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130年の歴史を持つ銘菓「元祖いかせんべい」を製造する宮古市の「すがた」が11日、工場を再開した。
製造機械の手入れなどを進め、13日頃から生産に入る。12年前に建てた工場は津波で浸水し、
再建のために「二重ローン」を抱えての厳しい再出発になったが、
再雇用を希望する元従業員らとともに、「伝統の味」復活を目指す。 (阪本高志)
4代目の菅田正義社長(52)はこの日、再雇用を希望する従業員8人を前に、
「みなさんの感性を生かし、より一層、おいしいせんべいを作りましょう」と力強く呼びかけた。
従業員たちはすぐに工場内の掃除や、せんべいを焼く機械の可動部分に
油をさすなどの手入れをした。20日には販売を始めたいと考えている。
同社の創業は1881年。創始者菅田吉太郎は、1869年、戊辰戦争の際に官軍に
スルメのだし汁を使った焼き菓子を贈った。その菓子に手を加えて
発売を始めたとされ、沿岸を代表する銘菓の一つとなった。
菅田社長が被災した工場を訪れたのは、津波から10日後。従業員は全員、
津波直前に避難できたが、工場は高さ1・8メートルまで浸水し、機械類に被害が出た。
菅田社長は、ぼう然と立ちつくしながらも、頭の中に「克」という文字が浮かび、
「負けられない。必ず生産を再開する」と決意した。
なじみのお客さんの言葉にも元気をもらった。工場内で片付けをしている時、
「親しい人に贈りたいし、私も食べたい」という温かい言葉をかけてもらった。
工場建設時のローンは4000万円残っていたが、再建のために3000万円の新規融資を受けた。
機械の故障のため、生地作りが一部、手作業になり、生産ペースは
震災前の1日8000枚から、当面は、半数以下の3000枚に落ちてしまうという。
しかし、元社員の山本香澄さん(21)の表情は明るい。「ここで再び働けそうなので、
とてもうれしい。いかせんべいを焼いて、宮古市の復興にかかわっていきたい」と喜んでいる。
(2011年5月12日 読売新聞)
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