11/01/22 21:36:19 QX5iTMUE0
憲法問題になるね。
犯罪前科者にも基本的人権はあるわけだから(判例・通説)、その者のプライバシー権(憲法13条)侵害として憲法違反になるおそれがある。
(なお、犯罪前科者のプライバシー権については最判昭和56・4・14、最判平成6・2・8参照。最高裁はプライバシー権には言及していないが、前科を紹介されない権利を認めている。)
今回の制度は、再犯を犯す前科者と、再犯を犯さない前科者を一緒くたにして不利益を被らせることを制度の前提としており、
そこには、制度によって得られる全体の利益のために、再犯を犯さないような前科者に重大な不利益(コスト)を負担させている側面がある。
これはまさに帰結主義的な功利主義なわけで、全体の利益のために個人を利用するという点で憲法13条の「個人の尊厳」に反するおそれもある。
このような負担を、再犯を犯さない前科者に課すための正当化根拠がなければ、憲法13条違反になるだろう。
少なくとも言えるのは、前科者は犯罪者だからいいのだ、というのは間違いであることだろう。
前科という犯罪に対する処罰は既になされているわけであって、それを事後の制度の正当化根拠に持ち込むのは、
刑罰と同じ応報感情をこの制度の正当化根拠に持ってくることになってしまい、罪刑法定主義(憲法31条、憲法94条、地方自治法14条3項)の問題や二重処罰の問題が生じるから。
結局この制度は、みんなの利益のために再犯を犯さないような「善良な」前科者に重大な負担を負わしめてる点があり、そこが重要な問題点だと思う。
そこに注意が向かないまま、被害者感情や正義感情を盾に手放しで制度を肯定するのは妥当でないと思う。
また、散々出てるけど、運用論の点からも問題がある。
結局再犯を犯すような人はGPSを放置して再犯するわけだし、そもそもGPSをつけただけでは再犯自体を物理的に阻止することの実効性はあまり期待できそうじゃない。