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奇妙な量子物理学の世界において、互いに相関を持つ2つの粒子は、たとえ何マイルと離れた
距離にあっても、同じ運命を共にする。量子もつれと呼ばれるこの不思議な現象について、距離
だけでなく、時間的に離れている粒子どうしでも互いに相関を持ちうることを、このほど2人の
物理学者が数学的記述によって示した。
「ある量子状態を、途中の時間を飛ばして未来へと"送る"ことが可能だ」と、今回の研究論文の
主執筆者である、オーストラリアのクイーンズランド大学の量子物理学者S. Jay Olson氏は話す。
通常の量子もつれにおいては、2つの粒子(通常は電子か光子)は密接に相関し、1つの量子状態
(これにはスピンや運動量その他、多くの変動要因がある)を共有している。1つの粒子は、もう一方
の粒子の状態を常に「知って」いる。量子もつれの関係にある一方の粒子の状態を測定すると、
もう一方の状態も同時に定まる。
一方の粒子を、もう一方の粒子を抜きにして記述することが不可能であるならば、このことは理論
上、空間だけでなく時間にも当てはまるはずだ。
主に物理学系の論文を扱うプレプリント・サーバー『arXiv.org』でこのほど公開された研究論文に
おいて、Olson氏と、同じくクイーンズランド大学のTimothy Ralph氏は、量子もつれを利用する
既存の手法をもってすれば、量子メッセージをある場所から別の場所へ送信するだけでなく、
過去から未来へ送信することも可能であることを数学的に示した。
「われわれの言うところの時間的もつれを利用すれば、(量子メッセージは)時間内を、途中の
ポイントを飛び越えて移動することがわかる」とOlson氏は話す。「数学的には何の違いもない。
通常の量子もつれにおいてできることはすべて、時間的もつれにおいても可能なはずだ」
Olson氏はこのことを、『スタートレック』を例にあげて説明した。スコットをビームで遠い惑星に
テレポーテーションさせ、即座に冷凍。エンタープライズ号が数十年後にやってきて解凍させ、
年をとっていないスコットが復活するという例だ。
つづく