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東京電力福島第1原子力発電所事故で、原子炉の冷却システムの復旧が徐々に進み始めた。原子炉を
循環する水を外側から冷やす熱交換冷却装置に海水を送り込む仮設ポンプの設置が1日、1~4号機で
完了。2日には1~3号機の原子炉に注水している仮設ポンプの電源を非常用から外部電源に切り替える。
ただ、肝心の注入した水を循環させるシステムは、汚染水に阻まれ、復旧のめどは立っておらず、
“半歩前進”が実情だ。
原子炉を100度以下の「冷温停止」状態にするには、「残留熱除去システム」の復旧が不可欠。
燃料棒の熱で高温になった水を海からくみ上げた海水で外部から冷やす仕組みで、熱を海に捨てる
「巨大なラジエーター」だ。5、6号機では3月19日にシステムが復旧し、翌日には冷温停止となった。
海岸近くにある1~4号機の海水くみ上げポンプは、「ほぼむき出しの状態」(東電)だったため、
津波で使用不能になり、仮設ポンプに切り替える作業を進めてきた。放射線量が比較的低い建屋外だった
ことからいち早く完了した。
また、原子炉への注水ポンプはこれまで非常用ディーゼル発電機で動かしてきたが、東北電力の送電線
から敷設した外部電源に切り替える。この結果、燃料切れの心配がなくなり、安定的な注水に加え、
作業員の被曝線量の抑制につながると期待される。
もっとも、原子炉に注水した水を循環させないと、熱交換装置も役に立たない。循環ポンプは原子炉
建屋内にあり、「きちんと動くかどうかも確認できていない」(経済産業省原子力安全・保安院)。
復旧には、まずタービン建屋地下の配電盤に外部電源をつなぐ必要があるが、高濃度の放射能を
帯びた汚染水に阻まれ、作業は事実上中断している。
東電は1日も、汚染水を移す「復水器」が満杯となっているため、復水器から建屋近くの復水貯蔵
タンクに、さらに復水貯蔵タンクから供用のサージタンクに移す「リレー作業」を続けたが、排水完了
の見通しは立っていない。
▽産経ニュース
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