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・避難生活が長期化し、盛夏到来で暑い日が続く被災地で、ひときわ人の集まる場所がある。
パチンコ店。「人恋しい」「失業して居場所がない」。つらさを一時でも忘れたいという切実さが
垣間見える。
7月上旬、岩手県大船渡市の郊外にある「大船渡セントラル」。平日昼にもかかわらず368台の
パチンコとスロット台はほぼ埋まっていた。「気晴らしが大切なんだべ」。空き台を通路で待つ
陸前高田市の農業の男性(63)は言った。
男性は自宅と約5千平方メートルの畑を津波で失った。3カ月ほど友人宅に身を寄せた。
同居する7人中、自分だけが他人。「話が合わない。先に寝られない。言いたいことも言えない。
孤独だし、窮屈で窮屈で」。血圧が200に上がった。たまらずパチンコに逃避すると心が和んだ。
6月に妹が仮設住宅の抽選に当たり、母と3人暮らし。壁は薄く会話が隣に筒抜けで気を遣う
生活は続く。「勝ち負けにはこだわらない。やめたいけど、しばらくは無理だね」
同県住田町の女性(66)は「仕事がないし、涼しいから」。正社員だった水産加工会社が被災し、
失業した。この日は2千円を使い「お金もかかる」と苦笑いした。
同店が4月5日に営業再開すると、客が増えて6月は普段の3割増。1999年の開店以来最多で、
日中は住民、夕方以降は復旧・復興関連の仕事で県外から来た客の姿が目立つという。
工藤敦史店長(32)は「沿岸は商業や娯楽の施設が乏しい。厳しい避難生活の息抜きの場が
ないからではないか」とみる。
大船渡市の「ダイナム岩手大船渡店」では、遊び方を店員に尋ねる新規の客が増えた。
家族5人で仮設住宅で暮らす男性(64)は「昨秋にがんの手術をした。仮設でゴロゴロ
してるわけにもいかねえし」と週1日程度来ている。津波で妻、長男、次男は失業。家の再建の
めどは立たない。6月に被災者生活再建支援法の基礎支援金50万円が振り込まれた。
「支援金には手をつけねえようにしねえと」。景品のレトルト食品を手に帰った。(一部略)
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