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特派員メモ
◆サンフランシスコ（米国） 裸で楽しむ街
すぐそばを生まれたままの姿の男性が横切った。
ぎょっとして周りを見渡すと、別の男性が「ハーイ、一緒に写真撮る？」。
こちらには裸にトレンチコートをはおった、まるで「変質者」風だ。
米サンフランシスコの仮装マラソン大会に取材を兼ねて参加した。
1906年の大地震で被災し、落ち込んだ人たちを励まそうと始まり、今回が100回目になる。
「仮装」だが、ヌードも大あり。随所で警官が目を光らせているものの、基本は公認だ。
地元記者によると、2年前には全裸禁止の動きもあったが、猛反対に遭った。
「なぜ裸に？」。並走しながら聞くと、「自由を感じられるから。自分の街で楽しむのは権利さ」
と白人男性。既成の価値観を嫌うヒッピー文化の中心地らしい。
別の男性は「これが我々の自然な姿」と胸を張った。
「地震の復興のために始まったって知ってる＞」。そうも尋ねたが、多くは「え、そうなの？」。
大地震を経験したばかりの日本から来た身としては複雑な思いだが、それぐらい街を満喫できる
ようになったという、復興の証しかもしれない。（藤えりか）
[朝日新聞・朝刊・国際面]（2011年5月31日）より
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