11/07/05 13:34:23.00 i
(>>1のつづき)
彼らは、こころの病を患っているわけではありません。
仮に病名をつけなければならないとしたら「適応障害」と診断することになるでしょうか。あるいは
「パーソナリティー障害」という病名を伝えるかもしれません。
しかし、彼らはそれなりにやる気もあり、優秀で学習意欲も高く、知的好奇心も強い人たちです。
それなのに社会にうまく溶け込めない。自分でも社会が受け入れてくれないと思い込んでいるのです。
彼らのような人たちのなかで、ネット上で最初に注目されたのは、2000年にバスジャック事件を
起こした17歳少年です。「ネオむぎ茶」といえばご記憶にある方も多いのではないでしょうか。
彼は優秀な高校生でした。偏差値の高い高校に入ったもののすぐに退学し、引きこもり生活に
入ります。やがて「2ちゃんねる」で事実上の犯行予告をしたうえで3人を死傷させるバスジャック
事件を引き起こしました。
彼らは、こころの平安を取り戻すためにゲームやアニメ、あるいはアイドルといったファンタジーに
逃避し、気持ちを落ち着かせてきました。
ファンタジーの世界には、彼らが現実の世界で不満に思っていることは出てきません。
これまで、彼らが現実逃避のためにのめり込んでいった代表的なものが「エヴァンゲリオン」でしょう。
惹きつけたのは、登場するキャラクターの魅力やファンタジーとしての世界観だけではありません。
このアニメには、精神分析、神学など多様な学問領域があり、様々な専門用語が散りばめられています。
彼らは、精神分析の分野で未知なるものが登場すると、先を争って精神分析の本を読み漁りました。
宗教的な用語の背景を知ろうと、こぞって宗教学の本と格闘したのです。
そんな彼らが、いま原発問題に向かっています。
ファンタジーの世界ではなく、現実のなかに逃避を正当化できるテーマが出てきたからです。彼らにとって、
これほど学びがいがあるテーマはありません。「エヴァンゲリオン」とは比較にならないほど高度に
体系化された世界だからです。この問題にはすべての学問領域を網羅する壮大な体系が存在しています。
一つの小宇宙と言ってもいいと思います。(>>3-10につづく)