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これらを受けて文科省では、AO入試の願書受け付けを8月以降に制限するとともに、
AO入試でも大学入試センター試験や英検など資格・検定試験などで学力確認をしたうえで
合否判定するよう、国公私立大へ通知した。
「AO入試はそもそもエリート層発掘のために生まれた。しかし、対象の幅を広げすぎたため、
ほとんどそれが機能しなくなっている。これを続けるのなら、学力を担保する方策は不可欠」
(ニッセイ基礎研究所経済調査部長・櫨浩一氏)という指摘はもっともであろう。
AO・推薦組増加の影響として、教育関係者からは基礎学力低下を懸念する声が多いのに対し、
企業の採用・人事担当者の受け止め方はやや異なる。人事支援サービスのHRプロの寺澤康介社長は
「基礎学力の低下も確かにあるが、企業の採用担当者が首をかしげるのは、コミュニケーション能力や競争心のなさ」と言う。
「社会では壁にぶつかったときにそれを乗り越える突破力が求められる。
また異文化に遭遇したときには、それに接点を見いだすコミュニケーション力が必要だ。
受験では一発勝負に挑む覚悟と集中力が磨かれる。その経験の多寡に企業は注目しているのでは」(同氏)と分析する。
学生に対する企業の選別の目は厳しくなっている。東洋経済新報社が文化放送キャリアパートナーズと
共同で行った調査では「推薦やAO入試拡大で、大学名だけでは学力の担保ができず、
出身高校の偏差値まで調べている」などの声が聞かれた。
以前ではAO入試組は面接がうまく印象に残るなど高評価があり、
学生も積極的にそれをアピールしたが、最近はAOであることを隠す者が多い。
採用担当者としては採用面接で「君はどうなのか」と聞くことはできず、
「浪人経験者ならAOや推薦ではないだろう」など、探り合いも少なくないという。
作家の佐藤優氏は本誌連載で「大学受験を本格的にした経験がある人とそうでない人とでは、
同じ一流大学を出ていても、身に付いている勉強法がかなり異なっている」としたうえで、
「現在の日本の学校教育では、受験以外に勉強の目標がなくなってしまっているので、
大学受験を事実上迂回した人たちは、高校レベルの知識を記憶に定着させる機会がないまま社会に出てしまった」と指摘している。