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★大阪の劇作家、「故郷」で上演=編集制作センター・金志尚
◇自ら紡ぐ在日の物語
韓国・釜山(プサン)で今夏、在日コリアン1世の人生を描いた演劇を日本の劇団が上演した。約40分ほどの小品ながら、
観客は大きな拍手と喝采を送った。客席にいた私も拍手を送る一方、この場に来られなかった脚本・演出家の金哲義さん(40)のことを思っていた。
自身のルーツにこだわった作品を送り続ける、私と同じ在日3世だ。
■希望を抱いて
7月23日、釜山で開かれた演劇祭は、主催した現地の劇団所有の小劇場が会場だった。100人程度の客席は9割方埋まり、
30~40歳代の観客が多いように感じた。
大阪の劇団「航路(ハンロ)」は、招待を受け参加、金さん作の「ホライズンマーチ」を上演した。希望を抱いて来日した3人の朝鮮人青年たちが、
終戦を迎えるまでの数年間を描いた作品。闇商売で食いつなぎ、日本人女性に恋をし、召集令状を受け取って戦地に赴こうとする。
せりふは日本語で、舞台背景のスクリーンに韓国語の字幕を映し出す。
出演者たちを出発前日まで指導していた金さんは当日、関西国際空港で「(演劇祭に参加する韓国の劇団に)『勝つ』つもりでやってきてほしい」と激励した。
大阪生まれだが在日朝鮮籍の金さんには渡航許可が下りない。祖父の故郷は済州(チェジュ)島にある。だが韓国籍に変えるつもりはない。
「朝鮮は一つだという思いもあるし、朝鮮籍であるのは『金家の歴史』でもあるから」という。
金さんの作品は「故郷」をテーマにすることが多い。「ホライズン……」は在日1世の物語であるのと同時に、故郷を離れた者たちの物語でもある。
劇中、朝鮮人青年がこうつぶやくシーンがある。「故郷が元気でいるから、遠くにいる者は頑張れる」。
日本で生きることを決めた在日1世の思いを表したせりふだ。金さんは「帰る場所があるから人は頑張れる。
僕も、(祖父の故郷の人たちに)元気でいてもらいたい」と言う。(>>2-6へ続く)
毎日新聞 2011年9月14日 大阪朝刊
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