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指摘を踏まえて良くなった点もある。だが全体を見渡すと本来の姿からずいぶん遠い。これで期待に応える仕事ができるのか―。
江田法相が公表した人権救済機関(人権委員会)の基本方針に対する感想だ。
自民党政権時代からの宿題である。差別や虐待に苦しむ人々から、裁判とは別の簡易で迅速な救済手続きを求める声が寄せられ、
国連の委員会も繰り返し日本政府に勧告していた。
朝日新聞は人権機関の創設に賛成しつつ、旧政府案がメディアの取材活動を人権侵害の代表例に位置づけ、規制しようとしたことを、
表現の自由を侵すと批判してきた。この点、江田構想は「報道機関の自主的取り組みに期待し、特段の規定を設けない」とした。
信頼を裏切らぬよう自らを律していきたい。
もうひとつ、私たちが注目したのは政府と人権委の関係だ。民主党は内閣府の下に設置すると政権公約に書いたが、
江田構想では旧政府案と同じ法務省に落ち着いた。現に人権擁護の仕事に当たっている同省職員の活用や、
財政・要員事情を考えた現実的な選択ではあろう。
だが、被収容者への暴行などが繰り返されてきた刑務所や入国管理施設を抱える法務省が、本当にふさわしいのか。
もちろん内閣府に置きさえすれば独立性が保障されるという単純な話ではない。人権委メンバーの選定とあわせ、
事務局を担う職員の教育や人事のあり方が大きな課題となろう。
江田構想で疑問に思うのは、人権委の調査を関係者の同意を得て行う範囲に限り、
救済方法も「調停・仲裁」という緩やかな対応に当面とどめたことだ。旧政府案には調査を妨げる行為に制裁を科す規定があり、
加害者に対する「勧告・公表」や、被害者が起こす裁判に人権委が自ら参加して手助けすることも盛り込まれていた。 (>>2-3へ続く)
asahi.com 2011年8月12日(金)付
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