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1号機の原子炉燃料棒の部分的な融解が原因となり、単独で核連鎖反応が起きる可能性は今後も否定できないと、
IAEAのフローリー氏が述べたとしている。専門家によるとこのような核連鎖反応は「局所的臨界」と呼ばれる。
熱波と中性子の放出を伴い、ときによって「青い閃光」が起こるという。
実際に再臨界が起きていた、としたのは先述のタイム誌だ。米科学者フェレンツ・ダルノキ・ヴェレス博士の論文内容を紹介した。
同博士は、3月13日以降福島第1原発の南西1.5キロの地点で、13回にわたって中性子線が観測されたとの共同通信の記事(3月23日付)に注目したという。
■「炉心には今でもある程度の中性子がある」
さらにダルノキ・ヴェレス博士は、3月25日に東京電力が発表した、1号機の原子炉を冷却するために使用された海水に含まれる
放射性物質の調査結果について解説。特に同博士が強調したのが「塩素38」という物質の存在だ。半減期が37分と
短い物質にもかかわらず高濃度で検出されたため、注水された海水の塩に含まれる「塩素37」が中性子と結びついて
作り出されたものではないかと推測し、1号機の原子炉が中性子を生む「再臨界」だったのではないかと考える。
しかし、この「再臨界説」には懐疑的な向きもある。東京大学大学院理学系研究科の早野龍五教授は3月26日、
ツイッターで「塩素38」について触れ、「炉心には今でもある程度の中性子がある(必ずしも臨界を意味しない)」と書いた。
続けて「海水を真水に変えれば改善するはず」としている。すでに1号機への注水は、海水から真水に切り替えられている。
枝野幸男官房長官は3月31日午前の記者会見で、IAEAが再臨界の可能性を指摘したことを質問され
「あらゆる事象について可能性を否定できない」としながらも「そうした事態が生じているという明確な兆候があるわけではない」と答えた。
また経済産業省原子力安全・保安院も同日、現段階で再臨界が起きている可能性を否定している。(おわり)