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フロイス日本史 五畿内篇Ⅲ 第六十章(第二部七七章)
前略
本年(すなわち)(一五)八六年に、堺と都からその周辺一帯にかけて、きわめて異常で恐るべき地震が起った。それはかつて人々が見聞したことがなく、往事の史書にも読まれたことのないほど(すさまじいもの)であった。
というのは、日本の諸国でしばしば大地震が生じることはさして珍しいことではないが、本年の地震は桁はずれて大きく、人々に異常な恐怖と驚愕を与えた。
それは(日本)の十一月一日のことで、(我らの暦の)一月の何日かに当るが、(突如)大地が振動し始め、しかもふつうの揺れ方ではなく、ちょうど船が両側に揺れるように振動し、四日四晩休みなく継続した。
人々は肝をつぶし茫然自失の態に陥り、下敷きとなって死ぬのを恐れ、何ぴとも家の中に入ろうとはしなかった。というのは、堺の市だけで三十以上の倉庫が倒壊し、十五名ないし二十名以上が死んだはずだからである。
つづく