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■育鵬社版シェア1.6%
中学歴史教科書の採択が8月31日でほぼ終了した。今年の採択では偏狭なナショナリズムに固執し、
近隣のアジアをおとしめる独善的な記述内容を批判されている「新しい歴史教科書をつくる会」系教科書が、全国で4万部を超す結果となった。
「つくる会」の策動を許した各地民団では採択地区の教育委員会に抗議文を提出しながら早くも4年後の採択戦に向けてスタートを切った。
■横浜市の底上げ響く
「新しい歴史教科書をつくる会」から枝分かれした日本教育再生機構が編集した育鵬社版の歴史教科書を採択したのは、
採択地区で栃木県大田原市、神奈川県藤沢市、同横浜市、東京都大田区、同武蔵村山市、愛媛県今治市、同四国中央市、
同上島町、島根県益田地区(益田市・津和野町・吉賀町)。このほか、都立中高一貫校と都立特別支援学校、神奈川県立平塚中等教育学校、
香川県立高松北中学校などでも育鵬社版歴史を採択している。
市民団体「子どもと教科書全国ネット21」の俵義文事務局長は、全体で4万2860冊が採択されたと推計している。この63%が横浜。
採択地区に限ればシェアにして全国582の1・6%だ。ちなみに、05年の採択では育鵬社の前身の扶桑社の歴史教科書が4800部にすぎなかった。
■杉並区に続こう
今年は「危険な状況」と指摘されてきた東京都杉並区と栃木県下野市で採択を阻止した一方、新たな採択も目立った。
民団東京・大田支部の盧幸一支団長は、「大田は120%大丈夫と油断した。教科書問題に取り組む地元の市民団体と対策を練り、
4年後に備えたい」と話している。また、大田原市につくる会系教科書の不採択を呼びかけてきた民団栃木本部の金一雄団長は、
「津久井富雄市長はちょっと時間をくれと言っていた。4年後は絶対に採択を阻止したい」と意気込む。
県内の各市町村をくまなく回り、「望ましい歴史教科書の採択を求める請願書」を提出してきた民団神奈川本部の李相哲文教部長は、
「教科書問題に対する温度差を感じる。自分のところだけよければいいと思っていないか。
横浜の大量採択は他人事ではないはずだ」と警戒を呼びかける。(>>2-5へ続く)
(2011.9.7 民団新聞)
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