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★木語:原発安全神話の文法=金子秀敏
津波から4時間半で原子炉の炉心溶融が始まったと東京電力が発表した--これで原
発事故は起きないという安全神話は崩れたろうか。
(中略)
米国人は事故を「起こす」という他動詞で考える。かつて米政府がハッカーを集めて
実験をした。ある町の火力発電所と消防局のコンピューターに外部から侵入してプログ
ラムを壊せるかどうか。結果は、インターネットを使って発電所に火事を起こし、火災
報知システムを故障させることは可能だった。
9・11同時多発テロが起きたのは、雑誌にこの論文が出た直後だった。米国のブッ
シュ政権は「テロとの戦い」を始めた。そのなかで原発の非常用電源設備を見直し、安
全性を高める措置をとった。テロリストが事故を起こすと考えたのである。
オバマ政権も昨年4月、核安全保障サミットを開いた。テロから核関連施設を防衛す
る対策が世界の首脳の共通議題となった。
この会議で当時の鳩山由紀夫首相がどういう発言をしたか記憶がない。この時に、日
本も非常用電源の安全強化をしていたら、結果的にテロならぬ津波の襲撃に効果的な対
応ができただろう。
9・11は、日本人が原発安全神話を見直すいい機会だった。テロ対策なら電力会社
の体面も傷つかない。当時の小泉政権はイラクに大量破壊兵器があるかどうかを熱心に
論じたが、日本国内の原発対策にはほとんど関心がなかった。
原発事故を自動詞で語る限り、原発安全神話はいずれよみがえるような気がする。
■ソース(毎日新聞)(専門編集委員)(中略部分はソースで)
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