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中国海軍の原子力潜水艦が昨年2月ごろ、九州-台湾-フィリピンを結ぶ第1列島線を突破していたことが分かった。
複数の政府筋が30日までに明らかにした。沖縄県の宮古島、与那国島間を通過したとみられる。警戒網の穴を突かれ
たことに日米両政府は強い衝撃を受け、中国潜水艦の監視網を強化。「防衛計画の大綱」で潜水艦増隻や
島(とう)嶼(しょ)防衛強化に踏み切る転機にもなった。
第1列島線を突破した原潜は、平成16年にグアム島からの帰路に日本領海を侵犯した際と同型の「漢(ハン)級」だった
可能性が高い。16年は出港時から米国衛星などが探知し、米原潜や海上自衛隊のP3Cが継続して監視しており、
ノーマークで突破されたのは初めて。
東シナ海での中国の潜水艦探知・追尾のオペレーションで、海自は複数の艦艇を配置。加えてP3C哨戒機を飛行させ、
周辺海域を隙間なく監視できる態勢をとる。ところが、昨年2月ごろは原油高騰の影響もあり、海自はP3Cの飛行回数を
抑え、監視ポイントも減らしていた。
中国側は偵察活動により艦艇とP3Cの監視位置を把握した上で監視網の穴を見つけ、原潜に第1列島線を突破させたとみられる。
原潜は中国・青(チン)島(タオ)から出港したとみられるが、グアム島近傍に進出するまで探知されなかった。宮古-与那国島間の
海域は遠浅で大型原潜の潜航には適さないことから、今回の突破により、中国海軍が海洋調査により海底地形を熟知していることが
裏付けられた。静粛性を高めるなど能力を向上させた可能性も大きい。
第1列島線の突破を知り、海自は即座にP3Cの監視を増強。米側も原潜のスクリュー音などを収集するため
音響測定艦「インペッカブル」を投入した。
第1列島線は中国海軍が有事の対米防衛ラインとして設定した。2010年までに第1列島線内の制海権を確保し、
2020年までに伊豆諸島-グアム、サイパンを結ぶ第2列島線までの防衛ライン拡大を狙う。中国は沖縄本島~宮古島間の
海域を押さえ、宮古島以西の日本領土分断を狙うとの指摘もある。
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