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日経電子版 パート1
菅直人首相は6日、原子力発電所の再稼働や安全性確認に関する従来
の政府方針を覆し、新たな原子力行政の制度や法案づくりに意欲を示した。
退陣を表明した末期政権の首相が重要政策で新たな方向性を示し、これ
までの見解を覆すのは例がない。原発が立地する自治体には戸惑いと
不信が、与野党には「原発問題を長期化させて政権の延命を図る思惑か」
との疑心暗鬼が広がった。
「従来法では、原発の安全性は経済産業相が判断できる。もっと国民が
納得できる検討の場が必要ではないか」。首相は6日の衆院予算委員会
で強調した。原発行政に関する経産省の権限や原子力安全・保安院の
検査能力に国会審議の場で疑問を投げかけ、現行法改正や新法制定の
必要性にまで踏み込んだ発言だ。
伏線は復興担当相の交代問題で揺れていた前日5日にあった。松本龍氏の
辞任で復興担当相が「空白」になっていた午後2時50分、首相は海江田万里
経産相と細野豪志原発事故担当相を首相官邸の執務室に呼んだ。原発再稼働
問題を話し合うためだった。
「原発の再稼働は認めない」。首相は何度も繰り返し、6月18日に全国
原発の「安全宣言」をした海江田氏を非難した。九州電力玄海原発の再稼働
のため、海江田氏が要請した佐賀県への訪問も「行くつもりはない」と拒否
した。
驚いた海江田氏は「原発を止めたら、今後の電力供給はどうなるのですか」
と詰め寄った。5月6日に中部電力浜岡原子力発電所に運転停止を要請した
ときも、首相は全国の他の原発は再稼働させる前提だったからだ。
首相は「再稼働で原子力安全委員会の意見は聞いたのか」と他の論点を持ち
出した。「聞いていません。安全委に諮るのは新規稼働だけです」と答えた
海江田氏を、首相は「法律はそうでも、国民は納得しない」と押し返した。