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柴田錬三郎『柴錬ひとりごと』(中公文庫)より引用
石原慎太郎が、人気作家として売り出したまっ最中に、私に云ったことがある。
「僕は、これからの作家は、行動することによって、作品を書かねばならないと思います。
某ホテルの受付の娘を、 僕は、ヨットに乗せて、沖へ出て、セックスをやり乍ら、彼女に
思いきり官能の叫びを、海原へひびかせてみたいのです」
私は、阿呆らしくて、返事をしなかった。(中略)そのくせ、かれは、ゴルフをやって
いる際、自分が何番ホール目かで、 スコアを崩すと、パートナーに対する配慮などみじ
んも持たず、一人さっさと中止して、帰ってしまった。
(中略)代議士となった石原慎太郎の面相が、もはや文学者のものではなく、暴力的な
いやしさをむき出しに しているのは、本性の正体を示している。こういう‘行動‘派
に、権力を与えると、たちまち、「今太閤」とは 別の意味で、自己顕示欲の権化とな
るのではあるまいか。