11/07/11 06:50:25.24 DqhpMh+10
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本書は、いろいろな人へのインタビューで構成されているが、特に二人に焦点があてられている。一人は、ヨンス。
「軍隊には何も期待しなかったけど、実際には思っていた以上に失望しました。厳しい上下関係で嫌な思いばかりさ
せられていましたから」と述懐するような、徹底的に徴兵制度を嫌う人である。大学在学中の入隊で先輩に人脈があ
り、腕っ節が強く、それなりにうまい汁も吸うのだが、追い詰められて反抗、大暴れをしてしまう。
もう一人は、ソンウ。貧しい家に生まれ、大学には行けなかった。「とにかく上官からの体罰が激しく、血を吐くほど
殴られました。軍隊の中で一生懸命生きていこうとしているのに、なんで人間以下の扱いを受けなければならないの
か」と最初は思うのだが、「二兵から一兵になって部下ができると、少し気持ちが変わってきました。殴られるだけで
なく、自分が殴れる相手ができたのです」と変容していく。
これは旧日本軍の内務班とまったく同じ構造だ。
ソンウは、「軍隊の中こそが平等な社会だった」と言う。一流大学出もこき使えたからである。ただ、「それは錯覚に
すぎ」ないのであるが。
ソンウのように軍隊時代を懐かしむ人は多い。自分の経験を肯定的にとらえなければ生きていけないのであろう。
軍隊に行ってよかったと答える人のほうが圧倒的に多いそうだ。酒場でも、話しは軍隊時代のことになることが多く
、女性が引いていくという。
でも、ヨンスはもちろん、ソンウも「軍隊には二度と行きたくない」と言うのである。