11/06/21 23:23:15.12 0
◇だまされた国民の責任も問う
福島第1原発の事故を、かつて原発誘致に翻弄(ほんろう)された人々はどんな思いで見ているだろうか。
私が勤務する和歌山は近い将来、大地震が予想されている。かつて和歌山でも誘致の是非をめぐって
いくつもの町が揺れたが、京都大学の研究者らの助けもあり、ここに原発はない。
「危険な原発はいらない」。理由は素朴であり、明快だ。
◇誘致が浮上し、親類も賛否二分
和歌山県で特筆すべきは日高町と旧日置川町(現白浜町)の誘致拒否だろう。
日高町では67年、当時の町長が原発構想を表明して以来、この問題がくすぶった。
関西電力は88年、設置に向けた調査に伴う漁業補償金など約7億円を地元漁協に提示。
漁協内は兄弟、親戚で賛否が割れ、結婚式、葬式、漁船の進水式に出ないなど人間関係が
ずたずたになった。反対運動を率いた漁師、濱一己さん(61)は「原発が安全なら、
こんなこと(仲間内の争い)はない。関電は都会と田舎のおれらの命をてんびんにかけた」と憤る。
旧日置川町では、児童のスクールバスの座席までも原発賛否で分かれた。
反対派の西尾智朗氏(59)=現白浜町議会議長=によると、建設予定地はもともと民有地だったが
「国定公園にして乱開発から守る」と町土地開発公社が73年に買収、町に転売した。
町が関電と売買契約を結ぶと、土地を売った一人の男性が「裏切られた」と自殺した。
遺族(78)は「おやじは町にだまされたことを恥と思っていた」と悔しさをにじませる。
>>2へ続く