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・卒業式などで教員を起立させ、君が代斉唱を命じることは、思想・良心の自由を保障した憲法に
違反するか。最高裁の小法廷が相次いで判決を言い渡した。計14人の裁判官の見解が出そろった。
うち12人が命令は合憲と判断した。これに対し「精神的自由権に関する問題を、一般人(多数者)の
視点からのみ考えることは相当でない」(宮川光治判事)などと、反対意見を明らかにしたのは
2人だった。学説の多くが違憲説をとるなか、民主主義社会の基盤である基本的人権の重みを、
憲法の番人はどうとらえているのか。疑問と懸念を残す結果となった。
一方で注目すべきは、すべての小法廷が「命令は、思想・良心の自由の間接的な制約となる
面がある」と指摘したことだ。一、二審判決の多くが「教員に特定の思想を強制したり、告白を
強いたりするものではない」としてあっさりと原告側の主張を退けたのに比べ、ぎりぎりの
ところでの合憲判断だったことをうかがわせる。
一連の判決では、命令に違反した教員に対する処罰の適否は直接の審理対象にならなかった。
だが個別意見で言及した裁判官が複数いる。反対意見を書いたもう一人の田原睦夫判事は
「処分は慎重であるべきで、命令違反したからといって直ちに処分すれば裁量権の乱用が
問われ得る」と述べ、岡部喜代子判事は命令は合憲としつつ「処分の程度などによっては裁量権の
逸脱・乱用になる」と警告した。ほかにも、合憲とした判事らから、過度の不利益処分を背景に
起立斉唱を強制することに危惧を示す見解や、行政担当者に「寛容の精神」を求める意見が
示されている。
日の丸・君が代に関しては、戒告処分は社会通念に照らし重すぎるとして取り消した高裁判決と、
逆に停職処分を追認した高裁判決があり、ともに最高裁に上告されている。最高裁が次にいかなる
判断を下すか、注目したい。
大阪府の橋下知事は、起立斉唱命令に複数回違反した者を免職とする条例の制定を
唱えている。合憲という多数意見の結論だけでなく、最高裁が発したメッセージの全体を
受け止めて行動してほしい。(抜粋)
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