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・「AKB総選挙」の話題が茶の間をにぎわしていることだろう。よくもここまで盛り上がる、
と不思議な思いの人も少なくなかろう。この騒ぎで語られるべきなのは、やはり、仕掛け人・
秋元康であろう。
放送作家、作詞家、映画監督、脚本家、大学副学長、そしてAKB48の総合プロデューサーと
いわゆる“業界”のすべての相に顔を持つ奇才。通称「業界のサメ」である。
高校時代から放送作家生活に入り、仕事が忙しいので大学は中退。放送作家だけでは
未来がないと、作詞にも挑戦し「川の流れのように」など大ヒットも少なくない。“仕掛け”では
「オールナイトフジ」「夕焼けニャンニャン」が思い出されるが、これは彼一人の仕事ではない。
多数の女性を使う発想や技術をAKB48に用いた、と言うべきであろう。
この天才的業界人にとってAKB48とは単に「収益素材」である。クライアント、つまりプロダクションや
レコード会社に対して、相応の利潤を約束する「プロ」なのだ。だから、08年に話題になった「桜の
花びらたち」問題(44種類のCD封入ポスターを集めればイベントに参加できるという企画が、
レコード会社内で問題視され、契約が解除された)のようなギリギリのところまで踏み込む。今回の
「総選挙」でも“投票権”を得るために何枚ものCDを買ったファンがいるのは、周知の通り。
秋元が仕掛けたAKB48の方法論を見ると、かなり低俗な物言いかもしれないが「キャバクラ式」と
言えないか。身近に思える女性を自分の力でその店のナンバーワンにできるという幻想を与えるやり方。
そこは「自分」を明確に意識できる場なのである。
上層下層の二極分化した社会の中で、孤立する若者の個を認める文化的受け皿として、
秋元はAKB48という「キャバクラ」を設定した。その慧眼が、秋葉原という小さな
街を飛び出し、日本中に注目されているのが今なのではなかろうか。
以前、「なぜサメなのか」と秋元の仕事仲間に聞いた。「泳ぎ続けないと死ぬから」との
答えだった。【専門編集委員・川崎浩】(抜粋)
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