11/07/15 16:04:47.50 YbCh7H2Q0
今回の最高裁判決は結論は妥当だが、内容が薄いので、僭越ながら私が補足意見を書いておこう。
更新料の法的性質については、「賃貸借契約の当事者、賃貸目的物件、賃貸借契約の内容、
更新料の支払いの合意が成立するに至った経緯を総合考慮して判断することが必要」
とする最高裁の判例(S59.4.20民集38巻6号610頁)があるので、
個々のケースについて判断するのが妥当だが、
私見を言えば、借主が中途解約できる契約においては、更新料の法的性質は一般に次の
ように考えるべきである。
まず、貸主は更新料を含めて収支の計算をし経営をしている以上、更新料は賃料の一部を
前払として収受するものである。
ところで、このように解すると、中途解約した場合は契約期間が未到来の部分の更新料を
返還すべきとも考えられる。
しかし、そもそも、賃貸借契約において契約期間が定められた場合、借主は本来中途解約
することは出来ないはずである。
なぜなら、2年なら2年間、貸主は貸室を使用収益させることを借主に約束し、借主は
その間賃料を払うことを約束したのであるから、借主が契約期間の途中で一方的に契約を
破棄することは、貸主が契約期間賃料を収受する期待を裏切ることになるからである。
それにも拘わらず、一般に借主の中途解約権を認めるのは、中途解約には転勤その他止む
事なき事情の場合も多々あり、中途解約において残りの契約期間の賃料全額を借主に支払
わせるのは酷だからである。
とすると、借主に中途解約を認める代わりに、貸主の契約期間満了までの賃料収受の期待
を裏切った違約金を認めないと、貸主借主の利益のバランスを失する。
このバランスをとるために、中途解約の違約金として、賃料の全額ではないが、賃料の一部
である契約期間未到来分の更新料は返還されないのである。、
つまり、更新料というのは、契約期間が満了した場合は、賃料の一部として、
契約が中途解約された場合は、契約期間経過分は賃料の一部、契約期間未到来分は
中途解約の違約金となる、性質の金員なのである。
従って、このような性質の金員は、消費者契約法10条後段の要件である「消費者の
利益を一方的に害する」とまでは言えないから、消費者契約法10条に反しない。