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・醜態を晒したのがこれまで舌鋒鋭く不正を糺してきた大新聞社の社員、それも3月11日
だったというから、余計にばつが悪い。
朝日新聞関係者が苦虫を噛み潰したような顔でいう。
「先日、お客様オフィスに読者の方から朝日社員に関する抗議が寄せられたんです。
その方がいうには震災当日、地震で緊急停車、カンヅメ状態にあった新幹線でうちの
社員と見られる5、6名が酒盛りしていた。挙げ句の果てに『早く降ろせ』って車掌に恫喝したと」
まさか―当初は一蹴した会社側も、当日の勤務状況を確認するや唖然とした。
「読者が指摘する、“東北新幹線はやて”のグリーン車には同社販売局社員たちが
複数乗っていた。浅虫温泉(青森)への慰安旅行中だったというのです」(同)
以下は読者の抗議や、JR関係者への取材をもとに再現した“事件”の様子だ。
正午頃。東京を発車した「はやて」グリーン車の後部にひときわ賑やかな一団が陣取る。
団体はすぐに酒瓶を開け、騒ぎ始めた。
「朝日も読売のやり方を真似てみるか」「それ、押し紙やるってことかい(笑い)」と言葉の
端々に業界人であることを臭わせていた。
14時46分。地震で新幹線が八戸(青森県)手前のトンネル内で緊急停車する。停電で車内は
暗闇に包まれた。車掌は客席を巡回しながら「大丈夫ですか」と、冷静な対応を呼びかける。
しかし、団体内で「部長」と呼ばれていた中年の男(新聞販売所経営者団体の幹部)が
喚きはじめた。
「はやく外に避難させろ」
車掌は「今は車両内にいるのが一番安全です」と宥めたが部長は相手にしない。
「2時間半もあればトンネルから歩いて出られるぞ」
部長が毒突くたび車掌の声が滞り、乗客は不安を募らせる。さらに暴言は続く。
「とにかく降ろせ。俺のいうことを聞けないならうちの社長、アキヤマコウタロウの
名前で抗議するぞ」
秋山耿太郎といえば、朝日新聞社社長だ。この時点で、団体が社員ということが
周囲にはっきり露見した。だが、他の人間も部長を諫めようという素振りを見せない。(>>2-10につづく)
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