同性愛の人はゐない。なぜかといふと、性ホルモンと同性愛とは関係がないことがわかつてきて、女性ホルモンの
多い女性も十分同性愛になり得るし、女性ホルモンの少ない女性も十分異性愛になり得る。そして、女らしい
女性でも、同性愛に陥るし、ごく生理的に男らしい男でも同性愛に陥ります。結局、フロイドが述べてゐるところの
心理的な、いろいろな錯綜から生じた一種の病気であつて、その原因に、快感が加はると、その快感を習慣的に
追ふことによつて、だんだん深みに落ちていくといふふうにいはれてゐます。しかし同性愛の人たちは、それを
自分たちは宿命的と考へてゐて、自分たちだけの小さな王国を作らうとし、さういふ王国がだんだん地上に
広がつていくことを望むやうになるのです。
三島由紀夫「新恋愛講座」より