11/07/05 08:34:54.88 0
(>>6のつづき)
私たち精神科医は、逃避する彼らと現実との接点を作ることに腐心してきました。
しかしいま、それはネット社会の発達によって困難になっています。彼らの知識欲や他人と
交信したいという欲求は、すべてネット上で満たされるようになってしまったからです。
彼らはいま、フィクションの世界ではなく現実の世界に起こった原発問題にこころを奪われています。
とはいえ、彼らが行動するのはあくまでもネットの世界に限定されてしまいます。熱狂する彼らがネット上で
喧々囂々の議論をしても、現実に起こっている原発問題は何も解決しません。むしろ現実世界とネット上の
世界に大きな乖離が生じてしまっているように思えてならないのです。
「こういう人たちは、ネットで生活を成り立たせ、ネットで人とコミュニケーションを取ればいいのではないか」
実際に働きに出なくても、インターネットによるFX取引で父親より稼ぐ人も出てきています。私もそんな
ネットだけの生活が成り立つのではないかと考えた時期もありました。しかし、ホリエモンの収監の
様子をテレビで見て、ネット上のバーチャルな世界が発達しても、限界があることをつくづく感じました。
ネット世界の象徴でもあるホリエモンも、現実に身体を拘束される刑務所行きという事態は
避けられませんでした。時代が変わっても「ネットで服役」ということは起こり得ないのです。
彼らが原発問題に熱狂して、彼らが何かを変えられるとしても、ネットの中の一つの小さなトレンドに
過ぎません。現実に動いている体制には、大きな影響を与えることはできないのです。現実社会との
接点こそ、ネット全盛の時代にあっても、ないがしろにできない大切なことではないでしょうか。
小出氏が世間の注目を浴びるようになったことで、奇しくもネットの社会に引きこもった人たちの
存在を再発見することになりました。これらの人の力を、いまの社会はうまく活用できていない
現実が浮き彫りになったのです。(以上、抜粋)