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・政府は南極海で実施中の調査捕鯨を切り上げると発表した。反捕鯨団体シー・シェパードの妨害が原因だ。
この団体は捕鯨船に異常接近し薬品の瓶を投げつけるなど、危険な妨害を毎年続けている。
国際社会が厳しく取り締まるべきである。
ただ、欧米の政府や社会には捕鯨への根強い反対論がある。日本政府は長い間、IWCを舞台に、他の
捕鯨国と共に捕鯨の正当性を主張してきたが、論争はなかなか決着しそうにない。
両派の主張は根本から異なる。捕鯨派は「鯨は利用できる資源だ」と主張し、反捕鯨派の考えは「野生動物である
鯨の保護」だ。
南極海のミンク鯨など資源として捕れる鯨類がいることは確かだ。科学的には日本政府の主張は正しい。
だが、「数がいるからといって、捕って食べなくてもいい」とする価値観は、世界に広がっている。
お互いに受け入れられない主張の応酬を続けるだけでは、解決の展望は開けない。今や世界を一つの
価値観で染めることはできないという認識に立って、現実的な妥協の道をさぐることが求められている。
今回の決定を機に日本もこれからの政策について冷静に考えることが大切だ。大きな戦略を描く中で、
「南極海捕鯨は本当に必要か」を含めて検討すべきではあるまいか。
日本は「南極海で商業捕鯨を再開したい。調査捕鯨はその準備」といい、反捕鯨国の主張はさまざまだが、
結局のところ「すべての商業捕鯨」に反対する姿勢を崩さない。
しかし、日本では鯨肉需要が伸びず、遠洋捕鯨産業は事実上、消えている。この現状を踏まえれば、
南極海の商業捕鯨にこだわり続ける根拠は乏しいといえよう。
IWCでこれまでに浮上した有力な妥協案は「200カイリ外での捕鯨は禁止、沿岸捕鯨は容認」だ。
これは解決の方向として妥当な線だろう。反捕鯨国は、鯨を「利用可能な資源」と認めなければならない。
同時に日本も「沿岸での商業捕鯨ができるなら、南極海での捕鯨は縮小・中止に向かう」という戦略へ
かじを切るべきではないか。
私たちは「食べるなと外国にいわれる筋合いはない」と反発しがちだ。しかしシー・シェパードに
踊らされず、新しい捕鯨の形を考えたい。(抜粋)
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