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★東洋学園大学教授・櫻田淳 暗君と呼ぶほかない宰相の風景
≪菅氏の震災対応は政治災害だ≫
震災後、２カ月余りの時間が経過した。菅直人内閣の震災対応が誠に拙劣なものであ
るというのは既に「通り相場」になっている。それ故にこそ、此度の震災には、「政治
災害」という評も付くようになっている。
そもそも、この「政治災害」の本質とは何か。次に挙げる古代中国の史書『貞観政要
（じょうがんせいよう）』中の４つの言辞は、「政治災害」を招いた菅首相の政治指導
の実態と重ねれば誠に興味深い。
第１に、「君の明らかなる所以（ゆえん）の者は、兼聴すればなり。其（そ）の暗き
所以の者は、偏信すればなり」（君道第一）である。この一節には、「明君」と「暗
君」の違いが示されている。「明君」とは、「様々（さまざま）な人々の意見を適切に
聴くことのできる君主」であり、「暗君」とは、「一方に偏った議論だけを信じ、他を
受け付けない君主」である。それは、一般に語られるように、君主の知識や見識ではな
く、物事に対して向き合う姿勢を問い質（ただ）している。
菅首相は、自民党政権以来の「蓄積」を閑却して、官僚層の知見や経験を排除した結
果、「一方に偏った議論だけを信じ、他を受け付けない」という、「偏信」の性向を露
骨に呈するようになっている。先般の浜岡原発停止の要請は、「脱・原発」を唱える人
々からは「英断」と評されるかもしれないけれども、経済・産業上の影響といった様々
な条件を考慮しなかったという意味では、到底、「兼聴」の所産だとはいえないであろう。
(続く)
■ソース(産経新聞)
URLﾘﾝｸ(sankei.jp.msn.com)