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危機的な状況が続く福島第一原発。
その復旧作業は放射能、時間との闘いで、作業員の確保が急務となっている。
東京電力の要請を受けた協力会社は、各地にいる作業員たちを呼び寄せようと躍起になっている。
中には法外な高給を提示された作業員もいる。
「日当四十万円出すから来ないか」。
福島県いわき市からさいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)に避難している作業員藤田竜太さん(27)の
携帯電話に、旧知の原発のメンテナンス業者から誘いが入った。
現場は福島第一原発。高給である以上、それだけ高い危険が待ち構えていることはすぐに分かった。
電線の敷設作業をしている友人からは「おれ、もう被ばくしているかも」と聞かされた。
長男はまだ三つと幼く、妻(26)には新しい命が宿った。ためらいなく断った。
藤田さんは、「五十代以上の人は高給につられて原発に戻っているらしい。
でも、おれはまだ若いし、放射能は怖い。もう原発の仕事はしたくない」と語った。
一方、協力会社の男性社員(41)は、勤務先から「人が足りないから戻ってくれないか」と
第一原発での作業を要請され、四月以降に福島に戻る。
男性は計測器を使ってそこが作業できる場所かどうかを調べるのが主な仕事。
原発の現状からすると、まさにそこが最前線ともいえる。
「特別な報酬があるわけではないが、危険な作業が待っているだろう。断ったら、恐らく会社にはいられない」と
半ば強制だと受け止めている。(続く)
(東京新聞)2011年3月29日 06時58分
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